説明

X線画像で目に見えないMR画像用のRFコイル

MR画像処理のために使用されるRFコイルは、X線画像処理システムの視野で適所に留まるとともに、銅製の導電線と銅印刷されたコンデンサーが支持される支持基盤を備えるように設計される。銅線によって生じるX線の減衰は放射線画像中で目に見えるが、これは支持基板の非導電性材料を配することによって補償され、視野内に配されたRFコイルのほぼ全体の減衰が視野全体にわたってほぼ一定となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の身体部分のMR画像を得るために磁気共鳴イメージングシステムで使用することができ、かつ、X線画像を妨げることなく、身体部分のX線画像処理の間に適所に留まることができる、磁気共鳴映像法で使用するためのRFコイルに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴映像法(MRI)は、医療画像のために一般に使用される。加えて、放射線(X線)治療および放射線画像処理とMRIの使用の組み合わせは、両方とも多くの従来状況下で使用されてきた。そのようなシステムは、患者の情報を得るための単一のモダリティシステムと比較して大きな利点を備えている。しかしながら、そのような従来の二重の画像処理システムでは、患者は1つのシステムから別のシステムに移動したり移ったりする必要がある。そのような移動は困難で時間を消費してしまい、さらに、画像登録を複雑にすることによって結果を損ないかねない。
【0003】
放射線療法加速装置(radiotherapy accelerator)と組み合わせたMRIが使用されている。したがって、X線は、放射線療法中に適所にとどまるMR画像システムのRFコイルを通って伝えられなければならない。MRIシステムのRFコイルは放射線経路にあるが、十分に吸収されても治療が著しく損なわれたりせず、画像処理のために高用量を必要ともしない。例えば、RFコイルは、約2.3mmの等価なアルミニウムの厚さを有してもよく、それはコイルからの干渉なく治療が行われるほど十分に低いものであり、かつ、X線照射の最適な用量に影響を与えることがないほど十分に低いものである。
【0004】
放射線画像処理との、またはより詳細にはX線画像処理とのMRIの組み合わせは、特有の問題を引き起こす。とりわけ、従来の表面のMRI受信コイルがX線システムの画像処理経路に配されると、コイルが画像内で目に見えてしまい、アーチファクトを引き起こすか、または、受信コイルの端部または部品が、外科医に見える必要があるX線画像中の重要な特徴を覆ってしまう。このため、MRIが放射線画像処理と組み合わせて行なわれる際には、RFコイルを含むMRIシステムのすべてのコイルは、典型的には、放射線経路を外して配置されるか、または、放射線経路から取り外されることによって、視野の外部にあるようになる。
【0005】
例えば、2005年8月2日に発行された特許文献1(McKinnon)は、X線システムの放射線経路を外して配されたMRIコイルすべてを有する分離したMRIシステムについて検討している。
【0006】
不運にも、MRIの性能は、望ましくないことに、放射線画像処理システムの視野の外側にMRI RFコイルを置くための要件によって悪化しかねない。例えば、表面のRFコイルは、最大のMRI画像品質のために画像処理されている被験体に直接置かれることが往々にしてある。そのような表面のコイルは、MRIシステムと同じ被験体の部分に向けられる任意の放射線画像処理システムの視野の中にある。したがって、従来のMRIと放射線画像処理の組み合わせは、放射線システムの視野の外にRFコイルを置くことによって低下したMRI画像品質を受け入れること、放射線システムの視野の中にRFコイルを置くことによってMRI画像中のアーチファクトを受け入れること、または、MRI画像処理のための一つの位置から放射線システムの視野の外の別の位置にMRI RFコイルを移動させることによってMRI画像中のアーチファクトを受け入れることという望ましくない選択肢を必要としかねない。
【0007】
2008年7月1日に発行された特許文献2(Rieke)は、RFコイルをX線「透過性」を有するようにするために、RFコイル用のアルミニウムを用いることについて開示している。より詳細には、該特許文献は、放射線画像処理とのMRIの適合性の改善が透過コイル部分を有するMRI RFコイルによって与えられる配置を開示している。透過性コイル部分は、放射線画像処理システムによって使用された透過性放射線にほぼ透過的である。したがって、透過性コイル部分は、放射線画像にアーチファクトを入り込ませることなく、放射線画像処理システムの視野内に配置可能である。透過性放射線に対する透過性は、透過性コイル部分に低原子番号(すなわち、Z<29)の元素のみを実質的に含めることによって達成することができる。好ましくは、透過性コイル部分は、アルミニウムから実質的に作られる。
