説明

X線発生装置

【課題】病巣部の細分化された部位のX線治療に必要な照射線量データに基づいて、細分化された部位に対応した強度変調されたX線を速やかに照射することができるX線発生装置を提供する。
【解決手段】電力源108から電子源103に照射野の照射強度データ112に対応した高エネルギーパルスp−1〜p−nを供給することによって、電子源から照射強度データ112に対応した電子ビームが出力され、この電子ビームを電磁石で構成する偏向手段によってX線ターゲット管の中心軸に平行に入射するように偏向し、電子ビームがX線ターゲット管104−1〜104−nの内壁に衝突して所望の強度をもったX線ビームx−1〜x−nを放射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射強度を変調したX線ビームを照射するX線発生装置に係り、特に、X線ビームの照射野が狭く照射強度を個別に設定できるX線管を複数束ねて新たな照射野を形成できるX線発生装置に関する。さらに前記X線発生装置を1以上用意してX線治療装置のX線発生装置に利用できるX線発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
強度変調放射線治療(以下、IMRTと略す。)は、病巣部の形状に合わせて放射線の照射角度、照射野、および照射強度などを変化させることで、病巣部に対する放射線の集中度を高め、周辺の正常な組織への照射線量を軽減するものであり、放射線の照射口と患者の間に設けたマルチリーフコリメータによって強度変調を行うものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4)。
【0003】
特許文献1の治療装置は、図15に示すように、ガントリ11とマルチリーフコリメータ制御装置12により制御されるマルチリーフコリメータ13とを備え、ガントリ11の回転角度に合わせてマルチリーフコリメータ13の照射野の形状を変化させながら患者の周りに放射線ビームを回転移動させるもので、腫瘍の3次元形状に対応した線量分布を得ることができる。
【0004】
特許文献2には、照射野の3次元強度マップを多数の強度のセクションに分割してセクション毎に放射ビームの強度マップを作成し、強度マップを放射の有無を示すマトリックスにスライスし、そのマトリックスに従ってプレートの開口部の形状を設定しながら照射を行ったものを重ね合わせて強度が最適な形で変化する線量分布を得る方法が記載されている。
【0005】
特許文献3には、治療領域を所定の治療強度レベルを有する複数のセルに分割し、マルチリーフコリメータのリーフの位置決めを行う際、治療領域の境界にあってクリティカルな組織を含むセルにおいては、セルの端ではなく途中にリーフの位置を指定するエッジマージンを設けてエッジマージンの位置にリーフを移動させながら照射を行い、治療領域の境界における放射線量の分解能を高めた線量分布が記載されている。
【0006】
特許文献4では、2次元放射線強度分布の最小値で全体の照射を行い、次に、最大値と最小値の差分を相対強度を表わす所定の正の整数(例えば6)に置き換えて各セルの照射強度を規格化した規格化強度分布を作成し、規格化強度分布を相対強度ごとに遮蔽対象セルと照射対象セルとを表わす2次元放射線強度分布に分割し、2次元放射線強度分布の遮蔽対象セルの位置にマルチリーフコリメータを移動させて相対強度1の照射を所定の正の整数(例えば6)回繰り返して所与の2次元放射線強度分布を得る方法が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−239044号公報
【特許文献2】特開平10−71214号公報
【特許文献3】特開2002−153567号公報
【特許文献4】特開2001−70466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1から特許文献4は、いずれもマルチリーフコリメータの開口部の形状を変化させながら照射を繰り返して行い、必要とされる放射線量の強度分布を累積的に得ようとするものであり、特許文献1では、ガントリの回転により3次元空間において放射線強度が変調された線量分布を得ることはできるが、2次元平面の放射線強度は一様で、2次元平面内では強度変調が得られないため、3次元空間で得られる線量分布の精度も不十分である。
【0009】
特許文献2から特許文献4では、2次元平面での照射を複数回行うことで2次元平面においても強度変調を得ることはできるが、最適化を行ったとしても少なくとも強度レベルに応じた回数分の照射を行わなければならないし、リーフの移動方向に複数の遮蔽領域があるような場合には、1つの強度レベルであってもリーフを移動させて複数回に分けて照射を行わなければならない。
【0010】
近年は、CT装置などによる画像診断技術の進歩に伴い、病巣部の3次元形状がより詳細に把握できるようになった。これに伴い、病巣部の各部位の症状に合わせて放射線治療の精度を上げることが求められているが、マルチリーフコリメータを使って放射線治療の精度を上げようとすると照射回数を増やすことになり、治療に時間を要すため患者の負担が増大する。さらに、治療時間が長くなれば、病巣部を定位置に固定しておくことも難しくなるため、照射回数を増やすことで治療精度を上げようとする従来の方法には限界がある。
【0011】
