説明

Y型ゼオライト及びそれを用いる除湿用部材

【解決課題】遷移金属、亜鉛又はスズを添加したホージャサイト型ゼオライトであって、乾湿繰り返し耐久性に優れるホージャサイト型ゼオライト及び該ゼオライトを用いた除湿用部材並びに該ゼオライトの製造方法を提供することにある。
【解決手段】遷移金属、亜鉛及びスズの中から選ばれる1種又は2種以上の金属の含有量の合計が酸化物換算で5%以上、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの中から選ばれる1種又は2種以上の金属の含有量の合計が1〜10%であり、乾湿繰り返し試験による比表面積の低下率が15%以下であることを特徴とするホージャサイト型ゼオライト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属、亜鉛、スズ、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はマグネシウムを添加したホージャサイト型ゼオライトであって、水分の吸脱着を繰り返した時の吸湿性の維持性能に優れるホージャサイト型ゼオライト及び該ゼオライトを用いる除湿用部材並びに該ゼオライトの製造方法に関する。なお、以下、水分の吸脱着を繰り返した時の吸湿性の維持性能を、乾湿繰り返し耐久性と記載する。
【背景技術】
【0002】
従来、除湿用素子としてホージャサイト型ゼオライト、特にY型ゼオライトが多く使用されていた。これは、該Y型ゼオライトが、A型やX型に比べ、脱湿温度が低く、吸湿速度が速く、且つ脱湿速度が速いので、除湿用素子としての適性を有しているためである。
【0003】
一般に、合成により得られるホージャサイト型ゼオライトは、該ゼオライトの酸点の対イオンとなる陽イオンがナトリウムイオンであるナトリウムホージャサイト型ゼオライトである。その代表的なものとしては、Na56Al56Si136384・xHOの組成を有するナトリウムY型ゼオライトが挙げられる。しかし、該ナトリウムY型ゼオライトは、吸湿速度が速いものの、脱湿温度が高いため、脱湿に要するエネルギーが大きかった。そのため、該ナトリウムY型ゼオライトのナトリウムイオンを遷移金属等にイオン交換し、使用されることがあった。
【0004】
該ナトリウムY型ゼオライトのナトリウムイオンを交換する方法としては、例えば、特開2001−239156号公報には、該Y型ゼオライトを、カリウム又はカルシウム塩等の水溶液に浸漬して、所定の温度、時間でイオン交換することにより、カリウム又はカルシウムを添加したY型ゼオライトを得る方法が開示されている。しかし、該方法では、イオン交換後のカリウム又はカルシウム水溶液にはナトリウムイオンが混在するため、該水溶液中のカリウム又はカルシウムを再生利用することが難しい。また、金属の種類によっては、イオン交換がしにくく交換率が悪いことがある。そのため実用的でない場合も多い。
【0005】
そこで、従来、前記ナトリウムY型ゼオライトを、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩の水溶液に浸漬して、ナトリウムイオンとアンモニウムイオンをイオン交換し、水洗、乾燥後、焼成することにより、アンモニアを除去して水素イオンでイオン交換されたY型ゼオライト得(特開昭61−40817号公報)、次いで、目的とする金属イオンを含有する水溶液又はスラリー等に浸漬することにより、遷移金属等を添加したY型ゼオライトを製造する方法が行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−239156号公報
【特許文献2】特開昭61−40817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記遷移金属等を添加したホージャサイト型ゼオライトは、乾湿繰り返し耐久性が悪いという問題があった。
【0008】
従って、本発明の課題は、遷移金属、亜鉛又はスズを添加したホージャサイト型ゼオライトであって、乾湿繰り返し耐久性に優れるホージャサイト型ゼオライト及び該ゼオライトを用いた除湿用部材並びに該ゼオライトの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、(1)対イオンが水素イオンであるゼオライト中の酸点は、ナトリウムイオンがないため、脱水又は脱アルミニウムを起こし易く、水分の吸脱着を繰り返すと、脱水又は脱アルミニウムによるゼオライト骨格の収縮が起こり、比表面積又は細孔容積が低下し、その結果吸湿量が低下すること、(2)遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンへのイオン交換を行った後に、更にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンでイオン交換することにより、前記酸点を金属イオンで塞ぐことができ、ホージャサイト型ゼオライトの乾湿繰り返し耐久性が向上すること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明(1)は、遷移金属、亜鉛及びスズの中から選ばれる1種又は2種以上の金属の含有量の合計が酸化物換算で5%以上、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの中から選ばれる1種又は2種以上の金属の含有量の合計が酸化物換算で1〜10%であり、乾湿繰り返し試験による比表面積の低下率が15%以下であるホージャサイト型ゼオライトを提供するものである。
