説明

流動床燃焼の改良

電力生産用炭素質燃料の燃焼のための方法および発電プラントが記載される。本プラントは、燃焼用空気の圧縮用のコンプレッサ(単数または複数)(5、5..)が、燃焼ガスを膨張させるためのエキスパンダ(単数または複数)(29)用のシャフトとは別個のシャフト上に配置された加圧流動床燃焼プラントである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素質燃料を用いた加圧流動床燃焼(PFBC:Pressurized Fluidized Bed Combustion)発電プラントの分野、および特に燃焼ガスからCOも除去されるタイプのPFBCプラントに関する。より具体的には、本発明は、プラントの運転に係る改善に関する。最も具体的には、本発明は、PFBCプラントのコンプレッサとエキスパンダとの間の連携に関する。
【背景技術】
【0002】
最新技術によるPFBCプラントは、炭素質燃料を燃焼する燃焼室への導入用に、空気を圧縮するためのコンプレッサ・ユニットを備える。圧縮された空気は、燃料を流動化して、かつ燃焼用の酸素を供給するために、燃焼室において上方に向かって流れている。燃焼ガスは、燃焼室の最上部から取り出されて、次にダストの除去により少なくとも部分的に清浄化され、その後、しばしばタービンとも呼ばれるエキスパンダ・ユニットを通じて膨張する。
【0003】
コンプレッサ・ユニット、一般に軸流コンプレッサは、単一ステージのコンプレッサからなってもよいが、通常のコンプレッサ・ユニットは、2つ以上のステージか、もしくは接続されたコンプレッサ、一般に直列接続されたコンプレッサを備える。ガスの体積を縮小し、かつ空気の過熱を回避すべく、圧縮された空気を冷却するための中間冷却器が、通常は直列接続されたコンプレッサ間に配置される。
【0004】
エキスパンダ・ユニットも、1つだけのエキスパンダを備えてもよいが、通常は2つ以上の直列接続されたエキスパンダを備える。
【0005】
標準的なガスタービンの燃焼室は、通常はずっと小さくて単純であるが、PFBCプラントは、これを加圧流動床燃焼室に置き換えたガスタービンとして概ね構成される。比較的よくある仕組みにおいて、コンプレッサ・ユニットは、高圧コンプレッサに直列接続された低圧コンプレッサを備え、エキスパンダ・ユニットは、低圧エキスパンダに直列接続された高圧エキスパンダを備えるが、しばしば2つより多いステップが使用される。標準的なPFBCプラントのコンプレッサおよびエキスパンダは、ガスタービンに関しては、プラント起動の間にモータとしても使用しうる発電機が電力を生産するために配置された、共通のシャフト上に配置される。
【0006】
代わりの従来の解決策に従って、高圧コンプレッサおよび高圧エキスパンダは、第1の発電機/モータに接続された1つのシャフトに配置され、低圧コンプレッサおよび低圧エキスパンダは、第2の発電機/モータに接続された第2のシャフト上に配置される。このタイプのPFBCプラントは、国際公開第93/06351号に記載される。米国特許5.544.479号は、ステップの間に中間冷却を持つ、エキスパンダと同じシャフトに接続された多段コンプレッサを備える、コンプレッサ・アセンブリを有する加圧循環流動床燃焼器に関する。
【0007】
ガスタービンまたはPFBCプラントの運転中の突然の変化に加えて、起動および停止が、コンプレッサの特性に係わる問題を引き起す可能性がある。図2は、かかるプラントで通常使用される軸流コンプレッサの典型的な特性を示し、気流量が圧力比に対してプロットされている。
【0008】
コンプレッサは、コンプレッサのチョークもしくはサージを回避するために、注意深く運転されなければならない。コンプレッサのチョークは、コンプレッサ内の翼のチョークに起因する異常な空気流の状況である。図2において「チョークライン」と印されたラインは、それ未満ではコンプレッサがチョークを生じるであろう質量流量対圧力比を示す。コンプレッサのサージは、コンプレッサがシステム抵抗を克服するのに十分なエネルギーを加えることができないときに発生する。これが、急速な流れの反転(すなわち、サージ)を引き起す。結果として、高振動、温度上昇、および軸推力の急速な変化を生じることがありうる。これらの発生は、ローターシール、ローターベアリング、コンプレッサ・ドライバおよびサイクル運転に損傷を与えかねない。