説明

VoIP呼び出しの際、マネージド・ハンドオーバ(ManagedHandover(MHO))を用いる「ネットサーフィン」

【課題】MHOを伴うネットサーフィン法又は装置を提供する。
【解決手段】本方法は−リアルまたはバーチャルなA0ホームIAD0と、第2の端末システムZ0へのA0接続とを用い−WLANxにおけるリアルなIADxへ、または携帯型ネットワークxのためのバーチャルなIADxへの、A0の「Managed Handover」MHOを行うためのものである(IAD)。このMHOは、A0ホームIAD0によってサポートされる。A0接続はしばしばMHOモジュールすなわちMHOMによってリレーされていて、このモジュールは、AO−ホームIAD0におけるMHO仕様書すなわちMHOSによって制御されている。このことは、共用IADx/A0ホームIAD0のプロバイダにも、それらのホーム端末システムのユーザにも、利益をあたえる。MHOMは、インターネットモビリティ技術の「ホームエージェント」とは本質的に異なっていて、したがって今日のWiFi−/FMC電話機をもサポートできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、−リアルなまたはバーチャルなA0−ホームIAD0と、第2の端末システムZ0へのA0接続とを用いる−端末システムA0のための「ネットサーフィン」法、すなわちWLANxにおけるリアルなIADxに対し、または携帯型ネットワークxのためのバーチャルなIADxに対して、「マネージド・ハンドオーバ(Managed Handover)」(MHO)を行うための当該方法に関する(IAD=Integrated Access Device)。このMHOは、A0−ホームIAD0にサポートされる。
【0002】
A0接続はしばしばMHOモジュールすなわちMHOMを経由してリレーされており、このMHOMは、A0−ホームIAD0に備えられたMHO仕様書すなわちMHOSによって制御されている。このことから、共用IADx/A0−ホームIAD0も、このホーム端末システムのユーザも、利益を受ける。
【0003】
MHOM(MHOSを含むものあるいは含まないもの)は、インターネットモビリティ技術の「ホームエージェント」と本質的に異なっていて、したがって今日のWiFi−/FMC電話機をサポートできる。すなわち、ネットサーフィン法は、短期的にはVoIP電話機を考慮に入れている−しかしそれに限定されるものではない。
【0004】
A. 従来のHO技術と、本ネットサーフィン法との相違点
「シームレスなHO(Handover)」の場合の従来の技術を、米国特許出願公開第2006/0099948A1号が、その背景技術の項と方法の説明、とくに「Media Independent Handover」(MIH)の部分に記載している。さまざまな技術的HOバリエーションを−さらに範囲を広げて−論及するのが、V.Gupta他の「IEEE802.21−UEbersichts−Publikation」(DCN21−06−0706−00−0000)、ならびにL.−J.ChenのUCLA CSD−TR No.040012、ならびにG.A.Mills−Tetty他の論考(「Mobile Voice over IP(MVOIP)..」,Proc.of the 21.IEEE International Performance,Computing,and Communications Conference,2002)、ならびにE.Edvardsenほか(「Open Access Networks」, Telenor Research and Development,2002)、またはH.Almus(「Open Broadband Access Networks」,TERENA Networking Conference 2006)、またはP.A.Frangoudis(「Experimental evaluation of community−based WLAN voice and data services」,ICST 978−963−06−2670−5)である。未来のHO技術のためのインターネットモビリティ技術のこの包括的な諸手段について、J.Schillerの著書(「Mobile Communications」,Addison−Wesley,2003)が、この分野の一望を余すところなく与えてくれる。
【0005】
これらの著作は、従来のHO技術を綿密に記載するが、当該技術がネットサーフィン法の革新的諸特性を実現しないことを示す。すなわち、ネットサーフィン法の諸特性は、
■今日(まだ)WiFi−/FMC電話機に普及していない技術を使用せずに、これにより今日のWiFi−またはFMC電話機および共用WLAM−IADでMHOサポートを行うのに適していない。そしてとくに
■このような利点の利用を他のいずれのネットワークプロバイダに対して遮断する場合、ホームIAD−/共用IADプロバイダおよび端末システムユーザが利益を受けるのに適していない。
【0006】
ネットサーフィン法は、インターネットモビリティ技術や、「HOCIS法」(PCT/EP 2007/010485、3.12.2007付け。その内容は、本発明にも引用され、取り入れられている。いわゆる「Incorporation by reference」)と比較すると、技術上の特性を少なくとも1つずつ追加して持つ。これは、場合によってはトンネリングを用いないリレーイング(すなわち上記2例の前者の特性)、または一方のホームIAD−/共用IADプロバイダの営業上の措置を実現するための技術的な通信である−この営業上の措置は、通常は両端末ユーザに対して、VoIP(voice over internet protocol)呼び出しの形で、そして通常は両者に対しそれぞれ異なるメッセージを用いて、そしてしかも、両者のうち一方のHOに的を絞りそれをきっかけとして、そしてコンビニエンス・インフォメーションと相関して行われる(すなわち上記2例の後者の特性)。これら2つの技術的特性を−トンネリングを用いないリレーイング、または追加的、技術的な、「コンビニエンス・インフォメーション」と相関する(営業上の)通信を−次のものは実現しない。すなわち、従来のHO技術、インターネットモビリティに関する従来の技術(後者は、類似の方向を目指す国際公開第2006/031379A1号パンフレットおよび国際公開第2006/031384A1号パンフレットに記載されているが、これら文献はとくに電話機/Voipへの応用を明らかに除外している)、HOCIS法、「Sponsored−Call」法のいずれも、上記を実現しない(たとえば「Rich Multimedia Applications on IMS Framework」,August 2007、または、「ARGELA Multimedia Sponsored Call White Paper」、それぞれのウェブサイトを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0099948号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2007/010485号明細書
【特許文献4】国際公開第2006/031379号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/031384号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】V.Gupta他著、「IEEE802.21−UEbersichts−Publikation」、(DCN21−06−0706−00−0000)
【非特許文献2】L.−J.Chen著、「UCLA CSD−TR No.040012」
【非特許文献3】G.A.Mills−Tetty他著、「Mobile Voice over IP(MVOIP)..」、(Proc.of the 21.IEEE International Performance,Computing,and Communications Conference,2002)
【非特許文献4】E.Edvardsen他著、「Open Access Networks」、(Telenor Research and Development,2002)
【非特許文献5】H.Almus著、「Open Broadband Access Networks」、(TERENA Networking Conference 2006)
【非特許文献6】P.A.Frangoudis著、「Experimental evaluation of community−based WLAN voice and data services」、(ICST 978−963−06−2670−5)
【非特許文献7】J.Schiller著、「Mobile Communications」、(Addison−Wesley,2003)
【発明の概要】
【0009】
B. 簡単な例による本発明の基本的説明
本願は、端末システムA0のための−リアルなまたはバーチャルなA0−ホームIAD0と、第2の端末システムZ0へのA0接続とを用いる−「ネットサーフィン」法、すなわちWLANx(WLAN=wireless LAN)におけるリアルなIADxに対し、または携帯型ネットワークxのためのバーチャルなIADxに対して、「Managed Handover」すなわちMHOを行うための当該方法を開示する(IAD)。このMHOは、A0−ホームIAD0にサポートされる。
【0010】
A0接続はしばしばMHOモジュールすなわちMHOMを経由してリレーされており、このMHOMは、A0−ホームIAD0におけるMHO仕様書すなわちMHOSに従って制御されている(2つの実現に分配された状態で、あるいはローカルで)。このことから、共用IADx/A0−ホームIAD0のプロバイダと、このホーム端末システムのユーザとは利益を受ける。MHOSは、A0−ホームIAD0プロバイダのプライベートなものであり、場合によってはホーム端末システムの個別のものである。このリレー制御化は、次のような利点を提供する。
■共用IADxプロバイダには、A0におけるネットサーファに関する利点。このネットサーファは、共用IADxプロバイダにとってもはや法的リスクではない。なぜならば、A0にとってホームIAD0は識別可能であり、したがってホームIAD0のプロバイダがA0によるインターネット悪用に対して責任があるからである。
■ホームIAD0プロバイダと、当該プロバイダと協力する共用IADxプロバイダすべてとには、たとえば
○IAD0−/共用IADx−ホーム端末システムのネットサーフィンのMHOバリエーションと、この分野のそれにともなう大きなコスト低下/品質上昇の潜在的可能性。
○ホームIAD0/共用WLANxのプロバイダにとっては、CI(Convenience Information)相関による営業上の可能性。このCI相関とは、受け入れ準備態勢や親近感を生じる「HOCIS」情報を含む各メッセージのCI相関である。また場合によっては、この営業上の可能性は、そのメッセージを、ネットサーファだけでなくその話し相手にも伝達することによる−しかもこれらの営業上の可能性は、技術的および内容的に需要に適合されたものとして、すなわちさまざまに異なるものとして、構想される。
○このような利点利用の安全性(すなわち、これらの利用は、第三者に依存せず、場合によっては第三者、たとえば中間的なネットワークプロバイダに見えない形で行われる)−しかしこのことは、他者による、たとえばネットワークプロバイダによる、Wサーフィン法の可能性を排除しない。
■端末システムユーザに対する利点。なぜならば彼らは−ちょうど今述べた理由から−より開かれた共用WLANを見出し、そしてとくにこの共用WLANへの彼らのMHOが、とくにCI相関により、従来よりも彼らに快適となる。
【0011】
MHOM(MHOSを含むものも、含まないものも)の機能は、インターネットモビリティ技術の「ホームエージェント」の機能と比較して、OSI−RMのL3〜L7に限定/拡張されている。これは、適切なトンネリングを使いこなしていない、今日のWiFi−/FMC電話機や共用WLANによっても、このHOマネージメントを実行できるようにするため、そして/または上記の利点を利用できるようにするためである。すなわち、本ネットサーフィン法は、短期的にはVoIP電話機をターゲットとし、さらに独特なものとして、この第B章の各例の特徴をなす、VoIP呼び出しにおける「WLANサーフィン」あるいは「Wサーフィン」と、このサーフィンの安全性/プライバシ(第C章参照)や営業利用をターゲットにする−とはいえこれらのものに限定はされない。
【0012】
上記を強調するため、たとえばIP−TV伝送という文脈において−VoIP伝送の代わりに、またはVoIP伝送にともなって−、あるいは、たとえばA0のユーザが安全性指向しながらリアルタイムでともなうという文脈において、Wサーフィン法の利用可能性を指摘する。このような通信アプリケーションすべてにおいて、Wサーフィン/ネットサーフィンに関する下記のすべての実施形態は、VoIP通信アプリケーションの場合と同様に適切である。したがって後者のアプリケーションは、本発明による方法/装置のこれらそのほか多くの使用可能性の代わりになるものと見なされる。したがってこの使用可能性については、下記では折に触れてのみ言及する。
【0013】
小規模のホームIADは、少なくとも1つの端末システム(たとえば電話機またはそのユーザ)が、少なくとも1つのネットワークにアクセスできるようにし、そして上記の意味で、たとえばインターネットおよび/またはPSTN(Public Switched Telephone Network)を、自らへのアクセスを介してサポートし、この場合、後者のサポートは、下記を経由して行われる。
■無線ネットワークと、その中の任意に定義された領域とを経由して(たとえば、1つのIADのアクセス可能領域、またはGSMネットワークの何らかの領域、場合によってはその全体を経由して)
■または、物理的接続(たとえば電話ケーブルまたは同心ケーブル)を経由して。
【0014】
本明細書によるWLANの実現は、たとえば、「RFI」、または「Blue Tooth」、または「Femtocell」、または「DECT」、または「Wimax」、または「GSM/CDMA/UMTS/GPRS/HSPDA」などの技術、とくに「WiFi」技術に基づくことができる。そして、場合によってはヘテロジニアスIAD(かつては誤ってAPと呼ばれた。AP=Access Point)、および/または携帯型ネットワークのBS(BS=Base Station)を含むことができる。そして、IADまたはBSのアクセス可能領域で、何らかの定義をされた領域に延びる。大規模なホームIAD/ホームサーバは、何千という端末システムが、ネットワークアクセスできるようにして、これら端末システムを上記の意味でサポートできる。すなわち、たとえばこれらネットワークの1つに対する/1つにおけるインターネットサーバまたはシステムであり得る。