【0011】
また、本発明(2)は、シリカアルミナにより構成される酸点に結合している対イオンの全部又は一部が水素イオンであるホージャサイト型ゼオライトを、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンの存在する水溶液又はスラリーに浸漬して、イオン交換反応を行い、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを得る第1イオン交換工程と、該遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンの存在する水溶液又はスラリーに浸漬して、イオン交換反応を行い、残存水素イオンの全部又は一部がアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを得る第2イオン交換工程を行い製造されるホージャサイト型ゼオライトを提供するものである。
【0012】
また、本発明(3)は、前記本発明(1)又は(2)のホージャサイト型ゼオライトが担持されている除湿用部材を提供するものである。
【0013】
また、本発明(4)は、シリカアルミナにより構成される酸点に結合している対イオンの全部又は一部が水素イオンであるホージャサイト型ゼオライトを、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンの存在する水溶液又はスラリーに浸漬して、イオン交換反応を行い、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを得る第1イオン交換工程と、該遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンの存在する水溶液又はスラリーに浸漬して、イオン交換反応を行い、残存水素イオンの全部又は一部がアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを得る第2イオン交換工程を有するホージャサイト型ゼオライトの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のホージャサイト型ゼオライトは、乾湿繰り返し耐久性に優れるので、水分の吸脱着を繰り返しても、水分の吸湿量が低下せず、該ゼオライトを除湿用素子として用いる除湿用部材は、耐久性に優れる。また、本発明のホージャサイト型ゼオライトの製造方法は、本発明のホージャサイト型ゼオライトを製造するのに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のホージャサイト型ゼオライトは、遷移金属、亜鉛及びスズの中から選ばれる1種又は2種以上の金属の含有量の合計が酸化物換算で5%以上、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの中から選ばれる1種又は2種以上の金属の含有量の合計が酸化物換算で1〜10%であり、乾湿繰り返し試験による比表面積の低下率が15%以下である。
【0016】
該ホージャサイト型ゼオライトは、一般にホージャサイト型と呼ばれている骨格構造を有するゼオライトである。また、該ホージャサイト型ゼオライトは、一般式(1);
aM・bL・Al・cSiO (1)
で表すことができ、該一般式(1)中、Mは、遷移金属、亜鉛及びスズの中から選ばれる1種又は2種以上の金属であり、Lは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの中から選ばれる1種又は2種以上の金属である。また、x及びyの値はMの価数により異なり、p及びqの値はLの価数より異なる。例えば、Mが1価の場合は、xの値は2、yの値は1であり、Mが2価の場合は、xの値は1、yの値は1であり、Mが3価の場合は、xの値は2、yの値は3である。Lとp及びqの関係も同様である。また、ax+bpの値は、概ね1.4〜5.0である。また、該ゼオライトのSiO/Alモル比(cの値)は3〜6である。
【0017】
また、ゼオライトがホージャサイト型であることは、X線回折分析を行なって得られる回折パターンにより確認することができる。
【0018】
本発明のホージャサイト型ゼオライトは、好ましくは、Y型と呼ばれる骨格構造を有するゼオライトである。
【0019】
該遷移金属は、長周期表の第3〜11族の金属であれば特に制限されず、好ましくはバナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、ランタン、セリウム、プラセオジム及びネオジムであり、特に好ましくはマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ランタン及びセリウムある。また、該遷移金属は、1種又は2種以上のいずれでもよい。