図2において「サージライン」と印されたラインは、それを超えるとコンプレッサがサージを生じるであろう質量流量対圧力比を示す。サージラインとチョークラインとが、コンプレッサが動作するであろう質量流量対圧力比の領域を画定する。ガスタービンの定常状態での運転中におけるチョークおよびサージは、ガスタービンの設計、および関連するパラメータの正しい調整によって容易に回避される。ガスタービンは、現今、パージもしくはチョークの状況を回避するように設計されるが、それでもなお、運転中の突然の変化、および特に起動および停止状況の間にこれらが発生する可能性がある。
【0009】
PFBCとガスタービンとの重要な相違は、燃焼室のサイズである。ガスタービンの燃焼室は比較的小さく、すなわち1m未満であるのに対して、加圧流動床は、数m(3000〜4000m)の容積を持つ。容積が大きいと、全負荷時に確立された高い圧力は、負荷が減少する間に長時間にわたって高いままであり、それ故に負荷が減少するときに、すなわち減速または停止する状況において、コンプレッサ(単数または複数)にサージの問題をモータらす可能性がある。
【0010】
起動および停止の間、ならびにコンプレッサの運転中における、「好ましい運転ライン」と印されたラインは、コンプレッサのサージもしくはチョークを回避するための質量流量対圧力比を対象としている。燃焼室を囲む圧力室に加えて、燃焼室の容積が大きいと、質量流量の変化に対するコンプレッサの下流側での圧力応答が遅くなり、サージもしくはチョークの状態を回避することが困難になる。
【0011】
コンプレッサは、1つの部分か、または2つの部分のいずれかとすることができ、2つの部分の場合、1つの低圧コンプレッサと高圧コンプレッサとを含む。低圧コンプレッサは、低圧エキスパンダと同じシャフトに取り付けられ、高圧コンプレッサは、高圧エキスパンダと同じシャフトに取り付けられる。上述のタイプのガスタービンを使用することが不利な点は、エキスパンダと、接続されたコンプレッサとが、常に同じ速度を持たなければならないことである:低圧コンプレッサは、常に低圧エキスパンダと同じ速度を持たなければならず、高圧コンプレッサは、常に高圧エキスパンダと同じ速度を持たなければならない。発電機と接続されたエキスパンダは、常に一定の速度で動作することになろう。これがしばしばコンプレッサのサージもしくはチョークに係る問題を引き起す。
【0012】
PFBC用の燃焼室では、給水を加熱して水蒸気および過熱水蒸気を発生させるための多数のチューブが、流動床領域と随意的に「フリーボード」領域としばしば呼ばれる流動床の上方の領域とに配置される。発生した水蒸気および過熱水蒸気は、発電用の蒸気タービンへ送り込まれる。
【0013】
PFBCプラントにおいて、流動床での燃焼は、5〜20バール(絶対圧)の圧力で生じる。パーティクル清浄コンポーネント−通常はサイクロンが、しばしば主要圧力容器の上部に置かれる。排ガス中のダストの除去もしくは低減のために、他の手段も利用可能である。
【0014】
Sargas ASへの国際公開第2006107209号は、上記の種類のPFBCプラントに関し、排ガスがエキスパンダを通じて膨張する前に、COがこの排ガスから回収される。燃焼用の空気を圧縮するためのコンプレッサ、および排ガスを膨張させるためのエキスパンダは、共通のシャフト上に配置される。
【0015】
COの回収は、排ガスの体積を実質的に、すなわち排ガス中のCO濃度に依存して最大で約15%縮小し、これは、組み合わせの工学技術が考慮されなければ、コンプレッサとエキスパンダとの間に不均衡を引き起しかねない縮小である。加えて、排ガスのCO回収デバイスへの導入前に、圧力容器外の熱交換器において燃焼ガスの温度を約120℃まで下げる必要がある。CO回収ユニットを出た排ガスが、エキスパンダを通じて膨張する前に、燃焼室からの熱い排ガスに対する熱交換によって再加熱されるとは言え、いくらかの熱は失われる。COの損失と熱損失との両方が、エキスパンダからの出力の減少を招いており、これに対処する必要がある。
【0016】
