説明

切断機

【解決手段】鉄骨柱1に固定される上側支持台12と下側支持台16との間で架設した案内レール20に沿って自重により移動し得る切断ユニット21を備え、切断ユニット21の下降に伴い、鉄骨柱1から突出する切断片8を無端状バンドソー27により切断する。上側支持台12及び下側支持台16に取り付けた載置台42,51を鉄骨柱1に対し接近離間する方向へ移動調節して、鉄骨柱1に対する無端状バンドソー27の距離を設定することができる。
【効果】立てた鉄骨柱1から突出して残る切断片8を鉄骨柱1からできる限り突出しないように無端状バンドソー27により切断して除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築施工時に各種目的で建築物の鉄骨柱などの柱から突出して残る被切断物を切断して除去するための切断機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の切断機においては、取付フレームの四隅に取付脚が取着された取付台で、その取付フレームに対し横方向へ移動可能に支持された本体フレームには、取付フレームの上方で駆動モータにより回転する駆動ローラが支持されているとともに、取付フレームの下方で従動ローラが支持され、各取付脚間で横方向へ架設された回転軸がハンドルにより回転して本体フレームが回転軸に沿って横方向へ移動すると、この駆動ローラと従動ローラとの間で縦方向へ掛け渡されたバンドソーは、横方向へ寝かされた鉄骨柱に沿って横方向へ移動し、鉄骨柱の被切断物を切断して除去することができる(下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−266003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような切断機を利用する際には、被切断物が鉄骨柱からできる限り突出しないように被切断物をバンドソーにより切断して除去する必要がある。
この発明は、立てた柱から突出して残る被切断物を切断して除去するための切断機において、被切断物が柱からできる限り突出しないように被切断物をバンドソーにより切断して除去することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後記実施形態の図面(図1〜9)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる切断機は、下記のように構成されている。
この切断機は、柱1に固定される上側支持台12と下側支持台16との間で上下方向Zへ延びるように架設した案内レール20に沿って上下方向Zへ移動し得る切断ユニット21を備えている。その切断ユニット21は、案内レール20に対し上下方向Zへ移動可能に支持した取付体(スライダ22及びブラケット23)と、その取付体23に支持した駆動ローラ24、従動ローラ25及び駆動モータ26と、その駆動モータ26により回転する駆動ローラ24と従動ローラ25との間で互いに掛け渡した無端状バンドソー27とを備えている。前記上側支持台12及び下側支持台16には、それぞれ、柱1に対する無端状バンドソー27の距離を設定することができる載置台42,51を柱1に対し接近離間する方向Xへ移動調節可能に取り付けている。前記切断ユニット21の自重により、取付体22,23が駆動ローラ24や駆動モータ26や従動ローラ25や無端状バンドソー27とともに案内レール20に対し下降するようにして、柱1から突出する被切断物8,9を無端状バンドソー27により切断する。
【0006】
請求項1の発明では、上側支持台12及び下側支持台16の載置台42,51を移動調節して、柱1に対する無端状バンドソー27の距離を設定することができるので、立てた柱1から突出して残る被切断物8,9を柱1からできる限り突出しないように無端状バンドソー27により切断して除去することができる。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明にかかる上側支持台12及び下側支持台16において載置台42,51は着脱可能に取り付けられている。請求項2の発明では、上側支持台12及び下側支持台16が載置される柱1の形態に応じて適切な形態の載置台42,51に変更して切断機を柱1に安定性良く取り付けることができる。
