説明

コンロバーナ

【課題】バーナヘッド径を大きくせずに炎口面積を大きくして加熱能力を高くするとともに、炎口の上下方向における混合気の噴出分布を均一にして火炎の安定化を図ったコンロバーナを提供すること。
【解決手段】バーナ本体12に略円盤状のバーナヘッド14が装着されるコンロバーナのバーナ本体上面12aとバーナヘッド下面14aとの間に、バーナ本体12に供給される混合気を噴出させる複数の炎口24が上下方向に幅広に設けられるとともに、バーナヘッド下面14aの中心部に、上記混合気の動圧を緩衝する略柱状の凸部26が立設されたコンロバーナ10とする。複数の炎口24は、バーナヘッド下面14aに外周方向に向けて放射状に設けられた複数の区画壁20により形成され、区画壁20の高さH1は、区画壁20と区画壁20との間の距離L1より大きく、例えばその距離に対して2倍から3倍の範囲の大きさとなることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロバーナに関し、さらに詳しくは、テーブルコンロ等のガス燃焼調理器に好適に用いられるコンロバーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テーブルコンロ等のガス燃焼調理器に使用されるコンロバーナには、例えば図5に示されるものなどが知られている。図示されるコンロバーナ50は、ガス供給手段(図示せず)から供給される燃料ガスと燃焼用空気とからなる混合気が通過する混合管56に接続されるバーナ本体52と、このバーナ本体52の上に載置されるバーナヘッド54とで構成されている。
【0003】
バーナヘッド54は、略円盤状に形成され、その下面54aには、複数のスリット溝60が外周方向に放射状に形成されている。このバーナヘッド54がバーナ本体52の上に載置されると、バーナヘッド下面54aに形成されたスリット溝60とバーナ本体上面52aとによりガス通路62が形成され、そのガス通路62の外周に炎口64が形成される。
【0004】
このコンロバーナ50にガス供給手段(図示せず)から燃料ガスが供給されると、燃焼用空気と合わさって混合気となり、この混合気が混合管56を通ってガス通路62に運ばれ、炎口64から噴出される。このとき、点火手段(図示せず)により炎口64に点火すると、コンロバーナ50の外周で円形状に火炎が形成される。
【0005】
このような構成のコンロバーナは、コンロバーナに供給可能な燃料ガスの量により加熱能力が決まる。例えば空燃比を変えずにコンロバーナに供給可能となる燃料ガスの量が多くなれば、火力が上がるため、加熱能力を高くすることができる。
【0006】
そして、ガス燃焼調理器を使用して調理する際において、例えば、被調理物の性質(例えば、加熱されにくいもの)や調理方法(例えば、中華料理など強い火力が必要な調理方法)などに合わせて、コンロバーナの定格能力を変えたい場合がある。
【0007】
この場合、例えばバーナヘッド径を大きくしてコンロバーナの炎口面積を大きくすると、炎口からの混合気の噴出量が多くなるので、空燃比を変えることなく、コンロバーナへの燃料ガスの供給量を増やすことができる。そして、燃料ガスの供給量を増やすことにより、炎口で形成される火炎の火力を上げて、加熱能力(定格)を高くすることができる。
【0008】
【特許文献1】実公平2−12439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、コンロバーナのバーナヘッド径を大きくすると、コンロバーナが大きくなるため、コンロバーナを設置するガス燃焼調理器も大きくならざるを得ない。これにより、ガス燃焼調理器の製造コストが高くなってしまう。また、ガス燃焼調理器を設置するスペースには制約があるため、ガス燃焼調理器の大きさを自由に変えることはできない。そのため、コンロバーナのバーナヘッド径を大きくすることができない場合がある。
【0010】
そこで、図6に示されるコンロバーナ70のように、バーナヘッド74の直径を大きくせずに、コンロバーナ70の炎口84の上下方向の幅H2を従来よりも広くして、炎口面積を大きくすることも考えられる。
