説明

VEGF−R阻害剤を調製する方法

本発明は、タンパク質キナーゼのモジュレーターおよび/または阻害剤として有用な式(7)の化合物を調製するための方法に関する。本発明はまた、式(7)の化合物の調製に有用である中間化合物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体を参照により本明細書に組み込む、2005年12月5日出願の米国仮出願第60/742,847号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、VEGF−R阻害剤を調製するための方法、およびその中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
化合物N,2−ジメチル−6−[7−(2−モルホリノエトキシ)キノリン−4−イルオキシ]ベンゾフラン−3−カルボキサミド(「化合物7」とも呼ばれる)は、
【0004】
【化1】

その開示がここに参照により完全に組み込まれる、米国公開特許出願U.S.2005−0137395に記載されている。この化合物は、受容体タンパク質キナーゼ阻害剤であり、血管新生受容体シグナル伝達の合成小分子阻害剤に相当する。
【0005】
本発明は、化合物7ならびにその薬学的に許容できる塩および中間化合物を調製する方法に関する。かかる化合物は、癌および血管形成に関連する他の疾患またはタンパク質キナーゼによって媒介される細胞増殖の治療に有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
化合物7を調製する方法はU.S.2005−0137395で論じられているが、当技術分野では依然として効率的で対費用効果の高い新しい合成経路が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式7の化合物およびその中間体を調製する方法に関する。
【0008】
【化2】

一態様では、本発明は、式7の化合物、
【0009】
【化3】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法に関するものであり、この方法は、式4の化合物を式6の化合物で処理して式7の化合物を形成することを含む
【0010】
【化4】

(式中、Xは、任意の適当な脱離基である)。特定の実施形態では、Xは、ハロゲン、NOまたは−OSOであり、ここで、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい。他の実施形態では、塩基を含む条件下でこの反応を実施する。例えば、塩基は、NaCO、KCO、CsCO、NaHCO、KHCO、NaH、アミン塩基、アルコキシド塩基、水酸化物塩基、および有機金属試薬からなる群から選択される。他の実施形態では、Xは、Clであり、この反応を90〜110℃の温度で実施する。
【0011】
本発明の別の態様は、式4の化合物
【0012】
【化5】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法であり、この方法は、式3の化合物を式30の化合物で処理して式4の化合物を形成することを含む
【0013】
【化6】

(式中、XおよびYは、それぞれ任意の適当な脱離基である)。一実施形態では、式30の化合物は、塩化2−(4−モルホリニル)−エチル塩酸塩である。他の実施形態では、XおよびYはそれぞれ独立に、ハロゲン、NO、または−OSOであり、ここで、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい。例えば、Xは、Clであり、Yは、Clである。他の実施形態では、この反応を、第1の塩基の存在下で70〜90℃の温度で実施し、続いて酸を20〜30℃の温度で添加し、続いて第2の塩基を20〜30℃の温度で加える。例えば、第1の塩基は、NaCO、KCO、CsCO、NaHCO、KHCO、NaH、アミン塩基、アルコキシド塩基、および水酸化物塩基からなる群から選択してよい。例えば、塩基は、NaOtBuまたはKOtBuであってよい。他の実施形態では、酸は、pH3以下へのpH調整を可能にする任意の酸である。例えば、酸は、HCl、HBr、HSO、およびHPOからなる群から選択してよい。さらに他の実施形態では、第2の塩基は、pH12以上へのpH調整を可能にする任意の塩基である。例えば、第2の塩基は、NaOHまたはKOHであってよい。
【0014】
本発明はまた、式3の化合物
【0015】
【化7】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法に関するものであり、この方法は、a)式2の化合物を適当な脱保護剤で処理するステップ、続いて
【0016】
【化8】

b)塩基を加えるステップ、続いてc)酸を加えて、式3の化合物を形成するステップを含む(式中、Xは、任意の適当な脱離基であり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)。特定の実施形態では、Xは、ハロゲン、NOまたは−OSOであり、ここで、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい。特定の実施形態では、Xは、Clであり、Rは、−CHまたは−CH−フェニルであり、ステップa)を50〜70℃の温度で実施する。他の実施形態では、脱保護剤は、BBr、BCl、TMSCI、TMSBr、TMSI、HBr、HI、チオ酢酸、チオグリコール酸、またはメタンスルホン酸であってよい。他の実施形態では、塩基は、pH11以上へのpH調整を可能にする任意の塩基であってよい。例えば、塩基は、NaOHまたはKOHであってよい。他の実施形態では、酸は、pH7へのpH調整を可能にする任意の酸である。例えば、酸は、HCl、HBr、HSO、またはHPOである。
【0017】
本発明はさらに、式6の化合物
【0018】
【化9】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法に関するものであり、この方法は、式5の化合物を
【0019】
【化10】

適当なカルボン酸活性化剤およびCHNHで処理して、式6の化合物を形成することを含む。特定の一実施形態では、カルボン酸活性化剤は、CDI、HATU、SOCl、(COCl)、DCC、EDC、HOBt、CDMT、BOP−Cl、またはPyBOPである。他の実施形態では、この方法ではさらに、触媒、例えばピリジンまたはDMAPを添加することが含まれる。
【0020】
本発明はさらに、式6の化合物
【0021】
【化11】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法に関するものであり、この方法は、式18の化合物を
【0022】
【化12】

脱保護剤およびR捕捉剤で処理して、式6の化合物を形成することを含む(式中、Rは、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、ここで、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)。例えば、Rは、−CHであり、反応は、55〜75℃の温度で実施し、脱保護剤は、MSAであり、捕捉剤は、メチオニンである。
【0023】
本発明はさらに、式6の化合物
【0024】
【化13】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法に関するものであり、この方法は、式24の化合物を
【0025】
【化14】

脱保護剤およびR捕捉剤で処理して、式32の化合物を形成し、
【0026】
【化15】

次いで式6の化合物を形成するためにそれを触媒およびCHNHで処理してよいことを含む(式中、Rは、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)。一実施形態では、Rは、−CH、または−CH−フェニルであり、反応は、55〜75℃の温度で実施し、脱保護剤は、MSAなどの酸であり、捕捉剤は、メチオニンである。
【0027】
本発明はさらに、式18の化合物
【0028】
【化16】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法に関するものであり、この方法は、式24の化合物を
【0029】
【化17】

CHNHおよび任意選択により触媒で処理して、式18の化合物を形成することを含む(式中、Rは、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)。特定の一実施形態では、Rは、−CHであり、Rは、Hであり、反応は、適当なカルボン酸活性化剤の添加をさらに含む。他の実施形態では、カルボン酸の活性化剤は、CDI、HATU、SOCl、(COCl)、DCC、EDC、HOBt、CDMT、BOP−Cl、およびPyBOPからなる群から選択される。他の実施形態では、Rは、−CHであり、Rは、−CHであり、触媒は、NaCNである。他の実施形態では、反応は、55〜75℃の温度で実施する。他の実施形態では、Rは、−CHであり、Rは、−CHCHであり、触媒は、NaCNである。
【0030】
本発明はさらに、式24の化合物
【0031】
【化18】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法に関するものであり、この方法は、式14の化合物を
【0032】
【化19】