【0008】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明においては、上側支持台12と下側支持台16との間と、柱1と案内レール20との間と、取付体22,23の移動方向Zに対し直交する左右方向Yにおける案内レール20の両側とにより設けた移動許容スペースSで、案内レール20に対する左右両側のうち、一方の側には駆動ローラ24を配設するとともに、他方の側には従動ローラ25を配設している。請求項3の発明では、立てた柱1から突出して残る被切断物8,9を切断して除去するための切断機のみに着目した設計であるため、切断ユニット21が自重により下降するだけでよく、切断ユニット21の移動手段を省略することができる。従って、駆動モータ26と駆動ローラ24と従動ローラ25と無端状バンドソー27とを支障なく配設し得る程度に上記の移動許容スペースSを小さく設定することができる。
【0009】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記上側支持台12と下側支持台16との間には、無端状バンドソー27による被切断物8,9の切断時に生じる移動力Fを阻止するストッパとして、案内レール20に対する左右両側のうち一方の側に配設した駆動ローラ24側で、前記切断ユニット21を上下方向Zへ移動可能に支持する案内部材(案内ロッド39及び案内筒41)を取り付けている。請求項4の発明では、案内部材39,41により、切断機の横触れを防止することができる。
【0010】
請求項3または請求項4の発明を前提とする請求項5の発明にかかる下側支持台16においては、案内レール20に対する左右両側で柱1に吸着される磁石62aを柱1に対し接近離間する方向Xへ揺動可能に取り付けている。請求項5の発明では、下側支持台16で揺動可能に取り付けた磁石62aにより、下側支持台16が載置される柱1の形態に応じて切断機を柱1に安定性良く取り付けることができる。
【0011】
請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項6の発明において、前記切断ユニット21は案内レール20に対しばね34の弾性力により圧接されながら取付体22とともに上下方向Zへ移動する位置決めピン33を有し、案内レール20に形成した位置決め孔35,36に対しその位置決めピン33がばね34の弾性力により係入されて切断ユニット21の下降が阻止される。請求項6の発明では、切断ユニット21が自重により下降する際、切断ユニット21の下降を容易に阻止することができる。
【0012】
請求項1から請求項6のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項7の発明において、前記下側支持台16には、柱1に上側支持台12及び下側支持台16を固定する際に、柱1から突出する被切断物8,9の上端部に支持されるゲージ10の目印10aに合わすことができる位置決め部(帯支持部材59)を設けている。請求項7の発明では、ゲージ10の目印10aにより柱1に描いた目印11に切断機の位置決め部59を合わせて切断機を柱1に取り付けると、無端状バンドソー27を被切断物8,9に対する切断開始位置に合わせることができる。
【0013】
請求項1から請求項7のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項8の発明にかかる下側支持台16において、柱1に固定される支持部材59を分離して設けている。請求項8の発明では、柱1に固定した支持部材59に切断機(この支持部材59を除く切断機本体)を載せた状態で柱1に対し容易に着脱することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、切断ユニット21が自重により下降する際、立てた柱1から突出して残る被切断物8,9を柱1からできる限り突出しないように無端状バンドソー27により切断して除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は鉄骨柱に支持板を取着した状態を示す部分斜視図であり、(b)はその支持板を切断した後の切断片が鉄骨柱に残った状態を示す部分斜視図であり、(c)はその切断片にゲージを支持した状態を示す正面図である。
【図2】図1(a)の鉄骨柱に取り付けた本実施形態の切断機において切断ユニットの最上昇状態を示す正面図である。
【図3】同じく切断ユニットの最上昇状態を示す側面図である。
【図4】(a)(b)はそれぞれ切断機の上側支持台の載置台を示す平面図である。
【図5】(a)(b)はそれぞれ切断機の下側支持台の載置台を示す底面図である。
【図6】切断機の下側支持台の磁石を示す底面図である。
