X線撮影装置
【課題】 重ね合わせ領域に生じた陰影の判定を容易に実行することが可能なX線撮影装置を提供する。
【解決手段】 X線撮影装置は、画像処理部21を有する制御部20を備える。画像処理部21は、フラットパネルディテクタ4により検出され、画像記憶部14に記憶された複数のX線画像における互いに重複する領域を重ね合わせて合成することにより、被検者の体軸方向に沿った長尺のX線画像を作成する合成部22と、複数の画像を重ね合わせて合成した重ね合わせ領域を認識可能なマーカを、長尺のX線画像とともに画像表示部18に表示するためのマーカ表示部23とを備える。
【解決手段】 X線撮影装置は、画像処理部21を有する制御部20を備える。画像処理部21は、フラットパネルディテクタ4により検出され、画像記憶部14に記憶された複数のX線画像における互いに重複する領域を重ね合わせて合成することにより、被検者の体軸方向に沿った長尺のX線画像を作成する合成部22と、複数の画像を重ね合わせて合成した重ね合わせ領域を認識可能なマーカを、長尺のX線画像とともに画像表示部18に表示するためのマーカ表示部23とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検者の体軸方向に沿った長尺のX線画像を撮影するX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の長尺画像の撮影方法を示す説明図である。
【0003】
下肢の全体画像や脊柱の全体画像など、被検者の体軸方向を向く長尺撮影領域のX線画像を作成する必要がある場合には、図6(a)に示すように、長尺フィルムや長尺用のX線センサを用いて、長尺のX線画像90を得る必要がある。このような場合には、X線撮影の撮影コストが高くなるという問題がある。
【0004】
このため、従来、被検者の体軸方向に沿ってX線検出器を移動させながら、X線検出器の移動と同期してX線管を揺動させ、移動中のX線検出器に向けてX線を照射することにより、図6(b)に示すように、被検者の体軸方向に沿った複数の矩形状のX線画像91、92、93を取得し、これらの複数のX線画像91、92、93を、その一部を重ね合わせた状態で合成することにより、長尺のX線画像を作成するX線撮影装置が使用されている。
【0005】
そして、特許文献1には、重ね合わせる画像の濃度情報に基づいて位置合わせをすることにより、操作性を向上し、かつ、画像を滑らかに接合できる医用画像処理装置が提案されている。また、特許文献2には、データの継ぎ目の位置情報を読み取り、その付近を拡大表示することにより、手動操作の頻度低減を図り、繋ぎ合わせ状態をもれなく確認できるX線画像診断装置が開示されている。さらに、特許文献3には、複数の画像を継ぎ合わせる際に、特定の点を利用するディジタル医用画像を管理するための方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−158701号公報
【特許文献2】特開2010−167142号公報
【特許文献3】特開2007−136209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように被検者の体軸方向に沿って取得された複数のX線画像の一部を重ね合わせて合成する場合においては、重ね合わせ領域の濃度段差や位置ずれを補正するために、重ね合わせ領域に画像処理が施される。このような画像処理により、重ね合わせ領域の濃度段差や位置ずれは目立たなくなるが、この画像処理に起因して重ね合わせ領域に本来あるはずのない陰影が生ずる場合があるという問題がある。このような陰影が生じた場合には、合成後の画像を読影する医師が誤った判断をする可能性がある。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、重ね合わせ領域に生じた陰影の判定を容易に実行することが可能なX線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、被検者の体軸に沿って移動するX線検出器と、前記X線検出器に向けてX線を照射するX線管とを備え、その端部が互いに重複する複数のX線画像を前記被検者の体軸方向に沿って複数回連続して撮影することにより、前記被検者の体軸方向に沿ったX線画像を撮影するX線撮影装置において、前記複数のX線画像を記憶する画像記憶部と、前記画像記憶部に記憶した複数のX線画像における互いに重複する領域を重ね合わせて合成することにより、前記被検者の体軸方向に沿った長尺のX線画像を作成する合成部と、前記画像記憶部に記憶された複