転位脱水を可能にする作用剤および適当な溶媒で処理して、式24の化合物を形成することを含む(式中、Rは、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)。一実施形態では、転位脱水を可能にする作用剤は酸である。例えば、酸は、HClであり、Rは、−CHであり、Rは、Hである。さらに、例えば、酸は、MSAであり、溶媒は、MeOHであり、Rは、−CHであり、Rは、−CHである。さらに、例えば、酸は、MSAであり、溶媒は、EtOHであり、Rは、−CHであり、Rは、−CHCHである。
【0033】
本発明はさらに、式14の化合物
【0034】
【化20】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法に関するものであり、この方法は、式13の化合物を
【0035】
【化21】

塩基で処理し、続いてアシル化剤を添加して、式14の化合物を形成することを含む(式中、Rは、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)。特定の一実施形態では、塩基は、アルコキシド、アミド、NaH、および有機金属試薬からなる群から選択される。他の実施形態では、Rは、−CHであり、塩基は、BuLi、LDA、LHMDS、NaHMDS、またはKHMDSである。他の実施形態では、アシル化剤は、酢酸の無水物、酸ハロゲン化物、またはエステルである。他の実施形態では、アシル化剤は、酢酸エチル、塩化アセチル、または無水酢酸である。
【0036】
本発明はまた、式13の化合物
【0037】
【化22】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法に関するものであり、この方法は、式20の化合物を
【0038】
【化23】

適当なカルボン酸活性化剤および適当な塩基で処理して、式13の化合物を形成することを含む(式中、Rは、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、Hまたはカチオン対イオンであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)。特定の一実施形態では、Rは、−CHであり、Rは、HNCyであり、活性化剤は、CDI、HATU、SOCl、(COCl)、DCC、EDC、HOBt、CDMT、BOP−Cl、およびPyBOPからなる群から選択され、塩基は、アミン、NaCO、KCO、CsCO、NaHCO、およびKHCOからなる群から選択される。他の実施形態では、Rは、Hであり、この方法は、適当な求核試薬の添加をさらに含む。他の実施形態では、式20の化合物をカルボン酸活性化剤、塩基、および求核試薬で処理するステップは、(i)式20の化合物をカルボン酸活性化剤、塩基、および求核試薬で処理して式19の中間化合物を形成すること
【0039】
【化24】

(式中、Rは、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)、および(ii)式19の中間化合物を塩基で処理して式13の化合物を形成することによって実施する。特定の一実施形態では、Rは、−CHであり、カルボン酸活性化剤は、CDI、HATU、SOCl、(COCl)、DCC、EDC、HOBt、CDMT、BOP−Cl、およびPyBOPからなる群から選択され、ステップ(i)および(ii)中の塩基はそれぞれ独立に、アミン、NaCO、KCO、CsCO、NaHCO、およびKHCOからなる群から選択され、求核試薬は、アルコールまたはアミンである。他の実施形態では、カルボン酸活性化剤は、SOClであり、塩基は、ピリジンであり、求核試薬は、MeOH、EtOH、またはメチルアミンである。
【0040】
本発明はまた、式20の化合物
【0041】
【化25】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法に関するものであり、この方法は、a)式9の化合物を
【0042】
【化26】

硫黄供給源およびアミンで処理し、続いてb)塩基、次いで酸を添加して、式20の化合物を形成するステップを含む(式中、Rは、H、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、Hまたはカチオン対イオンであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)。特定の一実施形態では、Rは、−CHであり、Rは、Hであり、硫黄供給源は、Sであり、アミンは、NH、ピペリジン、またはモルホリンである。他の実施形態では、ステップa)は、120〜140℃の温度で実施する。他の実施形態では、塩基は、pH12以上へのpH調整を可能にする任意の塩基である。例えば、塩基は、NaOHまたはKOHであってよい。別の実施形態では、酸は、pH2以下へのpH調整を可能にする任意の酸である。例えば、酸は、HCl、HBr、HSO、またはHPOであってよい。
【0043】
本発明はまた、式20の化合物
【0044】
【化27】

(式中、Rは、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、Hまたはカチオン対イオンであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)またはその塩もしくは溶媒和物に関する。特定の一実施形態では、Rは、−CHであり、Rは、HまたはNHCyである。
【0045】
本発明また、式13の化合物
【0046】
【化28】

(式中、Rは、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)またはその塩もしくは溶媒和物に関する。特定の一実施形態では、Rは、−CHである。
【0047】
本発明はさらに、式14の化合物
【0048】
【化29】

(式中、Rは、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)またはその塩もしくは溶媒和物に関する。特定の一実施形態では、Rは、−CHである。
【0049】
本発明はさらに、式24の化合物
【0050】
【化30】

(式中、Rは、H、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルのいずれも少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)またはその塩もしくは溶媒和物に関する。特定の一実施形態では、Rは、−CHであり、Rは、H、−CH、または−CHCHである。
【0051】
本発明はまた、式18の化合物
【0052】
【化31】

(式中、Rは、H、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)またはその塩もしくは溶媒和物に関する。一実施形態では、Rは、−CHである。
【0053】
本発明はまた、式4の化合物
【0054】
【化32】

(式中、Xは、任意の適当な脱離基である)またはその塩もしくは溶媒和物に関する。一実施形態では、Xは、ハロゲン、NO、または−OSOであり、ここで、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい。他の実施形態では、Xは、Clである。
【0055】
本発明はまた、式2の化合物
【0056】
【化33】

(式中、Xは、任意の適当な脱離基であり、Rは、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)またはその塩もしくは溶媒和物に関する。特定の一実施形態では、Xは、ハロゲン、NO、または−OSOであり、ここで、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい。他の実施形態では、Xは、Clであり、Rは、−CHまたは−CH−フェニルである。
【0057】
本発明はまた、式31の化合物
【0058】
【化34】

