説明

X線CT装置

【課題】光学的な拡大率及び撮影範囲の変更が可能なX線CT装置を提供する。
【解決手段】被検体PにX線を照射するX線管121と、被検体を透過したX線を検出する第
一の検出器131aと、被検体を透過したX線を検出し、第一の検出器131aとは曲率の
異なる第二の検出器131bと、X線管121に設けられた駆動手段と、第一の検出器13
1aと第二の検出器131bとを切り替える切替信号を入力する操作部170と、を備え、
X線管121は、駆動手段により、操作部170からの切替信号に基づき、第一の検出器
131aの焦点位置と第二の検出器131bの焦点位置との間を移動可能に構成されている
ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光学的な拡大率が変更可能なX線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置は、コンピュータ技術の発展に伴い実用化され、今日の医療において必要不
可欠なものとなっている。
【0003】
特に近年のX線CT装置では、演算処理ユニットの高速化及び高性能化に伴って複数スラ
イス断面における投影データの収集と表示が容易となっている。
【0004】
この投影データを診断時に利用するためには、観察する医師等が確認できるように、モ
ニタなどの表示部に表示することが必要となるが、この際、診断対象となる注目部位の状
況を詳細に把握するために、モニタ上でCT画像の拡大率を変更する方法が有用である。
【0005】
ところで、非破壊検査用CTなどの、X線管とX線検出器を固定し、撮影対象物を回転させ
ながらX線を照射する方式のX線CT装置においては、対象物を搭載したテーブルの位置をX
線管に近づけることによって拡大率を上げることが可能である。
【0006】
また、歯科用X線CT装置などの、X線管とX線検出器のみを被検体の回りに回転させる方
式のX線CT装置においては、X線管とX線検出器の距離を一定に保ちながら、回転中心を変
更することで、拡大率を変更することも可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−29168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、人を対象とする医療用X線CT装置においては、非破壊検査用CTとは異なり、対
象物である被検体P及びX線検出器との距離、すなわち焦点距離が予め決められているのが
一般的であり、仮に被検体PをX線管に近づけたとしても、一様に拡大率を上げることはで
きない。
【0009】
また、医療用のX線CT装置は、回転フレームにX線管、X線検出器だけでなく、X線照射に
必要となる高電圧発生器や各種制御装置を搭載しているため総重量が大きく、加えて、回
転フレームは、被検体Pの臓器の動きによる撮影への影響を抑えるため、撮影の際、高速
での回転(例えば、1回転を0.5秒以上)を要求される。
【0010】
そのため、歯科用X線CT装置のように回転中心を可変にすると、回転フレームのバラン
スが崩れ、不要な振動を生じることとなり、安定した投影データの取得が困難となるため
、当該方法による拡大率の変更も難しい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するために、本実施の形態は、被検体にX線を照射するX線管と、被検体
を透過したX線を検出する第一の検出器と、被検体を透過したX線を検出し、第一の検出器
とは曲率の異なる第二の検出器と、X線管に設けられた駆動手段と、第一の検出器と第二
の検出器とを切り替える切替信号を入力する操作部と、を備え、X線管は、駆動手段によ
り、操作部からの切替信号に基づき、第一の検出器の焦点位置と第二の検出器の焦点位置
との間を移動可能に構成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係るX線CT装置の構成を示すブロック図。
【図2】実施の形態に係る第一の検出器及び第二の検出器を説明する図。
【図3】実施の形態に係る可動筐体部の構造を示す斜視図。
【図4】図3に示す可動筐体部を構成するX線収納部の周辺を示す左側面図。
【図5】実施の形態に係る第一の検出器及び第二の検出器とX線管の焦点との関係を説明する図。
【図6】実施の形態に係るX線管の焦点の移動方向について説明する図。
【図7】変形例に係る第一の検出器及び第二の検出器とX線管の焦点との関係を説明する図。