数のX線画像と、前記合成部により作成した長尺のX線画像とを表示するための画像表示部と、前記複数のX線画像を重ね合わせて合成した重ね合わせ領域を認識可能なマーカを、前記長尺のX線画像とともに前記画像表示部に表示するマーカ表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記マーカ表示手段は、前記画像表示部に表示された長尺のX線画像における被検者の体軸と直交する方向の端部に、前記重ね合わせ領域における被検者の体軸方向の両端部を示すマーカを表示する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のX線撮影装置において、前記複数のX線画像のいずれかと、前記長尺のX線画像とを、選択的に前記表示部に表示させるための切替操作部をさらに備える。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、合成後の画像に陰影が生じた場合において、重ね合わせ領域を認識可能なマーカを利用することにより、その陰影が画像処理に起因する可能性があるか否かを確認することができる。このため、陰影の発生原因を特定して、陰影の判定を容易に実行することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、被検者の体軸と直交する方向の端部に表示されたマーカを利用して、読影に支障を生ずることなく、重ね合わせ領域における被検者の体軸方向の両端部を容易に認識することが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、重ね合わせ領域に陰影が生じた場合に、先に撮影した複数のX線画像を表示することにより、その陰影が重ね合わせに起因して生じたものか否かを、容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明に係るX線撮影装置の概要図である。
【図2】この発明に係るX線撮影装置の他の実施形態を示す概要図である。
【図3】この発明に係るX線撮影装置の主要な制御系を示すブロック図である。
【図4】X線撮影装置により、被検者1の下肢全域を撮影する様子を示す説明図である。
【図5】画像表示部18に表示された重ね合わせ領域を認識可能なマーカの他の実施形態を示す説明図である。
【図6】従来の長尺画像の撮影方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るX線撮影装置の概要図である。
【0017】
このX線撮影装置は、被検者1を起立姿勢で撮影するための立位スタンド6と、被検者1に向けてX線を照射するX線管2と、X線管2から照射されたX線の照射領域を矩形状に制限するコリメータ3と、被検者1を通過したX線を測定するX線検出器としてのフラットパネルディテクタ4とを備える。フラットパネルディテクタ4は、図示しない移動機構により、被検者1の長手方向に沿って垂直方向に移動するよう構成されている。また、X線管2およびコリメータ3は、後述する移動機構16により、フラットパネルディテクタ4の移動に同期して、X線の照射方向が常にフラットパネルディテクタ4の方向を向く方向に揺動する。
【0018】
図2は、この発明に係るX線撮影装置の他の実施形態を示す概要図である。なお、図1に示す実施形態と同一の部材については、同一の符号を付している。
【0019】
この実施形態に係るX線撮影装置は、被検者1を乗せる臥位テーブル5と、被検者1に向けてX線を照射するX線管2と、X線管2から照射されたX線の照射領域を矩形状に制限するコリメータ3と、被検者1を通過したX線を測定するフラットパネルディテクタ4とを備える。X線管2およびコリメータ3と、フラットパネルディテクタ4とは、後述する移動機構16により、被検者1の長手方向に沿い、互いに同期して水平移動するよう構成されている。
【0020】
図3は、図1または図2に示すこの発明に係るX線撮影装置の主要な制御系を示すブロック図である。
【0021】
このX線撮影装置は、画像処理部21を有する制御部20を備える。この制御部20は、高電圧発生部15を介して、上述したX線管2と接続されている。また、この制御部20は、上述したフラットパネルディテクタ4および移動機構16と接続されている。また、この制御部20は、フラットパネルディテクタ4により検出され画像処理部21により画像処理されたX線画像を表示するCRTや液晶表示パネル等から成る画像表示部18と、キーボード等の入力部17とに接続されている。さらに、この制御部20は、撮影後のX線画像を記憶するための画像記憶部14と接続されている。なお、入力部17は、フラットパネルディテクタ4により検出された複数のX線画像のいずれかと、これらのX線画像を合成することにより作成された長尺のX線画像とを、選択的に画像表示部18に表示させるための、この発明に係る切替操作部として機能する。
