パレット搬送装置及びパレット搬送方法
【課題】パレットを増加させることなく、その搬送方向を転換しつつ、比較的長い距離であってもパレットを速やかにかつ安定して搬送する。
【解決手段】パレット搬送装置10は、パレット11を搭載可能に構成されたパレットテーブル12と、パレットテーブルを待機位置Tと待機位置から離間する基準位置Kとの間を移動させるテーブル移動機構16と、パレットテーブルの移動方向に交差して基準位置のパレットテーブルと基準位置から離間する目的位置Mとを連結するパレットレール21と、基準位置のパレットテーブルに搭載されたパレットをパレットレールに搭載して搬送する搬送手段26とを備える。搬送手段は、パレットレール又は基準位置のパレットテーブルに搭載されたパレットに係止可能な循環ベルト27と、循環ベルトを循環させて循環ベルトに係止されたパレットをパレットレールに沿って移動させる駆動源とを備える。
【解決手段】パレット搬送装置10は、パレット11を搭載可能に構成されたパレットテーブル12と、パレットテーブルを待機位置Tと待機位置から離間する基準位置Kとの間を移動させるテーブル移動機構16と、パレットテーブルの移動方向に交差して基準位置のパレットテーブルと基準位置から離間する目的位置Mとを連結するパレットレール21と、基準位置のパレットテーブルに搭載されたパレットをパレットレールに搭載して搬送する搬送手段26とを備える。搬送手段は、パレットレール又は基準位置のパレットテーブルに搭載されたパレットに係止可能な循環ベルト27と、循環ベルトを循環させて循環ベルトに係止されたパレットをパレットレールに沿って移動させる駆動源とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを載せるパレットを搬送するパレット搬送装置及びパレット搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製造ラインにおいて、ワークを真っ直ぐなベルトコンベアに載せて直線的に搬送し、搬送先の工作機においてそのコンベアに載せられたワークに対して所定の加工を行うことが知られている。一方、ワークを加工する加工機が複数ある場合には、その複数の加工機の配置はその加工機の大きさや設置場所等により異なり、複数の加工機が直線的に配置されていない場合にはそのワークの搬送方向を転換して搬送する必要が生じる。しかし、従来の真っ直ぐなベルトコンベアにあっては、複数のベルトコンベアを接続しなければワークの搬送方向を転換することができず、その接続が困難であるとともに複数のベルトコンベアが占める面積が増大して、ワークの搬送方向を転換させることは比較的困難であった。また、例えばステータ等の重量の大きいワークをベルトコンベアに載せて搬送する場合、ベルトコンベアを停止させた際にワークに働く慣性力が大きいため、ベルトコンベアにおける搬送速度を高めることが難しく、ストッパーを用いたとしても慣性力が大きいワークを正確に位置決めすることが難しいという不具合があった。
【0003】
このような不具合を解消するために、本出願人は工作機に対してワークを載せる複数のパレットを四角形の軌道で搬送するパレット搬送装置を提案した(例えば、特許文献1参照。)。この搬送装置では、互いに平行に延びる奥側パレットレールと手前側パレットレールと、奥側パレットレールと手前側パレットレールの各両端部に対峙する二位置間をそれぞれ移動してそれら各端部に対して接続可能とする左パレットレールと右パレットレールと、複数のパレットを奥側パレットレール又は手前側パレットレールに沿って進退させる左パレット送り機構と右パレット送り機構とを備える。そして、左パレット送り機構と右パレット送り機構の一方がパレットを前進させる動作とそれらの他方がパレットを後退させる動作とを同期して行い、その後複数のパレットを左パレット送り機構と右パレット送り機構の間に挟持して搬送することにより複数のパレットを四角形の軌道で搬送するようにしている。このように、複数のパレットを四角形の軌道で搬送するので、このパレットにワークを搭載することによりそのワークの搬送方向の転換が可能であり、また複数のパレットを左パレット送り機構と右パレット送り機構の間に挟持して搬送することにより、ワークの搬送速度と位置決め精度を高めることが期待できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−21629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記パレット搬送装置では、複数のパレットを左パレット送り機構と右パレット送り機構の間に挟持して搬送するので、その間に挟持されるパレットの数を増やさなければ、パレットの搬送距離を伸ばすことができない不具合があった。
【0006】
また、上記パレット搬送装置では、四角形の軌道で搬送されるパレットにワークを搭載することによりそのワークの搬送方向を転換することができるけれども、左パレット送り機構と右パレット送り機構の間に複数のパレットを挟持して搬送した後、左パレット送り機構と右パレット送り機構のいずれか一方がパレットを前進させ、いずれか他方がパレットを後退させた後でなければ、再びそれらにより複数のパレットを挟持して搬送することができない不具合もある。このため、それらの工程を複数回繰り返さなければパレットの搬送距離を長くすることができず、比較的長い距離にわたって速やかにパレットを搬送することが困難という未だ解決すべき課題が残存していた。
【0007】
本発明の目的は、パレットを増加させることなく、その搬送方向を転換しつつ、比較的長い距離にわたってパレットを速やかにかつ安定して搬送し得るパレット搬送装置及びパレット搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパレット搬送装置は、パレットを搭載可能に構成されたパレットテーブルと、パレットテーブルを待機位置と待機位置から離間する基準位置との間を移動させるテーブル移動機構と、パレットテーブルの移動方向に交差して基準位置のパレットテーブルと基準位置から離間する目的位置とを連結するパレットレールと、基準位置のパレットテーブルに搭載されたパレットをパレットレールに搭載して搬送する搬送手段とを備える。
【0009】
搬送手段は、パレットレールに沿って設けられ、パレットレール又は基準位置のパレットテーブルに搭載されたパレットに係止可能な循環ベルトと、循環ベルトを循環させて循環ベルトに係止されたパレットをパレットレールに沿って移動させる駆動源を備えことが好ましい。この場合、循環ベルトに幅方向に延びる凹凸が長手方向に交互に連続して形成され、凹凸に係合可能な被凹凸がパレットに形成され、パレットレール又は基準位置のパレットテーブルにパレットが搭載状態で凹凸に被凹凸が係合するように構成することができる。そして、少なくとも2つのテーブル移動機構を並列に設け、両側部に位置するテーブル移動機構におけるそれぞれの基準位置からパレットレールを互いに遠ざかる方向に延びて設けることが好ましい。一方、パレットレールの目的位置に達したパレットを搭載可能に構成された別のパレットテーブルと、その別のパレットテーブルを目的位置とその目的位置から離間する別の基準位置との間を移動させる別のテーブル移動機構とを更に備えることもできる。
【0010】
一方、本発明のパレット搬送方法は、パレットを待機位置と目的位置との間に搬送するパレット搬送方法である。
【0011】
その特徴ある点は、待機位置と目的位置との間に基準位置を設け、待機位置と基準位置の間の搬送方向と基準位置と目的位置の間の搬送方向を交差させるところにある。
【0012】
この場合、待機位置と基準位置の間の搬送がテーブル移動機構により待機位置と基準位置の間を移動するパレットテーブルにパレットを搭載することにより行われ、基準位置と目的位置の間の搬送が基準位置のパレットテーブルに搭載されたパレットを基準位置と目的位置を連結するパレットレールに搭載して行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパレット搬送装置及びパレット搬送方法では、待機位置と基準位置の間の搬送方向と基準位置と目的位置の間の搬送方向を交差させているので、ワークを搭載するパレットを、搬送方向を転換しつつ搬送することができ、これにより加工機の配置の自由度を増すことができる。この場合、パレットレールに搭載されたパレットの搬送を循環ベルトにパレットを係止させて行うようにすれば、パレットの数を増加させることなくそのパレットを比較的長い距離にわたって速やかに搬送することが可能になる。そして、パレットレール又は基準位置のパレットテーブルにパレットが搭載状態で循環ベルトの凹凸にパレットの被凹凸を係合させることにより循環ベルトにパレットを係止させるようにすれば、そのパレットの係止を比較的容易に行うことができる。ここで、少なくとも2つのテーブル移動機構を並列に設けるようにすれば、例えば待機位置では複数のパレットが接近していたとしても、目的位置に達した状態でその複数のパレット間の間隔を拡げることが可能になる。一方、目的位置に達したパレットを搭載する別のパレットテーブルと、その別のパレットテーブルを移動させる別のテーブル移動機構とを更に備えれば、例えば階段状にパレットを搬送することも可能になり、互いの間隔が異なりその配置が一直線上にない別の工作機までそれらのパレットを搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明実施形態のパレット搬送装置を示す上面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】そのパレットがパレットテーブルからパレットレール上に移動した状態を示す図2に対応する図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図2のC−C線断面図である。
【図6】そのパレットを搭載するパレットテーブルが基準位置から離れた状態を示す図5に対応する断面図である。
【図7】図1のD方向から観たパレットレールの正面図である。
【図8】図7のE−E線断面図である。
【図9】本発明の別のパレット搬送装置を示す図1に対応する上面図である。
【図10】図9のF−F線断面図である。
【図11】図10のG−G線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図8に、本発明におけるパレット搬送装置10を示す。各図において、互いに直交するX,Y,Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平前後方向、Z軸が鉛直方向に延びるものとし、パレット搬送装置10の構成について説明する。この実施の形態におけるパレット搬送装置10は、モータ等の電動機におけるステータを製造するラインに設けられるものを例示し、この製造ラインは3台の工作機1〜3が並ぶものを示す(図1)。この実施の形態における3台の工作機1〜3は、それぞれがパレット搬送装置10によって搬送される図示しないワークに対して絶縁部材を挿入しかつ巻線を行うものとする。
【0017】
図1に示すように、このパレット搬送装置10は、パレット11(図2)を搭載可能に構成されたパレットテーブル12と、そのパレットテーブル12を待機位置Tと待機位置TからY軸方向に離間する基準位置Kとの間を移動させるテーブル移動機構16と、パレットテーブル12の移動方向に交差して基準位置Kのパレットテーブル12とその基準位置KからX軸方向に離間する目的位置Mとを連結するパレットレール21とを備える。そして、この実施の形態では、3つのY軸方向に延びるテーブル移動機構16がX軸方向に並列に設けられ、両側部に位置するテーブル移動機構16におけるそれぞれの基準位置Kからパレットレール21が互いに遠ざかる方向であるX軸方向に延びて設けられる。これにより、この実施の形態では、それらのパレットレール21がパレットテーブル12の移動方向に交差して、具体的には直交して設けられたパレット搬送装置10を示す。
【0018】
