X線画像撮影装置
【課題】 ハンドル部を有するX線画像撮影装置をカセッテ用架台に収納する際の利便性を向上させることを目的とする。
【解決手段】 有効撮影領域を有する可搬型X線画像撮影装置と、前記X線画像撮影装置を収納可能な架台とを有するX線画像撮影装置において、前記可搬型X線画像撮影装置は、前記有効撮影領域と異なる側面に可搬用のハンドル部を有し、前記可搬型X線画像撮影装置が前記架台に収納される場合、前記ハンドル部のオフセットだけ前記可搬型X線画像撮影装置の位置をずらすことにより、前記架台の中心と前記可搬型X線画像撮影装置の前記有効撮影領域の中心とを合わせる位置合わせ部材を有することを特徴とする。
【解決手段】 有効撮影領域を有する可搬型X線画像撮影装置と、前記X線画像撮影装置を収納可能な架台とを有するX線画像撮影装置において、前記可搬型X線画像撮影装置は、前記有効撮影領域と異なる側面に可搬用のハンドル部を有し、前記可搬型X線画像撮影装置が前記架台に収納される場合、前記ハンドル部のオフセットだけ前記可搬型X線画像撮影装置の位置をずらすことにより、前記架台の中心と前記可搬型X線画像撮影装置の前記有効撮影領域の中心とを合わせる位置合わせ部材を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型のX線画像撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体プロセス技術の進歩に伴い、半導体センサを使用してX線画像を撮影するX線画像撮影システムが開発されている。これらのシステムは、従来の感光性フィルムを用いるX線写真システムと比較して非常に広いダイナミックレンジを有している。
【0003】
よって、X線の露光量の変動に影響されないX線画像を得ることができる利点を有している。更に、従来の感光性フィルム方式と異なり化学処理が不要であるため、即時的に出力画像を得ることができるという利点がある。
【0004】
図1は、このようなX線画像撮影装置を用いた一般的なX線画像撮影システムの概念図を示している。
【0005】
X線画像撮影装置1には被写体を透過したX線分布を検出可能な二次元状に配列した読取手段2が内蔵されている。このX線画像撮影装置1の上方にはX線発生装置3が設けられており、このX線発生装置3から被写体6にX線を照射する。
【0006】
被写体6を透過したX線は蛍光体を介して可視光に変換される。そして、可視光は、二次元の格子状に配列された光電変換素子に照射され、電気信号として検出される。
【0007】
X線画像撮影装置1には、読出し駆動や画像転送などの制御を行う制御部が構成されている。X線画像撮影装置1から出力された画像は、画像処理手段4においてデジタル画像処理され、モニタ5に被写体6のX線画像が表示される。このシステムは後処理で画像を読み出す前述のX線画像記録再生システムとは異なり、即時的に画像をモニタに表示できる点が長所である。
【0008】
近年、可搬型のX線画像撮影装置が普及しており、任意の撮影姿勢での撮影や回診用途での利用が広がってきている。
【0009】
最近では、特許文献1に挙げられるようにハンドル機能を有する可搬型の撮影装置が提案されている。この特許文献1においては、短辺方向に着脱可能なハンドルを有している。
【0010】
また、特許文献2では、着脱可能なハンドルが一側面とその側面に直行する一側面に有している撮影装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−237074号公報
【特許文献2】特開2009−300603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、可搬型のX線画像撮影装置の普及が進んでいるが、従来のフィルムカセッテの運用に慣れ親しんだユーザは多く、可搬型のX線画像撮影装置で従来のフィルムカセットと同様の運用をする要望が高まってきている。
【0013】
すなわち、先に述べた任意の姿勢での撮影や回診用途での利用のほかに、X線画像撮影装置を立位架台や臥位テーブル架台に収納した状態で運用することが要望されるようになってきている。
【0014】
しかしながら、ハンドルを有するX線画像撮影装置においてはハンドル部の形状の制約があり、既存の立位架台や臥位テーブル架台に収納することが出来なかった。また、ハンドルを有するX線画像撮影装置を既存のフィルムカセッテ用の架台に収納できたとしても、X線画像撮影装置内1の読取手段の画像有効領域の中心位置と架台の位置合わせ中心とを合わせることが困難であった。
【0015】