【0022】
また、上述した画像処理部21は、フラットパネルディテクタ4により検出され、画像記憶部14に記憶された複数のX線画像における互いに重複する領域を重ね合わせて合成することにより、被検者1の体軸方向に沿った長尺のX線画像を作成する合成部22と、複数の画像を重ね合わせて合成した重ね合わせ領域を認識可能なマーカを、長尺のX線画像とともに画像表示部18に表示するためのマーカ表示部23とを備える。
【0023】
図4は、上述したX線撮影装置により、被検者1の下肢全域を撮影する様子を示す説明図である。
【0024】
この図に示すように、被検者1の下肢全体を撮影するためには、X線管2から照射され、コリメータ3で照射領域を制限されたX線による矩形状の撮影領域を、被検者1の長手方向に移動させながら、複数回連続してX線撮影を実行する。このときには、各撮影領域は、その端部が互いに重複するようにして撮影が実行される。これにより、図4(a)に示すように、その端部が互いに重複する複数(この実施形態においては3枚)の矩形状のX線画像11、12、13を得ることができる。これらのX線画像11、12、13は、画像記憶部14に記憶される。
【0025】
次に、図4(b)に示すように、これら矩形状のX線画像11、12、13における互いに重複する領域を重ね合わせて合成することにより、被検者1の体軸方向に沿った長尺のX線画像を作成する。この処理は、画像処理部21における合成部22により実行される。この画像の合成処理時には、画像処理部21におけるマーカ表示部23は、X線画像11とX線画像12との重ね合わせ領域E1およびX線画像12とX線画像13との重ね合わせ領域E2を認識している。
【0026】
そして、図4(c)に示すように、マーカ表示部23は、これらの重ね合わせ領域E1およびE2を認識可能なマーカM1a、M1b、M2a、M2bを、長尺のX線画像とともに画像表示部18に表示する。ここで、マーカM1aおよびM1bは、重ね合わせ領域E1における被検者1の体軸方向の両端部を示しており、マーカM2aおよびM2bは、重ね合わせ領域E2における被検者1の体軸方向の両端部を示している。これらのマーカM1aおよびM1bは、画像表示部18に表示された長尺のX線画像における被検者1の体軸と直交する方向の両端部において、黒く塗りつぶされた矩形状の領域として表示される。
【0027】
医師が合成後の長尺画像を読影するときに、長尺画像中に陰影を発見した場合、その陰影がマーカM1a、M1b、M2a、M2bにより認識される重ね合わせ領域E1またはE2以外の領域に配置されていた場合には、その陰影をそのまま利用して読影を行う。
【0028】
一方、陰影がマーカM1a、M1b、M2a、M2bにより認識される重ね合わせ領域領域E1またはE2に配置されていた場合には、この陰影が重ね合わせ領域E1またはE2に施された画像処理に起因して生じたものである可能性がある。このため、このような場合には、医師は入力部17を操作することにより、画像記憶部14に記憶されている合成前のX線画像11、12、13のいずれかを画像表示部18に表示し、これらのX線画像11、12、13を利用して読影を実行する。これにより、重ね合わせ領域E1またはE2に施された画像処理に起因して生じた陰影を除外することができ、正確な判断を行うことが可能となる。
【0029】
図5は、画像表示部18に表示された重ね合わせ領域を認識可能なマーカの他の実施形態を示す説明図である。
【0030】
図5(a)に示す実施形態においては、図4(c)に示す実施形態と同様、マーカM3aおよびM3bは、重ね合わせ領域E1における被検者1の体軸方向の両端部を示しており、マーカM4aおよびM4bは、重ね合わせ領域E2における被検者1の体軸方向の両端部を示している。一方、図5(b)に示す実施形態においては、マーカM51aおよびM51bは、重ね合わせ領域E1における被検者1の体軸方向の一方の端部を示しており、マーカM52aおよびM52bは、重ね合わせ領域E1における被検者1の体軸方向の他方の端部を示している。同様に、マーカM61aおよびM61bは、重ね合わせ領域E2における被検者1の体軸方向の一方の端部を示しており、マーカM62aおよびM62bは、重ね合わせ領域E2における被検者1の体軸方向の他方の端部を示している。
