説明

VII因子ポリペプチドの液体組成物

本発明は、液体水性組成物に関する。該組成物は、(i)VII因子ポリペプチド, (ii)約 4.0 〜約 9.0の範囲にpHを維持するために適切な薬剤; (iii)次のリストから選択される薬剤、即ち:カルシウム塩, マグネシウム塩,又はその混合物; ここで(iii)の濃度は 15 mM未満である; 並びに(iv)イオン強度を修飾する薬剤; ここで前記組成物のイオン強度は、少なくとも 200 mMである。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、VII因子ポリペプチドを含有している液体水性組成物(liquid aqueous compositions)に関する、また、係る組成物を作出及び使用する方法に関する。特に、本発明は、化学的および/または物理的な分解に対し安定化された液体組成物に関する。
【発明の背景】
【0002】
血液凝固プロセスに関与する様々な因子が、同定されており、これにはVII因子(FVII)、血漿糖タンパク質(plasma glycoprotein)が含まれる。止血は、血管壁に対する傷害後に循環血液に暴露された組織因子(TF)と、総FVIIタンパク質の質量(mass)の約1%に対応する量で循環中に存在するFVIIaとの間の複合体の形成によって開始される。FVIIは主に単鎖酵素前駆体として血漿中に存在し、これがFxaによって、その2本鎖の活性型のFVIIaに切断される。組換え活性型VIIa因子(rFVIIa)は、前止血性(pro-haemostatic)の薬剤として開発されている。rFVIIaの投与は、迅速で高度に有効な前止血応答(pro-haemostatic response)を、出血を伴う血友病被験者(該被験者は、抗体形成により他の凝固因子製品で治療することができない)に提供する。また、VII因子の欠乏(deficiency)を伴う被験者又は正常な凝固系を有するが、過剰の出血を受けている被験者における出血は、FVIIaでうまく治療することができる。
【0003】
保存(storage)およびデリバリーの双方に適切なVIIa因子の投与形態を有することが望ましい。理想的には、薬物製品(drug product)は、液体として、貯蔵(stored)され、投与される。或いは、薬物製品は、凍結乾燥(即ち、フリーズ‐ドライ)され、次に患者の使用の直前に適切な希釈剤を添加することによって再構成される。理想的には、薬物製品は、長期保存(即ち、6ヶ月以上)で維持するのに十分な安定性を有している。
【0004】
最終的な薬物製品を液体として維持するか又はフリーズドライするかの決定は、通常はそれらの形態におけるタンパク質薬物の安定性に基づく。タンパク質安定性は、とりわけ、イオン強度、pH、温度、凍結/解凍の反復サイクル、および剪断力への暴露などの因子によって影響され得る。活性タンパク質は、変性および凝集を含む物理的な不安定性(可溶性および不溶性の凝集形成の両方)、同様に、化学的な不安定性(例えば、加水分解、脱アミド、および酸化が含まれる)の結果として損失されうる。タンパク質薬剤の安定性の一般的な論説に関しては、例えば、文献〔 Manning, et al., Pharmaceutical Research 6:903-918 (1989).〕を参照されたい。
【0005】
タンパク質の不安定性が出現する可能性は広く認識されているが、特定のタンパク質の特定の問題を予測することは不可能である。これらの不安定性の何れも、タンパク質副産物、または派生物(derivative)の形成を生じえる(これらは低い活性、増加した毒性、および/または増加した免疫原性を有している)。実際、タンパク質沈殿は、血栓症、剤形(dosage form)および量の非均質性、同様にシリンジの目詰まり(clogged syringes)を生じえる。
【0006】
さらにまた、例えば、N末端における特定のグルタミン酸残基のガンマ カルボキシル化および糖側鎖(carbohydrate side chains)の付加などの翻訳後修飾は、保存の際の修飾に感受性である潜在的な部位を提供する。VIIa因子(セリンプロテアーゼである)に関して、自己消化による断片化が生じえる(酵素的分解)。以上のように、タンパク質の任意の組成物の安全性および有効性は、その安定性に直接的に関連する。液体形態で安定性を維持することは、凍結乾燥形態とは一般的に異なっている;というのも、分子運動(molecular motion)の可能性が大きく増大し、それゆえ分子相互作用の可能性が増大するからである。また、濃縮された形態で安定性を維持することも、異なっている;というのも、増加したタンパク質濃度で凝集形成する性向(propensity)があるためである。
【0007】
液体組成物を開発する場合、多くの因子が考慮される。短期(即ち、6ヶ月以下)では、液体の安定性は、一般的に総体的(gross)な構造上の変化(例えば、変性および凝集)を避けることに依存する。これらのプロセスは、いくつかのタンパク質に関して文献に記載されている。また、安定化因子の多くの例が存在する。1つのタンパク質の安定化に効果的な因子が、実際的に別のものを不安定化するよう作用することは周知である。一度、タンパク質が総体的な構造変化に対して安定化されると、液体組成物の長期安定化(例えば、6ヶ月以上)の進展は、前記タンパク質をそのタンパク質に特異的な幾つかのタイプの分解から更に安定化することに依存する。より具体的なタイプの分解には、例えば、ジスルフィド結合スクランブリング(disulfide bond scrambling)、特定の残基の酸化、脱アミド、環化が含まれ得る。個々の分解種(degradation species)を正確に狙うことはかならずしも可能ではないが、所望のタンパク質をユニークに安定化する特定の賦形剤の能力をモニターするために、微細な変化をモニターするアッセイが開発される。
【0008】
安定性の考慮に加えて、種々の世界的な医学管理機関により承認された賦形剤が一般的に選択される。前記組成物のpHは注射/輸液の際に生理学的に適切な範囲内であることが望ましく、そうでなければ患者に痛み及び不快感を与えるだろう。
【0009】
タンパク質組成物の一般的な論説に関しては、例えば、文献〔 Cleland et al.: The development of stable protein compositions: A closer look at protein aggregation, deamidation and oxidation, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 1993, 10(4): 307-377; およびWang et al., Parenteral compositions of proteins and peptides: Stability and stabilizers, Journal of Parenteral Science and Technology 1988 (Supplement), 42 (2S).〕を参照されたい。
【0010】
タンパク質の安定化に関する、他の関連する文献は、以下のものである。
U.S.20010031721 A1(American Home Products)は、高度に濃縮された、凍結乾燥された、液体のIX因子組成物に関する。
【0011】
U.S.5,770,700 (Genetics Institute)は、液体のIX因子組成物に関する。
WO 97/19687(American Red Cross)は、血漿タンパク質(特に、VIII因子およびIX因子)の液体組成物に関する。
【0012】
U.S.4,297,344は、II及びVIII凝固因子、抗トロンビンIII、及びプラスミノーゲンの、選択されたアミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、ヒドロキシプロリン、グルタミン、及びアミノ酪酸、及び炭水化物、例えば、単糖、オリゴ糖、又は糖アルコールを添加することによる、熱に対する安定性を開示している。
【0013】
VIIa因子は、幾つかの分解経路を、特に凝集(二量体化)、酸化、および自己切断(ペプチドバックボーンのクリッピング)を経験する。さらにまた、沈殿が発生し得る。多くのこれらの反応は、前記タンパク質から水を除去することにより有意に遅延させることができる。しかしながら、VIIa因子に関する水性組成物の開発は、再構成のエラーを排除する利点を有しており、これによって投薬(dosing)の正確性を増大させ、同様に製品の臨床上の使用を単純化し、これによって患者のコンプライアンスを増大させる。理想的には、VIIa因子の組成物は、広い範囲のタンパク質濃度で、6ヶ月以上安定であるべきである。これによって、投与方法の融通性(flexibility)が認容される。一般に、より高度に濃縮化された形態によって、患者の観点から高度に望まれる、低容量の投与が認容される。液体組成物は、投与および使用の簡便性に関して、フリーズドライ製品に対して多くの利点を有しえる。
【0014】
今日、唯一の市販されている、組換え技術により作出されたFVIIポリペプチド組成物は、フリーズドライされたFVIIa因子製品(これは、使用前に再構成される)であり;これは、比較的低いVIIa因子濃度(例えば、約 0.6 mg/ml)を含有する。バイアル(1.2 mg)のNovoSeven(登録商標)(Novo Nordisk A/S, デンマーク)は、1.2 mgの組換え型のヒトVIIa因子、5.84 mg NaCl、2.94 mg CaCl2、2 H2O、2.64 mg GlyGly、0.14 mg ポリソルベート80、および 60.0 mg マンニトールを含有し;これは注射に関して、2.0 mlの水でpH 5.5に再構成される(WFI)。再構成された場合、前記タンパク質溶液は、使用に関して、24時間安定である。以上のように、使用できる状態の液体の又は濃縮されたVII因子製品は、現時点では市販されていない。
【0015】
従って、当該技術において、ヒトVIIa因子を含むVII因子ポリペプチドの安定性(化学的および/または物理的な安定性)を改善する、濃度を増加させる、活性レベルを維持する、および保存に適切な液体組成物を提供する方法に関する必要性が存在する。以上のように、本発明の課題は、化学的および/または物理的な分解産物(例えば、酵素的分解または自己触媒産物)の認容可能なコントロールを提供する、水性のVII因子ポリペプチド組成物を提供することである。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、今回次の事項を見出した;その事項とは、VII因子又はそのアナログ(i)(「VII因子ポリペプチド」)が、水溶液中に少なくとも200 mMのイオン強度で処方(formulated)された場合に、約 4 〜約 9のpH範囲において安定であることである。
【0017】
従って、1つの側面において、本発明は、液体水性組成物を提供する;該液体水性組成物は以下の(i)〜(iv)を含む、VII因子ポリペプチド(i);約 4.0 〜約 9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);カルシウム塩、マグネシウム塩、又はその混合物のリストから選択される薬剤(iii)〔ここで(iii)の濃度は 15 mM未満である〕、並びにイオン強度を修飾する薬剤(iv)〔ここで前記組成物のイオン強度は、少なくとも約 200 mMである〕。
【0018】
第二の側面において、本発明は、VII因子ポリペプチドの液体水性組成物を調製するための方法を提供する;該方法はVII因子ポリペプチドを、約 4.0 〜約 9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);カルシウム塩、マグネシウム塩、又はその混合物のリストから選択される薬剤(iii)〔ここで(iii)の濃度は 15 mM未満である〕、並びにイオン強度を修飾する薬剤(iv)を含む溶液に供給する工程を備え;それを確実にする間(while ensuring that)、最終組成物において、前記組成物のイオン強度は少なくとも約200 mMである。
【0019】
また、第三の側面において、本発明は、上記で既定した組成物の使用に関する(医薬としての使用に関する)。
【0020】
また、第四の側面において、本発明は、上記で既定した組成物の、VII因子応答性症候群(responsive syndrome)を治療する医薬を製造するための使用に関する。
【0021】
第五の側面において、本発明は、VII因子応答性症候群を治療する方法に関し、該方法は、必要とする被験者に、出血(bleeding)の減少および/または血液凝固の増加を生じる条件下で、効果的な量の上記で既定した液体水性組成物を投与することを備える。
【0022】