【0015】
MHOMは、抽象的な(=機能上の)HW−/SW構成要素からなる。MHOMは、その抽象的なHW構成要素を、MHOH−あるいはネットサーフィン−機能のために利用しなければならないだけでなく、その抽象的な利用を、少なくとも1つの機能上非MHOMと分け合う(=これらモジュール間の「抽象的なresource sharing」)のに適している(第C章参照)。この場合、MHOMは、いずれの「実体的」ホストシステムに設けることができ−たとえばネットワークにおける、またはこれに接する実体的なIADまたは実体的なシステムをホストとすることができ−その際、これらシステム/ネットワークが、実体的なHW拡張を必要とすることはない(第C章末尾参照)。(ホストシステムにおける)MHOMのSW構成要素もまた、どこか別の場所では何らかのコード化を受けた状態で存在することができる−しかしこの場合、これらSW構成要素の1つの機能が要求される前に、それら構成要素のこの機能を受け持つ部分が、セマンティックに透過的なコードに翻訳可能であり、ホストシステムにロード可能であり、したがって上記のMHOM−HW構成要素を用いて実行可能であるという、このような状態で存在することができる。MHOMのこのようなコンセプトは、下記の議論では狭すぎ、第C章ではさらに細分化されるが、とりあえず今はこれで十分である。標準的な当業者には、これらの用語/概念は公知である。
【0016】
本ネットサーフィン法は、(MHOSによる)通信アプリケーションであって、これは通常、A0とZ0間のOSI接続/接続OC0(下記参照)(OC=OSI−Connection)のL7上で行われる。このMHOM機能の一部または全部が、WLAN0の中で(この場合たとえばこのMHOM/WLANを制御するIAD0の中で)実行されているのか、またはその外で(この場合インターネットサーバまたはネットワークシステムの中で、したがってこのMHOM/WLANを制御するIAD0の外で)実行されているのかに左右されずに、MHOM機能を端末システムA0および/またはZ0によってサポートすることができる−このことは通常、ネットサーフィンの快適性を向上するが、省くこともできる。
【0017】
(たとえば携帯型電話機A0がZ0を呼び出す際の)ネットサーフィンの共用WLAN利用形態の上記に挙げた法的な安全確保は、次のことにより得られる。すなわち、電話機に対する本発明の要求、たとえば共用IADの要求は、固定されたIPアドレスを持つMHOMのみへの、すなわち既知のプロバイダのみへのルータとしてのみ、電話機を利用することに限定されていることによって得られる。このMHOMプロバイダは、疑いもなく、当該プロバイダを経由してリレーされたOC0の責任者を識別できる(ただし、当該プロバイダがそもそもこのリレーを行う場合、しかもたとえば呼び出し開始時またはそれよりも早く行う場合である−リレーを行う方法は、ここでは重要ではない。しかし標準的な当業者には、それに適した方法は公知である)。したがってこのMHOMプロバイダは、共用IADに対する無線電話ユーザのアイデンティティ確認に責任を負う−責任を負うのは共用IADのプロバイダではない。ここで留意されたいのは、これまで述べたこととは異なり、もし緊急呼び出しの場合であれば、このMHOMは、彼にルーティングされたインターネットアクセスを、A0のために(したがってZ0に対するそのVoIP呼び出しのために)可能とすることである(しかしこの場合、このことは今日、法的にはまったく解明されていない)。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態を示す図である。
【図6a−6e】本発明の一実施形態を示す図である。
【図7a−7e】本発明の一実施形態を示す図である。
【図8a−8e】本発明の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
共用IADのネットサーフィン利用形態に関するこの法的視点の実現バリエーションの例は、この第B章末尾に簡単に説明する。しかしまずは、Wサーフィン法のHO技術上の核心だけについて、その利用に関する視点を、具体例によって説明する。これらの例の場合、MHOM0は、端末システムA0のホームIAD0/ホームサーバ0に組み込まれている。この場合使用される諸機能の分離のバリエーションについては、図6〜図8と、第D章におけるその説明が議論する。ネットサーフィン法の営業上の核心と、その「CI相関」については、第C章が説明する。
【0020】
もっとも単純なWサーフィン、すなわちネットサーフィンのシチュエーションを、図1が示す。1つのTKV(=「技術的通信プロセス」の略、第C章参照)の携帯型端末システムA0−たとえばFMC電話機とそのユーザ−の直接的または間接的MHOは、当該端末システムのホームWLAN0(短く縮めてW0、ホームIAD0も同じ意味)から、経路1または2の上の、当該端末システムと分離していない、または経路1または2における分離されたW1またはW2に入る。このときA0とZ0間にOC0が存在しても、そのOC0のL7接続は、経路1または2の上のこれらMHOの影響を受けない。しかしA0−OC0の少なくとも1つのL3接続は−端末システムA0がW1またはW2に存在する場合−対応するIAD1/IAD2から、本発明によって、W0のホームIAD0におけるMHOM0を経由してリレーされる。これに関する詳細は、インターネットモビリティ技術によって知られている(第A章参照)。
【0021】
留意されたいのは、1つのMHOの間、W1またはW2に置ける携帯型端末システムA0と、W0のホームIAD0/ホームサーバ0との間に、各L3接続(のセグメント)を、どのような方法で生成するかについては、この場合何の制限もないことである。したがって本願は、A0におけるL3エンティティと、MHOM0におけるL3エンティティとの間で、このL3接続確立の実にさまざまに異なる、考えられるバリエーションすべてを含む。たとえばA0が電話機であれば、このL3接続は、とくにMHOM0に対する当該電話機の呼び出しによって成立することができ、あるいはその逆も真である−あるいはこのL3接続は、当初から存在することができる(この件に関する技術的細部は、この場合重要ではない)。このことは、WLANxからZ0に、今日のWiFi−/FMC電話機A0が電話呼び出しを「まったく新規に開始」する場合にも当てはまる。この新規開始を実現するには、MHOM0は、(IAD0における)L7上で適切に構想されなければならない。
【0022】
「直接的なMHO」−すなわちWLANから直接に別なWLANへの当該MHO−に関するこの議論から容易に思いつかれるのは、「間接的なMHO」が本発明によってどのように機能するかである。すなわちこの場合、端末システムA0に切り替えられる2つのWLANが、空間的にまたは時間的に、互いにオーバラップする(図1のWLANすなわちW0およびW2、ならびに経路2を参照)。
【0023】
ここでは2つのケースを区別しなければならない。
■空間的または時間的に「WLANがない領域」では、A0にとって−技術的または管理上の理由から−他のネットワークを利用することもできない。この場合、この領域のA0−OC0を経由してZ0まで、いかなる情報伝送も行われない。なぜならば、この情報伝送に、A0とZ0の間で一貫したL3接続を利用できないからである。A0−OC0におけるL4〜L7接続は、しかしその影響を受けず、場合によってはそのまま存在することがある。その結果として、A0とZ0間のその時点の通信は、A0−OC0を用いて−すなわち中断されたTKVのA0−OC0を用いて−さらに存在し、そしてA0がWLANxに入るとただちに、転送できる。このWLANxのIADxを用いて、A0とホームIAD0/ホームサーバ0(とそのMHOM0)との間に、A0−OC0のための「Wサーフィン接続」を生成することができる。
■この「WLANがない領域」では、もう1つのネットワーク、いわゆるWサーフィン代替ネットワーク、たとえばGSM/CDMA/GPRS/HSPDAなどをベースとする携帯型ネットワーク、または固定ネットワークが、A0によって利用可能である。上記最初のケースにとどまって、A0がFMC電話機であり、この携帯型ネットワークへのアクセス(下記参照)を持つと仮定するならば、A0とホームIAD0/ホームサーバ0との間に(そのMHOM0を用いて)、この携帯型ネットワークを経由して、A0のためのWサーフィン接続を生成することができる−その細部についてはここでも無視することする。つづいてA0がW2に入ってチェックインするとき−場合によってはMHOM0で本発明による安全性点検を行った後−A0のためのこの携帯型ネットワークベースのWサーフィン接続を、A0のためのインターネットベースのWサーフィン接続に取り替える。
【0024】
A0の「呼び出し側端末システム」のMHOに関する−すなわち図1に示すような、「呼び出し側をサポートするネットサーフィン」に関する−これら詳細な議論から容易に思いつかれるのは、「呼び出される側の端末システム」のMHOも、すなわち「A0の呼び出される側をサポートするネットサーフィン」も存在するということである(図2参照)。後者のネットサーフィンバリエーションに対しては、前の段落でいわれたことが同様に当てはまる。この場合、MHOM M’は、インターネットと端末システムZ0との間のIAD’の中に位置することができる。M’は、A0のWLAN切り替えと、A0とM’間のWサーフィン接続ができるようにする。このWサーフィン接続は、Mとまったく同じMHO機能を用いて行われる。すなわちM’もやはりMHOMである−しかし場合によっては、上記のインターネット悪用に対する保護が縮小される。
【0025】
最後になるが、A0とZ0間のOC0は、当然のこととして、両者端末システムにおいても、それぞれ1つのMHOM、すなわちMHOM0とM’によってサポートされることが可能である(図3参照)。この場合、これら両者のMHOMは、必要があれば自己責任で相互間でOC0のL3接続の再ルーティングを行うことができる−これはTKVをこれによってたとえば安価にし、あるいはその他の改善を行うためである。
【0026】
上記の主張に話を戻す。すなわち、本ネットサーフィン法は、呼び出し側をサポートするネットサーフィンの場合、インターネットの悪用を著しく困難にするということが主張された。より一般的にいえば、本発明による方法のいくつかの通信(安全)技術的視点に、話を戻す。
【0027】
インターネット悪用を困難にしたいという主張は正しい。なぜならば、あらゆるこのような悪用が、(長期間定置されているため)容易に識別可能なMHOMすなわちM0のプロバイダに深刻な損害をあたえる可能性があるからである。その結果、これらのプロバイダは、彼のMHOMへのアクセスを、彼の十分に知っている人物だけに認めることによって、この種の悪用から自らを守ることとなろう。それに加えて、1つの実現バリエーションが用いられることとなろう。その場合、たとえば
■MHOMとしてM0だけが−当該M0が当該接続の有意性について、たとえば「A0追跡システム」や、あるいはGPRSまたはSMSによってA0から能動的に、何らか別の情報を得た後−A0のWサーフィン接続を起動できる。したがって共用IAD1は、Wサーフィン接続の生成の開始さえ成功できない。なぜならば、あらゆるこのような試行だけでも、ホームIAD0におけるMHOMすなわちM0から、拒絶の返答を受けるからである。あるいは、
■携帯型であってかつIAD1には未知の端末機器、ここではたとえばA0は、当該端末機器がIAD1をWサーフィンに利用したい場合、その個別のMHOM0を(たとえばIAD1に対する初期の短い「ブラインド呼び出し」によっては)確定せず、IAD1は彼に未知のものによるすべてのこのようなリクェストを、ステレオタイプに、彼のよく知っているアイデンティティ点検サーバに転送し、このサーバが初めて、自らを経由してMHOM0へのL3接続を場合によっては生成する−この場合、このアイデンティティ点検サーバは、たとえばクレジットカード期間、またはISP、またはショッピングチェーンなどについて共同利用のため、IAD1に提供される。
【0028】
したがって本ネットサーフィン法では、まったく異なる諸方法の実行が許容される。これらの方法は、「VoIPサーフィン」または「IP−TVサーフィン」−本発明による技術がどんな名前で呼ばれようと−の場合、共用IADプロバイダを、すべての法的リスクから解放する。たとえば、関連する安全性を指向する従属請求項は、このことを具体化する。ここから、Wサーフィン法の特許権保護範囲が、これら知られているWLAN共用リスクを完全に消し去るような、特殊な実施形態を可能とすることが、容易に見て取れる。
【0029】
最後にこの関連で、通信ステータス(KS)を指摘したい。この通信ステータスは、たとえば時間的に/場所的に/外部の制御により、いわば「独自に」変化することができ−それとともに、A0とそのホームIAD0の間におけるネットサーフィン接続の許容性/非許容性/有意性もまた変化することができる。これは、A0が場所的にまったく変化しない場合も同様である。これに関する詳細を、第C章の末尾に記した。
【0030】
C. 用語/概念の説明と、ネットサーフィン法のOSI−RMの説明、ならびに当該方法のMHO、GeMa−MHO、およびこれらの「CI相関」
本明細書における本発明による方法/装置の説明は−用語および概念と同様−純粋に機能上のもの、すなわち完全に抽象的で、したがって実体的な実行にまったく依存しない。しかし理解しやすくするため、本方法、本装置の可能性ある実体的実行、そしてこれらのコンセプト/概念/用語についても、時に説明する。この場合留意されたいのは、これら用語/概念−すべてOSI−RM(OSI reference model)による意味のもの−に関する下記の説明は、本発明による方法/装置(の本質)を説明するためのものであって、したがってその他の通信技術的問題の基本原理を説明するためのものではないことである。
【0031】
ハンドオーバ(HO)、すなわち端末システムとそのTKVの−すなわちこれらの切り替えの−HOプロセスは、少なくとも2つの通信ネットワーク、ネットワークのアクセスポイント、またはネットワークのアクセスポイントにおけるファシリティ間で行われる。したがって本方法は、「垂直な」HO、すなわち異なるネットワーク間のHOだけでなく、同じネットワークのアクセスポイントおよび/またはファシリティ間のHO、いわゆる「水平な」HOと、上記すべての種類のHOにも着目する。
