非接触通信媒体読取装置
【課題】同一形状または類似形状の物体に取りつけられた複数の非接触通信媒体を読み取る場合でも、どの非接触通信媒体を読み取ったかを容易に視認し得る非接触通信媒体読取装置を提供する。
【解決手段】各収容箱B1〜B12にそれぞれ付されたRFIDタグT1〜T12のタグ情報には、当該RFIDタグが付された収容箱に表示されたラベルのシリアル番号に1対1で対応するシリアル番号が含まれている。そして、RFIDタグのタグ情報が一括して取得される際に各ラベルL1〜L12のシリアル番号が撮像されて、この撮像画像Pから各シリアル番号が抽出されると、このように抽出された各シリアル番号のうち、一括して取得された各タグ情報にそれぞれ含まれるシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、既読タグが付された収容箱の位置を示すように表示部24により表示される。
【解決手段】各収容箱B1〜B12にそれぞれ付されたRFIDタグT1〜T12のタグ情報には、当該RFIDタグが付された収容箱に表示されたラベルのシリアル番号に1対1で対応するシリアル番号が含まれている。そして、RFIDタグのタグ情報が一括して取得される際に各ラベルL1〜L12のシリアル番号が撮像されて、この撮像画像Pから各シリアル番号が抽出されると、このように抽出された各シリアル番号のうち、一括して取得された各タグ情報にそれぞれ含まれるシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、既読タグが付された収容箱の位置を示すように表示部24により表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信媒体と無線通信して情報を取得する非接触通信媒体読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触通信媒体(例えば、RFIDタグ)と無線通信して情報を取得する非接触通信媒体読取装置に関する技術として、下記特許文献1に示す情報取得装置が知られている。この情報取得装置は、RFIDタグが取り付けられた複数の対象物の読み取りに際して、画像撮影部で撮像を行うと同時にRFID読み取り部で撮像範囲のRFIDタグの読み取りを行う。そして、RFIDタグのIDデータを基にデータベースから得た対象物の特徴量(外観モデル)と、撮像画像の画像処理により得られる特徴量とを比較することにより、画像中で各々のRFIDタグが取り付けられている対象物を判別する。そして、表示部に対して、画像中のRFIDタグが存在する位置に、対象物に固有の情報を表示することにより、作業者は、読み取ったRFIDタグを視認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−040035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に示すような構成では、RFIDタグが付与された物体の形状をIDデータとの紐付けに使用しているため、例えば、RFIDタグが同形状の箱に設けられた場合のように、同じ形状の物体が複数存在する場合には、IDデータとRFIDタグが取りつけられた物体との紐付けができないという問題がある。また、同じ形状の物体だけでなく類似した形状の物体が複数存在する場合も同様の問題が生じる。また、RFIDタグが取り付けられた物体の情報とIDデータとを紐付けするデータベースが予め必要となるため、都度データベースを作成するなどシステム構築に多大な工数がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、同一形状または類似形状の物体に取りつけられた複数の非接触通信媒体を読み取る場合でも、どの非接触通信媒体を読み取ったかを容易に視認し得る非接触通信媒体読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の非接触通信媒体読取装置では、複数の読取対象にそれぞれ付された非接触通信媒体の情報を一括して取得可能な取得手段と、前記複数の読取対象にそれぞれ表示された固有の第1識別情報を撮像可能な撮像手段と、を備える非接触通信媒体読取装置であって、前記非接触通信媒体の情報には、当該非接触通信媒体が付された読取対象に表示された前記第1識別情報に1対1で対応する第2識別情報が含まれており、前記取得手段により前記非接触通信媒体の情報が一括して取得される際に前記撮像手段により複数の前記第1識別情報が撮像された撮像画像に対して、これら複数の第1識別情報をそれぞれ抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示される表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記表示手段には、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報に関する情報が、読み取られていない非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記撮像手段は、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報がある場合に、前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の全てが、当該撮像手段により撮像された撮像画像から前記抽出手段により抽出される複数の前記第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応するまで、撮像を繰り返し、前記表示手段には、前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の全てが、前記撮像手段により撮像された撮像画像から前記抽出手段により抽出される複数の前記第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応する場合に、当該第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない第1識別情報があると、この第1識別情報に関する情報が、前記読み取られていない非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報の全てが、前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の一部に対して1対1で対応する場合、前記表示手段には、前記複数の第1識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として表示されるとともに、当該複数の第1識別情報のいずれとも1対1で対応しない第2識別情報に関する情報が、読取無効となった非接触通信媒体として表示されることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記抽出手段により抽出された複数の前記第1識別情報に対して他の識別情報を推定可能な共通の規則性がある場合に、この規則性に基づいて当該複数の第1識別情報に対し欠落した識別情報が存在するか否かについて判定する判定手段と、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して前記判定手段により前記欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置とを当該複数の第1識別情報および前記規則性に基づいて推定する推定手段と、を備え、前記表示手段には、前記推定手段により推定された前記欠落した識別情報が、前記撮像画像に対してその占める位置を示すように表示されることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記第1識別情報は、文字情報であって、前記抽出手段により前記撮像画像から文字情報が認識されて抽出される際の基準となる文字認識精度を調整可能な調整手段を備え、前記抽出手段は、前記推定手段により前記欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置に当該欠落した識別情報が存在することを前提に、前記調整手段により前記文字認識精度を前記欠落した識別情報の推定時よりも低くして文字としてより認識しやすく調整された状態で、複数の第1識別情報を抽出し、前記表示手段は、前記抽出手段により前記欠落した識別情報に相当する文字情報が抽出されない場合には、前記欠落した識別情報を表示しないことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記抽出手段により抽出された複数の前記第1識別情報に対して他の識別情報を推定可能な共通の規則性がある場合に、この規則性に基づいて当該複数の第1識別情報に対し欠落した識別情報が存在するか否かについて判定する判定手段と、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して前記判定手段により前記欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置とを当該複数の第1識別情報および前記規則性に基づいて推定する推定手段と、を備え、前記撮像手段は、前記推定手段により前記欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置に対応する撮像範囲を基準に焦点位置を調整した状態で、新たに撮像画像を撮像し、前記抽出手段は、前記撮像手段により前記新たな撮像画像が撮像されると、この撮像画像から前記第1識別情報を抽出し、前記表示手段には、前記新たな撮像画像に応じて前記抽出手段により抽出された第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として前記新たな撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、複数の読取対象にそれぞれ付された非接触通信媒体の情報には、当該非接触通信媒体が付された読取対象に表示された第1識別情報に1対1で対応する第2識別情報が含まれている。そして、取得手段により非接触通信媒体の情報が一括して取得される際に撮像手段により複数の第1識別情報が撮像されて、この撮像画像から抽出手段により複数の第1識別情報が抽出されると、このように抽出された複数の第1識別情報のうち、取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として撮像画像に対してその抽出された位置を示すように、表示手段により表示される。