第六の側面において、本発明は、液体製剤(a liquid formulation)中のVII因子の分解を減少させる方法に関し;該方法はVII因子ポリペプチドを、約 4.0 〜約 9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);カルシウム塩、マグネシウム塩、又はその混合物のリストから選択される薬剤(iii)〔ここで(iii)の濃度は 15 mM未満である〕、並びにイオン強度を修飾する薬剤(iv)を含む溶液に供給する工程を備え;それを確実にする間、最終組成物における、イオン強度は少なくとも約200 mMである。
【0023】
第六の側面において、本発明は、気密で、少なくとも部分的に充填されたコンテナに関する;該コンテナは、上記で規定した、液体で水性の薬学的製剤、および自由選択で不活性ガスを含有しており、該コンテナは、(i)壁部(a wall portion)および(ii)前記壁部の構成部分ではない1以上の閉鎖手段(closure means)を具備する。
【発明の詳細な記述】
【0024】
上記のように、本発明は、VII因子ポリペプチドを含んでいる、新規の安定化された液体で水性の薬学的組成物の開発に関する。より具体的には、液体で水性の薬学的組成物は次の要素を含む、VII因子ポリペプチド(i);約 4.0 〜約 9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);カルシウム塩、マグネシウム塩、又はその混合物のリストから選択される薬剤(iii)〔ここで(iii)の濃度は 15 mM未満である〕、並びにイオン強度を修飾する薬剤(iv)〔ここで前記組成物のイオン強度は、少なくとも約 200 mMである〕。
【0025】
本発明による組成物は、VII因子ポリペプチドの、安定で、好ましくは直ぐに使用される(ready-to-use)組成物として有用である。さらにまた、次の事項が信じられている;その事項とは、本明細書中に記載される原理、ガイドライン、および特定の態様が、必要な変更を加えて、VII因子ポリペプチドのバルク貯蔵に等しく適用可能であることである。前記組成物は、少なくとも6ヶ月、好ましくは36ヶ月まで安定である(2゜ 〜 8゜ Cの温度範囲で貯蔵された場合)。前記組成物は、2゜ 〜 8゜Cで少なくとも6 ヶ月貯蔵された場合、化学的および/または物理的に安定(特に化学的に安定)である。
【0026】
「貯蔵安定(storage-stable)」又は互換可能な「安定(stable)」の用語は、次の製品を包含する;その製品とは、貯蔵の際に2゜C 〜 8゜Cの間の温度で安定化され、適切な期間(しばしば数ヶ月)の間に前もって選ばれた製品仕様書(pre-selected product specifications)ないにとどまる製品である。
【0027】
「安定(stable)」の用語は、次の組成物を包含することを意図している;その組成物とは、2 〜 8゜Cで6 ヶ月貯蔵後、その初期の、1段階血餅アッセイ(one-stage clot assay)で測定される生物活性の少なくとも 50%を保持する組成物である(例えば、基本的には、本明細書のアッセイ4に記載される)。好ましくは、前記安定な組成物は、2 〜 8゜Cで6 ヶ月保存後、その初期活性の少なくとも 70%、例えば、75%又は80%を保持する。
【0028】
さらにまた、「安定」の用語は、次の組成物を包含する;その組成物とは、2 〜 8゜Cで少なくとも6 ヶ月保存後、次の分解産物:(i)酵素的分解産物、(ii)凝集物(ダイマー、オリゴマー、ポリマー)、(iii)酸化型、又は(iv)脱アミド型の少なくとも1つを、類似する条件下で類似する期間貯蔵されている、再構成されたNovoSeven(登録商標)製品の溶液中に含有される対応する分解産物の量と比較して、少量(in %)含有するものである。
【0029】
VII因子ポリペプチドの「物理的な安定性」の用語は、VII因子ポリペプチドのダイマー、オリゴマー、およびポリマーの形態で、同様に任意の前記分子の構造的な変形(deformation)および変性(denaturation)の形態での、不溶性および/または可溶性の凝集物の形成に関連する。
【0030】
「化学的な安定性」の用語は、促進的な条件(accelerated conditions)で溶液に保存した際の、VII因子ポリペプチドにおける任意の化学的な変化の形成に関連することを意図する。例は、加水分解、脱アミド、および酸化、同様に、VII因子ポリペプチドの断片の形成を生じる酵素的分解(例えば、重鎖分解)である。特に、イオウ含有アミノ酸は、対応するスルホキシド(sulphoxides)の形成で酸化される傾向がある。
【0031】
本発明の重要な態様において、適切な組成物は、少なくとも6ヶ月間の2 〜 8゜Cでの貯蔵に際して、酵素的分解型の含有量の限定的な増加を有している。重要な態様は、安定な組成物に関し;該組成物は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約 25% w/w(例えば、 20%, 15%, 10%)以下または約 5%以下が、酵素的分解型の重鎖断片へと、前記組成物の2〜8゜Cで6 ヶ月間の保存に際して、転換される。
【0032】
「初期含有量(initial content)」の用語は、組成物に、前記組成物の調製に際して添加されるVII因子ポリペプチドの量に関する。
【0033】
前記組成物は、VII因子ポリペプチド(i)、カルシウムおよび/またはマグネシウムイオン(iii)、緩衝剤(II)、イオン強度を修飾する薬剤(iv)、および自由選択で、さらにVII因子ポリペプチドを安定化する、他の賦形剤〔洗剤および緊張性修飾剤が含まれる〕を含む。VII因子ポリペプチド濃度は、約 0.1 〜約 15 mg/mLの範囲である。
【0034】
VII因子ポリペプチド(i):
「ヒトVII因子」又は「FVII」の用語は、天然の供給源の抽出および精製を含む方法により及び組換え型の細胞培養システムにより、産生されるヒトVII因子を意味する。その配列および特性は、例えば、米国特許第4,784,950号に記載されている。前記用語は、同様に、生物学的に活性なヒトVII因子均等物(例えば、全体の配列において、1以上のアミノ酸が異なっている)をカバーする。さらにまた、本出願に使用される前記用語は、VII因子の置換、欠失、および付加のアミノ酸バリアントまたは翻訳後修飾をカバーすることを意図している。本明細書において使用される、「VII因子ポリペプチド(Factor VII polypeptide)」は、VII因子、並びにVII因子関連ポリペプチドを含むが、限定されない。VII因子関連ポリペプチドは、ヒトVII因子と比較して化学的に修飾されたか、および/またはヒトVII因子と比較して1つまたは複数のアミノ酸配列の変化を含む(すなわちVII因子バリアント)か、および/またはヒトVII因子と比較して短縮された(truncated)アミノ酸配列を含む(すなわちVII因子断片)、いずれかのVII因子ポリペプチドを含むが、これらに限定されない。このようなVII因子関連ポリペプチドは、ヒトVII因子と比較して、安定性、リン脂質結合、変更された比活性などを含む異なる特性を示してもよい。
【0035】
「VII因子」の用語は、VII因子ポリペプチドの未切断(酵素前駆体)の形態、並びにタンパク質分解性にプロセスされてこれらのそれぞれの生理活性の形態に産生された、VIIa因子と称されるものを含むことが意図される。典型的には、VII因子は、残基152および153の間で切断されてVIIa因子を産生する。また、「VII因子」の用語は、野生型ヒトVII因子の、同様に他の種(例えば、ウシ、ブタ、イヌ、マウス、およびサケのVII因子など)に由来する野生型VII因子のアミノ酸配列1〜406を有するポリペプチドを含むことが意図されるが、限定されない(米国特許第4,784,950号に開示したように)。これには、1つの個体から別の個体へと存続し且つ出現するであろう、VII因子の天然の対立形質のバリエーションをさらに含む。また、糖鎖形成または他のポスト翻訳修飾の程度および位置は、選ばれた宿主細胞および宿主細胞の環境の性質に依存して異なってもよい。
【0036】
本明細書中に使用される、「VII因子関連ポリペプチド(Factor VII-related polypeptides)」は、野生型のヒトVII因子と比較して、実質的に同等または改善された生物活性を示すポリペプチドを包含するが、限定されない。これらのポリペプチドは、化学的に修飾されたVII因子またはVIIa因子および特定のアミノ酸配列の変化が導入されて前記ポリペプチドの生理活性が修飾又は混乱(disrupt)したVII因子バリアントを含むが、これらに限定されない。
【0037】
更に、わずかに修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、たとえばN末端アミノ酸の欠失もしくは付加を含む修飾されたN末端を有するポリペプチド、および/またはヒトVIIa因子と比較して化学的に修飾されたポリペプチドを含む。
【0038】
実質的に野生型VII因子と同等もしくは優れた生理活性を示す、VII因子のバリアントを含むVII因子関連ポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸の挿入、欠失、または置換によって野生型VII因子の配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むが、これらに限定されない。
【0039】
野生型VIIa因子と比較して実質的に同等または改善された生物活性を有する、VII因子関連ポリペプチド(バリアントを含む)は、本明細書中に記載の通りに凝固アッセイ法、タンパク質分解アッセイ法、またはTF結合アッセイの1つまたは複数において試験したときに、同じ細胞タイプにおいて産生されている野生型VIIa因子の比活性(specific activity)の、少なくとも約25%、例えば、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、または少なくとも約130%を示すものを包含する。
【0040】
一部の態様において、VII因子ポリペプチドは、VII因子関連ポリペプチド、特にバリアントであって、ここで「インビトロ加水分解アッセイ法」(下記の「アッセイ法」を参照されたい)で試験したときに、前記VII因子ポリペプチドの活性と天然(native)のヒトVIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比は少なくとも約1.25であり;その他の態様において、比は少なくとも約2.0であり;さらなる態様において、比は少なくとも約4.0である。本発明の一部の態様において、VII因子ポリペプチドは、VII因子均等物、特にバリアントであって、ここで「インビトロタンパク質分解アッセイ法」(下記の「アッセイ法」を参照されたい)で試験したときに、前記VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒトVIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比は、少なくとも約1.25であり;その他の態様において、比は少なくとも約2.0であり;さらなる態様において、比は少なくとも約4.0であり;さらなる態様において、比は少なくとも約8.0である。
【0041】
一部の態様において、VII因子ポリペプチドは、たとえば米国特許第4,784,950号(野生型VII因子)に開示されたとおりのヒトVII因子である。いくつかの態様において、VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子である。一連の態様において、VII因子ポリペプチドは、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約100%、少なくとも約120%、少なくとも約140%、または少なくとも約160%のヒトVIIa因子の比生物活性(specific biological activity)を示すポリペプチドを含む。
【0042】
一部の態様において、VII因子ポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸の挿入、欠失、または置換によって野生型VII因子の配列と異なるアミノ酸配列を有する。
【0043】
一連の態様において、VII因子ポリペプチドは、米国特許第4,784,950号に開示されたとおりの野生型VII因子の配列と少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、および最も好ましくは少なくとも約95%の同一性を示すポリペプチドを含む。アミノ酸配列の相同性(homology)/同一性(identity)は、配列アライメントのための適切なコンピュータープログラム〔例えば、ClustalWプログラム、バージョン1.8, 1999 (Thompson et al., 1994, Nucleic Acid Research, 22: 4673-4680)〕を用いて、整列させた配列から決定される。