【図8】変形例に係る実施の形態に係るX線管の焦点の移動方向について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して説明する。
【0014】
なお、以下の説明においては、ほぼ同一な機能及び構成を有する構成要素については、
同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0015】
図1は、実施の形態に係るX線CT装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
このX線CT装置100は、寝台110と、X線を発生させ被検体PにX線を照射するX線発
生部120と、被検体Pを透過したX線の検出により投影データを生成する投影データ生
成部130と、これらX線発生部120及び投影データ生成部130を備える架台140
と、架台140の投影データ生成部130により生成された投影データから画像データを
生成する画像データ生成部150と、を備えている。
【0017】
また、X線CT装置100は、画像データ生成部150で生成された画像データを表示す
る表示部160を備えている。
【0018】
さらに、X線CT装置100は、種々のコマンドの入力等を行なう操作部170と、寝台
110、架台140、画像データ生成部150を統括して制御するシステム制御部180
とを備えている。
【0019】
寝台110は、被検体Pが載置される天板111と、天板111を長手方向及び上下方
向へ駆動する天板駆動部とを備えている。
【0020】
天板駆動部は、X線照射の際に、被検体Pが載置された天板111をX線照射位置へ移動
する。
【0021】
X線発生部120は、X線を発生させるX線管121と、システム制御部180から供給
されるX線照射条件に基づいて電圧を発生させ、X線管121へ電力を供給する高電圧発
生器122とを備えている。
【0022】
X線管121は、X線を発生する真空管であり、高電圧発生器122から供給される高
電圧によって発生した電子をターゲットに衝突させてX線を放射する。
【0023】
そして、X線管121は、撮影では被検体Pの周りを回転しながら被検体Pに対しX線を
照射する。
【0024】
また、X線管121は、詳細を後述する可動筐体部200に内包され、操作者による操
作部170からの入力信号に従い、所定の方向に移動することができるように構成されて
いる。
【0025】
X線検出器131は、複数個のX線検出素子を備え、このX線検出素子の各々は、X線
を光に変換するシンチレータと光を電気信号に変換するフォトダイオードによって構成さ
れている。
【0026】
また、X線検出器131は、X線検出素子ごとに複数のコリメータ板を備えている。
【0027】
複数のコリメータ板は、モリブデン等のX線吸収率の高い材料から形成され、所定の間
隔をおいて配置される。
【0028】
当該コリメータ板により、スライス方向に散乱したX線を複数のコリメータ板の間隔ご
とにX線管121から照射され被検体Pを透過したX線をコリメートすることができる。
【0029】
投影データ生成部130は、被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器131と、X
線検出器131から出力された複数チャンネルの検出信号に対してA/D変換等を行なう
データ収集ユニット132(以下、DAS(Data Acquisition System)ユニット132と
呼ぶ。)と、DASユニット132の出力信号に対して、例えばパラレル/シリアル変換、
電気/光/電気変換及びシリアル/パラレル変換を行なうデータ伝送部とを備えている。
【0030】
X線検出器131は、X線管121に対向して配置され、X線管121の焦点を中心とし
た曲面形状に形成されている。
【0031】
また、複数のX線検出素子は、X線管121の焦点を中心とした曲面に対応するように
配置されている。
【0032】
なお、X線検出器131を曲面形状とすることにより、コリメータ板により所定の間隔
ごとに遮蔽されるX線量を減らし、X線の検出効率を上げることができる。
【0033】
次に、X線CT装置100に備えられた互いに曲率の異なる第一の検出器131a、及び第
二の検出器131bについて説明する。
【0034】
図2は、実施の形態に係る第一の検出器131a及び第二の検出器131bを説明する図
である。
【0035】