3つのテーブル移動機構16はそれぞれ同一構造である。そして、互いに遠ざかる方向に延びて設けられたパレットレール21も同一構造のものが用いられる。このため、この実施の形態におけるパレット搬送装置10は、中央のテーブル移動機構16を対称軸とする対称構造を成すものであり、図1の右側におけるテーブル移動機構16及びパレットレール21を以下に代表して説明する。すると、図8に示すように、パレットレール21は、断面においてZ軸方向に長い方形を成す支持板22と、その支持板22の上縁にねじ止めにより固定された市販の直線運動ガイドレール23を備える。支持板22の下縁には取付板24が溶接され、この取付板24を基台10aにネジ止めすることによりパレットレール21はX軸方向に延びて基台10a上に直接固定される。図7に示すように、パレットレール21の基準位置Kにある一端部には、パレットテーブル12が進入可能な欠損部21aが形成され、パレットレール21の目的位置Mになる他端部には、その目的位置Mに対向して工作機1(図1)が設けられる。
【0019】
図8に戻って、このパレットレール21に搭載されるパレット11は、直線運動ガイドレール23を跨いでそのレール19上を移動可能に構成された直線運動ブロック11aと、そのブロック11aにねじ止めされた台座11bとを有する。この直線運動ブロック11aは直線運動ガイドレール23と対に販売される市販のものであって、図示しないローラーリテーナを備えるものが好ましい。これによりパレット11はパレットレール21に搭載可能に構成され、このような直線運動ブロック11aを用いることにより、その幅方向(Y軸方向)の移動を禁止しつつパレット11がパレットレール21上を移動する抵抗を著しく軽減することができる。そして、図示しないが、パレット11における台座11bには、その上部に図示しないワークを収めて搭載するためのワーク支持部材が別に取付けられる。
【0020】
一方、図2〜図5に示すように、パレットレール21の一端部に形成された欠損部21aには、Y軸方向に延びて設けられたテーブル移動機構16の他端部が交差して設けられる。テーブル移動機構16はパレットテーブル12を待機位置T(図1)と基準位置K(図1)との間を移動させるものであって、そのテーブル移動機構16により移動するパレットテーブル12は、前述したパレット11を搭載可能に構成される。具体的に、パレットテーブル12は、台板12aとその台板12aに補助部材12cを介して取付けられた短レール12bとを備える。このパレットテーブル12を移動させるテーブル移動機構16は、Y軸方向に延びて基台10a上に水平に取付けられて待機位置Tと基準位置Kを連結する平板17と、その平板17上にY軸方向に延びて取付けられたロッドレスシリンダ18(図2及び図3)と、そのロッドレスシリンダ18に平行に取付けられたテーブル用ガイドレール19とを備える。短レール12b及びテーブル用ガイドレール19はパレットレール21における直線運動ガイドレール23とそれぞれ同一構造のものである。短レール12bにあっては、図3に示すように、その長さLが欠損部21aの幅Wよりも僅かに短く形成され、そのパレットテーブル12が欠損部21aに進入して基準位置Kに有る場合に、その直線運動ガイドレール23に連続するように設けられる。
【0021】
図3〜図6に示すように、テーブル用ガイドレール19はロッドレスシリンダ18と略同一の長さを有し、そのガイドレール19を跨いでそのガイドレール19上を移動可能な直線運動ブロック16aがパレットテーブル12における台板12aに、この実施の形態では長手方向に所定の間隔を空けて2つの直線運動ブロック16aが取付けられる。一方、図3及び図4に示すように、テーブル移動機構16におけるロッドレスシリンダ18は、Y軸方向に延びるシリンダ本体18a上に、可動ブロック18bが移動可能に設けられたものであって、その可動ブロック18bにパレットテーブル12における台板12aが固定される。このロッドレスシリンダ18は、圧縮エアの供給方向により可動ブロック18bが待機位置T(図1)と待機位置Tから離間する基準位置K(図1)との間を移動可能に構成される。
【0022】
平板17とテーブル用ガイドレール19とシリンダ本体18aの端部はパレットレール21の欠損部21aに進入するように取付けられる。これにより、テーブル移動機構16は、可動ブロック18bとともにパレットテーブル12を、欠損部21aにあってその短レール12bがパレットレール21に連続する図3および図5に示す基準位置Kと、その欠損部21aからY軸方向に移動してパレットレール21から離間する図1に示す待機位置Tとの間を移動可能に構成される。そして、テーブル用ガイドレール19はその移動を補助するものとして設けられる。なお、このパレットテーブル12を移動させるテーブル移動機構16としてロッドレスシリンダ18を用いているけれども、その他の形状のエア又は油圧シリンダを用いてパレットテーブル12を移動させても良く、これらに代えてサーボモータ等の電動機を用いてパレットテーブル12を移動させるようにしても良い。
【0023】
図2〜図4に示すように、テーブル移動機構16は、この平板17と並列に設けられた案内レール20を備える。案内レール20は上方が解放する凹溝20aがY軸方向に延びて形成され、この凹溝20aに進入する進入片13aが先端に形成されたガイド部材13がパレット11に取付けられる。パレット11は、その直線運動ブロック11aがパレットテーブル12における短レール12bに搭載された状態でパレットテーブル12に搭載され、その状態で図4に示すように進入片13aが案内レール20の凹溝20aに進入することにより、X軸方向の移動を禁止するように構成される。
【0024】
図1に示すように、テーブル移動機構16における平板17の待機位置Tと基準位置Kにおける両端縁には当接板16b,16cがそれぞれ取付けられ、図3および図5に示すように、基準位置K側の当接板16cには待機位置Tから移動するパレットテーブル12が当接する衝撃を緩和するショックアブソーバ16dが設けられる。そして、パレットテーブル12がこのショックアブソーバ16dに当接することによりそのテーブル12は基準位置Kに至り、その状態でそのテーブル12における短レール12bがパレットレール21に連続するように構成される。図1に戻って、案内レール20の一端は当接板16bに当接して設けられる。そして、パレットテーブル12が待機位置TからY軸方向に移動して図2に示す基準位置Kに達すると、案内レール20の端部からその進入片13aが離脱して、パレット11のX軸方向の移動が許容されるように、案内レール20の他端はパレットレール21近傍にまで達するように形成される。
【0025】
図1に示すように、本発明のパレット搬送装置10は、基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されたパレット11をパレットレール21に搭載して搬送する搬送手段26を備える。この実施の形態におけるパレット搬送手段26は、パレットレール21に沿って設けられパレットレール21又は基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されたパレット11に係止可能な循環ベルト27と、循環ベルト27を循環させて循環ベルト27に係止されたパレット11をパレットレール21に沿って移動させる駆動源31とを備える。図7に示すように、循環ベルト27は、基準位置Kであるパレットテーブル12が進入する欠損部21aから工作機1に対向する所定の目的位置Mまでを連結するに足りる長さを有する。そして、この循環ベルト27は、その工作機1近傍に位置するパレットレール21の他端部に設けられた駆動プーリ28と、欠損部21aを挟んでそのパレットレール21の一端部に設けられた従動プーリ29との間に架設される。
【0026】
図8に示すように、この実施の形態における循環ベルト27を循環させる駆動源31は、パレットレール21に設けられて駆動プーリ28を回転可能なサーボモータ31であって、回転軸31aに駆動プーリ28が取付けられたサーボモータ31がパレットレール21の他端に取付けられる。そして、このサーボモータ31における制御は図示しないコントローラにより行われ、図示しないコントローラからの指令によりそのサーボモータ31が駆動すると、その回転軸31aが駆動プーリ28とともに回転し、駆動プーリ28に掛け回された循環ベルト27が従動プーリ29との間で循環するように構成される。この実施の形態における循環ベルト27はいわゆる歯付きベルトである。図7の拡大図に示すように、歯付きベルトである循環ベルト27は、幅方向に延びる凹凸27a,27bが長手方向に交互に連続して形成される。
【0027】
一方、図5に示すように、パレットレール21又は基準位置Kのパレットテーブル12にパレット11が搭載状態で、循環ベルト27に係止する係止片36がパレット11に取付けられる。この実施の形態における係止片36は、パレット11における台座11bに取付けられた上側ブロック36aと、その上側ブロック36aとともに循環ベルト17を挟むようにその上側ブロック36aの下側に設けられた下側ブロック36bを有する。図7の拡大図に示すように、この下側ブロック36bに、ベルト27〜29における凹凸27a,27bに係合可能な被凹凸36c,36dが形成され、パレット11に設けられた係止片36における被凹凸36c,36dが循環ベルト27における凹凸27a,27bに係合すると、循環ベルト27と独立したパレット11のX軸方向の移動は禁止され、これにより係止片36が設けられたパレット11は循環ベルト27に係止される。そして、このようにパレット11が係止されたベルト27を駆動源31により循環させると、パレット11が循環ベルト27とともに移動し、その循環ベルト27が沿うパレットレール21に沿ってそのパレット11は搬送することになる。
【0028】
また、循環ベルト27における凹凸27a,27b及び係止片36における被凹凸36c,36dはその幅方向、即ちY軸方向に延びて形成されるので、図6の破線矢印で示すように、パレット11がパレットテーブル12とともにY軸方向に移動して循環ベルト27から遠ざかると、Y軸方向に移動しない循環ベルト27の凹凸27a,27b(図7)に対して、パレット11に設けられた係止片36における被凹凸36c,36dはY軸方向に移動して循環ベルト27から外れることになる。即ち、このパレット搬送装置10は、パレット11が搭載されたパレットテーブル12をパレットレール21に連続する基準位置KからY軸方向に移動してそのパレットレール21から離間する待機位置Tに移動させると、パレットテーブル12に搭載されたパレット11が循環ベルト27から外れるように構成される。
【0029】
逆に、循環ベルト27における凹凸27a,27bを係止片36における被凹凸36c,36dとY軸方向に一致させた状態で、パレットレール21から離間する待機位置Tのパレットテーブル12がテーブル移動機構16によって図6の実線矢印で示すように基準位置Kに向かって移動し、パレットレール21の欠損部21aを埋めて図5に示す基準位置Kに達すると、図7の拡大図に示すように循環ベルト27の凹凸27a,27bにパレット11に設けられた係止片36における被凹凸36c,36dが係合することになる。即ち、このパレット搬送装置10では、パレットテーブル12が待機位置Tから基準位置Kに移動すると、そのパレットテーブル12に搭載されたパレット11もY軸方向に移動し、パレット11に設けられた係止片36はパレットレール21に沿って設けられた循環ベルト27に係止するように構成される。
【0030】
次に、上記パレット搬送装置を用いた本発明におけるパレット搬送方法を説明する。
【0031】
本発明におけるパレット搬送方法は、パレット11を待機位置Tと目的位置Mとの間に搬送する方法であるけれども、待機位置Tと目的位置Mとの間に基準位置Kを設け、その待機位置Tと基準位置Kの間の搬送方向と基準位置Kと目的位置Mの間の搬送方向を交差させることを特徴とする。この実施の形態では、待機位置Tと基準位置Kの間の搬送がテーブル移動機構16により待機位置Tと基準位置Kの間を移動するパレットテーブル12にパレット11を搭載することにより行われ、基準位置Kと目的位置Mの間の搬送が基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されたパレット11を基準位置Kと目的位置Mを連結するパレットレール21に搭載して行われる場合を示す。
【0032】