【0031】
なお、図4(c)、図5(a)および図5(b)に示す実施形態においては、いずれも、マーカ表示部23は、画像表示部18に表示された長尺のX線画像における被検者1の体軸と直交する方向の両端部に、重ね合わせ領域E1、E2における被検者1の体軸方向の両端部を示すマーカを表示している。しかしながら、画像表示部18に表示された長尺のX線画像における被検者1の体軸と直交する方向の一方の端部にのみ、これらのマーカを表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 被検者
2 X線管
3 コリメータ
4 フラットパネルディテクタ
5 臥位テーブル
6 立位スタンド
11 X線画像
12 X線画像
13 X線画像
14 画像記憶部
15 高電圧発生部
16 移動機構
17 入力部
18 画像表示部
20 制御部
21 画像処理部
22 合成部
23 マーカ表示部
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検者の体軸方向に沿った長尺のX線画像を撮影するX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の長尺画像の撮影方法を示す説明図である。
【0003】
下肢の全体画像や脊柱の全体画像など、被検者の体軸方向を向く長尺撮影領域のX線画像を作成する必要がある場合には、図6(a)に示すように、長尺フィルムや長尺用のX線センサを用いて、長尺のX線画像90を得る必要がある。このような場合には、X線撮影の撮影コストが高くなるという問題がある。
【0004】
このため、従来、被検者の体軸方向に沿ってX線検出器を移動させながら、X線検出器の移動と同期してX線管を揺動させ、移動中のX線検出器に向けてX線を照射することにより、図6(b)に示すように、被検者の体軸方向に沿った複数の矩形状のX線画像91、92、93を取得し、これらの複数のX線画像91、92、93を、その一部を重ね合わせた状態で合成することにより、長尺のX線画像を作成するX線撮影装置が使用されている。
【0005】
そして、特許文献1には、重ね合わせる画像の濃度情報に基づいて位置合わせをすることにより、操作性を向上し、かつ、画像を滑らかに接合できる医用画像処理装置が提案されている。また、特許文献2には、データの継ぎ目の位置情報を読み取り、その付近を拡大表示することにより、手動操作の頻度低減を図り、繋ぎ合わせ状態をもれなく確認できるX線画像診断装置が開示されている。さらに、特許文献3には、複数の画像を継ぎ合わせる際に、特定の点を利用するディジタル医用画像を管理するための方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−158701号公報
【特許文献2】特開2010−167142号公報
【特許文献3】特開2007−136209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように被検者の体軸方向に沿って取得された複数のX線画像の一部を重ね合わせて合成する場合においては、重ね合わせ領域の濃度段差や位置ずれを補正するために、重ね合わせ領域に画像処理が施される。このような画像処理により、重ね合わせ領域の濃度段差や位置ずれは目立たなくなるが、この画像処理に起因して重ね合わせ領域に本来あるはずのない陰影が生ずる場合があるという問題がある。このような陰影が生じた場合には、合成後の画像を読影する医師が誤った判断をする可能性がある。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、重ね合わせ領域に生じた陰影の判定を容易に実行することが可能なX線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、被検者の体軸に沿って移動するX線検出器と、前記X線検出器に向けてX線を照射するX線管とを備え、その端部が互いに重複する複数のX線画像を前記被検者の体軸方向に沿って複数回連続して撮影することにより、前記被検者の体軸方向に沿ったX線画像を撮影するX線撮影装置において、前記複数のX線画像を記憶する画像記憶部と、前記画像記憶部に記憶した複数のX線画像における互いに重複する領域を重ね合わせて合成することにより、前記被検者の体軸方向に沿った長尺のX線画像を作成する合成部と、前記画像記憶部に記憶された複数のX線画像と、前記合成部により作成した長尺のX線画像とを表示するための画像表示部と、前記複数のX線画像を重ね合わせて合成した重ね合わせ領域を認識可能なマーカを、前記長尺のX線画像とともに前記画像表示部に表示するマーカ表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記マーカ表示手段は、前記画像表示部に表示された長尺のX線画像における被検者の体軸と直交する方向の端部に、前記重ね合わせ領域における被検者の体軸方向の両端部を示すマーカを表示する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のX線撮影装置において、前記複数のX線画像のいずれかと、前記長尺のX線画像とを、選択的に前記表示部に表示させるための切替操作部をさらに備える。