【0014】
これにより、各読取対象の非接触通信媒体の第2識別情報を一括して取得する場合には、これら各読取対象に表示された第1識別情報のうち一括して取得された各第2識別情報に1対1で対応する情報が、撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示されるので、同一形状または類似形状の物体に取りつけられた複数の非接触通信媒体を読み取る場合でも、どの非接触通信媒体を読み取ったかを容易に視認することができる。
【0015】
請求項2の発明では、表示手段には、抽出手段により抽出された複数の第1識別情報のうち、取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報に関する情報が、読み取られていない非接触通信媒体として撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示される。
【0016】
これにより、一括して取得された各第2識別情報の読取対象と異なる読取対象の第1識別情報が抽出されるとき、この抽出された情報が撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示されるので、一括取得時に取得されなかった第2識別情報を有する読取対象の位置を容易に視認することができる。
【0017】
請求項3の発明では、抽出手段により抽出された複数の第1識別情報のうち、取得手段により一括して取得された複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報がある場合には、取得手段により一括して取得された第2識別情報の全てが、撮像手段により撮像された撮像画像から抽出手段により抽出される複数の第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応するまで、当該撮像手段による撮像が繰り返される。そして、この繰り返し撮像により、一括して取得された第2識別情報の全てが、撮像画像から抽出される各第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応するとき、当該第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない第1識別情報があると、この第1識別情報に関する情報が、読み取られていない非接触通信媒体として撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示される。
【0018】
これにより、読取対象に表示された各第1識別情報を確実に抽出することができる。さらに、一括して取得された第2識別情報の全てが、撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示され、各第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない第1識別情報に関する情報が、読み取られていない非接触通信媒体として撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示されるため、一括取得時に取得されなかった第2識別情報を有する読取対象の位置を容易に視認することができる。
【0019】
請求項4の発明では、抽出手段により抽出された複数の第1識別情報の全てが、取得手段により一括して取得された第2識別情報の一部に対して1対1で対応する場合、表示手段には、複数の第1識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として表示されるとともに、当該複数の第1識別情報のいずれとも1対1で対応しない第2識別情報に関する情報が、読取無効となった非接触通信媒体として表示される。
【0020】
読取対象の近くに非接触通信媒体が付された他の物品があることから、読取対象だけでなくこの異なる物品に付された非接触通信媒体までも読み取ってしまう場合でも、撮像画像には、読取対象が撮像されているはずである。そこで、抽出された各第1識別情報のいずれとも1対1で対応しない第2識別情報に関する情報が、読取無効となった非接触通信媒体として表示されることで、読取作業中に不要な非接触通信媒体を読み取ったことが分かるので、読み取りの無駄をなくすような読取作業に関する改善を作業者に促すことができる。
【0021】
請求項5の発明では、抽出手段により抽出された複数の第1識別情報のうち、取得手段により一括して取得された複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して判定手段により上記規則性に基づいて欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が撮像画像に占める位置とが、当該複数の第1識別情報および規則性に基づいて推定手段により推定される。そして、表示手段には、推定手段により推定された欠落した識別情報が、撮像画像に対してその占める位置を示すように表示される。
【0022】
これにより、抽出手段により抽出されずに欠落する識別情報がある場合でも、この欠落する識別情報が推定されて表示手段に表示されるため、どの非接触通信媒体を読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【0023】
請求項6の発明では、第1識別情報は文字情報であり、推定手段により欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が撮像画像に占める位置に当該欠落した識別情報が存在することを前提に、調整手段により文字認識精度を上記欠落した識別情報の推定時よりも低くして文字としてより認識しやすく調整された状態で、複数の第1識別情報が、抽出手段により抽出される。そして、抽出手段により欠落した識別情報に相当する文字情報が抽出されない場合には、欠落した識別情報は表示手段には表示されない。
【0024】
これにより、文字情報である第1識別情報が欠落する場合でもこの欠落した識別情報に関する推定精度を向上させることができ、抽出手段により抽出されずに欠落する識別情報がある場合でも、この欠落する識別情報が推定されて表示手段に表示されるため、どの非接触通信媒体を読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【0025】
請求項7の発明では、抽出手段により抽出された複数の第1識別情報のうち、取得手段により一括して取得された複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して判定手段により上記規則性に基づいて欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が撮像画像に占める位置とが、当該複数の第1識別情報および規則性に基づいて推定手段により推定される。そして、推定手段により欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が撮像画像に占める位置に対応する撮像範囲を基準に焦点位置を調整した状態で、新たに撮像画像が撮像手段により撮像され、この撮像画像から第1識別情報が抽出手段により抽出される。そして、新たな撮像画像に応じて抽出された第1識別情報のうち、一括して取得された第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として新たな撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示される。
【0026】
これにより、各読取対象にそれぞれ表示される各第1識別情報が抽出可能に撮像される可能性を高めることができ、最初の撮影時に撮像画像から抽出されずに欠落する識別情報がある場合でも、この欠落する識別情報を再撮像して表示手段に表示されるため、どの非接触通信媒体を読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る携帯端末により各収容箱に対する読取作業状態を例示する説明図である。
