X線立体撮影装置
【課題】X線立体撮影装置でX線管、X線検出器の位置計算精度を向上すること。
【解決手段】X線管3とX線検出器9とにより撮影された、被検体に関する像と被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する記憶部47と、X線画像各々から複数のマーカ像を抽出する抽出部48と、抽出された複数のマーカ像の相互距離に基づいて誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、誤抽出されたマーカ像を抽出された複数のマーカ像から除去する誤抽出マーカ除去処理部49と、除去により残ったマーカ像の位置関係からX線管球の撮影位置及びX線検出器の撮影位置をX線画像ごとに計算する位置計算部43と、計算されたX線管球の位置及びX線検出器の位置に基づいて複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する結像部44とを具備する。
【解決手段】X線管3とX線検出器9とにより撮影された、被検体に関する像と被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する記憶部47と、X線画像各々から複数のマーカ像を抽出する抽出部48と、抽出された複数のマーカ像の相互距離に基づいて誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、誤抽出されたマーカ像を抽出された複数のマーカ像から除去する誤抽出マーカ除去処理部49と、除去により残ったマーカ像の位置関係からX線管球の撮影位置及びX線検出器の撮影位置をX線画像ごとに計算する位置計算部43と、計算されたX線管球の位置及びX線検出器の位置に基づいて複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する結像部44とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影方向の異なる複数のX線画像から断面画像又は立体画像(多段断面画像)を再構成するX線立体撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの方向から撮影したX線画像を使って断面画像野立体画像(複数断面の断面画像)を作成する技術として、X線立体撮影法又はDT(Digital Tomosynthesis)と呼ばれる技術がある。X線立体撮影法は、多方向から撮影した複数のX線画像から断面画像を再構成(X線CTの再構成と区別するために以下、「結像」という)する。実際の処理としては、複数の方向から撮影した複数のX線画像から、指定された断面上の各点(画素)ごとにその点を通る複数のレイを選択し、それらのレイに対応する画素値を選択して加算する。この処理により原理的に指定断面上の部位は鮮明に映り、断面から外れた位置の部位はボケる。
【0003】
このX線立体撮影法では、各X線画像の撮影時のX線管球の位置及びX線検出器の位置を正確に特定することが要求される。そのために多くの場合、被検体を挟んで一対のX線マーカパネルを規定位置に設置し、被検体をそのX線マーカパネルとともに撮影する。X線マーカパネルには複数の鉛製のX線マーカが縦横に一定の間隔で整然と配列されている。そのX線マーカパネルを被検体と共に撮影し、両者が写ったX線画像からX線マーカの像を抽出し、X線マーカの位置関係からX線管球及び検出器それぞれの撮影時の位置を計算している。
【0004】
しかし、X線マーカパネルを使った位置計算処理には次のような位置計算精度を低下させる問題がある。まず、マーカ抽出処理では、被検体の一部、特に血管の屈曲部分などをX線マーカと誤って抽出してしまうことがある。抽出可能なX線マーカの像の数が、正確な軌道計算処理のためには過少である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、X線立体撮影装置において、X線管球の位置及びX線検出器の位置の計算精度を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面によるX線立体撮影装置は、X線管球と、X線検出器と、前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、前記X線画像各々から前記複数のマーカ像を抽出する手段と、前記抽出された複数のマーカ像の相互距離に基づいて誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、前記誤抽出されたマーカ像を前記抽出された複数のマーカ像から除去する誤抽出マーカ除去手段と、前記除去により残ったマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とする。
本発明の第2局面によるX線立体撮影装置は、X線管球と、X線検出器と、前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、前記X線画像各々から前記マーカ像を第1しきい値により抽出する手段と、前記抽出されたマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに推定する手段と、前記推定されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、未抽出のマーカ像の位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、前記計算された未抽出のマーカ像の位置を含む局所領域を前記X線画像ごとに設定する手段と、前記設定された局所領域に限定して前記X線画像各々から前記マーカ像を第2しきい値により抽出する手段と、前記第1しきい値により抽出されたマーカ像と前記第2しきい値により抽出されたマーカ像との位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とする。
本発明の第3局面によるX線立体撮影装置は、X線管球と、X線検出器と、前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、前記X線画像各々から前記複数のマーカ像を抽出する手段と、前記抽出された複数のマーカ像の相互距離に基づいて誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、前記誤抽出されたマーカ像を前記抽出された複数のマーカ像から除去する誤抽出マーカ除去手段と、前記除去により残ったマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに推定する手段と、前記推定されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、未抽出のマーカ像の位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、前記計算された未抽出のマーカ像の位置を含む局所領域を前記X線画像ごとに設定する手段と、前記設定された局所領域に限定して前記X線画像各々から前記マーカ像を第2しきい値により抽出する手段と、前記第1しきい値により抽出されたマーカ像と前記第2しきい値により抽出されたマーカ像との位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、X線立体撮影装置において、X線管球の位置及びX線検出器の位置の計算精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態の概要を述べると、誤抽出X線マーカ除去処理として、X線マーカの位置関係はあらかじめ分かっているので、抽出されたX線マーカ像の位置関係から、誤抽出によるX線マーカ像を特定し、それを除去するものであり、また最初の抽出処理で抽出できなかったX線マーカ像を掘り起こし処理として、誤抽出X線マーカ除去処理後に得られる修正後のX線マーカ位置座標の数をカウントし、ある程度のX線管やX線検出器の位置計算精度(X線管やX線検出器の軌道計算精度)を確保するのに必要とされる必要最小限数のX線マーカ像が抽出されていないときは、少ないけれども抽出されたX線マーカ像からおおよそ推定できるX線管やX線検出器の軌道から予測できるX線マーカ像の位置を含むその周囲の局所領域に限定して再度高精度にX線マーカ像抽出処理を行うものである。