【0044】
野生型のVII因子と実質的に同等または改善された生物活性を有しているVII因子バリアントの非限定的な例には、次のものが含まれる、即ち、 S52A-FVII, S60A-FVII (Lino et al., Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998); L305V-FVII, L305V/M306D/D309S-FVII, L305I-FVII, L305T-FVII, F374P-FVII, V158T/M298Q-FVII, V158D/E296V/M298Q-FVII, K337A-FVII, M298Q-FVII, V158D/M298Q-FVII, L305V/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII, V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII, K157A-FVII, E296V-FVII, E296V/M298Q-FVII, V158D/E296V-FVII, V158D/M298K-FVII,及びS336G-FVII; 米国特許第5,580,560号に開示された増大したタンパク分解性の安定性を呈しているFVIIaバリアント;残基290及び291の間又は残基315及び316の間がタンパク分解性に切断されているVIIa因子 (Mollerup et al., Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995); VIIa因子の酸化型 (Kornfelt et al., Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999); PCT/DK02/00189に開示されたFVII バリアント;WO 02/38162 (Scripps 研究所)に開示された増大したタンパク分解性の安定性を呈しているFVIIバリアント;WO 99/20767(ミネソタ大学)に開示された、修飾されたGla-ドメインを有し、増大した膜結合を呈しているFVIIバリアント;WO 01/58935 (Maxygen ApS)に開示された、FVIIバリアント;WO 01/83725, WO 02/22776, WO 02/077218, PCT/DK02/00635, デンマーク国 特許出願 PA 2002 01423, デンマーク国 特許出願 PA 2001 01627; WO 02/38162 (Scripps 研究所)に開示された、野生型のFVIIaと比較して、増大した生物活性を有しているFVIIバリアント;及びJP 2001061479 (Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)に開示された、増強された活性を有するFVIIaバリアントである。
【0045】
VII因子又はVII因子関連ポリペプチドの限定されない例には、次のものが含まれる、即ち、野生型VII因子, L305V-FVII, L305V/M306D/D309S-FVII, L305I-FVII, L305T-FVII, F374P-FVII, V158T/M298Q-FVII, V158D/E296V/M298Q-FVII, K337A-FVII, M298Q-FVII, V158D/M298Q-FVII, L305V/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII, V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII, K157A-FVII, E296V-FVII, E296V/M298Q-FVII, V158D/E296V-FVII, V158D/M298K-FVII, および
S336G-FVII, L305V/K337A-FVII, L305V/V158D-FVII, L305V/E296V-FVII, L305V/M298Q-FVII, L305V/V158T-FVII, L305V/K337A/V158T-FVII, L305V/K337A/M298Q-FVII, L305V/K337A/E296V-FVII, L305V/K337A/V158D-FVII, L305V/V158D/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V-FVII, L305V/V158T/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V-FVII, L305V/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/K316H-FVII, S314E/K316Q-FVII, S314E/L305V-FVII, S314E/K337A-FVII, S314E/V158D-FVII, S314E/E296V-FVII, S314E/M298Q-FVII, S314E/V158T-FVII, K316H/L305V-FVII, K316H/K337A-FVII, K316H/V158D-FVII, K316H/E296V-FVII, K316H/M298Q-FVII, K316H/V158T-FVII, K316Q/L305V-FVII, K316Q/K337A-FVII, K316Q/V158D-FVII, K316Q/E296V-FVII, K316Q/M298Q-FVII, K316Q/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D-FVII, S314E/L305V/E296V-FVII, S314E/L305V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/K337A/E296V-FVII, S314E/L305V/K337A/V158D-FVII, S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V-FVII, S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V-FVII, S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D-FVII, K316H/L305V/E296V-FVII, K316H/L305V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/K337A/E296V-FVII, K316H/L305V/K337A/V158D-FVII, K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V-FVII, K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V-FVII, K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/K337A -FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D-FVII, K316Q/L305V/E296V-FVII, K316Q/L305V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/K337A/E296V-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158D-FVII, K316Q/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V-FVII, K316Q/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V-FVII, K316Q/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A -FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/K337A-FVII, F374Y/V158D-FVII, F374Y/E296V-FVII, F374Y/M298Q-FVII, F374Y/V158T-FVII, F374Y/S314E-FVII, F374Y/L305V-FVII, F374Y/L305V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D-FVII, F374Y/L305V/E296V-FVII, F374Y/L305V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T-FVII, F374Y/L305V/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E-FVII, F374Y/K337A/V158T-FVII, F374Y/K337A/M298Q-FVII, F374Y/K337A/E296V-FVII, F374Y/K337A/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q-FVII, F374Y/V158D/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q-FVII, F374Y/V158T/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E-FVII, F374Y/S314E/M298Q-FVII, F374Y/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII, F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII, F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII, F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII, F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII, F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII, F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII, F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII, F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A -FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII,
S52A-VII因子, S60A-VII因子; および P11Q/K33E-FVII, T106N-FVII, K143N/N145T-FVII, V253N-FVII, R290N/A292T-FVII, G291N-FVII, R315N/V317T-FVII, K143N/N145T/R315N/V317T-FVII; アミノ酸配列の233Thr 〜 240Asnに置換、付加、又は欠失を有しているFVII, アミノ酸配列の304Arg 〜 329Cysに置換、付加、又は欠失を有しているFVII, およびアミノ酸配列のIle153〜Arg223に置換、欠失、又は付加を有しているFVIIである。
【0046】
異なる態様において、VII因子ポリペプチドは、ヒト VIIa因子; 組換え型のヒト VIIa因子; VII因子関連ポリペプチド; VII因子配列バリアント(factor VII sequence variant);又はVII因子ポリペプチドであり、ここで、VII因子ポリペプチドの活性および天然のヒトVIIa因子(野生型のFVIIa)の活性は、本明細書に記載される「インビトロタンパク質分解アッセイ」において試験されたときに、少なくとも約 1.25、好ましくは少なくとも約 2.0、又は4.0、最も好ましくは少なくとも約 8.0である。一態様において、VII因子ポリペプチドは、野生型のヒトVII因子とは異なるグリコシル化を有する。異なる態様において、VII因子ポリペプチドは、約 0.1 mg/ml 〜約 15 mg/ml; 約 0.5 mg/ml 〜約 10.0 mg/ml; 約 0.5 mg/ml 〜約 5.0 mg/ml; 約 0.6 mg/ml 〜約 4.0 mg/ml; 約 1.0 mg/ml 〜約 4.0 mg/ml; 約 0.1 mg/ml 〜約 5 mg/ml; 約 0.1 mg/ml 〜約 4.0 mg/ml; 約 0.1 mg/ml 〜約 2 mg/ml;又は約 0.1 mg/ml 〜約 1.5 mg/mlの濃度で存在する。