特許文献1から特許文献4において、病巣部の3次元形状に対応した線量分布を得るためにはガントリを回転移動しながら照射を行うことが必要であるが、ガントリは重量物であるため回転中にガタやたわみなどが生じ易すく、特許文献3に示されるように1/3cmより高い分解能が要求される場合、ガントリを回転移動して放射線の3次元照射をすることは、精度の点で問題がある。
【0012】
また、マルチリーフコリメータは、リーフが矩形であるため、治療エリアに凹凸がある場合は治療エリアの境界に沿ってリーフの位置決めをすることが難しく、照射エリアの境界部において線量分布が波を打った状態の場所では、リーフがステッピングして不規則な形状になり、境界付近の正常な組織を傷つけるという問題などもある。
【0013】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものであり、病巣部の各部位のX線治療に必要な照射線量に対応した細かく強度変調された2次元線量分布を速やかに得ることができるX線発生装置を提供することを目的とする。さらに、該X線発生装置をX線治療装置のX線発生装置として利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
高エネルギーパルスを出力する電力源と、
前記高エネルギーパルスにより高エネルギー電子ビームを照射する電子源と、
該電子源に高電圧マイクロ波を供給するマイクロ波源と、
前記高エネルギー電子ビームの衝突によりX線を放射するX線管を複数本束ね、該X線管の照射野が連続するように配列して構成したX線発生源と、
前記高エネルギー電子ビームが前記X線管の中心軸に対して平行に入射するように前記高エネルギー電子ビームの進行方向を偏向して前記X線管に順次入射させる偏向手段と、 前記X線管の照射野において所定の線量分布が得られるように、前記X線管の照射強度を設定したデータと、
該照射強度データに従って前記高エネルギーパルスの幅を設定し、該高エネルギーパルスを出力するタイミングと前記電子ビームを放射するタイミングと前記偏向手段を励磁するタイミングとを同期させる制御手段と、
を具備することを特徴とする。
【0015】
前記偏向手段は、前記高エネルギー電子ビームを前記任意のX線管の入口開口部方向に偏向する第1偏向電磁石と、
該第1偏向電磁石によって偏向された高エネルギー電子ビームを前記X線管の中心軸に対して平行に入射するように偏向する第2偏向電磁石と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
前記X線源は、前記X線管を単列に並べて構成され、該X線管列の一端から他端へ順次前記高エネルギー電子ビームが照射されることを特徴とする。
【0017】
前記偏向手段は、前記高エネルギー電子ビームを前記任意のX線管の入口開口部方向に偏向する偏向電磁石を備え、該偏向電磁石によって偏向された前記高エネルギー電子ビームの進行方向が前記X線管の中心軸に対して平行になるように前記X線管を放射状に配列して構成することを特徴とする。
【0018】
前記X線前記偏向手段は、4極電磁石で構成されることを特徴とする。
【0019】
前記X線管は、入口開口部より出口開口部が小さい径を有する円錐台の形状を有し、前記高エネルギー電子ビームが該X線管の内壁に衝突することによりX線ビームを放射するX線ターゲット管であることを特徴とする。
【0020】
前記X線発生源は、前記X線管の照射野において、最高照射強度の1/2値幅になる照射野が連続して隣接するように前記X線管を配列して構成することを特徴とする。
【0021】
X線治療装置に用いられる請求項1から請求項7に記載されたX線発生装置であって、
1以上のX線発生装置は治療台を含む3次元空間の異なる位置に取り付けられ、該空間内の治療台に固定された患者の病巣部にX線を集中して照射することを特徴とする。
【0022】
前記治療台を前記X線発生装置に対して垂直に平行移動させる移動手段と、前記X線発生装置と前記移動手段を同期させて制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0023】
X線治療装置に用いられる請求項1から請求項7に記載されたX線発生装置であって、
前記X線発生装置は、照射ヘッドに取り付けられた前記X線発生装置と治療台に固定された患者の病巣部の相対位置を可変とし、患者の病巣部にX線を照射するX線治療装置に用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明のX線発生装置によれば、マルチリーフコリメータを使用せずに、病巣部の各部位に必要な照射線量を細かく分割して、所望の2次元線量分布を速やかに提供することができる。さらに、IMRTにおいて、治療時間を短縮して患者の負担を軽減し、正常な細胞への線量を抑えながら病巣部に効果的な治療が可能なX線治療装置用のX線発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明のX線発生装置およびそれをX線治療装置に用いた実施の形態1および実施の形態2について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るX線発生装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、X線発生装置101は、真空容器102の中に、高エネルギー電子ビームを照射する電子源(以下、電子銃という。)103と、電子銃103が照射した高エネルギー電子ビームを衝突させてX線ビームを放射する複数のX線ターゲット管104−1〜104−nを単列に並べて構成したX線ターゲット管アレイ105と、電子銃103が照射した高エネルギー電子ビームの進行方向を偏向する第1偏向電磁石106および第2偏向電磁石107とを備える。