【図2】図1の携帯端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【図3】第1実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図3の撮像処理にて撮像された撮像画像を例示する説明図である。
【図5】図5(A)は、全てが既読タグである場合の表示部の表示状態を例示する説明図であり、図5(B)は、一部が未読タグである場合の表示部の表示状態を例示する説明図である。
【図6】第2実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】図6の撮像処理にて撮像された撮像画像を例示する説明図である。
【図8】第3実施形態に係る携帯端末により各収容箱に対する読取作業状態を例示する説明図である。
【図9】第3実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図10】図9の撮像処理にて撮像された撮像画像Pを例示する説明図である。
【図11】第4実施形態に係る携帯端末により各収容箱に対する読取作業状態を例示する説明図である。
【図12】第4実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図13】図12の撮像処理にて撮像された撮像画像を例示する説明図である。
【図14】推定されたシリアル番号が表示される表示部の表示状態を例示する説明図である。
【図15】第5実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図16】第6実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、本発明の非接触通信媒体読取装置を携帯端末20に適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る携帯端末20により各収容箱B1〜B12に対する読取作業状態を例示する説明図である。図2は、図1の携帯端末20の電気的構成を例示するブロック図である。
【0029】
本実施形態に係る携帯端末20は、複数の読取対象に付された非接触通信媒体の情報を無線通信(非接触通信)にてそれぞれ読み取るため非接触通信媒体読取装置である。本実施形態では、図1に例示するように、所定の部品をそれぞれ収容する収容箱として12個の収容箱B1〜B12が読取対象である。これら各収容箱B1〜B12は、それぞれ同じ寸法の箱形状として構成されている。このように構成される収容箱B1〜B12は、図1に例示するように、シリアル番号順に整列されて積み重ねられている。
【0030】
各収容箱B1〜B12の前面(配置時に作業者に対して見やすくなる面)には、その収容箱を特定するための固有の識別情報として、シリアル番号(図1では「00001」〜「00012」)が印刷されたラベルL1〜L12がそれぞれ貼り付けられている。また、各収容箱B1〜B12には、収容物等に関する情報や貼り付けられたラベルのシリアル番号などのタグ情報が読み取り可能に記憶されたRFIDタグT1〜T12がそれぞれ付されている。すなわち、収容箱に付されたRFIDタグのシリアル番号を読み取ったことを認識することで、当該収容箱の収容物等に関する情報を読み取ったことがわかる。なお、ラベルに表示されるシリアル番号は、特許請求の範囲に記載の「第1識別情報」の一例に相当し、RFIDタグT1〜T12に記憶されるシリアル番号は、特許請求の範囲に記載の「第2識別情報」の一例に相当し、両シリアル番号は、同一番号である場合に1対1で対応するものとする。
【0031】
このように構成される収容箱B1〜B12は、図1に例示するように、シリアル番号「00001」〜「00004」に対応する収容箱B1〜B4がシリアル番号順に積み重ねられ、シリアル番号「00005」〜「00008」に対応する収容箱B5〜B8がシリアル番号順に積み重ねられ、シリアル番号「00009」〜「00012」に対応する収容箱B9〜B12がシリアル番号順に積み重ねられている。そして、このように積み重ねられた収容箱B1〜B12が一箇所に密集するように所定の位置に置かれている。
【0032】
図2に示すように、携帯端末20の筐体内には、携帯端末20全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有しており、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。メモリ22は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当し、後述する読取処理等を実行可能な所定のプログラムや、各ハードウェアを制御可能なシステムプログラムなどが予め格納されている。
【0033】
また、制御部21には、撮像部23、表示部24、キー操作部25および通信インターフェース26などが接続されている。撮像部23は、制御部21によって制御されて、撮像時にその撮像画像に応じた画像信号(画素信号)を制御部21に出力するように構成されている。表示部24は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21から表示処理等に関する指令を受けて動作するようになっている。なお、撮像部23および表示部24は、特許請求の範囲に記載の「撮像手段」および「表示手段」の一例に相当し得る。
【0034】
キー操作部25は、制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、これらからの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行うようになっている。また、通信インターフェース26は、外部(例えば外部ホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体内には、電源となるバッテリ27や電源部28が収容されており、これらによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0035】
また、制御部21には、非接触通信部30が接続されている。この非接触通信部30は、アンテナ31及び制御部21と協働して上述したRFIDタグT1〜T12や無線タグ等の非接触通信媒体との間で電磁波による通信を行ない、非接触通信媒体に記憶されるデータの読取り、或いは非接触通信媒体に対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この非接触通信部30は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図2にて概略的に示すように、発振器32、変調器33、復調器34などを備えてなるものである。なお、非接触通信部30には、これら以外の公知構成(例えば、増幅器、フィルタ回路、整合回路等)も設けられているが、図2ではこれらについては図示を省略している。なお、本実施形態では、上記非接触通信媒体として、収容箱B1〜B12に付されたRFIDタグT1〜T12が通信対象となる。また、非接触通信部30は、特許請求の範囲に記載の「取得手段」の一例に相当し得る。
【0036】
次に、読取作業時における制御部21による読取処理について図3〜図5を用いて説明する。図3は、第1実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。図4は、図3の撮像処理にて撮像された撮像画像Pを例示する説明図である。図5(A)は、全てが既読タグである場合の表示部24の表示状態を例示する説明図であり、図5(B)は、一部が未読タグである場合の表示部24の表示状態を例示する説明図である。
【0037】
まず、携帯端末20が電源ON状態になり所定の初期設定がなされた後に、読取作業者が携帯端末20を各収容箱B1〜B12に向けた状態で、これら各収容箱B1〜B12に付されたRFIDタグT1〜T12の情報を読み取るための読取操作がキー操作部25に対してなされると、図3のステップS101にてタグ情報一括読取処理がなされる。この処理では、携帯端末20に対して無線通信可能な範囲に存在するRFIDタグのタグ情報が一括して取得される。
【0038】
次に、ステップS103において、撮像処理がなされる。この処理では、上記読取操作に応じて、各収容箱B1〜B12に貼り付けられた各ラベルL1〜L12が、図4に例示するように、撮像画像Pとして撮像される。なお、上述したタグ情報一括読取処理時に各ラベルL1〜L12を撮像するために、読取作業手順として、撮像部23を各ラベルL1〜L12に向けた状態で上記読取操作が実施されるように、決められている。
【0039】
このように各ラベルL1〜L12が撮像されると、ステップS105において、第1識別情報抽出処理がなされる。この処理では、ステップS103にて撮像された撮像画像Pから各ラベルL1〜L12に表示されたシリアル番号が第1識別情報としてそれぞれ抽出される。具体的には、図4に例示する撮像画像Pでは、「00001」〜「00012」までのシリアル番号がそれぞれ抽出される。そして、このように抽出されたシリアル番号には、当該撮像画像Pに対して抽出された位置に関する情報が抽出位置情報として付加される。
【0040】
