説明

X線治療用増感剤

【課題】X線を照射して腫瘍等の患部の標的細胞を治療する際に、深部にある患部にも適用することが可能で、X線のエネルギーを効率よく標的細胞に伝達して標的細胞を損傷し、しかも周囲の正常細胞の損傷を低減することのできる低被曝、低侵襲のX線治療用の増感剤を提供する。
【解決手段】プロトポルフィリン、プロトポルフィリンナトリウム、ヘマトポルフィリン及び5-アミノレヴリン酸からなる群から選択された化合物を有効成分として、低被曝、低侵襲のX線治療用増感剤を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線照射により、ガン細胞などの悪性新生物、ガン前駆細胞、ウイルスおよび細菌が感染した細胞を損傷または死滅させる効果を発揮するX線治療用増感剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の放射線治療では、高エネルギーのX線、ガンマ線を腫瘍に集中的に照射すると、細胞内の水がヒドロキシラジカルと水素原子に分解され、細胞内の酸素と反応して、スーパーオキシドやヒドロペルオキシラジカルが生成される。これらの活性酸素やフリーラジカルは、細胞の中のDNAに直接損傷を与える場合と、細胞膜の脂質から水素を引き抜き、過酸化ラジカルの連鎖によって過酸化脂質に変質させて細胞膜傷害を引き起こす間接的な損傷経路の2つの系統がある。しかし、放射線を標的細胞にのみ選択的に照射することはできないので、これらの反応が患部周囲の正常細胞でも進行し、強度の放射線が照射された経路および患部周辺では、腫瘍細胞と正常細胞の区別なく、損傷を与えてしまう結果となる。
【0003】
放射線治療をより効果的に行うため、正常組織の損傷を抑え、特異的に腫瘍の放射線感受性を高める増感剤の開発が進められており、このような増感剤としてメタロポルフィリン類を使用することが提案されている。(例えば、特許文献1,2参照)
【特許文献1】特開2006−298897号公報
【特許文献2】特表2005−504012号公報
【0004】
これらの特許文献に記載されたメタロポルフィリン類は、ポルフィリン誘導体を骨格として2価または3価の鉄等の金属イオンを含み、さらに、側鎖にベンゼン環を複数もった構造となっており、動植物の生体由来であるプロトポルフィリンやヘマトポルフィリン、ポルフィリン塩等に比べて大型で複雑な構造となる。そのため、腫瘍細胞内部への取り込みが低下したり、鉄によるラジカルの触媒作用が進行して細胞を損傷するおそれがある。
【0005】
一方、ポルフィリン類化合物の一種であるヘマトポルフィリン誘導体は、光感受性物質としてレーザーと光感受性物質を組み合わせてがん治療を行う光線力学的治療(PDT:Photodynamic Therapy)に用いられている。作用機構は一重項酸素1O2によるものとされており、光感受性物質が特定波長の光で照射されたとき、分子は光を吸収し光のエネルギーが分子を励起状態に引き上げ、次いで励起エネルギーは酸素分子にわたされ、酸素分子を1O2に変換すると同時に色素分子は基底状態に戻る。1O2はタンパク質のメチオニン、トリプトファン、ヒスチジン、システインの残基を酸化損傷し、不飽和脂肪酸と反応して過酸化脂質を生じる。PDTでは、励起光源として赤色レーザーを使うため生体組織への透過性が低く、表面から1cm程度の深さの患部までが限界であり、大きな腫瘍や深部の腫瘍には適さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明はこれら従来技術の問題点を解消して、X線を照射して腫瘍等の患部の標的細胞を治療する際に、深部にある患部にも適用することが可能で、X線のエネルギーを効率よく標的細胞に伝達して標的細胞を損傷し、しかも周囲の正常細胞の損傷を低減することのできる低被曝、低侵襲のX線治療用の増感剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は鋭意検討した結果、側鎖にベンゼン環を持たない生体由来のプロトポルフィリンやそのナトリウム塩等の特定のポルフィリン類が、X線を照射しない時は細胞毒性が低く、X線照射時のみ、効率よく増感作用を発現することを見出し本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は次の構成を採用するものである。