【図7】(a)は図1(a)の鉄骨柱に取り付けた本実施形態の切断機において切断ユニットの位置決めピンを案内レールの位置決め孔に係入した状態を側面側から見た部分断面図であり、(b)は同じく位置決めピンを位置決め孔から抜いて案内レールに圧接した状態を側面側から見た部分断面図であり、(c)は同じく位置決めピンを位置決め孔から抜いて支持筒に引掛けた状態を側面側から見た部分断面図である。
【図8】図1(a)の鉄骨柱に取り付けた本実施形態の切断機において切断ユニットの最下降状態を示す正面図である。
【図9】同じく切断ユニットの最下降状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態にかかる切断機について図面を参照して説明する。
図1(a)に示す鉄骨柱1のように、上側柱2と下側柱3とにそれぞれ取着された支持板4,5の基準位置に合わせ板(図示せず)を取着してそれらの支持板4,5をこの合わせ板(図示せず)により互いに連結し、その上側柱2と下側柱3とを互いにずれることなくその合わせ板(図示せず)に正確に合わせた後に溶接部7により接続した際に、それらの支持板4,5が鉄骨柱1から突出して残る。下側柱3の支持板5は、上側柱2の支持板4や鉄骨柱1に対し分離された上半部で溶接部7を回避することができる切欠き6を有している。それらの支持板4,5を溶断して除去すると、図1(b)に示すように、各支持板4,5の根元部分が切断片8,9として鉄骨柱1に残る。この切断機はこれらの切断片8,9(被切断物)を切断して除去するためのものである。例えば、上側柱2の切断片8を切断する場合には、この切断機を鉄骨柱1にセットする前に、二股状のゲージ10をその切断片8の上端部に載せて支持し、そのゲージ10の両下端部10a(目印)間を結ぶケガキ線11(目印)を鉄骨柱1に描く。
【0017】
図2,8及び図3,9に示す上側支持台12においてT状の主体部13は左右方向Yへ延びる固定部14と前後方向Xへ延びる腕部15とからなり、下側支持台16において主体部17は固定部18から前後方向Xへ延びる腕部19を有し、それらの腕部15,19の前端部間で一本の案内レール20が上下方向Zへ延びるように着脱可能に架設され、その案内レール20に沿って切断ユニット21が上下方向Zへ移動し得る。
【0018】
前記切断ユニット21は、案内レール20に対し上下方向Zへ移動可能に支持されたスライダ22(取付体)と、そのスライダ22に取着されて左右方向Yへ延びるブラケット23(取付体)と、そのブラケット23に支持された駆動ローラ24、従動ローラ25及び駆動モータ26と、その駆動モータ26により回転する駆動ローラ24と従動ローラ25との間で互いに掛け渡された無端状バンドソー27とを備えている。この上側支持台12と下側支持台16との間で鉄骨柱1に対するそれらの固定部14,18の載置面14a,18aを結ぶ想定面Pと案内レール20との間には移動許容スペースSが設けられている。この切断ユニット21において、ブラケット23は案内レール20の後方で移動許容スペースSに配設され、スライダ22の移動方向(上下方向Z)に対し直交する左右方向Yにおける案内レール20の左右両側のうち、一方の側の移動許容スペースSで駆動ローラ24がブラケット23の上側に配設されているとともに駆動モータ26がブラケット23の下側に配設され、他方の側の移動許容スペースSで従動ローラ25がブラケット23の上側に配設されている。この駆動ローラ24の回転中心24aと従動ローラ25の回転中心25aとは上下方向Zへ延び、この駆動ローラ24と従動ローラ25との間で互いに掛け渡された無端状バンドソー27は上向きの端縁と下向きの端縁とを有している。この従動ローラ25は、駆動ローラ24の回転中心24aと従動ローラ25の回転中心25aとの間の距離Lを変更し得るように、ブラケット23に対し可動調節体28を介して支持されている。
【0019】
前記スライダ22は、ブラケット23が取着されたスライダ本体29と、そのスライダ本体29との間で案内レール20を挟持する蓋体30とからなる。その蓋体30は、スライダ本体29に対し案内レール20に対するスライダ22の移動を許容する程度に各止めねじ31により締め付けられ、その各止めねじ31を緩めて蓋体30の各支持孔30aを各止めねじ31から抜くことでスライダ本体29に対し着脱することができる。蓋体30をスライダ本体29から分離させると、切断ユニット21を案内レール20から取り外すことができる。
【0020】
