説明

湿度センサー

【課題】従来の湿度センサーは、主に、吸湿材の色相変化や滲みの大きさの変化などによって設定湿度超過の事実を知る様にしていたが、見にくく、誤った判断をする場合があった。又、手作業で作られており、生産性が低く、コストも高かった。
【構成】表面側に多孔質微粒子層6が形成された紙葉を適当な大きさに裁断した紙片1の裏面側に吸湿性を有する多孔質微粒子とデンプン糊と着色剤と水とを混練したインク状の吸湿材2をスポット状に塗布し、乾燥させて感湿部3を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は湿度の検知を行う湿度センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
湿度の管理は、商品の輸送、保管をはじめ、多くの産業分野において広く行われており、湿度を感知するための湿度センサーも数々のタイプのものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−17599号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シール状の基材上に感湿材を固定し、感湿材が吸湿した際の色相変化や滲みの広がりなどによって湿度の検知を行うシール状の湿度センサーは、設置、取扱いの容易さや感知精度の良さなどから、広く使用されている。
【0006】
しかしながら、従来から存在するこれらの湿度センサーの多くは、滲みの大きさや色相の変化という相対的変化によって湿度の変化を検知しようとするものであるので、分かりずらく、又、感湿材を基材上に固定する作業も手作業で行う必要があり、量産化がむずかしく、製造コストが高いといった問題が存在していた。
【0007】
本発明は、このシール状の湿度センサーの上記問題点を解決することを目的とするものであり、従来のものとは全く異なった表示メカニズムを採用することによって、湿度感知の事実を明瞭に表示出来る様にすると共に、量産化にも適した湿度センサーを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
表面側に多孔質微粒子層6が形成された紙葉を適当な大きさに裁断した紙片1の裏面側に吸湿性を有する多孔質微粒子とデンプン糊と着色剤と水とを混練したインク状の吸湿材2をスポット状に塗布し乾燥させて感湿部3を形成することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0009】
図3に示す様に、感湿部3が形成されている側、つまり裏面側を設置箇所表面に接する様に貼り付け、使用に供する。この状態において、設置場所の雰囲気の水分は、紙片1の表面側から紙片1中に浸入し、感湿部3中の多孔質部粒子の細孔に取り込まれるが、雰囲気湿度が設定値を超えると、水分は着色剤を伴ってこれから溢れ出し、図4に矢印で示す様に、表面側に移動し、表面にスポット状の発色マーク4を現出される。なお、紙片1の表面側には多孔質微粒子がコーティングされ、多孔質微粒子層6が形成されているが、この多孔質微粒子の空隙は紙の繊維によって形成される空隙よりも狭く、水分吸収のドライビングフォースである毛細管力が大きい為、着色剤を伴った水分は毛細管現象によって紙片1の表面側に強力に吸い上げられ、紙片1の内部には拡散せずに、紙片1の表面に鮮明な発色マーク4を形成し、その周囲に不鮮明な滲みはほとんど形成しない。吸湿材2中のデンプン糊は多孔質微粒子及び着色剤を紙片1に固定させるバインダーの役を果すものであるが、デンプン糊はそれ自体水溶性であるので、水分が多孔質微粒子に浸入することを何ら阻げることはない。
【0010】
この様に、それまで何もなかった紙片1の表面に設定湿度超過と共に、色彩を伴った発色マーク5が鮮やかに出現し、これにより設定湿度超過の事実が表示される。
【0011】
従って、色相の変化や滲みの大きさにより、設定湿度超過の事実を知る従来の湿度センサーに比べはるかに分かりやすい。又、吸湿材2はインク状をしているので、これを紙片1の裏面側にスポット状に塗布するだけで簡単に湿度センサーを構成することが出来るので、生産性にすぐれ、製造コストも低廉である。更に、吸湿材2からなる感湿部3は紙片1の裏面側に形成され、設定湿度超過の際に紙片1内に広く拡散することもないので、粉末状の石油系ワックスの熱溶解作用を利用したワックスタイプ感湿センサーとの同一紙片上での併設も出来るので、湿度及び温度の同時管理も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係る湿度センサーの実施例1の拡大斜視図。
【図2】同じく、裏面側から見た斜視図。
【図3】同じく、設置箇所表面に貼り付けた状況を示した拡大断面図。
【図4】同じく、設定湿度超過により、発色マークが形成されるメカニズムを模式的に描いた説明図。
【図5】同じく、設定湿度超過により、表面側に発色マークが形成された状況を示した表面側から見た斜視図。
【図6】他の実施例の裏面側から見た斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