(式中、Rは、H、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)またはその塩もしくは溶媒和物に関する。
【0059】
特に記載がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用されている以下の用語は、下記の意味を有する。
【0060】
本発明を説明するのに使用している「含む(comprising)」および「含めた(including)」という用語は、それらの排他的でない非限定的な意味で使用している。
【0061】
本発明を説明するのに使用している「処理(treating)」という用語は、2個以上の反応体または化学種を互いに接触させて化学変化または変換を引き起こす化学的プロセス(複数も可)を意味する。例えば、反応体Aおよび反応体Bを互いに接触させて新しい化合物(単複)Cを得る場合、AをBで「処理して(treated)」Cを生成したと考えられる。
【0062】
「保護(protecting)」という用語は、本明細書では、選択的な反応(単複)を化合物上の他の場所で生じさせるために、前記化合物中の官能基を非反応性官能基によって選択的にマスクするプロセスを意味する。かかる非反応性官能基は、本明細書において「保護基」と呼ばれている。例えば、「ヒドロキシル保護基」という用語は、本明細書では、ヒドロキシル(−OH)基の反応性を選択的にマスクできる基を意味する。「適当な保護基」という用語は、本明細書では、本発明の化合物の調製に有用である保護基を意味する。かかる基は、一般に対象化合物の他の部分に干渉しない温和な反応条件を用いて選択的に導入および除去可能である。本発明のプロセスおよび方法で使用するのに適した保護基は、当業者に周知である。かかる保護基の化学的性質、それらの導入およびそれらの除去のための方法は、例えば、T.GreeneおよびP.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis(第3版)、John Wiley&Sons、NY(1999年)に見つけることができる。「脱保護(deprotecting)」、「脱保護した(deprotected)」、「脱保護する(deprotect)」、「脱保護剤(deprotecting agent)」、または「脱保護剤(deprotection agent)」という用語は、本明細書では、化合物から保護基を除去するプロセス、または保護基を除去する作用剤を意味することになっている。適切な条件および試薬を含めた脱保護するための方法は、当業者に周知である。
【0063】
「溶媒和物」は、かかる化合物の生物学的有効性を保持している特定の化合物の薬学的に許容できる溶媒和物形態を表すものである。溶媒和物の例には、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、酢酸、エタノールアミン、またはその混合物と合わせた本発明の化合物があるが、それだけには限定されない。
【0064】
本発明を説明するのに使用している「カルボン酸活性化剤」は、アミドまたはエステル形成のためにカルボン酸を活性化するのに適した任意のものである。かかる作用剤は、当業者によく知られており、CDI、HATU、SOCl、(COCl)、DCC、EDC、HOBt、CDMT、BOP−Cl、およびPyBOPを含む。
【0065】
本発明を説明するのに使用している「捕捉剤」は、化合物から除去されている別の基を受け取る化合物または官能基である。例えば、本明細書では、「R1捕捉剤」は、化合物から除去されているR1基と相互作用剤を形成する任意の化合物または官能基である。かかる捕捉剤は、当業者によく知られている。
【0066】
本明細書では、「転位脱水を可能にする作用剤」は、化学反応の一部として転位脱水を促進する任意の作用剤である。かかる作用剤は、当業者によく知られており、HCl、HSO、およびMSAなどの酸を含む。
【0067】
本発明を説明するのに使用している「脱離基」は、一般にそれが結合する原子で求核置換反応を生じさせる化学官能基を意味する。例えば、式Cl−C(O)R(式中、Rは、アルキル、アリール、または複素環である)の酸塩化物において、−Cl基は、それが結合するカルボニル炭素で求核置換反応を生じさせるので、一般に脱離基と呼ばれる。適当な脱離基は、当業者に既知であり、カルボジイミドなどの化合物との反応によって活性化されたハロゲン化物、芳香族複素環、シアノ、アミノ基(一般に酸性条件下)、アンモニウム基、アルコキシド基、炭酸塩基、ギ酸塩、およびヒドロキシ基を含むことができる。例えば、適当な脱離基は、それだけには限らないが、ハロゲン、NO、および−OSOを含むことができ、ここでRは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい。
【0068】
本発明を説明するのに使用している「アシル化剤」は、アシル化反応でアシル基を送達可能な任意の化合物である。かかるアシル化剤は、当業者によく知られており、カルボン酸、酸ハロゲン化物、およびエステルの無水物を含む。
【0069】
本発明を説明するのに使用している以下の略語は、次の通りに定義する:「Et」は、エチルを表し、「Ac」は、アセチルを表し、「Me」は、メチルを表し、「Cy」は、シクロヘキシルを表し、「EtOAc」は、酢酸エチルを表し、「THF」は、テトラヒドロフランを表し、「HOBt」は、ヒドロキシベンゾトリアゾールを表し、「MeOH」は、メタノールを表し、「EtOH」は、エタノールを表し、「2−MeTHF」は、2−メチルテトラヒドロフランを表し、「NaOtBu」は、ナトリウムtert−ブトキシドを表し、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを表し、「LDA」は、リチウムジイソプロピルアミドを表し、「LHMDS」は、リチウムヘキサメチルジシラジドを表し、「NaHMDS」は、ナトリウムヘキサメチルジシラジドを表し、「KHMDS」は、カリウムヘキサメチルジシラジドを表し、「HNCy」は、ジシクロヘキシルアミンを表し、「AcCl」は、塩化アセチルを表し、「MTBE」は、メチルt−ブチルエーテルを表し、「DMF」は、N,N−ジメチルホルムアミドを表し、「DMA」は、N,N−ジメチルアセトアミドを表し、「AcO」は、無水酢酸を表し、「THP」は、テトラヒドロピランを表し、「DMAc」は、ジメチルアセトアミドを表し、「TMSCl」は、塩化トリメチルシリルを表し、「TMSBr」は、臭化トリメチルシリルを表し、「TMSI」は、ヨウ化トリメチルシリルを表し、「MSA」は、メタンスルホン酸を表し、「CDI」は、1,1’−カルボニルジイミダゾールを表し、「HATU」は、(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3,テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを表し、「DCC」は、ジシクロヘキシルカルボジイミドを表し、「EDC」は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを表し、「CDMT」は、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンを表し、「BOP−Cl」は、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドを表し、「PyBOP」は、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを表し、「HOBt」は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを表し、また「DMAP」は、4−ジメチルアミノピリジンを表す。
【0070】
本発明を説明するのに使用している「(C〜C)アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子からなる直鎖および分枝鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素基を表す。(C〜C)アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、などが含まれる。
【0071】
本発明を説明するのに使用している「(C〜C)アルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する2〜8個の炭素を含有するアルキル部分を表す。かかる基中の炭素−炭素二重結合は、安定な化合物をもたらすことになる2〜8炭素鎖に沿ってどこにあってもよい。かかる基は、前記アルケニル部分のE異性体とZ異性体のどちらも含む。かかる基の例には、エテニル、プロペニル、ブテニル、アリル、およびペンテニルがあるが、それだけには限定されない。
【0072】
本発明を説明するのに使用している「(C〜C)アルキニル」という用語は、2〜8個の炭素原子を含有し、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有するアルキル部分を表す。かかる基中の炭素−炭素三重結合は、安定な化合物をもたらすことになる2〜8炭素鎖に沿ってどこにあってもよい。かかる基の例には、エチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、および3−ヘキシニルがあるが、それだけには限定されない。
【0073】
本発明を説明するのに使用している「(C〜C14)アリール」という用語は、6〜14個の炭素原子を含有する芳香族炭化水素由来の基を表す。かかる基の例には、フェニルまたはナフチルがあるが、それだけには限定されない。「Ph」および「フェニル」という用語は、本明細書では、−C基を表す。「ベンジル」という用語は、本明細書では、−CH基を表す。
【0074】
本発明を説明するのに使用している「ハロゲン」および/または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下のプロセスは、本発明の方法に基づく化合物7の一般的な調製を例示する。本発明は、本明細書に記載のプロセス中に生じる新規な中間体も包含する。化合物7ならびにその中間体を調製する方法は、癌および血管形成に関連する他の疾患またはタンパク質キナーゼによって媒介される細胞増殖の治療に使用できる化合物を調製するのに有用である。
【0076】
特に指示がない限り、以下のプロセスに基づく化合物の可変置換基(substituent variable)は、本明細書に定義する通りである。その合成を本明細書に具体的に記載していないまたは公表された参考文献を参照して提供していない出発原料は、市販されている、または当業者に既知の方法を用いて調製することができる。いくつかの合成変更は、当業者によく知られている方法に基づいて行ってもよい。
【0077】
本発明において、本明細書に記載の方法で使用されている特定の化合物への任意の言及には、その特定の化合物の任意の塩も包含されていることを理解されたい。本発明の塩には、酸付加塩および塩基塩(ジ塩(disalt)を含む)が含まれる。適当な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシ酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシ酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシ酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩がある。
【0078】
適当な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例には、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩がある。
【0079】
適当な塩に関する概説については、その開示を完全に参照により本明細書に組み込む、StahlおよびWermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Wiley−VCH、Weinheim、ドイツ、2002年)を参照のこと。
【0080】
本明細書に記載の化合物の塩は、適宜、化合物の溶液と所望の酸または塩基を一緒に混合することによって容易に調製できる。塩は、溶液から沈殿し、ろ過によって捕集でき、または溶媒の蒸発によって回収することができる。塩のイオン化度は、完全イオン化からほぼ非イオン化まで異なっていてよい。
【0081】
固体の薬剤の場合、化合物、薬剤および塩は、異なる結晶形または多形形態で存在していてよく、その全ては、本発明および特定の式の範囲内のものであることが当業者によって理解されよう。
【0082】
1個または複数個の不斉炭素原子を含有する本明細書に記載の化合物は、2種以上の立体異性体として存在することができる。化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合には、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体が可能である。化合物が、例えば、ケトもしくはオキシム基または芳香族部分を含有する場合には、互変異性(「tautomerism」)が生じ得る。単一化合物は、2種以上のタイプの異性を示すこともできる。本発明の範囲内に含まれているのは、2種以上のタイプの異性を示す化合物、およびその1種または複数の混合物を含めた、本明細書に記載の化合物の全ての立体異性体、幾何異性体および互変異性形態である。
【0083】
本発明の一態様は以下のスキームAによって示される化合物7を調製するためのプロセスである。
【0084】
【化35】