一般的に、X線検出器及びX線検出器コリメータは、検出効率を上げるため、X線管12
1の焦点を中心とした曲面形状となるように形成されている。
【0036】
ここで、X線管121の焦点位置から架台140の回転中心位置までの距離をA、架台1
40の回転中心位置からX線検出器表面までの距離をBとすると、検出器面の曲率Rは、R=
A+Bと定義でき、拡大率は、B/Aと定義できる。
【0037】
また、第一の検出器131aに対応する距離AをA1、第一の検出器131aに対応する距
離BをB1とし、第二の検出器131bに対応する距離AをA2、第二の検出器131bに対応
する距離BをB2とする。
【0038】
本実施の形態において、例えば、第一の検出器131aのX線管焦点位置から架台140
の回転中心位置までの距離は、第二の検出器131bのX線管焦点位置から架台140の回
転中心までの距離よりも短くなるように設計されている。
【0039】
すなわち、A1<A2の関係にある。
【0040】
第一の検出器131aの架台140の回転中心位置から検出器表面までの距離は、第二
の検出器131bの架台140の回転中心位置からX線検出器表面までの距離よりも長く、
または等しくなるように設計されている。
【0041】
すなわち、B1≧B2の関係にある。
【0042】
従って、第一の検出器131aのX線管焦点位置からX線検出器表面までの距離は、第二
の検出器131bのX線管焦点位置からX線検出器表面までの距離よりも短くなり、すなわ
ち、(A1+B1)<(A2+B2)の関係となる。
【0043】
このようにX線管121及びX線検出器131を配置した場合、第一の検出器131aの
拡大率(B1/A1)は第二の検出器131bの拡大率(B2/A2)よりも大きくなる。
【0044】
その一方で、X線検出器131のチャネル方向の検出素子を同数とした場合は、第一の
検出器131aのX線管焦点位置からX線検出器表面までの距離(A1+B1)は、第二の検
出器131bの当該距離(A2+B2)よりも小さくなるため、撮影範囲(以下、FOVという
)は小さくなる。
【0045】
すなわち、第一の検出器131aは、拡大率に関しては大きくなるが、FOVは小さくなる
という特徴を持ち、第二の検出器131bは、拡大率に関しては小さくなるが、FOVは大き
くなるという特徴を持つ。
【0046】
次に、DASユニット132は、アナログ/デジタル変換回路等を有する電子回路基板を
備え、X線検出器131の外周に配置されている。
【0047】
そして、X線検出器131から出力される信号をデジタル信号に変換し、その変換した
デジタル信号を回転フレーム142の所定の角度回転毎に収集してビュー単位の投影デー
タを生成する。
【0048】
なお、DASユニット132は第一の検出器131a及び第二の検出器131bごとにそれ
ぞれ設けてもよく、または、共通のDASユニット132を、操作部170からの第一の検
出器131a及び第二の検出器131bの切替信号に対応させ、切り替えてもよい。
【0049】
データ伝送部は、例えば光通信手段により送受信するための送信部及び受信部を有し、
送信部が回転フレーム142に配置され、受信部が支持台144に配置されている。
【0050】
そして、送信部が、DASユニット132からのX線投影データを受信部に伝送し、受信
部が、送信部から伝送された投影データを画像データ生成部150に出力する。
【0051】
架台140は、寝台110の近傍に配置され、寝台110の天板111移動により被検
体Pが送り込まれる円筒状の開口部141と、X線発生部120及び投影データ生成部13
0と、X線管121、高電圧発生器122、X線検出器131、DASユニット132、及び
データ伝送部の送信部を支持する回転フレーム142と、回転フレーム142を回転駆動
する回転駆動部143と、回転フレーム142を回転可能に支持する支持台144とを備
えている。
【0052】
画像データ生成部150は、架台140のデータ伝送部から出力される投影データを保
存する記憶部151と、当該記憶部151に保存された複数ビューの投影データに基づい
て画像データを生成する再構成部152とを備える。
【0053】
また、画像データ生成部150は、生成した画像データを表示部160に出力する。
【0054】
表示部160は、CRTや液晶パネル等を備え、画像データ生成部150からシステム
制御部180を介して出力された画像データを表示する。
【0055】
また、表示部160は、操作部170からの入力により画像データ上に設定された関心