【0009】
それにより誤抽出X線マーカの位置座標を自動的に除去することが可能となり、マーカ抽出処理のやり直しや、手動による修正作業を大幅に軽減できる。また、X線画像中にX線マーカが映るであろう領域を限局して抽出処理を行うため、誤抽出が減少すると同時に、より多くのX線マーカを正確に抽出できる。以上により、断面画像が従来に比べて迅速かつ正確に得ることができる。
【0010】
図1、図2に示すように、本実施形態に係るX線立体撮影装置は、X線管装置1と、X線検出器装置7とを有する。X線管装置1は、高電圧発生器20から高電圧(管電圧)の印加及びフィラメント電流の供給を受けてX線を発生するX線管3を有する。X線管3は、キャスタ5の付いた台座6に回転機構4を介して設置される。回転機構4は、X線管3を撮影中心軸CAの回りを回転自在に支持するとともに、回転制御部21の制御のもとでX線管3を回転駆動する。X線管3及び回転機構4等は筐体2の内部に収容される。X線検出器装置7は、X線検出器9を有する。X線検出器9は、典型的には、平面検出器(フラット・パネル・デテクタとも呼ばれる)である。平面検出器は、入射X線を直接的に電気信号に変換する直接変換形、又は入射X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する間接変換形の複数の半導体検出素子を有する。複数の半導体検出素子は2次元格子状に配列される。複数の半導体検出素子でX線入射に伴って発生した信号電荷はデータ収集部23を経由してディジタル信号として読み出される。X線検出器9は、キャスタ12の付いた台座11に回転機構10を介して設置される。回転機構10は、X線検出器9を撮影中心軸CAの回りを回転自在に支持するとともに、回転制御部22の制御のもとでX線検出器9を回転駆動する。X線検出器9及び回転機構114等は筐体8の内部に収容される。
【0011】
撮影に際しては、X線管装置1とX線検出器装置7とは、被検体Pを挟んで対向され、かつ撮影中心軸CAが略一致するように設置される。被検体Pは寝台13の天板14上に定位装置17を使って固定される。被検体Pを挟んで一対のX線マーカパネル15、16が平行に且つ所定の距離隔てて正確に設置される。一方のX線マーカパネル15は、図3(a)に示すように、比較的X線吸収率の低い例えば透明なアクリル樹脂製のパネルベース33と、パネルベース33に縦横に一定の中心点間距離daで正確に配列された高いX線吸収率を有する例えば鉛製の球形のX線マーカ31とからなる。他方のX線マーカパネル16は、図3(b)に示すように、比較的X線吸収率の低い例えば透明なアクリル樹脂製のパネルベース34と、パネルベース34に縦横に一定の中心点間距離dbで正確に配列された高いX線吸収率を有する例えば鉛製の円柱形のX線マーカ32とからなる。X線マーカ31を球形、X線マーカ32を円柱形としたのは、両者の像を形状で区別することを目的としてなされたものであり、その目的が達成される限りにおいてそれぞれ形状は球形と円柱形に限定されることはない。
【0012】
システム制御部24は、X線立体撮影装置全体の動作制御を担っており、上記高電圧発生器20、データ収集部23、回転制御部21,22とともに、画像処理部25、表示部26、マウスやキーボード等の操作部27にデータ/制御バス28を介して接続されている。
【0013】
画像処理部25は、X線画像に映りこんでいるX線マーカ31、32の像の位置関係に基づいて、当該X線画像の撮影時のX線管3の位置及びX線検出器9の位置を求めるとともに、撮影方向の相違する複数のX線画像から断面画像を結像する。画像処理部25は、図4に示すように、制御部41、対数演算部42、位置計算部43、結像部44、しきい値設定部45、インタフェース46、画像記憶部47、マーカ抽出部48、誤抽出マーカ除去処理部49、軌道計算部50、マーカ探索領域設定部51、データ/制御バス52を有する。画像記憶部47には、X線検出器9からデータ収集部23を介して出力され、そして対数演算部42で対数演算にかけられた複数のX線画像のデータが記憶される。X線画像には、被検体の像と共に、複数のマーカ31,32の像が映りこむ。マーカ抽出部48は、しきい値設定部45により設定されたしきい値処理及びパターンマッチング処理によりマーカ31,32の像領域をX線画像ごとに抽出する。マーカ31,32の像に近似した輝度を有し、マーカ31,32の像に近似した形状の陰影は、マーカ31,32の像として誤って抽出される。誤抽出マーカ除去処理部49は、マーカ抽出部48で抽出された複数のマーカ31,32の像の相互距離に基づいて、マーカ抽出部48で誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、誤抽出されたマーカ像を、マーカ抽出部48で抽出された複数のマーカ像から除去する。位置計算部43は、誤抽出されたマーカ像を除去して残った複数のマーカ31,32の像から、X線画像各々の撮影時のX線管3の位置(X線焦点位置)及びX線検出器29の位置(X線検出面中心の位置)を計算する。軌道計算部50は、各画像に対応するX線管3の撮影位置を繋ぐX線管3の軌道を計算し、また各画像に対応するX線検出器29の撮影位置を繋ぐX線検出器9の軌道を計算する。マーカ探索領域設定部51は、軌道計算部50で計算されたX線管3の軌道上の撮影位置とX線検出器9の軌道上の撮影位置とに基づいて、未抽出のマーカ31,32の画像上の位置を計算するとともに、未抽出のマーカ31,32の位置を中心とする所定半径の円形の局所領域を、マーカ探索領域として設定する。マーカ抽出部48は、しきい値設定部45によりマーカ探索領域(局所領域)内の画素値分布から設定されたしきい値によるしきい値処理及びパターンマッチング処理によりマーカ31,32の像をマーカ探索領域に限局して探索し抽出する。結像部44は、X線画像各々のX線管3の撮影位置とX線検出器9の撮影位置とに基づいて複数のX線画像から任意断面の断面画像又は多断面の断面画像(立体像のボリュームデータ)を結像する。
【0014】
図5には本実施形態による断面画像の結像処理の流れを示している。まず、X線立体撮影が行われる。そのために、X線管3とX線検出器9とが被検体P及びマーカパネル15,16を挟んで対向され、かつ撮影中心軸が略一致するように設置される。被検体Pは寝台13の天板14上に定位装置17を使って固定される。被検体Pを挟んで一対のX線マーカパネル15、16が平行に且つ所定の距離隔てて正確に設置される。X線管3とX線検出器9が図6、図7に例示する円環状の軌道に沿って移動する間、断続的にX線撮影が繰り返される。それによりX線管3の撮影位置とX線検出器9の撮影位置とが相違する複数のX線画像が発生される。
【0015】
ステップS1において、複数のX線画像(図9参照)は個別にマーカ抽出部48でマーカ抽出処理にかけられ、その重心位置の座標が計算される(図10参照)。マーカ抽出処理は、各X線画像に対してハイパスフィルタ処理を実施し、次にヒステリシススレッショルドを用いてマーカ31,32の像領域を抽出する。ヒステリシススレッショルドは第1,第2の2つのしきい値を用いて第1のしきい値以上の画素値を持つ領域の各々の連結領域のうち第2の2つのしきい値以上の画素値をひとつでも持つ領域を抽出する処理である。次に、各連結領域について、円形度、方形度や面積によって、マーカ31の像領域とマーカ32の像領域としてふさわしい領域のみを選別する。この処理もマーカ31の像領域とマーカ32の像領域に対して異なる基準で選別する。
【0016】