よって、本発明におけるパレット搬送方法は、パレット11を搭載したパレットテーブル12を待機位置Tから基準位置Kに移動させるテーブル接続工程と、基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されたパレット11をパレットレール21に移して所定の目的位置Mまで搬送するパレット搬送工程と、所定の目的位置Mにおけるパレット11を逆方向に搬送して基準位置Kにあるパレットテーブル12に搭載するパレット戻し工程と、パレット11が搭載されたパレットテーブル12をパレット11ともに基準位置Kから待機位置Tに移動させるテーブル離脱工程とを有するものといえる。以下に各工程を説明する。
【0033】
<テーブル接続工程>
この工程では、パレット11を搭載したパレットテーブル12をパレットレール21から離間する図1に示す待機位置Tからパレットレール21に連続する図2及び図5に示す基準位置Kに移動させる。そして、このテーブル接続工程において、パレット11をパレットレール21に沿って設けられた循環ベルト27に係止させる。このパレット11には既に加工用の図示しないワークが搭載されているものとし、その搭載はパレットテーブル12にパレット11を搭載した状態で行われ、又は予めワークが搭載されたパレット11をパレットテーブル12搭載することにより行われる。なお、この工程では、3つのテーブル移動機構16のそれぞれの待機位置Tにおけるパレットテーブル12は、互いに接近することになるので、それぞれのパレットテーブル12に搭載されたパレット11も互いに接近し、そのパレット11に図示しないワークを搭載する作業を、そのパレット11が互いに離間した状態で行う場合と比較して容易にすることができる。
【0034】
パレットテーブル12の移動は、テーブル移動機構16を構成するロッドレスシリンダ18に圧縮エアを供給してその可動ブロック18bを待機位置Tから基準位置Kへと移動させることにより行われる。すると、可動ブロック18bとともにパレットテーブル12も待機位置Tから図6の実線矢印で示すように基準位置Kへと移動する。これによりパレットテーブル12に搭載されたパレット11も待機位置Tから基準位置Kに移動し、図5に示すように、基準位置Kに達した状態でパレット11は循環ベルト27に係止される。循環ベルト27として歯付きベルトを用いるこの実施の形態では、パレットテーブル12を待機位置Tから基準位置Kに移動することにより、図7の拡大図に示すようにベルト27における凹凸27a,27bに、係止片36における被凹凸36c,36dを係合させることができ、これによりパレット11を循環ベルト27に係止させることを確実に行わせることができる。
【0035】
<パレット搬送工程>
この工程では、基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されて基準位置Kにあるパレット11をパレットレール21に移して搬送する。このパレット11の搬送は、循環ベルト27を循環させることにより行われる。循環ベルト27の循環は駆動源31により行われ、駆動源であるサーボモータ31を図示しないコントローラからの指令により駆動させると、駆動プーリ28が回転し、それらに掛け回された循環ベルト27が循環する。すると、循環ベルト27に係止されたパレット11は循環ベルト27の循環とともに移動してパレットテーブル12における短レール12bから図3に示すようにパレットレール21に移る。そして、サーボモータ31における駆動プーリ28の回転を継続すると、パレット11はそのパレットレール21上を移動して、最終的にパレット11は目的位置Mに到達し、加工機1に対峙させることができる。
【0036】
図1に示すように、3つのテーブル移動機構16が並列に設けられたこの実施の形態では、待機位置Tでそれぞれのパレットテーブル12に搭載されたパレット11は互いに接近しており、それらがテーブル移動機構16により移動して基準位置Kに達した状態であっても互いに接近した状態は維持される。しかし、両側部に位置するテーブル移動機構16におけるそれぞれの基準位置Kからパレットレール21は互いに遠ざかる方向に延びて設けられるので、そのパレットレール21上を移動するパレット11は互いの間隔を拡大させる。ここで、中央のテーブル移動機構16における基準位置Kに有るパレット11はその基準位置Kが目的位置Mでもあるので、両側部に位置するテーブル移動機構16におけるそれぞれの基準位置Kから互いに遠ざかる方向に搬送されたパレット11は、互いの間隔を拡大しつつ、最終的に各工作機1〜3に対峙する所定の目的位置Mまで搬送される。このため、待機位置Tのパレットテーブル12に搭載された状態で複数のパレット11は接近していたけれども、搬送後ではそれらパレット11の間隔を広げることができる。そして、複数のパレット11の間隔は循環ベルト27の循環速度又は時間調整することにより自在に調整することができる。
【0037】
なお、複数のパレット11が各工作機1〜3に対峙した状態で、各工作機1〜3を作動させ、パレットレール21に搭載された各パレット11に載った図示しない各ワークに対して絶縁部材を挿入しかつ巻線作業が並行して行われる。
【0038】
<パレット戻し工程>
この工程では、パレットレール21に沿って搬送されて所定の目的位置Mにあるパレット11を逆方向に搬送して基準位置Kにあるパレットテーブル12に搭載する。この工程におけるパレット11の搬送も循環ベルト27を循環させることにより行われ、このパレット11の搬送は各工作機1〜3における図示しないワークに対する加工が終了した後に行われる。循環ベルト27の循環方向は上記パレット搬送工程における循環方向と逆であり、サーボモータ31を用いるこの実施の形態では、その回転方向を逆にして駆動プーリ28を上記パレット搬送工程と逆方向に回転させる。これにより、循環ベルト27も逆方向に循環し、各工作機1〜3に対峙したパレット11の間隔を減少させつつパレットレール21上を逆方向に搬送し、図2に示すように、パレット11を基準位置Kにあるパレットテーブル12に搭載する。
【0039】
<テーブル離脱工程>
この工程では、パレット11が搭載されたパレットテーブル12をパレット11ともに図2に示す基準位置Kから図1に示す待機位置Tに移動させる。そして、このテーブル離脱工程においてパレットテーブル12に搭載されたパレット11を循環ベルト27から外す。循環ベルト27として歯付きベルトを用いるこの実施の形態では、図6の破線矢印で示すように、パレット11をパレットテーブル12とともにY軸方向に移動して循環ベルト27から遠ざけると、Y軸方向に移動しない循環ベルト27の凹凸27a,27bから係止片36における被凹凸36c,36dがY軸方向へずれて外れる。よって、循環ベルト27として歯付きベルトを用いることにより、パレット11を搭載するパレットテーブル12を基準位置Kから待機位置Tに移動するだけで、パレットテーブル12に搭載されたパレット11を循環ベルト27から容易に外すことができることになる。
【0040】
図1に示すように、3つのテーブル移動機構16によりパレットレール21から離間した待機位置Tのパレットテーブル12では、その3つのテーブル移動機構16におけるそれぞれのパレット11に搭載され各工作機1〜3において同一の加工が行われた図示しないワークの全てを新たなワークに入れ替える。これにより、それ以前に加工が終了したワークを搭載するパレット11が複数ある場合には、それらパレット11の渋滞を解消することができる。即ち、各工作機1〜3は同一の加工を行うものであるので、待機位置Tのパレットテーブル12において、全てのパレット11をワークが搭載された新たなパレット11に入れ替えるか或いはパレット11を残存させて全てのワークを新たなワークに入れ替えるようにすれば、複数のパレット11に搭載された複数のワークに対して同時に同一の加工を施すことができる。このため、この工作機1〜3における加工時間が比較的長いものであっても、前工程の比較的短時間で加工が終了して渋滞している複数のパレット11におけるワークに対して複数の工作機が同時に同一の加工を施すことができる。よって、その加工工程に至る前段階において、その前工程の比較的短時間で加工が終了したパレット11の渋滞を解消し、単一の工作機が加工していた場合に比較してその作業時間を短縮させることができる。そして、その後再びテーブル接続工程に戻り、そのテーブル接続工程からテーブル離脱工程までが繰り返されることになる。
【0041】
以上のような構成のパレット搬送装置10及びパレット搬送方法では、パレット11がパレットレール21及びパレットテーブル12に搭載された状態で移動するため、重量の大きいワークがそのパレット11に搭載されていたとしても、そのワークを搬送方向を転換しつつ高速で待機位置Tから目的位置Mにまで搬送することが可能になり、加工機1〜3の配置の自由度を増すことができる。そして、少なくとも2以上のテーブル移動機構16を用いて待機位置Tにおけるパレットテーブル12を互いに接近させることにより、それらに搭載されたパレット11も互いに接近し、そのパレット11に図示しないワークを搭載する作業を、そのパレット11が互いに離間した状態で行う場合と比較して容易にすることができ、その生産性を高めることができる。
【0042】
また、このようなパレット搬送装置10及びパレット搬送方法では、基準位置Kから目的位置Mまでの搬送を、循環する循環ベルト27にパレット11を係止させることにより行うので、循環ベルト27の循環速度又は時間を異ならせることにより、そのパレット11が到達するまでの移動距離を異ならせることができる。このため、少なくとも2つのテーブル移動機構16を並列に設けることにより、それらにより搬送されるパレット11の間隔を容易に変更することができ、待機位置Tで接近していたパレット11を搬送後ではそれらの間隔を広げて、間隔を空けて設けられた複数の工作機に別々に対峙させることができる。そして、それらのパレット11を待機位置Tに戻した状態で、その複数のパレット11を互いに接近させることもできる。よって、各工作機1〜3の変更又は加工対象物の変更等が成されて、ワークを搬送する間隔の変更が必要になっても、パレット11自体を変更することなく速やかにその間隔の変更に対応させることが可能となる。
【0043】
なお、上述した実施の形態では、ワークに対して同一の加工を行う工作機1〜3を用い、待機位置Tのパレットテーブル12において、全てのワークを新たなワークに入れ替えてパレットの渋滞を解消する場合を説明したが、各工作機1〜3は一連の加工を部分的に行うようなものであっても良い。例えば、工作機1〜3としてワークに対して絶縁部材の挿入しかつ巻線を行うものと、各相のコイルにリード線のカシメを行うものと、溶接等を行うものとを用い、各工作機1〜3がこれらの加工を順に行って図示しないステータを自動的に製造するようなものであっても良い。この場合には、パレットレール21から離間した待機位置Tのパレットテーブル12において、複数のパレット11の搭載された図示しないワークを作業員が順次移動させることにより、各工作機1〜3における加工が順に行われることになり、図示しないステータを自動的に製造することができる。
【0044】
また、上述した実施の形態では、3つのテーブル移動機構16が同一構造であるとしたけれども、並列に設けられた3つのテーブル移動機構16内の中央のテーブル移動機構は、パレットテーブル12を待機位置Tとその待機位置Tから離間する基準位置Kとの間を移動可能である限り、ロングストロークの単軸ロボットであっても良い。
【0045】
更に、上述した実施の形態では、3つのテーブル移動機構16が並列に設けられる場合を説明したが、両側部に位置するテーブル移動機構16におけるそれぞれの基準位置Kからパレットレール21が互いに遠ざかる方向に延びて設ける場合には、テーブル移動機構16は2つであっても良く、4つ以上のテーブル移動機構16を用いても良い。
【0046】
次に、図9〜図11に本発明の別の実施の形態を示す。図面中上述した実施の形態と同一符号は同一部品を示し、繰り返しての説明を省略する。
【0047】
この別の実施の形態におけるパレット搬送装置60は、パレット11を搭載可能に構成されたパレットテーブル12と、そのパレットテーブル12を待機位置Tとその待機位置Tから離間する基準位置Kとの間を移動させるテーブル移動機構16と、パレットテーブル12の移動方向に交差して基準位置Kのパレットテーブル12と基準位置Kから離間する目的位置Mとを連結するパレットレール21と、その基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されたパレット11をパレットレール21に搭載して搬送する搬送手段76とを備える。パレットテーブル12とテーブル移動機構16とパレットレール21に関しては上述した実施の形態におけるものと同一であるので、繰り返しての説明を省略する。