前記切断ユニット21においてスライダ22の蓋体30に取着された支持筒32には図7に示すように位置決めピン33が支持されて案内レール20側へ圧縮コイルばね34の弾性力により付勢されている。案内レール20において上端部側と下端部側とには位置決め孔35,36が形成されている。この各位置決め孔35,36以外では位置決めピン33が案内レール20に対し圧縮コイルばね34の弾性力により圧接されながらスライダ22とともに上下方向Zへ移動する。この各位置決め孔35,36では位置決めピン33が圧縮コイルばね34の弾性力により係入されてスライダ22の移動が阻止される。
【0021】
前記上側支持台12の固定部14に取着された支持板37と、前記下側支持台16の固定部18に取着された支持板38との間には、案内レール20に対する左右両側のうち駆動ローラ24側で案内ロッド39(案内部材)が切断ユニット21に隣接して架設されているとともに、切断ユニット21に取着されたブラケット40に案内筒41(案内部材)が取着され、その案内筒41が案内ロッド39に挿嵌されている。切断ユニット21が案内レール20に沿って上下方向Zへ移動する際、案内筒41も案内ロッド39に沿って上下方向Zへ移動する。
【0022】
図2,8及び図3,9に示すように上側支持台12は載置台42を有している。この載置台42においては、図4(a)に示すように、左右方向Yの中央部に連動部43が突設され、左右両側には案内孔44が形成されているとともに、鉄骨柱1に面する載置面42aからの突出寸法を調節し得る載置ピン45が螺合されている。この連動部43には係止板43aが止めねじ(図示せず)により着脱可能に設けられている。この連動部43と係止板43aとにはそれぞれ切欠孔(図示せず)が前後方向Xへ互いに並んで形成され、それらの切欠孔(図示せず)が載置台42の切込み43bで下方へ開放されている。この連動部43に面して固定部14の上側から突設された支持部46には調節ねじ47が螺合されている。この調節ねじ47には係止部47aが一体に設けられている。この調節ねじ47及びその係止部47aを載置台42の切込み43bから連動部43及び係止板43aの切欠孔(図示せず)に挿入すると、係止部47aが係止板43aに係止されて調節ねじ47が連動部43に連結される。また、この案内孔44に面して固定部14に案内軸49が螺着されて案内孔44に挿入されている。この載置台42の左右両側には帯巻掛け棒50が取着されて上方へ突出している。調節ねじ47を係止部47aとともに回動操作して支持部46に対し前後方向Xへ移動させると、案内軸49と案内孔44とが相対移動しながら、調節ねじ47と連結された連動部43も前後方向Xへ移動して載置台42が載置ピン45や帯巻掛け棒50とともに前後方向Xへ移動する。この案内軸49を固定部14に締め付けると、載置台42を固定部14に位置決めすることができる。図4(a)に示す載置台42は図1(b)に示す鉄骨柱1の形態に合わせて平坦な載置面42aを有しているが、図4(b)に示す載置台42は、円弧状の載置面42aを有しているとともに載置ピン45を有していない点で、図4(a)に示す載置台42と異なる。調節ねじ47及びその係止部47aを連動部43及び係止板43aの切欠孔(図示せず)から載置台42の切込み43bを通して抜くことにより、連動部43及び係止板43aを調節ねじ47及びその係止部47aから分離するとともに、固定部14から案内軸49を抜いて載置台42を分離すると、図4(a)に示す載置台42と図4(b)に示す載置台42とを互いに交換することができる。
【0023】
なお、前記支持部46と調節ねじ47及びその係止部47aと連動部43及び係止板43aとにより、載置台42を移動させる移動操作手段と、載置台42を着脱させる着脱手段とが構成されている。また、前記案内孔44と案内軸49とにより、載置台42の移動を許容する移動許容手段と、載置台42を位置決めする位置決め手段と、載置台42を着脱させる着脱手段とが構成されている。
【0024】
図2,8及び図3,9に示すように下側支持台16は載置台51を有している。この載置台51においては、図5(a)に示すように、左右方向Yの中央部に連動部52が突設され、左右両側には案内孔53が形成されているとともに、鉄骨柱1に面する載置面51aからの突出寸法を調節し得る載置ピン54が螺合されている。この連動部52には係止板52aが止めねじ(図示せず)により着脱可能に設けられている。この連動部52と係止板52aとにはそれぞれ切欠孔(図示せず)が前後方向Xへ互いに並んで形成され、それらの切欠孔(図示せず)が載置台51の切込み52bで上方へ開放されている。この連動部52に面して固定部18の下側から突設された支持部55には調節ねじ56が螺合されている。この調節ねじ56には係止部56aが一体に設けられている。