【0032】
概念として(すなわち純粋に機能上、まったく抽象的)
■抽象的な「通信プロセス」、すなわち「遠隔通信プロセス、TKV」は、それに関与する複数の、人または人ではない「加入者」(TLN)間で行われる。これら加入者は「端末システム」(下記参照)の「ユーザ」−またはユーザの代理/部分機能/補完機能であって、たとえば電話自動応答機、メールボックス、MP3プレイヤ、IVRシステム、文書/手書き文書/グラフィック/シンボルマール/言語/DTMFなどの発生器であり、またはDTMF検出器/インタープリター/受動的および/または能動的種類のフィルタであり、一般的に言うと「通信アプリケーションシステム」である(下記参照)−または当該端末システムに属するものである。この場合、これらの端末システムは少なくとも1つのネットワークへのアクセスを持つ。ネットワーク/端末システム/ユーザは共同して、TKVの(抽象的な)技術的実現を行う。
【0033】
この場合、
○通信プロセスすなわちTKVは、
◆次の場合に「将来起こりうる」という。すなわち、このTKVのため、このTKVに関与する少なくとも1つのTKV端末システムにおいて、1つの具体的な措置が実行されたが、このTKV端末システムのいかなる機器でも、まだ実行されていない場合である(すなわち、最初は、これらTKV端末システムの少なくとも1つにおける少なくとも1人のTKV−TLNにおいて実行される。上記の措置は、TKVにおいてはまだ「任意の漠然としたもの」であり得る。すなわち、たとえば措置を行おうとする意図、または単なる希望または必要性でさえあり得る)。
◆TKVは、少なくとも1つのこのような端末機器で上記がすでに生じた場合に、「その時点のもの」であるという。
◆上記いずれの場合でも、TKVは「スタートされた」または「開始された」という。
◆TKVのため、TKVに関与するいずれのTKV機器でも、具体的な措置がもはや行われない場合、TKVは「遡及的なもの」または「終了した」という。
◆すなわち、上記すべてのケースにおいて、TKVは「存在する」。
【0034】
ここで留意されたいのは、したがってTKVは遅くとも次の場合に開始/スタート済みだということである。すなわち、その端末システムの少なくとも1つの端末機器(たとえば電話機)において、そのTKVに該当する少なくとも1つの措置がスタート/開始済みの場合である。措置の例としては、受話器の取り上げ、またはローカルな入力/出力、または、TKVに何らかで関与する者による呼び出しの際の電話番号のローカルな選択、またはタイマの手動によるまたは自動的スタートであって、それにより呼び出しが行われるもの、等々)。
○その時点のTKVは、
◆TLNデータ交換がTKVで開始するまで、「接続確立中」にある。
◆このTLNデータ交換が開始すると、ただちに「開始動作中」となる。
◆TLN情報交換が開始すると、ただちに「動作中」となる。
この場合、TKV−TLNの少なくとも1つの「TLNデータ」または「TLN情報」が、少なくとも1つのTKV端末システムと、当該端末システムがその時点で利用する少なくとも1つのネットワークとの間で開始すると、ただちに「交換」が開始する。この場合のTLNデータまたはTLN情報は、最終的な/当初におけるTLN感知可能/生成可能な情報であって、この情報は、この端末システムを用いて、上記の(人ではないまたは人の)TLNに/から出力/入力され、またはTLNによって選択されたものである。
【0035】
TLNデータとTLN情報とは、次の点で異なる。
○TLNデータは通常、TKV、またはそのOSI接続、またはそのLi接続に管理(=生成、中断、終了など)が必要になった場合その管理のため、すなわち通常は、Li接続確立および/または動作開始の間交換される。それに対して、
○TLN情報は、TKVの目的達成のため、すなわちTKVの動作中に交換され−すなわちTKVの技術的生成/管理のためには交換されない。これについては上記に述べた。
両者の場合とも、TKVの(場合によってはそれぞれの)TLNの間で、または上記に述べた代理/部分機能等の間で、交換が行われる。
■本願で用いられる通信技術上のコンセプト/概念/用語は、国際標準「ISO 7498−1,Information technology−Open Systems Interconnection−Basic Reference Model:The basic model」、短くいうとISO/OSI参照モデルまたはOSI−RMで定義されている。このモデルは、標準的な当業者にとって、本願の拘束力あるアイデア/コンセプト上の基盤を形成している。
【0036】
大部分の特許請求の範囲における本発明のネットサーフィン法/装置に関する文言は−「疑似自然言語的」文言であるにもかかわらず−OSI−RMで定義された概念/用語に基づくもので、したがってすでにOSI−RMの通信技術的明確化/限定を受け、そのため「純自然言語的」意味の不確定性が排除されている。
【0037】
本発明によるネットサーフィン法/装置の説明がさらに広範囲に用いるのは、OSI−RMの用語/概念であって、たとえばOSI接続/PDU/SDU/レイヤ/Li接続などがあり、これらは、OSI−RMの「人工的」な用語/概念に属する−したがって各請求項の疑似自然言語的な文言/意味内容では避けられている。これにより、本説明は、OSI/RM人工言語/人工概念(たとえばそのうちいくつかは、たった今上記に挙げた)によって、標準的な当業者の表現能力の明確性を利用する。このことは、標準的な当業者には、各独立請求項におけるネットサーフィン法/装置の本質に関する、疑似自然言語的な説明を正しく理解していると、あるいは自己確認するに役立つと見なされるであろう。
【0038】
OSI用語/概念の下記における用法、とくに本願におけるOSI−RMの人工言語/概念について、予め下記の通りコメントしておく。OSI−RM人工言語/概念は、OSI用語/概念を、
○一面では、完全には述べることはできない。そのため、その代わりとして、上記の国際標準を参照されたい。その際疑わしい点があれば、本願が基準となる。そして、
○他面では、いくつかの箇所で、MHOの際にあたえられた諸状態を、若干であるが単純化/拡大する(下記および第D章参照)。
【0039】
最後に再度強調したいのは、本願においてはOSI−RM用語/概念の参照は欠かせないことだ、ということである。今日の現場でよく用いられる「インターネット隠語」は、法的文書に望ましい概念明確さをそれほど持たないが−この明確性を得るため、いつものこととなっている通信技術上の言語/概念の混乱からともかく改善するため、このOSI−RMが最後に開発された。本願の概念決定はこの場合、独立請求項の意味内容を確定するだけでなく、本発明による方法/装置の説明に対する理解を容易にし/明確化するためにも役立つ。−そしてとくに請求された保護範囲に迂回の試みがあれば、それを修正するのに役立つ。この迂回の試みは、本願における限定が許容されないとは証明されていないという理由だけから、限定することによって、まさにこの明細書によって、保護範囲を縮小しようとすることを言う。
【0040】
そのほか、全段落で強調された下記を混同してはならない。
○OSI−RMの参照が欠かせないこと。
○OSI−RMの基盤となる、ものの見方。すなわち、複雑なシステムの明確な説明は、いずれにせよそのシステムの多数の(実体的)実行の詳細の抽象化と、そのシステムの(そのように抽象化する=抽象的な)機能に視線を集中することを必要とする、という見方。
【0041】
むしろOSI−RMは、この基盤に基づいて初めて−すなわちたった今挙げた必要性に注意を払うとき−とくに通信システムに関する多数の視点の明確な説明に非常に役立ち、または必要でさえある、基本的なコンセプト、概念、用語を定義できたし、今も定義できる。
■いずれのn点通信プロセス(n≧2)でも、その任意の端末システムの2つの間に、たとえばA0とZ0との間に、抽象的な「OSI接続」が存在する−この接続は、両者端末システムにおける通信アプリケーションシステムに延びるが、このことを下記で説明する。いずれのOSI接続も、OSI−RMに従って、基本的に7つの「積層型」の抽象的な「Li接続」(1≦i≦7)に細分化されている。この接続を用いて、このTKVが、これら両者の端末システムA0とZ0との間で行われる(ここで「L」は「layer」を表す)。
【0042】
OSI−RMはこれをもって−あらゆるOSI接続のLi接続における、原則的に同じ「抽象化セマンティックス」の「7層」に基づいて−「OSI通信アーキテクチャ」を定義する。このアーキテクチャは、すべてのOSI接続の基本的な抽象化セマンティックスのこの「7層構造」に基づく。OSI−RMが、その通信アーキテクチャのこの基本的な7つの抽象化層を−個々のOSI接続のいかんにかかわらず−それぞれ「Li」(1≦i≦7)と呼ぶのはよく理解できる。
【0043】
個々のOSI接続には、いずれの「i」に対しても、複数のLi接続が存在する可能性がある。あらゆるこのようなLi接続は、その実現のため、同じOSI接続の少なくとも1つのLj接続を利用しなければならない。この場合、常にj<iである。−ただし下記を例外とする。
○もう1つのL7接続を利用できるL7接続(すなわちi=7)。
○通常「物理的媒体」を利用するL1接続。
この場合、複数のOSI接続のLk接続(1≦k≦7)を、または1つのOSI接続において複数のLk+i接続(1≦i≦7−k)を利用できる。
【0044】
OSI接続のL7接続はしばしば「通信用接続」と呼ばれる。なぜならば、この接続では、このOSI接続の基盤となる独自のTKプロセス、または当該プロセスをサポートする「通信アプリケーションシステム」という意味の「通信」が、唯一重要だからである(後者の「通信アプリケーションシステム」は、少なくともOSI接続の両端末システムに置かれる)。すなわち、L7接続は、この−場合によってその中で人のTLNを動作させる通信アプリケーションの−通信で利用された情報伝送(=L1〜L4機能)のモダリティから、全面的に、情報細分化(=L5機能)および情報プレゼンテーション(=L6機能)に抽象化する。L7接続に関知するのは、この「通信アプリケーション」通信における「インタラクション」だけである。
【0045】
TKV−TLNの1つ/1人がその両(TKV−)端末システムA0およびZ0の1つにおいてこのTKVを開始するとただちに、すなわちこのTKVが存在するとただちに、このOSI接続がA0とZ0間に「存在」する−すなわち、両者(OC0とそのTKV0)は、この時点ではまだ「将来起こりうる」状態であり得る(上記参照)。すなわちその時点以降、A0とZ0間には、このA0〜OC0〜Z0のL7接続が、このTKV0のために存在する。この接続は、これら両者のTKV−TLNがこのTKVを終了したと見なすまで存在し続ける(このことは、OSI−RMにおいてなら、このL7接続とOSI接続との終了と理解されるところである)。その後もこのTKVは、「遡及的」なTKVとして(上記参照)、すなわちOSI−RMによるモデリングに比べると、いわゆるオリジナルなものとして、存在し続ける。
【0046】
換言するならば、(TKVの)OSI接続が「存在」するのは、
○場所的には、両(TKV−)端末システムA0とZ0の間だけではない−より正確には、これら両端末システムA0とZ0の間には、このOSI接続のL3接続が存在する−当該接続のL7接続を用いて、これら端末システムA0およびZ0の各通信アプリケーションシステム間にも、そしてTKV−TLN間にまでも存在する。そして
○時間的には、このTKVがそのTLNにおいて開始するとただちに存在する−とくにこの時点以降、このTKVのTLN間におけるこのOSI接続のL7接続が存在する−そして、これら両TLNがこのTKVを終了したと見なすまで、上記OSI接続は存在し続ける。
【0047】
これに応じてこのOSI接続は、遅くとも次のような時点以降、存在する。すなわち、A0またはZ0で当該接続/TKVを生じる(TKV−)TLNの端末システムの端末機器において、当該接続/TKVのために何らかの措置が行われる時点以降である。OSI−RMによれば、そして本願による意味では、当該接続は、次のような時点以降は、すでに存在する。すなわち、当該接続の基盤となるTKVのTLNにおいて、それが予防的なものであれ、TKVが着手された時点以降である−この着手は、たとえば緊急電話番号(たとえば警察の110番または消防の112番)のアクセス可能性、またはTLNを呼び出す人のアクセス可能性に対する、TLNの明示的な、または暗黙のうちの自己確認によるものである。
【0048】
しかしこのOSI接続の何らかのLi接続(1≦i≦7)は、この時点で、まだ(抽象的に)実現される必要、あるいは実現可能である必要はない。すなわちLi接続の存在は、その(抽象的な)実現、または実現可能性を含意しない。より一般的にいえば、OSI接続とともに、その少なくとも7つのLi接続も存在するが、それらのうち、いずれのj(1≦j≦7)に対しても、Lj接続−およびこのOSI接続における他のLi接続との共同動作−が抽象的に実現される必要はない(OSI−RMは、実体的実現/実行にはいずれにせよ着目しない)。Li接続の(抽象的)実現が存在する必要があるのは、当該接続がその時点で(抽象的に)利用される間だけである。
【0049】
このことは、とくに少なくとも1つのL3接続が、L3加入者データの伝送のため、A0とZ0間でこのOSI接続に(抽象的および/または実体的に)実現されていなくても−これはHOではしばしば生じることである−、両端末システムA0およびZ0間のOSI接続が、このTKVのために存在し続けることを含意する。OSI接続のL7接続が(少なくとも当該接続の抽象的実現、場合によってはその実体的な実現が)、このHOケースで存在し続けることは、上記の「HOCIS法」によって保証できる(第A章および下記の「CI相関」に関する項を参照)。
■抽象的な「端末システム」は、その抽象的な人のユーザ−および/またはその人ではないユーザ(=ユーザ自動機械)および/またはその上記に挙げた代理/部分機能、TKV−TLNと見なされるものすべて−だけでなく、次のような抽象的な「端末機器」を含む。すなわち、その全体が1つの端末システム中にあるもので、かつ下記でも時にやはり「端末機器」と呼ばれるもの、すなわち人ではない機能グループ、たとえばLAN、WLAN、大型コンピュータ、データベース、PBX、RAS、ファイヤウォール、あらゆる種類のスイッチといった機能グループや、さらには、ネットワークアクセス、IAD、オン/オフ機器をも含む。端末システムにおける人ではない機能グループ(または端末システムにおける機能グループが人ではないものであって、かつ抽象的または実体的な実現)を、下記ではしばしば「モジュール」と呼ぶ。