【0085】
上記スキームAの一態様では、式3によって表される化合物は、式1または式2の化合物のいずれかを脱保護剤、塩基、および酸で処理することによって、ステップa)およびb)に示したように調製することができる。当業者には、この変換に適した脱保護剤が認識されるであろう(例えば、T.W.Greene、P.G.M.Wuts Protective Groups in Organic Synthesis、第3版 John−Wiley&Sons、1999年を参照のこと)。例えば、この反応ステップに適した脱保護剤には、ルイス酸、例えばBBr、BCl、もしくはTMSX(ここでXは、Cl、Br、またはIである)鉱酸、例えばHBrもしくはHI、または他の強酸、例えばメタンスルホン酸がある。当業者には、任意の適当な溶媒をこのステップで使用してもよいことが理解されるであろう。このステップで使用できる溶媒には、CHClがある。適当な塩基には、NaOH、KOH、またはpH約11以上へのpH調整を可能にする任意の塩基がある。適当な酸には、HCl、HBr、HSO、HPO、または約7へのpH調整を可能にする任意の酸がある。この反応ステップを高温、例えば50〜70℃で実施することが好ましい。例えば、ステップa)は、約60℃でMSAおよびメチオニンの存在下において、続いて水性NaOHの存在下でpHを約11より高くに調整して、続いてHClを加えてpHを約7に調整して実施することができる。ステップb)は、まずBBr/CHClを加え、続いて還流させ、次いで水性NaOHを加えてpHを約11以上に調整し、続いてHClを加えてpHを約7に調整することによって実施することができる。
【0086】
スキームAの他の態様では、式4の化合物は、式3の化合物を塩化2−(4−モルホリニル)−エチル塩酸塩で処理することによって、ステップc)に示したように調製することができる。このステップに適した反応条件には、高温(例えば70〜90℃)、アセトニトリルなどの適当な溶媒中の塩基、続いて酸水溶液の添加、続いて塩基の添加、および任意選択により続いてアセトニトリルなどの適切な溶媒からの再結晶による精製が含まれる。適当な塩基には、NaCO、KCO、CsCO、NaHCO、KHCO、アミン、アルコキシド、および水酸化物がある。適当な酸には、HCl、HBr、HSO、HPO、または酸性pH、好ましくはpH3未満へのpH調整を可能にする任意の酸がある。適当な塩基には、NaOH、KOH、またはpH約12以上へのpH調整を可能にする任意の塩基がある。例えば、ステップc)は、塩化2−(4−モルホリニル)−エチル塩酸塩、NaOtBu、アセトニトリルを加え、続いて還流し、次いで水性または濃HClを加えてpHを約2〜3に調整し、続いて水性NaOHを加えてpHを約12〜13に調整し、続いてMeCNから再結晶させることによって実施することができる。
【0087】
スキームAの他の態様では、式6の化合物は、ステップd)に示したように、式5の化合物をカルボン酸活性化剤およびCHNHで処理することによって調製することができる。適当なカルボン酸の活性化剤には、アミドまたはエステル形成のためにカルボン酸を活性化できる任意の作用剤、例えばCDI、HATU、SOCl、(COCl)、DCC、EDC、HOBt、CDMT、BOP−Cl、およびPyBOPがある。触媒、例えばピリジン、DMAPなども使用してよい。生成物6は、任意選択によりメタノールなどの適当な溶媒から再結晶することによって精製することができる。例えば、ステップd)は、2−MeTHF中でCDIを使用し、続いてHO中のCHNHを加え、続いてMeOH/HOから再結晶することによって実施することができる。
【0088】
スキームAの他の態様では、式7の化合物は、ステップe)に示したように式4の化合物を式6の化合物で処理することによって調製することができる。適当な反応条件には、高温(例えば90〜110℃)で適切な溶媒中の塩基が含まれる。適当な塩基には、NaCO、KCO、CsCO、NaHCO、KHCO、アミン塩基、アルコキシド、水酸化物、NaH、および有機金属試薬がある。適当な溶媒には、任意の極性非プロトン性溶媒、例えばDMF、DMSO、およびDMAcがある。生成物7は、任意選択により逆溶媒、例えば水の添加による沈殿、続いて適切な溶媒または溶媒混合物、例えばエタノール/水からの再結晶によって精製することができる。かかる混合物は、種々の割合、例えばエタノール:水=3:4(vol/vol)で使用することができる。例えば、ステップe)は、まず100℃でDMSO中のNaOtBuを加え、続いてHOを加え、続いてDARCO G60、EtOH/CHClを加え、続いてEtOH/HOから再結晶させることによって実施することができる。
【0089】
本発明の別の態様は、以下のスキームBによって示したクライゼン縮合を用いて化合物6を調製するためのプロセスである。
【0090】
【化36】

【0091】
上記スキームBの一態様では、式11または12の化合物は、沸点が高い溶媒、例えばトルエン、HO、NMP、DMFなどを用いて、硫黄供給源、例えば元素硫黄S、S2−、(NHなど、および非環式もしくは環式の第一級もしくは第二級アミン、例えばNH、NHR、ピペリジン、またはモルホリンを含めたアミンで式9の化合物を処理することによって調製することができる。このステップは、好ましくは高温、好ましくは約130℃で実施する。式10の中間化合物が形成した後、塩基水溶液、続いて酸水溶液を加えることによって式11の化合物を生成する。適当な塩基には、NaOHおよびKOH、またはpH12以上へのpH調整を可能にする任意の塩基がある。適当な酸水溶液には、HCl、HBr、HSO、HPOなど、または酸性pH、好ましくはpH2未満へのpH調整を可能にする任意の酸がある。化合物11の塩は、11の塩を形成できる任意の化合物、好ましくはアミン、例えばジシクロヘキシルアミンを用いて形成することができる。例えば、ステップa)は、130℃で3時間、元素硫黄、モルホリン、NMPを含む反応条件を用いて実施することができる。次いでステップb)は、水性NaOH、続いてpHを約0に調整するために濃HClを加えて式11の化合物を形成することによって実施することができる。次いで、式12の化合物は、ジシクロヘキシルアミンを加えることによって形成することができる。
【0092】
スキームBの他の態様では、式13の化合物は、下記に示したようにカルボン酸活性化剤および塩基を式12の化合物に加えることによって調製することができる。適当なカルボン酸活性化剤には、それだけには限らないが、CDI、HATU、SOCl、(COCl)、DCC、EDC、HOBt、CDMT、BOP−Cl、PyBOPなどを含めたアミドまたはエステル形成のためにカルボン酸を活性化するのに適した任意の作用剤がある。適当な塩基には、NaCO、KCO、CsCO、NaHCO、KHCO、およびアミン塩基がある。例えば、スキームBのステップc)は、SOCl、ピリジン、およびアセトニトリルを用いて実施することができる。
【0093】
【化37】