この調節ねじ56及びその係止部56aを載置台51の切込み52bから連動部52及び係止板52aの切欠孔(図示せず)に挿入すると、係止部56aが係止板52aに係止されて調節ねじ56が連動部52に連結される。また、この案内孔53に面して固定部18に案内軸58が螺着されて案内孔53に挿入されている。調節ねじ56を係止部56aとともに回動操作して支持部55に対し前後方向Xへ移動させると、案内軸58と案内孔53とが相対移動しながら、調節ねじ56と連結された連動部52も前後方向Xへ移動して載置台51が載置ピン54とともに前後方向Xへ移動する。この案内軸58を固定部18に締め付けると、載置台51を固定部18に位置決めすることができる。図5(a)に示す載置台51は図1(b)に示す鉄骨柱1の形態に合わせて平坦な載置面51aを有しているが、図5(b)に示す載置台51は、円弧状の載置面51aを有しているとともに載置ピン54を有していない点で、図5(a)に示す載置台51と異なる。調節ねじ56及びその係止部56aを連動部52及び係止板52aの切欠孔(図示せず)から載置台51の切込み52bを通して抜くことにより、連動部52及び係止板52aを調節ねじ56及びその係止部56aから分離するとともに、固定部18から案内軸58を抜いて載置台51を分離すると、図5(a)に示す載置台51と図4(b)に示す載置台51とを互いに交換することができる。
【0025】
なお、前記支持部55と調節ねじ56及びその係止部56aと連動部52及び係止板52aとにより、載置台51を移動させる移動操作手段と、載置台51を着脱させる着脱手段とが構成されている。また、前記案内孔53と案内軸58とにより、載置台51の移動を許容する移動許容手段と、載置台51を位置決めする位置決め手段と、載置台51を着脱させる着脱手段とが構成されている。
【0026】
さらに、下側支持台16において、固定部18の下方には左右方向Yの中央部で帯支持部材59が前記載置台51を載置可能に配設され、図6に示すようにこの帯支持部材59の左右両側に螺着された支軸60に揺動板61が支軸60の軸線方向へ移動可能に支持されているとともに、この揺動板61の端部には吸着体62が取着されている。この吸着体62内には磁石62aが嵌め込まれて外側へ露出している。この磁石62aは支軸60に対する揺動板61の傾動により鉄骨柱1に対し接近離間する方向へ揺動し得る。この帯支持部材59にストッパ板63が取着されているとともに、このストッパ板63にストッパねじ66が螺着され、前記載置台51の連動部52で下方へ延びる係止板52aに対するストッパ板63の係入とストッパねじ66の押接とにより、左右方向Y及び前後方向Xでの帯支持部材59の移動が規制される。
【0027】
まず、このように構成された切断機を鉄骨柱1に対し下記のようにして取り付ける。
図7(c)に示すように切断ユニット21においてスライダ22の位置決めピン33を圧縮コイルばね34の弾性力に抗して持ち上げて支持筒32に引掛けることで位置決めピン33を案内レール20から離すとともに圧縮コイルばね34が位置決めピン33を付勢しない状態にし、上側支持台12の付近まで切断ユニット21を案内レール20に沿って移動させ、案内レール20の上側位置決め孔35の付近で位置決めピン33の引掛けを解除して図7(a)に示すように位置決めピン33を圧縮コイルばね34の弾性力により上側位置決め孔35に係入する。従って、切断ユニット21は上側支持台12付近の上限位置で案内レール20に対し位置決めされる。
【0028】
次に、下側支持台16の帯支持部材59の上端部(位置決め部)を鉄骨柱1のケガキ線11に合わせた状態で、その帯支持部材59に帯65を巻き掛けて下側柱3に結び付ける。さらに、立てた切断機(この帯支持部材59を除く切断機本体)において、下側支持台16の載置台51をこの帯支持部材59に載せて切断機全体の荷重を受け、鉄骨柱1と案内レール20との間の移動許容スペースSに上側柱2の切断片8及び下側柱3の切断片9を入り込ませると、切断ユニット21の無端状バンドソー27が上側柱2の切断片8の上方近隣に位置する。その後、下側支持台16における固定部18の載置面18aを鉄骨柱1の下側柱3に当てがうとともに、上側支持台12における固定部14の載置面14aを鉄骨柱1の上側柱2に当てがった状態で、帯巻掛け棒50に帯64を巻き掛けて上側柱2に結び付ける。その際、上側支持台12の載置台42や下側支持台16の載置台51を調節ねじ47,56により鉄骨柱1に対し接近離間する方向(前後方向X)へ移動調節して鉄骨柱1に対する無端状バンドソー27の距離を最適な状態に設定する。