領域を表示する。
【0056】
操作部170は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウスなどの入力
デバイスや表示パネル、さらには各種スイッチなどを備えたインターラクティブなインタ
ーフェースであり、撮影条件の設定、被検体Pの識別IDなどの被検体情報の入力を行う

【0057】
また、操作部170は、後述する第一の検出器131a及び第二の検出器131bの切替
入力も行う。
【0058】
システム制御部180は、CPUと記憶回路を備え、操作部170からの入力情報を一
旦記憶した後、これらの入力情報に基づいて、投影データの生成、画像データの生成と表
示等に関する制御などシステム全体の制御を行う。
【0059】
次に、X線管121を内包し、X線管121を所定の方向に駆動可能に設置する可動筐体
部200について説明する。
【0060】
図3は、実施の形態に係る可動筐体部200の構造を示す斜視図であり、図4は、図3
に示す可動筐体部200を構成するX線管収納部205の周辺を示す左側面図である。
【0061】
可動筐体部200は、X線管121を収納するX線管収納部201と、X線管収納部20
1をα方向に駆動させるボールナット202及びボールネジ203と、α方向に設けられ
、駆動を補助するLMガイド204と、X線管収納部201に形成され、LMガイド204を
支持するLMガイド204支持部205と、LMガイド204の端部が固定される筐体側壁部
206と、を備える。
【0062】
X線管収納部201は、X線管121を収納し、X線管収納部201の外周側面部には、
ボールナット202及びLMガイド支持部205が設置されている。
【0063】
ボールネジ203は、端部に図示しない動力部、例えば駆動モータを備えている。
【0064】
そして、駆動モータは、ボールネジ203を回転させ、ボールネジ203に噛合わされ
たボールナット202、及びX線管収納部201をα方向へ移動させる。
【0065】
LMガイド204は、X線管収納部201に形成されたLMガイド支持部205上をスライ
ドし、ボールナット202によるX線管収納部201の移動方向を規制する。
【0066】
なお、ボールナット202、ボールネジ203、及びLMガイド支持部205は、X線管
収納部201の両側面にそれぞれ設けてもよく、または、片側一方の面にのみ設けてもよ
い。
【0067】
また、ボールネジ203をX線管収納部201の両側に設ける場合は、駆動モータをそ
れぞれに設けてもよく、または、片側一方のボールネジ203にのみ設けてもよい。
【0068】
さらに、かかるX線管収納部201を駆動する駆動部は、駆動モータの動力を用いたボ
ールネジ203によるものに限らず、例えば、ローラによるベルト駆動を用いるもの、も
しくは、回転力を直線の動きに変換するラック&ピニオンを用いるものであってもよい。
【0069】
その他、ボールナット202及びLMガイド支持部205は、X線管収納部201ではな
く、X線管121に直接設置してもよい。
【0070】
次に、第一の検出器131a及び第二の検出器131bを被検体Pの体軸方向に並べて設
置した場合の、X線管121の焦点距離について説明する。
【0071】
図5は、実施の形態に係る第一の検出器131a及び第二の検出器131bとX線管12
1の焦点との関係を説明する図である。
【0072】
第二の検出器131bは、第一の検出器131aと比較しX線検出器表面から焦点位置ま
での距離が長くなる。
【0073】
そのため、第一の検出器131aの焦点位置に対応しているX線管121を、第二の検出
器131bの焦点位置に対応させるためには、X線管121を、体軸方向(Z方向)及び上
方(Y方向)に移動させる必要がある。
【0074】
図6は、実施の形態に係るX線管121の焦点の移動方向について説明する図である。
【0075】
本実施の形態において、第一の検出器131aの焦点位置及び第二の検出器131bの焦
点位置間のX線管121の移動は、上記可動筐体部200内でのX線管収納部201の移動
により実現する。
【0076】
具体的には、ボールネジ203及びLMガイド204等を、第一の検出器131aの焦点
位置と第二の検出器131bの焦点位置とを直線上に一軸で結ぶ方向(α方向)に沿うよ
うに設置し、第一の検出器131aの焦点位置と第二の検出器131bの焦点位置間の一軸
での移動を可能にする。
【0077】
加えて、X線管収納部201は、X線管収納部201に設置されたLM支持部205及びLM