1.プロトポルフィリン、プロトポルフィリンナトリウム、ヘマトポルフィリン及び5-アミノレヴリン酸からなる群から選択された化合物を有効成分として含有するX線治療用増感剤。
5-アミノレヴリン酸(ALA)自体は光感受性を有さないが、生体内投与後に腫瘍内に選択的にプロトポルフィリンIX(PpIX)が生成され、PpIXの吸収波長で同様にX線治療用増感剤としての作用を有するものである。現在PDTで臨床応用されているレザフィリン、フォトフィリンもポルフィリン骨格を基本構造として持ちながら、その周囲にベンゼン環を持たない構造であるため、細胞毒性が低く、X線によって増感作用を発揮するという本発明の範疇に入る。
2.前記X線治療用増感剤が、200keV以下の低エネルギーX線、望ましくは1〜100keV程度のX線エネルギーで、10Gy以下の吸収線量で増感効果を発現するものである1に記載のX線治療用増感剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明のX線治療用増感剤は、次のような顕著な効果を奏するものである。
(1)ポルフィリン環内に遷移金属イオンを含まないために、X線を照射しない条件下での細胞損傷を抑制することができる。また、側鎖にベンゼン環等の有機化合物を含まない動植物の生体由来のポルフィリン誘導体であるために、細胞内への取り込みが容易となる。
(2)治療用X線発生装置(200keV以上)よりもX線エネルギーの低い、診断用X線装置(200keV以下)の領域で、かつ、従来の治療被曝量(50〜70Gy)より低い低線量域(10Gy以下)で増感作用を発現する。
(3)吸収したX線エネルギーを酸化還元反応に変換して、活性酸素種又はフリーラジカルを発生させることにより、X線照射量に応じて治療の強度を制御できるため、低被曝の治療に有効である。
(4)生体適合性があって腫瘍に選択的に取りこまれるポルフィリンを用いることにより、遠達力のあるX線照射によって大きな腫瘍、深部の腫瘍の治療が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明では、X線治療用増感剤として、プロトポルフィリン、プロトポルフィリンナトリウム、ヘマトポルフィリン及び5-アミノレヴリン酸からなる群から選択された化合物を使用することを特徴とする。
下記の化学式(1)〜(3)に示すように、プロトポルフィリン(1)、ヘマトポルフィリン(2)及びプロトポルフィリンナトリウム(3)は、側鎖にベンゼン環等の有機基を含まない動植物の生体由来のポルフィリン誘導体であるために、特許文献1に記載された側鎖に複数のベンゼン環を有する大型で複雑な構造のポルフィリン誘導体に比較して、生体内への取り込みが容易である。
【0010】
【化1】

【化2】

【化3】

【0011】
また、5-アミノレヴリン酸(ALA)自体は次の式(4)で表される化合物であり、それ自体は光感受性を有さないが、生体内投与後に腫瘍内に選択的にプロトポルフィリンIX(PpIX)が生成され、PpIXの吸収波長で同様にX線治療用増感剤としての作用を有する。
NCHCOCHCHCOOH (4)
これらのX線治療用増感剤は、ポルフィリン環内に遷移金属イオンを含まないために、X線を照射しない時は細胞毒性が低く、X線照射時のみ、効率よく増感作用を発現することができる。また、現在PDTで臨床応用されているレザフィリン、フォトフィリンもポルフィリン骨格を基本構造として持ちながら、その周囲にベンゼン環を持たない構造であるため、細胞毒性が低く、X線によって増感作用を発揮するという本発明の範疇に入る。
【0012】
本発明のX線治療用増感剤は、通常の方法で、注射剤、坐剤、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、軟膏剤、液剤、貼付剤、バップ剤、エアゾール剤などの種々の剤形にすることができる。注射剤を製造する場合は、適当な溶剤、必要に応じて、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、懸濁剤、溶解補助剤、担体等を添加し、常法により注射剤にすることができる。
【0013】
安定化剤としては、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウムなどが用いられる。懸濁剤としては、例えば、メチルセルロース、ポリソルベート80、アラビアゴム等が用いられる。溶解補助剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどが用いられる。