【0094】
上記に示したように、式13の化合物は、適当なカルボン酸活性化剤、塩基、および求核試薬を加えて中間化合物19を形成することによって、化合物11からも調製することができ、ここで、化合物19のCOR’は、任意の適当なエステル、例えばエチルエステルを表す。次いで化合物13は、化合物19に適当な塩基を加えることによって調製することができる。適当な求核試薬には、アルコール、例えばMeOH、およびEtOH、またはアミン、例えばメチルアミンがある。
【0095】
上記に示したスキームBの他の態様では、化合物14は、ステップd)で示した塩基、アシル化剤、および適当な溶媒を用いることによって化合物13から調製することができる。適当な塩基には、アルコキシド、アミド、および有機金属試薬がある。例えば、かかる塩基には、メトキシド、エトキシド、tert−ブトキシド、LDA、BuLiなどが含まれていてよい。適切な溶媒には、エーテルおよびエステル、例えばMTBE、THF、2−MeTHFおよびEtOAcがある。適切なアシル化剤には、無水物、酸ハロゲン化物、およびエステルがある。例えば、酢酸誘導体は、アシル化剤として使用することができる。好ましいアシル化剤には、酢酸エチル、塩化アセチル、および無水酢酸がある。ステップd)中の反応は、より低温、好ましくはT<25℃、より好ましくはT≦0℃で実施してもよい。例えば、ステップd)は、約0℃の温度でBuLiを塩基として、2−MeTHFを溶媒として加えて塩化アセチルをアシル化剤として加えることによって実施することができる。あるいは、LDAは、塩基として使用でき、またAcOは、アシル化剤として使用することができる。
【0096】
スキームBの他の態様では、式15、16、および17の化合物は、高温で適当な溶媒中で転位脱水剤を用いることによって、ステップe)に示したように化合物14から調製することができる。例えば、適当な転位脱水剤には、酸、例えばHCl、HSO、およびMSAがあり、適当な溶媒には、アルコール、例えばMeOHまたはEtOH、および水がある。高温は、室温(例えば25℃)以上を表す。例えば、化合物15は、HClを使用し、温度が100℃の場合にステップe)を用いて得ることができる。化合物16は、MSAおよびEtOHを使用する場合に得ることができ、化合物17は、MSAおよびMeOHを使用する場合に得ることができる。
【0097】
スキームBの他の態様では、化合物18は、CHNHを加えることにより、ステップf)およびg)によって示したように式15、16、または17の化合物から調製することができる。例えば、化合物18は、まずCDIおよび2−MeTHFを溶媒として使用し、続いて水性MeNHを加えることによって化合物15から調製することができる。化合物18は、触媒、例えばNaCN、MeNH、および2−MeTHFを溶媒として用いることによって化合物16または17からも調製することができる。
【0098】
スキームBの別の態様では、化合物6は、ステップh)に示したように化合物18から調製することができる。特に、化合物6は、脱保護剤および捕捉剤を用いることによって調製することができる。例えば、ステップh)は、MSAおよびメチオニンを用いて実施することができる。
【0099】
本発明の別の態様は、以下のスキームCによって示される、化合物6を調製するためのプロセスである。
【0100】
【化38】

【0101】
スキームCに示す通り、式6の化合物は、示したようにクライゼン縮合を用いて形成することができる。
【0102】
本発明の他の態様は、以下のスキームDを用いて式6の化合物を調製するためのプロセスである。
【0103】
【化39】

【0104】
式7の化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、適当であることを当業者が認識できる任意の剤形の医薬組成物に製剤してよい。医薬組成物は、治療有効量の式7の化合物、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物、および不活性な薬学的に許容できる担体または希釈剤を含む。
【実施例】
【0105】
下記の実施例では、特に指示がない限り、以下の記述中の全ての温度は摂氏度(℃)であり、特に指示がない限り、全ての部および百分率は重量による。
【0106】
種々の出発原料および他の試薬は、商業供給業者、例えばAldrich Chemical Company、Regis Chemical Company、およびEM Scienceから購入し、特に指示がない限り、さらなる精製を行わずに使用した。
【0107】
以下に記載されている反応は、無水溶媒中、周囲温度(特に指定のない限り)で、窒素、アルゴンの正圧下または乾燥管を用いて行った。分析用薄層クロマトグラフィーを背面がガラス(glass−backed)のシリカゲル60°F 254プレート(Analtech(0.25mm))上で行い、適切な溶媒比(v/v)で溶離した。反応を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー(TLC)によってアッセイし、反応の進捗で判断して停止させた。TLCプレートをUV、リンモリブデン酸染色、またはヨウ素染色によって可視化した。
【0108】
H−NMRスペクトルは、300MHzで操作したブルカー機器に記録し、13C−NMRスペクトルは、75MHzで記録した。NMRスペクトルは、それぞれDMSOまたはクロロホルムを、対象標準(7.25ppmおよび77.00ppm)またはDMSO−d(2.50ppmおよび39.52ppm)として用いて、DMSO−dまたはCDCl溶液(ppmで報告)として得る。他のNMR溶媒は、必要に応じて使用した。ピークの多重度を報告する場合、以下の略号を使用する:s=一重線、d=二重線、t=三重線、m=多重線、br=ブロードな線、dd=二重の二重線、dt=二重の三重線。結合定数を示す場合は、ヘルツで報告する。
【0109】
下記に示した実施例および調製法は、本発明の方法をさらに例示および説明する。本発明の範囲は、以下の実施例の範囲によって決して限定されるものではないことを理解されたい。
【0110】
(実施例1)
【0111】
【化40】