前述の特許文献1で開示されている装置においては、短辺側にハンドルを有しているため、撮影装置が半切サイズ対応の場合、既存のフィルムカセッテ用の架台に収納する際はハンドル部が邪魔になり収納できない。ハンドルは着脱可能な構造にはなっているが、ネジ固定になっており、ユーザがハンドルの着脱を行うことは困難である。また、ハンドルが容易に着脱できる構造になっていたとしても、外したハンドルの置き場所などハンドル自体を管理する必要があり利便性は損なわれる。
【0016】
また、特許文献2で開示されている装置においても、着脱可能なハンドルを有している。しかしながら、X線画像撮影装置が半切サイズの場合には、ハンドルを装着したまま既存のフィルムカセッテ用の架台に収納できる形状になっていない。
【0017】
また、特許文献1と同様に、ハンドルを容易に着脱できたとしても、外したハンドル自体の管理をする必要があり利便性が損なわれる。更には、ハンドル部を着脱するためには着脱機構を設ける必要があり、着脱の利便性を向上しようとすると着脱機構の構造複雑化および多部品化が進み、コストアップの要因となってしまう。また、装置が重くなり、可搬性が損なわれる原因になる。
【0018】
本願発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ハンドル部を有するX線画像撮影装置をカセッテ用架台に収納する際の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明のX線画像撮影装置は、有効撮影領域を有する可搬型X線画像撮影装置と、前記X線画像撮影装置を収納可能な架台とを有するX線画像撮影装置において、前記可搬型X線画像撮影装置は、前記有効撮影領域と異なる側面に可搬用のハンドル部を有し、前記可搬型X線画像撮影装置が前記架台に収納される場合、前記ハンドル部のオフセットだけ前記可搬型X線画像撮影装置の位置をずらすことにより、前記架台の中心と前記可搬型X線画像撮影装置の前記有効撮影領域の中心とを合わせる位置合わせ部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本願発明によれば、ハンドル部を有するX線画像撮影装置をカセッテ用架台に収納する際の利便性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】X線画像撮影装置の使用状況の一例を示した図である。
【図2】第一の実施形態におけるX線画像撮影装置の構成を示した図である。
【図3】第一の実施形態におけるX線画像撮影装置の構成を示した図である。
【図4】第一の実施形態におけるX線画像撮影装置の構成を示した図である。
【図5】第二の実施形態におけるX線画像撮影装置の構成を示した図である。
【図6】第三の実施形態におけるX線画像撮影装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第一の実施形態)
図2のa,bは、可搬型のX線画像撮影装置1(可搬型X線画像撮影装置)が架台7に装着された図を示している。
【0023】
図2aはX線入射方向から見た図であり、図2bは側面から見た図である。
【0024】
図2で示されるように、架台7の下にはX線画像撮影装置1の収納部8が装備され、X線画像撮影装置1が収納可能な構造となっている。
【0025】
図3aは、図2aの方向から見た収納部8の詳細図である。収納部8は、収納されたX線画像撮影装置1を収納部8の中心方向に移動させるための可動式位置決め機構12、13、14、15を有している。
【0026】
位置決め機構12と13、および14と15はそれぞれ連動している可動するようになっている。X線画像撮影装置1の最大外形寸法は、従来のフィルムカセッテの最大サイズである14×17インチの画像有効領域を有するものであり、384×460mmという規格サイズである。
【0027】
X線画像撮影装置1は90°回転させて搭載することもあるため、収納部8に収納可能な撮影装置1の最大外形寸法は1辺が約460mmの正方形となる。
【0028】
X線画像撮影装置1が長方形などの対称形状をしている場合には、位置決め機構12から15が作動することによりX線画像撮影装置1を収納部8の中心方向に移動させ位置を固定する。
【0029】
この機構によりX線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域(有効撮影領域)の中心23と、収納部8の位置合わせ中心16とを一致させることが可能になる。
【0030】
図3bは、可搬用のハンドルを有するX線画像撮影装置1を既存のフィルムカセッテ用架台の収納部8に搭載した場合の詳細図である。長辺側にハンドル22(ハンドル部)を有するX線画像撮影装置1は非対称形状となっている。従って、図3aと同じ位置決め機構では、置決め機構が作動してもX線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域の中心23と収納部8の位置合わせ中心16がずれてしまう。