次に、ステップS107において、第2識別情報抽出処理がなされる。この処理では、ステップS101にて一括して読み取った各タグ情報から、シリアル番号が第2識別情報としてそれぞれ抽出される。
【0041】
続いて、ステップS109において、選択処理がなされる。この処理では、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号のうち、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応するシリアル番号が、タグ情報が読み取られたRFIDタグ(以下、既読タグという)が付された収容箱のラベルに表示されたシリアル番号であるとして、選択される。
【0042】
そして、ステップS111において、表示処理がなされる。この処理では、ステップS103にて撮像された撮像画像Pに対して、ステップS109にて選択されたシリアル番号の抽出位置に対応する領域が既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。また、上記撮像画像Pに対して選択されないシリアル番号がある場合には、このシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、タグ情報が読み取られていないRFIDタグ(以下、未読タグという)が付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。
【0043】
具体的には、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号が「00001」〜「00012」であり、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号が「00001」〜「00012」であることから、ステップS105にて撮像画像Pから抽出された全てのシリアル番号が、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応する場合には、図5(A)に例示するように表示される。すなわち、全てのラベルのシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、既読タグが付された収容箱の位置を示すように、例えば表示色を変えて表示部24に表示される。
【0044】
一方、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号が「00001」〜「00012」であり、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号が「00001」〜「00005」、「00007」〜「00012」であり、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号「00006」のみが、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応しない場合には、図5(B)に例示するように表示される。すなわち、シリアル番号「00006」の抽出位置に対応する領域のみが、未読タグが付された収容箱の位置を示すように、例えばその領域が太線で囲われるように表示部24に表示され、その他のシリアル番号の抽出位置に対応する領域は、既読タグが付された収容箱の位置を示すように、上述のように表示色を変えて表示部24に表示される。
【0045】
以上説明したように、本第1実施形態に係る携帯端末20では、各収容箱B1〜B12にそれぞれ付されたRFIDタグT1〜T12のタグ情報には、当該RFIDタグが付された収容箱に表示されたラベル(L1〜L12)のシリアル番号に1対1で対応するシリアル番号が含まれている。そして、RFIDタグ(T1〜T12)のタグ情報が一括して取得される際に各ラベルL1〜L12のシリアル番号が撮像されて、この撮像画像Pから各シリアル番号が抽出されると、このように抽出された各シリアル番号のうち、一括して取得された各タグ情報にそれぞれ含まれるシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、既読タグが付された収容箱(読取対象)の位置を示すように表示部24により表示される。
【0046】
これにより、各収容箱B1〜B12にそれぞれ付されたRFIDタグT1〜T12のタグ情報を一括して取得する場合には、これら各収容箱B1〜B12に表示されたラベルのシリアル番号のうち一括して取得されたタグ情報のシリアル番号に1対1で対応するシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、既読タグが付された収容箱の位置を示すように表示部24に表示されるので、同一形状の収容箱にそれぞれ取りつけられた複数のRFIDタグを読み取る場合でも、どのRFIDタグを読み取ったかを容易に視認することができる。
また、各収容箱がそれぞれ類似した形状であっても上記処理を実施することで上記効果を奏するため、類似形状の収容箱にそれぞれ取りつけられた複数のRFIDタグを読み取る場合でも、どのRFIDタグを読み取ったかを容易に視認することができる。
【0047】
特に、表示部24には、撮像画像Pから抽出された複数のシリアル番号のうち、一括して取得された各タグ情報にそれぞれ含まれるシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、未読タグが付された収容箱(読取対象)の位置を示すように表示部24に表示される。
【0048】
これにより、一括して取得されたシリアル番号のRFIDタグが付された収容箱と異なる収容箱のラベルのシリアル番号が抽出されるとき、この抽出された情報が撮像画像Pに対して未読タグが付された読取対象の位置を示すように表示部24に表示されるので、読取作業者は、未読タグが付された収容箱の位置を容易に視認することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の携帯端末20を具現化した第2実施形態について図6および図7を用いて説明する。図6は、第2実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。図7は、図6の撮像処理にて撮像された撮像画像Pを例示する説明図である。
【0050】
本第2実施形態に係る携帯端末20では、上述した撮像処理にて読取対象に表示されたラベルのシリアル番号が全て撮像されない場合に再撮像するために、図3に示すフローチャートに代えて図6に示すフローチャートを採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
読取作業者が撮像部23を各ラベルL1〜L12に向けた状態でキー操作部25を操作するとき、図7に例示するように、読取対象である各収容箱B1〜B12にそれぞれ表示されたラベルL1〜L12のシリアル番号が全て撮像されない場合がある。この理由としては、例えば、作業環境などによって撮像時に携帯端末20がぶれてしまうなどの場合が考えられる。この場合に上記第1実施形態における読取処理を実施すると、ステップS105にて適切なシリアル番号が抽出されない場合がある。
【0052】
そこで、本第2実施形態では、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pから抽出される複数のシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するまで、撮像処理を繰り返す。
以下、本第2実施形態における読取処理について、図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0053】
上記第1実施形態における読取処理と同様に、ステップS107までの処理が終了すると、ステップS108において、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号(ステップS107にて抽出されたシリアル番号)の全てが、ステップS105にて撮像画像Pから抽出される複数のシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するか否かについて判定される。
【0054】
ここで、図7に例示するように、読取対象である各収容箱B1〜B12にそれぞれ表示されたラベルL1〜L12のシリアル番号のうち「00009」〜「00012」が撮像されないために、撮像画像Pから抽出されたシリアル番号のうち、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号がある場合には、ステップS108にてNoと判定されて、ステップS103にて再び撮像処理がなされて新たな撮像画像Pが撮像される。
【0055】
すなわち、各収容箱B1〜B12にそれぞれ表示されたラベルL1〜L12のシリアル番号が全て1つの撮像画像Pに撮像されることで、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pから抽出される複数のシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するまで、上記撮像処理が繰り返されることとなる。
【0056】