【0047】
緩衝剤(ii):
哺乳類(例えば、ヒト)への直接的な非経口投与に有用な、液体で水性の薬学的組成物を溶解(render)させるために、前記組成物のpH値は特定の限度内(例えば、約 4.0 〜約 9.0)に維持されることが通常必要である。所定の条件下で適切なpH値を保証するために、前記薬学的組成物は、約 4.0 〜約 9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤 (ii)も具備する。
【0048】
「緩衝剤(buffering agent)」の用語は、溶液pHを、約 4.0 〜約 9.0の認容される範囲に維持する、薬剤および薬剤の組合せを包含する。これらには、次のものの酸および塩が含まれるが、これらに限定されない、そのものとは:MES, PIPES, ACES, BES, TES, HEPES, TRIS, ヒスチジン(例えば、L-ヒスチジン), イミダゾール, グリシン, グリシルグリシン, グリシンアミド, リン酸(例えば、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム), 酢酸(例えば、酢酸アンモニウム, 酢酸ナトリウム又は酢酸カルシウム), 乳酸, グルタル酸, クエン酸(例えば、クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウム), 酒石酸, リンゴ酸, マレイン酸, およびコハク酸である。前記緩衝剤は、2以上の成分の混合物を具備してもよい(ここで、前記混合物は、特定範囲のpH値を提供することができる)ことが理解されるべきである。例として、酢酸および酢酸ナトリウム、又は酢酸およびヒスチジン、などを言及し得る。
【0049】
一態様において、緩衝剤(ii)は、MES, PIPES, ACES, BES, TES, HEPES, TRIS, ヒスチジン(例えば、L-ヒスチジン), イミダゾール, グリシン, グリシルグリシン, グリシンアミド, リン酸(例えば、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム), 酢酸(例えば、酢酸アンモニウム, 酢酸ナトリウム又は酢酸カルシウム), 乳酸, グルタル酸, クエン酸(例えば、クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウム), 酒石酸, リンゴ酸, マレイン酸, およびコハク酸の酸または塩からなる群から選択される、少なくとも1つの成分である。
【0050】
本発明の特定の態様において、前記薬学的組成物は、非常に少量のカルシウムを具備し;それゆえ、リン酸カルシウムの望ましくない沈殿なしに、リン酸に基づく緩衝系(即ち、リン酸緩衝液)を利用することが可能である。従って、1つの重要な態様において、前記緩衝剤は、リン酸緩衝液である。
【0051】
緩衝剤の濃度は、溶液の好適なpHを維持するように選択される。多様な態様において、緩衝剤の濃度は、1〜100 mM; 1〜50 mM; 1〜25 mM;又は2〜20 mMである。
【0052】
一態様において、組成物のpHは、約 4.0 〜約 9.0に、例えば、約 4.0 〜約 8.0, 約 4.0 〜約 7.5, 約 4.0 〜約 7.0; 約 4.5 〜約 7.5; 約 4.5 〜約 7.0; 約 5.0 〜約 7.5; 約 5.0 および 約 7.0; 約 5.0 〜約 6.5; 約 5.0 〜約 6.0; 約 5.5 〜約 7.5; 約 5.5 〜約 7.0; 約 5.5 〜約 6.5; 約 6.0 〜約 7.5; 約 6.5 〜約 7.5;又は約 6.0 〜約 7.0; 約 6.4 〜約 6.6,又は約 6.5, 約 5.2 〜約 5.7,又は約 5.5に維持される。
【0053】
本明細書中に使用される、「約(about)」と特定されるpH値は、± 0.1(例えば、約 pH 8.0 には pH 8.0 ± 0.1が含まれる)であると理解される。
【0054】
カルシウムおよび/またはマグネシウムを含んでいる薬剤(iii):
液体で、安定な薬学的組成物は、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はその混合物のリストから選択される、薬剤 (iii)を具備する。薬剤 (iii)の濃度は、15mM未満である。多様な態様において、薬剤 (iii)は、少なくとも約 0.1 μM;少なくとも約 0.5 μM;少なくとも約 1 μM;少なくとも約 5 μM;少なくとも約 10 μM;少なくとも約 50 μM;少なくとも約 100 μM;少なくとも約 1 mM;少なくとも約 2 mM;少なくとも約 5 mM;少なくとも約 10mMの濃度で存在する。
【0055】
多様な態様において、非複合型の(non-complexed)カルシウムおよび/またはマグネシウムイオン(Ca2+/Mg2+)およびFVIIポリペプチドの間のモル比は: 0.001〜750; 0.001〜250; 0.001〜100; 0.001〜10; 0.001〜1.0; 0.001〜0.5; 0.5〜750; 0.5〜250; 0.5〜100; 0.5〜10; 0.5〜1.0; 0.001〜0.4999; 0.005〜0.050である。
【0056】
「非複合型のカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの濃度(the concentration of non-complexed calcium and/or magnesium ions)」の用語は、カルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの総濃度(total concentration)とカルシウム/マグネシウム キレーターに結合したカルシウムおよび/またはマグネシウムの濃度との間の差を意味することを意図している。この関連で、VII因子ポリペプチドは「カルシウム/マグネシウム キレーター」と認められないが、カルシウムおよび/またはマグネシウムは、特定の条件下でVII因子ポリペプチドと、結合する、又は、と会合する(become associated with)ことが期待される。
【0057】
本発明の一態様において、非複合型のカルシウムおよび/またはマグネシウムイオン(Ca2+/Mg2+)の、VII因子ポリペプチドに対するモル比は、0.5より低く、例えば、0.001〜0.499の範囲、例えば、0.005〜0.050、又は0.000〜0.499の範囲、例えば、0.000〜0.050の範囲、又は約0.000である。本発明の一態様において、非複合型のカルシウム(Ca2+)の、VII因子ポリペプチドに対するモル比は、0.5より低く、例えば、0.001〜0.499の範囲、例えば、0.005〜0.050、又は0.000〜0.499の範囲、例えば、0.000〜0.050の範囲、又は約0.000である。
【0058】
別の態様において、非複合型のカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの、VII因子ポリペプチドに対するモル比は、0.5を超える。別の態様において、非複合型のカルシウムイオンの、VII因子ポリペプチドに対するモル比は、0.5を超える。
【0059】
カルシウムおよび/またはマグネシウムイオン(Ca2+)とVII因子ポリペプチドとの間で低い相対比を得るために、過剰なカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンを除去することが必要又は望ましいであろう;これは例えば、前記組成物をイオン交換物質とCa2+および/またはMg2+を除去するために適切な条件下で接触させること、又は過剰なカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンを結合(複合)させるためにカルシウム/マグネシウム キレーターを添加することによりなされる。この事項は次の場合に特に関連する;その場合とは、製剤工程(formulation step)の前の加工工程(process step)からの溶液において、カルシウムおよび/またはマグネシウムイオンとVII因子ポリペプチドとの間の比が、上記の限度を超える場合である。「カルシウム/マグネシウム キレーター」の例には、EDTA, クエン酸, NTA, DTPA, 酒石酸, 乳酸, リンゴ酸, コハク酸, HIMDA, ADAおよび類似化合物が含まれる。
【0060】
一態様において、カルシウム塩は次のリストから選択される;そのリストとは、即ち:塩化カルシウム, 酢酸カルシウム, グルコン酸カルシウム, カルシウム ラエブレート(calcium laevulate),又はその混合物である。
【0061】
一態様において、マグネシウム塩は次のリストから選択される、そのリストとは、即ち:塩化マグネシウム, 酢酸マグネシウム, 硫酸マグネシウム, グルコン酸マグネシウム, マグネシウム ラエブレート(magnesium laevulate), 強酸のマグネシウム塩,又はその混合物である。
【0062】
好適な態様において、薬剤(iii)は、Ca2+を含む。
【0063】
好適な態様において、薬剤(iii)は、次のリストから選択される、そのリストとは、即ち:塩化カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム又はその混合物であり;また、イオン強度を修飾する薬剤(iv)は、塩化ナトリウムまたは塩化ナトリウムと少なくとも1つの付加的なイオン強度を修飾する薬剤との混合物である。
【0064】
イオン強度を修飾する薬剤(iv):
本明細書中に使用される、「イオン強度を修飾する薬剤(ionic strength modifying agent)」の用語は、溶液のイオン強度に寄与する薬剤を含む。前記薬剤には、中性塩、例えば、塩化ナトリウム又は塩化カリウム;アミノ酸;小ペプチド(例えば、2 〜 5 アミノ酸残基、例えば、グリシルグリシンなど),又は少なくとも2つの前記修飾する薬剤の混合物が含まれるが、これらに限定されない。また、「イオン強度を修飾する薬剤」は、組み合わせて、イオン強度を本発明において規定されるレベルに修飾することができる、2以上の薬剤の混合物であってもよい。好適な薬剤は、塩化ナトリウム又は塩化ナトリウムと1以上の小ペプチド又はアミノ酸との混合物である。イオン強度を修飾する薬剤は、少なくとも 200 mM (薬剤のミリモル濃度の基礎に基づいて計算された)の、溶液のイオン強度を上昇させるために十分な濃度で存在する。イオン強度を修飾する薬剤は、例えば、限定されることなく、少なくとも約 5 mM, 10 mM, 20 mM, 50 mM, 100 mM, 200 mM, 400 mM, 800 mM, 1000 mM, 1200 mM, 1500 mM, 1800 mM, 2000 mM,又は少なくとも 2200 mMの濃度で各々存在していてもよい。
【0065】
「イオン強度(ionic strength)」の用語は、溶液剤のイオン強度(μ)であり、これは次の式で既定される、その式とは、即ち:μ= 1/2 Σ Ci (Zi2) であり、式中のμはイオン強度であり、Ciはイオンのモル濃度であり、Zi はそのイオンの電荷(+又は-)である(例えば, Solomon, Journal of Chemical Education, 78(12):1691-92, 2001; James Fritz and George Schenk: Quantitative Analytical Chemistry, 1979を参照されたい)。
【0066】
本発明の多様な態様において、前記組成物のイオン強度は、少なくとも200 mM,例えば、少なくとも250 mM,少なくとも300 mM,少なくとも400 mM,少なくとも500 mM,少なくとも650 mM,少なくとも800 mM,少なくとも1000 mM,少なくとも1200 mM,少なくとも1600 mM,少なくとも2000 mM,少なくとも2400 mM,少なくとも2800 mM,又は少なくとも 3200 mMである〔イオン強度の計算は成分のミリモル(mM)濃度に基づく〕。
【0067】
異なる態様において、イオン強度を修飾する薬剤(iv)は、次のリストから選択される、そのリストとは:中性塩、例えば、塩化ナトリウム;アミノ酸;又は小ペプチド,又は少なくとも2つの前記修飾する薬剤の混合物である。一態様において、イオン強度を修飾する薬剤は、塩化ナトリウムを含む。別の態様において、イオン強度を修飾する薬剤は、塩化ナトリウムである。
【0068】
「中性塩(neutral salt)」は、水溶液に溶解させた場合、酸でも塩基でもない塩を意味する。例には、塩化ナトリウム又は塩化カリウムが含まれる。
【0069】