【0031】
X線画像撮影装置1が収納部8に収納されてしまうと、技師などの撮影を行うユーザからはX線画像撮影装置1が見えなくなる。そのため、それぞれの中心がずれていても、ユーザにとって、撮影を行いたい領域と、X線画像撮影装置1との位置を合わせることは困難になる。
【0032】
本実施形態のX線画像撮影装置1では、図4aに示すようにハンドル22を有する側面に直行する2つの側面と読取手段の画像有効領域中心23までの距離Aと、読取手段の画像有効領域中心23からハンドル22を有する側面の最外形までの距離Bとの関係が、A≦Bとなるようにする。更に、ハンドル22を有する側面の対抗側に、X線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23からハンドル22の最外形までの距離Bと距離が同じになるようにスペーサ17(位置合わせ部材)を配置する。スペーサ17により、ハンドル22のオフセットが補正される。
【0033】
これらにより、ハンドル22を有するX線画像撮影装置1は、既存のフィルムカセッテ用架台に収納可能になり、かつX線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23と架台の位置合わせ中心16とを合わせることが可能となる。
【0034】
また、この形状になることにより、図4bのように撮影装置1を90°回転させて収納した場合においても、X線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23と架台の位置合わせ中心16を一致させることが可能となる。
【0035】
このように、X線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23と架台の位置合わせ中心16が一致することにより、技師などのユーザが被検者を撮影する際に撮影領域を適切に把握することが可能となり、ユーザビリティの向上につながる。
【0036】
(第二の実施形態)
図5a、bは、X線画像撮影装置1のハンドル22の部分を拡大した図である。ハンドル22は、グリップ部26と開口部27で構成されている。開口部27は技師などの作業者が可搬する際にグリップ部26を握るため指を通すためのものである。
【0037】
指を通すためにはある程度の大きさの開口が必要となるが、B≦230mmという制約の中で、グリップ部26と開口部27を設けるのは困難である。
【0038】
本実施形態では、ハンドル22は可動式になっており、X線画像撮影装置1を可搬する際には図5aのようにハンドル22の開口部27がD3分だけ大きくなる。当該機構により、開口部27を十分確保でき、かつ可搬性の向上を図ることが可能になる。
【0039】
また、収納部8に収納する際は、図5bのように、ハンドル22の一部がX線画像撮影装置内に収納され、ハンドル22の開口部27がA≦Bを満たすように小さくなる。当該機構により、X線画像撮影装置1を収納部8に収納してもスペーサ17を使用することにより、X線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23と架台の位置合わせ中心16を合わせることが可能になる。また、可搬性の向上を図ることが可能となる。また、上記のように可動式の機構を採用することで、グリップ部26も必要に応じて太くすることが可能となり、可搬性を更に向上させることが可能になる。
【0040】
(第三の実施形態)
図6は、X線画像撮影装置1にケーブル25が装着された例を示した図である。
【0041】
ケーブル25に対して、X線画像撮影装置1との接続部にケーブルガイド24が装備されている。ケーブルガイド24はケーブルの局所的な屈曲を緩和する役割を有しており、シリコンゴムなどの弾性部材から構成されている。
【0042】
ケーブル25の取り出し口はハンドル22と同じ側面にある。そして、ケーブルガイド24の先端とX線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23までの距離Cとハンドルの最外形とセンサ中心23までの距離Bには、B>Cの関係がある。すなわち、ハンドル22のオフセットよりもケーブルガイド24のオフセットが小さく、ケーブルガイド24の先端でなく、ハンドル22の方が最外形になっている。当該形状により、X線画像撮影装置1が収納部8に収納され、位置決め機構12から15が作動して位置決めを行ったとしても、位置決め機構がケーブルガイド24に接触することがない。従って、X線撮影装置1の位置決めに影響を与えることなく、X線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23と架台の位置合わせ中心16とを合わせることが可能となる。