【0048】
そして、この実施の形態におけるパレット搬送装置60は、パレットレール21の目的位置Mに達したパレット11を搭載可能に構成された別のパレットテーブル62と、その別のパレットテーブル62を目的位置Mとその目的位置Mから離間する別の基準位置Ktとの間を移動させる別のテーブル移動機構66とを更に備える。別のパレットテーブル62は先の実施の形態におけるパレットテーブル12と同一構造であり、その符号に50を加えて表し、繰り返しての説明を省略する。図10に示すように、パレットレール21の目的位置Mにある他端部には、別のパレットテーブル62が進入可能な第2欠損部21bが形成され、この第2欠損部21bには、Y軸方向に延びて設けられた別のテーブル移動機構66の他端部が交差して設けられる。第2欠損部21bは一端部に形成された欠損部21aと同一形状であり、この別のテーブル移動機構66にあっても、先の実施の形態におけるテーブル移動機構16と同一構造であり、この先のものの符号に50を加えて表すので、繰り返しての説明を省略する。
【0049】
パレット11を搬送する搬送手段76は、パレットレール21に沿って設けられパレットレール21又はそれに連続するパレットテーブル12,62に搭載されたパレット11に係止可能な第1及び第2循環ベルト77a,77bと、その第1及び第2循環ベルト77a,77bを循環させる駆動源81とを備える。図9に示すように、第1循環ベルト77aは待機位置T側であって、パレットレール21の他端部に設けられた駆動プーリ78と、第2欠損部21b(図10)を挟んでそのパレットレール21の中央に設けられた第1従動プーリ79aとの間に架設される。第2循環ベルト77bは第1循環ベルト77aが存在しない反対側であって、パレットレール21の中央に設けられた第2従動プーリ79bと、欠損部21a(図10)を挟んでパレットレール21の一他端部に設けられた第3従動プーリ79cとの間に架設される。そして第1及び第2従動プーリ79a,79bはパレットレール22の幅方向(Y軸方向)の両側に中心軸79dにより連結されて設けられる。そして、第1従動プーリ79aが回転すると中心軸79dにより連結された第2従動プーリ79bも回転するように中心軸79dがパレットレール21に枢支される。
【0050】
図10に示すように、駆動源81は、パレットレール21に設けられて駆動プーリ78を回転可能なサーボモータ81であって、回転軸81aに駆動プーリ78が取付けられたサーボモータ81がパレットレール21の他端に取付けられる。そして、図示しないコントローラからの指令によりそのサーボモータ81が駆動すると、その回転軸81aが駆動プーリ78とともに回転し、駆動プーリ78に掛け回された第1循環ベルト77aが第1従動プーリ79aとの間で循環するように構成される。そして、第1循環ベルト77aの循環によりその第1従動プーリ79aとともに第2従動プーリ79bも回転し、第3従動プーリ79cとの間に掛け回された第2循環ベルト77bも循環させるように構成される。
【0051】
ここで、第1及び第2循環ベルト77a,77bはいわゆる歯付きベルトである。図10の拡大図に示すように、第2循環ベルト77bを代表して説明すると、その循環ベルト77bには幅方向に延びる凹凸77c,77dが長手方向に交互に連続して形成されるけれども、上述した実施の形態と異なり、その凹凸77c,77dを外側に向けて循環ベルト77bは第2及び第3従動プーリ79b,79cに架設される。一方、図11に示すように、第1及び第2循環ベルト77a,77bに係止する係止片86がパレット11に取付けられる。
【0052】
この実施の形態における係止片86は、パレット11における台座11bにパレットレール21を挟む両側に取付けられ、図10の拡大図に示すように、この係止片86に、第1及び第2循環ベルト77a,77bにおける凹凸77c,77dに係合可能な被凹凸86c,86dが形成される。そして、パレット11に設けられた係止片86における被凹凸86c,86dが第1及び第2循環ベルト77a,77bにおける凹凸77c,77dに係合すると、第1及び第2循環ベルト77a,77bと独立したパレット11のX軸方向の移動は禁止され、これにより係止片86が設けられたパレット11は循環ベルト27に係止される。
【0053】
このようにパレット11が係止された第1及び第2循環ベルト77a,77bを駆動源81により循環させると、パレット11が第1及び第2循環ベルト77a,77bとともに移動し、その第1及び第2循環ベルト77a,77bが沿うパレットレール21に沿ってそのパレット11を搬送するように構成される。そして、第1及び第2循環ベルト77a,77bを連結させてパレットレール21の両側に設けているので、パレットレール21を中心としてそれぞれのパレットテーブル12,62が移動する方向の側の反対側にその第1及び第2循環ベルト77a,77bを配置することができる。このため、2つのテーブル移動機構16,66のパレットテーブル12,62の移動方向が同じY軸方向であっても、テーブル移動機構16によりパレットテーブル12が欠損部21aに収容された状態でそこに搭載されたパレット11を第2循環ベルト77bに係止させることができ、第2欠損部21bに収容された別のパレットテーブル62に搭載されたパレット11が別の基準位置Ktに向かって移動する際に、第1循環ベルト77aとパレット11との係合を外すことができる。
【0054】
図9に戻って、この実施の形態におけるパレット搬送装置60は、その別のパレットテーブル62の移動方向に交差してその別の基準位置Ktにおける別のパレットテーブル62とその別の基準位置Ktから離間する別の目的位置Mtとを連結する別のパレットレール71が更に設けられる。この別のパレットレール71は、基準位置Kと目的位置Mを連結する前述したパレットレール21と同一構造であるので、繰り返しての説明を省略する。即ち、この実施の形態におけるパレット搬送装置60は、複数のパレットテーブル12,62と複数のテーブル移動機構16,66を交互に組み合わせることにより階段状の搬送経路を形成するものである。そして、この組み合わせの回数は図9のものに限定されるものではなく、工作機の数やその配置位置により適宜変更することができる。
【0055】
このような搬送装置60を用いたパレット搬送方法では、待機位置Tのパレットはその後複数の基準位置K,ktと複数の目的位置M,Mtとを交互に通過し、それらの基準位置K,ktにおいて搬送方向が変更されることになる。よって、このようなパレット搬送装置60であっても、パレット11に搭載されたワークの搬送方向を転換しつつ高速で待機位置Tから複数の目的位置Mにまで搬送することが可能になる。そして、基準位置K,ktにおいて搬送方向を変更することができるので、目的位置M,Mtや基準位置K,ktに対峙して設けられる加工機の配置の自由度をより一層増すことができる。
【0056】
また、このパレット搬送装置60では、凹凸77c,77dを外側に向けて第1及び第2循環ベルト77a,77bを設けたので、パレットレール21に沿ってパレット11を搬送すると、複数の目的位置M,Mtを通過したパレット11が更に駆動プーリ78を通過した段階でそれら循環ベルト77a,77bとパレット11との係止状態は解除され、パレットレール21,71からパレット11を取出すことが可能になる。このため、前述した実施の形態のパレット搬送方法において、そのテーブル接続工程とパレット搬送工程とを順次繰り返すことができ、前述した実施の形態におけるパレット戻し工程とテーブル離脱工程とを省いて、複数のパレット11を待機位置Tから複数の目的位置M,Mtに向かって同時に移動させることが可能になる。よって、一連の加工を部分的に行う複数の工作機を待機位置Tから加工の順に配置することにより、パレット11に搭載された図示しないワークに対して各工作機1〜3における加工を順に行わせることができる。
【0057】
なお、上述した実施の形態では、パレットレール21がパレットテーブル12の移動方向に直交して設けられた場合を説明したけれども、パレットレール21がパレットテーブル12の移動方向に交差する限り、パレットレール21をパレットテーブル12の移動方向に対して傾斜させても良い。
【0058】
また、上述した実施の形態では、短レール12bが設けられたパレットテーブル12を用い、パレット11の直線運動ブロック11aがその短レール12bに搭載されるパレットテーブル12を説明したけれども、短レール12bを設けることなく、パレット11を搭載可能なパレットテーブル12であっても良い。
【0059】
更に、上述した実施の形態では、電気駆動式のサーボモータ31,81からなる駆動源をパレットレール21の他端に設ける場合を例示したけれども、その駆動源31,81をパレットレール21の一端に設けても良く、駆動プーリ28,78と従動プーリ29,79a〜79cをパレットレール21以外の部分に設けても良い。また、駆動プーリ28,78を回転可能である限り駆動源としてサーボモータ31,81に代えて流体圧モータ又は流体圧シリンダ等を用い、その駆動源により循環ベルト27を循環させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0060】
10,60 パレット搬送装置
11 パレット
12,62 パレットテーブル
16,66 テーブル移動機構
21,71 パレットレール
26,76 搬送手段
27,77a,77b 循環ベルト
27a,27b,77c,77d 凹凸
31,81 サーボモータ(駆動源)
36c,36d,86c,86d 被凹凸
T 待機位置
K 基準位置
M 目的位置
Kt 別の基準位置
Mt 別の目的位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを載せるパレットを搬送するパレット搬送装置及びパレット搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製造ラインにおいて、ワークを真っ直ぐなベルトコンベアに載せて直線的に搬送し、搬送先の工作機においてそのコンベアに載せられたワークに対して所定の加工を行うことが知られている。一方、ワークを加工する加工機が複数ある場合には、その複数の加工機の配置はその加工機の大きさや設置場所等により異なり、複数の加工機が直線的に配置されていない場合にはそのワークの搬送方向を転換して搬送する必要が生じる。しかし、従来の真っ直ぐなベルトコンベアにあっては、複数のベルトコンベアを接続しなければワークの搬送方向を転換することができず、その接続が困難であるとともに複数のベルトコンベアが占める面積が増大して、ワークの搬送方向を転換させることは比較的困難であった。また、例えばステータ等の重量の大きいワークをベルトコンベアに載せて搬送する場合、ベルトコンベアを停止させた際にワークに働く慣性力が大きいため、ベルトコンベアにおける搬送速度を高めることが難しく、ストッパーを用いたとしても慣性力が大きいワークを正確に位置決めすることが難しいという不具合があった。
【0003】
このような不具合を解消するために、本出願人は工作機に対してワークを載せる複数のパレットを四角形の軌道で搬送するパレット搬送装置を提案した(例えば、特許文献1参照。)。この搬送装置では、互いに平行に延びる奥側パレットレールと手前側パレットレールと、奥側パレットレールと手前側パレットレールの各両端部に対峙する二位置間をそれぞれ移動してそれら各端部に対して接続可能とする左パレットレールと右パレットレールと、複数のパレットを奥側パレットレール又は手前側パレットレールに沿って進退させる左パレット送り機構と右パレット送り機構とを備える。そして、左パレット送り機構と右パレット送り機構の一方がパレットを前進させる動作とそれらの他方がパレットを後退させる動作とを同期して行い、その後複数のパレットを左パレット送り機構と右パレット送り機構の間に挟持して搬送することにより複数のパレットを四角形の軌道で搬送するようにしている。このように、複数のパレットを四角形の軌道で搬送するので、このパレットにワークを搭載することによりそのワークの搬送方向の転換が可能であり、また複数のパレットを左パレット送り機構と右パレット送り機構の間に挟持して搬送することにより、ワークの搬送速度と位置決め精度を高めることが期待できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−21629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記パレット搬送装置では、複数のパレットを左パレット送り機構と右パレット送り機構の間に挟持して搬送するので、その間に挟持されるパレットの数を増やさなければ、パレットの搬送距離を伸ばすことができない不具合があった。