第1,第2の2つのしきい値は、しきい値設定部45によりX線画像ごとにその画素値分布に基づいて設定される。画素値分布は、横軸が画素値、縦軸が画素数(頻度)とするX線画像の性質を表す分布である。この画素値分布から、第1のしきい値は鉛像を効果的に抽出できるように高いX線吸収率に対応する例えば高位から所定割合(例えば上位5%)の画素値の平均値等の統計的指数から予め指定された値がしきい値設定部45により設定され、同様に第2のしきい値は第1のしきい値より高く例えば高位から所定割合(例えば上位3%)の画素値の平均値等の統計的指数から予め指定された値がしきい値設定部45により設定される。しきい値設定部45により設定されたしきい値でX線画像が二値化され、パターンマッチング処理によりマーカ31,32に対応する円形及び方形の領域を抽出する。この1回目のマーカ抽出処理の段階では、正しく抽出されたマーカ31,32の像と、マーカ31,32ではない血管等の他の部位の像であるにも関わらずマーカ31,32の像として誤抽出されてしまった像と、未抽出のマーカ31,32の像とが存在する。本実施形態では、誤抽出された像を除去し、未抽出のマーカ31,32の像を抽出する。
【0017】
誤抽出マーカ除去処理部49による誤抽出された像の除去処理(S2)について説明する。図11(a)に示すように、マーカ31,32の抽出処理時には、被検体の一部やその他をマーカ31,32の像と誤って抽出することがあるため、得られるマーカ像の位置座標には、誤抽出による位置座標が含まれることがある。正確なX線焦点・検出面の軌道推定計算を行うためには、誤抽出による位置座標を除去する必要がある。そのために、得られた位置座標に対してX線マーカパネルの配置位置およびX線マーカパネル15,16上での隣り合うX線マーカ31,32どうしの距離を用いた演算処理を行う。X線マーカパネル15,16の配置位置については、図8中のL、a、bを用い、X線マーカ31,32での隣り合うX線マーカ31,32どうしの距離としてda,dbを用いる。これらの値から、X線画像中でのX線マーカ31,32どうしの距離を求め、抽出処理によって得られたマーカ像どうしの距離が、この距離と合致しているかを判定することにより、誤抽出による位置座標を除去することが可能である。
【0018】
例えば、図11(a)に示したように誤抽出を含むX線マーカ31,32の像の位置座標が得られた場合には、次に示す手順1)〜5)により誤抽出による位置座標を除去する。
【0019】
1)X線マーカ像位置座標間距離の計算
抽出された複数のマーカ像のあるひとつのX線マーカ像を特定点として特定点の位置座標と、他の全てのX線マーカ像各々の位置座標との距離を計算する。図11(a)の例では、まず座標1を特定点として、座標1と座標2〜7各々との6つの距離を求める。次に、特定点を座標2に移し、座標2と座標1、3〜7各々との6つの距離を求める。特定点を順番に座標3〜7に移動しながら、同様の距離計算を繰り返す。全てのX線マーカ像位置座標について、他の6つのX線マーカ像位置座標との距離を求める。
【0020】
2)距離の正誤判定
上記手順1)で求めた位置座標間の距離が、正しいX線マーカ像間の距離かどうかを判定する。判定には、正しいX線マーカ位置座標どうしの距離が、一定の値しか取らないことを利用できる。図11(a)の例では、取りうる距離の値は図12に示す5種しかなく、正しいX線マーカ像位置座標どうしであれば、5つの距離値のうちの、いずれかに合致するはずである。それぞれのX線マーカ像位置座標について求めた他の6つの位置座標との距離の値を、取り得る5つの距離値と比較し、正誤判定する。この際、数パーセントの誤差を見込んで判定しても良い。判定の結果、それぞれのX線マーカ像位置座標について、他の6つの位置座標との距離値について、正しいと判定された値と誤りと判定された値の数がわかる。ここで、図12の距離Dとは検出器面上で、隣り合う正しいX線マーカ像位置座標間の距離である。例えば、間隔daでX線マーカ31,32が配置されたX線マーカパネル15,16が、管球3からの距離aに設置され、管球から距離Lの位置に検出器面がある場合、
D=da×L/a
となる。
【0021】
3)X線マーカ像位置座標除去
上記手順2)での判定の結果、最も誤りと判定された機会(回数)が多いX線マーカ像位置座標を、誤抽出による位置座標とみなし、除去する。図13のような判定結果が得られた場合には、位置座標3が誤抽出像として除去される。除去に該当する位置座標が複数ある場合には、どちらか一方を除去する。
【0022】
4)繰り返し処理
最も誤りと判定された距離値が多いX線マーカ像位置座標を除去した上で、手順1)〜3)を繰り返す。終了条件は、すべてのX線マーカ像ついて、他のマーカ像との距離値すべてが正しいと判定されることである。図13の例では、2回目の処理の結果、図14のような結果が得られ、位置座標6が除去され、再度処理を繰り返す。3回目の処理の結果、図15の結果が得られ、処理は終了する。このようにして、誤抽出による二つのX線マーカ像位置座標が除去できる。
【0023】
次に、未抽出のマーカ31,32の像の抽出処理について説明する。マーカ抽出処理および誤抽出X線マーカ像位置座標除去処理の後に得られるX線マーカ像位置座標データには、X線画像の番号、抽出されたX線マーカ像の数、抽出されたX線マーカ像それぞれの位置座標が含まれ、位置座標は、2箇所に設置したX線マーカ31,32のうちの、どちらのX線マーカ像かが区別可能な状態となっている。このX線マーカ像位置座標データを用いて、軌道推定計算処理を行うことにより、それぞれのX線画像に対応したX線焦点・検出面の位置座標が求まる。正確な軌道推定計算を行うためには、必要最低限のX線マーカ像位置座標が必要である。そこで、必要最低限の抽出X線マーカ像個数をNlimとすると、X線マーカ像位置座標データを参照して、各X線画像で抽出されたX線マーカ像の数がNlimを下回るX線画像の有無を制御部41で確認する(S3)。そして、次のような条件分岐を行う。
【0024】
すべてのX線画像で、抽出されたX線マーカ像の数がNlimより多い場合には、従来の処理の流れのとおり、軌道計算部50で軌道推定計算処理を行い(S4)、画像再結像処理を行う(S5)。
【0025】
抽出されたX線マーカ像の数がNlimより少ないX線画像が1枚でもあった場合には、条件を満たさないX線画像の番号を、要再処理X線画像番号として記憶し、少ない数のX線マーカ像でもってX線管3及びX線検出器9の軌道を推定し(S6)、その軌道から当該X線画像上でX線マーカ像が現れるであろう位置をマーカ探索領域設定部51で予測する(S7)。X線マーカ像の位置予測計算処理は次のように行う。
【0026】
軌道推定計算処理により求まるそれぞれのX線画像に対応したX線焦点・検出面の位置座標と図8中のL,a,b,cおよび図10中のX線マーカパネル15,16上でのX線マーカ配置座標
(xai,yaj) (i = 1、2、・・・ N1 、j = 1、2、・・・ N2)
(xbi,ybj) (i = 1、2、・・・ M1 、j = 1、2、・・・ M2)
を用いることにより、X線マーカ像がX線画像中のどの位置にうつるかを求めることが可能である。ここで、X線マーカ配置座標は、X線マーカパネル15又は16の中央を原点とする座標とする。これらの値から図16に示すような被検体撮影部位の中心を原点とする撮影座標系でのX線焦点、検出器検出面、X線マーカ31,32の画像上での座標を定めることができる。
【0027】
図16で、(xfl、yfl、zfl)はX線焦点の座標、(xdl、ydl、zdl)は検出面中央の座標である。添え字lは、X線画像撮影数lmaxを上限として、l=1、2、・・・、lmaxである。また、個々のX線マーカのx、y座標は、(xai,yaj) (i = 1、2、・・・ N1 、j=1、2、・・・ N2)、(xbi,ybj) (i=1、2、・・・ M1 、j=1、2、・・・ M2)である。
【0028】
抽出X線マーカ像の数が足りないX線画像が撮影されたときのX線焦点・検出面中央の座標が(xfl、yfl、zfl)、(xdl、ydl、zdl)であったとすると、X線マーカは、検出面上のx,y座標
【数1】
【0029】