【0011】
しかしながら、炎口の上下方向の幅を広くすると、混合管からバーナ本体を通って流れてきた混合気は、その動圧が高いために、炎口の上側に流れやすくなる。そのため、炎口の上側と下側とで混合気の分布が均一にならないという問題があった。これにより、炎口の下側よりも上側に混合気が過剰に供給されて、炎口から噴出される火炎がリフトしやすくなる(火炎が安定しない)という問題があった。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、バーナヘッド径を大きくせずに炎口面積を大きくして加熱能力を高くするとともに、炎口の上下方向における混合気の噴出分布を均一にして火炎の安定化を図ったコンロバーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明に係るコンロバーナは、バーナ本体に略円盤状のバーナヘッドが装着されるコンロバーナであって、前記バーナ本体上面と前記バーナヘッド下面との間に、前記バーナ本体に供給される混合気を噴出させる複数の炎口が上下方向に幅広に設けられるとともに、前記バーナヘッド下面の中心部に、前記バーナ本体に供給される混合気の動圧を緩衝する略柱状の凸部が立設されることを要旨とするものである。
【0014】
この場合、前記複数の炎口は、前記バーナ本体上面または前記バーナヘッド下面に外周方向に向けて放射状に設けられた複数の区画壁により形成され、これら複数の区画壁の高さは、区画壁と区画壁との間の距離より大きいことが好ましい。
【0015】
そして、前記区画壁の高さは、前記区画壁と区画壁との間の距離に対して、2倍から3倍の範囲の大きさとなることが好ましい。
【0016】
さらに、前記略柱状の凸部は、その先端に、前記バーナ本体に供給される混合気を周方向に均一に分布させる傾斜面が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るコンロバーナによれば、バーナ本体上面とバーナヘッド下面との間に、このバーナ本体に供給される混合気を噴出させる複数の炎口が上下方向に幅広に設けられることから、上下方向に炎口面積を大きくすることができる。そのため、炎口面積を大きくするのにバーナヘッド径を大きくする必要がない。
【0018】
そして、炎口面積を大きくすることにより、炎口からの混合気の噴出量が多くなるので、空燃比を変えることなく、コンロバーナへの燃料ガスの供給量を増やすことができる。これにより、コンロバーナの火力が上がるため、コンロバーナの加熱能力を高くすることができる。
【0019】
また、バーナヘッド下面の中心部に、このバーナ本体に供給される混合気の動圧を緩衝する略柱状の凸部が立設されることから、バーナ本体に供給される混合気が炎口から噴出される前にこの略柱状の凸部と衝突して、混合気の動圧が緩衝される。これにより、バーナ本体に供給される混合気が上下方向に幅広に設けられた炎口の上側に特に流れやすくなることはなくなり、炎口の上側と下側とで混合気の分布を均一にすることができる。その結果、炎口から噴出される火炎のリフトを防止して、火炎の安定化を図ることができる。
【0020】
この場合、複数の炎口がバーナ本体上面またはバーナヘッド下面に外周方向に向けて放射状に設けられた複数の区画壁により形成され、これら複数の区画壁の高さが区画壁と区画壁との間の距離より大きいものであると、従来のコンロバーナの炎口は、複数の区画壁の高さが区画壁と区画壁との間の距離とほぼ同じくらいに形成されているものが多いため、これと比べて、バーナヘッド径を大きくせずに炎口面積を大きくして加熱能力を高くすることができる。加えて、プレス加工によるバーナ本体の成形加工や、鋳造、ダイカスト等の射出成形によるバーナヘッドの成形加工などにより、上記区画壁を容易に形成することができるので、上下方向に幅広な炎口を容易に形成することができる。
【0021】
そして、区画壁と区画壁との間の距離に対して区画壁の高さを、2倍から3倍の範囲の大きさとなるようにすると、バーナヘッド径を大きくせずに、確実に炎口面積を大きくして加熱能力を高くすることができる。
【0022】
