説明

VoIP電話システム

【課題】 既存の標準的な機能を利用した安価なシステムでありながら、スケジュール管理の有効利用を実現することができるVoIP電話システムを提供する。
【解決手段】 複数台のコンピュータと接続されてファイルやデータの共有化を図るグループウエアサーバ10と、表示機能を備えた複数のVoIP電話端末22を利用して複数のVoIP電話端末22同士での通話並びにインターネット網25若しくは電話回線網27を経由した通話を実現するSIPサーバ23とを備え、グループウエアサーバ10で管理する共有スケジュールデータに関する通知要求がSIPサーバ23へと送信された際にはSIPサーバ23から複数のVoIP電話端末22へと送信されたINVITEリクエストのFromヘッダに共有スケジュールデータを畳重して表示機能に内容表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VoIP(Voice over Internet Protocol)電話システム、特に、複数台のコンピュータと接続されてファイルやデータの共有化を図るグループウエアサーバと、表示機能を備えた複数のVoIP電話端末を利用して該複数のVoIP電話端末同士での通話並びにインターネット網若しくは電話回線網を経由した通話を実現するSIPサーバとを備えたVoIP電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及並びに通信速度の向上等により、インターネット・プロトコル(Internet Protocol=IP)ネットワークを利用して音声信号を送る技術であるVoIPを用いて電話通信を可能としたVoIP電話システムが提供されている。
【0003】
このVoIP電話システムは、例えば、一般のLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)用の規格であるITU‐T勧告H.323を用いて構成され、VoIP電話システムの代表的な呼制御プロトコルとしてはSIP(Session Initiation Protocol)を用いている。
【0004】
また、VoIP電話システムでは、アナログ電話システムと同様の機能を備えるように考慮されていると共に、アナログ電話システムでは実現し得なかった各種機能を付加価値として具備することができる。
【0005】
その一つとして、IP電話機能をパーソナルコンピュータで実現するソフトフォンを用いることによる、スケジュール管理やファイル共有などのグループウエア機能を活用しながら通話するといったVoIP電話システムが考えられている(例えば、非特許文献1参照。)。
【非特許文献1】http://itpro.nikkeibp.co.jp/NI2004/voip.shtml
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した非特許文献1に開示のVoIP電話システムにあっては、スケジュール管理に関する具体的なシステムや利用形態が何ら開示されておらず、今後の展開としての機能を示唆するのみであった。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、既存の標準的な機能を利用した安価なシステムでありながら、スケジュール管理の有効利用を実現することができるVoIP電話システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のVoIP電話システムは、複数台のコンピュータと接続されてファイルやデータの共有化を図るグループウエアサーバと、表示機能を備えた複数のVoIP電話端末を利用して該複数のVoIP電話端末同士での通話並びにインターネット網若しくは電話回線網を経由した通話を実現するSIPサーバとを備え、前記グループウエアサーバで管理する共有スケジュールデータに関する通知要求が前記SIPサーバへと送信された際には該SIPサーバから前記複数のVoIP電話端末へと送信されたINVITEリクエストのFromヘッダに前記共有スケジュールデータを畳重して前記表示機能に内容表示することを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載のVoIP電話システムによれば、VoIP電話端末の表示機能に発呼元の電話番号表示を表示させるためのFromヘッダを利用してグループウエアサーバで管理する共有スケジュールデータをSIPサーバを介して表示させることができる。
【0010】
従って、特別な専用ハードウエアを追加した表示命令システムを構築することなく、既存の標準的な機能を利用した安価なシステムでスケジュール管理の有効利用を実現することができる。
【0011】
尚、ここでのVoIP電話端末とは、表示機能(表示部)やダイヤル操作部並びにハンドセットといった電話機形式のVoIP専用電話端末の他、音声通話機能を具備したパーソナルコンピュータを含むものとする。
【0012】
請求項2に記載のVoIP電話システムは、請求項1に記載のVoIP電話システムにおいて、前記共有スケジュールデータの表示内容量が前記表示機能の設定表示内容量を超えている場合には、前記SIPサーバは前記設定表示内容量に応じて前記表示内容量を分割して前記表示機能に切替内容表示することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載のVoIP電話システムによれば、VoIP電話端末の表示機能、特に、VoIP専用電話端末の表示部では設定表示内容量(表示可能な文字数量等)が小さいことから、表示したいスケジュール内容量(文字数量)に対応した表示内容量が設定表示内容量よりも大容量であった場合には、設定表示内容量に応じて表示内容量を適宜分割して表示機能に表示させることで所望の表示内容量の全てを表示することが可能となる。