にそれぞれ写ることが計算できる。実際には検出面の大きさによって、写らないX線マーカ31,32の像もあるため、写るX線マーカに限定して求めればよい。このようにして求めた座標は、検出面上での予測X線マーカ像位置座標として記憶される。
【0030】
軌道から予測したX線マーカ像の位置座標が、図17に示すようにX線画像中の×印のように求まったとすると、その座標を中心とする所定の縦長α、横長βの局所領域をマーカ探索領域設定部51では設定する(S8)。
【0031】
しきい値設定部45は、局所領域ごとにその領域内の画素値分布に基づいて設定される。画素値分布から、第1のしきい値は高位から所定割合(例えば上位20%)の画素値の平均値等の統計的指数から予め指定された値がしきい値設定部45により設定され、同様に第2のしきい値は第1のしきい値より高く例えば高位から所定割合(例えば上位15%)の画素値の平均値等の統計的指数から予め指定された値がしきい値設定部45により設定される(S9)。S1に戻り同様にしきい値設定部45により設定されたしきい値で局所領域内が二値化され、パターンマッチング処理によりマーカ31,32に対応する円形及び方形の領域を抽出する。なお、局所の探索領域の形は方形には限定されず、円形でもよい。このようにして抽出されたX線マーカ像の位置座標をX線マーカ像位置座標データとして、処理を続ける。以上の処理により、X線画像からX線マーカ像をより確実に抽出することができ、正確な軌道推定計算処理を行うことができる。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、マーカ誤抽出を除去でき、また未抽出であったマーカ像を再抽出することができ、従ってそれらマーカ像からX線管球の位置及びX線検出器の位置を高精度に計算することができる。それにより断面画像やボリュームデータの結像精度を向上させることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係るX線立体撮影装置の主要部の構成を示す図。
【図2】図1のX線管装置とX線検出器装置の外観を示す図。
【図3】図1のX線マーカパネルの平面図。
【図4】図1の画像処理図の構成を示す図。
【図5】本実施形態において、断面画像の結像処理の流れを示す図。
【図6】本実施形態において、撮影時のX線管及びX線検出器の回転軌道を示す図。
【図7】本実施形態において、結像可能な撮影領域を示す図。
【図8】本実施形態において、X線管、検出器等の位置関係を示す図。
【図9】本実施形態において、X線画像の一例を示す中間調画像。
【図10】本実施形態において、X線マーカとマーカ像との関係を示す図。
【図11】本実施形態において、誤抽出されたマーカ像を示す図。
【図12】本実施形態において、マーカ像間の相互距離を示す図。
【図13】本実施形態において、1回目の誤抽出判定時のマーカ像間の相互距離の正誤表の一例を示す図。
【図14】本実施形態において、2回目の誤抽出判定時のマーカ像間の相互距離の正誤表の一例を示す図。
【図15】本実施形態において、3回目(当該例では最終回)の誤抽出判定時のマーカ像間の相互距離の正誤表の一例を示す図。
【図16】本実施形態において、未抽出マーカ像の位置予測処理の補足図。
【図17】本実施形態において、予測されたマーカ像の位置を含むマーカ像の探索領域を示す図。
【符号の説明】
【0035】
1…X線管装置、2…X線発生器筐体、3…X線管、4…X線管回転機構、5…キャスタ、6…台座、7…X線検出器装置、8…筐体、9…X線検出器、10…X線検出器回転機構、11…台座、12…キャスタ、13…寝台、14…天板、15…X線マーカパネル、16…X線マーカパネル、17…定位装置、20…高電圧発生器、21…X線管回転制御部、22…X線検出器回転制御部、23…データ収集部、24…システム制御部、25…画像処理部、26…表示部、27…操作部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影方向の異なる複数のX線画像から断面画像又は立体画像(多段断面画像)を再構成するX線立体撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの方向から撮影したX線画像を使って断面画像野立体画像(複数断面の断面画像)を作成する技術として、X線立体撮影法又はDT(Digital Tomosynthesis)と呼ばれる技術がある。X線立体撮影法は、多方向から撮影した複数のX線画像から断面画像を再構成(X線CTの再構成と区別するために以下、「結像」という)する。実際の処理としては、複数の方向から撮影した複数のX線画像から、指定された断面上の各点(画素)ごとにその点を通る複数のレイを選択し、それらのレイに対応する画素値を選択して加算する。この処理により原理的に指定断面上の部位は鮮明に映り、断面から外れた位置の部位はボケる。
【0003】
このX線立体撮影法では、各X線画像の撮影時のX線管球の位置及びX線検出器の位置を正確に特定することが要求される。そのために多くの場合、被検体を挟んで一対のX線マーカパネルを規定位置に設置し、被検体をそのX線マーカパネルとともに撮影する。X線マーカパネルには複数の鉛製のX線マーカが縦横に一定の間隔で整然と配列されている。そのX線マーカパネルを被検体と共に撮影し、両者が写ったX線画像からX線マーカの像を抽出し、X線マーカの位置関係からX線管球及び検出器それぞれの撮影時の位置を計算している。
【0004】
しかし、X線マーカパネルを使った位置計算処理には次のような位置計算精度を低下させる問題がある。まず、マーカ抽出処理では、被検体の一部、特に血管の屈曲部分などをX線マーカと誤って抽出してしまうことがある。抽出可能なX線マーカの像の数が、正確な軌道計算処理のためには過少である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、X線立体撮影装置において、X線管球の位置及びX線検出器の位置の計算精度を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面によるX線立体撮影装置は、X線管球と、X線検出器と、前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、前記X線画像各々から前記複数のマーカ像を抽出する手段と、前記抽出された複数のマーカ像の相互距離に基づいて誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、前記誤抽出されたマーカ像を前記抽出された複数のマーカ像から除去する誤抽出マーカ除去手段と、前記除去により残ったマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とする。
本発明の第2局面によるX線立体撮影装置は、X線管球と、X線検出器と、前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、前記X線画像各々から前記マーカ像を第1しきい値により抽出する手段と、前記抽出されたマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに推定する手段と、前記推定されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、未抽出のマーカ像の位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、前記計算された未抽出のマーカ像の位置を含む局所領域を前記X線画像ごとに設定する手段と、前記設定された局所領域に限定して前記X線画像各々から前記マーカ像を第2しきい値により抽出する手段と、前記第1しきい値により抽出されたマーカ像と前記第2しきい値により抽出されたマーカ像との位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とする。