【0006】
また、上記パレット搬送装置では、四角形の軌道で搬送されるパレットにワークを搭載することによりそのワークの搬送方向を転換することができるけれども、左パレット送り機構と右パレット送り機構の間に複数のパレットを挟持して搬送した後、左パレット送り機構と右パレット送り機構のいずれか一方がパレットを前進させ、いずれか他方がパレットを後退させた後でなければ、再びそれらにより複数のパレットを挟持して搬送することができない不具合もある。このため、それらの工程を複数回繰り返さなければパレットの搬送距離を長くすることができず、比較的長い距離にわたって速やかにパレットを搬送することが困難という未だ解決すべき課題が残存していた。
【0007】
本発明の目的は、パレットを増加させることなく、その搬送方向を転換しつつ、比較的長い距離にわたってパレットを速やかにかつ安定して搬送し得るパレット搬送装置及びパレット搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパレット搬送装置は、パレットを搭載可能に構成されたパレットテーブルと、パレットテーブルを待機位置と待機位置から離間する基準位置との間を移動させるテーブル移動機構と、パレットテーブルの移動方向に交差して基準位置のパレットテーブルと基準位置から離間する目的位置とを連結するパレットレールと、基準位置のパレットテーブルに搭載されたパレットをパレットレールに搭載して搬送する搬送手段とを備える。
【0009】
搬送手段は、パレットレールに沿って設けられ、パレットレール又は基準位置のパレットテーブルに搭載されたパレットに係止可能な循環ベルトと、循環ベルトを循環させて循環ベルトに係止されたパレットをパレットレールに沿って移動させる駆動源を備えことが好ましい。この場合、循環ベルトに幅方向に延びる凹凸が長手方向に交互に連続して形成され、凹凸に係合可能な被凹凸がパレットに形成され、パレットレール又は基準位置のパレットテーブルにパレットが搭載状態で凹凸に被凹凸が係合するように構成することができる。そして、少なくとも2つのテーブル移動機構を並列に設け、両側部に位置するテーブル移動機構におけるそれぞれの基準位置からパレットレールを互いに遠ざかる方向に延びて設けることが好ましい。一方、パレットレールの目的位置に達したパレットを搭載可能に構成された別のパレットテーブルと、その別のパレットテーブルを目的位置とその目的位置から離間する別の基準位置との間を移動させる別のテーブル移動機構とを更に備えることもできる。
【0010】
一方、本発明のパレット搬送方法は、パレットを待機位置と目的位置との間に搬送するパレット搬送方法である。
【0011】
その特徴ある点は、待機位置と目的位置との間に基準位置を設け、待機位置と基準位置の間の搬送方向と基準位置と目的位置の間の搬送方向を交差させるところにある。
【0012】
この場合、待機位置と基準位置の間の搬送がテーブル移動機構により待機位置と基準位置の間を移動するパレットテーブルにパレットを搭載することにより行われ、基準位置と目的位置の間の搬送が基準位置のパレットテーブルに搭載されたパレットを基準位置と目的位置を連結するパレットレールに搭載して行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパレット搬送装置及びパレット搬送方法では、待機位置と基準位置の間の搬送方向と基準位置と目的位置の間の搬送方向を交差させているので、ワークを搭載するパレットを、搬送方向を転換しつつ搬送することができ、これにより加工機の配置の自由度を増すことができる。この場合、パレットレールに搭載されたパレットの搬送を循環ベルトにパレットを係止させて行うようにすれば、パレットの数を増加させることなくそのパレットを比較的長い距離にわたって速やかに搬送することが可能になる。そして、パレットレール又は基準位置のパレットテーブルにパレットが搭載状態で循環ベルトの凹凸にパレットの被凹凸を係合させることにより循環ベルトにパレットを係止させるようにすれば、そのパレットの係止を比較的容易に行うことができる。ここで、少なくとも2つのテーブル移動機構を並列に設けるようにすれば、例えば待機位置では複数のパレットが接近していたとしても、目的位置に達した状態でその複数のパレット間の間隔を拡げることが可能になる。一方、目的位置に達したパレットを搭載する別のパレットテーブルと、その別のパレットテーブルを移動させる別のテーブル移動機構とを更に備えれば、例えば階段状にパレットを搬送することも可能になり、互いの間隔が異なりその配置が一直線上にない別の工作機までそれらのパレットを搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明実施形態のパレット搬送装置を示す上面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】そのパレットがパレットテーブルからパレットレール上に移動した状態を示す図2に対応する図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図2のC−C線断面図である。
【図6】そのパレットを搭載するパレットテーブルが基準位置から離れた状態を示す図5に対応する断面図である。
【図7】図1のD方向から観たパレットレールの正面図である。
【図8】図7のE−E線断面図である。
【図9】本発明の別のパレット搬送装置を示す図1に対応する上面図である。
【図10】図9のF−F線断面図である。
【図11】図10のG−G線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図8に、本発明におけるパレット搬送装置10を示す。各図において、互いに直交するX,Y,Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平前後方向、Z軸が鉛直方向に延びるものとし、パレット搬送装置10の構成について説明する。この実施の形態におけるパレット搬送装置10は、モータ等の電動機におけるステータを製造するラインに設けられるものを例示し、この製造ラインは3台の工作機1〜3が並ぶものを示す(図1)。この実施の形態における3台の工作機1〜3は、それぞれがパレット搬送装置10によって搬送される図示しないワークに対して絶縁部材を挿入しかつ巻線を行うものとする。
【0017】
図1に示すように、このパレット搬送装置10は、パレット11(図2)を搭載可能に構成されたパレットテーブル12と、そのパレットテーブル12を待機位置Tと待機位置TからY軸方向に離間する基準位置Kとの間を移動させるテーブル移動機構16と、パレットテーブル12の移動方向に交差して基準位置Kのパレットテーブル12とその基準位置KからX軸方向に離間する目的位置Mとを連結するパレットレール21とを備える。そして、この実施の形態では、3つのY軸方向に延びるテーブル移動機構16がX軸方向に並列に設けられ、両側部に位置するテーブル移動機構16におけるそれぞれの基準位置Kからパレットレール21が互いに遠ざかる方向であるX軸方向に延びて設けられる。これにより、この実施の形態では、それらのパレットレール21がパレットテーブル12の移動方向に交差して、具体的には直交して設けられたパレット搬送装置10を示す。
【0018】
3つのテーブル移動機構16はそれぞれ同一構造である。そして、互いに遠ざかる方向に延びて設けられたパレットレール21も同一構造のものが用いられる。このため、この実施の形態におけるパレット搬送装置10は、中央のテーブル移動機構16を対称軸とする対称構造を成すものであり、図1の右側におけるテーブル移動機構16及びパレットレール21を以下に代表して説明する。すると、図8に示すように、パレットレール21は、断面においてZ軸方向に長い方形を成す支持板22と、その支持板22の上縁にねじ止めにより固定された市販の直線運動ガイドレール23を備える。支持板22の下縁には取付板24が溶接され、この取付板24を基台10aにネジ止めすることによりパレットレール21はX軸方向に延びて基台10a上に直接固定される。図7に示すように、パレットレール21の基準位置Kにある一端部には、パレットテーブル12が進入可能な欠損部21aが形成され、パレットレール21の目的位置Mになる他端部には、その目的位置Mに対向して工作機1(図1)が設けられる。
【0019】
図8に戻って、このパレットレール21に搭載されるパレット11は、直線運動ガイドレール23を跨いでそのレール19上を移動可能に構成された直線運動ブロック11aと、そのブロック11aにねじ止めされた台座11bとを有する。この直線運動ブロック11aは直線運動ガイドレール23と対に販売される市販のものであって、図示しないローラーリテーナを備えるものが好ましい。これによりパレット11はパレットレール21に搭載可能に構成され、このような直線運動ブロック11aを用いることにより、その幅方向(Y軸方向)の移動を禁止しつつパレット11がパレットレール21上を移動する抵抗を著しく軽減することができる。そして、図示しないが、パレット11における台座11bには、その上部に図示しないワークを収めて搭載するためのワーク支持部材が別に取付けられる。
【0020】
一方、図2〜図5に示すように、パレットレール21の一端部に形成された欠損部21aには、Y軸方向に延びて設けられたテーブル移動機構16の他端部が交差して設けられる。テーブル移動機構16はパレットテーブル12を待機位置T(図1)と基準位置K(図1)との間を移動させるものであって、そのテーブル移動機構16により移動するパレットテーブル12は、前述したパレット11を搭載可能に構成される。具体的に、パレットテーブル12は、台板12aとその台板12aに補助部材12cを介して取付けられた短レール12bとを備える。このパレットテーブル12を移動させるテーブル移動機構16は、Y軸方向に延びて基台10a上に水平に取付けられて待機位置Tと基準位置Kを連結する平板17と、その平板17上にY軸方向に延びて取付けられたロッドレスシリンダ18(図2及び図3)と、そのロッドレスシリンダ18に平行に取付けられたテーブル用ガイドレール19とを備える。短レール12b及びテーブル用ガイドレール19はパレットレール21における直線運動ガイドレール23とそれぞれ同一構造のものである。短レール12bにあっては、図3に示すように、その長さLが欠損部21aの幅Wよりも僅かに短く形成され、そのパレットテーブル12が欠損部21aに進入して基準位置Kに有る場合に、その直線運動ガイドレール23に連続するように設けられる。
【0021】
図3〜図6に示すように、テーブル用ガイドレール19はロッドレスシリンダ18と略同一の長さを有し、そのガイドレール19を跨いでそのガイドレール19上を移動可能な直線運動ブロック16aがパレットテーブル12における台板12aに、この実施の形態では長手方向に所定の間隔を空けて2つの直線運動ブロック16aが取付けられる。一方、図3及び図4に示すように、テーブル移動機構16におけるロッドレスシリンダ18は、Y軸方向に延びるシリンダ本体18a上に、可動ブロック18bが移動可能に設けられたものであって、その可動ブロック18bにパレットテーブル12における台板12aが固定される。このロッドレスシリンダ18は、圧縮エアの供給方向により可動ブロック18bが待機位置T(図1)と待機位置Tから離間する基準位置K(図1)との間を移動可能に構成される。
【0022】
平板17とテーブル用ガイドレール19とシリンダ本体18aの端部はパレットレール21の欠損部21aに進入するように取付けられる。これにより、テーブル移動機構16は、可動ブロック18bとともにパレットテーブル12を、欠損部21aにあってその短レール12bがパレットレール21に連続する図3および図5に示す基準位置Kと、その欠損部21aからY軸方向に移動してパレットレール21から離間する図1に示す待機位置Tとの間を移動可能に構成される。そして、テーブル用ガイドレール19はその移動を補助するものとして設けられる。なお、このパレットテーブル12を移動させるテーブル移動機構16としてロッドレスシリンダ18を用いているけれども、その他の形状のエア又は油圧シリンダを用いてパレットテーブル12を移動させても良く、これらに代えてサーボモータ等の電動機を用いてパレットテーブル12を移動させるようにしても良い。