加えて、コンプレッサへの質量流量は、周囲温度、湿度および大気圧に起因して、周囲空気の密度とともに変化しうる。米国特許6,305,158号は、タービン・プラントからの発電を増加させるために、燃焼室に付加的な圧縮空気が導入される燃焼タービン発電プラントに関する。付加的な空気は、モータによって運転される別個のコンプレッサ・ユニットから導入される。一実施形態に従って、別個のコンプレッサ・ユニットは、地下の圧縮空気貯留場所に接続されてもよく、低エネルギーコストの時期に圧縮空気をこの貯留場所へ導入し、エネルギーコストが高くなった時期に空気供給源としてこれを利用することができる。
【0017】
国際公開第2005027302号は、低電気エネルギーコストの時期中にエネルギーを圧縮空気として貯蔵し、電力のニーズおよびコストが高くなった時期にエキスパンダを通じて圧縮空気を膨張させる、エネルギー貯蔵システムの別の実施形態に関する。圧縮空気は、燃焼室、例えばガスタービンの燃焼室における熱交換によって、随意的に加熱することができる。
【0018】
PFBCプラントにおいて、コンプレッサに対するチョークおよびサージの状況を回避することに係る上記の問題は、言及される公開公報において解決される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の様態に従って、この問題は、電力生産用炭素質燃料の燃焼のための発電プラントによって解決され、この発電プラントは、空気の圧縮用の1つ以上のコンプレッサを備えるコンプレッサ・ユニット、燃焼室、および燃料を燃焼室へ注入するための燃料ライン(単数または複数)を備え、燃料および空気の燃焼のための加圧流動床を提供すべく、コンプレッサ・ユニットから燃焼室へ圧縮空気を導入するために空気ラインが提供され、1つ以上のエキスパンダを備え、排ガスを環境に放出する前に膨張させるためのエキスパンダ・ユニットに燃焼室から燃焼ガスを導くために燃焼ガスラインが提供され、エキスパンダ・ユニットは、電力発生用の1つ以上の発電機(単数または複数)に接続された、発電プラントであって、空気の圧縮用のコンプレッサ(単数または複数)は、燃焼ガスを膨張させるためのエキスパンダ(単数または複数)用のシャフトとは別個のシャフト上に配置される。
【0020】
コンプレッサ・ユニットとエキスパンダ・ユニットとを異なったシャフト上に配置することによって、コンプレッサ・ユニットとエキスパンダ・ユニットとを互いに分離して運転することができ、起動および停止状況、ならびにプラント運転における突然の変化の間に、コンプレッサにとって最適の状態を得ることが可能である。
【0021】
これらの主要コンポーネントを分離することによって、コンプレッサ(単数または複数)を様々な速度で運転することが可能であろう。特に、コンプレッサにおけるサージのリスクがあるときに、コンプレッサを高速で運転することが可能であろう。コンプレッサとエキスパンダとの異なったシャフト上への分離は、空気密度の変動を補償するために圧縮空気の入力を調節することも可能にする。コンプレッサとエキスパンダとを異なったシャフト上に持つことによって、コンプレッサの負荷、従って回転速度を影響なく調節することができ、それと同時にエキスパンダが、電力の必要性に応じて要求される負荷で動作することが可能になる。高高度に位置する発電プラントでは大気の密度が低く、コンプレッサからの気流量はより低くなるであろう。かかる場合に、プラントが全負荷に到達しうるように、より高容量のコンプレッサを設置することが可能である。より温かい地域に位置する発電プラントでは、コンプレッサからの気流量がやはり低いであろう。別個のコンプレッサでは、より大きいコンプレッサを選択することによって、これを補償することができる
【0022】
図2に示されるように、高コンプレッサ速度では、低コンプレッサ速度に比べてサージラインがコンプレッサ特性のかなり高い方にある。
【0023】
既存のプラントにおいて、ツインシャフト機構を用いる場合には、これは、ベッド高さを減少させ、従って流動床における水蒸気の発生も減少させて、水蒸気タービンからの電力生産を低下させることによって、かつそれによりガスエキスパンダに対してより低い温度を得ることによって行われ、ガスエキスパンダにおいて生産される電力も減少することになろう。これも行うためには、気流量を減少される必要があり、それはタービンへの温度(従ってその電力)を変化させることによって行われ、LPエキスパンダの速度も、従ってLPコンプレッサの速度も変化することになろう。これは、LPガス・エキスパンダの入口に調節可能な案内翼を持つことによって制限内で行うことができる。この結果として、コンプレッサの速度が減少することになろう。