重要な態様において、前記薬学的組成物は、当該技術分野において既知の方法による皮下、筋肉内、又は静脈内注射に適用される。可能な高濃度(possibly high concentration)の塩は、特定のグループの患者に不利であろう。また、本発明は、液体で水性の薬学的組成物における塩濃度を低下させるための、使用前(prior-to-use)の方法を提供し、該方法は、本明細書中で規定される、前記液体で水性の薬学的組成物をイオン交換物質、脱塩に適切な物質と接触させる工程、および/または前記組成物を希釈する工程を備える。
【0070】
イオン交換物質は、好ましくは、無菌のコンテナー(例えば、ガラス又はプラスチックカートリッジに)に含有させられる。
【0071】
液体で水性の薬学的組成物を、イオン交換物質と接触させることが考えられる、これは例えば、イオン交換物質を含有しているカートリッジに、使用直前に通過させることによってなされる。特定の態様において、前記カートリッジが、シリンジ組立品(syringe assembly)の一体部分(integral part)であることが考えられる。
【0072】
他の構成成分:
緊張性修飾剤:
本明細書中に使用される、「緊張性修飾剤(tonicity modifier)」の用語は、重量モル浸透圧濃度(osmolality)に寄与する薬剤を含む。緊張性修飾剤には、アミノ酸;小ペプチド(例えば、2 〜 5 アミノ酸残基を有している);中性塩;モノ―またはジサッカライド;ポリサッカライド;糖アルコール、又は少なくとも2つの前記修飾剤の混合物が含まれるが、これらに限定されない。緊張性修飾剤の例には、塩化ナトリウム, 塩化カリウム, クエン酸ナトリウム, スクロース, グルコース, グリシルグリシン, トレハロース, およびマンニトールが含まれるが、これらに限定されない。通常は、前記修飾剤は、存在する他の構成成分に依存して、約 1 〜約 500 mM; 約 1 〜約 300 mM; 約 10 〜約 200 mM;又は約 20 〜約 150 mMの濃度で存在する。中性塩(例えば、塩化ナトリウム又は塩化カリウム)を、使用し得る。
【0073】
一態様において、前記薬学的組成物は、緊張性を修飾する薬剤(a tonicity modifying agent)(v)を含む。一態様において、緊張性を修飾する薬剤 (v)は、次のリストから選択される、そのリストとは:中性塩;モノ―、ジ―、またはポリサッカライド;糖アルコール;アミノ酸;又は小ペプチド,又は少なくとも2つの前記修飾する薬剤の混合物である。
【0074】
界面活性剤
また、自由選択で、前記組成物は、界面活性剤又は洗剤 (vi)を含有してもよい。一般的に「界面活性剤(Surfactants)」又は「洗剤(detergents)」は、タンパク質を、空気/溶液界面により誘導されるストレスおよび溶液/表面により誘導されるストレス(例えば、タンパク質凝集を生じる)から防御する薬剤を含む。前記洗剤は、好ましくは、非イオン性の洗剤であり、該洗剤には、ポリソルベート〔例えば、Tween(登録商標)〕、例えば、ポリソルベート20又は80;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、又はポロキサマー(Poloxamer)、例えば、ポロキサマー188又は407、〔例えば、Pluronic(登録商標)ポリオール〕および他のエチレン/ポリプロピレン ブロック(block)ポリマー、又はポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PEG8000が含まれるが、これらに限定されない。存在する界面活性剤の量は、約 0.005 〜約 2.0%の範囲である。
【0075】
様々な態様において、前記非イオン性界面活性剤は、ポリソルベートまたはポロキサマーまたはポリオキシエチレンアルキルエーテル; 好ましくはポロキサマー188又はポロキサマー407,又はポリソルベート20又はポリソルベート80,又はポリオキシ23ラウリルエーテルである。
【0076】
抗酸化剤
また、自由選択で、前記組成物は、抗酸化剤 (vii)を含んでもよい。限定されない抗酸化剤には次のものが含まれる、アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン(cysstathionine)、メチオニン、グルタチオン(gluthatione)、およびシステイン又はメチオニンを含有している他のペプチド、特に、2 〜 5 アミノ酸残基を有しているペプチド、ここで前記残基の少なくとも1つはメチオニンまたはシステイン残基である;メチオニン、特にL-メチオニン、が好適である。前記抗酸化剤は、0.1 〜 5 mg/ml、例えば、 0.1 〜 4, 0.1 〜 3, 0.1 〜 2,又は0.5 〜 2 mg/mlの濃度で含まれる。
【0077】
一態様において、前記抗酸化剤 (vii)は、次のリストから選択される、そのリストとは:L-又はD-メチオニン、メチオニン アナログ、メチオニン含有ペプチド、メチオニン―ホモログ、アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、グルタチオン、シスチン、およびシスタチオニンである。一態様において、前記抗酸化剤は、L-メチオニンである。
【0078】
保存剤(Preservative):
また、保存剤 (viii)を、微生物の成長を遅らせるために前記組成物に含ませてもよく、これによってFVIIポリペプチドの「複数回使用(multiple use)」パッケージングが認容される。保存剤には、フェノール, ベンジルアルコール, orto-クレゾール, メタ-クレゾール, パラ-クレゾール, メチルパラベン(methyl paraben), プロピルパラベン, 塩化ベンザルコニウム(benzalconium chloride),および塩化ベンゼトニウムが含まれる。通常、前記保存剤は、pH範囲および保存剤のタイプにより0.1 〜 20 mg/mlの濃度で含められる。
【0079】
また、自由選択で、前記組成物は、脱アミドおよび/または異性化を阻害する能力を有する薬剤を含んでもよい。
【0080】
本明細書中に使用される、特定された量は、 ± 約 10%、例えば、約 50 mMには50 mM ± 5 mMが含まれる;例えば、4% には 4% ± 0.4%が含まれる、等々であると理解される。
【0081】
溶液に溶解された固体および溶液に混合された液体に言及する場合、パーセンテージは双方(重量/重量)である。例えば、Tweenに関して、100%貯蔵物の重量/溶液の重量である。
【0082】
「等張性(isotonic)」の用語は、「血清と等張」であること、即ち、約 300 ± 50 ミリオスモル/kgを意味する。緊張性(tonicity)は、投与前の溶液の重量モル浸透圧濃度の尺度(a measure)を意図している。「高浸透圧性(hypertonic)」の用語は、血清の生理学的なレベルを超える重量モル浸透圧濃度のレベル、例えば、 300 ± 50 ミリオスモル/kgを超えるレベルを意味することを意図している。
【0083】
一態様において、前記組成物は等張性である;別の態様において、それは高浸透圧性である。一態様において、前記組成物は、薬物投与のために処方される。一態様において、前記組成物は、少なくとも 6 ヶ月間2〜8゜Cでの保存に対して安定である。
【0084】
使用の方法:
本発明の組成物または標品(preparations)を使用することによって、任意のVII因子応答性症候群、例えば、出血障害を治療し得る;これには凝固因子欠乏(例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子XIまたはVIIの欠乏)によって;血小板減少症またはフォンウィルブランド病によって、または凝固因子インヒビター又は任意の原因による過剰な出血によって、生じるものが含まれるが、これらに限定されない。また、前記標品は、手術または他の外傷(trauma)に関連する患者に、または抗凝固療法を受けている患者に投与され得る。
【0085】
「薬学的に効果的な量(pharmaceutically effective amount)」または「効果的な量」の用語は、所望の応答を達成するための投与量(dosages)を滴定(titrate)し得る、資格を有する従業者により決定される効果的な用量である。用量の考慮に関する因子には、強度(potency)、バイオアベイラビリティ、所望の薬物動態学的/薬動力学的(pharmacodynamic)なプロファイル、治療のコンディション、患者に関連する因子(例えば、重量、健康、年齢など)、共投与される医薬の存在(例えば、抗凝固剤)、投与の時間、または医学の従事者に既知の他の因子が含まれる。
【0086】
「治療(treatment)」の用語は、前記疾患、コンディション、または障害に対処する目的で、被験者(例えば、哺乳類、特にヒト)を管理およびケア(care)することと規定される;これには徴候または合併症の発症を阻止(prevent)するためにVII因子ポリペプチドを投与すること、または前記徴候もしくは合併症を緩和すること、または前記疾患、コンディション、もしくは障害を排除することが含まれる。VII因子ポリペプチドを含有している、本発明による薬学的組成物は、係る治療を必要とする被験者に非経口的に投与し得る。非経口投与は、皮下、筋肉内、または静脈内の注射で、注射器(自由選択で、ペン様の注射器)の手段によって実施し得る。或いは、非経口投与は、輸液ポンプの手段で実施することができる。
【0087】
VIIa因子濃度は、mg/Mlとして又はIU/mLとして表され、1 mgは通常43000 〜 56000 IU以上を表す。
【0088】
異なる態様において、前記症候群は、血友病A, 血友病B, XI因子欠乏, VII因子欠乏, 血小板減少症, フォンウィルブランド病, 凝固因子インヒビターの存在, 手術, 大脳内出血, 外傷, 幹細胞移植, 肝疾患, 希釈凝固障害(dilution coagulopathy), 上部胃腸管の出血, および抗凝固療法からなる群から選択される。
【0089】
一般的な方法(General methods)
VII因子ポリペプチドの生物活性を決定することに適切なアッセイ:
【0090】
血液凝固におけるVIIa因子の生物活性は、これが(i)組織因子(TF)に結合する能力、および(ii)IX因子またはX因子のタンパク質分解性の切断を触媒して活性化されたIX因子またはX因子(それぞれIXa因子またはXa因子)を産生する能力に由来する。
【0091】
本発明の目的のために、VII因子ポリペプチドの生物活性(「VII因子生物活性(Factor VII biological activity)」)は、たとえば米国特許第5,997,864号またはWO 92/15686に記載されているとおり、VII因子が欠乏した血漿およびトロンボプラスチンを使用して、標品が血液凝固を促進する能力を測定することによって定量してもよいこのアッセイ法において、生物活性は、コントロールサンプルと比較した凝固時間(clotting time)の減少として表され、1単位/mlのVII因子活性を含むプールされたヒト血清標準と比べることにより「VII因子単位」に換算される。あるいは、VIIa因子生物活性は、
【0092】
・ 脂質膜に包埋されたTFおよびX因子を含む系において、VIIa因子またはVII因子関連ポリペプチドが活性化されたX因子(Xa因子)を産生する能力を測定すること(Persson et al., J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997);
・ 水性系におけるX因子の加水分解を測定すること(「インビトロ・タンパク質分解アッセイ法」、下記を参照されたい);
・ 表面プラスモン共鳴に基づいた機器を使用して、VIIa因子またはVII因子関連ポリペプチドのTFに対する物理的な結合を測定すること(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997);
・ VIIa因子および/またはVII因子関連ポリペプチドによる合成基質の加水分解を測定すること(「インビトロ加水分解アッセイ法」、下記を参照されたい);
・ TF非依存的なインビトロ系におけるトロンビン生成を測定すること、によって定量してもよい。
【0093】
本発明による有用なVII因子ポリペプチドは、単純な予備的なインビトロ試験として実施できる適切なアッセイによって選択し得る。以上のとおり、本明細書は、VII因子ポリペプチドの活性に関する、単純な検査(「インビトロ加水分解アッセイ法」と称される)を開示する。
【0094】
インビトロ加水分解アッセイ法(アッセイ1)