表面側に多孔質微粒子層6が形成された紙葉を適当な大きさに裁断した紙片1の裏面側に吸湿性を有する多孔質微粒子とデンプン糊と着色剤と水とを混練したインク状の吸湿材2をスポット状に塗布し、乾燥させて感湿部3を形成する。
【実施例1】
【0014】
図1はこの発明に係る湿度センサーの一実施例の断面図、図2はその裏面側から見た斜視図である。図中1は基材となる紙片であり、天然セルロースを水の存在化で薄葉状に形成した紙本体4の一方の面(表面側)にシリカゲルなどの多孔質微粒子をコーティングして、多孔質微粒子層6を形成した紙葉を適当な大きさに裁断したものである。この種の紙葉は、インクジェット紙と称され、インクジェットプリンタ用画像記録紙として広く市販されている。
【0015】
そして、この紙片1の裏面側には、吸湿材2がスポット状に塗付されて、感湿部3が形成されている。この吸湿材2は、本発明の最も重要な構成要件であり、シリカゲルなどの吸湿性に富む多孔質微粒子、デンプン糊、着色剤に水を加え、練り合わせたインク状物質である。多孔質微粒子としては、シリカゲルのほか、ゼオライトなども使用可能である。又、着色剤としては、顔料、染料どちらも使用可能である。
【0016】
多孔質微粒子、デンプン糊、着色剤、水の配合割合は、使用条件によって左右される為、一概に規定出来ないが、多孔質微粒子は設定湿度に応じて増減されるものであり、一般的は、感知するべき設定湿度が高い程、多孔質微粒子の配合割合を多くする。
吸湿材2は紙片1に塗付された後、その中の水分が蒸発することにより、乾燥して固形状の感湿部3となる。
【0017】
なお、図1及び図2に示す感湿センサーは感湿部3が一個だけ形成されたものであるが、図6に示すものの様に、10%、20%、30%という様に設定湿度が異なる感湿部3を複数個形成しても良い。
【0018】
そして、この実施例に係る湿度センサーは、図3に示す様に、感湿部3が形成されている側、つまり裏面側を設置箇所表面に接する様に貼り付け、使用に供する。この状態において、設置場所の雰囲気中の水分は、紙片1の表面側から紙片1中に浸入し、感湿部3中の多孔質部粒子の細孔に取り込まれるが、雰囲気湿度が設定値を超えると、水分は着色剤を伴ってこれから溢れ出し、図4において矢印で示す様に表面側に移動し、図4及び図5に示す様に表面にスポット状の発色マーク4を現出される。なお、紙片1の表面側には多孔質微粒子がコーティングされ、多孔質微粒子層6が形成されているが、この多孔質微粒子の空隙は紙本体7の繊維によって形成される空隙よりも狭く、水分吸収のドライビングフォースである毛細管力が大きい為、着色剤を伴った水分は毛細管現象によって紙片1の表面側に強力に吸い上げられ、紙片1の紙本体7の内部には拡散せずに、紙片1の表面に鮮明な発色マーク4を形成し、その周囲に不鮮明な滲みはほとんど形成しない。吸湿材2中のデンプン糊は多孔質微粒子及び着色剤を紙片1に固定させるバインダーの役を果すものであるが、デンプン糊はそれ自体水溶性であるので、水分が多孔質微粒子に浸入することを何ら阻げることはない。
【0019】
この様に、それまで何もなかった紙片1の表面に、設定湿度超過と共に、色彩を伴った発色マーク5が鮮やかに現出し、これにより、設定湿度超過の事実が表示される。
【0020】
従って、色相の変化や滲みの大きさにより設定湿度超過の事実を知る従来の湿度センサーに比べ、はるかに分かりやすい。又、吸湿材2はインク状をしているので、これを紙片1の裏面側にスポット状に塗付するだけで簡単に湿度センサーを構成することが出来るので、生産性にすぐれ、製造コストも低廉である。
更に、吸湿材2からなる感湿部3は紙片1の裏面側に形成され、設定湿度超過の際に紙片1内に広く拡散することもないので、粉末状の石油系ワックスの熱融解作用を利用したワックスタイプ感温センサーとの同一紙片上での併設も出来るので、湿度及び温度の同時管理も可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
商品の輸送、管理をはじめ湿度管理を必要とするあらゆる産業分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 紙片
2 吸湿材
3 感湿部
4 発色マーク
6 多孔質微粒子層
7 紙本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に多孔質微粒子層(6)が形成された紙葉を適当な大きさに裁断した紙片(1)の裏面側に、吸湿性を有する多孔質微粒子とデンプン糊と着色剤と水とを混練したインク状の吸湿材(2)をスポット状に塗布し、乾燥させて感湿部(3)を形成したことを特徴とする湿度センサー。
【請求項2】
吸湿材(2)を構成している多孔質微粒子がシリカゲルであることを特徴とする請求項1記載の湿度センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−169540(P2010−169540A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12447(P2009−12447)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(591139781)アセイ工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】