【0008】
しかしながら、RFコイルの線(trace)にアルミニウムを使用することは、銅の使用と比較して、MR画像の劣化につながるということが認められている。しかしながら、銅は、Riekeの「透過性」コイル部分を生成するのに十分な細さの線で使用することができない。
【0009】
関連する開示は、本出願人によって、2008年12月11日に出願された特許文献3と2009年4月8日に出願された特許文献4でなされており、それらの開示は、参照することによって本明細書に組み入れられ、これらは、さらに詳細について参照がなされた、ともに5月25日に出願された特許文献5と特許文献6とに対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,925,319号
【特許文献2】米国特許第7,394,254号
【特許文献3】米国出願12/333,032号
【特許文献4】米国出願12/420,859号
【特許文献5】PCT特許出願CA2009/000673
【特許文献6】PCT特許出願CA2009/000672
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
MRIやたとえばX線などの透過性放射線を用いて、二重の画像処理システムで使用するのに適したRFコイルを提供することが、本発明の1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によると、患者の視野で独立した画像を生成するために、磁気共鳴を用いて、および、透過性放射線を用いて、患者の一部の画像処理で使用するための装置が提供され、該装置は、透過性電磁放射線を用いて、視野に被験体の放射線画像を生成するための放射線画像処理システムと、被験体の画像を生成するための磁気共鳴イメージングシステムと、MR画像処理システムで使用するためのRFコイルとを含み、RFコイルは、放射線画像処理の間に適所にとどまるよう配され、かつ、放射線画像処理の視野内に位置付けられたコイル導電線(conductive trace)を含み、RFコイルは、導電線が支持される支持基板を含み、RFコイルの導電線は、線が放射線画像で目に見える透過性電磁放射線の減衰を引き起こすような厚さを有する導電性材料から準備され、支持基板は視野内に非導電性材料を含み、非導電性材料は、線から離間して配された基板上の位置での透過性電磁放射線の減衰が、導電線の基板上の位置での減衰とほぼ等しくなるように選択された厚みを有する。
【0013】
好ましくは、支持基板の非導電性材料が導電線に対して配されることで、視野内に配されたRFコイルほぼ全体の透過性電磁放射線の減衰が視野全体にわたってほぼ一定になる。しかしながら、減衰が異なる点や領域が存在し、代替的なシステムが画像からこれらの点や領域を取り除くために使用される。当然のことながら、そのような減衰は画像では目に見えないものではなく、画像に影響を与えることが十分であるため、その存在が測定可能であるという意味で、逆に目に見えるものである。しかしながら、その意図は、減衰は一定しているかまたは均質であるため、画像内には目に見えるアーチファクトが存在せず、画像内のRFコイルの存在は、画像処理される部品によって引き起こされた減衰の違いによって生じる、画像内の様々な位置での画像強度の変化には影響を与えないということである。
【0014】
1つの配置では、好ましくは、支持基板は共通の材料から形成され、共通の材料の厚さは、視野内に配されたRFコイルほぼ全体の透過性電磁放射線の減衰が視野全体にわたってほぼ一定になるように変化する。
【0015】
別の配置では、支持基板は基材から形成され、基材とは異なる追加材料が支持基板に加えられる。
【0016】
両方の場合で、材料は、銅線に関連して材料そのものによって生じる減衰の差を分析することによって、および、所望の厚さを計算することによって、測定されるような所望の厚みを提供するように機械加工が可能である。
【0017】
材料の厚さが銅の線とは著しく異ならないように、高減衰を有する追加の材料または基板そのものについて材料を選択することができる。
【0018】
必要に応じて線を印刷することまたは線をエッチングすることを含む、支持基板を製造するための従来の技術と材料を使用することができる。したがって、「線(trace)」という用語は、伝導体を支持基板上の伝導体の形成の任意の特定の方法に限定することを意図してはいない。
【0019】