本発明の第3局面によるX線立体撮影装置は、X線管球と、X線検出器と、前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、前記X線画像各々から前記複数のマーカ像を抽出する手段と、前記抽出された複数のマーカ像の相互距離に基づいて誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、前記誤抽出されたマーカ像を前記抽出された複数のマーカ像から除去する誤抽出マーカ除去手段と、前記除去により残ったマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに推定する手段と、前記推定されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、未抽出のマーカ像の位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、前記計算された未抽出のマーカ像の位置を含む局所領域を前記X線画像ごとに設定する手段と、前記設定された局所領域に限定して前記X線画像各々から前記マーカ像を第2しきい値により抽出する手段と、前記第1しきい値により抽出されたマーカ像と前記第2しきい値により抽出されたマーカ像との位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、X線立体撮影装置において、X線管球の位置及びX線検出器の位置の計算精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態の概要を述べると、誤抽出X線マーカ除去処理として、X線マーカの位置関係はあらかじめ分かっているので、抽出されたX線マーカ像の位置関係から、誤抽出によるX線マーカ像を特定し、それを除去するものであり、また最初の抽出処理で抽出できなかったX線マーカ像を掘り起こし処理として、誤抽出X線マーカ除去処理後に得られる修正後のX線マーカ位置座標の数をカウントし、ある程度のX線管やX線検出器の位置計算精度(X線管やX線検出器の軌道計算精度)を確保するのに必要とされる必要最小限数のX線マーカ像が抽出されていないときは、少ないけれども抽出されたX線マーカ像からおおよそ推定できるX線管やX線検出器の軌道から予測できるX線マーカ像の位置を含むその周囲の局所領域に限定して再度高精度にX線マーカ像抽出処理を行うものである。
【0009】
それにより誤抽出X線マーカの位置座標を自動的に除去することが可能となり、マーカ抽出処理のやり直しや、手動による修正作業を大幅に軽減できる。また、X線画像中にX線マーカが映るであろう領域を限局して抽出処理を行うため、誤抽出が減少すると同時に、より多くのX線マーカを正確に抽出できる。以上により、断面画像が従来に比べて迅速かつ正確に得ることができる。
【0010】
図1、図2に示すように、本実施形態に係るX線立体撮影装置は、X線管装置1と、X線検出器装置7とを有する。X線管装置1は、高電圧発生器20から高電圧(管電圧)の印加及びフィラメント電流の供給を受けてX線を発生するX線管3を有する。X線管3は、キャスタ5の付いた台座6に回転機構4を介して設置される。回転機構4は、X線管3を撮影中心軸CAの回りを回転自在に支持するとともに、回転制御部21の制御のもとでX線管3を回転駆動する。X線管3及び回転機構4等は筐体2の内部に収容される。X線検出器装置7は、X線検出器9を有する。X線検出器9は、典型的には、平面検出器(フラット・パネル・デテクタとも呼ばれる)である。平面検出器は、入射X線を直接的に電気信号に変換する直接変換形、又は入射X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する間接変換形の複数の半導体検出素子を有する。複数の半導体検出素子は2次元格子状に配列される。複数の半導体検出素子でX線入射に伴って発生した信号電荷はデータ収集部23を経由してディジタル信号として読み出される。X線検出器9は、キャスタ12の付いた台座11に回転機構10を介して設置される。回転機構10は、X線検出器9を撮影中心軸CAの回りを回転自在に支持するとともに、回転制御部22の制御のもとでX線検出器9を回転駆動する。X線検出器9及び回転機構114等は筐体8の内部に収容される。
【0011】
撮影に際しては、X線管装置1とX線検出器装置7とは、被検体Pを挟んで対向され、かつ撮影中心軸CAが略一致するように設置される。被検体Pは寝台13の天板14上に定位装置17を使って固定される。被検体Pを挟んで一対のX線マーカパネル15、16が平行に且つ所定の距離隔てて正確に設置される。一方のX線マーカパネル15は、図3(a)に示すように、比較的X線吸収率の低い例えば透明なアクリル樹脂製のパネルベース33と、パネルベース33に縦横に一定の中心点間距離daで正確に配列された高いX線吸収率を有する例えば鉛製の球形のX線マーカ31とからなる。他方のX線マーカパネル16は、図3(b)に示すように、比較的X線吸収率の低い例えば透明なアクリル樹脂製のパネルベース34と、パネルベース34に縦横に一定の中心点間距離dbで正確に配列された高いX線吸収率を有する例えば鉛製の円柱形のX線マーカ32とからなる。X線マーカ31を球形、X線マーカ32を円柱形としたのは、両者の像を形状で区別することを目的としてなされたものであり、その目的が達成される限りにおいてそれぞれ形状は球形と円柱形に限定されることはない。
【0012】
システム制御部24は、X線立体撮影装置全体の動作制御を担っており、上記高電圧発生器20、データ収集部23、回転制御部21,22とともに、画像処理部25、表示部26、マウスやキーボード等の操作部27にデータ/制御バス28を介して接続されている。
【0013】
画像処理部25は、X線画像に映りこんでいるX線マーカ31、32の像の位置関係に基づいて、当該X線画像の撮影時のX線管3の位置及びX線検出器9の位置を求めるとともに、撮影方向の相違する複数のX線画像から断面画像を結像する。画像処理部25は、図4に示すように、制御部41、対数演算部42、位置計算部43、結像部44、しきい値設定部45、インタフェース46、画像記憶部47、マーカ抽出部48、誤抽出マーカ除去処理部49、軌道計算部50、マーカ探索領域設定部51、データ/制御バス52を有する。画像記憶部47には、X線検出器9からデータ収集部23を介して出力され、そして対数演算部42で対数演算にかけられた複数のX線画像のデータが記憶される。X線画像には、被検体の像と共に、複数のマーカ31,32の像が映りこむ。マーカ抽出部48は、しきい値設定部45により設定されたしきい値処理及びパターンマッチング処理によりマーカ31,32の像領域をX線画像ごとに抽出する。マーカ31,32の像に近似した輝度を有し、マーカ31,32の像に近似した形状の陰影は、マーカ31,32の像として誤って抽出される。誤抽出マーカ除去処理部49は、マーカ抽出部48で抽出された複数のマーカ31,32の像の相互距離に基づいて、マーカ抽出部48で誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、誤抽出されたマーカ像を、マーカ抽出部48で抽出された複数のマーカ像から除去する。位置計算部43は、誤抽出されたマーカ像を除去して残った複数のマーカ31,32の像から、X線画像各々の撮影時のX線管3の位置(X線焦点位置)及びX線検出器29の位置(X線検出面中心の位置)を計算する。軌道計算部50は、各画像に対応するX線管3の撮影位置を繋ぐX線管3の軌道を計算し、また各画像に対応するX線検出器29の撮影位置を繋ぐX線検出器9の軌道を計算する。マーカ探索領域設定部51は、軌道計算部50で計算されたX線管3の軌道上の撮影位置とX線検出器9の軌道上の撮影位置とに基づいて、未抽出のマーカ31,32の画像上の位置を計算するとともに、未抽出のマーカ31,32の位置を中心とする所定半径の円形の局所領域を、マーカ探索領域として設定する。マーカ抽出部48は、しきい値設定部45によりマーカ探索領域(局所領域)内の画素値分布から設定されたしきい値によるしきい値処理及びパターンマッチング処理によりマーカ31,32の像をマーカ探索領域に限局して探索し抽出する。結像部44は、X線画像各々のX線管3の撮影位置とX線検出器9の撮影位置とに基づいて複数のX線画像から任意断面の断面画像又は多断面の断面画像(立体像のボリュームデータ)を結像する。