【0027】
真空容器102の外部に、電子銃103に高エネルギーパルスを所定のタイミングで出力する電力源108と、電子銃103に高電圧のマイクロ波を供給するマイクロ波源110と、電力源108、マイクロ波源110、第1偏向電磁石106および第2偏向電磁石107を制御するコントローラ109とを備える。
【0028】
コントローラ109には、照射制御プログラム111、X線ターゲット管アレイ105の照射野の照射強度データ112から構成される治療野の照射強度データ113が格納される。照射野の照射強度データ112は、X線ターゲット管アレイ105を構成するX線ターゲット管104−1〜104−n毎に照射線量を定めたものである。
【0029】
照射制御プログラム111は、電子銃103から照射された高エネルギー電子ビームが単列に並んだX線ターゲット管104−1〜104−nに順番に入射するように高電圧マイクロ波源110の制御、第1偏向電磁石106および第2偏向電磁石107の励磁動作を制御し、さらに電力源108から出力される高エネルギーパルスの幅を制御する。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態1に係る照射野の照射強度データに対応してX線ターゲット管アレイの照射野が強度変調される様子を説明する図である。図2に示すように、電力源108から所望の照射線量に対応する高エネルギーパルスp−1〜p−nが出力されると、電子銃103より順次、高エネルギーパルスp−1〜p−nに対応した電子ビームが照射され、X線ターゲット管アレイ105を構成するX線ターゲット管104−1〜104−nの内壁に衝突して、X線ビームx−1〜x−nを放射する。X線ビームx−1〜x−nは、照射野の照射強度データ112に基づいて強度変調されたものとなる。
【0031】
図1に示す第1偏向電磁石106および第2偏向電磁石107は、それぞれ平行平面の電磁石であって、第1偏向電磁石106は、高エネルギー電子ビームの進行方向をX線ターゲット管アレイ105の中の目標とするターゲット管の方向に曲げるように作用する。第2偏向電磁石107は、第1偏向電磁石で進行方向を曲げられた高エネルギー電子ビームを、目標とするX線ターゲット管の中心軸と平行になるように偏向する。
【0032】
図3は、高エネルギー電子ビームの進行方向が偏向される様子を説明する図である。図3において、矩形領域106aは、第1偏向電磁石106によって発生する磁界密度B1 の磁場であり、矩形領域107aは、第2偏向電磁石107によって発生する磁界密度B2 の磁場を示す。磁場106aの磁界の向きは、XY面に垂直なZ軸の正方向(紙面の裏から表方向)になるように設定され、磁場107aの磁界の向きはその反対方向(紙面の表から裏方向)に設定されている。
【0033】
いま、電子銃103より放射された電子が、この磁束密度B1 の磁場のP0 (0,0)点に速度vで進入すると、(1)式で示されるローレンツ力が、電子に働く。
F=e[(v×B1 )] (1)
その力の方向はY軸の正方向に向く。この力は、Z成分がなく、XY平面に対し平行の方向に働く。このローレンツ力と電子の速度に伴う遠心力がバランスを保ち、電子は半径r1 の円軌道上を等速運動する。すなわち、運動方程式は、
(mv2 /r1 )=evB1 (2)
になる。ここに、mは運動中の電子の質量、vは電子の速度、eは電子の電荷量である。電子が磁場106aの端を横切る点の座標をP1 (l1 ,dl1 )とする。すなわち、電子は磁場106aによって、y軸方向にdl1 偏移する。電子は、x2 +(y−r12 =r12 の式で表わされる円周上を運動するので、
1 2 +(dl1 −r12 =r12 (3)
が成立する。したがって
dl1 =r1 [1−{1−(l1 /r121/2 ] (4)
ただしl1 ≦r1 の条件を保つ。
【0034】
また、電子の速度が光速に近いので特殊相対性理論を適用し、(2)式から
【数1】

(5)
を得る。ここで、m0 は電子の静止質量、cは光の速度を表す。
また、電圧Vで加速された電子の速度vは、
【数2】

(6)
で表わされる。
【0035】
1 点におけるX軸に対する電子の運動方向の偏向角度θ1 は、
2次曲線 x2 +(y−r12 =r12 のP1 点の接線から
【数3】

(7)
になり、
θ1 =tan-1[l1 /(r1 −dl1 )] (8)
になる。
【0036】
磁場のない領域では、電子の運動は、XY平面に平行な直線等速運動になるので、P1 (l1 ,dl1 )点を通過した電子は、直線方向に走行し、P2 点に到達する。ここで、P2 点の座標は、P2 (x,y)=P2 (l1 +D,dl1 +Dtanθ1 )である。ここに、Dは磁場106aと磁場107aの縁の間隔を表す。
【0037】
2 点に達した電子は、磁束密度B2 の磁場により、C2 点を中心とする半径r2 の円軌道上を等速運動する。電子がP3 点に達した場合、P2 点よりY軸方向にdl2 だけ偏移したとする。すなわち、電子がP3 点を通過するときのX軸からの偏移量(すなわちY座標の値)は、
dl=dl1 +Dtanθ1 +dl2 (9)
になる。
【0038】