■端末システムの抽象的な個々の「端末機器」は、それぞれ別個に着目することができる。とくに、
○加入者終端の端末機器であって、その電子的/物理的/音響的/光学的/「論理的」等々のユーザ表面を持つもの(本願ではしばしば携帯型であって、たとえば携帯型電話機に設けられている)。
○そのネットワークの「ネットワーク終端」(NT=「Network Terminator」)のための、ネットワーク固有の「端子アダプタ(TA)を持つ、人ではない端末機器」。この場合、
○端末システムの加入者終端または非終端の端末機器は、物理的/通信技術的なインタフェース、および/またはその他の端末機器を介して、互いに協力動作する。ただしこれらインタフェース等々は、通常そのいくつかだけが標準化されているものである。そして、
○非終端端末機器(およびそのTAおよびNT)は、とくに携帯型終端端末機器(たとえば携帯型電話機)に組み込まれているものであり得る−したがって前者の終端の端末機器も携帯型である。
【0050】
OSI−RMに合致する端末システムを、抽象的な人間と抽象的な機器とに、このように細分化することについて、次のことをコメントしたい。すなわちOSI−RMは、一見したところ端末システム細分化を避けるようであるが、最終的には明示的かつまったく明瞭に、この細分化を行っている。その原因は、通常は端末システムのL7に組み込まれている通信アプリケーションは、その本質の理解のためにいえば、その細分化が必要と考えられるからである。この必要性から、L7に関する諸規定(関連する国際標準として1994年のISO/IEC7498。それと同一なITU−T Recommendation X.200のとくに32/33ページ。これに対応する国際標準であって、たとえば1994年のISO/IEC9545や、それと同一のITU−T Recommendation X.207に記載のもの)では、OSI−RMに合致する抽象的な通信アプリケーションの機能構造の定義が生まれている。上記通信アプリケーションは、論理上必然的に、当該アプリケーションを組み込む端末システムにおける、対応する機能細分化を含意する。この細分化は、いずれにせよこれら端末システムに組み込まれたこのようなアプリケーションの領域で行われる。
【0051】
本願におけるOSI端末システムの上記の細分化は、OSI端末システムを人間とさまざまな種類の端末機器に細分化するという、OSI−RMに合致するものでありながら特殊かつとくに単純な機能細分化である(そしてこの細分化について、相応に単純化されかつ上記/下記に挙げる用語法をともなう)。
■抽象的な「サーバ」、すなわち「サーバ端末システム」、すなわち「人のTKプロセス加入者を持たない端末システム」は、ネットワークにおける−ネットワークプロバイダの管理下にあろうとなかろうと−次のような機能グループである。すなわち、本願ではやはり端末システム/端末機器と見なされるが、後者は終端/非終端に細分化できない、このような機能グループである。
■抽象的な「システム」は、端末システム/端末機器、またはネットワーク統合型コンピュータである。
■ある1つの端末システムの、それとともにこの端末システムの、これら非終端端末機器の少なくとも1つは、複数のネットワークへの(またはネットワークのネットワーク・アクセスポイントにおけるネットワーク・ファシリティへの)アクセスを持つ−これは、その端末機器がHOを−しかもネットワークの各「アクセスポイント」を経由して−実行できるようにするためである(下記参照)。当段落のこれら2つの用語はしばしば誤解されるため、それらの意味内容を(標準的な当業者には知られていることであるが、いずれにせよ本願には十分な程度で)ここでまず説明する。
【0052】
この当業者的な「アクセス」の定義は、(簡単な言葉で言うと)次の通りである。端末システム/端末機器は、ネットワークの機能上のアクセスポイントへの接続のOSI層、L1〜L3において、次のような通信を行うことができる時点で、「ネットワークへのアクセス」の機能を持つ。すなわちその通信とは、それによって、当該端末システム/端末機器が、とくにこのネットワークの端末システム/端末機器のうち、この時点で同様に当該端末システム/機器にアクセスする機能を持つものすべてと、データ伝送を行うことができるものである。その結果として、ネットワークの端末システム/端末機器は、ネットワークに対して必ずしも常時アクセスを持つ必要がない−知られているように、携帯型ネットワークの端末システム/端末機器の場合、これまではしばしばそれが必要になるのであるが。
【0053】
このネットワークへの「アクセスポイント」は、この場合、法的/営業的/技術的責任−この接続のデータ伝送区間(DUEA)の3つの層の機能に対する責任−がネットワークプロバイダから、この端末システム/端末機器およびそのDUEAの責任者に移行する箇所である。アクセスポイントにおけるこのDUEAにおけるネットワーク側の抽象的な終端機器は、「ネットワークターミネータ」(「network terminator」、NT)と呼ばれ、アクセスポイントにおけるこのDUEAにおけるユーザ側の抽象的な終端機器は、「端末アダプタ」、TAと呼ばれる。ネットワーク・アクセスポイントの実体的な実現においては、これら両者の概念的機能ユニット、NTおよびTAは、十分に一体化されている−これは、携帯型電話機の場合、通常はそうである。(とくに携帯型電話機について、次のことをコメントしたい。携帯型ネットワーク電話の「直接的携帯型ネットワークHO」を行う能力が、GSM/CDMA/サテライトの各ネットワークやWLANに関するものである場合、それを現在しばしば「FMC電話機」と呼ぶ(FMC=Fixed Mobile Conversion)。すなわちこの電話機は、電話呼び出しの際に、今日俗に固定ネットワーク技術と呼ばれているWLAN/VoIP技術のみならず、携帯型ネットワーク技術と呼ばれるGSM/CDMA/サテライトの各技術についても、それらの利用をサポートする。
【0054】
ネットワーク「アクセス」やネットワーク「アクセスポイント」の概念に関して、標準的な当業者の日常的、法的な理解に従っての説明によれば−当業者はなお、これらの用語がその他の概念によって説明できること、しかしそれらの概念は、それぞれの「参照モデル」を明示的に挙げることを必要とすることをも知っている(第A章のJ.Schillerを参照)−HOに直接かかわる携帯型端末システム/端末機器、とくに携帯電話が通常、1つの終端端末機器、そして少なくとも3つの非終端端末機器を含むことは、明らかである。
○携帯電話の終端端末機器は、定義によって第一に、通信プロセスの機能上の音響的/光学的/機械的なユーザ表面に用いられる。
○携帯電話の3つの非終端端末機器は通常、1つのHOにおいて、2つの異なるネットワーク/アクセスポイント/ファシリティと協力動作できるために必要である。これら端末機器は、その終端端末機器と、各携帯型ネットワークに対して機能するTA/NT各1つずつとの間において、そこで機能するデータ伝送のために機能する「スイッチ」に存在する。
【0055】
アクセスポイントという概念についてのこの説明は、最終的に本願において1つの概念上の混乱を解決する。その混乱とは、インターネットモビリティ技術に関する新たな技術的出版物における「Wireless Access Point(WAP)」という概念によって、下記2つの点で生じたものである。
○第一には、この「Wireless Access Point(WAP)」という概念は、「Integrated Access Device(IAD)」のシノニム、すなわち1つの機器のシノニムとして用いられることにより、誤解を招く。しかし(抽象的または実体的な)機器は、OSI接続のLi上における法的責任の移行箇所、すなわち本願の「アクセスポイント」とは、概念上で定義を若干異にする。
○第二には、「WAP」という省略形は、すでに長年にわたって、無線技術分野ではいずれにせよまったく別物、すなわち「Wireless Application Protocol」を表している−これは「access point」という概念と何の関係もない。なぜならば、アプリケーションがL7で行われるからである。しかしそれと異なる意味内容を持つ可能性あるネットワーク・アクセスポイントは、通常L1〜L3層に設けられる(その下には物理的媒体が位置する)。
■「HO」、すなわち端末システムおよびそのTKV(および両者のOC)の「HOプロセス」の場合−意味するころは上記TKVと類似する(詳細は上記参照)−、
○それが「将来起こりうる」というのは、HO/HOプロセスのために、端末機器において、その切り替え措置が何らまだ実行されていないが、そのための少なくとも1つの別な措置が端末機器中で、そして/またはすでに端末システム中で実行済みである場合である。そして、
○それが「その時点のもの」だというのは、そのためこのような切り替え措置が、すでに端末機器で行われた場合である。この場合、この端末システム/TKVは、その間、このHOに「該当された」といい、そして「切り替え」とは、HOの間、この端末システム(およびそのTKVおよび両者のOC)に利用されたネットワーク、および/またはネットワーク・アクセスポイント、および/またはネットワーク・ユーザフィーチャーにおける変化をいう。この場合、TKVのため、その端末機器の少なくとも1つにおいて、少なくとも1つのこの種の変化措置が「スタート/開始」されると、ただちに将来起こりうるHOがその時点のものとなり、そしてその後は、この種の変化措置すべての実行が−成功したにせよ、しなかったにせよ−終了するまで、その時点のHOが「動作」する。
■TKVのOSI接続における両者の端末システムは、2つの異なるネットワークに属することができる−これを図1に示す−その結果、抽象的な「OSIトランジットシステム」が、これら両者のネットワーク間でこのOSI接続を「リレー」(=「転送」/「リンク」)する。本願は、この抽象的な「リレーシステム」を、しばしば両ネットワークの端末システムと、そしていずれにせよそこをリレーされるOSI接続の「トランジットシステム」と見なす。この抽象的な「リレー」は、本発明によって、OSI接続の抽象的なLi接続(1≦i≦7)の少なくとも1つのために行われ−このOSI接続のリレーシステムで複数のLi接続がリレーされる場合、それらのリレーは個別に、そして/または共通のものとして行われる。
【0056】
ここで留意されたいのは、トランジットシステムのこのリレー機能は、少なくとも1つの将来起こりうるOSI接続を生じる箇所まで、すなわちとくには少なくとも7つのLi接続の少なくとも1つの(抽象的および/または実体的な)実現を生じる箇所まで、延びることができることである。
【0057】
このようなリレーシステムの例は、インターネットとPSTN/ISDN/UMTSとの間の、一般に知られているVoIPゲートウェイである。A0がインターネットに対する端末システムを、そしてZ0がPSTN/ISDN/UMTSに対する端末システムである場合、このゲートウェイを経由して、A0とZ0間の電話呼び出し/通話の少なくとも一部がリレーされる。当業者ならば知っていることであるが、A0とZ0間のOSI接続のLi接続を−一時的にまたは常時−複数のリレーシステムを経由して行うことができる。この例では、VoIPゲートウェイに加えて、たとえばSIPサーバをも経由して行うことができる。
【0058】
このようなリレーシステムのもう1つの例は、インターネットに対するWLAN−IADである。これは、L1〜L3上でWLAN端末システムと、このIADの「WLAN無線インタフェース」のプロトコルを用いて通信する。他方でこのWLAN−IADは、L1〜L3上でインターネット端末システムと通信するため、それに対応するインターネットプロトコルを用いる−このことは、このようなIADを経由してリレーされるOSI接続の対応するLi接続において、大量の「プロトコル−およびデータ変換」を必要とする可能性がある。L4〜L7接続のため、IADは、リレーの際にプロトコルおよびデータを変更することができ、あるいは変更できない。
【0059】
標準的な当業者には上記すべてと、それについてとくに次のことが公知である。すなわち、Li接続は(そのOSI接続の端末システムの少なくとも1つにモビリティがあるにもかかわらず−第A章参照−)、「IPアドレス・ターミナル・ツー・ターミナル・有意性」を生じるために、「トンネル」を持つことができる。このIPアドレス・ターミナル・ツー・ターミナル有意性を放棄すれば、さまざまに異なる機能を1つのリレーに収めることができるという、可能性が開ける−たとえばTLNをそれぞれ異にする複数のTKVをそのリレーに収めることができる。たとえば、端末システムのユーザ、すなわちTKVのTLNのため、このTKVの音声チャンネルを適切にオーバレイすることは、本発明にとって重要なことである(詳しくは下記を参照)−すなわちこれは、端末システムにおけるこのような「混合能力」を放棄する場合である(その理由はとくに、今日のFMC電話機あるいはPDAなどでさえ、この種の機能を持たないからである)。したがって、OSI接続のリレーがある場合、そのリレーは、このようなトンネルを取り扱うのか、取り扱わないのかを判断して、その機能が制限された「トンネリング・リレー」と、「トンネルフリーなリレー」とを区別できるようにもしなければならない。1つのシステムは、1つまたは複数のOSI接続のため、さまざまな種類の複数のリレーを含み/使用して、これら両者のリレー技術を、場合によっては平行して適用することができる。それに応じて2種類のMHOの間で、「トンネルフリーなMHO」と「トンネリングMHO」とを区別しなければならないが、その際、MHOがトンネルフリーなリレーを必要とするのか、またはそもそもリレーを必要としないのか、またはトンネリング・リレーを必要とするのかに従って区別する。
【0060】
すでに暗黙のうちに言及されていることであるが、本発明は基本的に−HOCIS法の項で説明したのとまったく同じように−端末システムAが端末システムZと行う「1次TKV(PTKV)」に、端末システムAが通常その他の少なくとも1つのシステムYと行うための少なくとも1つの「2次TKV(STKV)」を「混入」する。もっとも単純な例としては、PTKVとしてAがTVサーバZと行うIP−TV−TKVと、一方その間、STKVとしてAに到着するYからのVoIP呼び出しであろう。本ネットサーフィン法を、今日のFMC電話で適用したいならば、すなわち、MHOをたとえばもう1つのWLANにおいて、このシチュエーションで実行したいならば、この混合は、PTKVのための、上記の、この「トンネルフリーなリレー」という意味のリレーに場所を移さなければならない−このことは、一貫して単純化を提供するトンネリング技術を、ネットサーフィン法におけるその能力あるシステムによって排除するものではない。少なくとも1つのPTKVと少なくとも1つのSTKVの混合については、下記の「MHO措置」についての説明で、さらに述べる。