【0020】
該ホージャサイト型ゼオライトは、該遷移金属、亜鉛又はスズを含有することにより、該ホージャサイト型ゼオライトの吸湿速度と脱湿速度のバランスが良くなる。
【0021】
該遷移金属、亜鉛及びスズの中から選ばれる1種又は2種以上の金属の含有量の合計は、酸化物換算で5%以上であり、好ましくは7%以上である。該合計が5%未満だと、ホージャサイト型ゼオライトの除湿量が低下するか、又は吸湿速度及び脱湿速度のバランスが悪くなる。
【0022】
該アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、特に制限されないが、好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムである。
【0023】
また、該アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの中から選ばれる1種又は2種以上の金属の含有量の合計は、酸化物換算で1〜10%、好ましくは2〜8%である。該合計が、1%未満だと、対イオンが水素イオンである酸点が多くなり、水分の吸脱着の繰り返しにより、脱水又脱アルミニウムを起こし易くなるので、ゼオライトの骨格構造が弱くなる。また、該合計が、10%を超えると、脱湿がし難くなり、吸湿速度と脱湿速度のバランスが悪くなる。
【0024】
ゼオライト中のシリカアルミナにより構成される酸点は、対イオンとして陽イオンを有しているが、それらのうち、対イオンが水素イオンである酸点は、水分の吸脱着を繰り返
すと、ゼオライト骨格からの脱水又は脱アルミニウムを起こし易く、ゼオライト骨格の収縮の原因となる。そのため、対イオンが水素イオンである酸点が多いゼオライトは、骨格収縮に起因するゼオライトの比表面積又は細孔容積の低下を起こし易く、乾湿繰り返し耐久性が悪い。言い換えると、対イオンが水素イオンである酸点が少ないゼオライトは、乾湿繰り返し耐久性が良い。
【0025】
該ゼオライト中のシリカアルミナより構成される酸点に、対イオンとして結合している水素イオンの数は、直接測定され難くいが、該水素イオンが少ないことは、乾湿繰り返し試験による比表面積の低下率が低いことにより、把握することがきる。
【0026】
該ホージャサイト型ゼオライトの乾湿繰り返し試験による比表面積の低下率は、15%以下である。該比表面積の低下率が、15%を超えると、水分の吸脱着を繰り返した時に吸湿性が低下する。なお、該乾湿繰り返し試験とは、該ホージャサイト型ゼオライトを800℃で10分間加熱後、乾燥剤が入れられているデシケーター中で25℃まで冷却し、次いで、25℃、50%RHのデシケーター中に10分間放置するという操作を、100回繰り返す試験である。そして、該乾湿繰り返し試験前及び試験後の該ホージャサイト型ゼオライトの比表面積を測定し、その低下率を求める。そして、該ホージャサイト型ゼオライトは、乾湿繰り返し試験による比表面積の低下率が15%以下と低いことから、該ホージャサイト型ゼオライト中のシリカアルミナより構成される酸点に結合している水素イオンが少ないことがわかる。
【0027】
このように、該ホージャサイト型ゼオライト中、シリカアルミナより構成される酸点に結合している対イオンは、大部分が該遷移金属、亜鉛及びスズの中から選ばれる1種又は2種以上の金属のイオン、又は該アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの中から選ばれる1種又は2種以上の金属のイオンであり、水素イオンは極めて少ない。従って、本発明に係るホージャサイト型ゼオライトは、乾湿繰り返し耐久性に優れる。
【0028】
本発明のホージャサイト型ゼオライトは、シリカアルミナにより構成される酸点に結合している対イオンの全部又は一部が水素イオンであるホージャサイト型ゼオライトを、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンの存在する水溶液又はスラリーに浸漬して、イオン交換反応を行い、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを得る第1イオン交換工程と、該遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンの存在する水溶液又はスラリーに浸漬して、イオン交換反応を行い、残存水素イオンの全部又は一部がアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを得る第2イオン交換工程を行い製造することができる。
【0029】
該第1イオン交換工程において、イオン交換されるホージャサイト型ゼオライトは、シリカアルミナにより構成される酸点に結合している対イオンの全部又は一部が水素イオンであるホージャサイト型ゼオライト(以下、H−ホージャサイト型ゼオライトと記載する。)である。通常、ホージャサイト型ゼオライトは、酸点の対イオンがナトリウムイオンであるナトリウムホージャサイト型ゼオライト(以下、Na−ホージャサイト型ゼオライトと記載する。)として合成される。そして、該Na−ホージャサイト型ゼオライトを、例えば、塩化アンモニウム水溶液に浸漬し、ナトリウムイオンとアンモニウムイオンのイオン交換を行った後、乾燥、更に焼成することにより、H−ホージャサイト型ゼオライトを得ることができる。