好ましくは、基材および追加材料は共通構造を形成するために薄片にされる。
【0020】
好ましくは、導電線は、一定の厚み、ゆえに、一定の減衰を有するように、視野の全体にわたって連続的なものである。多くの技術は、特定の場所で厚さを二重にしたり、はんだなどの接続材料を要求したりするジョイントを必要とすることなく、そのような連続的な線を形成するために利用可能である。したがって、好ましくは、導電線は、視野内にはんだを含まない。
【0021】
好ましくは、視野内の導電線からのコネクターワイヤーが1つもないため、線からプレアンプまたは他の位置に接続する、同軸コネクター、ワイヤー、および、ロッドなどのコネクターワイヤーは視野の外に配される。
【0022】
多くの場合、配されるそのようなコイルに必要とされる同軸コンデンサーを視野内に配することが必要であり、好ましくは、同軸コンデンサーは、視野内の導電線からのコネクターワイヤーが1つもない。
【0023】
このことは、コンデンサーが必要なキャパシタンスを定義するために、線間の誘電材料を有する導電線から形成される場合に達成可能である。
【0024】
多くの場合、配されるそのようなコイルに必要とされるヒューズを視野内に配することも必要であり、好ましくは、ヒューズは、ヒューズによる透過性電磁放射線の減衰が導電線の減衰とほぼ等しくなるように配置される。
【0025】
このことは、同様に、ヒューズが導電線から形成される場合に達成可能である。
【0026】
好ましくは、支持基板は、視野内には機械的な取り付け支持構造体を含まない。
【0027】
支持基板は柔軟であってもよい。
【0028】
多くの場合、RFコイルのためにダイオードを提供することが同様に必要であり、可能な場合、ダイオードを視野の外に配することができる。
【0029】
場合によっては、ダイオード、または、導電線とは異なる減衰を有する他の類似する要素を、視野内に配することが必要である。この場合、視野でのダイオードの位置は、一定となるように配置され、放射線画像中のダイオードまたは他の要素の画像は、ソフトウェア映像解析によって取り除かれる。
【0030】
好ましくは、導電線は銅で形成されるが、他の類似する導電性材料は、X線に有効に透過性であるがRFコイルの製造には一般的には向かないアルミニウムの代わりに使用可能である。
【0031】
支持基板は任意の適切な非導電性材料から形成することができ、該非導電性材料は、MR適合性で、かつ、FR−4繊維ガラス回路基板などの銅の減衰以下のX線に対する減衰を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】患者テーブル、患者テーブル上の患者の画像処理を行うための位置に動かすことができるMRI磁石、および、X線システムを移動させるための構造を示す、血管造影室の等角図である。
【図2】患者を取り付けるためのテーブルの等角図であり、基部は図の便宜上省略されており、患者の上部胴体の画像処理を行うためのRFコイル構造を示している。
【図3】RFコイルの平面図であり、概略的に示されたRFコイルに取り付けられたシステムの部品を含む。
【図4】RFコイルを介した断面図である。
【図5】修正した構造を示すRFコイルを介した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1では、患者が患者支持テーブルに固定されている間に、患者の磁気共鳴映像法とX線画像処理を実行するための配置が示されている。配置は部屋(1)を提供し、部屋(1)には患者支持テーブル(10)が取り付けられ、磁石庫(1A)からMR画像処理システムの磁石(3)の部屋に入るために、部屋の片隅にはドア(2)が備え付けられている。部屋は、レール(5)上に取り付けられたX線画像処理システム(4)を含み、C形状の支持部(8)に取り付けられたX線送信機(6)と受信機(7)を含む。X線システムは、Siemensなどの製造業者から市販されている従来の構造である。本明細書に記載および例証されるテーブル(10)は、画像処理がMRIとX線を用いて行われている間に、患者がテーブル上の適所にとどまったままの配置で使用される。
【0034】
患者が同じテーブル上のいずれかのモダリティによって画像処理可能となるように、X線システム(4)は、上記の可動式の磁石と連携する。患者は移動せず、RFコイルの少なくとも1つは適所にとどまる。
【0035】
MRは、上記のような2部屋以上の間で頭上のレール上を移動する、高磁場の(例えば、1.5T、または、3T以上)磁石である。記載されたシステムでは、これらの部屋の1つ以上は、一方向または二方向のX線システムを含む。磁石がX線検査室から移動する際、1組のRFとX線遮蔽ドアが閉じられ、検査室は従来のX線の研究所として機能し、従来の機器で使用することができる。特に、X線でガイドされた治療介入が行なわれる。