【0061】
最後に留意されたいこととして、IADなどのMHOMは、インターネットアクセスの代わりに、もう1つのネットワークアクセスを用いる。すなわち、PSTNアクセス、またはIADの1つの経由するもう1つのWLANへのアクセスである。ある1つのネットワークを経由して交換された情報がパケット化されている場合−とくにそのネットワークの交換技術のいかんにかかわらず−常にトンネリング技術を基本的には使用できる。
■「マネージドHO仕様書、MHOS」は常に、
○正確に1つのリアルまたはバーチャル(下記参照)なホームIAD、またはホームサーバ、またはホームシステム−これらを統一的な省略形「ホームMIAD」で表す−に割り当てられている。したがってMHOSは、必ずしも常にホームMIADに含まれている必要はない(この場合、1つのホームMIADには大量のホーム端末システムが含まれ、これらホーム端末システムは、ホームMIADの管理者だけが、ホーム端末システムとして定義できるので、この省略形は、MHOSの安全性/プライバシの視点について注意を喚起する)。
○MHOSの管理者だけが、MHOSを定義でき、そのホームMIADに割り当てることができる。
○上記管理者は、少なくとも2種類の「マネージドHO措置、MHO−Ma」を知っている。これらMHO−Maは、それによりコントロールするホーム端末システムの1つによって、そのMHOにおいて実行される。しかもこのMHOSを含むホームMIAD自体によって、そしてもう1つのシステムをコントロールしながら実行される。上記2種類のうち少なくとも1種類は、少なくとも1つのユーザ通信を生じる。そして、
○MHO−Ma諸実行のまとまっての作用は、1つのMHO実行として特定される。下記では単純化のため、(「ホームMIAD」の代わりに)ホームIADという場合がある。
【0062】
HOCIS法の上記のPTKV/STKVの用語法/概念による意味では、いずれのMHO−Ma実行も、それが少なくとも1つのユーザ通信を生じるものであれば、STKVである。
【0063】
ネットサーフィン法の1つのアプリケーションにおいては、その基盤となるTKVのHOは、その必ずしもすべてがMHOである必要はないが、MHOSはこのTKVにおいて少なくとも1つのMHOを生じる。このことは常に少なくとも1つのMHOSによって制御されている−すなわちこの制御には、複数の、場合によっては定義がさまざまに異なるMHOSが関与することができる。その逆に、ホームMIADが複数のMHOSを含むことができる。
【0064】
ホームMIADのMHOSの問題として、そのホーム端末システムのいずれが、MHOSを、いずれのMHOにおいて、これら措置のいずれに関して制御するのか、すなわち、これらの措置のいずれが、この端末システムのため、このMHOにおいて、他の措置といかなる関連において、実行されるかを、確定しなければならない。図6〜図8について、第D章で、MHOS(および従来のMHOM)の分配型の実行と、その実行可能性の視点を論じる。
【0065】
本願で、MHOSにおけるMHO−Maの種類に属するのは、
○1つのオプションとしての種類のMHO−Maであって、「MHO−コントロール措置、略称KoMa」を制御するもの。この種類のものは、MHOにおいてホーム端末システムによるNetxの利用に許容性があるかどうかの監視を行う。そして場合によっては、A0とこのNetxのため、すなわちトンネルフリーなMHOのため、トンネルフリーなネットサーフィンの接続/リレー(下記および上記参照)の生成、または適切な管理を行う。
○もう1つのオプションとしての種類のMHO−Maによって、すなわち「MHO−HOCIS措置、略称HOCISMa」(HOCIS=「HO Convenience Information Support」、第B章参照)によって、ホーム端末システムのユーザのため、さまざまなサポート措置が、将来起こりうるおよびその時点のHOに関して、制御され、実行される。
○場合によってはトンネルフリーで行うことができるいわゆる「GeMa−MHO」のためには、「MHO−営業措置、略称GeMa」という種類のMHO−Maが不可欠である。他方この種類はMHOのためにも選択できる。両者のケースとも、1つのホームMIADが、GeMaの実行制御を用いて、そのプロバイダのため−そして場合によっては、彼と営業的に協力する共用IADのプロバイダのため−MHOまたはGeMa−MHOが行われる間、さまざまな営業的措置、たとえば宣伝的種類の措置を、実行することができる。この場合、GeMaの実行は常に、そのホーム端末システムがHOにちょうどかかわっているTKV−LTNとの通信を実現する。この場合このTLNは、この通信を承知しておく(すなわち何らかの確認をする)必要があり、あるいはその必要はない。
○オプションのMHO−Maのその他の種類は、1つのMHOSのために、またはその中で、任意に定義可能または指定可能である。これはたとえば、IP−TV−TKVのVoIP−TKVへのオーバレイ(あるいはその逆)を可能とするため、そして−それが誰によってであろうと−制御させるためである。
○話を単純化するために、HO自体−すなわちMHOの基盤となるプロセス−もまた、オプションの「MHO−HO措置、略称HOMa」と見なす。
【0066】
個別かつそれぞれ固有のこのようなMHO措置を、下記では通常、最後に「0」をつけて標識し(たとえば「GeMa0」または「HOMa0」)、そして遡及確認のため接頭辞「MHO−」をつける。
【0067】
いずれのGeMa−MHOも、次のような意味で「CI相関」(CI=「Convenience Information」)されている。このGeMa−MHO特性が、GeMa−MHOが実行される間、付随する少なくとも1つのMHO−GeMaが、−暗黙のうちにであれ、明示的にであれ−オプションのMHO−Maの実行と関連して実行されるという事実関係の特徴となっている。トンネルフリーなMHOにおけるGeMaは、CI相関である必要はないが、CI相関であることは可能である。
【0068】
この直観的にはもしかしたら直接理解できるように思われるCI相関特性、すなわち1つのMHO−GeMa実行と、GeMa−MHOにおけるオプションとしての少なくとも1つのMHO−Ma実行とのCI相関特性、たとえば「GeMAと、HOMaおよび/またはKoMaおよび/またはHOCISMaなどとのCI相関」については、確実を期するために、下記でさらに詳しく説明する。
【0069】
とくにこのようなCI相関は、明示的なものと、暗黙のうちのものとを区別しなければならない。この場合、CI相関のこれら両者の種類は、互いに完全に独立している。特定のMHO−GeMa0(およびこれを利用するネットサーフィン法)は、これらオプションとしてのMHO−Ma0の少なくとも1つと−両者とも同じネットサーフィン法におけるものである−
○「明示的に相関する」と呼ばれる−これは、オプションとして指定された少なくとも1つのMa0実行順序という点で、下記で指定されるGeMa0実行順序のいかんにかかわらず、そう呼ばれる−ただしこの場合、GeMa0またはそのMa0から(それらの実行中に)少なくとも1人のTLNに通信された少なくとも1つのメッセージが、あらゆる種類のこのような関連を記述し、あるいはこのような関連に関係付けられるものとする。そして、
○「暗黙のうちに相関する」と呼ばれるのは、次のことが当てはまる場合である。このネットサーフィン法のため、TKVが次のようにして存在する。すなわち、このTKVのTLNと、この端末システムの(将来起こりうるおよび/またはその時点の)HOのために、
◆このMa0およびこのGeMa0の実行が少なくとも1つ存在する。
◆そしてTLNにおけるこのGeMa0実行および/またはその表示の開始時間は、
・Ma0実行の開始時点の30秒前以後、かつ
・Ma0実行の終了時点の30秒後以前とする。
この場合TLNがこのMa0実行について、知らされるかどうか、いつ知らされるか、どのような方法で知らされるかは、重要ではない。
【0070】
ホームMIADプロバイダ−より正確には、当該プロバイダのMHOS−が、その管理する端末システム(およびそのユーザ)のために行うGeMaのこの種の相関を用いて、付随するGeMa通信を、「できるだけ」TKV(たとえばVoIP呼び出しにおけるネットサーフィン法の基盤となるTKV)中に取り込む。そしてこのような(当初はTLNが求めたものではなく、したがってTLNには場合によって迷惑と感じられた)営業通信のこのできるだけ有利な取り込みは、HOプロセスの経過の中で行われる。すなわちこの取り込みを次のように構想することができる。すなわちこの取り込みが、この営業通信によってTKV−TLNを「できるだけ邪魔しない」ようにするだけでなく、TLNがこの取り込みをこの時点では役に立つと感じるように構想する−このことは、このような営業通信の顧客側の受け入れ/実効性を決定的に改善する。そしてこの種の「有利な瞬間」をできるだけすべてのHOに際して生み出すことは、適切に構想されたHOCIS諸動作の役目である。そのCI相関特性−この特性は、オプションとしてのMHO−Maすべてを、相関の基盤として受け入れる−に基づいて、ネットサーフィン法は、VoIP呼び出しにおけるHOについていわれる迷惑の潜在的可能性を変換して、たった今概略説明したHOの快適性上、営業上の潜在的可能性とすることを、簡単な方法で可能とする。したがってGeMa−MHOのこのCI相関は、コンビニエンス生成型−したがってその名前Convenience Informationの通り−と見なしてよい。たとえこのCI相関が、ネットサーフィン法における最適な「生産性展開」のため、通常は多分HOCISMa相関であるとしてもである。
【0071】
GeMa−MHOに関する議論を終えるに当たって、次のことをコメントしたい。それは、将来ネットサーフィンの大部分のMHOが−GeMaまたはそのCI相関が放棄可能である場合を含めて(請求項2を参照)−今説明したHOのGeMaのための営業利用を適用するかもしれないことを、本願の筆者が期待していることである。なぜならば、その費用/効用の収支を、すべての関係者が肯定するからである。
【0072】
最後に述べた件をさらに詳しくいうと、このMHOS−/GeMa−MHO技術は、本発明のWサーフィン法の下記2つの基盤を実現する。
○第一には、とくにVoIP呼び出しの分野で、会社内のホームIADを、そのプロバイダの新しい種類で効果的な経済行為の原動力とする、そしてしかもできるだけ公共の共用IADの関与の下にこれを行う、経済基盤。
○第二には、快適で高性能な通信技術を、すべての人口集中地域で、短期的かつ安価に、あらゆる人の将来のマルチメディア端末システムに(とくにそれらのIP−TV能力を利用するため)提供する、社会的基盤。なおこれは、今日の(GSM、CDMA、UMTS、Wimaxなどのほか、それらの誘導物に基づく)携帯型ネットワーク技術だけの場合よりも安価である−この場合、今日の携帯型ネットワーク技術は、共用WLAN技術が利用できないところ、または安価には利用できないところでは、「後ろ向きの技術」としてなら意味を持つものである。
【0073】
CI相関するMHOS−/GeMa−MHO技術のいくつかの例、およびそれに関するコメントによって、上記をさらに説明できる。
○ホームMIAD0は、自らに割り当てられたオプションのMHOS0/機能1を用いて、(ホームMIAD0のホーム端末システムである)WiFi電話A0のHOの開始前、または開始の時点で、次のことを決定する。すなわち、自らが、他の電話Z0へのその時点のTKV/OC0(これはMHOM0を経由するリレーである)を用いて、IAD1へのMHOを実行してよいかどうかを決定する。(=MHO−KoMa)
○ホームMIAD0は、やはり自らに割り当てられた、オプションのMHOS0/機能2を用いて、上記のHOの開始前、または開始の時点で、このTKVの両者TLNに、将来起こりうるおよび/またはその時点のHO実行について知らせる。(=MHO−HOCISMa)
○ホームMIAD0(またはそのMHOS)は、やはりホームMIAD0に割り当てられたGeMa−MHOの義務あるMHOS0/機能3のため、次のような営業的措置を実行する。たとえば、このHOにかかわるホームMIAD0のホーム端末システムのユーザへの、またはこのTKVの両者TLNへの、1つの宣伝的内容の通信を実行する−この場合、この追加的な技術的通信は、先行する決定(その決定が何かは重要ではない)の前、またはその間、またはその後に行われる。(=MHO−GeMa)
【0074】
この小さな例から明らかなように、このMHO−GeMaの実行は、上記のMHO−KoMaの実行と(この場合、このCI相関は、このMHO−KoMaの実行がTKV−TLNの1人に対する通信であることを、必要としない)、とくに上記のMHO−HOCISMaの実行と、もっとも有利にCI相関して行われる−この場合、CI相関は、とくにVoIP呼び出しにおいて通常次のことを利用する。すなわち、このMHO−HOCISMaは通常いずれにせよ常に両者TKV−TLNと通信する、ということを利用する。しかしこのことは、ネットサーフィン法の使用が、HOCIS法をも使用しているときにだけ可能であるということを、意味しない。前者の使用は、技術的に見て、後者の使用にまったく依存しない。そして内容的にも、ネットサーフィン法のMHOとして、そこでMHO−GeMaとMHO−HOCISMaとのCI相関がほとんど意味を持たないものが、想像可能である。
【0075】
この場合、
○ホームMIAD0のこのような(このようなMHO−KoMaに基づく)決定のみならず、その定義上可換的なHOCIS措置および営業上の措置も、たとえばIVRシステムについて一般に知られているような意味で、インタラクティブなものとして構想することができる−たとえば、ホームMIAD0にサポートされる共用IADに対する端末システムのユーザとも、そしてこの共用IADのその他の営業パートナとも、インタラクティブなものとしてである。
○このMHOSは、少なくとも1つの通信ステータスを意図することができる。そしてこの通信ステータスを、ホームMIAD0によって−たとえばそのMHO−Maによって−捕捉/変更/評価し、そしてたとえば上記の決定の際に考慮することができる。そしてこの通信ステータスは、このような決定に対して下記の影響を持つことができる。