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、合成後の画像に陰影が生じた場合において、重ね合わせ領域を認識可能なマーカを利用することにより、その陰影が画像処理に起因する可能性があるか否かを確認することができる。このため、陰影の発生原因を特定して、陰影の判定を容易に実行することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、被検者の体軸と直交する方向の端部に表示されたマーカを利用して、読影に支障を生ずることなく、重ね合わせ領域における被検者の体軸方向の両端部を容易に認識することが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、重ね合わせ領域に陰影が生じた場合に、先に撮影した複数のX線画像を表示することにより、その陰影が重ね合わせに起因して生じたものか否かを、容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明に係るX線撮影装置の概要図である。
【図2】この発明に係るX線撮影装置の他の実施形態を示す概要図である。
【図3】この発明に係るX線撮影装置の主要な制御系を示すブロック図である。
【図4】X線撮影装置により、被検者1の下肢全域を撮影する様子を示す説明図である。
【図5】画像表示部18に表示された重ね合わせ領域を認識可能なマーカの他の実施形態を示す説明図である。
【図6】従来の長尺画像の撮影方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るX線撮影装置の概要図である。
【0017】
このX線撮影装置は、被検者1を起立姿勢で撮影するための立位スタンド6と、被検者1に向けてX線を照射するX線管2と、X線管2から照射されたX線の照射領域を矩形状に制限するコリメータ3と、被検者1を通過したX線を測定するX線検出器としてのフラットパネルディテクタ4とを備える。フラットパネルディテクタ4は、図示しない移動機構により、被検者1の長手方向に沿って垂直方向に移動するよう構成されている。また、X線管2およびコリメータ3は、後述する移動機構16により、フラットパネルディテクタ4の移動に同期して、X線の照射方向が常にフラットパネルディテクタ4の方向を向く方向に揺動する。
【0018】
図2は、この発明に係るX線撮影装置の他の実施形態を示す概要図である。なお、図1に示す実施形態と同一の部材については、同一の符号を付している。
【0019】
この実施形態に係るX線撮影装置は、被検者1を乗せる臥位テーブル5と、被検者1に向けてX線を照射するX線管2と、X線管2から照射されたX線の照射領域を矩形状に制限するコリメータ3と、被検者1を通過したX線を測定するフラットパネルディテクタ4とを備える。X線管2およびコリメータ3と、フラットパネルディテクタ4とは、後述する移動機構16により、被検者1の長手方向に沿い、互いに同期して水平移動するよう構成されている。
【0020】
図3は、図1または図2に示すこの発明に係るX線撮影装置の主要な制御系を示すブロック図である。
【0021】
このX線撮影装置は、画像処理部21を有する制御部20を備える。この制御部20は、高電圧発生部15を介して、上述したX線管2と接続されている。また、この制御部20は、上述したフラットパネルディテクタ4および移動機構16と接続されている。また、この制御部20は、フラットパネルディテクタ4により検出され画像処理部21により画像処理されたX線画像を表示するCRTや液晶表示パネル等から成る画像表示部18と、キーボード等の入力部17とに接続されている。さらに、この制御部20は、撮影後のX線画像を記憶するための画像記憶部14と接続されている。なお、入力部17は、フラットパネルディテクタ4により検出された複数のX線画像のいずれかと、これらのX線画像を合成することにより作成された長尺のX線画像とを、選択的に画像表示部18に表示させるための、この発明に係る切替操作部として機能する。