【0030】
該H−ホージャサイト型ゼオライトは、Na−ホージャサイト型ゼオライトから製造される場合、ナトリウム含有量が、酸化物換算で0〜5%であり、SiO/Al
ル比が3〜6である。また、該H−ホージャサイト型ゼオライトが、シリカアルミナにより構成される酸点に結合している対イオンがナトリウム以外の金属であるホージャサイト型ゼオライトから製造される場合、該ナトリウム以外の金属の含有量が酸化物換算で0〜10%であり、SiO/Alモル比が3〜6である。また、該H−ホージャサイト型ゼオライトは、金属以外に、硫黄原子を含有してもよい。この場合の硫黄原子の含有量は、SO換算で1%以下である。
【0031】
また、該H−ホージャサイト型ゼオライトは、担体に担持されたものであってもよい。該担体としては、特に制限されないが、例えば、後記する多孔質等が挙げられる。
【0032】
該第1イオン交換工程において、イオン交換を行なう金属イオンは、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンのうちの1種又は2種以上のいずれでもよい。また、該遷移金属イオンは、前記した本発明のホージャサイト型ゼオライトに含有される遷移金属と同じ金属のイオンである。
【0033】
該第1イオン交換工程において、イオン交換反応は、遷移金属塩、亜鉛化合物塩又はスズ化合物塩、例えば、水酸化物塩、塩化物塩、硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩等を水に添加し、該金属イオンの存在する水溶液又はスラリーを調製し、該水溶液又はスラリーに、前記H−ホージャサイト型ゼオライトを浸漬することにより行う。該遷移金属塩、亜鉛化合物塩又はスズ化合物塩は、1種又は2種以上のいずれであってもよく、2種以上の場合は、同じ種類の金属の塩であっても、異なる種類の金属の塩であってもよい。該水溶液又はスラリーの濃度は、特に制限されないが、0.01〜10mol/Lが、イオン交換反応が速やかに起こる点で好ましい。該イオン交換反応におけるpHは、特に制限されないが、3以上の弱酸性又はアルカリ性が好ましい。該pHが3未満だと、酸による結晶構造の破壊が起こり易くなる。また、反応温度は、室温〜100℃である。室温未満だと、イオン交換反応の反応速度が遅く、100℃を超えると、水の沸点以上なので、圧力容器等を用いなければならず、反応が煩雑になる。反応時間は、反応温度により異なるが、概ね10分〜24時間である。また、イオン交換を行った後、必要に応じて、水洗、乾燥、焼成を行うことができる。該乾燥を行う温度は、通常90〜200℃であり、焼成を行う温度は、通常400〜600℃である。また、第1イオン交換工程は、複数回繰り返すことができ、各回同じ金属イオンでイオン交換してもよいし、異なる金属イオンでイオン交換してもよい。
【0034】
該第1イオン交換工程を行うことにより、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライト(以下、第1イオン交換ホージャサイト型ゼオライトと記載する。)を得ることができる。
【0035】
該第2イオン交換工程は、H−ホージャサイト型ゼオライトに代えて、前記第1イオン交換ホージャサイト型ゼオライトとし、イオン交換する金属イオンを遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンに代えて、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンとすること以外は、第1イオン交換工程と同様であるので、第1イオン交換工程と同様の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。また、該アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンは、1種又は2種以上のいずれであってもよい。
【0036】
該第2イオン交換工程において、イオン交換を行なう金属イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンであれば特に制限されないが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンが、半径が小さいので、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されずに残存している水素イオン(以下、残存水素イオンと記載する。)が存在する酸点へ入
り込み易く、該残存水素イオンとイオン交換し易い点で好ましい。
【0037】