さらに、略柱状の凸部の先端に、バーナ本体に供給される混合気を周方向に均一に分布させる傾斜面が形成されていると、コンロバーナの外周に形成された複数の炎口のうちの一部に過剰に混合気が供給されることはなく、コンロバーナの周方向における混合気の噴出分布を均一にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係るコンロバーナの一実施形態を表す断面図(a)および正面図とその一部拡大図(b)である。図2は、図1に示されるコンロバーナのバーナヘッドを表す底面図である。図3は、図1に示されるコンロバーナに混合気を供給したときの混合気の流れを時系列で示す図である。図4は、他の実施形態に係るコンロバーナの断面図である。
【0024】
図1に示されるように、本実施形態に係るコンロバーナ10は、バーナ本体12と、このバーナ本体12上に載置されるバーナヘッド14とから構成される。バーナ本体12からバーナヘッド14を取り外せば、これらは容易に分離できる構成となっている。
【0025】
バーナ本体12は、例えば板金などの薄板をプレス加工等することにより形成される。バーナ本体12は、燃料供給部(図示せず)と接続され、燃料供給部(図示せず)より供給される燃料ガスと一次空気とを混合させる混合管16と、この混合管16の下流側に延設形成され、供給されてきた混合気を環状に分布させてからバーナヘッド14に送る混合室18とで構成される。混合室18は混合管16よりも開口径が大きくなるように形成されているため、混合管16と混合室18との境界には、混合管16よりも混合室18の方が広くなる段差が設けられている。混合室18の上部は開口しており、その外周方向にバーナ本体上面12aが延設形成されている。このバーナ本体上面12aは、外周方向へ向かって上方に傾斜した斜状平滑面となっている。
【0026】
バーナヘッド14は、例えば鍛造品や鋳造品、ダイキャスト品などからなる一体成形品を例示することができる。図2(底面図)によりその構造を示すと、略円盤状のバーナヘッド14の下面14aに、このバーナヘッド14がバーナ本体12上に載置されたときに形成されるバーナ本体12とバーナヘッド14との間の空間を区画する複数の区画壁20、20・・・が立設されている。
【0027】
区画壁20は、バーナヘッド14の中心側の端縁20aが、バーナヘッド14の中心から等距離(所定距離)に位置し、バーナヘッド14の外周側の端縁20bが、バーナヘッド14の外周端縁14bよりも内側の位置で中心から等距離(所定距離)に位置するように形成されている。そして、これら複数の区画壁20、20・・・は、一定の間隔を空けて等間隔に配置され、それぞれバーナヘッド14の外周方向に放射状に延びる形となっている。この区画壁20と区画壁20とで区画された空間によりガス通路22が形成され、ガス通路22の外周側端縁が炎口24となる。
【0028】
そして、図1(a)に示されるように、区画壁20の下部端面20cは、バーナヘッド14がバーナ本体12上に載置されたときにバーナ本体上面12aと区画壁20の下部端面20cとが密接されるように、バーナ本体上面12aの傾斜に合わせて外周方向へ向かって上方に傾斜している。
【0029】
区画壁20は、図1(b)に示されるように、区画壁20と区画壁20との間の距離L1よりも区画壁20の高さH1を大きくして、炎口24を上下方向に幅広にしている。従来のコンロバーナは、炎口の上下方向の幅が円周方向の幅とほぼ同じ程度の広さにされていることが多いので、バーナヘッド径が同じときは、炎口の円周方向の幅も同じになる。そのため、上下方向を幅広にしている分、炎口面積を大きくすることができる。このとき、区画壁20の高さH1は、区画壁20と区画壁20との間の距離L1に対して、2倍から3倍の範囲の大きさとなることが好ましい。
【0030】
さらに、図1(a)に示されるように、略円盤状のバーナヘッド14の下面14a中心部から、略円柱状の凸部26が立設されている。この凸部26は、バーナ本体12に供給される混合気の動圧を緩衝する機能を有する。そのため、下方から供給された混合気が衝突されるように、この凸部26の先端26aを混合室18の開口付近に配置させると良い。なお、この凸部26の長さや直径は、特に限定されるものではないが、あまり短いと、下方から供給される混合気の動圧を緩衝する効果が半減する。また、長すぎるか、太すぎて混合気の流通を阻害することのないよう、適度な長さ、直径にすれば良い。