天然(野生型)のVIIa因子およびVII因子ポリペプチド(両者とも、これ以降「VIIa因子」と称する)で、比活性をアッセイしてもよい。また、これらを、並行して、直接これらの比活性を比較するためにアッセイしてもよい。アッセイ法は、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)において行う。終濃度1mMの色素生産性基質D−Ile−Pro−Arg−p−ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix,Sweden)を、VIIa因子(終濃度100nM)の0.1M NaCl、5mM CaCl2、および1mg/mlのウシ血清アルブミンを含む50mMのHepes、pH7.4溶液に添加する。405nmの吸光度を、SpectraMax TM 340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)において連続的に測定する。20分のインキュベーションの間に発生した吸光度を、酵素を含んでいない空のウェルの吸光度を減算した後に、VII因子ポリペプチドおよび野生型VIIa因子の活性の間の比を算出するために使用する:
【0095】
比=(A405nm VII因子ポリペプチド)/(A405nm VIIa因子野生型)。
【0096】
その結果に基づいて、天然のVIIa因子よりも、低いか、匹敵するか、又はそれよりも高い活性を有するVII因子ポリペプチドは、たとえばVII因子ポリペプチドの活性および天然のVII因子(野生型FVII)の活性の間の比が、約、対1.0を超える(versus above 1.0)VII因子ポリペプチドなどとして同定されてもよい。
【0097】
また、前記VII因子ポリペプチドの活性は、X因子などの生理学的な基質を、適切には100〜1000nMの濃度で使用して測定してもよく(「インビトロタンパク質分解アッセイ法」)、この場合、Xa因子の生成は適切な色素生産性基質(例えば、S-2765)を添加した後に測定される。加えて、活性アッセイ法は、生理学的な温度で行ってもよい。
【0098】
インビトロ・タンパク質分解アッセイ(アッセイ2)
天然の(野生型)VIIa因子およびVII因子ポリペプチド(両者とも、これ以降「VIIa因子」と称する)を、並行して、直接これらの比活性を比較するためにアッセイする。アッセイ法は、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)において行う。100microLの50mM Hepes、pH7.4(0.1M NaCl、5mM CaCl2、および1mg/mlのウシ血清アルブミンを含有している)において、VIIa因子(10nM)およびX因子(0.8 microM)を15分間インキュベートする。次いで、0.1M NaCl、20mM EDTA、および1mg/mlのウシ血清アルブミンを含む50mMのHepes、pH7.4を50microL添加することにより、X因子の切断を停止する。生成したXa因子の量は、色素生産性基質Z−D−Arg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(S-2765, Chromogenix, Sweden)(終濃度0.5mM)の添加によって測定する。405nmの吸光度を、SpectraMax TM 340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)において連続的に測定する。10分の間に発生した吸光度を、FVIIaを含んでいない空のウェルの吸光度を減算した後に、VII因子ポリペプチドおよび野生型VIIa因子のタンパク分解活性間の比を算出するために使用する:
【0099】
比=(A405nm VII因子ポリペプチド)/(A405nm VIIa因子野生型)。
【0100】
その結果に基づいて、天然のVIIa因子よりも、低いか、匹敵するか、又はそれよりも高い活性を有するVII因子ポリペプチドは、たとえばVII因子ポリペプチドの活性および天然のVII因子(野生型FVII)の活性の間の比が、約、対1.0を超える(versus above 1.0)VII因子ポリペプチドなどとして同定されてもよい。
【0101】
トロンビンを生成するVIIa因子またはVII因子ポリペプチドの能力は、全ての関連性のある凝固因子およびインヒビターの生理的濃度(血友病Aコンディションを模倣する場合、マイナスVIII因子)および活性化された血小板を含むアッセイ(アッセイ3)において測定できる〔Monroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547のp.543に記載のとおり、これは本明細書中に参照として援用される〕。
【0102】
また、VII因子ポリペプチドの活性は、基本的にWO 92/15686またはUS 5,997,864に記載される、1段階血餅アッセイ(アッセイ4)を用いて測定し得る。簡単に説明すると、試験されるサンプルは50 mM Tris (pH 7.5), 0.1% BSAに希釈され、そして100μlが100μlのVII因子欠乏血漿および200μlのトロンボプラスチンC(10 mM Ca2+を含有する)でインキュベーションされる。凝固時間が、測定され、そして参照標準を用いた標準曲線またはクエン酸添加正常ヒト血漿のプールを段階希釈したものと比較される。
【0103】
VII因子ポリペプチドの調製および精製:
本発明での使用に適したヒト精製VIIa因子は、たとえばHagenら(Hagen et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA 83: 2412-2416, 1986)に記載されているように、または欧州特許番号第200.421号(ZymoGenetics, Inc.)に記載されているように、好ましくはDNA組換技術によって作出される。
【0104】
また、VII因子は、BrozeおよびMajerus(Broze and Majerus, J.Biol.Chem. 255 (4): 1242-1247, 1980 and Hedner and Kisiel, J.Clin.Invest. 71: 1836-1841, 1983)により記載された方法で産生してもよい。これらの方法は、検出可能な量の、その他の血液凝固因子を伴わずにVII因子を産生する。なお、さらに精製されたVII因子標品を、最終的な精製工程として付加的なゲル濾過を含ませることによって得てもよい。次いで、既知の手段(例えば、XIIa因子、IX因子、またはXa因子などの異なるいくつかの血漿タンパク質によって)によって、VII因子は活性化VIIa因子に変換される。或いは、Bjoernら(Research Disclosure, 269 September 1986, pp. 564-565)によって記載されているように、VII因子をMono Q(登録商標)(Pharmacia fine Chemicals)などのイオン交換クロマトグラフィーに通すことにより、又は溶液中での自己活性化により、活性化させてもよい。
【0105】
VII因子関連ポリペプチドは、野生型VII因子の修飾によって、または組換技術によって産生してもよい。野生型VII因子と比較したときにアミノ酸が変更されているVII因子関連ポリペプチドは、天然のVII因子をコードする核酸において、アミノ酸コドンを変更すること又はいくつかのアミノ酸コドンを除去することにより、周知の手段(例えば、部位特異的突然変異)を用いて、野生型VII因子をコードする核酸配列を修飾することによって産生されてもよい。
【0106】
VIIa因子分子の機能に重要な領域の外側に置換を作成し、なおも活性なポリペプチドを生じさせることができることは当業者には明らかであろう。VII因子ポリペプチドの活性に必須であり、従って、好ましくは、置換を受けないアミノ酸残基は、部位特異的突然変異生成またはアラニン スキャニング変異生成(例えば、Cunningham and Wells, 1989, Science 244: 1081-1085を参照されたい)などの当該技術分野において既知の手順に従って同定し得る。後者の技術では、分子において正に荷電したすべての残基に変異が導入され、そして生じる変異体分子を、分子の活性に重要であるアミノ酸残基を同定するために、凝固剤について、架橋性活性をそれぞれ試験する。また、基質−酵素の相互作用部位は、核磁気共鳴解析、結晶学、または光親和性標識化(例えば、 de Vos et al., 1992, Science 255: 306-312; Smith et al., 1992, Journal of Molecular Biology 224: 899-904; Wlodaver et al., 1992, FEBS Letters 309: 59-64を参照されたい)などの技術によって決定される、三次構造解析によって決定することもできる。
【0107】
1つのヌクレオチドをもう一つのヌクレオチドに交換するための、核酸配列への突然変異の導入は、当該技術分野において既知の任意の方法を使用した、部位特異的変異誘発によって達成されてもよい。関心対象のインサートを有するスーパーコイル二重鎖DNAベクターおよび所望の変異を含む2つの合成プライマーを利用する手順が、特に有用である。前記ベクターの反対の鎖に対してそれぞれ相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを、Pfu DNAポリメラーゼによって温度サイクリングの間に伸長する。プライマの取り込みにおいて、ねじれ型のニック(staggered nicks)を含む変異プラスミドが産生される。温度サイクリングの後、産物をメチル化およびヘミメチル化されたDNAに特異的であるDpnlで産物を処理して、親のDNA鋳型を消化し、変異を含有する合成DNAを選択する。遺伝子混合技術またはファージディスプレイ技術などの、変異体を、作成、同定、および単離するための当該技術分野において既知のその他の手順を使用してもよい。
これらの起源の細胞からのポリペプチドの分離は、当該技術分野において既知の任意の方法によって達成されてもよく、付着した細胞培養から所望の産物を含む細胞培養培地を除去すること;非接着細胞を遠心分離または濾過して除去することなどを含むが、これらに限定されない。
【0108】
自由選択で、VII因子ポリペプチドは、さらに精製されてもよい。精製は、例えば、抗VII因子抗体カラム(例えば、Wakabayashi et al., J. Biol. Chem. 261:11097, 1986; and Thim et al., Biochem. 27:7785, 1988を参照)などのアフィニティークロマトグラフィ;疎水性相互作用クロマトグラフィ;イオン交換クロマトグラフィ;サイズ排除クロマトグラフィ;電気泳動的な手順〔例えば、調製用の等電点電気泳動(IEF)〕、溶解度の差(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、または抽出などを含む、これらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して達成されてもよい。一般に、Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, New York, 1982; and Protein Purification, J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照されたい。精製に続いて、本標品は、宿主細胞に由来する非VII因子ポリペプチドを、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約5%未満、および最も好ましくは約1%未満で含む。
【0109】
VII因子ポリペプチドは、XIIa因子または例えば、IXa因子、カリクレイン、Xa因子、およびトロンビンなどのトリプシン様の特異性を有するその他のプロテアーゼを使用するタンパク分解性の切断によって活性化されてもよい。例えば、Osterud et al., Biochem. 11:2853 (1972);Thomas, 米国特許第4,456,591号;およびHedner et al., J. Clin. Invest. 71:1836 (1983)を参照されたい。或いは、VII因子ポリペプチドは、それをMono Q(登録商標)(Pharmacia)などのイオン交換クロマトグラフィーに通すことにより、又は溶液中での自己活性化により、活性化し得る。次いで、生じる活性化されたVII因子ポリペプチドを本適用(present application)に記載のように処方し、投与してもよい。
【0110】
以下の例は、本発明の実施を説明する。これらの例は、説明の目的でのみ記載され、請求される発明の範囲を如何なる様式においても限定しない。
【例】
【0111】
例1
安定性を示すパラメータの決定に使用される分析方法:
【0112】
A. 逆相 HPLC(RP-HPLC)による、酸化型(Oxidised forms)の決定:
【0113】
HPLCカラム:ブチルが結合されたシリカ(粒径5μmで細孔サイズ300Å)を充填した、4.5x250 mm カラム。カラム温度:70゜C。溶出剤A:水 99.9% v/v および トリフルオロ酢酸 0.1 % v/v。溶出剤B:アセトニトリル 80% v/v. トリフルオロ酢酸 0.09% v/v および 水 19.91 % v/v。前記カラムを、X% B 〜 (X+13)% Bのリニアグラジエントで 30 分間で溶出する。流速:1.0 ml/min。検出:214 nm。