○ホームMIAD0のこのMOHS制御されたMHO−Maは、文脈保存的に形成することができる(たとえば将来起こりうるTKV/OCの間は、TKV/OCが動作中の間とは異なるものに構想することができる)。そして/またはマルチメディア的に形成することができる(たとえば、TLNへの音響信号の後、またはそれと同時に、平行して、そして場合によってはそのVoIP音響情報を損なうことなく、テキストの情報またはグラフィックな情報を、TLNの端末システムにコピーすることができる)。
○あらゆるMHO−Maのあらゆる抽象的および/または実体的な実行の中で、すべての種類のMHO−Maを互いに非常に密接に絡み合わせ、その結果、これらの種類を、その該当する端末システムのユーザには、そのような個々の種類としては識別不可能な状態とすることができる。そして、
○ホームIADプロバイダは、そのホーム端末システムの少なくとも1つのおよび/またはすべてのエンティティ(たとえば当該ホーム端末システムのOCのエンティティ、および当該端末システム自体のエンティティ)のため、それぞれ内容的に同じまたは異なるMHOSを確定し、当該MHOSをそれに応じて精細に、または非常に単純に構想することができる。後者に挙げた構想するとは、MHO−KoMaの中に常にトリビアルな限定だけを適用することと(例を挙げると、「新しいMHOMホストシステム=ホームIAD」および「新しい端末システム=ホーム端末システム」)、MHO−GeMaの中に常にトリビアルなユーザ通信だけを規定することをいう(その例を下記に挙げる。
◆「端末システムAxに対してHOリスクがあるとき>‘1x−音響短信号’および‘その時点の−共用IAD−プロバイダID−点滅’および‘信号強度−点滅’」
◆「端末システムAxに対してHOを開始するとき>‘2x−音響短信号’および‘その時点の−共用IAD−プロバイダID−bye−アナウンスメント’および‘信号伝送−点滅’」
◆「端末システムAxに対してHOを終了するとき>‘3x−音響短信号’および‘新たな−共用IAD−プロバイダID−hallo−アナウンスメント’および‘新たな−信号強度−点滅’」
◆「端末システムAxに対してHOが失敗したとき>‘7x−音響短信号’および‘3x−音響長信号’」
音響短信号/長信号の通信をHOCISMaとして評価できる一方で、共用IAD−プロバイダID−アナウンスメントは、定義上(基礎的な)宣伝情報通信である。この種のMHO−Maは、MHOSにおけるホーム端末システムすべてにグローバルに、あるいは個々の当該端末システムを選択して、指定されたものであり得る。そして後者端末システムは、固定されたコンフィギュレーションを指定されたものであり得る(しかしこのことは、ここでは重要なことではない。なぜならばこれは、本発明の形成と実体的実行の問題だからである)。
【0076】
標準的な当業者には、バーチャルまたはリアルなホームMIADのプロバイダのMHOSが、Wサーフィン法の1つの実体的実現(=実施形態)においては、このホームMIADの仕様書であることが公知である。この仕様書はその一部または全体が、このホームMIADに、そのプロバイダによっていずれにせよ入力され、そして/または、すでにその中に含まれていて、プロバイダにコンフィギュレーションされるだけであり、そして/または、そこにセットされて固定されている。そして、このホームMIADの−このMHOSに属する−MHO−Maは、このホームMIADによるこのMHOSの翻訳によって実現される。当業者にはまた次のことも公知である。すなわち、何らかの特別なMHO−GeMaとその特別なCI相関は、本発明の本質には属さないが、これら両者とも、あらゆる(請求項1による)MHOSに存在する。その結果、いずれにせよあらゆるGeMa−MHOは、このようなMHO−GeMaを実現するため、「MHOされた」端末システムおよびそのホームMIADのユーザ間で、CI相関で限定された通信を行うという、特殊な技術的特性を特徴とする−しかしその他のMHOもまた、この特徴を持つことができる。
■MHOSの属性「ホームMIAD プライベート」は、ほかならぬこのホームMIADのプロバイダだけのために、上記の特徴を持つこのMHO管理措置の「プライバシ」を強調するためにのみ用いられる。ここでコメントしておきたいのは、抽象的なホームMIADプロバイダは、2人のそれぞれ異なる実体的個人によって実現することができること−抽象的な「プロバイダ」とは、「実体的なプロバイダ個人および/または実体的な管理者個人」を表すことである。
【0077】
このプライバシは、このホームMIADの−上記ホームMIADプロバイダを第一者とすると−第二者が、プライベートなMHOSを受け、あるいはセットし、あるいは第一者が知らなくても、またその合意がなくても変更することを排除しない。この第二者が、とくに何らかの種類のネットワーク(このホームMIADのネットワークではない)の、またはサービス(このホームMIADのサービスではない)の、プロバイダおよび/または管理者であるならば、この第二者にとって、このMHOSはアクセス不可能、かつ理解不可能である。しかしこのプライバシは、ホームMIADプロバイダが、いずれのMHOSをこの第二者にそもそも割り当てることができるかを、第2者が知らない、あるいは知ってもよいことを意味しない。そのための最終的に必要かつ知られているTLN情報のコード化については、ここでは深く立ち入らない。
■2種類のホームMIADがある。「リアルなおよびバーチャルなホームMIAD」の各種類である。両種類とも、場合によって抽象的実行におけるものも、実体的実行におけるものもある。いずれのホームMIAD−リアルなものもバーチャルなものも−にも、概念上は正確に1人の「論理的」管理者と、1人の「物理的」プロバイダが存在する。リアルなホームMIADの場合、その管理者とプロバイダは同一である−このことは、上記2つの実行において、同じである必要はない。
■これまでの用語法から容易に思いつかれたであろうが、本願では、「MHO」、「MHO法」および「MHOプロセス」という用語/概念それぞれが、そして「MHO−PDU」および「PDU」(PDU=protocol data unit)という用語/概念それぞれが、時にシノニム−したがってこの用語法は若干単純化され、わずかに拡大されている−として用いられる(とはいえこのことは、前半のグループではそれ自体は許容されない。なぜならば、抽象的な「プロセス」は、常に抽象的な「方法」の抽象的なアプリケーションだから、すなわちその抽象的な「アプリケーション・インスタンス化」だからである)。
■最後に、本願の条件に適合された用語/概念をいくつか説明する。
○「ホームWLAN」あるいは「ホームNet」。本願では、端末システムA0が、管理上、ホームWLANあるいはホームNetに、およびその本発明による少なくとも1つのリアルまたはバーチャルなホームMIADに割り当てられている。A0は、このホームWLAN/ホームNet/ホームMIADにとって「ホーム端末システム」である。本発明によるホームMIAD/ホームWLAN/ホームNetの簡単な例は、WiFi−IAD/WLANとそのホーム端末システムA0(WiFi電話機を持つ個別の個人)とを用いて実現することができる。このWiFi電話機A0は、任意の共用WiFi−WLANすなわちWx、あるいはNetxを用いて、本発明によるWサーフィン/ネットサーフィンを行うことができる。ただしこの場合、A0は、Wx/Netxで単に「チェックイン」できるだけであり(下記参照)、そしてA0のホームMIADは、本発明によってMHOS/MHOMを含むものとする(そしてこのMHOS/MHOMは、Wx/NetxのIADxによって、Wサーフィン接続を動作させる用意があるものとする)。
【0078】
この一般に知られたホームWLAN/ホームNetの概念を、本願では、第1には、ここで用いられているWLAN/Netの概念に拡張する(第B章参照)。第2には、この概念を、可能性ある、そして「非本来的に」付随するホーム端末システム、たとえば上記のA0のような電話機に拡張する−この場合、この非本来的な「ホーム」特性は、何らかのIAD/サーバに、端末システムの次のようなKS(下記参照)によって誘導されたものであり得る。すなわち、その端末システム自らのKS、またはそのOCのKS、またはそのTKVまたはその他の端末システムのKS、またはホームWLAN全体の、またはこのIAD/サーバなどのKSによってである。したがって1つのKSから生じることとして、端末システムまたはTKVまたはIAD/サーバのOCを、たとえば本来それが役目のMHOMによってリレーできるようなり、またはリレーしなければならなくなる。これは、たとえこの端末システムが、何らこの(上記の意味の)MHOM/IAD/サーバの本来のホーム端末システムでなくても同じである。本願では、ホームWLAN/ホームNet/ホームMIAD/MHOMに、その本来的なホーム端末システムも、非本来的なホーム端末システムも属する。
○「チェックイン」。たとえばWiFi/WLANまたはその他のネットワークの電子信号を受信する端末システムA0が、この信号を通常まず−とくにインターネットを経由する−通信に利用できるのは、次の場合である。それは、この端末システムが、その(場合によっては複数の)IADまたはベースステーションなどの1つにおいて、このネットワークの利用権限の獲得を申し込んだ後である。利用権限がこの端末システムにあたえられると、A0はこのネットワークにチェックインしたことになる。A0とそのIAD/ベースステーション間のこの手順またはプロトコルは、それに従って、ネットワークの利用権があたえられるための申し込み、またはその提供/受け取りも行われるのであるが、この手順またはプロトコルは、本願には重要ではない。
【0079】
しかしここで定義しておきたいこととして、A0がこのNetxでチェックイン済み、またはチェックイン可能である場合、A0はNetxに「アクセス可能」であるという。場合によっては、第D章で説明したように、A0は、そこで「Wサーフィンチェックイン済み/チェックイン可能」であれば十分である−この場合、このようなチェックイン制限、またはチェックイン可能性の制限の、可能性あるモダリティおよび実行は、本願においては重要ではない。
○「ネットサーフィン接続(NSC)」。これは、A0とZ0間における、OC0のOC0セグメントの少なくとも1つのL3接続である。すなわち、A0と、WLANx/NetxにおけるシステムS0との間のものであって、このWLANx/Netxは、A0のホームWLAN0/ホームNet0とは異なる。
○「通信ステータス KS」。上記ですでに説明したように、特定の通信アプリケーションのTKV/OCは、Wサーフィン法に基づいて(たとえば緊急呼び出しまたはあらゆる種類の割引料金呼び出しといった特定の特性を持つTKVの場合。すなわち顧客サービス呼び出し、または監視される呼び出し、または未成年者の呼び出し、または特定の遠距離ネットワークまたはWLANまたは場所の呼び出し、または特定時間におけるイベント)次のような特性を特徴とする。すなわち、端末システムA0のWサーフィンの際には、優先的に当該端末システムが処理されるようになる−そのため、たとえば当該端末システムがその処理に単に技術的にのみ適している場合でも、当該端末システムのOCは、それが誰によってであろうと、リレーされることができ、あるいはリレーが必要とさえなる。(この場合、この優先性の必要/有意であることの、経済的、または法的、またはその他の根拠付けには、本願は着目せず、その根拠付けが存在し得るかどうかだけに着目する)。
【0080】
またこのKSは、OCのリレー処理でありながら不利に働くものなどをも含む可能性−いずれのIAD/サーバによる、いかなる処理であろうと、完全なリレー拒絶までを、すなわち諸エンティティの「ホーム」特性の否認までを含む可能性−がある。
【0081】
したがって、本発明による方法/装置のKS、またはOC0のエンティティ(下記参照)のKSは、OCのリレーイングのこの種の特性集合を劣化させる。
○「OC0のエンティティ」。これは、OC0のLi接続のLiエンティティ、Li接続自体、実現に必要な少なくとも1つのネットワーク、および場合によっては必要なその他の手段をいう。
【0082】
図4のフローチャートは、独立請求項1の方法諸段階を示す。図5は、請求項14〜16に記載する本発明による装置の抽象的手段のHW−/SW構成要素を示す。バス(1)には、通常次のものが接続されている。とくにMHOSを含むMHOM−SWモジュールを記憶するためのメモリ(2)。とくにMHOSに合致するこのMHOM機能を実現するためのプロセッサ(3)。少なくとも1つのネットワークを経由してMHO−PDUを送信/受信するための出力/入力装置(4)。MHOMと、少なくとも1つのローカルな非MHO機能モジュールとの間で、少なくとも1つのMHO−PDUを交換するための出力/入力装置(5)(場合によっては、装置に関する独立請求項の1つの手段をともなうローカルな結合装置を介して実行する)。
【0083】
したがって本願はとくに、抽象的なHW−/SW機能構成要素からなる抽象的なネットサーフィン装置に着目する。この場合、機能上のネットサーフィン装置構成要素のHW/SWへの割り当ては、まったくどうでもいいことである。重要なのは、抽象的なネットサーフィン装置の機能構成要素の抽象的な実現は、次のものを用いて行うことができることである。
■独自かつ機能に関するネットサーフィン装置のHW/SW構成要素。
■同機能および/または機能上適切な端末システム/IADのHW/SW構成要素。または、
■他のシステムの同機能および/または機能上適切なHW/SW構成要素(たとえばオペレーションシステムの、および当該オペレーションシステムに管理されている機能上のHW構成要素)。
【0084】
したがって、上記第1のケースを除いて、Wサーフィン装置の構成要素と、他の上記システムの機能構成要素との間で、「抽象的なHW/SW resource sharing」が行われる。この抽象的なHW/SW resource sharingは、このWサーフィン装置の実体的実現、すなわち実施形態の中に再び存在し、あるいは存在せず、そして第1の場合では「実体的なHW/SW resource sharing」と呼ばれる。すなわち、抽象的なネットサーフィン装置の端末システム/IADにおけるネットサーフィン装置の抽象的実現は、たとえばオペレーティングシステム(と当該システムに管理される抽象的なHW構成要素)の、それぞれ同機能または機能上適切で抽象的なHW/SW構成要素を、抽象的なresource sharingを介して共用することができる。
【0085】