ガイド204により両側面から支持されるため、X線検出器131に対応する角度を保っ
たまま、左右に傾くことなく移動することができる。
【0078】
なお、第一の検出器131a及び第二の検出器131bの切替は、操作者による操作部1
70からの入力により、行う。
【0079】
本実施の形態の構成により、当該互いに曲率の異なる第一の検出器131a及び第二の
検出器131bを切り替え、光学的拡大率及びFOVの変更が可能なX線CT装置100を得る
ことができる。
【0080】
光学的拡大率の切替が可能になることにより、例えば肺視野の撮影など診断時に高い拡
大率が求められる部位の画像が求められる場合には、拡大率の高い第一の検出器131a
に切り替え撮影することで、より詳細なX線CT画像を得ることができる。
【0081】
また、病変と思われる部位の位置が正確に特定できない場合には、一度、FOVの広い第
二の検出器131bで撮影を行い、CT画像から病変と思われる部位を探し出し、その後、
拡大率の高い第一の検出器131aを用い、より詳細に病変を撮影することも可能となる

【0082】
本実施の形態の構成によれば、X線検出器131の切替によって、ユーザの用途に応じ
た倍率、FOVなどの撮影条件の切替をX線CT装置100一台のみで実現することが可能であ
る。
【0083】
これにより、異なる倍率等のX線CT装置100を二台設置し、撮影を行う場合と比較し
、設置スペースを少なくし、かつ、設備導入のコストを抑えることができる。
【0084】
さらに、異なる撮影条件におけるX線CT画像間に関連がある場合、例えば、一度広範囲
を撮影し、その後、詳細な画像を撮影する場合には、拡大率の異なる二台のX線CT装置1
00によって撮影を行う場合と比較し、画像精度を向上させることができる。
【0085】
具体的には、異なる装置で撮影を行う場合、装置ごとに被検体Pの移動を伴うが、一台
の装置にて撮影をすることにより、移動させる際の体の位置ずれを抑えることができ、か
つ、CT撮影の時間間隔を短くできる点が、より有効である。
【0086】
特に、撮影部位が被検体P内部の臓器である場合は、被検体Pの移動により外形には表れ
ない臓器の位置ずれが起こるため、かかる要因による画像精度の低下を防ぐことができる
点で、有効である。
【0087】
また、X線検出器を切り替えることなくX線管の移動による焦点位置の調整によってのみ
拡大率等を変更する構成と比較すると、本実施の形態は、X線検出器131の検出効率を
低下させない、すなわち、コリメータ板により遮蔽され画像の再構成に寄与しないX線に
よる被検体Pへの不要な被爆を抑えることができる。
【0088】
(変形例)
上記実施の形態では、可動筐体部200に内包されたX線管121のα方向への移動に
より、第一の焦点及び第二の焦点への対応を可能としているが、本変形例は、X線管12
1のY方向への移動、及び第一の検出器131a及び第二の検出器131bのZ方向への移動
により、当該焦点間の変更を可能とするものである。
【0089】
図7は、変形例に係る第一の検出器131a及び第二の検出器131bとX線管121の
焦点との関係を説明する図であり、図8は、変形例に係る実施の形態に係るX線管121
の焦点の移動方向について説明する図である。
【0090】
本変形例では、可動筐体部200内のX線管収納部201側面に設けられたボールネジ
203、LMガイド204、LMガイド支持部205は、Y方向に沿うように形成されている

【0091】
また、第一の検出器131a及び第二の検出器131bには、駆動手段、例えば可動筐体
部200と同様にボールネジ203等がZ方向に沿うように形成されている。
【0092】
かかる構成により、X線管121のY方向への移動、及び第一の検出器131a及び第二
の検出器131bのZ方向への移動を実現し、同様に、X線検出器131の切替によるユー
ザの用途に応じた倍率、FOVなどの撮影条件の切り替えをX線CT装置100一台のみで実現
することが可能である。
【0093】
なお、第一の検出器131a、第二の検出器131b、及び可動筐体部200の移動方向
とは逆方向にバランスウェイト等を設け、それぞれのユニットの移動と連動して動くよう
に構成されてもよい。
【0094】
かかる構成により、回転フレーム142の回転バランスを保つことができる。
【0095】
本実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図して