【0029】
図2,3に示すように切断機を鉄骨柱1に取り付けた後、切断ユニット21において無端状バンドソー27を回転させ、スライダ22の位置決めピン33を持ち上げて案内レール20の上側位置決め孔35から抜くと、図7(b)に示すように位置決めピン33が圧縮コイルばね34の弾性力により案内レール20に圧接されながら、切断ユニット21の自重により、スライダ22がブラケット23や駆動ローラ24や駆動モータ26や従動ローラ25や無端状バンドソー27とともに案内レール20に対し下降し、その下降時に無端状バンドソー27が鉄骨柱1の付近で上側柱2の切断片8を切断する。その切断時には、切断ユニット21とともに下降する案内筒41が案内ロッド39に沿って移動するため、無端状バンドソー27による切断時に生じる移動力Fを阻止して切断機の横触れを防止する。
【0030】
次に、図7(a)に示すようにスライダ22の位置決めピン33が案内レール20の下側位置決め孔36に圧縮コイルばね34の弾性力で係入されると、切断ユニット21の自重による下降は停止し、図8,9に示すように無端状バンドソー27は上側柱2の切断片8と下側柱3の切断片9との間に位置する。
【0031】
このようにして上側柱2の切断片8を切断した後、上側支持台12の帯巻掛け棒50から帯64を外して、帯支持部材59に載置された切断機を鉄骨柱1から取り外す。その後、帯支持部材59から帯65を外して帯支持部材59も鉄骨柱1から取り外す。
【0032】
次に、下側柱3の切断片9を切断する際には、切断機を鉄骨柱1に再び取り付けて、上側柱2の切断片8と同様にして切断する。
本実施形態は下記の効果を有する。
【0033】
(1) 切断機を鉄骨柱1に取り付けた際に、上側支持台12及び下側支持台16の載置台42,51を調節ねじ47,56により移動調節して、鉄骨柱1に対する無端状バンドソー27の距離を最適な状態に設定することができるので、立てた鉄骨柱1から突出して残る切断片8,9を鉄骨柱1からできる限り突出しないように無端状バンドソー27により切断して除去することができる。
【0034】
(2) 上側支持台12及び下側支持台16の載置台42,51を着脱可能にしたので、鉄骨柱1の形態に応じて適切な形態の載置台42,51に変更して切断機を鉄骨柱1に安定性良く取り付けることができる。
【0035】
(3) 立てた鉄骨柱1から突出して残る支持板4,5の切断片8,9を切断して除去するための切断機のみに着目した設計であるため、切断ユニット21が自重により下降するだけでよく、切断ユニット21の移動手段を省略することができる。従って、駆動モータ26と駆動ローラ24と従動ローラ25と無端状バンドソー27とを配設する移動許容スペースSを小さく設定して切断機を小型化することができる。
【0036】
(4) 駆動ローラ24側で切断ユニット21を移動可能に支持する案内部材(案内ロッド39及び案内筒41)により、無端状バンドソー27による切断片8,9の切断時に生じる移動力Fを阻止するストッパを兼用しているので、切断機の横振れを防止して切断作業を容易に行うことができる。
【0037】
(5) 切断ユニット21が自重により下降する際、スライダ22の位置決めピン33と案内レール20の位置決め孔35,36とにより、切断ユニット21の下降を容易に阻止することができる。
【0038】
(6) 下側支持台16に揺動可能に取り付けた磁石62aにより、下側支持台16が載置される柱1の形態に応じて切断機を鉄骨柱1に安定性良く取り付けることができる。
(7) ゲージ10により鉄骨柱1に描いたケガキ線11に下側支持台16の帯支持部材59を合わせて切断機を鉄骨柱1に取り付けると、無端状バンドソー27を支持板4,5の切断片8,9に対する切断開始位置に合わせることができる。
【0039】
(8)下側支持台16において鉄骨柱1に帯65により固定される帯支持部材59を主体部17に対し分離して設けているので、鉄骨柱1に固定した帯支持部材59に切断機(この帯支持部材59を除く切断機本体)を載せた状態で鉄骨柱1に対し容易に着脱することができる。
【0040】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 上側支持台12及び下側支持台16の載置台42,51において、支持部46,55と調節ねじ47,56及びその係止部47a,56aと連動部43,52及び係止板43a,52aとにより構成された移動操作手段や着脱手段を省略し、案内孔44,53及び案内軸49,58とにより構成された移動許容手段や位置決め手段や着脱手段のみを設ける。