対偶論法における推論。ネットサーフィン装置の1つの抽象的な実現が、ネットサーフィン法によってサポートされる抽象的な端末システム/IADを補完するためのものである場合、当該実現には、この抽象的な端末システム/IADのHW拡張を、場合によってはまったく必要としない。なぜならば、この端末システム/IADの抽象的なHW構成要素は、この抽象的な装置実現に十分だからである。すなわちこの装置実現は、サポートされる抽象的な端末システム/IADとの「抽象的なHW resource sharing」によって得ることができるからである。そうであればこのことは、実体的な端末システム/IADとその実体的HW構成要素を用いる、このネットサーフィン装置の端末システム/IADの実体的実現にも適用することができる。
【0086】
ネットサーフィン装置の手段について、その抽象的なHW/SW構成要素のモデル化をめぐる上記の議論は、特許請求の範囲の文言/意味内容による手段のうち、純粋機能上の種類のものを明らかにするのに役立つ−「ネットサーフィンの疑いある」具体的な実施形態によるこれら手段の実現物を見て、この実施形態が本願の保護範囲を侵しているかどうかを、判断することができる。
【0087】
本願は、当面まず、ネットサーフィン法/−装置の実施形態として、その実体的HW構成要素を完全に実現されたもの、かつこ実体的な端末システム/IADの実体的HW構成要素を用いて実現されたものを目指す。この端末システム/IADは、このような実施形態によってサポートされる(ものとしたい)−すなわち、全体として、追加的な(ネットサーフィン装置によって生じた)実体的なSW構成要素だけを含む。したがってこの種のネットサーフィン装置の実体的実現は、その装置の実体的HW構成要素と、サポートされる実体的端末システム/IADの実体的HW構成要素との、実体的なResource Scharingに基づく。
【0088】
ネットサーフィン法の実体的実現は、すべて実体的SW構成要素によって可能であるということは、標準的な当業者には基本的事項である。また標準的な当業者は、ネットサーフィン装置に関する請求項に記載するすべての手段が、実体的にはSW構成要素によって実現可能であることを、ただちに理解する−ただしこの場合、これらの手段は、図5の抽象的なHW構成要素には基づかない。それらの構成要素は、実体的なResource Sharingによって、実体的に実現可能なものである(上記参照)。しかし本願の保護範囲は、このような特殊な実施形態には限定されず、これら実施形態は、場合によって、ネットサーフィン独特の追加的なHW構成要素を含むことができる。
【0089】
D. 本発明に関するその他の説明
この第D章は、本願の意味内容および/または保護範囲が、−本願の意図的に抽象的に構想されて、したがって網羅する範囲が非常に広くなった特許請求の範囲の文言からではなく−本願の非常に限られた実施形態の例から求められたり、それら実施形態に限定されたりするのを防ぐのに、役立てるためである。−これはたしかに「特許論理上」は奇妙なことであり、とくに特許法上まったく許容されないことであるが、それでも本願の筆者たちにとっては、彼らの別な特許においては法的な争いの中で生じたことがあり、したがって本願の文言を非常に強く性格づけている。(特許の解釈方法/意味内容の特定方法のその他の方法よりも)特許請求の範囲の文言による特許の解釈方法、すなわち意味内容による特定方法が優先することは、すなわちあらゆる特許法規の基準として誤解の余地なく確定されている。
【0090】
上記2つの理由から、第D章は下記に、本願の発明の本質を、その方法に関する請求項について若干複雑な説明をすることによって述べる。その後では、装置に関する請求項について再び上記請求項に匹敵する複雑なコメントは不要となる。したがって第D章は、本発明による方法/装置の説明の一部をなす。
【0091】
最初に、−その一部は本願ですでに言及した−下記3つの視点を記憶されたい。
■本発明による方法/装置の個々の特性は、本願に挙げない限定を受けない。本発明による方法/装置の個々の特性の「全体的関連」による限定については、仮にその全体的関連が本願のいかなる文言によって正当化されるとされ、その理由から、誰がそのような「全体的関連」を推測しようと、それがどのように構築されようと、とくにそのような限定を受けない。
■本願のすべての特許請求の範囲の文言/意味内容は、本発明による方法/装置のこれら特性の唯一その本質だけについて定義するので、本願は、本発明の実施形態のこれら特性の実体的実現のバリエーションについては何も述べない−むしろこれらの特性は、「機能上の」あるいは「抽象的な」もの、すなわち「純粋に概念上の」ものである。
■本願(その請求項を含む)には、「1つの」という1語と(「少なくとも」が付加されない場合)、「少なくとも1つの」の活用/格変化/その他の変化すべてとが、記載されている−両者の置き換えは、それに意味がある箇所ではどこでも可能である。
【0092】
請求項1および2について。これら請求項の最初の段落は、Wサーフィン法が動作する際に用いられるTK配置物の、基本的な用語/特性を確定する。
■そのため第1に想起されたいのは、本願では、請求項1/2に記載のOC0(第C章参照)は、将来起こりえさえすればそれでよい、ということである。これに関して知られている例は1つのOSI接続であって、何らかの緊急電話番号、たとえば警察の110番または消防の112番の呼び出しをスタートすることを、遅くともTLNが決定するとともに、この接続は概念上で成立する−すなわち、(抽象的な)TLNが(抽象的な端末システムA0の一部として)緊急電話番号を呼び出そうと考える時点で、この接続は(将来起こりうる状態で)存在する。もう1つの例は、A0加入者と潜在的可能なZ0加入者との間の将来起こりうるOSI接続である。このA0加入者は、Z0加入者が彼を呼び出すとき、彼はZ0加入者にとってアクセス可能でありたいと望んでいる。この場合、MHOの時点に対しては、このようなZ0加入者がすでに存在していると想定されている−この想定の正当化は、この場合重要ではない(しかし正当化されていないわけではない)。IP−TV通信アプリケーションを利用する場合、その将来起こりうるOC0は、遅くともA0のユーザが呼び出し後「プログラム選択」を行うと、ただちに存在する。
【0093】
この場合、本願における単語略記法の1つを訂正したい。「A0とZ0との間のTKV」というとき、これは、「A0およびZ0における各少なくとも1人の加入者のうち、各1人の間のTKV」をいう。
■第2には、すでにここで挙げた
○「MHO−GeMa」に関する請求項1、および
○A0−OC0のリレーに関する請求項2に
記載の特性は、HO技術またはインターネットモビリティ技術の従来の方法によっては、実現されない。この種のHO管理上の特性は、これまでまったく知られていなかったものである(第A章および第C章参照)。
【0094】
請求項1および2の段階a)およびb)についても、短い説明をしておく。この場合、そのほかにも−a)およびb)には挙げないが、標準的な当業者には明らかな−ここには挙げる必要がない、ネットサーフィンに必要な段階があることは、アプリオリに明らかである。
■請求項1/2に記載する、Netxに対するA0のMHOの実行は、点検段階a)が少なくとも1回実行されるとき、「Netxに対するA0のアクセス可能性信号の存在」が確認されることによってスタートされる。本発明の上記の説明は、このことを何ら限定しないので、この文言a)の意味内容から、上記を容易に理解できる。−何らかの種類のものであって、いずれかの箇所で確認される−1つの信号が存在して、その存在が述べるのは、A0はNetxでチェックイン済み/チェックイン可能なので、A0はそこで、NetxのIADxまたはBSxと、そのホームMIAD0とを用いて、インターネット全体の端末システムすべてと通信でき、そしてNetxにおけるこれら端末システムからアクセス可能だということである(第B章冒頭と、第C章末尾参照)。
■段階a)およびb)の抽象的または実体的実行は、両段階を任意にオーバラップさせることができる−標準的な当業者は、たとえばa)およびb)を実行するために、a)の事前点検を別個に行う必要がないことを知っている。とくには、文言/意味内容通りに、点検a)を1回または複数回実行することができる。
■請求項1または2に記載するMHOの実行は、1つの実体的実行において−段階a)およびb)だけでなく−その他の段階をも前提/含意/利用できる。これらその他の段階は、場合によっては自動化して行うことができ、そして/または、たとえばIP−TVを利用するときのように、その他の、または新たな、オプションのMHO−Maを含むことができる。すなわち請求項1および2は、その方法を実体的に実行するときの何らかの問題について、たとえばA0のNetxへの実際のチェックインを、いつ、いかにして、いかなる条件の下に行うことができるか、そして/または行わなければならないかについて、まったく何もいわない。しかし標準的な当業者には明らかなことであるが、MHOをa)〜b)に従ってスタート、および/または実行、および/または終了できるようにするためであっても、チェックインに必要な方法段階のいずれも実行する必要がない場合がある(これはとくに、端末システム/IAD/BSなどに対して、インターネットIPv6を実行する際に起こり得ることである)。ということは、ネットサーフィン/Wサーフィン法を、次のような場合でも完全に、そして何回も行うことができる。すなわち、ネットサーファまたはその端末システムが、そもそも何らチェックインされていない場合、または、それを予防的に行う、リアルまたはバーチャルな、かつ分配型でまたはローカルで実現されたIADx/BSxに、チェックインされていない場合である。同じことが、当該IADx/BSxによる次のものの予防的な生成および/または維持に当てはまる。それは、A0のためのネットサーフィン接続NSC0の全体または一部の、およびA0−OC0の、および/またはA0のためのIP−TV接続の、および/またはその他のオプションのMHO−Ma接続(たとえば、A0のユーザおよび/または他の箇所にあるA0の安全管理者宛ての何らかの安全関連アドバイスのための当該接続)の、生成および/または維持である。またこの生成、維持は、NetxにおけるA0のチェックインおよび/またはチェックアウト前に行われ、この場合、A0ユーザは、このような予防動作について知らされ、そしてまたはそれを使用し、あるいは使用しない。
【0095】
したがって、本発明のこの種のバリエーションのうち、若干例だけにここでは明示的に言及したが、標準的な当業者にとっては、この種のバリエーションのいずれも、本願の請求項1/2の文言/意味内容およびその説明から除外されることはない。すなわち、請求項1/2の文言/意味内容は−いずれにせよ本発明による方法のこの説明を理由として−この種のバリエーションすべてを含む。
■請求項1に記載のWサーフィン法は、両者のリレー法(トンネルフリーなリレーと、トンネルリレー。請求項3参照)を用いることを許容し、したがって「トンネルフリー」に対する限定を何ら含まない。しかしそれによりGeMaおよびそのCI相関を実現しなければならない場合、当該方法のMHOには、請求項2に対する限定が加えられる。しかしこの限定は、実際には限定としては現れず、ネットサーフィン法の利点として現れる(MHOにおけるGeMaとそのCI相関の利点については、第C章参照)。
■1つの抽象的なリレーは、A0−OC0で伝送されるあらゆるビットに関するものである。しかしネットサーフィン法の多分あらゆる実体的な実現は、次のように行われる。すなわち、この実体的な実現は、この「トンネルフリー」なリレーという特性の実現を、ある条件下(たとえばA0−OC0で伝送される情報の量)でのみ確保すればそれでよい。標準的な当業者は、この実現がどのようにして、そしていかなる条件下で行われるか、そしてなぜそれが合理的かを知っている。
■最後に、請求項1/2の文言/意味内容について、さらにコメントしたい。
○「HO実行に対するMHOS0による管理」の抽象的または実体的実現のバリエーションは、(リアルまたはバーチャルなホームMIAD0のコントロールの下で)ローカルでまたは分配型で実行される。そしてこれらバリエーションそれぞれのMHOS割合は、いずれにせよ上記の説明の通り、標準的な当業者には知られており、ここでは重要ではない−すなわち上記は、その抽象的または実体的な実現に関して、何ら限定されておらず、そして、
○「追加的な営業通信」は、
◆追加的なPDU交換を必要とせず(いずれにせよ必要となるPDU交換を用いて行うことができる)
◆その利用するネットワークに関して限定されない(すなわち、いずれにせよ利用されるのとは別なネットワークを利用できる)。
【0096】
請求項1または2の保護範囲に関しては、上記はとくに次のことを含意する。ある1つの実施形態が、何らかの(見せかけ上)MHOMでないもの(本願で何ら限定されていないもの)を用いて、a)に記載の信号の存在を確認し、それにより、何らかの方法で段階b)を成功裡に実行する場合、ただちにその実施形態は、(このMHOMでないものとともに)この保護範囲を侵すものである。
【0097】
図6a〜図6eの5面の図を用いて、次のようなTK配置に関して、もう1つの基本的な説明をする。すなわちそのTK配置において、ネットサーフィン/Wサーフィン法を適用可能であり、それらのMHOM、および/またはバーチャルまたはリアルなホームMIAD、および/またはMHOSが、抽象的または実体的に分配型で実行されているものである。説明を簡単にするため、図6aでは、次のことを前提とする。すなわち、バーチャルなホームMIADの一方の部分を持つシステムS0がKoMaだけを、バーチャルなホームMIADの他方の部分を持つシステムS1がGeMaだけを制御し(両例とも、各全体が各全体を制御)、場合によっては実行するということを前提とする。3面の図6b〜図6dは、前に挙げた図と次の点だけが異なる。すなわち、図6bおよび図6cでは、MHO−Maの一方ずつが、6dでは両種類のMHO−Maが、1つのリアルなホームMIAD0で行われる。ここで留意されたいのは、S0およびS1およびそれらのバーチャルなホームMIAD部分を、(図6a〜図6cにおいては)1つのTKネットワークに設けることができ、このネットワークのプロバイダはWサーフィン法をサポートできる、ということである−その結果これらのケースで、場合によってはもう1つのリアルなホームMIADを、図6dよりも、そしてとくには今日インストールされている共用IADよりも(下記参照)、機能上簡単なものに構想することができる。当然のことであるが、ネットサーフィン法/装置のため、これらプロトタイプとしてのTK配置の多数の混合形態が存在する−これら混合形態は、請求項1/2の文言/意味内容と上記の説明によって開示されている。これを要約すると、本発明による方法の抽象的または実体的な分配型実現の形態および構造のすべては、標準的な当業者にとっては、請求項1/2の文言/意味内容の説明に把握されている。