いない。本実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要
旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形
態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明
とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
100…X線CT装置
110…寝台
120…X線発生部
130…投影データ生成部
131…X線検出器
140…架台
150…画像データ生成部
160…表示部
170…操作部
180…システム制御部
200…可動筐体部
201…X線管収納部
202…ボールナット
203…ボールネジ
204…LMガイド
205…LMガイド支持部
206…筐体側壁部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射するX線管と、
前記被検体を透過した前記X線を検出する第一の検出器と、
前記被検体を透過した前記X線を検出し、前記第一の検出器とは曲率の異なる第二の検
出器と、
前記X線管に設けられた駆動手段と、
前記第一の検出器と前記第二の検出器とを切り替える切替信号を入力する操作部と、を
備え、
前記X線管は、前記駆動手段により、前記操作部からの前記切替信号に基づき、前記第
一の検出器の焦点位置と前記第二の検出器の焦点位置との間を移動可能に構成されている
ことを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
前記第一の検出器及び前記第二の検出器は、複数の検出素子を備え、かつ、前記複数の
検出素子ごとにコリメータ板を備えていることを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置

【請求項3】
前記駆動手段は、
前記X線管を収納するX線管収納部と、
前記X線管収納部を内包する可動筐体部と、
前記可動筐体部の内側側壁部に設けられたボールネジと、
前記ボールネジの端部に接続された動力部と、
前記ボールネジに設置され、前記動力部からの動力を前記X線管収納部に伝えるボー
ルナットと、
前記X線管収納部の外側側面に設けられたLMガイド支持部と、
前記LMガイド支持部により支持され、前記ボールナットの駆動に対応して滑走するLM
ガイドと、
を備えることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記ボールナット、前記LMガイド、及び前記LMガイド支持部は、前記第一の検出器に対
応する前記X線管の焦点位置と、前記第二の検出器に対応する前記X線管の焦点位置との間
を、直線で結ぶ方向に沿うように設置されていることを特徴とする請求項3に記載のX線C
T装置。
【請求項5】
さらに、前記操作部からの前記切替信号に対応し、前記第一の検出器又は前記第二の検
出器から出力された信号に、電流/電圧変換及びA/D変換処理を行なうデータ収集ユニ
ットを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のX線CT装置。
【請求項6】
被検体にX線を照射するX線管と、
前記被検体を透過した前記X線を検出する第一の検出器と、
前記被検体を透過した前記X線を検出し、前記第一の検出器とは曲率の異なる第二の検
出器と、
前記X線管に設けられた第一の駆動手段と、
前記第一の検出器及び第二の検出器に設けられた第二の駆動手段と、
前記第一の検出器と前記第二の検出器とを切り替える切替信号を入力する操作部と、を
備え、
前記X線管は、前記第一の駆動手段により、また、前記第一の検出器及び前記第二の検
出器は、前記第二の駆動手段により、前記入力手段からの前記切替信号に基づき、前記第
一の検出器の焦点位置と前記第二の検出器の焦点位置に対応するように移動可能に構成さ
れていることを特徴とするX線CT装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−231898(P2012−231898A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101679(P2011−101679)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】