該第2イオン交換工程において、イオン交換反応に用いるアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はマグネシウム化合物塩は、例えば、水酸化物塩、塩化物塩、硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩等であり、具体的には、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸水素マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、硫酸リチウム、硫酸水素リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、硫酸カルシウム、硫酸水素カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸水素ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、炭酸水素ストロンチウム等が挙げられる。
【0038】
当該第2イオン交換工程を行うことにより、第1イオン交換ホージャサイト型ゼオライト中に存在する残存水素イオンの全部又は一部が、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンで交換されたホージャサイト型ゼオライト(以下、第2イオン交換ホージャサイト型ゼオライトと記載する。)を得ることができる。
【0039】
該第2イオン交換ホージャサイト型ゼオライトの遷移金属、亜鉛及びスズの含有量の合計は、酸化物換算で5%以上であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの含有量の合計は、酸化物換算で1〜10%である。また、該ホージャサイト型ゼオライトの乾湿繰り返し試験による比表面積の低下率は15%以下である。
【0040】
該第2イオン交換工程は、該第1イオン交換工程で遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンに交換されなかった残存水素イオンを、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンでイオン交換することができるので、対イオンが水素である酸点を極めて少なくすることができる。従って、第1イオン交換工程及び第2イオン交換工程を行い製造されるホージャサイト型ゼオライトは、水分の吸脱着を繰り繰り返しても、脱水又は脱アルミニウムによる骨格収縮が少なく、比表面積又は細孔容積が低下し難く、乾湿繰り返し耐久性に優れている。
【0041】
本発明のホージャサイト型ゼオライトは、吸湿速度と脱湿速度のバランスが良いので、担体に除湿用素子が担持されている除湿用部材の該除湿用素子として好適に用いることができる。
【0042】
該除湿用部材は、担体に担持された前記H−ホージャサイト型ゼオライトを用いて、前記第1イオン交換工程及び第2イオン交換工程を行うことにより、製造することができる
当該担体は、ホージャサイト型ゼオライトを担持することができる多孔質体であれば特に制限されず、好ましくは、ハニカム構造担体であり、特に好ましくは、特開昭59−10345号公報に記載されている高空隙率の無機繊維製紙により構成されるものである。該無機繊維製紙は、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維又はガラス繊維等の無機繊維により製造され、且つ70〜95%の高空隙率を有するものが好ましい。
【0043】
当該担体に担持されている前記H−ホージャサイト型ゼオライトを製造する方法としては、特に制限されず、常法により行うことができる。例えば、Na−ホージャサイト型ゼオライトを、シリカゾル、アルミナゾル又はチタニアゾル等の無機質結合剤と共に水に懸濁させた懸濁液を調製し、該懸濁液に担体を浸漬するか、又は担体に該懸濁液を塗工することにより、ホージャサイト型ゼオライトを担体に十分に吸収させ、過剰の懸濁液を除去した後、乾燥して、固定させ、担体に担持されたNa−ホージャサイト型ゼオライトを得
る。この時、使用する無機質結合剤の量は、担体の表面に固定するのに必要最小限度とすることが、該無機質結合剤の硬化物がホージャサイト型ゼオライトの表面を覆うことによる該ホージャサイト型ゼオライトの吸湿性能の低下を少なくできる点で好ましい。次に、担体に担持されたNa−ホージャサイト型ゼオライトを、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩の水溶液に浸漬して、ナトリウムイオンとアンモニウムイオンをイオン交換し、水洗、乾燥後、焼成することにより、アンモニアを除去して、担体に担持されている前記H−ホージャサイト型ゼオライトを得ることができる。
【0044】
また、当該除湿用部材は、本発明のホージャサイト型ゼオライトを前記担体に担持することによっても、製造することができる。担持する方法は、前記Na−ホージャサイト型ゼオライトを担体する方法と同様の方法により行うことができる。
【0045】