また、X軸方向のP3 点とC2 点の差をΔxとすると、
2 点 P2 (x,y)=P2 (l1 +D,dl1 +Dtanθ1 )と、
3 点 P3 (x,y)=P3 (l1 +D+l2 −Δx,dl1 +Dtanθ1 +dl2 )が、半径r2 の円軌道上に位置するので、磁束密度B2 による電子の偏移量dl2 は、(10)式で表わすことができる。
【数4】

(10)
よって、電子がP3 点を通過するときのX軸からの偏移量dlは(9)式と(10)式より
【数5】

(11)
となる。ここで、
【数6】

(12)
である。
【0039】
電子はP3 点を通過した後は、磁界の影響を受けないので、そのまま直進し、x線ターゲット面上のP4 点に到達する。P3 点の接線の勾配は、
【数7】

(13)
よって
【数8】

(14)
Δx=0のとき、つまりP3 点が円の中心C2 点と同じX座標上にある場合は、円軌道上のP3 点における接線は、θ2 =0となり、X軸と平行になる。すなわち、電子銃103において電子を加速する電圧と第1偏向電磁石106および第2偏向電磁石107の磁束密度を制御することにより、ターゲット管104−1から104−nの各々の中心軸に対して平行に高速の電子を入射させることができる。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態1に係るX線ターゲット管を示す図である。図4に示すようにX線ターゲット管104は、本出願人が出願し、特許第3795028号によって特許登録されたX線発生装置であり、X線ターゲット管本体121とカバー管122などから構成される。X線ターゲット管本体121は、原子量が大きく、高融点で化学的に安定性が高く熱放射性に優れた金属、例えばAu,W,MO,Pt,Reなどを材料として形成される。
【0041】
X線ターゲット管本体121は、入口開口部123の直径が1mm、出口開口部124の直径が0.5mm、長さが100mmであるきわめて細い円錐台の形状を有し、高エネルギー電子ビームが内壁面に衝突したことによりX線を放射する。
【0042】
電子銃103が照射する高エネルギー電子ビームは、外径がほぼ入口開口部123に等しく、内径がほぼ出口開口部124に等しい内部が中空のドーナッツ状の形状をしており、入射した高エネルギー電子ビームのほとんど全てがX線ターゲット管本体121の内壁に衝突してX線を発生する。X線ターゲット管本体121の内壁の勾配は、100mmで0.25mm狭くなることから0.143239度であり、衝突によって発生したX線は全反射され、出口開口部124から放射角度のきわめて小さいX線として放射される。
【0043】
X線ターゲット管本体121の外側は、カバー管122で覆われ、X線ターゲット管本体121とカバー管122には、高エネルギー電子ビームが衝突したことにより発生するガスを逃すための孔125が設けられ、高エネルギー電子ビームの衝突により発生する熱を外部に散逸させる放熱板(図示しない)などを取り付けて強制空冷または水冷などを行う。
【0044】
図5は、本発明の実施の形態1に係るX線ターゲット管の照射野における線量分布を示す図である。図5に示すように、X線ターゲット管104の照射野Fiの形状は、その出口開口部124から50cmに想定された病巣部においてほぼ円形であり、X線の強度は照射野の中央付近においてほぼ一定であるが、照射野の周辺になると急激に弱まってゼロとなる。X線ターゲット管104の照射野Fiの中でX線の強度が最大値の半分の値になる場所、すなわち1/2値幅の照射野Fhiは、直径がほぼ1mmの円となる。
【0045】
図6は、本発明の実施の形態1に係るX線ターゲット管アレイの照射野について説明する図であり、図6(a)は、X線ターゲット管アレイ105の照射野とそれを構成する各X線ターゲット管104の照射野の関係について説明する図であり、図6(b)は、各X線ターゲット管から同じ強さのX線が放射されたときの線量分布を示す図である。
【0046】
図6(a)に示すように、X線ターゲット管アレイ105は、X線ターゲット管104−1〜104−nのそれぞれの1/2値幅の照射野Fh1〜Fhnが、X線ターゲット管104−1〜104−nの出口開口部124から所定の距離、例えば50cmに想定された患者の仮想病巣部において隙間なく隣接して形成されるように、単列に並べて構成される。詳しく言えば、X線ターゲット管104iの1/2値幅の照射野Fhiが左右で隣り合うX線ターゲット管104i+1の1/2値幅の照射野Fhi+1およびX線ターゲット管104i−1の1/2値幅の照射野Fhi−1と接するようにX線ターゲット管104−1〜104−nを並べて構成される。このように、X線ターゲット管アレイ105の照射野としては、X線ターゲット管104−1〜104−nの照射野F1〜Fnを集合したものとなる。したがって、図6(b)に示すように、各X線ターゲットから照射される強度が同じ場合は、照射野全体としてほぼ均等なX線照射強度が得られる。
【0047】
例として、50mm×50mmの領域まで照射可能なX線ターゲット管アレイを構成する場合は、一本のX線ターゲット管の出口開口部から50cmの距離における1/2値幅の照射野を直径1mmの円とした場合、50本のX線ターゲット管104−1〜104−50によって形成される。50本のX線ターゲット管104−1〜104−50を単列に並べることで、1mm×50mmの細長い矩形の照射野が形成される。この照射野を照射後1mmずつ平行移動することを繰り返すことによって50mm×50mmの照射野を形成することができる。照射野の平行移動に際しては、X線ターゲットアレイを移動する場合と被照射体を移動する場合が考えられる。