【0114】
前記酸化型は、VII因子ポリペプチドのメチオニンスルホキシドである。例えば、FVIIの2つの主な誘導体は、Met(O)298 FVII および Met(O)306 FVIIである。
【0115】
酸化型の含有量(content)は、調製の際の組成物中のVII因子の初期量(initial amount)のパーセンテージとして表され、それはVII因子の酸化型として回収される。
【0116】
B. VII因子ポリペプチドの凝集物の、高性能ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP-HPLC)による決定。
【0117】
GP-HPLCを、Waters Protein Pak 300 SW カラム 7.5x300 mmで行った。移動相として 0.2 M 硫酸アンモニウム pH 7.0(5% イソプロパノールを含有している)を用いる。流速:0.5 ml/min および 検出:215 nm。
【0118】
凝集物の含有量は、調製の際の組成物中のVII因子の初期量のパーセンテージとして表され、それはVII因子の二量体、オリゴマー、およびポリマー形態として回収される。
【0119】
例2
組成物調製
一般的に、これらの実験的な例の分析のための、水性FVIIa組成物サンプルは、精製したバルク溶液から、ゲル濾過カラム上での緩衝液交換により調製した。組成物添加物は、溶出緩衝液中にそれらの最終比(final ratios)で含有されるか又は前記溶出物に添加される。生じた溶液は、滅菌したメンブランフィルター(0.2 ミクロンのポアサイズまたは均等物)を用いて濾過滅菌(sterile filtered)され、そして無菌のガラスバイアルへと充填され、ブチルゴム栓およびアルミニウムのフリップオフ型のキャップで栓をされ、シールされる。
【0120】
例3
化学的/物理的な安定性におけるpHの効果
(I)rFVIIa 水性組成物であって、1.4 mg rFVIIa/mL, 50 mM 塩化ナトリウム, 10 mM 塩化カルシウム並びにpH 3, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5,及び9.0に調整された 10 mM グリシルグリシン, アセテート及びヒスチジンの混合物を含有している組成物のバイアルを、 2〜8 ゜Cの温度で又は 30 ゜Cの上昇させた貯蔵温度でインキュベートし、次に様々なタイムポイントで除去し、pHの変化に関してアッセイし、化学的な安定性をRP-HPLC及びGP-HPLCで決定した。
2〜8 ゜Cで3ヶ月まで貯蔵した後、前記水性組成物はpHの非有意(insignificant)な変化を示した。2〜8 ゜Cで3ヶ月まで貯蔵したサンプルで実施した未変性サイズ排除HPLCは、pH値5.5で、薬物製品(drug product)の有意な凝集を示さなかった(図 1)。これらのサンプルで実施したRP-HPLCは、pH範囲 4.5 〜 5.5 でタンパク質の断片化または酸化に有意な増加を示さなかった。
【0121】
図 1は、 2 〜8 ゜Cでの3ヶ月の保存後のデータを示す。凝集物の初期含有量は約 0.5% であり、断片の初期含有量は約9%である。
【0122】
(II)rFVIIa 水性組成物であって、1.4 mg rFVIIa/mL, 200 mM 塩化ナトリウム, 10 mM 塩化カルシウム並びにpH 3, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5,及び9.0に調整された10 mM グリシルグリシン、アセテート及びヒスチジンの混合物を含有している組成物のバイアルを、 2〜8 ゜Cの温度で又は 30 ゜Cの上昇させた貯蔵温度でインキュベートし、次に様々なタイムポイントで除去し、pHの変化に関してアッセイし;化学的な安定性をRP-HPLC及びGP-HPLCで決定した。
【0123】
2〜8 ゜Cで3ヶ月まで保存した後、前記水性組成物はpHの非有意な変化を示す。2〜8 ゜Cで3ヶ月まで保存したサンプルにおいて実施される未変性サイズ排除HPLCは、薬物製品の有意な凝集をpH値5.5で示さない。これらのサンプルにおいて実施されるRP-HPLCは、前記タンパク質のpH範囲4.5〜5.5での断片化および酸化の有意な増加を示さない。
【0124】
例4
様々な洗剤を含有している水性組成物の物理的な安定性
12の異なる組成物を調製した。前記組成物は、次のものであった、即ち:
rFVIIa 0.75 mg/ml
NaCl 2.92 mg/ml
CaCl2, 2 H2O 1.47 mg/ml
グリシルグリシン 1.32 mg/ml
洗剤/可溶化剤(solubiliser) x mg/ml
pH 5.5
【0125】
試験した洗剤/可溶化剤の濃度を、以下の表に示す。
【0126】
前記組成物を、rFVIIaの液体バルク溶液(liquid bulk solution)から調製した。洗剤/可溶化剤の保存溶液を、NaCl, CaCl2, 2 H2O, およびグリシルグリシンを上記の濃度で含有している緩衝液中に調製した。前記rFVIIaバルクおよび洗剤溶液を混合し、前記溶液のpHを5.5に調整した。前記組成物を、濾過(0.2 μm)し、バイアルに充填した(1 ml 溶液/バイアル)。
【0127】
前記組成物の外見(appearance)を視覚的な検査で決定し、前記組成物の400nmでの吸光度を決定した。引き続いて、前記バイアルを19 時間(800/min)、室温で振盪した。振盪の完了後、外見と400 nmでの吸光度とを決定した。結果は、以下の表にリストされる。
【0128】
【表1】

【0129】
結果は次の事項を示している;その事項とは、振盪された際に参照 (如何なる洗剤/可溶化剤も添加しない)が視覚的に濁り、有意な増加が400 nmでの吸光度で観察されることである。Tween(登録商標) 20 (= ポリソルベート20), Tween(登録商標) 80 (= ポリソルベート80), ポロキサマー188, Pluronic(登録商標) F127 (= ポロキサマー407), Brij(登録商標) 35 (= ポリオキシル 23 ラウリル エーテル), およびLPCM (= α-リゾホスファチジルコリン ミリストイル)の添加によって、濁度および吸光度における増加がほとんど完全に阻止されたが、濁度(参照と比較した)の若干の増加がMyrj(登録商標) 59 (= ポリオキシル 100 ステアリン酸エステル)およびMyrj(登録商標) 52 (= ポリオキシル 40 ステアリン酸エステル)に関して観察された。
【0130】
例5
抗酸化剤としてメチオニンを含有している水性組成物の化学的な安定性
(I)3つの異なる組成物を調製した。前記組成物は、次のものであった、即ち:
rFVIIa 0.75 mg/ml
NaCl 2.92 mg/ml
CaCl2, 2 H2O 1.47 mg/ml
グリシルグリシン 1.32 mg/ml
メチオニン 0又は0.25又は1.0 mg/ml
pH 6.5
【0131】
前記組成物は、rFVIIaの液体バルク溶液から調製された。前記メチオニンは、NaCl, CaCl2, 2 H2O, および グリシルグリシンを上記の濃度で含有している緩衝液中に溶解された。前記rFVIIaバルクおよび前記メチオニンの溶液は混合され、そして前記溶液中のpHは、6.5に調整された。前記組成物は、濾過(0.2 μm)され、バイアル(1 ml 溶液/バイアル)に充填された。前記バイアルは、5゜C, 25゜Cおよび40゜Cで保存された。サンプルを回収し、酸化型の含有量に関する分析(RP-HPLCにより)を下記の表に記載したタイムポイントで行った。表は、酸化型の含有量を示す(%)。
【0132】
【表2】

【0133】
結果は、メチオニンの添加が前記組成物の酸化速度を遅らせることを示している。
【0134】
(II)3つの異なる組成物が調製される。前記組成物は次のものである、即ち:
rFVIIa 0.75 mg/ml
NaCl 11.68 mg/ml (200mM)
CaCl2, 2 H2O 1.47 mg/ml
グリシルグリシン 1.32 mg/ml
メチオニン 0又は0.25又は1.0 mg/ml
pH 6.5
【0135】
前記組成物は、rFVIIaの液体バルク溶液から調製される。前記メチオニンを、緩衝液( NaCl, CaCl2, 2 H2O, および グリシルグリシンが含有される)に溶解することによって、上記の濃度が得られる。前記rFVIIaバルクおよび前記メチオニン溶液が混合され、前記溶液のpHが6.5に調整される。前記組成物は、濾過(0.2 μm)され、バイアル(1 ml溶液剤/バイアル)に充填される。バイアルは、5゜C, 25゜C および 40゜Cで保存される。サンプルは回収され、酸化型の含有量(in %)に関して、(RP-HPLCによって)上記の表に記載されたタイムポイントで分析される。
【0136】
結果は、メチオニンの添加が前記組成物における酸化速度(oxidation rate)を遅らせることを示す。
【0137】
例6
塩化ナトリウムを含有している水性組成物の化学的な安定性
4つの異なる組成物が調製される。前記組成物は、以下のものである、即ち:
【0138】
rFVIIa 1.0 mg/ml
NaCl 2.92 mg/ml(50mM;組成物1)
11.68 mg/ml(200mM;組成物2)
23.36 mg/ml(400mM;組成物3)
46.42 mg/ml(800mM;組成物4)
58.4 mg/ml(1000mM;組成物5)
CaCl2,2H2O 1.47 mg/ml(10mM)
グリシルグリシン 1.32 mg/ml
pH 7.0
【0139】
前記組成物は、rFVIIaの液体バルク溶液から調製される。塩化カルシウムをNaClおよびグリシルグリシンを含有している緩衝液に溶解して、rFVIIaバルクと混合した後に上記で述べた濃度にする。混合後、溶液中のpHは7.0に調整される。前記組成物は、濾過(0.2 μm)され、バイアル(1 ml溶液剤/バイアル)に充填される。バイアルは、5゜Cで保存される。
【0140】
各製剤に関して、VII因子の活性(IU/ml)は、0 月に(計量 IU/ml)および5゜Cでの保存の3 ヶ月後に(計量 IU/ml)血餅アッセイで決定された。前記血餅アッセイにより、次の事項が示される;その事項とは、少なくとも200mMの塩化ナトリウムを含有している組成物(組成物 2〜5)が、組成物1と比較して、貯蔵3ヶ月後に高い凝固活性(clotting activity)(より高い IU/ml)を有することである。
【0141】
重鎖分解
各製剤に関して、重鎖断片の構成は、例1に記載のとおりRP-HPLCで測定される。結果( % 断片)は、それぞれ 0 ヶ月、同様に、 5゜C および 30゜Cでの保存の間に測定される;重鎖断片の含有量( % 断片)は、1, 2, 3, および 6 ヶ月で測定される。
【0142】
測定値は、組成物 2〜5 における重分解断片の形成( % 断片)が、組成物1における断片の形成よりも低いことを示している。
【0143】
例7
塩化ナトリウムを含有している水性組成物の化学的な安定性
4つの異なる組成物を調製した。前記組成物は、次のものであった、即ち:
rFVIIa 1.0 mg/ml
NaCl 0 mg/ml (0mM;組成物1)
29.2 mg/ml(500mM;組成物2)
43.8 mg/ml(750mM;組成物3)
58.4 mg/ml(1000mM;組成物4)
CaCl2, 2 H2O 1.47 mg/ml(10mM)
PIPES-di-Na 17.3 mg/ml(50mM)
pH6.5
【0144】
前記組成物は、rFVIIaの液体バルク溶液から調製された。前記液体バルク溶液は、所望の組成物へと、ファルマシアのPD-10カラムを用いて脱塩される。
脱塩後、前記溶液中のpHは、6.5に調整された。前記組成物を、濾過(0.22 μm)し、カートリッジに充填した。カートリッジは、5゜Cで保存された。
【0145】
各製剤に関して、重鎖断片の含有量(%)は、RP-HPLCにより様々なタイムポイントで測定され(例1)、データは以下の表にリストされる。
【0146】
【表3】

【0147】
製剤 1 および 4 に関して、VII因子の凝血活性(clot activity)(IU/ml)が、様々なタイムポイントで決定された。以下の表に、様々なタイムポイントでの凝血活性が、タイムポイント ゼロ値(=100%)と比較して、リストされている。
【0148】
【表4】

【0149】
例8
化学的な安定性におけるイオン強度の効果
4つの製剤は、精製されたrFVIIaバルク溶液を、賦形剤を含有している貯蔵液と混合することによって調製された。前記製剤において、NaCl および CaCl2の含有量を、以下の表に示すとおり変化させた。
【0150】
【表5】

【0151】