本発明のホージャサイト型ゼオライトは、ハニカム構造体に除湿剤を担体して構成されているハニカムローターの該除湿剤として、用いることができる。該ハニカムローターは、被処理空気の除湿を行なう除湿ゾーン、該除湿剤の再生を行う再生ゾーン及び再生ゾーンで加熱されたハニカムローターを冷却する冷却ゾーンに分割されており、該ハニカムローターが回転することにより、該除湿剤が該除湿ゾーン、該再生ゾーン及び該冷却ゾーンを順に移動する。
【0046】
本発明のホージャサイト型ゼオライトの製造方法は、第1イオン交換工程及び第2イオン交換工程を有するホージャサイト型ゼオライトの製造方法であるが、第1イオン交換工程、第2イオン交換工程及び第1イオン交換工程に用いるH−ホージャサイト型ゼオライトは、前記したものと同様である。
【0047】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0048】
(水素イオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトの調製)
Y型ゼオライトの酸点の対陽イオンがナトリウムイオンであり、SiO含有率が63%、Al含有率が24%、NaO含有率が13%である合成Y型ゼオライト(以下、Na−Y型ゼオライトAと記載する。)を、10%の塩化アンモニウム水溶液に、室温で2時間浸漬した。該Y型ゼオライトをろ別後、110℃で1時間乾燥し、更に500℃で1時間焼成した。この塩化アンモニウム水溶液への浸漬から500℃での焼成までの工程を更に2回行い、水素イオン交換されたY型ゼオライト(以下、H−Y型ゼオライトBと記載する。)を得た。
【0049】
(第1イオン交換工程)
上記のようにして得たH−Y型ゼオライトBを、0.2mol/Lの塩化ランタン水溶液に、80℃で2時間浸漬した。該Y型ゼオライトをろ別及び水洗し、110℃で1時間乾燥し、更に500℃で1時間焼成し、ランタンイオンでイオン交換されたY型ゼオライト(以下、第1イオン交換Y型ゼオライトCと記載する。)を得た。
【0050】
(第2イオン交換工程)
第1イオン交換工程により得た第1イオン交換Y型ゼオライトCを、0.5mol/Lの塩化リチウム水溶液に、80℃で12時間浸漬した。該Y型ゼオライトをろ別及び水洗後、200℃で2時間乾燥し、ランタンイオン及びリチウムイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライト(以下、第2イオン交換Y型ゼオライトDと記載する。)を得た。得られた第2イオン交換Y型ゼオライトDの組成は、SiO含有率が63%、Al含有率が24%、NaO含有率が3%、La含有率が8%、LiO含有
率が2%であった。
【0051】
(乾湿繰り返し試験による比表面積の低下率の測定)
第2イオン交換工程により得た第2イオン交換Y型ゼオライトDを自動昇降炉中、800℃で10分間加熱後、乾燥剤が入れられているデシケーター中で25℃まで冷却し、次いで、25℃、50%RHのデシケーター中に10分間放置するという操作を、100回繰り返し、乾湿繰り返し試験を行った。その結果、第2イオン交換Y型ゼオライトDの比表面積は、試験前が753m/gであり、試験後は681m/gであった。この時、比表面積の低下率は、9.6%であった。
【0052】
(乾湿繰り返し耐久性の評価)
次に、該乾湿繰り返し試験前及び試験後の第2イオン交換Y型ゼオライトDの吸湿速度を測定し、該乾湿繰り返し試験前後の該吸湿速度の変化量より、乾湿繰り返し耐久性の評価を行った。該吸湿速度の測定は、200℃で1時間加熱後、乾燥剤が入れられているデシケーター中で25℃まで冷却した該第2イオン交換Y型ゼオライトD 1gを、25℃、50%RHの空気中に設置された天秤に載せる。5秒に1回重量を測定し、該重量測定を10分間行う。次に、5秒間隔で行う重量測定ごとに、前の重量測定からの重量の増加量を計算し、測定間隔(5秒)で除して、単位時間当たりの重量変化量(mg/秒)を算出する。10分間に行った全ての重量測定毎に重量変化量を算出し、それらの平均値(mg/秒)を求める。そして、該平均値を、該第2イオン交換Y型ゼオライトDの重量 1gで除して、1g当りの吸湿速度(mg/秒)とする。該第2イオン交換Y型ゼオライトDの吸湿速度は、試験前は、25℃、50%RHの空気中で、1g当り0.26mg/秒であり、試験後も0.26mg/秒と変化がなかった。
【実施例2】
【0053】
0.2mol/Lの塩化ランタン水溶液に代えて、0.5mol%/Lの塩化ランタン水溶液とし、0.5mol/Lの塩化リチウム水溶液に代えて、0.5mol/Lの塩化ナトリウム水溶液とする以外は、実施例1と同様の方法で行い、第2イオン交換Y型ゼオライトEを得た。得られた第2イオン交換Y型ゼオライトEの組成は、SiO含有率が63%、Al含有率が24%、NaO含有率が5%、La含有率が8%であった。第2イオン交換Y型ゼオライトEの比表面積は、乾湿繰り返し試験前が733m/gであり、試験後は675m/gであった。この時、比表面積の低下率は、7.9%であった。また、第2イオン交換Y型ゼオライトEの吸湿速度は、乾湿繰り返し試験前は1g当り0.26mg/秒、試験後も0.26mg/秒と変化がなかった。
【実施例3】
【0054】