【0024】
単一シャフト機構の場合には、それが発電機に接続されることから一定の速度で作動しており、気流量の変更は、個々の制御部を持つコンプレッサ内の多数の調節可能な案内翼によって行われる必要がある。
【0025】
かかる案内翼は、限られた動作範囲を有する。本発明によるプラントでは、サージを回避するために、本プロセスに従って流動床への燃料の流れを迅速に遮断することができ、かつコンプレッサの速度、従って気流量を所望に容易に調整することができる。これは、プラントをずっとより迅速に冷却することができ、重要なことに、プラントをずっとより迅速かつ安全なやり方で停止できることから、常用負荷の変化だけでなく、特に通常の停止ならびに予想外の負荷変動および停止にも関係する。
【0026】
一実施形態に従って、排ガスの処理用の1つ以上のユニット(単数または複数)が、燃焼室とエキスパンダとの間に配置される。加圧流動床燃焼室からの排ガスは、通常は、下流の装置の汚染および/または浸食を回避するために除去もしくは大幅に低減しなければならない大量のダストを含む。このユニット(単数または複数)は、SCRユニットのような他の汚染低減デバイス、および1つ以上の熱交換器(単数または複数)も備えてもよい。
【0027】
一実施形態に従って、CO回収ユニットが、燃焼室とエキスパンダとの間に配置される。CO回収ユニットを燃焼室とエキスパンダとの間に配置すると、CO回収ユニットにおけるCOの高圧吸収が可能になり、高分圧のCOは、大気吸収に比べて吸収を加速する利点を持つ。加えて、高圧ではガスの体積が小さくなり、従って装置の必要とされる体積を縮小する。しかしながら、COの回収を燃焼室とエキスパンダとの間に導入すると、COが膨張前のガスから除去されるために、エキスパンダを通過する総ガス流量が減少する。加えて、CO除去後の温度とエキスパンダへのガス流量とが低過ぎて、エキスパンダがコンプレッサに動力を供給できず、それ故に標準的な単一シャフトのコンプレッサおよびタービン・ユニットの使用が不可能になることもありうる。この問題は、コンプレッサとエキスパンダとを別個のシャフト上に持つ本発明によって解決される。
【0028】
第2の様態に従って、本発明は、加圧流動床燃焼プラントを運転するための方法に関し、本方法は、圧縮ユニットにおいて空気が圧縮されて、圧縮された空気は、炭素質燃料が空気の存在下で燃焼される加圧流動床燃焼室へ導入され、燃焼室における温度は、燃焼室における熱コイル中での水蒸気および過熱水蒸気の発生によって750°〜1000℃の間に維持され、燃焼室からの燃焼ガスは、電力を発生させるために、発電機に接続されたエキスパンダを通じて膨張される方法であって、コンプレッサは、エキスパンダとは別個のモータによって運転される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】COを燃焼ガスから除去するための装置が装備された、加圧流動床燃焼プラント(PFBCプラント)に関するプロセスの概要を示す。
【図2】空気を圧縮するための軸流コンプレッサに関する典型的な特性を示す。圧力比は、出口圧力と入口圧力との間の比率である。
【図3a】1つより多いコンプレッサが使用される場合に(コンプレッサ・ユニットを構成する)いくつかのコンプレッサを接続するための異なった方法を示す。
【図3b】1つより多いコンプレッサが使用される場合に(コンプレッサ・ユニットを構成する)いくつかのコンプレッサを接続するための異なった方法を示す。
【図3c】1つより多いコンプレッサが使用される場合に(コンプレッサ・ユニットを構成する)いくつかのコンプレッサを接続するための異なった方法を示す。
【図3d】1つより多いコンプレッサが使用される場合に(コンプレッサ・ユニットを構成する)いくつかのコンプレッサを接続するための異なった方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明によるPFBCプラントのプロセス・フロー図である。加圧された可燃燃料は、燃料ライン2を通って燃焼室1へ導入される。加圧された空気は、圧縮空気ライン3を通って燃焼室1へ導入され、燃焼室では中の燃料を流動化して流動床を生じさせ、かつ燃料燃焼用の酸素を提供するために上方に向かって流される。