【0031】
次に、本実施形態に係るコンロバーナ10の作用について、従来のコンロバーナの作用と比較しつつ説明する。なお、図中の矢印は、混合気の流れを示すものである。
【0032】
まず、従来のコンロバーナの作用について説明する。なお、従来のコンロバーナとして、炎口が上下方向に幅広となっていないものについて比較説明しても良いが、本実施形態に係るコンロバーナ10の炎口24において、混合気が均一分布される効果をより一層明らかにするため、ここでは、炎口が上下方向に幅広となっているものについて比較説明する。
【0033】
図6(a)(b)に示されるように、コンロバーナ70は、コンロバーナ10のバーナ本体12と同じ形状のバーナ本体72と、バーナヘッド14と形状の異なるバーナヘッド74とからなる。このバーナヘッド74は、その下面74aに凹部74bが形成されており、コンロバーナ10と異なり、供給される混合気の動圧を緩衝する略柱状の凸部は設けられていない。コンロバーナ70には、複数の区画壁80、80・・・によりガス通路82が形成され、ガス通路の外周側端縁に炎口84が形成されている。この炎口84は、コンロバーナ10の炎口24と同様、上下方向に幅広(上下方向の幅H2>円周方向の幅L2)に形成されて、炎口面積を大きくしている。
【0034】
そして、図7(a)に示されるように、燃料供給部(図示せず)からの燃料ガスと一次空気とからなる混合気がコンロバーナ70の混合管76に供給されると、図7(b)に示されるように、混合管76を通って混合室78に運ばれる。このとき、供給された混合気の一部は、バーナヘッド下面の凹部74bに衝突してその動圧が抑えられることがあるが、図示されるもののように、炎口に傾斜(斜め上側に)がついているものは特に、供給された混合気のほとんどは、勢いが強いまま混合室78からガス通路82に向かい、ガス通路82を通って炎口84へと流れやすくなる。その結果、図7(c)に示されるように、上下方向に幅広に形成された炎口84の下側よりも上側に過剰に混合気が流れることがある。そして、炎口84の上側と下側とで混合気の分布に差が生じる。
【0035】
次いで、図7(d)に示されるように、点火手段(図示せず)により炎口84に点火することにより炎口84から火炎が形成されるが、炎口84の上側に混合気が過剰に供給されているため、火炎がリフトして、安定しなくなる。
【0036】
これに対し、本実施形態に係るコンロバーナ10では、図3(a)に示されるように、燃料供給部(図示せず)からの燃料ガスと一次空気とからなる混合気が混合管16に供給される。次いで、混合管16を通ってその下流側に延設形成された混合室18に混合気が運ばれる。このとき、図3(b)に示されるように、バーナヘッド14の凸部26に混合気が確実に衝突し、混合気の動圧が緩衝される。凸部26と衝突した混合気は、混合室18に運ばれてきたときの気流の勢いが抑えられた後、この凸部26の周囲に形成されている空間28全体に分布される。
【0037】
次いで、図3(c)に示されるように、混合気は、バーナヘッド14の区画壁20により形成されたガス通路22を通って炎口24まで運ばれる。このとき、混合気は、空間28全体に分布されるので、上下方向に幅広になっている炎口24の上側に過剰に流れることはなく、炎口24の上下方向に均一に分布されて噴出される。
【0038】
次いで、点火手段(図示せず)により炎口24に点火することにより、図3(d)に示されるように、コンロバーナ10の外周に形成された炎口24に火炎が形成される。このとき、炎口24の上下方向に均一に分布された混合気が炎口24より噴出されるため、この火炎は、炎口24全体から均一に噴出される。これにより、炎口24から噴出される火炎のリフトが抑制され、火炎が安定化される。
【0039】