【0048】
図7は、本発明の実施の形態1に係る治療野の照射強度データおよび照射野の照射強度データについて説明する図である。IMRTにおいては、病巣部の治療に必要な線量と周辺の正常な細胞の許容線量を考慮した理想的な線量分布を最初に設定し、照射野の形状や照射方向および分割された各々の照射野の線量強度などを治療計画データとして治療装置に入力する。図7(a)において、171は病巣部をある方向から見たときの治療に必要な2次元の線量強度分布を示す。図7(b)は、病巣部の2次元線量強度分布171に基づいて作成された治療野の照射強度データ113を示し、治療野の照射強度データ113は、X線ターゲット管104−1〜104−n毎の照射強度データ112(i,j)に細分化される。
【0049】
図8は、本発明の実施の形態1に係るX線発生装置を取り付けたX線治療装置の構成例を示す斜視図である。図8に示すように、X線治療装置181は、O型アーム182の頂上、右斜め上、右斜め下、左斜め上、および左斜め下の5箇所にX線発生装置101−1〜101−5を取り付け、O型アーム182の内側にあって患者を載せる治療台183と、治療台183を水平方向に移動させる移動装置184と、X線発生装置101−1〜101−5および移動装置184の動作を制御する制御装置185と、を備える。
【0050】
X線発生装置101−1〜101−5は、X線の照射口を治療台183に固定された患者の病巣部に向けて取り付けられており、制御装置185には、治療制御プログラム186、照射制御プログラム、治療野の照射強度データおよび照射野の照射強度データなどが格納されている。X線治療装置は、治療制御プログラム186等の実行に応じて、治療台183を1mmづつ移動させながら、5つのX線発生装置101−1〜101−5からX線を同時に照射し、X線治療を実施する。
【0051】
図9は、本発明の実施の形態1に係るX線発生装置の照射制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。照射制御プログラム111は、治療野の照射強度データ113に定められる照射線量に従ってX線の照射処理を行う。図9のフローチャートの説明においては、図7(b)の治療野の照射強度データ113を構成する照射強度データ112の数をm個、X線ターゲット管アレイ105を構成するX線ターゲット管104の本数をn本とし、X線ターゲット管104の番号をi、照射野の照射強度データ112の番号をjとして説明する。また、X線照射の順序としては、照射強度データ112(1,1)から開始して、112(n,1)まで実行し、次に治療台183を1mm移動させて、112(1,2)から112(n,2)まで実行する。以降同じシーケンスを繰り返して、112(n,m)まで実行する場合を説明する。
【0052】
図9に示すように、初めに、治療野の照射強度データ113の中でj=1列目の照射野の照射強度データ112に従って、i=1番目のX線ターゲット管104−1から104−nまで順番にX線を照射するように、j=1、i=1を設定する。
【0053】
電子銃103から照射される高エネルギー電子ビームがX線ターゲット管アレイ105を構成するi番目のX線ターゲット管104−iの入口開口部123方向に向くように第1偏向電磁石106を励磁し、さらに第1偏向電磁石106で偏向された電子ビームがX線ターゲット管104−iの中心軸に対して平行に進入するように第1偏向電磁石106と逆相の励磁電流によって第2偏向電磁石107を励磁する。
【0054】
j列目の照射野の照射強度データ112において、i番目のX線ターゲット管104−iに設定された照射線量に従って高エネルギーパルスの幅を設定し、適当なタイミングを取って高エネルギーパルスを出力する。この結果、X線ターゲット管104−iより、所望の強度をもったX線が病巣部に照射される。この一連の動作は、図8のX線発生装置101−1〜101−5において同じである。
【0055】
高エネルギーパルス出力後、i=nかどうかの判断を行い、まだn番目でなければ、i=i+1として、上記の電磁石の励磁、高エネルギーパルスの出力条件設定とパルス出力を繰り返す。i=nであれば、次にj=mかどうかの判断を行い、j≠mであれば、j=j+1として照射野の照射強度データ112のj+1列目の実行に移る。
【0056】
まず、治療台183を1mm移動し、X線ターゲット管104−1をセットする。以降、i=nになるまで、電磁石の励磁、高エネルギーパルスの出力条件設定、パルス出力を繰り返す。以上のシーケンスは、i=n、j=mまで繰り返される。
【0057】
図10は、本発明の実施の形態1に係る制御装置の治療実行プログラムの処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、まず、X線発生装置101−1〜101−5及び各部の初期設定を行い、照射制御プログラム111のi、jの設定値に従い治療台の位置を設定する。以降、照射制御プログラム111に従ってX線治療が実行される。一照射毎にX線発生装置101−1〜101−5の照射制御プログラムの実行が完了したかどうか判断を行い、まだプログラムの実行が完了していなければ、シーケンスを継続し、もし、すべてのX線発生装置の照射制御プログラムの実行が完了している場合は、治療を終了する。