【0041】
・ 調節ねじ47,56において一体に設けられた係止部47a,56aを着脱可能な係止ねじに変更し、係止ねじを外した調節ねじを連動部43,52及び係止板43a,52aに対し挿脱するようにしてもよい。
【0042】
・ ブラケット23に対する駆動モータ26の取付位置は特に限定されないが、前述した実施形態のように駆動ローラ24の下側でブラケット23に配設することが好ましい。
【符号の説明】
【0043】
1…鉄骨柱、8,9…被切断物としての支持板の切断片、10…ゲージ、12…上側支持台、16…下側支持台、20…案内レール、21…切断ユニット、22…スライダ(取付体)、23…ブラケット(取付体)、24…駆動ローラ、25…従動ローラ、26…駆動モータ、27…無端状バンドソー、33…位置決めピン、34…圧縮コイルばね、35,36…位置決め孔、39…案内ロッド(案内部材)、41…案内筒(案内部材)、42…上側支持台の載置台、51…下側支持台の載置台、59…下側支持台の帯支持部材(位置決め部)、62a…磁石、S…移動許容スペース、F…移動力。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱に固定される上側支持台と下側支持台との間で上下方向へ延びるように架設した案内レールに沿って上下方向へ移動し得る切断ユニットは、案内レールに対し上下方向へ移動可能に支持した取付体と、その取付体に支持した駆動ローラ、従動ローラ及び駆動モータと、その駆動モータにより回転する駆動ローラと従動ローラとの間で互いに掛け渡した無端状バンドソーとを備え、
前記上側支持台及び下側支持台には、それぞれ、柱に対する無端状バンドソーの距離を設定することができる載置台を柱に対し接近離間する方向へ移動調節可能に取り付け、
前記切断ユニットの自重により、取付体が駆動ローラや駆動モータや従動ローラや無端状バンドソーとともに案内レールに対し下降するようにして、柱から突出する被切断物を無端状バンドソーにより切断する
ことを特徴とする切断機。
【請求項2】
前記上側支持台及び下側支持台において載置台は着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の切断機。
【請求項3】
前記上側支持台と下側支持台との間と、柱と案内レールとの間と、取付体の移動方向に対し直交する左右方向における案内レールの両側とにより設けた移動許容スペースにおいて、案内レールに対する左右両側のうち、一方の側には駆動ローラを配設するとともに、他方の側には従動ローラを配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切断機。
【請求項4】
前記上側支持台と下側支持台との間には、無端状バンドソーによる被切断物の切断時に生じる移動力を阻止するストッパとして、案内レールに対する左右両側のうち一方の側に配設した駆動ローラ側で、前記切断ユニットを上下方向へ移動可能に支持する案内部材を取り付けたことを特徴とする請求項3に記載の切断機。
【請求項5】
前記下側支持台において案内レールに対する左右両側で柱に吸着される磁石を柱に対し接近離間する方向へ揺動可能に取り付けたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の切断機。
【請求項6】
前記切断ユニットは案内レールに対しばねの弾性力により圧接されながら取付体とともに上下方向へ移動する位置決めピンを有し、案内レールに形成した位置決め孔に対しその位置決めピンがばねの弾性力により係入されて切断ユニットの下降が阻止されることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項に記載の切断機。
【請求項7】
前記下側支持台には、柱に上側支持台及び下側支持台を固定する際に、柱から突出する被切断物の上端部に支持されるゲージの目印に合わすことができる位置決め部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一つの請求項に記載の切断機。
【請求項8】
前記下側支持台において柱に固定される支持部材を分離して設けたことを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一つの請求項に記載の切断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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