【0098】
経済的関心を集めるものとして容易に思いつかれるのは、すでに言及したように、1つのホームMIADを−それがTKネットワークであれ、大型のWLANであれ−1つのネットワークに、あるいは、1つのネットワークサーバに、本発明による方法に関して完全に組み込むことである。なぜならば、すでにインストール済みの非Wサーフィン能力ある多数のIADに、ネットサーフィン機能を加える「機能上のアップグレード」は、簡単に得ることができるからである(=完全な「バーチャルなホームMIADサーバ」)。図6eは、大型WLANと唯一のバーチャルなホームMIADサーバとを持つ、上記のTK配置を示す。希望の「ホームMIADプライバシ」がこのケースで得られるようにしたい−すなわち、バーチャルなホームMIADサーバがホストとするネットワークまたはサーバのプロバイダ/管理者が、ホストとされているバーチャルなホームMIADにアクセスされないようにしたい。そのためには、このようなバーチャルなホームMIADのプロバイダ/管理者の通信が、ネットワーク/サーバのプロバイダ/管理者にとって、−この通信に基づく−このようなバーチャルなホームMIADに記憶されたMHOSと同様に、理解不可能のままとしなければならない。ネットサーフィン法/装置の、すなわちそのホームMIADの、そのMHOSの、そのMHOMの、そして実行する機能モジュールの、抽象的のみならず実体的な、分配型または中央集中型の実現において、上記をいかにして実現できるかは、標準的な当業者には公知である。
【0099】
したがって図6の各図は、MHOに必要なGeMAだけについて、他のMHO−Ma機能からの可能性ある分離−すなわち可能性ある分配型実現−をスケッチしている。図7a〜図7eは、GeMaのいずれについても、そのホームMIAD0制御機能の、別なシステムにおける付随して実行する機能モジュールからの可能性ある分離−すなわち可能性ある分配型実現−をスケッチしている。すなわちすべては、MHOSの実現をまだ分配していない。したがって図8a〜図8eは、MHO−Ma機能のいずれに対しても、そのホームMIAD0制御機能の、MHOSにおける当該機能を制御する部分からの可能性ある分離をスケッチしている。この分離はこれら制御機能の2つのシステムへの分配による。この意味で、MHOS自体の少なくとも1つの部分が、実行可能であると見なすことができる。この部分はいずれにせよ翻訳可能である。
【0100】
このような適切な分配型の−最終的には実体的な−実現によれば、大規模ネットワークのプロバイダまたはインターネットサーバが、本発明による方法に基づいて、さまざまな革新的マルチメディアTKサービスを、たとえば共用WLANプロバイダおよび/またはIP−TVプログラム製作者との可能性あるすべての協力を、容易に提供できるようになる。
【0101】
最後にとくに明らかなことであるが、特許請求の範囲の文言「持つ(備える)」は、「現在含む」の意味に限定されてはならない−このような「持つ(備える)」には、この関連では、自然言語による別な有意義な、次のような翻訳方法が適用される。たとえば「と関係がある」、そして/または「留意しなければならない/従わなければならない」などであって、これは未来をも含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホームNet0のホーム端末システムA0のための、何らかのNetxへの「Managed Handover」、略称MHOを実行する(「ネットサーフィン」法あるいは「Wサーフィン」法と呼ばれる)方法であって、この場合、A0は、OSI接続A0−OC0によって、第2の端末システムZ0と接続され(コンセプト/概念/用語は、OSI参照モデルに従う)、MHOの間、前記OSI接続が行われ、ホームNet0はManaging Integrated Access Device、略称ホームMIAD0を持ち、前記ホームMIAD0はMHO仕様書、略称MHOS0を備え、その結果として、
■HO実行に対するMHOS0による管理は、少なくとも1つのMHO営業措置の実行を生じ、この営業措置は、
○−A0−OC0の基盤となる遠隔通信プロセスの少なくとも1人の加入者宛ての−少なくとも1つの追加的営業通信を生じ、そして
○少なくとも1つのオプションのMHO措置とCI(=Convenience−Information)相関している、
方法であって、
a)NetxにおいてA0のアクセス可能性信号の存在を点検または確保する、
b)A0からNetxへのHOをMHOS0に従って実行する、すなわち(GeMa−)MHOと呼ばれるものを実行する、
という各段階を特徴とする、方法。
【請求項2】
ホームNet0のホーム端末システムA0のための、何らかのNetxへの「Managed Handover」、略称MHOを実行する(「ネットサーフィン」法あるいは「Wサーフィン」法と呼ばれる)方法であって、この場合、A0は、OSI接続A0−OC0によって、第2の端末システムZ0と接続され(コンセプト/概念/用語は、OSI参照モデルに従う)、MHOの間、前記OSI接続が行われ、前記ホームNet0はManaging Integrated Access Device、略称ホームMIAD0を持ち、前記ホームMIAD0はMHO仕様書、略称MHOS0を備え、その結果として、
■HO実行に対するMHOS0による管理は、NetxにおけるA0−OC0とA0のための少なくとも1つのトンネルフリーなリレーを−このとき、このようなリレーがまだ存在しなければ−生じる、
方法であって、
a)NetxにおいてA0のアクセス可能性信号の存在を点検または確保する、
b)A0からNetxへのHOをMHOS0に従って実行する、すなわち(トンネルフリーな)MHOと呼ばれるものを実行する、
という各段階を特徴とする、方法。
【請求項3】
前記MHOS0が、GeMa−MHO実行の間、追加的に、NetxにおけるA0−OC0とA0のための少なくとも1つのトンネルフリーなリレーを生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法のMHOS0が、少なくとも1つのMHO−営業措置の実行を追加的に生じ、前記営業措置は、−A0−OC0の基盤をなす遠隔通信プロセスの少なくとも1人の加入者宛てに−少なくとも1つの(追加的な営業的)通信を生じ、そして少なくとも1つのオプションのMHO措置とCI相関している、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
リアルまたはバーチャルなホームMIAD0の管理、および/またはNetxのIADxの管理を行う少なくとも1人の個人に、他者に対するMHOSプライバシを保証するのに適している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
A0−OC0の基盤をなす1次TKV(PTKV)の少なくとも音声データおよび/または映像データ、そして少なくとも1人のPTKV加入者の少なくとも1つの2次TKV(STKV)の少なくとも音声データおよび/または映像データを、その一部または全部について、前記加入者のため、リアルタイムで混合および/またはオーバレイし、その結果、TKVの両者の各データ流は−加入者の端末システムを用いて加入者のためリアルタイムで表示されて−加入者に理解できる状態で存続し、その際、必要ではあるが表示には用いられない機能の実現が、このPTKVの端末システムと、他のシステムではあるが少なくとも1つのMHOまたはPTKVまたはSTKVに関与するシステムとに、任意に分配可能である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、Netxにおいて、そのリアルまたはバーチャルなIADxの、そして/またはネットワーク・アクセスポイントの、そして/またはネットワーク・ファシリティの、少なくとも1つの全体または一部分とともに、動作できるようにするために、前記方法は、少なくとも1つのかつてのネットワークおよび/またはネットワーク・アクセスポイントおよび/またはネットワーク・ファシリティで、A0の全面的または部分的なチェックアウトを、またはチェックインされていない状態を必要とし、または必要としない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
A0に対する通信アプリケーションの少なくとも1つの要求(たとえばIP−TV伝送または安全性アプリケーションの表示、開始、または転送)の満足を、Netx位置におけるA0の何らかの活動の少なくとも1つの開始とオーバラップして、開始および/または実行および/または終了し、そして/または、NetxにおけるA0の何らかの活動開始を、時間的および/または場所的に、および/またはアプリケーションによって、および/またはアプリケーションの個数によって、および/または少なくとも何らか1つの特性によって限定するのに適している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
A0が、非本来的なホーム端末システムへの通信ステータスに従って、段階a)およびb)の少なくとも1つが開始および/または実行されて初めて−または実行されている間−ホームMIAD0のものとなり、そして/または、A0はこの特性を維持し、あるいは維持せず、この場合、このことはさらに通信ステータスの条件下にあり、あるいは条件下にない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
A0−OC0の将来起こりうるまたはその時点の存在開始が、段階a)およびb)の少なくとも一方の開始および/または実行および/または終了の前、またはその後に、そして/または通信ステータスの条件下で行われる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
リアルまたはバーチャルなホームMIAD0を経由して、A0−OC0のリレーの全体または一部を行い、あるいはまったく行わない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
もう1つのシステムにおける少なくとも1つのMHO−Maの部分的または全体的な、かつ抽象的または実体的な記憶および/または実行が、少なくとももう1つのMHO−Maの部分的または全体的な、かつ抽象的または実体的な記憶および/または実行として行われ、そして/または、この分割の視点が、その言わんとするところに従って、本方法のその他いずれか2つの機能モジュールに適用される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
本方法の少なくとも1つまたはすべての機能モジュールの部分的または全体的記憶および/または実行は、そのすべてまたは一部が、インターネットおよび/またはその他のネットワークおよび/またはホームWLAN0としてのもう1つのネットワークを経由して、および/またはホームWLAN0の内部で行われる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
何らかのNetxへの、ホームNet0のホーム端末システムA0の「Managed−Handover」、略称MHOを実行するに適している装置(「ネットサーフィン」装置あるいは「Wサーフィン」装置と呼ばれる)であって、この場合、A0は、OSI接続A0−OC0によって、第2の端末システムZ0と接続され(コンセプト/概念/用語は、OSI参照モデルに従う)、MHOの間、前記OSI接続が行われ、ホームNet0はManaging Integrated Access Device、略称ホームMIAD0を持ち、前記ホームMIAD0はMHO仕様書、略称MHOS0を備える、上記装置であって、
■下記の分配型としてまたはローカルで抽象的に実現される手段の、収容および実行に適している、そして場合によっては抽象的なResource Sharingによる前記手段の収容および実行に適している、ネットサーフィン手段(=「OSI装置システム」)と、
■NetxにおいてA0のアクセス可能性を表示する信号の存在を、点検または確保するのに適している、「確認手段」と、
■下記のMHO−Ma実行とMHOS実行の共同作用を定める少なくとも1つのMHOSの収容と実行に適するものであって、リアルまたはバーチャルなホームMIADを抽象的に実現するための「ホームMIAD」手段と、
■少なくとも1つのMHOSを、ホームMIAD手段のコントロール下で収容および実行するに適した「MHOS」手段と、
■少なくとも2つのMHO−Maがあってその1つがMHOの基盤をなすHOである、このような少なくとも2つのMHO−Maを、ホームMIAD手段のコントロール下で収容および実行するに適した「MHO−Ma」手段とを備え、
この場合、MHOの実行は、ホームMIADにある少なくとも1つのMHOSに従って行われる、装置。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に従って、「Managed Handover」、略称MHOの実行を実現するに適している、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか一項に従って、「Managed Handover」、略称MHOの実行を実現するに適している装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図6d】
image rotate

【図6e】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図7c】
image rotate

【図7d】
image rotate

【図7e】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図8c】
image rotate

【図8d】
image rotate

【図8e】
image rotate


【公開番号】特開2013−66238(P2013−66238A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−273167(P2012−273167)
【出願日】平成24年12月14日(2012.12.14)
【分割の表示】特願2009−548592(P2009−548592)の分割
【原出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(509200152)シグラム シンドラー ベタイリグングスゲゼルシャフト エムビーエイチ (2)
【Fターム(参考)】