【0014】
図5には本実施形態による断面画像の結像処理の流れを示している。まず、X線立体撮影が行われる。そのために、X線管3とX線検出器9とが被検体P及びマーカパネル15,16を挟んで対向され、かつ撮影中心軸が略一致するように設置される。被検体Pは寝台13の天板14上に定位装置17を使って固定される。被検体Pを挟んで一対のX線マーカパネル15、16が平行に且つ所定の距離隔てて正確に設置される。X線管3とX線検出器9が図6、図7に例示する円環状の軌道に沿って移動する間、断続的にX線撮影が繰り返される。それによりX線管3の撮影位置とX線検出器9の撮影位置とが相違する複数のX線画像が発生される。
【0015】
ステップS1において、複数のX線画像(図9参照)は個別にマーカ抽出部48でマーカ抽出処理にかけられ、その重心位置の座標が計算される(図10参照)。マーカ抽出処理は、各X線画像に対してハイパスフィルタ処理を実施し、次にヒステリシススレッショルドを用いてマーカ31,32の像領域を抽出する。ヒステリシススレッショルドは第1,第2の2つのしきい値を用いて第1のしきい値以上の画素値を持つ領域の各々の連結領域のうち第2の2つのしきい値以上の画素値をひとつでも持つ領域を抽出する処理である。次に、各連結領域について、円形度、方形度や面積によって、マーカ31の像領域とマーカ32の像領域としてふさわしい領域のみを選別する。この処理もマーカ31の像領域とマーカ32の像領域に対して異なる基準で選別する。
【0016】
第1,第2の2つのしきい値は、しきい値設定部45によりX線画像ごとにその画素値分布に基づいて設定される。画素値分布は、横軸が画素値、縦軸が画素数(頻度)とするX線画像の性質を表す分布である。この画素値分布から、第1のしきい値は鉛像を効果的に抽出できるように高いX線吸収率に対応する例えば高位から所定割合(例えば上位5%)の画素値の平均値等の統計的指数から予め指定された値がしきい値設定部45により設定され、同様に第2のしきい値は第1のしきい値より高く例えば高位から所定割合(例えば上位3%)の画素値の平均値等の統計的指数から予め指定された値がしきい値設定部45により設定される。しきい値設定部45により設定されたしきい値でX線画像が二値化され、パターンマッチング処理によりマーカ31,32に対応する円形及び方形の領域を抽出する。この1回目のマーカ抽出処理の段階では、正しく抽出されたマーカ31,32の像と、マーカ31,32ではない血管等の他の部位の像であるにも関わらずマーカ31,32の像として誤抽出されてしまった像と、未抽出のマーカ31,32の像とが存在する。本実施形態では、誤抽出された像を除去し、未抽出のマーカ31,32の像を抽出する。
【0017】
誤抽出マーカ除去処理部49による誤抽出された像の除去処理(S2)について説明する。図11(a)に示すように、マーカ31,32の抽出処理時には、被検体の一部やその他をマーカ31,32の像と誤って抽出することがあるため、得られるマーカ像の位置座標には、誤抽出による位置座標が含まれることがある。正確なX線焦点・検出面の軌道推定計算を行うためには、誤抽出による位置座標を除去する必要がある。そのために、得られた位置座標に対してX線マーカパネルの配置位置およびX線マーカパネル15,16上での隣り合うX線マーカ31,32どうしの距離を用いた演算処理を行う。X線マーカパネル15,16の配置位置については、図8中のL、a、bを用い、X線マーカ31,32での隣り合うX線マーカ31,32どうしの距離としてda,dbを用いる。これらの値から、X線画像中でのX線マーカ31,32どうしの距離を求め、抽出処理によって得られたマーカ像どうしの距離が、この距離と合致しているかを判定することにより、誤抽出による位置座標を除去することが可能である。
【0018】
例えば、図11(a)に示したように誤抽出を含むX線マーカ31,32の像の位置座標が得られた場合には、次に示す手順1)〜5)により誤抽出による位置座標を除去する。
【0019】
1)X線マーカ像位置座標間距離の計算
抽出された複数のマーカ像のあるひとつのX線マーカ像を特定点として特定点の位置座標と、他の全てのX線マーカ像各々の位置座標との距離を計算する。図11(a)の例では、まず座標1を特定点として、座標1と座標2〜7各々との6つの距離を求める。次に、特定点を座標2に移し、座標2と座標1、3〜7各々との6つの距離を求める。特定点を順番に座標3〜7に移動しながら、同様の距離計算を繰り返す。全てのX線マーカ像位置座標について、他の6つのX線マーカ像位置座標との距離を求める。
【0020】
2)距離の正誤判定
上記手順1)で求めた位置座標間の距離が、正しいX線マーカ像間の距離かどうかを判定する。判定には、正しいX線マーカ位置座標どうしの距離が、一定の値しか取らないことを利用できる。図11(a)の例では、取りうる距離の値は図12に示す5種しかなく、正しいX線マーカ像位置座標どうしであれば、5つの距離値のうちの、いずれかに合致するはずである。それぞれのX線マーカ像位置座標について求めた他の6つの位置座標との距離の値を、取り得る5つの距離値と比較し、正誤判定する。この際、数パーセントの誤差を見込んで判定しても良い。判定の結果、それぞれのX線マーカ像位置座標について、他の6つの位置座標との距離値について、正しいと判定された値と誤りと判定された値の数がわかる。ここで、図12の距離Dとは検出器面上で、隣り合う正しいX線マーカ像位置座標間の距離である。例えば、間隔daでX線マーカ31,32が配置されたX線マーカパネル15,16が、管球3からの距離aに設置され、管球から距離Lの位置に検出器面がある場合、
D=da×L/a
となる。
【0021】
3)X線マーカ像位置座標除去
上記手順2)での判定の結果、最も誤りと判定された機会(回数)が多いX線マーカ像位置座標を、誤抽出による位置座標とみなし、除去する。図13のような判定結果が得られた場合には、位置座標3が誤抽出像として除去される。除去に該当する位置座標が複数ある場合には、どちらか一方を除去する。
【0022】
4)繰り返し処理
最も誤りと判定された距離値が多いX線マーカ像位置座標を除去した上で、手順1)〜3)を繰り返す。終了条件は、すべてのX線マーカ像ついて、他のマーカ像との距離値すべてが正しいと判定されることである。図13の例では、2回目の処理の結果、図14のような結果が得られ、位置座標6が除去され、再度処理を繰り返す。3回目の処理の結果、図15の結果が得られ、処理は終了する。このようにして、誤抽出による二つのX線マーカ像位置座標が除去できる。
【0023】
次に、未抽出のマーカ31,32の像の抽出処理について説明する。マーカ抽出処理および誤抽出X線マーカ像位置座標除去処理の後に得られるX線マーカ像位置座標データには、X線画像の番号、抽出されたX線マーカ像の数、抽出されたX線マーカ像それぞれの位置座標が含まれ、位置座標は、2箇所に設置したX線マーカ31,32のうちの、どちらのX線マーカ像かが区別可能な状態となっている。このX線マーカ像位置座標データを用いて、軌道推定計算処理を行うことにより、それぞれのX線画像に対応したX線焦点・検出面の位置座標が求まる。正確な軌道推定計算を行うためには、必要最低限のX線マーカ像位置座標が必要である。そこで、必要最低限の抽出X線マーカ像個数をNlimとすると、X線マーカ像位置座標データを参照して、各X線画像で抽出されたX線マーカ像の数がNlimを下回るX線画像の有無を制御部41で確認する(S3)。そして、次のような条件分岐を行う。
【0024】
すべてのX線画像で、抽出されたX線マーカ像の数がNlimより多い場合には、従来の処理の流れのとおり、軌道計算部50で軌道推定計算処理を行い(S4)、画像再結像処理を行う(S5)。
【0025】