シリカアルミナ繊維製紙(厚さ0.2mm、空隙率90%)により構成され、幅3.0mm、高さ1.6mmのセルを有するのハニカム構造担体(ニチアス株式会社製、商品名:ハニクル)を100mm×100mm×100mmの大きさに切り出し、担体とした。この時、切り出したハニカム構造担体の重量は、11.2gであった。
【0055】
実施例1で用いたNa−Y型ゼオライトAを90重量部、シリカゾル(固形分30重量%、日産化学社製、商品名スノーテックス)30重量部、及び水130重量部を混合し、スラリーを調製した。得られたスラリー中に、上記ハニカム構造担体を浸漬した後、過剰のスラリーの除去、乾燥を行い、ハニカム担持Na−Y型ゼオライトを得た。
【0056】
得たハニカム担持Na−Y型ゼオライトを、10%の塩化アンモニウム水溶液に、室温で2時間浸漬後、ハニカム担持Y型ゼオライトを取り出し、水洗し、110℃で1時間乾燥、更に500℃で1時間焼成を行った。この10%の塩化アンモニウム水溶液への浸漬から、500℃での焼成までの操作を、更に2回行い、ハニカム担持水素イオン交換Y型
ゼオライト(以下、ハニカム担持H−Y型ゼオライトと記載する。)を得た。
【0057】
次に、得たハニカム担持H−Y型ゼオライトを、0.2mol/Lの塩化ランタン水溶液に、80℃で2時間浸漬した。ハニカム担持Y型ゼオライトを取り出し、ろ別、水洗し、110℃で1時間乾燥し、更に500℃で1時間焼成し、ランタンイオンでイオン交換されたハニカム担持Y型ゼオライト(以下、ハニカム担持第1イオン交換Y型ゼオライトと記載する。)を得た。
【0058】
次に、得たハニカム担持第1イオン交換Y型ゼオライトを、0.5mol/Lの塩化リチウム水溶液に、80℃で12時間浸漬した。ハニカム担持Y型ゼオライトを取り出し、水洗後、200℃で2時間乾燥し、ランタンイオン及びリチウムイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトが、上記ハニカム構造担体に担持されたハニカム担持Y型ゼオライト(以下、ハニカム担持第2イオン交換Y型ゼオライトと記載する。)を得た。この時、ハニカム構造担体に対する第2イオン交換Y型ゼオライトの担持量は、2.5g/ハニカム構造担体1gであった。また、ハニカム構造担体中の第2イオン交換Y型ゼオライトは、組成が、SiO含有率が63%、Al含有率が24%、NaO含有率が3%、La含有率が8%、LiO含有率が2%であった。実施例1と同様の方法で、乾湿繰り返し試験を行なったところ、該ハニカム担持第2イオン交換Y型ゼオライトが担持されているハニカム全体の比表面積は、試験前が426m/gであり、試験後は394m/gであった。この時、比表面積の低下率は、7.5%であった。
【0059】
該ハニカム担持第2イオン交換Y型ゼオライトの乾湿繰り返し耐久性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、吸湿速度は、ハニカム構造担体に担持されている第2イオン交換Y型ゼオライト1g当たり、試験前は0.26mg/秒、試験後も0.26mg/秒と変化がなかった。
【0060】
(比較例1)
第2イオン交換工程を行わないこと以外は、実施例1と同様の方法で行い、ランタンでイオン交換されたLa−Y型ゼオライトFを得た。得られたLa−Y型ゼオライトFの組成は、SiO含有率が64%、Al含有率が25%、La含有率が8%、NaO含有率が3%であった。乾湿繰り返し試験前のLa−Y型ゼオライトFの比表面積は、721m/gであり、試験後の比表面積は519m/gであった。この時、比表面積の低下率は、28%であった。また、乾湿繰り返し試験前のLa−Y型ゼオライトFの吸湿速度は、1g当り0.26mg/秒、試験後の吸湿速度は0.18mg/秒であった。
【実施例4】
【0061】
0.2mol/Lの塩化ランタン水溶液に代えて、0.6mol/Lの塩化コバルト(II)(CoCl)水溶液を用い、0.5mol/Lの塩化リチウム水溶液に代えて、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いる以外は、実施例1と同様の方法で行い、第2イオン交換Y型ゼオライトGを得た。得た第2イオン交換Y型ゼオライトGの組成は、SiO含有率が62%、Al含有率が23%、NaO含有率が4%、Co含有率が11%であった。乾湿繰り返し試験前の第2イオン交換Y型ゼオライトGの比表面積は、681m/gであり、試験後の比表面積は647m/gであった。この時、比表面積の低下率は、5.0%であった。また、乾湿繰り返し試験前の第2イオン交換Y型ゼオライトGの吸湿速度は、1g当り0.25mg/秒、試験後の吸湿速度も0.25mg/秒と変化がなかった。
【実施例5】
【0062】
0.2mol/Lの塩化ランタン水溶液に代えて、1.7mol/Lの塩化マンガン(
II)(MnCl)水溶液を用い、0.5mol/Lの塩化リチウム水溶液に代えて、0.5mol/Lの水酸化カリウム水溶液を用いる以外は、実施例1と同様の方法で行い、第2イオン交換Y型ゼオライトHを得た。得た第2イオン交換Y型ゼオライトHの組成は、SiO含有率が64%、Al含有率が25%、NaO含有率が3%、MnO含有率が6%、KO含有率が2%であった。乾湿繰り返し試験前の第2イオン交換Y型ゼオライトHの比表面積は、654m/gであり、試験後の比表面積は615m/gであった。この時、比表面積の低下率は、6.0%であった。また、乾湿繰り返し試験前の第2イオン交換Y型ゼオライトHの吸湿速度は、1g当り0.25mg/秒、試験後の吸湿速度も0.25mg/秒と変化がなかった。