【0031】
空気は、空気ライン4を通ってコンプレッサ・ユニット5へ導入され、そこで5〜20バール(絶対圧)の範囲の圧力に圧縮される。コンプレッサ5は、電線7を通じて電気を受け取る電気モータ6によって駆動される。コンプレッサ・ユニット5から、圧縮された空気がライン3を通って燃焼室へ導かれる。
【0032】
燃焼室1は、通常、図示されていない圧力室によって取り囲まれており、そこへ圧縮された空気が導入される。次に、圧縮された空気は、空気入口から燃焼室へ導入される。圧力室における圧力は、燃焼室における圧力、およびライン3における圧縮された空気の圧力、すなわち5〜20バール(絶対圧)と実質的に同じである。
【0033】
PFBCに最もよく使用される燃料は、これまで石炭であったが、例えば、ガス、オイル、オイルシェール、石炭、木質チップ、泥炭あるいは任意のバイオ燃料、化石燃料もしくは合成燃料またはこれらの燃料の混合物のような、他の可燃燃料を用いてもよい。
【0034】
固体燃料は、燃料粒子を供給するために、燃焼室への導入前に破砕もしくは粉砕される。破砕もしくは粉砕された燃料は、乾燥した状態で燃焼室へ導入されてもよく、あるいは燃焼室へポンプで注入されるペーストを供給するために、液体と混合されてもよい。
【0035】
特に、硫黄含有量に係る燃料品質に依存して、硫黄吸収剤、例えば破砕もしくは粉砕された石灰石または白雲石が、破砕もしくは粉砕された燃料と別々か、または混合されるかいずれかで燃焼室へ導入されてもよい。
【0036】
液体燃料は、燃焼室への導入前に固体燃料成分または吸収剤と混合されてもよく、あるいはそれ自体が、液体注入ノズルを通って導入されてもよく、一方で気体燃料は、ガス注入ノズルを経由して燃焼室へ導入される。
【0037】
灰と使用済み吸収剤とは、よく知られたやり方で灰ライン8を通って燃焼室から取り出すこともできる。
【0038】
燃焼ガス中のNOxの大幅な低減の除去のために、アンモニアが、フリーボード領域または流動床の上方の領域に随意的へ導入されてもよい。しかしながら、フリーボードにおけるアンモニアの導入は、燃焼室およびその下流に使用される材料によっては腐食を引き起こすこともありうる。
【0039】
流動床における温度は、流動床中および上方に配置された冷却チューブ9中での水蒸気および過熱水蒸気の発生による燃焼ガスの冷却によって、750から1000℃に維持した。好ましくは、この温度は、例えば約850℃のように800〜900°の間に維持される。
【0040】
チューブ9で発生した水蒸気および過熱水蒸気は、水蒸気ライン10を通って取り出されて、電力発生用の発電機12に接続された水蒸気エキスパンダ11を通じて膨張し、その電力がライン13を通ってプラントから送り出される。
【0041】
水蒸気エキスパンダ11を出た膨張水蒸気は、熱交換器14において、ライン15を通って導入されライン16を通って取り出される、熱媒体に対して冷却される。冷却されてコンデンスした水蒸気は、熱交換器14を出て、戻りライン17を通過し、上記のように水蒸気および過熱水蒸気の発生のためにチューブ9に戻される。ライン17の内容物は、チューブ9に再び入る前に熱交換器18において、プラントを出る排ガスライン19中の排ガスに対して随意的に加熱される。循環をモータらすべく復水器の下流の水圧を増加させるために、給水ポンプ(図示されていない)が使用される。
【0042】
燃焼ガスは、燃焼室の最上部から燃焼ガスライン20を通って取り出される。上述のように、粗い灰粒子および使用済み吸収剤は、燃焼室の底部から取り出される。しかしながら、ライン20を通って出る燃焼ガスは、かなりの量のダストと、もしライン32を通ってフリーボード領域にアンモニアが送り込まれなかった場合には、NOxとを含む。
【0043】
ガス処理ユニット21は、ダストのすべてもしくは大部分を除去し、かつさらなる処理の前に燃焼ガスを冷却するために配置される。加えて、フリーボードにおけるアンモニアの導入によってNOxが除去されない場合、ガス処理は、好ましくはNOx除去用の選択的触媒還元ユニットを含む。
【0044】