【0058】
図11は、本発明の実施の形態1に係るX線発生装置をガントリに取り付けた他のX線治療装置の例を示す斜視図である。図11に示すように、X線治療装置191は、従来の放射線治療装置に用いられるガントリ192の照射ヘッド193にX線発生装置101を取り付けたものであり、患者を載せる治療台194と、治療台194を水平方向に移動させる移動装置195と、X線発生装置101および移動装置195に接続されてX線治療を実施する制御装置196と、を備える。
【0059】
X線治療装置191は、従来のIMRTと同様に、病巣部のアイソセンタを中心に患者を載せた治療台194の周りにガントリ192を回転させ、治療台194を移動装置195によってX線発生装置101のX線ターゲット管アレイ105に対して垂直に平行移動させながらX線発生装置101からX線を照射する。
【0060】
治療野の照射強度データ113は、患者の病巣部の治療に必要とする2次元の線量分布171をガントリ192の回転角度に合わせて分割したもので、ガントリ192の回転角度毎に治療野の照射強度データ113が設定されていて照射線量のX線を照射しながら、治療台194は移動装置195によってX線発生装置101に対して1mmずつ平行移動する。
【0061】
以上、詳細に説明したように、実施の形態1によれば、X線発生装置101に、高エネルギーパルスを出力する電力源108と、高エネルギーパルスにより高エネルギー電子ビームを照射する電子銃103と、高エネルギー電子ビームの衝突によりX線を放射するX線ターゲット管104−1〜104−nの照射野F1〜Fnが連続するようにX線ターゲット管を複数本束ねて構成したX線ターゲット管アレイ105と、高エネルギー電子ビームがX線ターゲット管104−1〜104−nの中心軸と平行に入射するように高エネルギー電子ビームの進行方向を変えてX線ターゲット管104−1〜104−nに順番に入射させる第1偏向電磁石106および第2偏向電磁石107と、患者の病巣部において所定の線量分布が得られるように、高エネルギー電子ビームが照射されるX線ターゲット管104−iごとに照射強度を設定した治療野の照射強度データ113と、治療野の照射強度データ113に設定された照射強度に従って電力源108が出力する高エネルギーパルスの幅を設定し、そのパルスを出力するタイミングとX線ターゲット管104−iの位置に合わせた励磁電流を供給して第1偏向電磁石106および第2偏向電磁石107を励磁させるタイミングとを同期させる照射制御プログラム111とを備えて、病巣部の各部位の治療に必要なX線量に対応した強度変調されたX線量分布を得ることができる。
【0062】
実施の形態1によると、X線ターゲット管アレイ105において高エネルギー電子ビームの衝突によりX線を放射するX線ターゲット管104−1〜104−nをX線ターゲット管104−1〜104−nの照射野F1〜Fnが患者の病巣部において連続するように複数本束ねて照射野を形成するので、X線ターゲット管アレイ105において連続する照射野が得られる。
【0063】
実施の形態1によると、X線ターゲット管アレイ105において高エネルギー電子ビームの衝突によりX線を放射するX線ターゲット管104−1〜104−nをX線ターゲット管104−1〜104−nの1/2値幅の照射野Fh1〜Fhnが患者の病巣部において連続するように複数本束ねて1/2値幅の照射野を形成するので、X線ターゲット管アレイ105の照射野において均等な照射強度が得られる。
【0064】
実施の形態1のX線ターゲット管アレイ105では、照射野の照射強度データ112においてX線ターゲット管104−1〜104−nに定められた照射線量に従って幅を変えた高エネルギーパルスp−1〜p−nが出力され、電子銃103から照射野の照射強度データ112においてX線ターゲット管104−1〜104−nに定められた照射線量に従って照射強度の異なる高エネルギー電子ビームが照射され、それがX線ターゲット管アレイ105を構成するX線ターゲット管104−1〜104−nの内壁に衝突してX線ビームx−1〜x−nを放射するため、マルチリーフコリメータを使用して複数回のX線照射を繰り返すことなく、速やかに治療に必要とされる2次元の線量分布を得ることができる。
【0065】
実施の形態1では、従来のようにマルチリーフコリメータを使用しないので、X線照射のためにマルチリーフコリメータを調整する必要がなく、治療に要する時間を短縮することができる。これによって、患者の負担を軽減することができる。
【0066】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るX線発生装置について説明する。図12(a)は、本発明の実施形態2に係るX線発生装置の構成を示す図である。実施の形態1と共通部分については、同じ番号で示す。本実施の形態2に係るX線発生装置の特徴は、X線ターゲット管アレイ205が図12(b)に示すようにX線ターゲット管104をマトリックス状に配列して構成され、このX線ターゲット管アレイ205に高エネルギー電子ビームをスキャンしながら照射すること、さらに、X線ターゲット管アレイ205の入口開口部面の形状を放射状にすることによって、偏向電磁石206によって偏向された高エネルギー電子ビームがX線ターゲット管アレイ205の各X線ターゲット管104(i,j)の中心軸に対して並行に入射できるようにしたことである。この構成によって、例えば、出口開口部から50cm離れた位置でX線ターゲット管アレイ105の照射野を50mm×50mmのように放射状に形成することができる。この実施の形態2に係るX線発生装置を実現するために、実施の形態1に係るX線発生装置において、高エネルギー電子ビームの進行方向を1次元的に偏向する第1偏向電磁石106と第2偏向電磁石107に替えて、2次元的な偏向が可能な4極電磁石206を配置する。