【0063】
実施例1〜5のY型ゼオライトは、乾湿繰り返し試験前後で、吸湿速度に変化はなく、乾湿繰り返し耐久性に優れていることがわかった。一方、比較例1のY型ゼオライトは、乾湿繰り返し試験後の吸湿速度の低下が大きく、乾湿繰り返し耐久性が悪いことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属、亜鉛及びスズの中から選ばれる1種又は2種以上の金属の含有量の合計が酸化物換算で5%以上、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの中から選ばれる1種又は2種以上の金属の含有量の合計が酸化物換算で1〜10%であり、乾湿繰り返し試験による比表面積の低下率が15%以下であることを特徴とするホージャサイト型ゼオライト。
【請求項2】
前記遷移金属が、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、ランタン、セリウム、プラセオジム及びネオジムであることを特徴とする請求項1記載のホージャサイト型ゼオライト。
【請求項3】
シリカアルミナにより構成される酸点に結合している対イオンの全部又は一部が水素イオンであるホージャサイト型ゼオライトを、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンの存在する水溶液又はスラリーに浸漬して、イオン交換反応を行い、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを得る第1イオン交換工程と、該遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンの存在する水溶液又はスラリーに浸漬して、イオン交換反応を行い、残存水素イオンの全部又は一部がアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを得る第2イオン交換工程を行い製造されることを特徴とするホージャサイト型ゼオライト。
【請求項4】
前記アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンが、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン又はカルシウムイオンであることを特徴とする請求項3記載のホージャサイト型ゼオライト。
【請求項5】
担体に、前記請求項1〜4記載のホージャサイト型ゼオライトが担持されていることを特徴とする除湿用部材。
【請求項6】
前記担体が、ハニカム構造担体であることを特徴とする請求項5記載の除湿用部材。
【請求項7】
シリカアルミナにより構成される酸点に結合している対イオンの全部又は一部が水素イオンであるホージャサイト型ゼオライトを、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンの存在する水溶液又はスラリーに浸漬して、イオン交換反応を行い、遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを得る第1イオン交換工程と、該遷移金属イオン、亜鉛イオン又はスズイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンの存在する水溶液又はスラリーに浸漬して、イオン交換反応を行い、残存水素イオンの全部又は一部がアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はマグネシウムイオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトを得る第2イオン交換工程を有することを特徴とするホージャサイト型ゼオライトの製造方法。
【請求項8】
前記シリカアルミナにより構成される酸点に結合している対イオンの全部又は一部が水素イオンであるホージャサイト型ゼオライトが、ハニカム構造担体に担持されている水素イオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライトであることを特徴とする請求項7記載のホージャサイト型ゼオライトの製造方法。

【公開番号】特開2010−42996(P2010−42996A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260072(P2009−260072)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【分割の表示】特願2004−207326(P2004−207326)の分割
【原出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】