以上のように構成されたコンロバーナ10によれば、バーナ本体上面12aとバーナヘッド下面14aとの間に設けられる炎口24を上下方向に幅広にすることにより上下方向に炎口面積が大きくなる。これにより、バーナヘッド径を大きくすることなく炎口面積を大きくすることができる。
【0040】
そして、炎口面積が大きくなることにより、炎口24からの混合気の噴出量が多くなるので、空燃比を変えることなく、コンロバーナ10への燃料ガスの供給量を増やすことができる。これにより、炎口24で形成される火炎の火力が強くなるため、コンロバーナ10の加熱能力を高くすることができる。
【0041】
ここで、炎口24を上下方向に幅広にして炎口面積を大きくしただけだと、供給されてきた混合気が、幅広となった炎口24の下側よりも上側に過剰に流れることになる。そうなると、炎口24の上側と下側とで混合気の分布が均一にならないため、炎口24から噴出される火炎がリフトして、火炎の安定化を図ることができない。
【0042】
そのため、これを防ぐ目的で、バーナヘッド下面14aの中心部に、このバーナ本体12に供給される混合気の動圧を緩衝する略柱状の凸部26を立設させている。そして、バーナ本体12に供給される混合気が炎口24から噴出される前に略柱状の凸部26と確実に衝突して、この混合気の動圧が緩衝される。これにより、バーナ本体12に供給される混合気が、上下方向に幅広に設けられた炎口24の上側に特に流れやすくなることはなくなり、炎口24の上側と下側とで混合気の分布を均一にすることができる。その結果、炎口24から噴出される火炎のリフトを防止して、火炎の安定化を図ることができる。
【0043】
そして、これら複数の炎口24、24・・・は、バーナヘッド下面14aに外周方向に向けて放射状に設けられた複数の区画壁20、20・・・により形成されており、区画壁20の高さが区画壁20と区画壁20との間の距離より大きいものとしているので、バーナヘッド径を大きくせずに炎口面積を大きくして加熱能力を高くするとともに、炎口24の上下方向における混合気の噴出分布を均一にして火炎の安定化を図ることができる。加えて、鋳造、ダイカスト等の射出成形によるバーナヘッドの成形加工により、上下方向に幅広な炎口24を容易に形成することができる。
【0044】
そして、区画壁20と区画壁20との間の距離に対して区画壁20の高さを、2倍から3倍の範囲の大きさとなるようにすれば、確実に、バーナヘッド径を大きくせずに炎口面積を大きくして加熱能力を高くするとともに炎口24の上下方向における混合気の噴出分布を均一にして火炎の安定化を図ることができる。
【0045】
本実施形態に係るコンロバーナ10は、バーナヘッド14の直径を大きくすることなく炎口24の面積を大きくして加熱能力を高くしたものであるが、バーナヘッド14の直径を小さくして通常のコンロバーナより小さいコンロバーナとしたときに、この通常のコンロバーナと同等の加熱能力を有するものとすることもできる。すなわち、加熱能力を維持したままで、コンロバーナおよびテーブルコンロなどのガス燃焼調理器を小さくすることも可能である。
【0046】
なお、本発明に係るコンロバーナは、テーブルコンロなどのガス燃焼調理器に組み込まれるものなので、混合気が供給される混合管は、通常、直管ではなく、折れ曲がった形であることが多い。
【0047】
例えば図4に示されるコンロバーナ30のように、バーナ本体32の混合管36が左方に折れ曲がっている場合、左方から供給される混合気は、混合室38を通った後、右側の炎口40に流れやすくなる。そのため、右側の炎口40と左側の炎口40’とで、混合気の噴出量に違いが生じて、炎口40、40・・・、40’、40’・・・から噴出される火炎の大きさのバランスが悪くなることがある。
【0048】