【0067】
図13は、高エネルギー電子ビームを2次元方向に偏向する4極電磁石を電子ビームの進行方向(Z軸方向)に垂直な面(X−Y軸面)で切断した断面図である。図13において、4個の磁心131a〜131dとそれぞれの磁心に巻かれた励磁コイル132a〜132dで構成され、コイルに励磁電流を流すことで図13中の点線矢印で示した方向に磁場が発生する。磁界の方向は、励磁電流の極性を反転することで、逆方向に設定することができる。
【0068】
図13において、高エネルギー電子ビームがZ軸方向(紙面の表から裏へ)に入射してきた場合、ローレンツ力は実線矢印の方向に働く。したがって、励磁電流の大きさと極性を制御することによって、X−Y軸面の任意の方向に電子の進路を偏向することができる。
【0069】
4極電磁石の磁界を通過した電子は、直進してX線ターゲット管アレイ205の入口開口部面に到達する。X線ターゲット管104(i,j)は図12(b)に示すように、マトリックス状に配列されており、さらにその入口開口面は、偏向された後、直進してきた電子が、X線ターゲット管104(i,j)の中心軸に対して水平に入射するように放射状に配置されている。したがって、X線ターゲット管アレイ205から放射されるX線は放射状に照射され、図14に示すように面状の照射野を形成する。
【0070】
X線ターゲット管アレイ205の照射野を構成する各ターゲット管104(i,j)の照射野は、実施の形態1の場合と同様に1/2値幅が隣接するように形成される。実施の形態2においては、X線ターゲット管104(i,j)の照射はマトリックス状に隣接するので、その隣接のしかたとして、図14(a)に示すように照射野の1/2値幅が4か所で接する場合と図14(b)に示すように6か所で接する場合などが考えられる。
【0071】
例えば、X線ターゲット管アレイ205の出口開口部から50cmの位置に50mm×50mmの照射野を形成する場合は、X線ターゲット管104の1/2値幅の直径を1mmとし、隣接するX線ターゲット管と4か所で接するような配置とする場合、X線ターゲット管アレイ105は、250本のX線ターゲット管で構成される。各X線ターゲット管104(i,j)の照射強度は、実施の形態1と同様に、予め設定された照射野の照射強度データ112に基づく。
【0072】
照射する場合のスキャンの方向としては、照射野の中心部から外側方向へ向かってスキャンする形態と照射野の外周から始めて、中心部へ向かってスキャンする形態及び一方の隅から他方の隅へ向かって行または列方向にスキャンする形態など、その使用状況に応じて選択することができる。
【0073】
以上説明したように、実施の形態2によれば、X線ターゲット管アレイを放射状に配列するので、その照射野を面状に広く形成することができる。従って、X線発生装置または患者を載せた治療台を移動させることなく、実施の形態1に係るX線治療装置よりもさらに治療時間を短縮することができ、IMRTに好適なX線治療装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係るX線発生装置およびそれを用いたX線治療装置は、医療の分野においては、IMRTに好適なX線治療装置に利用することが可能である。本発明に係るX線発生装置は、工業の分野においては、非破壊検査装置やX線分析装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態1に係るX線発生装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る照射野の照射強度データに従ってX線ターゲット管アレイの照射野が強度変調される様子を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る偏向電磁石による電子ビームの偏向を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るX線ターゲット管の構成図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るX線ターゲット管の照射野について説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るX線ターゲット管アレイの照射野について説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る治療野の照射強度データと照射野の照射強度データについて説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係るX線発生装置を取り付けたX線治療装置の構成例を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係るX線発生装置の照射制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1に係る制御装置の治療実行プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態1に係るX線発生装置をガントリに取り付けた他のX線治療装置の例を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係るX線発生装置の構成図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る4極電磁石を電子ビームの進行方向に垂直な面で切断した断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係るX線ターゲットアレイの照射野について説明する図である。