5Lの3つ口フラスコにMSA(600mL)を投入し、外部冷却は最初21〜22℃に設定した。次いでDL−メチオニン(220g、1.4830mol)を約45分にわたって4〜5回に分けて加えた。メチオニンを完全に加えた後、反応混合物を約20℃で1〜2時間撹拌した。次いで式1−aの化合物(100.00g、0.3707mol)を加え、濃い懸濁液を60〜65℃で60〜90分間加熱した。次いで混合物を20〜25℃まで冷却し、NaOH(490g)をHO(1500mL)に溶かした冷たい(−5℃)溶液を、pHが約7になるまで加えた。次いで懸濁液を造粒し、ろ過し、HO(1000mL)で濯ぎ、吸引作用剤によって吸引乾燥させた。捕集した固体を反応フラスコに再投入し、HO(1800mL)を加え、フラスコの内容物を20〜25℃に冷却した。次いで37%HClを加えることによってpHをpH=1〜2に調整した。透明な黄色/オレンジ色溶液が得られた。10%NaOH水溶液(約400mL)を加えることによってこの溶液をpH約7まで中和した。pH約7を得た後、混合物を20〜25℃で少なくとも2時間造粒し、次いでろ過した。フラスコの内容物をHOで濯いで次に送り(rinsed forward)、ろ過ケーキをHOで十分に濯いだ(フラスコおよびウェットケーキを濯ぐための合計量:3×1000mL)。捕集した固体を吸引乾燥させ、次いで窒素ブリードしながら真空中で60〜70℃で乾燥させて、3−aをオフホワイト固体として得た。
H NMR/3−a(300MHz,d−DMSO):10.46(s,1H,OH);8.68(d,J=4.8Hz,1H);8.06(d,J=9.6Hz,1H);7.49(d,J=4.8Hz,1H);7.30〜7.34(m,2H)。
13C NMR/3−a(75MHz,d−DMSO):159.8、151.0、150.9、141.3、125.4、121.1、120.0、118.9、110.9。
【0112】
(実施例2)
【0113】
【化41】

500mLの3つ口フラスコに3−a(16.3g、0.0908mol)および塩化2−(4−モルホリニル)−エチル塩酸塩(40.9g、0.220mol)、続いてMeCN(163mL)を投入した。微細で均一な懸濁液が得られるまで得られた混合物を20〜25℃で強烈に撹拌した。この懸濁液を内部温度約−20℃まで冷却し、続いて内部温度を−5℃未満に保持しながら固体NaOtBu(36.8g、0.383mol)を4回に分けて加えた。NaOtBuの添加が完了した後、混合物を約60分以内で加熱還流し、次いで還流させながらさらに25〜35分撹拌した。次いで混合物を20〜25℃まで冷却し、黄色−茶色のスラリーに脱イオンHO(326mL、20vol)、続いてpH=2〜3が得られるまで37%HCl(25mL)を加えた。次いで内部温度を30〜35℃に保持しながら真空下での蒸留によって反応混合物を250〜300mLに濃縮することによりMeCNの酸性水溶液を除去した。得られた水溶液を氷浴中で内部温度5〜10℃まで冷却した。内部温度を20℃未満に保ちながらこの冷溶液に50%NaOH溶液(16.5mL)をpH=12〜13になるまで入れた。得られた黄白色−オレンジ色のスラリーを20〜25℃まで温め、造粒した。沈殿物をろ過によって捕集し、HO(5×16mL)、続いてMeCN(2×16mL)で濯ぎ、真空中60〜70℃で十分に乾燥させ、4−a(23.76g、0.081mol、89%)を僅かに黄色の固体として得た。
H NMR/4−a(300MHz,d−DMSO):8.74(d,J=4.8Hz,1H);8.07(d,J=9.0Hz,1H);7.56(d,J=4.8Hz,1H);7.48(m,1H);7.39(m,1H);4.28(m,2H);3.59(m,4H);2.76(m,2H);2.50(m,4H)。
13C NMR/4−a(75MHz,d−DMSO):160.5、151.2、150.8、141.2、125.3、121.3、120.9、119.7、109.0、66.5、66.3、57.2、54.0。
【0114】
(実施例3)
【0115】
【化42】

5−Lの3つ口フラスコに化合物5(201.65g、1.0493mol)、続いてCDI(403.80g、2.4907mol)を投入した。次いで、かき混ぜながら2−MeTHF(2000mL)を20〜25℃で投入した。約30分後、白色懸濁液を−15℃まで冷却し、内部温度を<5℃に保持しながら40%MeNH水溶液(800mL)を添加漏斗によって慎重に加えた。添加が完了した後、反応混合物を20〜25℃まで温め、20〜25℃で少なくとも2時間撹拌した。反応混合物を−10〜−15℃まで冷却し、内部温度を25℃未満に保持しながら37%HCl(900mL)を慎重に加えた。pH約1の二相混合物を得た。相を分離し、水相を2−MeTHF(1×500mL)で抽出した。有機相を合わせ、HO(1×500mL)で洗浄した。洗浄後、常圧蒸留によって有機相を約800mLまで濃縮した。次いで溶液を25℃まで冷却し、MeOH(3000mL)をフラスコに投入し、常圧蒸留による約800mLまでの濃縮を再開した。反応混合物を約800mLまで濃縮した後、溶液を25℃まで冷却し、MeOH(3000mL)をフラスコに再投入し、フラスコ中の溶液を常圧蒸留によって約800mLまで再度濃縮した。次いでHO(400mL)を熱溶液に加え、混合物を短時間再度加熱還流し、次いで穏やかに撹拌しながら約20度まで冷却し、約20℃で少なくとも12時間撹拌した。沈殿した固体をろ過し、冷(0〜5℃)MeOH/HO(1:1、1000mL)で濯ぎ、真空中約50℃で乾燥させて、化合物6(167.68g、0.8171mol、78%)をオフホワイト固体として得た。
H NMR/6:(300MHz,d−DMSO):9.50(s,1H);7.72(m,1H);7.52(d,J=8.4Hz,1H);6.88(d,J=2.1Hz,1H);6.76(dd,J=2.1Hz,8.4Hz,1H);2.79(d,J=4.5Hz,3H);2.55(s,3H)。
13C NMR/6:(75MHz,d−DMSO):164.0、155.9、155.6、154.3、120.9、118.2、112.8、112.5、97.7、26.3、13.8。
【0116】
(実施例4)
【0117】
【化43】

2Lの3つ口フラスコに15(85.3g、0.4137mol)、およびCDI(113.3g、0.6987mol)、続いて2−MeTHF(900mL)を投入して、濁った茶色溶液を得た。ベンゾフラン15を完全に消費した後、次いで反応混合物を氷浴中で冷却し、内部温度を45℃未満に保つのに十分な速度で40%水性MeNH(300mL)を添加漏斗によって加えた。アミド形成が完了した後、反応混合物を内部温度<5℃まで氷浴中で冷却し、37%HCl(約150mL)でpH約7まで酸性化させた。反応混合物を2L分液漏斗に移し、HO(約100mL)および2−MeTHF(約100mL)を用いてフラスコの内容物を濯いで分液漏斗に送った。層を分離し、有機層を3N HCl(2×150mL)で洗浄した。水層を2−MeTHF(2×125mL)で抽出した後、アミド18−aは、もはや水層中で認められなかった。有機層を3Lの3つ口フラスコに移し、メタンスルホン酸(730mL)を加えた。次いで2−MeTHFを減圧蒸留によって除去した。次いでメタンスルホン酸混合物を0〜5℃まで冷却し、5分以内にDL−メチオニン(247g、1.6548mol)を投入した。混合物を65℃まで加熱し、約24時間撹拌すると、メチルアミド18−aの完全な消費が達成された。次いで反応混合物を約20℃まで冷却した。次いで冷却した反応混合物を、内部温度を20℃未満に保つのに十分な速度で冷(0〜5℃)HO(1360mL)を含有する5−Lの3つ口フラスコに少しずつ加えた。濃い混合物を遅い撹拌速度で造粒した。HO(1000mL)をさらに加え、造粒を続けた。次いで10%w/wNaOH水溶液(500mL)、続いて50%w/wNaOH溶液(200mL)を加え、この混合物を19時間造粒した。微細な暗褐色沈殿物をろ過し、HO(1000mL)で濯ぎ、真空中50℃で乾燥させて、粗製の6(54.5g)を得、これを再結晶によってさらに精製した。
H NMR/6:(300MHz,d−DMSO):9.50(s,1H);7.72(m,1H);7.52(d,J=8.4Hz,1H);6.88(d,J=2.1Hz,1H);6.76(dd,J=2.1Hz,8.4Hz,1H);2.79(d,J=4.5Hz,3H);2.55(s,3H)。
13C NMR/6:(75MHz,d−DMSO):164.0、155.9、155.6、154.3、120.9、118.2、112.8、112.5、97.7、26.3、13.8。
【0118】
(実施例5)
【0119】
【化44】