【0043】
また、ケーブルガイド24の先端は、ハンドル22を有する側面に直行する2つの側面の近い側R2の距離を有している。R2は、有線ケーブルの許容最小屈曲R1よりも大きくなっている。これによりX線撮影装置1を架台8に収納した際にもケーブルに無理な屈曲の負荷を与えることなく、安全に収納可能となる。以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 X線画像撮影装置
2 読取手段
3 X線発生装置
4 画像処理手段
5 モニタ
6 被写体
7 架台
8 収納部
12 位置決め機構
13 位置決め機構
14 位置決め機構
15 位置決め機構
16 架台位置合わせ中心
17 スペーサ
22 ハンドル
23 画像有効領域の中心
24 ケーブルガイド
25 ケーブル
26 グリップ部
27 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型のX線画像撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体プロセス技術の進歩に伴い、半導体センサを使用してX線画像を撮影するX線画像撮影システムが開発されている。これらのシステムは、従来の感光性フィルムを用いるX線写真システムと比較して非常に広いダイナミックレンジを有している。
【0003】
よって、X線の露光量の変動に影響されないX線画像を得ることができる利点を有している。更に、従来の感光性フィルム方式と異なり化学処理が不要であるため、即時的に出力画像を得ることができるという利点がある。
【0004】
図1は、このようなX線画像撮影装置を用いた一般的なX線画像撮影システムの概念図を示している。
【0005】
X線画像撮影装置1には被写体を透過したX線分布を検出可能な二次元状に配列した読取手段2が内蔵されている。このX線画像撮影装置1の上方にはX線発生装置3が設けられており、このX線発生装置3から被写体6にX線を照射する。
【0006】
被写体6を透過したX線は蛍光体を介して可視光に変換される。そして、可視光は、二次元の格子状に配列された光電変換素子に照射され、電気信号として検出される。
【0007】
X線画像撮影装置1には、読出し駆動や画像転送などの制御を行う制御部が構成されている。X線画像撮影装置1から出力された画像は、画像処理手段4においてデジタル画像処理され、モニタ5に被写体6のX線画像が表示される。このシステムは後処理で画像を読み出す前述のX線画像記録再生システムとは異なり、即時的に画像をモニタに表示できる点が長所である。
【0008】
近年、可搬型のX線画像撮影装置が普及しており、任意の撮影姿勢での撮影や回診用途での利用が広がってきている。
【0009】
最近では、特許文献1に挙げられるようにハンドル機能を有する可搬型の撮影装置が提案されている。この特許文献1においては、短辺方向に着脱可能なハンドルを有している。
【0010】
また、特許文献2では、着脱可能なハンドルが一側面とその側面に直行する一側面に有している撮影装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−237074号公報
【特許文献2】特開2009−300603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、可搬型のX線画像撮影装置の普及が進んでいるが、従来のフィルムカセッテの運用に慣れ親しんだユーザは多く、可搬型のX線画像撮影装置で従来のフィルムカセットと同様の運用をする要望が高まってきている。
【0013】
すなわち、先に述べた任意の姿勢での撮影や回診用途での利用のほかに、X線画像撮影装置を立位架台や臥位テーブル架台に収納した状態で運用することが要望されるようになってきている。
【0014】
しかしながら、ハンドルを有するX線画像撮影装置においてはハンドル部の形状の制約があり、既存の立位架台や臥位テーブル架台に収納することが出来なかった。また、ハンドルを有するX線画像撮影装置を既存のフィルムカセッテ用の架台に収納できたとしても、X線画像撮影装置内1の読取手段の画像有効領域の中心位置と架台の位置合わせ中心とを合わせることが困難であった。
【0015】