さらに、全ての製剤には、 1 mg/ml rFVIIa, 10 mM グリシルグリシン, 10 mM 酢酸ナトリウム, および 10 mM L-ヒスチジンを含有させた。前記pHは、全ての製剤で7.0に調整された。
【0152】
前記製剤は30゜Cで保存され、重鎖断片の含有量はRP-HPLCで測定された(例 1)。結果(% 断片)を、以下の表に示す。
【0153】
【表6】

【0154】
結果は、高いイオン強度 (ここではNaClの添加によって得られる)が、貯蔵間の重鎖断片形成の減少を生じることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】図1は、2〜8゜Cで3ヶ月保存後の、FVII凝集物およびFVII断片の含有量を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体水性組成物であって:
VII因子ポリペプチド(i);
約 4.0 〜約 9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);
カルシウム塩、マグネシウム塩、又はその混合物のリストから選択され;濃度は 15 mM未満である薬剤(iii);および
イオン強度を修飾する薬剤(iv);
を含み、
前記組成物のイオン強度は、少なくとも約 200 mMである液体水性組成物。
【請求項2】
請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物であって、前記組成物のイオン強度は、少なくとも約 250 mM、例えば、少なくとも約 300 mM、400 mM、800 mM、1000 mM、1200 mM、1500 mM、1800 mM、2000 mM、又は少なくとも約 2200 mMである組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の組成物であって、前記イオン強度を修飾する薬剤(iv)が、中性塩、例えば、塩化ナトリウム;アミノ酸;又は小ペプチド、又は少なくとも2つの前記修飾する薬剤の混合物のリストから選択される組成物。
【請求項4】
請求項3記載の組成物であって、前記イオン強度を修飾する薬剤(iv)が、塩化ナトリウムを含む組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物であって、前記薬剤(iii)が、少なくとも約 2 mM、例えば、少なくとも約 5 mMである組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の組成物であって、前記カルシウム塩が、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、およびカルシウム ラエブレート(calcium laevulate)のリストから選択される組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の組成物であって、前記マグネシウム塩が、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、およびマグネシウム ラエブレート(magnesium laevulate)のリストから選択される組成物。
【請求項8】
請求項6または7記載の組成物であって、前記薬剤(iii)は、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、又はその混合物のリストから選択され;前記イオン強度を修飾する薬剤(iv)は塩化ナトリウムである組成物。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の組成物であって、緊張性を修飾する薬剤(v)を更に含む組成物。
【請求項10】
請求項9記載の組成物であって、前記緊張性を修飾する薬剤(v)が、中性塩;モノ―、ジ―、またはポリサッカライド;糖アルコール;アミノ酸;又は小ペプチド、又は少なくとも2つの前記修飾する薬剤の混合物のリストから選択される組成物。
【請求項11】
請求項9または10記載の組成物であって、前記緊張性を修飾する薬剤(v)が、1 mM〜 500 mMの濃度で存在する組成物。
【請求項12】
請求項11記載の組成物であって、前記緊張性を修飾する薬剤(v)の濃度が、10 mM〜 250 mMである組成物。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の組成物であって、非イオン性界面活性剤(vi)を更に含む組成物。
【請求項14】
請求項13記載の組成物であって、前記非イオン性界面活性剤は、ポリソルベートまたはポロキサマーまたはポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポロキサマー188、ポロキサマー407、ポリソルベート20、ポリソルベート80、又はポリオキシ23ラウリルエーテルである組成物。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか1項に記載の組成物であって、抗酸化剤(vii)を更に含む組成物。
【請求項16】
請求項15記載の組成物であって、前記抗酸化剤(vii)が、L-又はD-メチオニン、メチオニン アナログ、メチオニン含有ペプチド、メチオニン―ホモログ、アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、グルタチオン、シスチン、およびシスタチオニンである組成物。
【請求項17】
請求項16記載の組成物であって、前記抗酸化剤がL-メチオニンである組成物。
【請求項18】
請求項15〜17の何れか1項に記載の組成物であって、前記抗酸化剤が、約 0.1 〜約 5.0 mg/ml、例えば、約 0.1 〜約 4 mg/ml、約 0.1 〜約 3 mg/ml、約 0.1 〜約 2 mg/ml、又は約 0.5 〜約 2 mg/mlの濃度で存在する組成物。
【請求項19】
請求項1〜18の何れか1項に記載の組成物であって、pHが約 4.0 〜約 7.0、例えば、約 4.5 〜約 7.0、約 5.0 〜約 7.0、約 5.5 〜約 7.0、又は約 5.5 〜約 6.5の範囲に維持される組成物。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか1項に記載の組成物であって、約 4.0 〜約 7.0の範囲にpHを維持するために適切な前記剤が、以下のリストの酸および塩から選択される組成物:
MES, PIPES, ACES, BES, TES, HEPES, TRIS, ヒスチジン(例えば、L-ヒスチジン), イミダゾール, グリシン, グリシルグリシン, グリシンアミド, リン酸(例えば、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム), 酢酸(例えば、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、又は酢酸カルシウム), 乳酸, グルタル酸, クエン酸(例えば、クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウム), 酒石酸, リンゴ酸, マレイン酸, およびコハク酸、又は少なくとも2つの該剤の混合物。
【請求項21】
請求項20記載の組成物であって、前記剤の濃度が、約 1 mM〜約 50 mMである組成物。
【請求項22】
請求項21記載の組成物であって、前記緩衝剤の濃度が、約 10mMである組成物。
【請求項23】
請求項1〜22の何れか1項に記載の組成物であって、保存剤(viii)、例えば、フェノール, ベンジルアルコール、orto-クレゾール、メタ-クレゾール、パラ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、または塩化ベンゼトニウムを更に含む組成物。
【請求項24】
請求項1〜23の何れか1項に記載の組成物であって、非経口投与に適用される組成物。
【請求項25】
請求項1〜24の何れか1項に記載の組成物であって、少なくとも 6 ヶ月、2〜8゜Cで安定である組成物。
【請求項26】
請求項1〜25の何れか1項に記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドが、ヒトVIIa因子、好ましくは組換え技術で作出されたヒトVIIa因子である組成物。
【請求項27】
請求項1〜25の何れか1項に記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドが、VII因子配列バリアントである組成物。
【請求項28】
請求項27記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒトVIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比は、本明細書に記載された「インビトロ加水分解アッセイ法」で試験したときに、少なくとも約1.25、好ましくは少なくとも約2.0、または4.0、最も好ましくは少なくとも約8.0である組成物。
【請求項29】
請求項1〜28の何れか1項に記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドが、約0.1 mg/ml〜約15 mg/ml、例えば、約0.5〜約10.0 mg/ml、約0.5〜約5.0 mg/ml、約0.6〜約4.0 mg/ml、または約1.0 mg/ml〜約4.0 mg/mlの濃度で存在する組成物。
【請求項30】
VII因子ポリペプチドの液体水性組成物を調製するための方法であって、VII因子ポリペプチドを、約 4.0 〜約 9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);カルシウム塩、マグネシウム塩、又はその混合物のリストから選択される薬剤(iii)〔ここで(iii)の濃度は 15 mM未満である〕;並びにイオン強度を修飾する薬剤(iv)を含む溶液に供給する工程を備え;それを確実にする間、最終組成物において、イオン強度は少なくとも約200 mMである方法。
【請求項31】
医薬として使用するための、請求項1〜30の何れか1項に記載の液体水性薬学的組成物。
【請求項32】
VII因子応答性症候群を治療する医薬を製造するための、請求項1〜30の何れか1項に記載の組成物の使用。
【請求項33】
VII因子応答性症候群を治療する方法であって、必要とする被験者に、効果的な量の請求項1〜31の何れか1項に記載の水性液体組成物を投与することを備える方法。
【請求項34】
液体製剤中のVII因子ポリペプチドの分解を減少させる方法であって、VII因子ポリペプチドを、約 4.0 〜約 9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);カルシウム塩、マグネシウム塩、又はその混合物のリストから選択される薬剤(iii)〔ここで(iii)の濃度は 15 mM未満である〕;並びにイオン強度を修飾する薬剤(iv)を含む溶液に供給する工程を備え;それを確実にする間、最終組成物において、イオン強度は少なくとも約200 mMである方法。
【請求項35】
請求項34記載の方法であって、前記Ca+2 の濃度が、少なくとも約 2 mM、例えば、少なくとも約 5 mMである方法。
【請求項36】
請求項1〜31の何れか1項に記載の液体水性薬学的組成物および自由選択で不活性ガスを含有する、気密で、少なくとも部分的に充填されたコンテナであって、(i)壁部および(ii)前記壁部の構成部分ではない1以上の閉鎖手段を具備するコンテナ。
【請求項37】
請求項36記載のコンテナであって、前記組成物が抗酸化剤(vii)を含まないコンテナ。
【請求項38】
請求項36〜37の何れか1項に記載のコンテナであって、前記コンテナが、針貫通性(a needle-penetrable)で、自己封着エラストマー隔壁(self-sealing elastomeric septum)を具備する閉鎖手段を具備するバイアルまたはカートリッジであるコンテナ。
【請求項39】
請求項38記載のコンテナであって、前記コンテナが、置換可能なピストン手段(a displaceable piston means)を更に具備しているカートリッジであり、それによって前記コンテナに存在する液体が前記コンテナから排出(expelled)され得るコンテナ。

【図1】
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【公表番号】特表2007−508235(P2007−508235A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515730(P2006−515730)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000447
【国際公開番号】WO2004/112828
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】