抽出されたX線マーカ像の数がNlimより少ないX線画像が1枚でもあった場合には、条件を満たさないX線画像の番号を、要再処理X線画像番号として記憶し、少ない数のX線マーカ像でもってX線管3及びX線検出器9の軌道を推定し(S6)、その軌道から当該X線画像上でX線マーカ像が現れるであろう位置をマーカ探索領域設定部51で予測する(S7)。X線マーカ像の位置予測計算処理は次のように行う。
【0026】
軌道推定計算処理により求まるそれぞれのX線画像に対応したX線焦点・検出面の位置座標と図8中のL,a,b,cおよび図10中のX線マーカパネル15,16上でのX線マーカ配置座標
(xai,yaj) (i = 1、2、・・・ N1 、j = 1、2、・・・ N2)
(xbi,ybj) (i = 1、2、・・・ M1 、j = 1、2、・・・ M2)
を用いることにより、X線マーカ像がX線画像中のどの位置にうつるかを求めることが可能である。ここで、X線マーカ配置座標は、X線マーカパネル15又は16の中央を原点とする座標とする。これらの値から図16に示すような被検体撮影部位の中心を原点とする撮影座標系でのX線焦点、検出器検出面、X線マーカ31,32の画像上での座標を定めることができる。
【0027】
図16で、(xfl、yfl、zfl)はX線焦点の座標、(xdl、ydl、zdl)は検出面中央の座標である。添え字lは、X線画像撮影数lmaxを上限として、l=1、2、・・・、lmaxである。また、個々のX線マーカのx、y座標は、(xai,yaj) (i = 1、2、・・・ N1 、j=1、2、・・・ N2)、(xbi,ybj) (i=1、2、・・・ M1 、j=1、2、・・・ M2)である。
【0028】
抽出X線マーカ像の数が足りないX線画像が撮影されたときのX線焦点・検出面中央の座標が(xfl、yfl、zfl)、(xdl、ydl、zdl)であったとすると、X線マーカは、検出面上のx,y座標
【数1】
【0029】
にそれぞれ写ることが計算できる。実際には検出面の大きさによって、写らないX線マーカ31,32の像もあるため、写るX線マーカに限定して求めればよい。このようにして求めた座標は、検出面上での予測X線マーカ像位置座標として記憶される。
【0030】
軌道から予測したX線マーカ像の位置座標が、図17に示すようにX線画像中の×印のように求まったとすると、その座標を中心とする所定の縦長α、横長βの局所領域をマーカ探索領域設定部51では設定する(S8)。
【0031】
しきい値設定部45は、局所領域ごとにその領域内の画素値分布に基づいて設定される。画素値分布から、第1のしきい値は高位から所定割合(例えば上位20%)の画素値の平均値等の統計的指数から予め指定された値がしきい値設定部45により設定され、同様に第2のしきい値は第1のしきい値より高く例えば高位から所定割合(例えば上位15%)の画素値の平均値等の統計的指数から予め指定された値がしきい値設定部45により設定される(S9)。S1に戻り同様にしきい値設定部45により設定されたしきい値で局所領域内が二値化され、パターンマッチング処理によりマーカ31,32に対応する円形及び方形の領域を抽出する。なお、局所の探索領域の形は方形には限定されず、円形でもよい。このようにして抽出されたX線マーカ像の位置座標をX線マーカ像位置座標データとして、処理を続ける。以上の処理により、X線画像からX線マーカ像をより確実に抽出することができ、正確な軌道推定計算処理を行うことができる。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、マーカ誤抽出を除去でき、また未抽出であったマーカ像を再抽出することができ、従ってそれらマーカ像からX線管球の位置及びX線検出器の位置を高精度に計算することができる。それにより断面画像やボリュームデータの結像精度を向上させることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係るX線立体撮影装置の主要部の構成を示す図。
【図2】図1のX線管装置とX線検出器装置の外観を示す図。
【図3】図1のX線マーカパネルの平面図。
【図4】図1の画像処理図の構成を示す図。
【図5】本実施形態において、断面画像の結像処理の流れを示す図。
【図6】本実施形態において、撮影時のX線管及びX線検出器の回転軌道を示す図。
【図7】本実施形態において、結像可能な撮影領域を示す図。
【図8】本実施形態において、X線管、検出器等の位置関係を示す図。
【図9】本実施形態において、X線画像の一例を示す中間調画像。
【図10】本実施形態において、X線マーカとマーカ像との関係を示す図。
【図11】本実施形態において、誤抽出されたマーカ像を示す図。
【図12】本実施形態において、マーカ像間の相互距離を示す図。
【図13】本実施形態において、1回目の誤抽出判定時のマーカ像間の相互距離の正誤表の一例を示す図。
【図14】本実施形態において、2回目の誤抽出判定時のマーカ像間の相互距離の正誤表の一例を示す図。
【図15】本実施形態において、3回目(当該例では最終回)の誤抽出判定時のマーカ像間の相互距離の正誤表の一例を示す図。
【図16】本実施形態において、未抽出マーカ像の位置予測処理の補足図。
【図17】本実施形態において、予測されたマーカ像の位置を含むマーカ像の探索領域を示す図。
【符号の説明】
【0035】
1…X線管装置、2…X線発生器筐体、3…X線管、4…X線管回転機構、5…キャスタ、6…台座、7…X線検出器装置、8…筐体、9…X線検出器、10…X線検出器回転機構、11…台座、12…キャスタ、13…寝台、14…天板、15…X線マーカパネル、16…X線マーカパネル、17…定位装置、20…高電圧発生器、21…X線管回転制御部、22…X線検出器回転制御部、23…データ収集部、24…システム制御部、25…画像処理部、26…表示部、27…操作部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管球と、
X線検出器と、
前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、
前記X線画像各々から前記複数のマーカ像を抽出する手段と、
前記抽出された複数のマーカ像の相互距離に基づいて誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、前記誤抽出されたマーカ像を前記抽出された複数のマーカ像から除去する誤抽出マーカ除去手段と、
前記除去により残ったマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、
前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とするX線立体撮影装置。
【請求項2】
前記誤抽出マーカ除去手段は、前記抽出された複数のマーカ像の相互距離を計算する手段と、前記計算された相互距離の正誤を判定する手段と、他のマーカ像との相互距離が誤りと判定された回数が最も多いマーカ像を前記誤抽出されたマーカ像として除去する手段と、前記誤判定が出なくなるまで前記相互距離の計算、前記正誤の判定及び前記誤抽出されたマーカ像の除去の一連の処理を繰り返す手段とを有することを特徴とする請求項1記載のX線立体撮影装置。
【請求項3】
X線管球と、
X線検出器と、
前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、
前記X線画像各々から前記マーカ像を第1しきい値により抽出する手段と、
前記抽出されたマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに推定する手段と、
前記推定されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、未抽出のマーカ像の位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、
前記計算された未抽出のマーカ像の位置を含む局所領域を前記X線画像ごとに設定する手段と、
前記設定された局所領域に限定して前記X線画像各々から前記マーカ像を第2しきい値により抽出する手段と、