【図15】従来の強度変調アーク療法の様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0076】
11 ガントリ
12 マルチリーフコリメータ制御装置
13 マルチリーフコリメータ
101 X線発生装置
102 真空容器
103 電子源
104 X線ターゲット管
105 X線ターゲット管アレイ
106 偏向電磁石
107 偏向電磁石
108 電力源
109 コントローラ
110 マイクロ波源
111 照射制御プログラム
112 照射野の照射強度データ
113 治療野の照射強度データ
181 X線治療装置
182 O型アーム
183 治療台
184 移動装置
185 制御装置
186 治療制御プログラム
191 X線治療装置
192 ガントリ
193 照射ヘッド
194 治療台
195 移動装置
196 制御装置
205 X線ターゲットアレイ
206 偏向電磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギーパルスを出力する電力源と、
前記高エネルギーパルスにより高エネルギー電子ビームを照射する電子源と、
該電子源に高電圧マイクロ波を供給するマイクロ波源と、
前記高エネルギー電子ビームの衝突によりX線を放射するX線管を複数本束ね、該X線管の照射野が連続するように配列して構成したX線発生源と、
前記高エネルギー電子ビームが前記X線管の中心軸に対して平行に入射するように前記高エネルギー電子ビームの進行方向を偏向して前記X線管に順次入射させる偏向手段と、
前記X線管の照射野において所定の線量分布が得られるように、前記X線管の照射強度を設定したデータと、
該照射強度データに従って前記高エネルギーパルスの幅を設定し、該高エネルギーパルスを出力するタイミングと前記電子ビームを放射するタイミングと前記偏向手段を励磁するタイミングとを同期させる制御手段と、
を具備することを特徴とするX線発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線発生装置において、
前記偏向手段は、前記高エネルギー電子ビームを前記任意のX線管の入口開口部方向に偏向する第1偏向電磁石と、
該第1偏向電磁石によって偏向された高エネルギー電子ビームを前記X線管の中心軸に対して平行に入射するように偏向する第2偏向電磁石と、
を備えることを特徴とするX線発生装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のX線発生装置において、
前記X線源は、前記X線管を単列に並べて構成され、該X線管列の一端から他端へ順次前記高エネルギー電子ビームが照射されることを特徴とするX線発生装置。
【請求項4】
請求項1に記載のX線発生装置において、
前記偏向手段は、前記高エネルギー電子ビームを前記任意のX線管の入口開口部方向に偏向する偏向電磁石を備え、該偏向電磁石によって偏向された前記高エネルギー電子ビームの進行方向が前記X線管の中心軸に対して平行になるように前記X線管を放射状に配列して構成することを特徴とするX線発生装置。
【請求項5】
請求項4に記載のX線発生装置において、
前記偏向手段は、4極電磁石で構成されることを特徴とするX線発生装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載のX線発生装置において、
前記X線管は、入口開口部より出口開口部が小さい径を有する円錐台の形状を有し、前記高エネルギー電子ビームが該X線管の内壁に衝突することによりX線ビームを放射するX線ターゲット管であることを特徴とするX線発生装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6に記載のX線発生装置において、
前記X線発生源は、前記X線管の照射野において、最高照射強度の1/2値幅になる照射野が連続して隣接するように前記X線管を配列して構成することを特徴とするX線発生装置。
【請求項8】
X線治療装置に用いられる請求項1から請求項7に記載されたX線発生装置であって、
1以上のX線発生装置は治療台を含む3次元空間の異なる位置に取り付けられ、該空間内の治療台に固定された患者の病巣部にX線を集中して照射することを特徴とするX線発生装置。
【請求項9】
X線治療装置に用いられる請求項1から請求項7に記載されたX線発生装置であって、
前記X線発生装置は、照射ヘッドに取り付けられた前記X線発生装置と治療台に固定された患者の病巣部の相対位置を可変とし、患者の病巣部にX線を照射するX線治療装置に用いられることを特徴とするX線発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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