【0022】
また、上述した画像処理部21は、フラットパネルディテクタ4により検出され、画像記憶部14に記憶された複数のX線画像における互いに重複する領域を重ね合わせて合成することにより、被検者1の体軸方向に沿った長尺のX線画像を作成する合成部22と、複数の画像を重ね合わせて合成した重ね合わせ領域を認識可能なマーカを、長尺のX線画像とともに画像表示部18に表示するためのマーカ表示部23とを備える。
【0023】
図4は、上述したX線撮影装置により、被検者1の下肢全域を撮影する様子を示す説明図である。
【0024】
この図に示すように、被検者1の下肢全体を撮影するためには、X線管2から照射され、コリメータ3で照射領域を制限されたX線による矩形状の撮影領域を、被検者1の長手方向に移動させながら、複数回連続してX線撮影を実行する。このときには、各撮影領域は、その端部が互いに重複するようにして撮影が実行される。これにより、図4(a)に示すように、その端部が互いに重複する複数(この実施形態においては3枚)の矩形状のX線画像11、12、13を得ることができる。これらのX線画像11、12、13は、画像記憶部14に記憶される。
【0025】
次に、図4(b)に示すように、これら矩形状のX線画像11、12、13における互いに重複する領域を重ね合わせて合成することにより、被検者1の体軸方向に沿った長尺のX線画像を作成する。この処理は、画像処理部21における合成部22により実行される。この画像の合成処理時には、画像処理部21におけるマーカ表示部23は、X線画像11とX線画像12との重ね合わせ領域E1およびX線画像12とX線画像13との重ね合わせ領域E2を認識している。
【0026】
そして、図4(c)に示すように、マーカ表示部23は、これらの重ね合わせ領域E1およびE2を認識可能なマーカM1a、M1b、M2a、M2bを、長尺のX線画像とともに画像表示部18に表示する。ここで、マーカM1aおよびM1bは、重ね合わせ領域E1における被検者1の体軸方向の両端部を示しており、マーカM2aおよびM2bは、重ね合わせ領域E2における被検者1の体軸方向の両端部を示している。これらのマーカM1aおよびM1bは、画像表示部18に表示された長尺のX線画像における被検者1の体軸と直交する方向の両端部において、黒く塗りつぶされた矩形状の領域として表示される。
【0027】
医師が合成後の長尺画像を読影するときに、長尺画像中に陰影を発見した場合、その陰影がマーカM1a、M1b、M2a、M2bにより認識される重ね合わせ領域E1またはE2以外の領域に配置されていた場合には、その陰影をそのまま利用して読影を行う。
【0028】
一方、陰影がマーカM1a、M1b、M2a、M2bにより認識される重ね合わせ領域領域E1またはE2に配置されていた場合には、この陰影が重ね合わせ領域E1またはE2に施された画像処理に起因して生じたものである可能性がある。このため、このような場合には、医師は入力部17を操作することにより、画像記憶部14に記憶されている合成前のX線画像11、12、13のいずれかを画像表示部18に表示し、これらのX線画像11、12、13を利用して読影を実行する。これにより、重ね合わせ領域E1またはE2に施された画像処理に起因して生じた陰影を除外することができ、正確な判断を行うことが可能となる。
【0029】
図5は、画像表示部18に表示された重ね合わせ領域を認識可能なマーカの他の実施形態を示す説明図である。
【0030】
図5(a)に示す実施形態においては、図4(c)に示す実施形態と同様、マーカM3aおよびM3bは、重ね合わせ領域E1における被検者1の体軸方向の両端部を示しており、マーカM4aおよびM4bは、重ね合わせ領域E2における被検者1の体軸方向の両端部を示している。一方、図5(b)に示す実施形態においては、マーカM51aおよびM51bは、重ね合わせ領域E1における被検者1の体軸方向の一方の端部を示しており、マーカM52aおよびM52bは、重ね合わせ領域E1における被検者1の体軸方向の他方の端部を示している。同様に、マーカM61aおよびM61bは、重ね合わせ領域E2における被検者1の体軸方向の一方の端部を示しており、マーカM62aおよびM62bは、重ね合わせ領域E2における被検者1の体軸方向の他方の端部を示している。
【0031】