前述の特許文献1で開示されている装置においては、短辺側にハンドルを有しているため、撮影装置が半切サイズ対応の場合、既存のフィルムカセッテ用の架台に収納する際はハンドル部が邪魔になり収納できない。ハンドルは着脱可能な構造にはなっているが、ネジ固定になっており、ユーザがハンドルの着脱を行うことは困難である。また、ハンドルが容易に着脱できる構造になっていたとしても、外したハンドルの置き場所などハンドル自体を管理する必要があり利便性は損なわれる。
【0016】
また、特許文献2で開示されている装置においても、着脱可能なハンドルを有している。しかしながら、X線画像撮影装置が半切サイズの場合には、ハンドルを装着したまま既存のフィルムカセッテ用の架台に収納できる形状になっていない。
【0017】
また、特許文献1と同様に、ハンドルを容易に着脱できたとしても、外したハンドル自体の管理をする必要があり利便性が損なわれる。更には、ハンドル部を着脱するためには着脱機構を設ける必要があり、着脱の利便性を向上しようとすると着脱機構の構造複雑化および多部品化が進み、コストアップの要因となってしまう。また、装置が重くなり、可搬性が損なわれる原因になる。
【0018】
本願発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ハンドル部を有するX線画像撮影装置をカセッテ用架台に収納する際の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明のX線画像撮影装置は、有効撮影領域を有する可搬型X線画像撮影装置と、前記X線画像撮影装置を収納可能な架台とを有するX線画像撮影装置において、前記可搬型X線画像撮影装置は、前記有効撮影領域と異なる側面に可搬用のハンドル部を有し、前記可搬型X線画像撮影装置が前記架台に収納される場合、前記ハンドル部のオフセットだけ前記可搬型X線画像撮影装置の位置をずらすことにより、前記架台の中心と前記可搬型X線画像撮影装置の前記有効撮影領域の中心とを合わせる位置合わせ部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本願発明によれば、ハンドル部を有するX線画像撮影装置をカセッテ用架台に収納する際の利便性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】X線画像撮影装置の使用状況の一例を示した図である。
【図2】第一の実施形態におけるX線画像撮影装置の構成を示した図である。
【図3】第一の実施形態におけるX線画像撮影装置の構成を示した図である。
【図4】第一の実施形態におけるX線画像撮影装置の構成を示した図である。
【図5】第二の実施形態におけるX線画像撮影装置の構成を示した図である。
【図6】第三の実施形態におけるX線画像撮影装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第一の実施形態)
図2のa,bは、可搬型のX線画像撮影装置1(可搬型X線画像撮影装置)が架台7に装着された図を示している。
【0023】
図2aはX線入射方向から見た図であり、図2bは側面から見た図である。
【0024】
図2で示されるように、架台7の下にはX線画像撮影装置1の収納部8が装備され、X線画像撮影装置1が収納可能な構造となっている。
【0025】
図3aは、図2aの方向から見た収納部8の詳細図である。収納部8は、収納されたX線画像撮影装置1を収納部8の中心方向に移動させるための可動式位置決め機構12、13、14、15を有している。
【0026】
位置決め機構12と13、および14と15はそれぞれ連動している可動するようになっている。X線画像撮影装置1の最大外形寸法は、従来のフィルムカセッテの最大サイズである14×17インチの画像有効領域を有するものであり、384×460mmという規格サイズである。
【0027】
X線画像撮影装置1は90°回転させて搭載することもあるため、収納部8に収納可能な撮影装置1の最大外形寸法は1辺が約460mmの正方形となる。
【0028】
X線画像撮影装置1が長方形などの対称形状をしている場合には、位置決め機構12から15が作動することによりX線画像撮影装置1を収納部8の中心方向に移動させ位置を固定する。
【0029】
この機構によりX線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域(有効撮影領域)の中心23と、収納部8の位置合わせ中心16とを一致させることが可能になる。
【0030】
図3bは、可搬用のハンドルを有するX線画像撮影装置1を既存のフィルムカセッテ用架台の収納部8に搭載した場合の詳細図である。長辺側にハンドル22(ハンドル部)を有するX線画像撮影装置1は非対称形状となっている。従って、図3aと同じ位置決め機構では、置決め機構が作動してもX線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域の中心23と収納部8の位置合わせ中心16がずれてしまう。