このような繰り返し処理中に、読取作業者が撮像部23を各ラベルL1〜L12に対して適切に向けることで、各収容箱B1〜B12にそれぞれ表示されたラベルL1〜L12のシリアル番号が全て1つの撮像画像Pに撮像される。これにより、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pから抽出される複数のシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応することとなり、ステップS108にてYesと判定される。
【0057】
そして、上述したステップS109以降の処理がなされ、ステップS103にて撮像された撮像画像Pに対して、ステップS109にて選択されたシリアル番号の抽出位置に対応する領域が既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。また、上記撮像画像Pに対して選択されないシリアル番号がある場合には、このシリアル番号の抽出位置に対応する領域が未読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。
【0058】
なお、本第2実施形態では、上述したステップS107にて一括して読み取った各タグ情報からシリアル番号を抽出する処理を、ステップS103における撮像処理よりも前段階で実施することで、上記繰り返し処理中にステップS107の処理を実施しないようにしてもよい。
【0059】
以上説明したように、本第2実施形態に係る携帯端末20では、撮像画像Pから抽出されたシリアル番号のうち、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号がある場合には、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pから抽出される複数のシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するまで、撮像が繰り返される。そして、この繰り返し撮像により、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pから抽出される各シリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するとき、当該タグ情報のシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号があると、このシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、未読タグが付された収容箱(読取対象)の位置を示すように表示部24に表示される。
【0060】
これにより、各収容箱B1〜B12にそれぞれ表示されたラベルL1〜L12のシリアル番号を撮像画像Pから確実に抽出することができる。さらに、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pに対してその抽出された位置を示すように表示部24に表示され、各タグ情報のシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、未読タグが付された収容箱(読取対象)の位置を示すように表示部24に表示されるため、読取作業者は、未読タグが付された収容箱の位置を容易に視認することができる。
【0061】
[第3実施形態]
次に、本発明の携帯端末20を具現化した第3実施形態について図8〜図10を用いて説明する。図8は、第3実施形態に係る携帯端末20により各収容箱B1〜B8に対する読取作業状態を例示する説明図である。図9は、第3実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。図10は、図9の撮像処理にて撮像された撮像画像Pを例示する説明図である。
【0062】
本第3実施形態に係る携帯端末20では、読取対象でない収容箱に付されたRFIDタグのタグ情報が取得される場合にこの情報を無効化するために、図3に示すフローチャートに代えて図9に示すフローチャートを採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
本第3実施形態では、読取対象が収容箱B1〜B8であり、図8に例示するように、これら各収容箱B1〜B8の近くに読取対象でない収容箱B9〜B12があることから、RFIDタグT1〜T8のタグ情報だけでなくRFIDタグT9〜T12のタグ情報までも読み取ってしまう場合がある。しかしながら、この場合でも、撮像画像Pには、収容箱B1〜B8のラベルL1〜L8が撮像され、収容箱B9〜B12のラベルL9〜L12は撮像されていないはずである。
【0064】
そこで、本第3実施形態では、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号のうち撮像画像Pから抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応しないシリアル番号があると、この対応しないシリアル番号のタグ情報を無効化する。
以下、本第3実施形態における読取処理について、図9のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0065】
上記第1実施形態における読取処理と同様に、ステップS107までの処理が終了すると、ステップS108aにおいて、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号のうち、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応しないシリアル番号があるか否かについて判定される。
【0066】
ここで、ステップS101にてRFIDタグT1〜T8のタグ情報だけでなくRFIDタグT9〜T12のタグ情報もが取得され、ステップS105にて、図10に例示するように、読取対象である各収容箱B1〜B8にそれぞれ表示されたラベルL1〜L8のシリアル番号が撮像される場合には、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号のうち、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応しないシリアル番号が存在することとなる。
【0067】
この場合には、ステップS108aにてYesと判定され、ステップS110にて無効化処理がなされ、1対1で対応しないシリアル番号「00009」〜「00012」のタグ情報が無効化される。そして、ステップS111aにて、上述した表示処理がなされるとともに、「00009」〜「00012」のタグ情報に関する情報が読取無効である旨が表示部24に表示される。
【0068】
一方、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号のうち、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応しないシリアル番号がない場合には、ステップS108aにてNoと判定される。この場合には、無効化処理が実施されることなく、ステップS111aにて上記ステップS111と同様の処理がなされる。
【0069】
以上説明したように、本第3実施形態に係る携帯端末20では、撮像画像Pから抽出されたシリアル番号の全てが、各タグ情報から抽出されたシリアル番号の一部に対して1対1で対応する場合、表示部24には、既読タグが付された収容箱(読取対象)の位置が表示され、撮像画像Pから抽出されたシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないタグ情報に関する情報が読取無効である旨が表示される。
【0070】
この読取無効である旨の表示により、読取作業中に不要なRFIDタグを読み取ったことが分かるので、読み取りの無駄をなくすような読取作業に関する改善を作業者に促すことができる。
【0071】
[第4実施形態]
次に、本発明の携帯端末20を具現化した第4実施形態について図11〜図14を用いて説明する。図11は、第4実施形態に係る携帯端末20により各収容箱B1〜B9に対する読取作業状態を例示する説明図である。図12は、第4実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。図13は、図12の撮像処理にて撮像された撮像画像Pを例示する説明図である。図14は、推定されたシリアル番号が表示される表示部24の表示状態を例示する説明図であり、図14(A)は全てが既読タグである場合の表示状態を示し、図14(B)は一部が未読タグである場合の表示状態を示す。
【0072】
本第4実施形態に係る携帯端末20では、図11に示すように収容箱B1〜B9が読取対象であり、撮像画像Pから抽出されたラベルのシリアル番号の一部が認識できない場合にこれを推定して表示するために、図3に示すフローチャートに代えて図12に示すフローチャートを採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
収容箱に表示されたラベルに汚れなどが付着することから、撮像画像P中のシリアル番号が認識できないために、本来撮像画像Pから抽出されるべきラベルのシリアル番号の一部が欠落して抽出されない場合がある。