【0014】
注射剤は、例えば、X線治療用増感剤を注射用生理食塩水などの水性担体にあらかじめ、溶解、分散、乳化等するか、または注射用の粉末にして、用時に溶解、分散、乳化等することにより製造することができる。
注射剤の投与方法としては、静脈内投与、動脈内投与、門脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与、病巣内直接投与等が挙げられる。
【0015】
錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、坐剤等の固形製剤、またはシロップ剤等の液剤は、X線治療用増感剤に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、増量剤、被覆剤等を加え、常法に従い製造することができる。例えば、X線治療用増感剤を常法に従い錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、シロップ剤に製剤化し、経口投与してもよい。
軟膏剤、液剤、貼付剤、バップ剤、エアゾール剤は、X線治療用増感剤と適当な担体とから、常法により製造することができ、外用剤として病巣部に直接適用してもよい。本発明のX線治療用増感剤は、1種または2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
【0016】
本発明のX線治療用増感剤の投与量は、患者の年齢、体重、性別、投与方法、症状によって異なるが、通常は成人1人1日あたり、1〜1500mg程度の範囲で選択される。また、通常は本発明のX線治療用増感剤の投与後12時間以内に放射線照射するが、1時間以内に放射線照射を受けるのがより望ましい。
【実施例】
【0017】
次に、実施例により本発明のX線治療用増感剤についてさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。以下の例では、X線照射及び試料の蛍光強度の測定は次のようにして行った。
(X線照射)
X線源はX線診断用の東芝製KXO-15Eを用い、X線照射口から18cm離した位置に、用意した試料を置き、X線を管電圧100kV、管電流4mAの一定条件とし、照射時間を変えることで吸収線量を変えた。
(蛍光強度の測定)
マイクロプレート分光蛍光光度計(TECAN社、infinite M200)を用いて波長456nmで励起した時の、585nmの蛍光強度を測定した。
【0018】
(実施例1)
プロトポルフィリン(Protoporphyrin IX C34H34N4O4 分子量562.66)をリン酸緩衝液に懸濁させて、その濃度が0.3μg/ml、1.0μg/ml、3.0μg/ml、10.0μg/ml、30.0ug/mlの試料液を調製し、各100μlを、おのおの96wellマイクロプレートに分注した。
次に、各試料に終濃度が25μMとなる様に、ジハイドロエチジウム(dihydroethidium,
Invitrogen - Molecular Probes社)を加えた後に、0Gy、1Gy、2Gy、3Gy、5Gy、10GyのX線を照射する処理を行った。照射後の試料について、蛍光強度(Ex 456nm, Em 585nm)を測定した結果を図1に示す。数値は相対的な蛍光強度であり、数値が高いほど、活性酸素種またはフリーラジカルの産生が多いことを示す。
【0019】
(実施例2)
上記実施例1において、プロトポルフィリンに代えてプロトポルフィリンナトリウム(Protoporphyrin Disodium Salt、C34H32N4Na2O4、606.6、東京化成)を使用した以外は、実施例1と同様にしてX線照射を行った試料について、蛍光強度を測定した結果を図2に示す。
【0020】
(実施例3)
上記実施例1において、プロトポルフィリンに代えてヘマトポルフィリン(Hematoporphyrin IX base、C34H38N4O6、598.71、フナコシ)を使用した以外は、実施例1と同様にしてX線照射を行った試料について、蛍光強度を測定した結果を図3に示す。
【0021】
(比較例1)
上記実施例1において、プロトポルフィリンに代えて鉄ポルフィリン(Fe(III) Mesoporphyrin IX chloride、C34H36FeN4O4Cl、656.0、フナコシ)を使用した以外は、実施例1と同様にしてX線照射を行った試料について、蛍光強度を測定した結果を図4に示す。