【0014】
請求項3に記載のVoIP電話システムは、請求項1又は請求項2に記載のVoIP電話システムにおいて、前記共有スケジュールデータを前記表示機能に表示する際には、前記VoIP電話端末のアラーム音機能を利用して報知することを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載のVoIP電話システムによれば、アラーム発音ヘッダ(Alert−Info)といった既存の着信音指定機能を利用してスケジュール表示がなされている旨を利用者に報知することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載のVoIP電話システムによれば、複数台のコンピュータを接続したグループウエアサーバによりファイルやデータの共有化が図られ、表示機能を備えた複数のVoIP電話端末を接続すると共にこの複数のVoIP電話端末同士での通話並びにインターネット網若しくは電話回線網を経由した通話がSIPサーバにより実現されると共に、グループウエアサーバで管理する共有スケジュールデータに関する通知要求がSIPサーバへと送信された際にはこのSIPサーバから複数のVoIP電話端末へとINVITEリクエストが送信されると同時にそのINVITEリクエストに含まれるFromヘッダにグループウエアサーバから送信された共有スケジュールデータが畳重され、VoIP電話端末の表示機能に共有スケジュールが表示されることにより、既存の標準的な機能を利用した安価なシステムでありながら、スケジュール管理の有効利用を実現することができる。
【0017】
請求項2に記載のVoIP電話システムによれば、SIPサーバは表示機能の設定表示内容量に応じて共有スケジュールデータの表示内容量を分割したうえで表示機能に切替内容表示することにより、所望の表示内容量の全てを表示することができる。
【0018】
請求項3に記載のVoIP電話システムによれば、VoIP電話端末のアラーム音機能を利用して共有スケジュールデータを表示機能に表示する際に報知することにより、スケジュール表示がなされている旨を利用者に報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係るVoIP電話システムについて、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明のVoIp電話システムのシステムブロック図である。
【0021】
図1において、本発明のVoIP電話システムは、複数のパーソナルコンピュータ(図示せず)とネットワーク接続されて各パーソナルコンピュータから入力されたデータをメモリ11に記憶するグループウエアサーバ10と、このグループウエアサーバ10とは独立(若しくはネットワーク接続)された音声通信機能を具備したVoIP電話端末としての複数のパソコン端末(パーソナルコンピュータ)21及びLED表示部等の表示機能やダイヤル操作部並びにハンドセット(共に図示せず)といった電話機形式のVoIP専用のVoIP電話端末22とを接続してIPに基づいた通信により呼び制御を行うSIPサーバ23とを備えている。
【0022】
グループウエアサーバ10は、キーボード等の入力部12からの入力操作により制御部13を介してその入力情報をメモリ11に記憶することができ、上述したパーソナルコンピュータから入力されてメモリ11に記憶された情報と共に一元的にグループ管理するものである。また、この操作状況等はモニタ等の表示部14に表示される。さらに、グループウエアサーバ10はLANによりSIPサーバ23とも接続されている。
【0023】
SIPサーバ23は、VoIP電話端末としての機能を具備するパソコン端末21やVoIP電話端末22とのVoIP音声通話を可能とすると共に、ルータ24を経由してのインターネット網25を利用したVoIP電話通信の他、ゲートウエイ26を経由しての電話回線網27を利用した加入者電話装置28との一般音声通話を可能とする。
【0024】
尚、これらのVoIP音声通話や一般音声通話に関するシステム等は公知であるため、ここではその詳細な説明は省略する。
【0025】
一方、グループウエアサーバ10は、SIPサーバ23を利用してパソコン端末21やVoIP電話端末22の各表示機能にスケジュールを表示させることができる。
【0026】
図2は、本発明のVoIP電話システムにおけるスケジュール表示を行う場合の具体的なシーケンス図である。尚、このシーケンスでは、VoIP電話システムの代表的な呼制御プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を用いており、以下に示すメゾット(制御機能)とレスポンスコード(応答)とを用いている。
【0027】
先ず始めに、グループウエアサーバ10のメモリ11に記憶されている共有のスケジュール情報が予め設定された時間(例えば、当日のスケジュールであれば朝の9時)、グループウエアサーバ10又はパーソナルコンピュータからのスケジュール送信指令の追加入力時等、グループウエアサーバ10からSIPサーバ23にスケジュール通知要求が送信されると、SIPサーバ23は全ての或いはグループウエアサーバ10で指定されたパソコン端末21やVoIP電話端末22(以下、説明の便宜上一つのVoIP電話端末22に対して行うものとする)に対して“INVETE”メゾットを送信(リクエスト)する。