そこで、本第4実施形態では、撮像画像Pから抽出されたラベルのシリアル番号の規則性に基づいて、欠落したシリアル番号が存在するか否かを判定し、欠落したシリアル番号が存在すると判定されると、このシリアル番号自体を当該規則性から推定するとともに、欠落したシリアル番号が撮像画像に占める位置を推定して、この推定されたシリアル番号を他のシリアル番号とともに表示部24に表示する。
【0074】
以下、本第4実施形態における読取処理について、図12のフローチャートを用いて詳細に説明する。
上記第1実施形態における読取処理と同様に、ステップS109までの処理が終了すると、撮像画像Pから抽出されたシリアル番号のうちステップS109の選択処理にて選択されていないシリアル番号がある場合には、ステップS113にてYesと判定される。そして、ステップS115において、撮像画像Pに欠落したシリアル番号の存在が推定されるか否かについて判定される。ここで、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号が所定の規則性を持っており、欠落したシリアル番号の存在が推定される場合には、ステップS115にてYesと判定される。
【0075】
ここで、シリアル番号が所定の規則性を持っており、欠落したシリアル番号の存在が推定される場合とは、例えば、図13に例示するように、ステップS103にて撮像した撮像画像Pからシリアル番号「00005」が認識できず、シリアル番号「00001」〜「00004」、「00006」〜「00009」が抽出されることから、当該シリアル番号が所定の規則性を持っており、シリアル番号「00005」が欠落していると推定される場合である。なお、欠落したシリアル番号は、特許請求の範囲に記載の「欠落した識別情報」の一例に相当し、ステップS115を実施する制御部21は、特許請求の範囲に記載の「判定手段」の一例に相当し得る。
【0076】
図13に例示するような撮像画像Pからシリアル番号「00001」〜「00004」、「00006」〜「00009」が抽出されるために、ステップS115にてYesと判定されると、ステップS117において、推定処理がなされる。この処理では、撮像画像Pから抽出されるシリアル番号と上記所定の規則性とに基づいて、図13の場合では、シリアル番号「00005」が推定されるとともに、この推定されたシリアル番号の撮像画像Pに対する位置が他のシリアル番号の抽出位置の並びから推定される。
【0077】
そして、ステップS111にて表示処理がなされ、ステップS103にて撮像された撮像画像Pに対して、ステップS109にて選択されたシリアル番号と、ステップS117にて推定されたシリアル番号のうち一括して取得されたタグ情報のシリアル番号に1対1で対応するシリアル番号とについて、その抽出位置または推定位置に対応する領域が既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。
【0078】
特に、上記第1実施形態での表示処理と同様に、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、ステップS109にて選択されたシリアル番号およびステップS117にて推定されたシリアル番号のいずれかに1対1で対応する場合には、図14(A)に例示するように、全て既読タグとなるように表示部24に表示される。一方、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の一部が、ステップS109にて選択されたシリアル番号およびステップS117にて推定されたシリアル番号のいずれにも1対1で対応しない場合には、図14(B)に例示するように、一部(図14(B)ではシリアル番号「00006」の領域)が未読タグとなるように表示部24に表示される。
【0079】
なお、ステップS113にてNoと判定される場合、または、ステップS115にてNoと判定される場合には、ステップS111にて上記第1実施形態での表示処理と同様の処理がなされることとなる。
【0080】
以上説明したように、本第4実施形態に係る携帯端末20では、撮像画像Pから抽出された各シリアル番号のうち、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号があり、上記規則性に基づいて欠落したシリアル番号が存在すると判定される場合に、この欠落したシリアル番号と当該欠落したシリアル番号が撮像画像Pに占める位置とが、当該各シリアル番号および規則性に基づいて推定される。そして、表示部24には、推定されたシリアル番号が、撮像画像Pに対してその占める位置を示すように表示される。
【0081】
これにより、撮像画像Pから抽出されずに欠落するシリアル番号がある場合でも、この欠落するシリアル番号が推定されて表示部24に表示されるため、どのRFIDタグを読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【0082】
なお、上述した読取処理においてステップS113における判定処理をなくすことで、常にステップS115における判定処理がなされてもよい。
【0083】
[第5実施形態]
次に、本発明の携帯端末20を具現化した第5実施形態について図15を用いて説明する。図15は、第5実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【0084】
本第5実施形態に係る携帯端末20では、タグ情報のシリアル番号を用いて上述した欠落したシリアル番号を推定するために、図12に示すフローチャートに代えて図15に示すフローチャートを採用する点が、上記第4実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、第4実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
以下、本第5実施形態における読取処理について、図15のフローチャートを用いて詳細に説明する。
上記第4実施形態における読取処理と同様に、ステップS109までの処理が終了すると、ステップS119において、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号のうち上記ステップS109にて選択されていないシリアル番号(以下、未選択シリアル番号という)があるか否かについて判定される。
【0086】
ここで、未選択シリアル番号がある場合には、ステップS119にてYesと判定されて、ステップS121において、推定処理がなされる。この処理では、未選択シリアル番号がステップS103にて撮像された撮像画像P中に撮像されているが抽出されていないものと推定する。
【0087】
次に、ステップS123において、再抽出処理がなされる。この処理では、シリアル番号は文字情報であるため、未選択シリアル番号が撮像画像P中に撮像されていることを前提に、抽出時の文字認識精度を現段階より1段階低くして文字としてより認識しやすく調整された状態で、未選択シリアル番号を当該撮像画像Pから抽出するための処理を行う。この再抽出処理では、撮像画像Pから抽出された他のシリアル番号の抽出位置から、未選択シリアル番号が存在する可能性が高い領域を推定し、この領域等に対して文字認識精度を1段階低くして未選択シリアル番号を抽出するための処理が行われる。
【0088】
そして、未選択シリアル番号が抽出されないことから、ステップS125にてNoと判定されると、ステップS127にて、所定段階まで文字認識の精度を下げても未選択シリアル番号が抽出されないことから未選択シリアル番号が存在しないと判定されるまで、Noと判定される。そして、ステップS123にて文字認識精度をさらに1段階低くして抽出する処理がなされ、未選択シリアル番号が抽出されるか(S125でYes)、未選択シリアル番号が存在しないと判定される(S127でYes)まで、ステップS123からの処理が繰り返される。なお、ステップS123を実施する制御部21は、特許請求の範囲に記載の「調整手段」の一例に相当し得る。
【0089】
例えば、上述した図13に例示するように、ステップS105にてシリアル番号「00005」が抽出されず、ステップS107にて一括して取得されたタグ情報からシリアル番号「00005」が抽出されるとき、「00005」が未選択シリアル番号であるとして、「00005」を抽出することを前提に文字認識精度を徐々に下げるように調整する。
【0090】
そして、上記繰り返し処理中にステップS123にて撮像画像Pから未選択シリアル番号が抽出されると、ステップS125にてYesと判定されて、ステップS111にて表示処理がなされ、この未選択シリアル番号として抽出されたシリアル番号の抽出位置とステップS109にて選択されたシリアル番号の抽出位置とに対応する領域が、既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。また、上記繰り返し処理中に、所定段階まで文字認識精度を下げても未選択シリアル番号が抽出されないことから未選択シリアル番号が存在しないと判定されると、ステップS127にてNoと判定される。そして、ステップS111において、ステップS109にて選択されたシリアル番号の抽出位置とに対応する領域が、既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。なお、ステップS111において、上記撮像画像Pに対して選択されないシリアル番号がある場合には、このシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、未読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。