【0022】
ジハイドロエチジウム試薬は、O2-(スーパーオキサイドアニオン)、HO2・(ペルオキシラジカル)、・HO(ヒドロキシラジカル)等の活性酸素の存在下でジハイドロエチジウム(励起波長385nm、蛍光波長480nm)からエチジウム(励起波長465nm、蛍光波長585nm)が生成されることから、その活性性酸素の測定方法の一つとして用いられる。(参考文献:Nethery D, Stofan D, Callahan L, DiMarco A, Supinski G.: Formation of reactive oxygen species by the contracting diaphragm is PLA(2) dependent. J Appl Physiol. 1999 Aug;87(2):792-800.)。
【0023】
これらの結果より、本発明で使用する特定のポルフィリン誘導体では、X線照射により従来の鉄ポルフィリンに比較して、多量の活性酸素が発生していることが確認された。
鉄ポルフィリンの一つである、Fe(III) Mesoporphyrin IX chlorideは、上記の例で設定した診断用X線の低線量領域では、図4に示すように、活性酸素の発生がほとんど見られなかった。このことは、特許文献1に記載された鉄を含むポルフィリン鉄錯体、ポルフィリン鉄錯体包接アルブミン化合物が、100keV以下、10Gy以下の低線量領域では、必ずしも有効ではないことを示すものである。
【0024】
放射線療法は、放射線によりDNA近傍で発生するフリーラジカルを介してDNA鎖を切断して、細胞のDNAに障害を与えることで作用すると考えられている。このことからO2-(スーパーオキサイドアニオン)、HO2・(ペルオキシラジカル)、・HO(ヒドロキシラジカル)等の活性酸素の発生量の多いプロトポルフィリン、プロトポルフィリンナトリウム、ヘマトポルフィリンは、上記の例で設定した低線量領域では、鉄含有ポルフィリンよりX線増感剤としてより有効である。
【0025】
(実施例4)
96wellマイクロプレートにHELA細胞を播種し、サブコンフルエントになる様に培地(MEM,10%FCS)を用いてCO2インキュベータで培養した。これとは別に、実施例1で使用したプロトポルフィリンを、最終濃度が0.3μg/mlおよび1.0μg/mlとなるように培地(MEM,10%FCS)に加え試料を調製した。
上記マイクロプレートから培地を吸い出し、各試料30μlを、おのおの96wellマイクロプレートに加え1時間培養した後に、0Gy、1Gy、2Gy、3GyのX線を照射する処理を行った。この処理では、X線の線量が増加するにつれて放射線そのものによる細胞損傷の影響が大きくなるため、実施例1に比べて低いX線量で処理を行った。
X線照射後試料を吸い出し、トリプシン処理により細胞を剥離し、25cm2フラスコに播種した。翌日培地交換を行い、対照区の細胞が1コロニー50個以上になるように9日程度培養した後に、細胞を4%ホルマリン緩衝液で固定し、1コロニー50個以上のコロニー数を画像処理によりカウントした。結果を図5、6及び表1に示す。表1は、1GyのX線照射によるポルフィリン類のコロニー形成能阻害を、線量が0Gyの対照区のコロニー形成能を1として表示したものである。
【0026】
(比較例2)
実施例4において、プロトポルフィリンに代えて比較例1で使用した鉄ポルフィリンを使用した以外は、実施例4と同様にして各処理を行った試料について、コロニー数をカウントした結果を図5、6に示す。
【0027】
(実施例5)
実施例4において、プロトポルフィリンに代えて実施例2で使用したプロトポルフィリンナトリウムを使用し、X線照射の線量を1Gyとした以外は、実施例4と同様にして各処理を行った試料についてコロニー数をカウントし、コロニー形成能阻害を評価した結果を表1に示す。
【0028】
(実施例6)
実施例4において、プロトポルフィリンに代えて実施例3で使用したヘマトポルフィリンを使用し、X線照射の線量を1Gyとした以外は、実施例4と同様にして各処理を行った試料についてコロニー数をカウントし、コロニー形成能阻害を評価した結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