【0023】
図2〜図4に示すように、テーブル移動機構16は、この平板17と並列に設けられた案内レール20を備える。案内レール20は上方が解放する凹溝20aがY軸方向に延びて形成され、この凹溝20aに進入する進入片13aが先端に形成されたガイド部材13がパレット11に取付けられる。パレット11は、その直線運動ブロック11aがパレットテーブル12における短レール12bに搭載された状態でパレットテーブル12に搭載され、その状態で図4に示すように進入片13aが案内レール20の凹溝20aに進入することにより、X軸方向の移動を禁止するように構成される。
【0024】
図1に示すように、テーブル移動機構16における平板17の待機位置Tと基準位置Kにおける両端縁には当接板16b,16cがそれぞれ取付けられ、図3および図5に示すように、基準位置K側の当接板16cには待機位置Tから移動するパレットテーブル12が当接する衝撃を緩和するショックアブソーバ16dが設けられる。そして、パレットテーブル12がこのショックアブソーバ16dに当接することによりそのテーブル12は基準位置Kに至り、その状態でそのテーブル12における短レール12bがパレットレール21に連続するように構成される。図1に戻って、案内レール20の一端は当接板16bに当接して設けられる。そして、パレットテーブル12が待機位置TからY軸方向に移動して図2に示す基準位置Kに達すると、案内レール20の端部からその進入片13aが離脱して、パレット11のX軸方向の移動が許容されるように、案内レール20の他端はパレットレール21近傍にまで達するように形成される。
【0025】
図1に示すように、本発明のパレット搬送装置10は、基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されたパレット11をパレットレール21に搭載して搬送する搬送手段26を備える。この実施の形態におけるパレット搬送手段26は、パレットレール21に沿って設けられパレットレール21又は基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されたパレット11に係止可能な循環ベルト27と、循環ベルト27を循環させて循環ベルト27に係止されたパレット11をパレットレール21に沿って移動させる駆動源31とを備える。図7に示すように、循環ベルト27は、基準位置Kであるパレットテーブル12が進入する欠損部21aから工作機1に対向する所定の目的位置Mまでを連結するに足りる長さを有する。そして、この循環ベルト27は、その工作機1近傍に位置するパレットレール21の他端部に設けられた駆動プーリ28と、欠損部21aを挟んでそのパレットレール21の一端部に設けられた従動プーリ29との間に架設される。
【0026】
図8に示すように、この実施の形態における循環ベルト27を循環させる駆動源31は、パレットレール21に設けられて駆動プーリ28を回転可能なサーボモータ31であって、回転軸31aに駆動プーリ28が取付けられたサーボモータ31がパレットレール21の他端に取付けられる。そして、このサーボモータ31における制御は図示しないコントローラにより行われ、図示しないコントローラからの指令によりそのサーボモータ31が駆動すると、その回転軸31aが駆動プーリ28とともに回転し、駆動プーリ28に掛け回された循環ベルト27が従動プーリ29との間で循環するように構成される。この実施の形態における循環ベルト27はいわゆる歯付きベルトである。図7の拡大図に示すように、歯付きベルトである循環ベルト27は、幅方向に延びる凹凸27a,27bが長手方向に交互に連続して形成される。
【0027】
一方、図5に示すように、パレットレール21又は基準位置Kのパレットテーブル12にパレット11が搭載状態で、循環ベルト27に係止する係止片36がパレット11に取付けられる。この実施の形態における係止片36は、パレット11における台座11bに取付けられた上側ブロック36aと、その上側ブロック36aとともに循環ベルト17を挟むようにその上側ブロック36aの下側に設けられた下側ブロック36bを有する。図7の拡大図に示すように、この下側ブロック36bに、ベルト27〜29における凹凸27a,27bに係合可能な被凹凸36c,36dが形成され、パレット11に設けられた係止片36における被凹凸36c,36dが循環ベルト27における凹凸27a,27bに係合すると、循環ベルト27と独立したパレット11のX軸方向の移動は禁止され、これにより係止片36が設けられたパレット11は循環ベルト27に係止される。そして、このようにパレット11が係止されたベルト27を駆動源31により循環させると、パレット11が循環ベルト27とともに移動し、その循環ベルト27が沿うパレットレール21に沿ってそのパレット11は搬送することになる。
【0028】
また、循環ベルト27における凹凸27a,27b及び係止片36における被凹凸36c,36dはその幅方向、即ちY軸方向に延びて形成されるので、図6の破線矢印で示すように、パレット11がパレットテーブル12とともにY軸方向に移動して循環ベルト27から遠ざかると、Y軸方向に移動しない循環ベルト27の凹凸27a,27b(図7)に対して、パレット11に設けられた係止片36における被凹凸36c,36dはY軸方向に移動して循環ベルト27から外れることになる。即ち、このパレット搬送装置10は、パレット11が搭載されたパレットテーブル12をパレットレール21に連続する基準位置KからY軸方向に移動してそのパレットレール21から離間する待機位置Tに移動させると、パレットテーブル12に搭載されたパレット11が循環ベルト27から外れるように構成される。
【0029】
逆に、循環ベルト27における凹凸27a,27bを係止片36における被凹凸36c,36dとY軸方向に一致させた状態で、パレットレール21から離間する待機位置Tのパレットテーブル12がテーブル移動機構16によって図6の実線矢印で示すように基準位置Kに向かって移動し、パレットレール21の欠損部21aを埋めて図5に示す基準位置Kに達すると、図7の拡大図に示すように循環ベルト27の凹凸27a,27bにパレット11に設けられた係止片36における被凹凸36c,36dが係合することになる。即ち、このパレット搬送装置10では、パレットテーブル12が待機位置Tから基準位置Kに移動すると、そのパレットテーブル12に搭載されたパレット11もY軸方向に移動し、パレット11に設けられた係止片36はパレットレール21に沿って設けられた循環ベルト27に係止するように構成される。
【0030】
次に、上記パレット搬送装置を用いた本発明におけるパレット搬送方法を説明する。
【0031】
本発明におけるパレット搬送方法は、パレット11を待機位置Tと目的位置Mとの間に搬送する方法であるけれども、待機位置Tと目的位置Mとの間に基準位置Kを設け、その待機位置Tと基準位置Kの間の搬送方向と基準位置Kと目的位置Mの間の搬送方向を交差させることを特徴とする。この実施の形態では、待機位置Tと基準位置Kの間の搬送がテーブル移動機構16により待機位置Tと基準位置Kの間を移動するパレットテーブル12にパレット11を搭載することにより行われ、基準位置Kと目的位置Mの間の搬送が基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されたパレット11を基準位置Kと目的位置Mを連結するパレットレール21に搭載して行われる場合を示す。
【0032】
よって、本発明におけるパレット搬送方法は、パレット11を搭載したパレットテーブル12を待機位置Tから基準位置Kに移動させるテーブル接続工程と、基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されたパレット11をパレットレール21に移して所定の目的位置Mまで搬送するパレット搬送工程と、所定の目的位置Mにおけるパレット11を逆方向に搬送して基準位置Kにあるパレットテーブル12に搭載するパレット戻し工程と、パレット11が搭載されたパレットテーブル12をパレット11ともに基準位置Kから待機位置Tに移動させるテーブル離脱工程とを有するものといえる。以下に各工程を説明する。
【0033】
<テーブル接続工程>
この工程では、パレット11を搭載したパレットテーブル12をパレットレール21から離間する図1に示す待機位置Tからパレットレール21に連続する図2及び図5に示す基準位置Kに移動させる。そして、このテーブル接続工程において、パレット11をパレットレール21に沿って設けられた循環ベルト27に係止させる。このパレット11には既に加工用の図示しないワークが搭載されているものとし、その搭載はパレットテーブル12にパレット11を搭載した状態で行われ、又は予めワークが搭載されたパレット11をパレットテーブル12搭載することにより行われる。なお、この工程では、3つのテーブル移動機構16のそれぞれの待機位置Tにおけるパレットテーブル12は、互いに接近することになるので、それぞれのパレットテーブル12に搭載されたパレット11も互いに接近し、そのパレット11に図示しないワークを搭載する作業を、そのパレット11が互いに離間した状態で行う場合と比較して容易にすることができる。
【0034】
パレットテーブル12の移動は、テーブル移動機構16を構成するロッドレスシリンダ18に圧縮エアを供給してその可動ブロック18bを待機位置Tから基準位置Kへと移動させることにより行われる。すると、可動ブロック18bとともにパレットテーブル12も待機位置Tから図6の実線矢印で示すように基準位置Kへと移動する。これによりパレットテーブル12に搭載されたパレット11も待機位置Tから基準位置Kに移動し、図5に示すように、基準位置Kに達した状態でパレット11は循環ベルト27に係止される。循環ベルト27として歯付きベルトを用いるこの実施の形態では、パレットテーブル12を待機位置Tから基準位置Kに移動することにより、図7の拡大図に示すようにベルト27における凹凸27a,27bに、係止片36における被凹凸36c,36dを係合させることができ、これによりパレット11を循環ベルト27に係止させることを確実に行わせることができる。
【0035】
<パレット搬送工程>
この工程では、基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されて基準位置Kにあるパレット11をパレットレール21に移して搬送する。このパレット11の搬送は、循環ベルト27を循環させることにより行われる。循環ベルト27の循環は駆動源31により行われ、駆動源であるサーボモータ31を図示しないコントローラからの指令により駆動させると、駆動プーリ28が回転し、それらに掛け回された循環ベルト27が循環する。すると、循環ベルト27に係止されたパレット11は循環ベルト27の循環とともに移動してパレットテーブル12における短レール12bから図3に示すようにパレットレール21に移る。そして、サーボモータ31における駆動プーリ28の回転を継続すると、パレット11はそのパレットレール21上を移動して、最終的にパレット11は目的位置Mに到達し、加工機1に対峙させることができる。
【0036】
図1に示すように、3つのテーブル移動機構16が並列に設けられたこの実施の形態では、待機位置Tでそれぞれのパレットテーブル12に搭載されたパレット11は互いに接近しており、それらがテーブル移動機構16により移動して基準位置Kに達した状態であっても互いに接近した状態は維持される。しかし、両側部に位置するテーブル移動機構16におけるそれぞれの基準位置Kからパレットレール21は互いに遠ざかる方向に延びて設けられるので、そのパレットレール21上を移動するパレット11は互いの間隔を拡大させる。ここで、中央のテーブル移動機構16における基準位置Kに有るパレット11はその基準位置Kが目的位置Mでもあるので、両側部に位置するテーブル移動機構16におけるそれぞれの基準位置Kから互いに遠ざかる方向に搬送されたパレット11は、互いの間隔を拡大しつつ、最終的に各工作機1〜3に対峙する所定の目的位置Mまで搬送される。このため、待機位置Tのパレットテーブル12に搭載された状態で複数のパレット11は接近していたけれども、搬送後ではそれらパレット11の間隔を広げることができる。そして、複数のパレット11の間隔は循環ベルト27の循環速度又は時間調整することにより自在に調整することができる。