【0091】
以上説明したように、本第5実施形態に係る携帯端末20では、未選択シリアル番号が推定されるとき、この未選択シリアル番号が撮像画像Pに占める位置に当該未選択シリアル番号が存在することを前提に、文字認識精度を最初の未選択シリアル番号の推定時よりも低くして文字としてより認識しやすく調整された状態で、未選択シリアル番号が、撮像画像Pから抽出される。そして、未選択シリアル番号に相当する文字情報が抽出されない場合には、未選択シリアル番号は表示部24には表示されない。
【0092】
これにより、文字情報であるシリアル番号が欠落する場合でもこの欠落したシリアル番号(未選択シリアル番号)に関する推定精度を向上させることができ、撮像画像Pから抽出されずに欠落するシリアル番号がある場合でも、この欠落するシリアル番号が推定されて表示部24に表示されるため、どのRFIDタグを読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【0093】
[第6実施形態]
次に、本発明の携帯端末20を具現化した第6実施形態について図16を用いて説明する。図16は、第6実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【0094】
本第6実施形態に係る携帯端末20では、上述した欠落したシリアル番号が撮像画像Pに占める表示位置を基準に焦点位置を調整して新たな撮像画像を撮像するために、図15に示すフローチャートに代えて図16に示すフローチャートを採用する点が、上記第5実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、第5実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
以下、本第6実施形態における読取処理について、図16のフローチャートを用いて詳細に説明する。
上記第5実施形態における読取処理と同様に、ステップS109までの処理が終了し、未選択シリアル番号があることからステップS119にてYesと判定されると、ステップS127において、表示位置推定処理がなされる。この処理では、ステップS105にて撮像画像Pから抽出された各シリアル番号の規則性とその抽出位置から、未選択シリアル番号が撮像画像Pに対して表示される表示位置が推定される。
【0096】
次に、ステップS129において、再撮像処理がなされる。この処理では、上記ステップS127にて推定される表示位置に対応する撮像範囲を基準に撮像部23の焦点位置が調整された状態で撮像される。続いて、ステップS131において、ステップS127にて再撮像された撮像画像Pから未選択シリアル番号を抽出するための再抽出処理がなされる。上記表示位置に未選択シリアル番号が存在する場合には、その撮像範囲に焦点位置が調整されて撮像されるので、未選択シリアル番号を抽出する可能性を高めることができる。
【0097】
そして、ステップS111にて表示処理がなされ、未選択シリアル番号が抽出されいるならば、撮像画像Pに対して、上記未選択シリアル番号の表示位置と撮像画像Pから抽出されたシリアル番号の抽出位置とに対応する領域が既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。また、上記撮像画像Pに対して選択されないシリアル番号がある場合には、このシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、未読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。
【0098】
これにより、各収容箱B1〜B9にそれぞれ表示されるラベルL1〜L9のシリアル番号が抽出可能に撮像される可能性を高めることができ、最初の撮影時に撮像画像Pから抽出されずに欠落するシリアル番号がある場合でも、この欠落するシリアル番号を再撮像して表示部24に表示されるため、どのRFIDタグを読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【0099】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)携帯端末20は、上記シリアル番号に相当する情報が表示されるとともにRFIDタグが付された収容箱B1〜B12等を読取対象とすることに限らず、上記シリアル番号に相当する情報が表示されるとともにRFIDタグが付された対象物を読取対象としてもよい。
【0100】
(2)各収容箱には、それぞれラベルを貼り付けることでシリアル番号を表示することに限らず、直接シリアル番号を表示してもよいし、シリアル番号が表示された他の部材を取り付けることでシリアル番号を表示してもよい。
【0101】
(3)読取対象には、シリアル番号等が記憶されたRFIDタグが付されることに限らず、無線タグなどのシリアル番号等が非接触通信にて読み取り可能に記憶された非接触通信媒体が付されてもよい。
【0102】
(4)読取対象に表示されるシリアル番号とRFIDタグに記憶されるシリアル番号とは直接的に1対1に対応させるために同じ情報が採用されることに限らず、異なる情報であっても間接的に1対1に対応するように設定されればよい。
【0103】
(5)読取対象には、シリアル番号に代えて他の読取対象と識別可能な固有の識別情報が表示されてもよし、RFIDタグには、シリアル番号に代えて他の読取対象と識別可能な固有の識別情報が記憶されてもよい。この場合、読取対象に表示される識別情報とRFIDタグに記憶される識別情報とは直接的または間接的に1対1に対応するように設定されているものとする。
【符号の説明】
【0104】
20…携帯端末
21…制御部(抽出手段,調整手段)
23…撮像部(撮像手段)
24…表示部(表示手段)
30…非接触通信部(取得手段)
B1〜B12…収容箱(読取対象)
L1〜L12…ラベル(第1識別情報)
P…撮像画像
T1〜T12…RFIDタグ(非接触通信媒体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信媒体と無線通信して情報を取得する非接触通信媒体読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触通信媒体(例えば、RFIDタグ)と無線通信して情報を取得する非接触通信媒体読取装置に関する技術として、下記特許文献1に示す情報取得装置が知られている。この情報取得装置は、RFIDタグが取り付けられた複数の対象物の読み取りに際して、画像撮影部で撮像を行うと同時にRFID読み取り部で撮像範囲のRFIDタグの読み取りを行う。そして、RFIDタグのIDデータを基にデータベースから得た対象物の特徴量(外観モデル)と、撮像画像の画像処理により得られる特徴量とを比較することにより、画像中で各々のRFIDタグが取り付けられている対象物を判別する。そして、表示部に対して、画像中のRFIDタグが存在する位置に、対象物に固有の情報を表示することにより、作業者は、読み取ったRFIDタグを視認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−040035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に示すような構成では、RFIDタグが付与された物体の形状をIDデータとの紐付けに使用しているため、例えば、RFIDタグが同形状の箱に設けられた場合のように、同じ形状の物体が複数存在する場合には、IDデータとRFIDタグが取りつけられた物体との紐付けができないという問題がある。また、同じ形状の物体だけでなく類似した形状の物体が複数存在する場合も同様の問題が生じる。また、RFIDタグが取り付けられた物体の情報とIDデータとを紐付けするデータベースが予め必要となるため、都度データベースを作成するなどシステム構築に多大な工数がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、同一形状または類似形状の物体に取りつけられた複数の非接触通信媒体を読み取る場合でも、どの非接触通信媒体を読み取ったかを容易に視認し得る非接触通信媒体読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の非接触通信媒体読取装置では、複数の読取対象にそれぞれ付された非接触通信媒体の情報を一括して取得可能な取得手段と、前記複数の読取対象にそれぞれ表示された固有の第1識別情報を撮像可能な撮像手段と、を備える非接触通信媒体読取装置であって、前記非接触通信媒体の情報には、当該非接触通信媒体が付された読取対象に表示された前記第1識別情報に1対1で対応する第2識別情報が含まれており、前記取得手段により前記非接触通信媒体の情報が一括して取得される際に前記撮像手段により複数の前記第1識別情報が撮像された撮像画像に対して、これら複数の第1識別情報をそれぞれ抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示される表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記表示手段には、