3−Lの3つ口フラスコに6(76.15g、1.0493mol)および4−a(119.47g、0.4081mol)を投入した。次いで20〜25℃でかき混ぜながらDMSO(760mL)、次いでNaOtBu(44.11g、0.4452mol)を投入し、懸濁液を100℃まで加熱した。この温度で少なくとも12時間撹拌した後、混合物を約30℃まで冷却し、HO(1520mL)を室温で約45分以内に投入した後、沈殿物が形成した。懸濁液を20〜25℃まで冷却させながら6時間造粒した。懸濁液をろ過し、捕集した固体をHO(2×840mL)で濯ぎ、次いで吸引乾燥させた。固体を真空中60〜70℃で乾燥させ、粗製の生成物(約150g)を得た。さらに精製するために、粗製の7を加熱還流(80〜82℃)中にEtOH(750mL)中で溶解させ、次いで還流させている溶液にHO(1000mL)を約5分以内に加えた。水を加え終わった直後、沈殿物が形成し、混合物が極めて濃い懸濁液になりながらも、撹拌するのは容易であった。この懸濁液を短時間加熱還流し、次いで20〜25℃まで冷却し、少なくとも12時間造粒した。沈殿した固体をろ過し、EtOH/HO(3:4;700mL)で濯ぎ、吸引乾燥させ、次いで真空中60〜70℃で乾燥させ、7(135.74g、0.2941mol、79%)をオフホワイトから黄色の固体として得た。
H NMR/7:(300MHz,d−DMSO):8.59(d,J=5.1Hz,1H);8.22(d,J=9.0Hz,1H);7.94(m,1H);7.86(d,J=8.7Hz,1H);7.59(d,J=2.1Hz,1H);7.44(d,J=2.4Hz,1H);7.30(dd,J=9.0Hz,J=2.4Hz,1H);7.22(dd,J=8.4Hz,J=2.1Hz,1H);6.46(d,J=5.4Hz,1H);4.29(m,2H);3.60(m,4H);2.77〜2.84(m,5H);2.65(s,3H);2.50〜2.54(m,4H)
13C NMR/7:(75MHz,d−DMSO):163.5、161.7、160.2、158.7、153.6、152.2、151.6、151.2、124.2、123.2、122.0、119.3、117.2、115.5、113.1、108.5、104.8、103.2、66.6、66.1、57.3、54.0、26.4、14.0
【0120】
(実施例6)
【0121】
【化45】

3Lの3つ口フラスコに2−ヒドロキシ−4−メトキシアセトフェノン 9−a(210.90g、1.2692mol)、硫黄(81.40g、2.5390mol)、モルホリン(220mL、2.5367mol)、およびNMP(630mL)を投入して、赤味を帯びた茶色の懸濁液を得た。懸濁液を約130℃まで約4.5時間加熱し、10を中間体として得た。20〜25℃まで冷却した後、HO(260mL)に溶かしたNaOH(260g)溶液を加えた。添加が完了した後、混合物を約100℃まで加熱し、この温度に2.5〜3時間保った。反応混合物を外部氷浴によって40℃未満に冷却した。NaOH/NaOClスクラバーシステムを設置した。次いでpH約0を目標として37%HCl(約700mL)を慎重に加えた。混合物をHO(約5.4L)で希釈し、ろ紙を通してろ過して、元素硫黄を除去した。水溶液を2−MeTHF(4×500mLおよび1×225mL)で抽出した。合わせた有機層を3Lの3つ口フラスコに移し、11を含有する2−MeTHF溶液を常圧蒸留によって850〜900mLに濃縮した。次いで混合物を約50℃まで冷却し、MTBE(875mL)を加えると、内部温度が約38℃まで下がった。ジシクロヘキシルアミン(253mL、1.2711mol)を約10分にわたって加えた。添加開始から約5分後、混合物に12をまいた。追加のジシクロヘキシルアミン(20mL、0.1005mol)を加えて、アミン塩12の沈殿を開始させた。約19時間造粒した後、黄褐色のスラリーをろ過し、MTBE(1000mL)で濯いだ。捕集した固体を吸引して滴が垂れないようにし(pulled dripless)、次いで真空中60〜70℃で乾燥させて、粗製の12(370g、81%収率、約50%純度)を得、これを再結晶によってさらに精製した。そのために、3Lの3つ口フラスコに乾燥フェニル酢酸アミン塩12(369.8g、1.0174mol)および酢酸エチル(1000mL)を投入して、茶色のスラリーを得た。次いでスラリーを40〜50分以内に加熱還流すると、黒みがかった茶色溶液が得られ、これを室温まで冷却した。酢酸エチル(1000mL)をさらに加え、混合物を再度加熱還流し、次いで溶解していない粒子からデカントした。熱いままの溶液を撹拌しながら冷却させ、45分後、濃い淡褐色のスラリーが得られ、これを造粒し、ろ過し、酢酸エチル(約800mL)で濯いだ。茶色固体を真空中50℃で乾燥させて、12(246.9g、53%全収率、92%純度)を得た。
H NMR/12:(300MHz,d−DMSO):6.82(d,J=9.0Hz,1H);6.19〜6.25(m,2H);3.65(s,3H);2.91〜3.06(m,2H);2.05〜1.86(m,4H);1.81〜1.63(m,4H);1.63〜1.51(m,2H);1.39〜1.14(m,9H);1.14〜0.95(m,2H)
13C NMR/12:(75MHz,d−DMSO):176.33、159.36、159.13、130.71、117.20、103.83、102.93、55.13、52.30、43.08、29.44、25.26、24.39
【0122】
(実施例7)
【0123】
【化46】

3Lの3つ口フラスコに微粉砕した12(242.80g、0.6680mol)およびアセトニトリル(1.991L)を投入して、淡褐色懸濁液を得た。外部冷却せずに塩化チオニル(53.6mL、0.7348mol)を添加漏斗によってゆっくり加えた。反応が完了した後、ジシクロヘキシルアミン−塩酸塩をろ過し、酢酸エチル(1.8L)で濯いだ。ろ液を4L分液漏斗に移し、0.1M HCl(500mL)、0.01M KOH(425mL、1.75vol)、および水(500mL、2.06vol)で順次洗浄した。次いで有機溶液を真空中で濃縮して粘性油にし、これを最終的に凝固させて、蝋様赤褐色固体を得た。固体を真空乾燥機中50℃で乾燥させて、13−a(105g)を96%収率で得た。
H NMR/13−a:(300MHz,d−DMSO):7.25(d,J=9.0Hz,1H);6.84(d,J=3.0Hz 1H);6.71(dd,J=3.0Hz,9.0Hz,1H);3.82(s,2H);3.76(s,3H)
13C NMR/13−a:(75MHz,d−DMSO):175.27、160.07、155.35、125.53、115.98、109.78、97.50、55.93、32.51
【0124】
(実施例8)
【0125】
【化47】