上記のとおり、X線エネルギーが従来の治療用より低い100keV以下の診断X線領域で、吸収線量も従来の放射線治療より低い3Gy以下の領域において、X線単独よりもプロトポルフィリンを加えたものが、同じX線量でもコロニー形成率が低いことが確認できた。
これは、本発明の増感剤の存在によりX線照射による腫瘍細胞損傷の効果が増強されるものが有効であることを示す。さらに、上記の照射条件下において、鉄を含むポルフィリンと比較して、鉄を含まないポルフィリンの方が、コロニー形成率が低いことが確認できた。
【0031】
放射線によって引き起こされる高等動物への傷害は、それを構成するここの細胞に対する影響、特にその細胞死に由来する。細胞死には増殖死と間期死があり、高線量の放射線を照射した場合には、DNA分子以外の標的に対する傷害が直接その細胞を死に至らしめる間期死と呼ばれる状態になる。放射線治療においては、細胞核内のDNAに対する傷害による増殖死が重要である。増殖死とは、本来は増殖能を持つ細胞がその分裂能を失うことを意味する。従って、たとえ細胞が正常に代謝を続けていても、1つの細胞が培養によってコロニーとして目に見える細胞集団に増殖しない、つまり増殖能力を失えば増殖死と見なされる。培養細胞集団を考えたときに、放射線の線量の増加と共に死ぬ細胞の数が増えてコロニーの数が減少する。
このために、細胞に対する放射線効果は、コロニー形成率という定量的な指標による評価が確立されており、動物実験の結果を予測するものとして、古くから用いられている(T. T. Puck and P. I. Marcus ,J. Exp. Med. 103, 653-666 (1956))。
したがって、上記の各実施例にみられるように、活性酸素種またはフリーラジカル発生量と、細胞損傷を示すコロニー形成率の2つのデータによって、動物実験の効果を的確に予測することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、放射線治療において、ガン細胞などの悪性新生物、ガン前駆細胞、ウイルスおよび細菌が感染した細胞を損傷または死滅させて治療するのに有用なX線治療用増感剤を提供する。この線増感剤を使用することにより、患部領域にX線の照射を限定した低被曝線量で、放射線を使った低侵襲の治療が可能となる。
また、菌(大腸菌、エンドトキシン、O157、ベロ毒素、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、エンテロトキシン、緑濃菌)の殺菌、毒素分解、ならびに、バクテリア、ウイルスの酸化分解、損傷、死滅により、殺菌滅菌を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1において、X線照射後の試料について、蛍光強度(Ex 456nm, Em 585nm)を測定した結果を示す図である。
【図2】実施例2において、X線照射後の試料について、蛍光強度(Ex 456nm, Em 585nm)を測定した結果を示す図である。
【図3】実施例3において、X線照射後の試料について、蛍光強度(Ex 456nm, Em 585nm)を測定した結果を示す図である。
【図4】比較例1において、X線照射後の試料について、蛍光強度(Ex 456nm, Em 585nm)を測定した結果を示す図である。
【図5】実施例4及び比較例2において、X線照射後の試料について、コロニー形成能阻害を示す図である。
【図6】実施例4及び比較例2において、X線照射後の試料について、コロニー形成能阻害を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトポルフィリン、プロトポルフィリンナトリウム、ヘマトポルフィリン及び5-アミノレヴリン酸からなる群から選択された化合物を有効成分として含有するX線治療用増感剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−155239(P2009−155239A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333562(P2007−333562)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 委託研究「再生医療評価研究開発事業 三次元複合臓器構造体研究開発」 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】