【0036】
その配置は、左側に血管造影室(AR)、中央に診断室(DE)、右側に手術室を備えた、典型的な3部屋構造で使用される。磁石は部屋間の頭上のレール上を移動し、各々で画像処理を行うことができる。
【0037】
MR画像処理が必要とされる際、X線機器が安全に積まれ、ドアが開けられ、磁石はテーブル上の患者越しに部屋に持ち込まれる。RFシールドは血管造影室を覆うため、X線検査室の機器はRFを出さないように作られる。それから、MR画像処理を行なうことができる。その後、磁石は部屋から取り除かれ、ドアは閉じられ、X線機器は元の作動位置に戻される。
【0038】
MRスキャナはX線を用いて得られる情報に補足的な情報を提供するために使用される。MRスキャナは、例えば、治療介入後の評価を行なうと同様に、治療介入前に基礎評価を行なうために使用することができる。そのような評価は、例えば、心臓または脳に関するかん流および実行可能性研究を含む。
【0039】
図1に示されるようなX線システムを動かすための配置において、MRはX線検査室に入り、テーブル(10)の頭部端部越しに移動する。MRの経路がC形状のアームスタンドの位置をちょうど通り抜けるので、後者は磁石が入る前に移動させなければならない。必要性に応じて、床に取り付けられたC形状のアームスタンドは、床のレール、床のターンテーブル、または、床または壁に取り付けられたブーム上を移動する。必要性に応じて、天井に取り付けられたC形状のアームスタンドは、可動式の磁石レールから吊るされたプラットフォームにスタンドレールを取り付けることによって、または、スタンドレールを横に動かすために伸縮アームを備えるプラットフォームにスタンドレールを固定することによって、テーブルの脚部端部にアームスタンドを置くために延長レールを用いて動かされる。
【0040】
天井に取り付けられたスタンド用の移動機と一緒に床に取り付けられたスタンドを移動させる解決策を用いることは、二方向システムを動かすための機構を提供する。移動機は、MRレールに対する非ゼロの角度(例えば、90度)で、一方向または二方向の取り付け位置を提供する。
【0041】
患者取扱いシステムまたは支持テーブルが、(10)で概略的に示された図2に描かれる。患者支持テーブルは従来の構造の基部(11)を含み、この従来の構造は、基部が所望の高さおよび方向の位置まで患者支持テーブル(12)を動かすことを可能にする。適切な駆動機構およびカップリングは当該技術分野では知られており、したがって、本明細書に記載する必要はない。基部(11)の頂部に、繊維強化プラスチック材料から形成された、一般的には平面の本体部(12)の形状をした患者支持部分が取り付けられることによって、患者が患者支持テーブル上に横たわったまま、患者を支持するのに十分な表面積を画定する。
【0042】
画像処理が胸部である場合、前部の胸部コイル(31)はマッ線上での画像処理のために患者が適所にいるときに、患者の胸部の上に置かれるよう配置され、後部コイル(32)は患者の背後に置くように配置される。同様に、画像処理が頭部である場合、コイルは患者の頭部の上下に置かれる。
【0043】
MR画像システムからX線画像処理システムに変える際に患者を動かさないようにするために、少なくとも後部のコイルは適所にとどまる。したがって、このコイルはX線画像において目に見える。画像処理システムは単純な線形のX線システムであるか、または、より好ましくは、患者の周辺の複数の画像を撮る、例証されたタイプの二方向性の回転システムである。
【0044】
したがって、図1に示されるような患者の一部の画像処理に使用するための装置は、透過性電磁放射線を用いて視野で被験体の放射線画像を生成するための放射線画像処理システム(4)、および、磁石(3)とRFコイル(31)(32)を含む、被験体の画像を生成するための磁気共鳴イメージングシステムを含む。
【0045】
RFコイル(32)の概略図が図3と4に示され、概略的にのみ示されたX線送信機(50)と受信機(51)を用いる放射の間に、適所にとどまるように配置される。
【0046】
RFコイルは、側端部(34)を有する支持基板(33)を含み、画像処理システム(4)は、画像の外にある視野の外側の基板の部分を有するX線画像で見ることができる基板の領域内の視野(35)を画定する。
【0047】
コイルの回路類は、導電線(36)、コンデンサー(37)、ヒューズ(41)、ダイオード(38)、接続ワイヤ(39)、および、プレアンプ(40)を含む。これらの要素のすべては、一般的な構造物の従来のものであり、コイル設計の当業者には周知であるため、詳細な説明はここでは必要ない。