3Lの3つ口フラスコに市販されている2.0M LDAのTHF(662mL、1.3249mol)溶液を投入し、氷/アセトン浴中で冷却した。別に、2Lフラスコにラクトン13−a(72.5g、0.4416mol)および2−MeTHF(725mL)を投入して、暗い、赤味を帯びた茶色溶液を得た。次いでラクトン13−a溶液を添加漏斗に移し、LDA溶液に慎重に加え、内部温度を5℃未満に保持した。ラクトン13−a溶液を完全に加えた後、反応を約45分以内に約15℃まで温めた。溶液を−20℃まで再度冷却し、無水酢酸(50mL、0.5300mol)を添加漏斗によって加えた。次いで14−aを含有している反応混合物を、HO(800mL)および37%HCl(80mL)を含有している4L分液漏斗に移した。層を分離し、pH=0になるまで水層(pH約6を有する)に37%HCl(約100mL)を加えた。水層を2−MeTHF(2×150mL)で抽出し、合わせた有機層(約1.8L)を3Lの3つ口フラスコに移した。メタノール(2100mL)を加え、共沸蒸留によって2−MeTHFをメタノールに置き換えた。溶媒を完全に切り換えた後、メタノール溶液を650mLまで濃縮し、21〜25℃まで冷却した。次いで外部冷却せずにメタンスルホン酸(130mL、2.0048mol、17vol%)を添加漏斗によって加え、続いて反応が完了するまで数時間加熱還流した。加水分解ステップに備えて、外部氷浴を用いて内部温度を<5℃に調整した。次いでHO(500mL)に溶解させたNaOH(100g、2.5000mol)の溶液を添加漏斗によって加え、続いて混合物を35〜50℃に加熱した。追加のNaOH(52g、1.3000mol)を加え、反応が完了するまで撹拌を続けた。反応混合物を20〜25℃まで冷却した後、2L三角フラスコ中にデカントした。別に、HO(340mL)、続いて37%HCl(160mL、1.92mol)を、元の反応混合物を含有する3Lの3つ口フラスコに投入し、このようにして得たHCl溶液を、氷浴を用いて<5℃まで冷却した。反応混合物を三角フラスコから添加漏斗に移し、次いで内部温度を<20℃に保つような速度で冷却したHCl水溶液に加えた。添加を完了した後、37%HCl(20mL、0.0067mol)をさらに加えて、pH<2に調整した。次いでスラリーを約21時間造粒し、固体をろ過し、HO(500mL)で濯いだ。次いで固体を真空乾燥機中60℃で乾燥して、6−メトキシ−2−メチルベンゾフラン−3−カルボキシレート15(85.8g、94%全収率)を暗褐色固体として得た。
H NMR/15:(300MHz,d−DMSO):12.83(s,広幅,1H);7.74(d,J=8.7Hz,1H);7.19(d,J=2.1Hz,1H);6.93(dd,J=2.3Hz,8.6Hz,1H);3.80(s,3H);2.69(s,3H)
13C NMR/15:(75MHz,d−DMSO):165.40、162.14、157.89、154.34、121.77、119.59、112.64、109.21、96.23、55.95、14.27

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式7の化合物
【化1】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法であって、式4の化合物を式6の化合物で処理して
【化2】

(式中、Xは、任意の適当な脱離基である)、式7の化合物を形成することを含む方法。
【請求項2】
XがClであり、前記反応を90〜110℃の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式4の化合物
【化3】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法であって、式3の化合物を式30の化合物で処理して
【化4】

(式中、XおよびYは、それぞれ独立に任意の適当な脱離基である)、式4の化合物を形成することを含む方法。
【請求項4】
式30の化合物が塩化2−(4−モルホリニル)−エチル塩酸塩である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記反応を第1の塩基の存在下で70〜90℃の温度で実施し、続いて酸を20〜30℃の温度で添加し、続いて第2の塩基を20〜30℃の温度で加える、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
式6の化合物
【化5】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法であって、式5の化合物を
【化6】

適当なカルボン酸活性化剤およびCHNHで処理して、式6の化合物を形成することを含む方法。
【請求項7】
式6の化合物
【化7】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法であって、式18の化合物を
【化8】

脱保護剤およびR捕捉剤で処理して、式6の化合物を形成することを含む
(式中、
は、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、ここで、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)方法。
【請求項8】
が−CHであり、前記反応を55〜75℃の温度で実施し、前記脱保護剤がMSAであり、前記捕捉剤がメチオニンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式18の化合物
【化9】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法であって、式24の化合物を
【化10】

CHNHおよび任意選択により触媒で処理して、式18の化合物を形成することを含む
(式中、
は、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、
は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)方法。
【請求項10】
が−CHであり、RがHであり、前記反応が適当なカルボン酸活性化剤の添加をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
が−CHであり、Rが−CHまたは−CHCHであり、前記触媒がNaCNである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
式24の化合物
【化11】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法であって、式14の化合物を
【化12】

転位脱水を可能にする作用剤および適当な溶媒で処理して、式24の化合物を形成することを含む
(式中、
は、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、
は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)方法。
【請求項13】
式14の化合物
【化13】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法であって、式13の化合物を
【化14】

塩基で処理し、続いてアシル化剤を添加して、式14の化合物を形成することを含む
(式中、
は、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)方法。
【請求項14】
式13の化合物
【化15】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法であって、式20の化合物を
【化16】

適当なカルボン酸活性化剤および適当な塩基で処理して、式13の化合物を形成することを含む
(式中、
は、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、
は、Hまたはカチオン対イオンであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)方法。
【請求項15】
がHであり、適当な求核試薬の添加をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式20の化合物を前記カルボン酸活性化剤、前記塩基、および前記求核試薬で処理するステップを、
(i)前記式20の化合物を前記カルボン酸活性化剤、前記塩基、および前記求核試薬で処理して式19の中間化合物を形成すること
【化17】

(式中、
は、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)、
および(ii)前記式19の中間化合物を塩基で処理して前記式13の化合物を形成することによって実施する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式20の化合物
【化18】

またはその塩もしくは溶媒和物を調製する方法であって、
a)式9の化合物を
【化19】

硫黄供給源およびアミンで処理し、続いて
b)塩基、次いで酸を添加して、式20の化合物を形成するステップを含む
(式中、
は、H、アシル、−SO、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、または(C〜C)アルキニルであり、
は、Hまたはカチオン対イオンであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい)方法。
【請求項18】
式4の化合物
【化20】

(式中、Xは、任意の適当な脱離基である)またはその塩もしくは溶媒和物。
【請求項19】
Xが、ハロゲン、NO、または−OSOであり、ここで、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、または(C〜C14)アリールであり、ここで、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、および(C〜C)アルキニルはそれぞれ少なくとも1個の(C〜C14)アリール基で置換されていてもよい、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Xが、Clである、請求項18に記載の化合物。

【公表番号】特表2009−518382(P2009−518382A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543930(P2008−543930)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003331
【国際公開番号】WO2007/066181
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】