【0028】
この“INVETE”メゾットのリクエストメッセージ中には、“From”ヘッダが含まれている。この“From”ヘッダは、通常のVoIP電話通信時には発信番号を相手先に通知するか否かと通知する場合の自番号がデータに畳重されている。
【0029】
例えば、発信番号(自番号)を通知する場合には、「sip:自番号@網アドレス」が送信条件として設定され、発信番号を通知しない場合にはダミー(anonymous@localhost)が設定される。
【0030】
従って、ここでは通話のための“INVETE”メゾットではないことから、発信番号を通知する必要がないため、発信番号を通知する場合の「自番号」の部分(Display Name部)に共有スケジュールデータを畳重することにより、表示機能へのスケジュール文字の表示が可能となる。
【0031】
一方、“INVETE”メゾットを受信したVoIP電話端末22は、セッション要求に対し、レスポンスコード100の“Trying(試行中)”をSIPサーバ23に通知応答する。
【0032】
また、VoIP電話端末22は、レスポンスコード180の“Ringing(呼出中)”メゾットをSIPサーバ23に送信する。
【0033】
SIPサーバ23は、レスポンスコード180の“Ringing(呼出中)”を受信したことにより、“IVETE”メゾットに含まれたスケジュールの表示がなされたとして“CANCEL(キャンセル)”メゾットをVoIP電話端末22に送信する。
【0034】
尚、スケジュール情報の実メッセージ、即ち、共有スケジュールデータの表示内容量である表示文字数に対してVoIP電話端末22の表示機能の設定表示内容量である文字数が少ない場合、VoIP電話端末22の表示機能の表示可能な文字数に相当する設定表示内容量毎に共有スケジュールデータの表示内容量を分割し、上述した“INVITE”メゾットの送信から“CANCEL”メゾットの送信までを繰り返して表示機能に切替内容表示することにより、所望の表示内容量の全てを表示することができる。
【0035】
また、“CANCEL”メゾットを受信したVoIP電話端末22は、レスポンスコード200の“OK(成功)”をSIPサーバ23に送信した後、レスポンスコード487の“Request Terminated(“CANCEL”メゾットによる終了)”をSIPサーバ23に送信する。
【0036】
そして、SIPサーバ23は、スケジュール表示のための“INVITE”メゾットに対する最終応答受信の“ACK”メゾットをVoIP電話端末22に送信してスケジュール表示を終了する。
【0037】
尚、スケジュール表示を行う際に、表示機能にスケジュール表示を行う旨をVoIP電話端末22の利用者に報知するため、既存の着信音指定機能である“Alert−Info(アラーム)”ヘッダを利用しても良い。
【0038】
このように、本発明のVoIP電話システムにあっては、既存のシステムをそのまま利用して新規なハードウエアの追加を行うことなくグループで共有するスケジュールをVoIP電話端末(パソコン端末21を含む)22の表示機能に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のVoIP電話システムのシステムブロック図である。
【図2】本発明のVoIP電話システムにおけるスケジュール表示を行う場合の具体的なシーケンス図である。
【符号の説明】
【0040】
10…グループウエアサーバ
21…パソコン端末(VoIP電話端末)
22…VoIP電話端末
23…SIPサーバ
25…インターネット網
27…電話回線網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のコンピュータと接続されてファイルやデータの共有化を図るグループウエアサーバと、表示機能を備えた複数のVoIP電話端末を利用して該複数のVoIP電話端末同士での通話並びにインターネット網若しくは電話回線網を経由した通話を実現するSIPサーバとを備え、前記グループウエアサーバで管理する共有スケジュールデータに関する通知要求が前記SIPサーバへと送信された際には該SIPサーバから前記複数のVoIP電話端末へと送信されたINVITEリクエストのFromヘッダに前記共有スケジュールデータを畳重して前記表示機能に内容表示することを特徴とするVoIP電話システム。
【請求項2】
前記共有スケジュールデータの表示内容量が前記表示機能の設定表示内容量を超えている場合には、前記SIPサーバは前記設定表示内容量に応じて前記表示内容量を分割して前記表示機能に切替内容表示することを特徴とする請求項1に記載のVoIP電話システム。
【請求項3】
前記共有スケジュールデータを前記表示機能に表示する際には、前記VoIP電話端末のアラーム音機能を利用して報知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のVoIP電話システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−222666(P2006−222666A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33341(P2005−33341)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】