【0048】
RFコイルの導電線は、導電性材料と、少なくとも0.0007インチの、好ましくは、MR画像システムからRF信号を受信するのに有効な0.0014インチから0.0042インチの範囲の厚さT3を有する銅から準備される。そのような線は、典型的には、均一の厚さの支持基板材料と比較して、放射線画像ではっきりと目に見える透過性電磁放射線の減衰を引き起こす。
【0049】
図4に示されるように、支持基板は、視野の非導電性材料で形成され、該非導電性材料は、選択された線から離間した位置の基板上の位置で厚みT1を有するため、そのような位置での透過性電磁放射線の減衰が導電線の減衰とほぼ等しくなる。したがって、厚さT1での基板材料の減衰は、それが線の厚さT3と線での基板の厚さT2によって引き起こされる減衰の合計に等しくなるように準備される。このようにして、視野内に配されたRFコイルのほぼ全体の透過性電磁放射線の減衰は、視野の全体にわたってほぼ一定である。
【0050】
線が基板の浅い領域に埋め込まれて図4で示されている一方で、線は平らな基板の頂部に適用され、基板の変動的な厚さは後部で適用される。加えて、基板は、X線に透過性で、すなわち、減衰に影響を与えない材料で凹部を満たすことによって、平らになる。
【0051】
図5には、基板が基材(33A)で形成され、追加材料(33B)が線とは別の領域にある支持基盤に加えられる代替的な配置が示され、該材料は非導電性であり、減衰係数を有し、つまり、該材料はX線に対して透過性でなく、支持基盤(33A)とは異なる。基板材料と追加材料は、共通の構造を形成するために薄層にされ、凹部は追加の透過性材料によって満たされる。
【0052】
導電線は一定の減衰を有するように視野の全体にわたって連続的になるように配列される。すなわち、導電線は継ぎ目を含まず、したがって、視野内にはんだを含まない。その代わりに、線は印刷されるか、さもなければ、一定の連続的なストリップとして塗布される。代替的に、線は、基板上の連続した層から望まれない材料をエッチング処理することによって形成され、連続的で継ぎ目を含まない線を残す。
【0053】
図3で示されるように、コイルからのすべてのコネクターワイヤー(39)は、視野(35)の外側に配され、視野内の導電線からのコネクターワイヤーはない。
【0054】
コイル用のコンデンサー(37)とヒューズ(41)は、ほとんどの場合、視野(35)内に必ず配され、したがって、透過性電磁放射線の減衰が導電線での基板の減衰とほぼ等しくなるように配置される。こうして、コンデンサーとヒューズは、必要な特徴と値を提供するために必要な量の導電性材料と誘電材料を含む基板上に設計されて置かれる導電線からそれ自体が形成される。導電線からのそのような部品の設計は知られており、当業者の技術の範囲内である。
【0055】
支持基板は、必要な要素への基板の接続のための機械的な取り付け支持部(42)を含むが、これらは視野の外に来るように配置されるため、基板は一般的に一定かつ連続的なものとなり、視野内には機械的な構造はない。
【0056】
必要なダイオード(38)は、視野の外に位置付けられるように設計され配置される。
【0057】
代替案として、ダイオードまたは他の必要な要素は視野の外に位置付けられ、ここで、該要素は導電線および構築物の減衰とは異なる減衰を有し、高減衰係数を有するため、この高減衰係数まで基板の残りの部分を築きあげることによっては合理的に補償されない。該要素が視野内に位置付けられるこの配置において、視野での要素の位置は一定しており、放射線画像中の要素の画像は、X線受信機(51)でソフトウェア映像解析によって取り除かれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の視野で独立した画像を生成するために、磁気共鳴を用いて、および、透過性放射線を用いて、患者の一部の画像処理で使用するための装置であって、
前記装置は、
透過性電磁放射線を用いて、視野に被験体の放射線画像を生成するための放射線画像処理システムと、
被験体の画像を生成するための磁気共鳴イメージングシステムと、
MR画像処理システムで使用するためのRFコイルとを含み、
RFコイルは、放射線画像処理の間に適所にとどまるよう配され、かつ、放射線画像処理の視野内に位置付けられたコイル導電線を含み、
RFコイルは、導電線が支持される支持基板を含み、
RFコイルの導電線は、線が放射線画像で目に見える透過性電磁放射線の減衰を引き起こすような厚さを有する導電性材料から準備され、
支持基板は視野内に非導電性材料を含み、非導電性材料は、線から離間して配された基板上の位置での透過性電磁放射線の減衰が、導電線の基板上の位置での減衰とほぼ等しくなるように選択された厚みを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