【0031】
X線画像撮影装置1が収納部8に収納されてしまうと、技師などの撮影を行うユーザからはX線画像撮影装置1が見えなくなる。そのため、それぞれの中心がずれていても、ユーザにとって、撮影を行いたい領域と、X線画像撮影装置1との位置を合わせることは困難になる。
【0032】
本実施形態のX線画像撮影装置1では、図4aに示すようにハンドル22を有する側面に直行する2つの側面と読取手段の画像有効領域中心23までの距離Aと、読取手段の画像有効領域中心23からハンドル22を有する側面の最外形までの距離Bとの関係が、A≦Bとなるようにする。更に、ハンドル22を有する側面の対抗側に、X線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23からハンドル22の最外形までの距離Bと距離が同じになるようにスペーサ17(位置合わせ部材)を配置する。スペーサ17により、ハンドル22のオフセットが補正される。
【0033】
これらにより、ハンドル22を有するX線画像撮影装置1は、既存のフィルムカセッテ用架台に収納可能になり、かつX線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23と架台の位置合わせ中心16とを合わせることが可能となる。
【0034】
また、この形状になることにより、図4bのように撮影装置1を90°回転させて収納した場合においても、X線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23と架台の位置合わせ中心16を一致させることが可能となる。
【0035】
このように、X線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23と架台の位置合わせ中心16が一致することにより、技師などのユーザが被検者を撮影する際に撮影領域を適切に把握することが可能となり、ユーザビリティの向上につながる。
【0036】
(第二の実施形態)
図5a、bは、X線画像撮影装置1のハンドル22の部分を拡大した図である。ハンドル22は、グリップ部26と開口部27で構成されている。開口部27は技師などの作業者が可搬する際にグリップ部26を握るため指を通すためのものである。
【0037】
指を通すためにはある程度の大きさの開口が必要となるが、B≦230mmという制約の中で、グリップ部26と開口部27を設けるのは困難である。
【0038】
本実施形態では、ハンドル22は可動式になっており、X線画像撮影装置1を可搬する際には図5aのようにハンドル22の開口部27がD3分だけ大きくなる。当該機構により、開口部27を十分確保でき、かつ可搬性の向上を図ることが可能になる。
【0039】
また、収納部8に収納する際は、図5bのように、ハンドル22の一部がX線画像撮影装置内に収納され、ハンドル22の開口部27がA≦Bを満たすように小さくなる。当該機構により、X線画像撮影装置1を収納部8に収納してもスペーサ17を使用することにより、X線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23と架台の位置合わせ中心16を合わせることが可能になる。また、可搬性の向上を図ることが可能となる。また、上記のように可動式の機構を採用することで、グリップ部26も必要に応じて太くすることが可能となり、可搬性を更に向上させることが可能になる。
【0040】
(第三の実施形態)
図6は、X線画像撮影装置1にケーブル25が装着された例を示した図である。
【0041】
ケーブル25に対して、X線画像撮影装置1との接続部にケーブルガイド24が装備されている。ケーブルガイド24はケーブルの局所的な屈曲を緩和する役割を有しており、シリコンゴムなどの弾性部材から構成されている。
【0042】
ケーブル25の取り出し口はハンドル22と同じ側面にある。そして、ケーブルガイド24の先端とX線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23までの距離Cとハンドルの最外形とセンサ中心23までの距離Bには、B>Cの関係がある。すなわち、ハンドル22のオフセットよりもケーブルガイド24のオフセットが小さく、ケーブルガイド24の先端でなく、ハンドル22の方が最外形になっている。当該形状により、X線画像撮影装置1が収納部8に収納され、位置決め機構12から15が作動して位置決めを行ったとしても、位置決め機構がケーブルガイド24に接触することがない。従って、X線撮影装置1の位置決めに影響を与えることなく、X線画像撮影装置1の読取手段の画像有効領域中心23と架台の位置合わせ中心16とを合わせることが可能となる。