ダストを除去するための従来の手段は、単独か、または互いに組み合わされたサイクロン、フィルタなどである。燃焼ガスを清浄化する方法および手段は、本発明の一部ではなく、それ故にこれ以上詳細には記載されない。当業者は、よく知られた方法および手段によって、実質的にダストおよびNOxのない燃焼ガスを得る方法を理解するであろう。ガス処理ユニット21は、燃焼ガスがガス処理ユニット21からライン22を通って取り出される前に、このガスを冷却するための1つ以上の熱交換器も含む。燃焼ガスは、ガス処理ユニット21を出る前に、好ましくは130℃未満、例えば約100℃のように120℃未満または110℃未満まで冷却される。
【0045】
清浄化され、冷却された燃焼ガスは、処理ユニット21からガスライン22を通って取り出され、CO回収ユニット23へ導入される。CO回収ユニット23では、吸収/脱離サイクルにおいて燃焼ガスからCOが回収される。吸収/脱離サイクルでは、炭酸塩もしくはアミンの水溶液のような液体吸収剤が、吸収器を通って循環され、燃焼ガスは、CO吸収剤に対向して流れ、回収ユニット23からライン27を通って取り出されるCOが枯渇した燃焼ガスと、吸収器から取り出されて脱離器もしくは再生器へ導入されるCOが豊富な吸収剤とを生じ、脱離器もしくは再生器では、吸収されたCOが吸収剤から放出され、CO回収プラントからCOライン24を通って取り出されるCOおよび水蒸気の流れと、吸収器に再導入される再生吸収剤とを生じる。
【0046】
ライン24におけるCOおよび水蒸気は、CO処理ユニットにおいてさらに処理され、そこでCOは、乾燥により水分が除去され、かつ圧縮により圧縮COが生成されて、プラントから送り出される。
【0047】
COが枯渇したライン27の燃焼ガスは、ガス処理ユニット21において、燃焼室からの燃焼ガスに対する熱交換によって再加熱される。COが枯渇し、再加熱された燃焼ガスは、その後ガス処理ユニット21からライン28を通って取り出され、発電機30に接続されたエキスパンダ29を通じて膨張して電力を生産する。これが電線7に供給される。エキスパンダ29を通じて膨張する前、ライン28におけるガスの圧力は、燃焼室1における圧力よりわずかに低い。燃焼ガスは、燃焼室を出た後にエキスパンダ28へ導入されるまで膨張しない。従って、ライン28と燃焼室1とにおけるガスの圧力差は、プラントを通しての圧力低下に起因する。しかしながら、COが流れから除去されるので、ライン28における質量流量は、ライン20を通過する質量流量と比較して減少する。それ故に、発電機30において生産される電気エネルギーが、CO回収が省略された場合よりも低くなる。
【0048】
コンプレッサ・ユニット5およびエキスパンダ・ユニット29は、コンプレッサ・ユニットおよびエキスパンダ・ユニットの独立した運転を可能にするために、異なったシャフト上に配置される。
【0049】
コンプレッサ・ユニット5は、プラントの実際の構成およびサイズに依存して、1つの、または好ましくは1つより多いコンプレッサ、5’、5’’、5’’’、5’’’’などを備えてもよい。図3a、3b、3c、3dは、コンプレッサ構成に関するいくつかの例を示す。空気の圧縮に対するエネルギー需要を低減するために、中間冷却器31が、好ましくは直列接続されたコンプレッサのステップ間に配置される。
【0050】
直列接続されたコンプレッサは、共通のモータによって運転される共通のシャフト上に配置されてもよく、あるいは別個のモータによって運転されてもよい。通常、コンプレッサは、コストを節約するために1つのモータ6によって運転される共通のシャフト上に配置される。
【0051】
エキスパンダ・ユニット29は、1つのエキスパンダからなってもよく、あるいは好ましくは、発電機30にも接続された共通のシャフト上に配置された、2つ以上の直列接続されたエキスパンダからなってもよい。
【0052】
発電機6は、モータ運転用の電源が電気を受け取るのと同じ電線(もしくはグリッド)に電力を供給するので、コンプレッサ(点数または複数)運転用のモータ6と、エキスパンダから電力を発生させるための発電機30とは、電気的に接続されている。運転のモード、プラントの具体的な設計などに依存して、モータ(単数または複数)6による電気消費と発電機30からの電力生産との和は、正にも負にもなることがあり、局所的もしくは共通グリッドへの電力の入出力によって相殺される。
【0053】