【0037】
なお、複数のパレット11が各工作機1〜3に対峙した状態で、各工作機1〜3を作動させ、パレットレール21に搭載された各パレット11に載った図示しない各ワークに対して絶縁部材を挿入しかつ巻線作業が並行して行われる。
【0038】
<パレット戻し工程>
この工程では、パレットレール21に沿って搬送されて所定の目的位置Mにあるパレット11を逆方向に搬送して基準位置Kにあるパレットテーブル12に搭載する。この工程におけるパレット11の搬送も循環ベルト27を循環させることにより行われ、このパレット11の搬送は各工作機1〜3における図示しないワークに対する加工が終了した後に行われる。循環ベルト27の循環方向は上記パレット搬送工程における循環方向と逆であり、サーボモータ31を用いるこの実施の形態では、その回転方向を逆にして駆動プーリ28を上記パレット搬送工程と逆方向に回転させる。これにより、循環ベルト27も逆方向に循環し、各工作機1〜3に対峙したパレット11の間隔を減少させつつパレットレール21上を逆方向に搬送し、図2に示すように、パレット11を基準位置Kにあるパレットテーブル12に搭載する。
【0039】
<テーブル離脱工程>
この工程では、パレット11が搭載されたパレットテーブル12をパレット11ともに図2に示す基準位置Kから図1に示す待機位置Tに移動させる。そして、このテーブル離脱工程においてパレットテーブル12に搭載されたパレット11を循環ベルト27から外す。循環ベルト27として歯付きベルトを用いるこの実施の形態では、図6の破線矢印で示すように、パレット11をパレットテーブル12とともにY軸方向に移動して循環ベルト27から遠ざけると、Y軸方向に移動しない循環ベルト27の凹凸27a,27bから係止片36における被凹凸36c,36dがY軸方向へずれて外れる。よって、循環ベルト27として歯付きベルトを用いることにより、パレット11を搭載するパレットテーブル12を基準位置Kから待機位置Tに移動するだけで、パレットテーブル12に搭載されたパレット11を循環ベルト27から容易に外すことができることになる。
【0040】
図1に示すように、3つのテーブル移動機構16によりパレットレール21から離間した待機位置Tのパレットテーブル12では、その3つのテーブル移動機構16におけるそれぞれのパレット11に搭載され各工作機1〜3において同一の加工が行われた図示しないワークの全てを新たなワークに入れ替える。これにより、それ以前に加工が終了したワークを搭載するパレット11が複数ある場合には、それらパレット11の渋滞を解消することができる。即ち、各工作機1〜3は同一の加工を行うものであるので、待機位置Tのパレットテーブル12において、全てのパレット11をワークが搭載された新たなパレット11に入れ替えるか或いはパレット11を残存させて全てのワークを新たなワークに入れ替えるようにすれば、複数のパレット11に搭載された複数のワークに対して同時に同一の加工を施すことができる。このため、この工作機1〜3における加工時間が比較的長いものであっても、前工程の比較的短時間で加工が終了して渋滞している複数のパレット11におけるワークに対して複数の工作機が同時に同一の加工を施すことができる。よって、その加工工程に至る前段階において、その前工程の比較的短時間で加工が終了したパレット11の渋滞を解消し、単一の工作機が加工していた場合に比較してその作業時間を短縮させることができる。そして、その後再びテーブル接続工程に戻り、そのテーブル接続工程からテーブル離脱工程までが繰り返されることになる。
【0041】
以上のような構成のパレット搬送装置10及びパレット搬送方法では、パレット11がパレットレール21及びパレットテーブル12に搭載された状態で移動するため、重量の大きいワークがそのパレット11に搭載されていたとしても、そのワークを搬送方向を転換しつつ高速で待機位置Tから目的位置Mにまで搬送することが可能になり、加工機1〜3の配置の自由度を増すことができる。そして、少なくとも2以上のテーブル移動機構16を用いて待機位置Tにおけるパレットテーブル12を互いに接近させることにより、それらに搭載されたパレット11も互いに接近し、そのパレット11に図示しないワークを搭載する作業を、そのパレット11が互いに離間した状態で行う場合と比較して容易にすることができ、その生産性を高めることができる。
【0042】
また、このようなパレット搬送装置10及びパレット搬送方法では、基準位置Kから目的位置Mまでの搬送を、循環する循環ベルト27にパレット11を係止させることにより行うので、循環ベルト27の循環速度又は時間を異ならせることにより、そのパレット11が到達するまでの移動距離を異ならせることができる。このため、少なくとも2つのテーブル移動機構16を並列に設けることにより、それらにより搬送されるパレット11の間隔を容易に変更することができ、待機位置Tで接近していたパレット11を搬送後ではそれらの間隔を広げて、間隔を空けて設けられた複数の工作機に別々に対峙させることができる。そして、それらのパレット11を待機位置Tに戻した状態で、その複数のパレット11を互いに接近させることもできる。よって、各工作機1〜3の変更又は加工対象物の変更等が成されて、ワークを搬送する間隔の変更が必要になっても、パレット11自体を変更することなく速やかにその間隔の変更に対応させることが可能となる。
【0043】
なお、上述した実施の形態では、ワークに対して同一の加工を行う工作機1〜3を用い、待機位置Tのパレットテーブル12において、全てのワークを新たなワークに入れ替えてパレットの渋滞を解消する場合を説明したが、各工作機1〜3は一連の加工を部分的に行うようなものであっても良い。例えば、工作機1〜3としてワークに対して絶縁部材の挿入しかつ巻線を行うものと、各相のコイルにリード線のカシメを行うものと、溶接等を行うものとを用い、各工作機1〜3がこれらの加工を順に行って図示しないステータを自動的に製造するようなものであっても良い。この場合には、パレットレール21から離間した待機位置Tのパレットテーブル12において、複数のパレット11の搭載された図示しないワークを作業員が順次移動させることにより、各工作機1〜3における加工が順に行われることになり、図示しないステータを自動的に製造することができる。
【0044】
また、上述した実施の形態では、3つのテーブル移動機構16が同一構造であるとしたけれども、並列に設けられた3つのテーブル移動機構16内の中央のテーブル移動機構は、パレットテーブル12を待機位置Tとその待機位置Tから離間する基準位置Kとの間を移動可能である限り、ロングストロークの単軸ロボットであっても良い。
【0045】
更に、上述した実施の形態では、3つのテーブル移動機構16が並列に設けられる場合を説明したが、両側部に位置するテーブル移動機構16におけるそれぞれの基準位置Kからパレットレール21が互いに遠ざかる方向に延びて設ける場合には、テーブル移動機構16は2つであっても良く、4つ以上のテーブル移動機構16を用いても良い。
【0046】
次に、図9〜図11に本発明の別の実施の形態を示す。図面中上述した実施の形態と同一符号は同一部品を示し、繰り返しての説明を省略する。
【0047】
この別の実施の形態におけるパレット搬送装置60は、パレット11を搭載可能に構成されたパレットテーブル12と、そのパレットテーブル12を待機位置Tとその待機位置Tから離間する基準位置Kとの間を移動させるテーブル移動機構16と、パレットテーブル12の移動方向に交差して基準位置Kのパレットテーブル12と基準位置Kから離間する目的位置Mとを連結するパレットレール21と、その基準位置Kのパレットテーブル12に搭載されたパレット11をパレットレール21に搭載して搬送する搬送手段76とを備える。パレットテーブル12とテーブル移動機構16とパレットレール21に関しては上述した実施の形態におけるものと同一であるので、繰り返しての説明を省略する。
【0048】
そして、この実施の形態におけるパレット搬送装置60は、パレットレール21の目的位置Mに達したパレット11を搭載可能に構成された別のパレットテーブル62と、その別のパレットテーブル62を目的位置Mとその目的位置Mから離間する別の基準位置Ktとの間を移動させる別のテーブル移動機構66とを更に備える。別のパレットテーブル62は先の実施の形態におけるパレットテーブル12と同一構造であり、その符号に50を加えて表し、繰り返しての説明を省略する。図10に示すように、パレットレール21の目的位置Mにある他端部には、別のパレットテーブル62が進入可能な第2欠損部21bが形成され、この第2欠損部21bには、Y軸方向に延びて設けられた別のテーブル移動機構66の他端部が交差して設けられる。第2欠損部21bは一端部に形成された欠損部21aと同一形状であり、この別のテーブル移動機構66にあっても、先の実施の形態におけるテーブル移動機構16と同一構造であり、この先のものの符号に50を加えて表すので、繰り返しての説明を省略する。
【0049】
パレット11を搬送する搬送手段76は、パレットレール21に沿って設けられパレットレール21又はそれに連続するパレットテーブル12,62に搭載されたパレット11に係止可能な第1及び第2循環ベルト77a,77bと、その第1及び第2循環ベルト77a,77bを循環させる駆動源81とを備える。図9に示すように、第1循環ベルト77aは待機位置T側であって、パレットレール21の他端部に設けられた駆動プーリ78と、第2欠損部21b(図10)を挟んでそのパレットレール21の中央に設けられた第1従動プーリ79aとの間に架設される。第2循環ベルト77bは第1循環ベルト77aが存在しない反対側であって、パレットレール21の中央に設けられた第2従動プーリ79bと、欠損部21a(図10)を挟んでパレットレール21の一他端部に設けられた第3従動プーリ79cとの間に架設される。そして第1及び第2従動プーリ79a,79bはパレットレール22の幅方向(Y軸方向)の両側に中心軸79dにより連結されて設けられる。そして、第1従動プーリ79aが回転すると中心軸79dにより連結された第2従動プーリ79bも回転するように中心軸79dがパレットレール21に枢支される。
【0050】
図10に示すように、駆動源81は、パレットレール21に設けられて駆動プーリ78を回転可能なサーボモータ81であって、回転軸81aに駆動プーリ78が取付けられたサーボモータ81がパレットレール21の他端に取付けられる。そして、図示しないコントローラからの指令によりそのサーボモータ81が駆動すると、その回転軸81aが駆動プーリ78とともに回転し、駆動プーリ78に掛け回された第1循環ベルト77aが第1従動プーリ79aとの間で循環するように構成される。そして、第1循環ベルト77aの循環によりその第1従動プーリ79aとともに第2従動プーリ79bも回転し、第3従動プーリ79cとの間に掛け回された第2循環ベルト77bも循環させるように構成される。
【0051】
ここで、第1及び第2循環ベルト77a,77bはいわゆる歯付きベルトである。図10の拡大図に示すように、第2循環ベルト77bを代表して説明すると、その循環ベルト77bには幅方向に延びる凹凸77c,77dが長手方向に交互に連続して形成されるけれども、上述した実施の形態と異なり、その凹凸77c,77dを外側に向けて循環ベルト77bは第2及び第3従動プーリ79b,79cに架設される。一方、図11に示すように、第1及び第2循環ベルト77a,77bに係止する係止片86がパレット11に取付けられる。
【0052】
この実施の形態における係止片86は、パレット11における台座11bにパレットレール21を挟む両側に取付けられ、図10の拡大図に示すように、この係止片86に、第1及び第2循環ベルト77a,77bにおける凹凸77c,77dに係合可能な被凹凸86c,86dが形成される。そして、パレット11に設けられた係止片86における被凹凸86c,86dが第1及び第2循環ベルト77a,77bにおける凹凸77c,77dに係合すると、第1及び第2循環ベルト77a,77bと独立したパレット11のX軸方向の移動は禁止され、これにより係止片86が設けられたパレット11は循環ベルト27に係止される。