【0043】
また、ケーブルガイド24の先端は、ハンドル22を有する側面に直行する2つの側面の近い側R2の距離を有している。R2は、有線ケーブルの許容最小屈曲R1よりも大きくなっている。これによりX線撮影装置1を架台8に収納した際にもケーブルに無理な屈曲の負荷を与えることなく、安全に収納可能となる。以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 X線画像撮影装置
2 読取手段
3 X線発生装置
4 画像処理手段
5 モニタ
6 被写体
7 架台
8 収納部
12 位置決め機構
13 位置決め機構
14 位置決め機構
15 位置決め機構
16 架台位置合わせ中心
17 スペーサ
22 ハンドル
23 画像有効領域の中心
24 ケーブルガイド
25 ケーブル
26 グリップ部
27 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効撮影領域を有する可搬型X線画像撮影装置と、前記X線画像撮影装置を収納可能な架台とを有するX線画像撮影装置において、
前記可搬型X線画像撮影装置は、前記有効撮影領域と異なる側面に可搬用のハンドル部を有し、
前記可搬型X線画像撮影装置が前記架台に収納される場合、前記ハンドル部のオフセットだけ前記可搬型X線画像撮影装置の位置をずらすことにより、前記架台の中心と前記可搬型X線画像撮影装置の前記有効撮影領域の中心とを合わせる位置合わせ部材を有することを特徴とするX線画像撮影装置。
【請求項2】
前記ハンドル部は、前記可搬型X線画像撮影装置の長辺側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。
【請求項3】
前記ハンドル部の一部は、前記可搬型X線画像撮影装置内に収納可能であることを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。
【請求項4】
前記位置合わせ部材は、前記有効撮影領域を挟んで、前記ハンドル部を有する側面の逆の側面に配置されることを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。
【請求項5】
前記可搬型X線画像撮影装置は、前記ハンドル部と同じ側面にケーブルの取り出し口を有し、
前記ケーブルの引き出し口によるオフセットは、前記ハンドル部によるオフセットよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。
【請求項1】
有効撮影領域を有する可搬型X線画像撮影装置と、前記X線画像撮影装置を収納可能な架台とを有するX線画像撮影装置において、
前記可搬型X線画像撮影装置は、前記有効撮影領域と異なる側面に可搬用のハンドル部を有し、
前記可搬型X線画像撮影装置が前記架台に収納される場合、前記ハンドル部のオフセットだけ前記可搬型X線画像撮影装置の位置をずらすことにより、前記架台の中心と前記可搬型X線画像撮影装置の前記有効撮影領域の中心とを合わせる位置合わせ部材を有することを特徴とするX線画像撮影装置。
【請求項2】
前記ハンドル部は、前記可搬型X線画像撮影装置の長辺側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。
【請求項3】
前記ハンドル部の一部は、前記可搬型X線画像撮影装置内に収納可能であることを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。
【請求項4】
前記位置合わせ部材は、前記有効撮影領域を挟んで、前記ハンドル部を有する側面の逆の側面に配置されることを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。
【請求項5】
前記可搬型X線画像撮影装置は、前記ハンドル部と同じ側面にケーブルの取り出し口を有し、
前記ケーブルの引き出し口によるオフセットは、前記ハンドル部によるオフセットよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−64769(P2013−64769A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201865(P2011−201865)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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