燃焼室のための空気圧縮用のコンプレッサ(単数または複数)5と、燃焼ガスが大気中に放出される前に燃焼ガスを膨張させるためのエキスパンダ(単数または複数)6とを異なったシャフト上に持つことによって、コンプレッサ(単数または複数)とエキスパンダ(単数または複数)とを特定のニーズに合わせて調整するために互いに独立して運転することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力生産用炭素質燃料の燃焼のための発電プラントであって、前記発電プラントは、空気の圧縮用の1つ以上のコンプレッサ(5’、5’’...)を備えるコンプレッサ・ユニット(5)、燃焼室(1)、および燃料を前記燃焼室(1)へ注入するための燃料ライン(単数または複数)(2)を備え、燃料および空気の燃焼のための加圧流動床を提供すべく、前記コンプレッサ・ユニット(5)から前記燃焼室(1)へ前記圧縮空気を導入するために空気ライン(3)が提供され、1つ以上のエキスパンダを備え、前記排ガスを前記環境に放出する前に膨張させるための、エキスパンダ・ユニット(29)に前記燃焼室(1)から前記燃焼ガスを導くために燃焼ガスライン(20)が提供され、前記エキスパンダ・ユニットは、電力発生用の1つ以上の発電機(単数または複数)(30)に接続された、発電プラントであって、前記空気の圧縮用の前記コンプレッサ(単数または複数)(5’、5’’..)は、前記燃焼ガスを膨張させるための前記エキスパンダ(単数または複数)(29)用のシャフトとは別個のシャフト上に配置される、発電プラント。
【請求項2】
前記排ガスの処理用の1つ以上のユニット(単数または複数)(21、23)は、前記燃焼室(1)と前記エキスパンダ(29)との間に配置される、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項3】
CO回収ユニット(23)は、前記燃焼室(1)と前記エキスパンダ(29)との間に配置される、請求項2に記載の発電プラント。
【請求項4】
前記燃焼ガスからのダストおよび、随意的に、NOxの除去のためのガス処理ユニット(21)は、前記燃焼室(1)と前記CO回収ユニット(23)との間に提供される、請求項3に記載の発電プラント。
【請求項5】
前記ガス処理ユニットは、前記CO回収ユニット(23)を出た低CO排ガスが、前記エキスパンダ(29)を通じて膨張する前に、前記燃焼室(1)からの前記排ガスを、前記低CO排ガスに対して冷却するための1つ以上の熱交換器を備える、請求項4に記載の発電プラント。
【請求項6】
前記圧縮ユニット(5)は、2つ以上の直列接続されたコンプレッサ(5’、5’’、5’’..)を備え、1つ以上の中間冷却器(単数または複数)(31)が前記コンプレッサ(5’、5’’、5’’’..)の間に配置される、前記請求項のいずれかに記載の発電プラント。
【請求項7】
前記圧縮ユニット(5)の前記直列コンプレッサ(5’、5’’、5’’’...)は、共通のシャフト上に配置された、請求項6に記載の発電プラント。
【請求項8】
前記コンプレッサ(5’、5’’、5’’’..)の2つ以上が並列に配置された、前記請求項のいずれかに記載の発電プラント。
【請求項9】
加圧流動床燃焼プラントを運転するための方法であって、前記方法は、圧縮ユニットにおいて空気が圧縮され、前記圧縮された空気は、炭素質燃料が前記空気の存在下で燃焼される加圧流動床燃焼室へ導入され、前記燃焼室における前記温度は、前記燃焼室における熱コイル中での水蒸気および過熱水蒸気の発生によって750°〜1000℃の間に維持され、前記燃焼室からの前記燃焼ガスは、電力を発生させるために、発電機に接続されたエキスパンダを通じて膨張される方法であって、前記コンプレッサは、前記エキスパンダとは別個のモータによって運転される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【公表番号】特表2012−515296(P2012−515296A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545747(P2011−545747)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050469
【国際公開番号】WO2010/081883
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(511173642)