【0053】
このようにパレット11が係止された第1及び第2循環ベルト77a,77bを駆動源81により循環させると、パレット11が第1及び第2循環ベルト77a,77bとともに移動し、その第1及び第2循環ベルト77a,77bが沿うパレットレール21に沿ってそのパレット11を搬送するように構成される。そして、第1及び第2循環ベルト77a,77bを連結させてパレットレール21の両側に設けているので、パレットレール21を中心としてそれぞれのパレットテーブル12,62が移動する方向の側の反対側にその第1及び第2循環ベルト77a,77bを配置することができる。このため、2つのテーブル移動機構16,66のパレットテーブル12,62の移動方向が同じY軸方向であっても、テーブル移動機構16によりパレットテーブル12が欠損部21aに収容された状態でそこに搭載されたパレット11を第2循環ベルト77bに係止させることができ、第2欠損部21bに収容された別のパレットテーブル62に搭載されたパレット11が別の基準位置Ktに向かって移動する際に、第1循環ベルト77aとパレット11との係合を外すことができる。
【0054】
図9に戻って、この実施の形態におけるパレット搬送装置60は、その別のパレットテーブル62の移動方向に交差してその別の基準位置Ktにおける別のパレットテーブル62とその別の基準位置Ktから離間する別の目的位置Mtとを連結する別のパレットレール71が更に設けられる。この別のパレットレール71は、基準位置Kと目的位置Mを連結する前述したパレットレール21と同一構造であるので、繰り返しての説明を省略する。即ち、この実施の形態におけるパレット搬送装置60は、複数のパレットテーブル12,62と複数のテーブル移動機構16,66を交互に組み合わせることにより階段状の搬送経路を形成するものである。そして、この組み合わせの回数は図9のものに限定されるものではなく、工作機の数やその配置位置により適宜変更することができる。
【0055】
このような搬送装置60を用いたパレット搬送方法では、待機位置Tのパレットはその後複数の基準位置K,ktと複数の目的位置M,Mtとを交互に通過し、それらの基準位置K,ktにおいて搬送方向が変更されることになる。よって、このようなパレット搬送装置60であっても、パレット11に搭載されたワークの搬送方向を転換しつつ高速で待機位置Tから複数の目的位置Mにまで搬送することが可能になる。そして、基準位置K,ktにおいて搬送方向を変更することができるので、目的位置M,Mtや基準位置K,ktに対峙して設けられる加工機の配置の自由度をより一層増すことができる。
【0056】
また、このパレット搬送装置60では、凹凸77c,77dを外側に向けて第1及び第2循環ベルト77a,77bを設けたので、パレットレール21に沿ってパレット11を搬送すると、複数の目的位置M,Mtを通過したパレット11が更に駆動プーリ78を通過した段階でそれら循環ベルト77a,77bとパレット11との係止状態は解除され、パレットレール21,71からパレット11を取出すことが可能になる。このため、前述した実施の形態のパレット搬送方法において、そのテーブル接続工程とパレット搬送工程とを順次繰り返すことができ、前述した実施の形態におけるパレット戻し工程とテーブル離脱工程とを省いて、複数のパレット11を待機位置Tから複数の目的位置M,Mtに向かって同時に移動させることが可能になる。よって、一連の加工を部分的に行う複数の工作機を待機位置Tから加工の順に配置することにより、パレット11に搭載された図示しないワークに対して各工作機1〜3における加工を順に行わせることができる。
【0057】
なお、上述した実施の形態では、パレットレール21がパレットテーブル12の移動方向に直交して設けられた場合を説明したけれども、パレットレール21がパレットテーブル12の移動方向に交差する限り、パレットレール21をパレットテーブル12の移動方向に対して傾斜させても良い。
【0058】
また、上述した実施の形態では、短レール12bが設けられたパレットテーブル12を用い、パレット11の直線運動ブロック11aがその短レール12bに搭載されるパレットテーブル12を説明したけれども、短レール12bを設けることなく、パレット11を搭載可能なパレットテーブル12であっても良い。
【0059】
更に、上述した実施の形態では、電気駆動式のサーボモータ31,81からなる駆動源をパレットレール21の他端に設ける場合を例示したけれども、その駆動源31,81をパレットレール21の一端に設けても良く、駆動プーリ28,78と従動プーリ29,79a〜79cをパレットレール21以外の部分に設けても良い。また、駆動プーリ28,78を回転可能である限り駆動源としてサーボモータ31,81に代えて流体圧モータ又は流体圧シリンダ等を用い、その駆動源により循環ベルト27を循環させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0060】
10,60 パレット搬送装置
11 パレット
12,62 パレットテーブル
16,66 テーブル移動機構
21,71 パレットレール
26,76 搬送手段
27,77a,77b 循環ベルト
27a,27b,77c,77d 凹凸
31,81 サーボモータ(駆動源)
36c,36d,86c,86d 被凹凸
T 待機位置
K 基準位置
M 目的位置
Kt 別の基準位置
Mt 別の目的位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット(11)を搭載可能に構成されたパレットテーブル(12)と、
前記パレットテーブル(12)を待機位置(T)と前記待機位置(T)から離間する基準位置(K)との間を移動させるテーブル移動機構(16)と、
前記パレットテーブル(12)の移動方向に交差して前記基準位置(K)の前記パレットテーブル(12)と前記基準位置(K)から離間する目的位置(M)とを連結するパレットレール(21)と、
前記基準位置(K)の前記パレットテーブル(12)に搭載された前記パレット(11)を前記パレットレール(21)に搭載して搬送する搬送手段(26)と
を備えたパレット搬送装置。
【請求項2】
搬送手段(26)は、
パレットレール(21)に沿って設けられ,前記パレットレール(21)又は基準位置(K)のパレットテーブル(12)に搭載されたパレット(11)に係止可能な循環ベルト(27)と、
前記循環ベルト(27)を循環させて前記循環ベルト(27)に係止された前記パレット(11)を前記パレットレール(21)に沿って移動させる駆動源(31)と
を備えた請求項1記載のパレット搬送装置。
【請求項3】
循環ベルト(27)に幅方向に延びる凹凸(27a,27b)が長手方向に交互に連続して形成され、
前記凹凸(27a,27b)に係合可能な被凹凸(36c,36d)がパレット(11)に形成され、
パレットレール(21)又は基準位置(K)のパレットテーブル(12)に前記パレット(11)が搭載状態で前記凹凸(27a,27b)に前記被凹凸(36c,36d)が係合するように構成された請求項2記載のパレット搬送装置。
【請求項4】
少なくとも2つのテーブル移動機構(16)が並列に設けられ、両側部に位置する前記テーブル移動機構(16)におけるそれぞれの基準位置(K)からパレットレール(21)が互いに遠ざかる方向に延びて設けられた請求項1ないし3いずれか1項に記載のパレット搬送装置。
【請求項5】
パレットレール(21)の目的位置(M)に達したパレット(11)を搭載可能に構成された別のパレットテーブル(62)と、
前記別のパレットテーブル(62)を前記目的位置(M)と前記目的位置(M)から離間する別の基準位置(Kt)との間を移動させる別のテーブル移動機構(66)と
を更に備えた請求項1ないし3いずれか1項に記載のパレット搬送装置。
【請求項6】
パレット(11)を待機位置(T)と目的位置(M)との間に搬送するパレット搬送方法であって、
前記待機位置(T)と前記目的位置(M)との間に基準位置(K)を設け、
前記待機位置(T)と前記基準位置(K)の間の搬送方向と前記基準位置(K)と前記目的位置(M)の間の搬送方向を交差させる
ことを特徴とするパレット搬送方法。
【請求項7】
待機位置(T)と基準位置(K)の間の搬送がテーブル移動機構(16)により待機位置(T)と基準位置(K)の間を移動するパレットテーブル(12)にパレット(11)を搭載することにより行われ、
前記基準位置(K)と目的位置(M)の間の搬送が前記基準位置(K)の前記パレットテーブル(12)に搭載された前記パレット(11)を前記基準位置(K)と前記目的位置(M)を連結するパレットレール(21)に搭載して行われる請求項6記載のパレット搬送方法。
【請求項1】
パレット(11)を搭載可能に構成されたパレットテーブル(12)と、
前記パレットテーブル(12)を待機位置(T)と前記待機位置(T)から離間する基準位置(K)との間を移動させるテーブル移動機構(16)と、
前記パレットテーブル(12)の移動方向に交差して前記基準位置(K)の前記パレットテーブル(12)と前記基準位置(K)から離間する目的位置(M)とを連結するパレットレール(21)と、
前記基準位置(K)の前記パレットテーブル(12)に搭載された前記パレット(11)を前記パレットレール(21)に搭載して搬送する搬送手段(26)と
を備えたパレット搬送装置。
【請求項2】
搬送手段(26)は、
パレットレール(21)に沿って設けられ,前記パレットレール(21)又は基準位置(K)のパレットテーブル(12)に搭載されたパレット(11)に係止可能な循環ベルト(27)と、
前記循環ベルト(27)を循環させて前記循環ベルト(27)に係止された前記パレット(11)を前記パレットレール(21)に沿って移動させる駆動源(31)と
を備えた請求項1記載のパレット搬送装置。
【請求項3】
循環ベルト(27)に幅方向に延びる凹凸(27a,27b)が長手方向に交互に連続して形成され、
前記凹凸(27a,27b)に係合可能な被凹凸(36c,36d)がパレット(11)に形成され、
パレットレール(21)又は基準位置(K)のパレットテーブル(12)に前記パレット(11)が搭載状態で前記凹凸(27a,27b)に前記被凹凸(36c,36d)が係合するように構成された請求項2記載のパレット搬送装置。
【請求項4】
少なくとも2つのテーブル移動機構(16)が並列に設けられ、両側部に位置する前記テーブル移動機構(16)におけるそれぞれの基準位置(K)からパレットレール(21)が互いに遠ざかる方向に延びて設けられた請求項1ないし3いずれか1項に記載のパレット搬送装置。
【請求項5】
パレットレール(21)の目的位置(M)に達したパレット(11)を搭載可能に構成された別のパレットテーブル(62)と、
前記別のパレットテーブル(62)を前記目的位置(M)と前記目的位置(M)から離間する別の基準位置(Kt)との間を移動させる別のテーブル移動機構(66)と
を更に備えた請求項1ないし3いずれか1項に記載のパレット搬送装置。
【請求項6】
パレット(11)を待機位置(T)と目的位置(M)との間に搬送するパレット搬送方法であって、
前記待機位置(T)と前記目的位置(M)との間に基準位置(K)を設け、
前記待機位置(T)と前記基準位置(K)の間の搬送方向と前記基準位置(K)と前記目的位置(M)の間の搬送方向を交差させる
ことを特徴とするパレット搬送方法。
【請求項7】
待機位置(T)と基準位置(K)の間の搬送がテーブル移動機構(16)により待機位置(T)と基準位置(K)の間を移動するパレットテーブル(12)にパレット(11)を搭載することにより行われ、
前記基準位置(K)と目的位置(M)の間の搬送が前記基準位置(K)の前記パレットテーブル(12)に搭載された前記パレット(11)を前記基準位置(K)と前記目的位置(M)を連結するパレットレール(21)に搭載して行われる請求項6記載のパレット搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−189999(P2011−189999A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55300(P2010−55300)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
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