なお、図4(c)、図5(a)および図5(b)に示す実施形態においては、いずれも、マーカ表示部23は、画像表示部18に表示された長尺のX線画像における被検者1の体軸と直交する方向の両端部に、重ね合わせ領域E1、E2における被検者1の体軸方向の両端部を示すマーカを表示している。しかしながら、画像表示部18に表示された長尺のX線画像における被検者1の体軸と直交する方向の一方の端部にのみ、これらのマーカを表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 被検者
2 X線管
3 コリメータ
4 フラットパネルディテクタ
5 臥位テーブル
6 立位スタンド
11 X線画像
12 X線画像
13 X線画像
14 画像記憶部
15 高電圧発生部
16 移動機構
17 入力部
18 画像表示部
20 制御部
21 画像処理部
22 合成部
23 マーカ表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の体軸に沿って移動するX線検出器と、前記X線検出器に向けてX線を照射するX線管とを備え、その端部が互いに重複する複数のX線画像を前記被検者の体軸方向に沿って複数回連続して撮影することにより、前記被検者の体軸方向に沿ったX線画像を撮影するX線撮影装置において、
前記複数のX線画像を記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部に記憶した複数のX線画像における互いに重複する領域を重ね合わせて合成することにより、前記被検者の体軸方向に沿った長尺のX線画像を作成する合成部と、
前記画像記憶部に記憶された複数のX線画像と、前記合成部により作成した長尺のX線画像とを表示するための画像表示部と、
前記複数のX線画像を重ね合わせて合成した重ね合わせ領域を認識可能なマーカを、前記長尺のX線画像とともに前記画像表示部に表示するマーカ表示手段と、
を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線撮影装置において、
前記マーカ表示手段は、前記画像表示部に表示された長尺のX線画像における被検者の体軸と直交する方向の端部に、前記重ね合わせ領域における被検者の体軸方向の両端部を示すマーカを表示するX線撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のX線撮影装置において、
前記複数のX線画像のいずれかと、前記長尺のX線画像とを、選択的に前記表示部に表示させるための切替操作部をさらに備えるX線撮影装置。
【請求項1】
被検者の体軸に沿って移動するX線検出器と、前記X線検出器に向けてX線を照射するX線管とを備え、その端部が互いに重複する複数のX線画像を前記被検者の体軸方向に沿って複数回連続して撮影することにより、前記被検者の体軸方向に沿ったX線画像を撮影するX線撮影装置において、
前記複数のX線画像を記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部に記憶した複数のX線画像における互いに重複する領域を重ね合わせて合成することにより、前記被検者の体軸方向に沿った長尺のX線画像を作成する合成部と、
前記画像記憶部に記憶された複数のX線画像と、前記合成部により作成した長尺のX線画像とを表示するための画像表示部と、
前記複数のX線画像を重ね合わせて合成した重ね合わせ領域を認識可能なマーカを、前記長尺のX線画像とともに前記画像表示部に表示するマーカ表示手段と、
を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線撮影装置において、
前記マーカ表示手段は、前記画像表示部に表示された長尺のX線画像における被検者の体軸と直交する方向の端部に、前記重ね合わせ領域における被検者の体軸方向の両端部を示すマーカを表示するX線撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のX線撮影装置において、
前記複数のX線画像のいずれかと、前記長尺のX線画像とを、選択的に前記表示部に表示させるための切替操作部をさらに備えるX線撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−111445(P2013−111445A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263452(P2011−263452)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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