このとき、例えば図4に示されるように、バーナヘッド34に立設される混合気の動圧を緩衝する略円柱状の凸部42の先端に、左側の炎口40’への混合気の供給を促進するため、左上方向に傾斜する傾斜面42aが形成されていると、右側の炎口40に特に流れやすくなることはなく、左側の炎口40’への供給も促進され、コンロバーナ30の周方向における混合気の噴出分布を均一にすることができる。そして、炎口40、40・・・、40’、40’・・・から噴出される火炎の大きさを、外周全体にバランス良くすることができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態において、バーナヘッド下面14aに区画壁20を設けたものについて示しているが、バーナ本体上面12aに区画壁を設けるものであっても同様の作用効果を発揮することは勿論である。また、上下方向に幅広の複数の炎口を形成する例としては、これらのものに限られるものではない。炎口の形状も、矩形に限られず、楕円や台形等、上下方向に幅広となる形であれば良い。
【0051】
略柱状の凸部26は、略円柱状のものに限定されるものではない。混合管16は、直管のもの、屈曲部を有するもののいずれであっても良い。また、本発明に係るコンロバーナは、通常のバーナのみでなく、例えば、環状に形成された複数の炎口とその外側に環状に形成された他の複数の炎口とを有し、この複数の炎口と他の複数の炎口とが異なる火力を有するバーナ(例えば他の複数の炎口(外側の複数の炎口)の火力を複数の炎口(内側の複数の炎口)の火力より小さくしたものなど)のようないわゆる親子バーナにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るコンロバーナは、テーブルコンロなどのガス燃焼調理器のコンロバーナに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るコンロバーナの一実施形態を表す断面図(a)および正面図とその一部拡大図(b)である。
【図2】図1に示されるコンロバーナのバーナヘッドを表す底面図である。
【図3】図1に示されるコンロバーナに混合気を供給したときの混合気の流れを時系列で示す図である。
【図4】他の実施形態に係るコンロバーナの断面図である。
【図5】従来のコンロバーナを表す断面図である。
【図6】炎口の上下方向の幅を従来よりも広くしたコンロバーナの一例を表す断面図(a)および正面図とその一部拡大図(b)である。
【図7】図6に示されるコンロバーナに混合気を供給したときの混合気の流れを時系列で表す図である。
【符号の説明】
【0054】
10 コンロバーナ
12 バーナ本体
12a バーナ本体上面
14 バーナヘッド
14a バーナヘッド下面
20 区画壁
24 炎口
26 略柱状の凸部
L1 区画壁と区画壁との間の距離
H1 区画壁の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ本体に略円盤状のバーナヘッドが装着されるコンロバーナであって、前記バーナ本体上面と前記バーナヘッド下面との間に、前記バーナ本体に供給される混合気を噴出させる複数の炎口が上下方向に幅広に設けられるとともに、前記バーナヘッド下面の中心部に、前記バーナ本体に供給される混合気の動圧を緩衝する略柱状の凸部が立設されることを特徴とするコンロバーナ。
【請求項2】
前記複数の炎口は、前記バーナ本体上面または前記バーナヘッド下面に外周方向に向けて放射状に設けられた複数の区画壁により形成され、これら複数の区画壁の高さは、区画壁と区画壁との間の距離より大きいことを特徴とする請求項1に記載のコンロバーナ。
【請求項3】
前記区画壁の高さは、前記区画壁と区画壁との間の距離に対して、2倍から3倍の範囲の大きさとなることを特徴とする請求項2に記載のコンロバーナ。
【請求項4】
前記略柱状の凸部は、その先端に、前記バーナ本体に供給される混合気を周方向に均一に分布させる傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンロバーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−192468(P2007−192468A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11085(P2006−11085)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000112015)パロマ工業株式会社 (298)
【Fターム(参考)】