前記第1しきい値により抽出されたマーカ像と前記第2しきい値により抽出されたマーカ像との位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、
前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とするX線立体撮影装置。
【請求項4】
前記X線画像各々の画素値分布から前記第1しきい値を前記X線画像ごとに設定するとともに、前記局所領域各々の画素値分布から前記第2しきい値を前記局所領域ごとに設定する手段をさらに備えることを特徴とする請求項3記載のX線立体撮影装置。
【請求項5】
X線管球と、
X線検出器と、
前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、
前記X線画像各々から前記複数のマーカ像を抽出する手段と、
前記抽出された複数のマーカ像の相互距離に基づいて誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、前記誤抽出されたマーカ像を前記抽出された複数のマーカ像から除去する誤抽出マーカ除去手段と、
前記除去により残ったマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに推定する手段と、
前記推定されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、未抽出のマーカ像の位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、
前記計算された未抽出のマーカ像の位置を含む局所領域を前記X線画像ごとに設定する手段と、
前記設定された局所領域に限定して前記X線画像各々から前記マーカ像を第2しきい値により抽出する手段と、
前記第1しきい値により抽出されたマーカ像と前記第2しきい値により抽出されたマーカ像との位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、
前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とするX線立体撮影装置。
【請求項1】
X線管球と、
X線検出器と、
前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、
前記X線画像各々から前記複数のマーカ像を抽出する手段と、
前記抽出された複数のマーカ像の相互距離に基づいて誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、前記誤抽出されたマーカ像を前記抽出された複数のマーカ像から除去する誤抽出マーカ除去手段と、
前記除去により残ったマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、
前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とするX線立体撮影装置。
【請求項2】
前記誤抽出マーカ除去手段は、前記抽出された複数のマーカ像の相互距離を計算する手段と、前記計算された相互距離の正誤を判定する手段と、他のマーカ像との相互距離が誤りと判定された回数が最も多いマーカ像を前記誤抽出されたマーカ像として除去する手段と、前記誤判定が出なくなるまで前記相互距離の計算、前記正誤の判定及び前記誤抽出されたマーカ像の除去の一連の処理を繰り返す手段とを有することを特徴とする請求項1記載のX線立体撮影装置。
【請求項3】
X線管球と、
X線検出器と、
前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、
前記X線画像各々から前記マーカ像を第1しきい値により抽出する手段と、
前記抽出されたマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに推定する手段と、
前記推定されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、未抽出のマーカ像の位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、
前記計算された未抽出のマーカ像の位置を含む局所領域を前記X線画像ごとに設定する手段と、
前記設定された局所領域に限定して前記X線画像各々から前記マーカ像を第2しきい値により抽出する手段と、
前記第1しきい値により抽出されたマーカ像と前記第2しきい値により抽出されたマーカ像との位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、
前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とするX線立体撮影装置。
【請求項4】
前記X線画像各々の画素値分布から前記第1しきい値を前記X線画像ごとに設定するとともに、前記局所領域各々の画素値分布から前記第2しきい値を前記局所領域ごとに設定する手段をさらに備えることを特徴とする請求項3記載のX線立体撮影装置。
【請求項5】
X線管球と、
X線検出器と、
前記X線管球と前記X線検出器とにより撮影された、被検体に関する像と前記被検体の近傍に整然と配置された複数のマーカに関する像とをそれぞれ含む撮影方向の異なる複数のX線画像のデータを記憶する手段と、
前記X線画像各々から前記複数のマーカ像を抽出する手段と、
前記抽出された複数のマーカ像の相互距離に基づいて誤抽出されたマーカ像を特定するとともに、前記誤抽出されたマーカ像を前記抽出された複数のマーカ像から除去する誤抽出マーカ除去手段と、
前記除去により残ったマーカ像の位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに推定する手段と、
前記推定されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、未抽出のマーカ像の位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、
前記計算された未抽出のマーカ像の位置を含む局所領域を前記X線画像ごとに設定する手段と、
前記設定された局所領域に限定して前記X線画像各々から前記マーカ像を第2しきい値により抽出する手段と、
前記第1しきい値により抽出されたマーカ像と前記第2しきい値により抽出されたマーカ像との位置関係から前記X線管球の撮影位置及び前記X線検出器の撮影位置を前記X線画像ごとに計算する手段と、
前記計算されたX線管球の位置及び前記X線検出器の位置に基づいて、前記複数のX線画像のデータから断面又は立体領域の画像データを結像する手段とを具備することを特徴とするX線立体撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−43047(P2006−43047A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226941(P2004−226941)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度健康寿命延伸のための医療福祉機器高度化プログラム 早期診断・短期回復のための高度診断・治療システム 内視鏡等による低侵襲高度手術支援システム、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)」
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度健康寿命延伸のための医療福祉機器高度化プログラム 早期診断・短期回復のための高度診断・治療システム 内視鏡等による低侵襲高度手術支援システム、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)」
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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