支持基板の非導電性材料が導電線に対して配されることで、視野内に配されたRFコイルほぼ全体の透過性電磁放射線の減衰が視野全体にわたってほぼ一定になることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
支持基板は共通の材料から形成され、共通の材料の厚さは、視野内に配されたRFコイルほぼ全体の透過性電磁放射線の減衰が視野全体にわたってほぼ一定になるように変化することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
支持基板は基材から形成され、基材とは異なる追加材料が支持基板に加えられることで、視野内に配されたRFコイルほぼ全体の透過性電磁放射線の減衰が視野全体にわたってほぼ一定になることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
基材および追加材料は共通構造を形成するために薄片にされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
導電線は、一定の減衰を有するように視野の全体にわたって連続的であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
導電線は、視野内にはんだを含まないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
視野内の導電線からのコネクターワイヤーが1つもないことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
導電線の減衰とほぼ等しい透過性電磁放射線の減衰を有する少なくとも1つのコンデンサーが視野内に設けられることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
コンデンサーは導電線から形成されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
導電線の減衰とほぼ等しい透過性電磁放射線の減衰を有するヒューズが視野内に設けられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
ヒューズが導電線から形成されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
支持基板は、視野内には機械的な取り付け支持構造体を含まないことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
支持基板が柔軟であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
視野の外に配されるダイオードが提供されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
導電線とは異なる減衰を有する少なくとも1つの要素が視野内に設けられ、視野における要素の位置は一定しており、放射線画像中の要素の画像は、ソフトウェア映像解析によって取り除かれることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
導電線とは異なる減衰を有するダイオードが視野内に設けられ、視野におけるダイオードの位置は一定しており、放射線画像中のダイオードの画像は、ソフトウェア映像解析によって取り除かれることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1つに記載の装置。
【請求項18】
導電線は銅で形成されることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1つに記載の装置。
【請求項19】
支持基板がFR−4で形成されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−531223(P2012−531223A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516449(P2012−516449)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000970
【国際公開番号】WO2011/000085
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(511261097)イムリス インク. (10)
【Fターム(参考)】