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報に関する情報が、読み取られていない非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記撮像手段は、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報がある場合に、前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の全てが、当該撮像手段により撮像された撮像画像から前記抽出手段により抽出される複数の前記第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応するまで、撮像を繰り返し、前記表示手段には、前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の全てが、前記撮像手段により撮像された撮像画像から前記抽出手段により抽出される複数の前記第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応する場合に、当該第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない第1識別情報があると、この第1識別情報に関する情報が、前記読み取られていない非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報の全てが、前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の一部に対して1対1で対応する場合、前記表示手段には、前記複数の第1識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として表示されるとともに、当該複数の第1識別情報のいずれとも1対1で対応しない第2識別情報に関する情報が、読取無効となった非接触通信媒体として表示されることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記抽出手段により抽出された複数の前記第1識別情報に対して他の識別情報を推定可能な共通の規則性がある場合に、この規則性に基づいて当該複数の第1識別情報に対し欠落した識別情報が存在するか否かについて判定する判定手段と、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して前記判定手段により前記欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置とを当該複数の第1識別情報および前記規則性に基づいて推定する推定手段と、を備え、前記表示手段には、前記推定手段により推定された前記欠落した識別情報が、前記撮像画像に対してその占める位置を示すように表示されることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記第1識別情報は、文字情報であって、前記抽出手段により前記撮像画像から文字情報が認識されて抽出される際の基準となる文字認識精度を調整可能な調整手段を備え、前記抽出手段は、前記推定手段により前記欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置に当該欠落した識別情報が存在することを前提に、前記調整手段により前記文字認識精度を前記欠落した識別情報の推定時よりも低くして文字としてより認識しやすく調整された状態で、複数の第1識別情報を抽出し、前記表示手段は、前記抽出手段により前記欠落した識別情報に相当する文字情報が抽出されない場合には、前記欠落した識別情報を表示しないことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置において、前記抽出手段により抽出された複数の前記第1識別情報に対して他の識別情報を推定可能な共通の規則性がある場合に、この規則性に基づいて当該複数の第1識別情報に対し欠落した識別情報が存在するか否かについて判定する判定手段と、前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して前記判定手段により前記欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置とを当該複数の第1識別情報および前記規則性に基づいて推定する推定手段と、を備え、前記撮像手段は、前記推定手段により前記欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置に対応する撮像範囲を基準に焦点位置を調整した状態で、新たに撮像画像を撮像し、前記抽出手段は、前記撮像手段により前記新たな撮像画像が撮像されると、この撮像画像から前記第1識別情報を抽出し、前記表示手段には、前記新たな撮像画像に応じて前記抽出手段により抽出された第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として前記新たな撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、複数の読取対象にそれぞれ付された非接触通信媒体の情報には、当該非接触通信媒体が付された読取対象に表示された第1識別情報に1対1で対応する第2識別情報が含まれている。そして、取得手段により非接触通信媒体の情報が一括して取得される際に撮像手段により複数の第1識別情報が撮像されて、この撮像画像から抽出手段により複数の第1識別情報が抽出されると、このように抽出された複数の第1識別情報のうち、取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として撮像画像に対してその抽出された位置を示すように、表示手段により表示される。
【0014】
これにより、各読取対象の非接触通信媒体の第2識別情報を一括して取得する場合には、これら各読取対象に表示された第1識別情報のうち一括して取得された各第2識別情報に1対1で対応する情報が、撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示されるので、同一形状または類似形状の物体に取りつけられた複数の非接触通信媒体を読み取る場合でも、どの非接触通信媒体を読み取ったかを容易に視認することができる。
【0015】
請求項2の発明では、表示手段には、抽出手段により抽出された複数の第1識別情報のうち、取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報に関する情報が、読み取られていない非接触通信媒体として撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示される。
【0016】
これにより、一括して取得された各第2識別情報の読取対象と異なる読取対象の第1識別情報が抽出されるとき、この抽出された情報が撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示されるので、一括取得時に取得されなかった第2識別情報を有する読取対象の位置を容易に視認することができる。
【0017】
請求項3の発明では、抽出手段により抽出された複数の第1識別情報のうち、取得手段により一括して取得された複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報がある場合には、取得手段により一括して取得された第2識別情報の全てが、撮像手段により撮像された撮像画像から抽出手段により抽出される複数の第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応するまで、当該撮像手段による撮像が繰り返される。そして、この繰り返し撮像により、一括して取得された第2識別情報の全てが、撮像画像から抽出される各第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応するとき、当該第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない第1識別情報があると、この第1識別情報に関する情報が、読み取られていない非接触通信媒体として撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示される。
【0018】
これにより、読取対象に表示された各第1識別情報を確実に抽出することができる。さらに、一括して取得された第2識別情報の全てが、撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示され、各第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない第1識別情報に関する情報が、読み取られていない非接触通信媒体として撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示されるため、一括取得時に取得されなかった第2識別情報を有する読取対象の位置を容易に視認することができる。
【0019】
請求項4の発明では、抽出手段により抽出された複数の第1識別情報の全てが、取得手段により一括して取得された第2識別情報の一部に対して1対1で対応する場合、表示手段には、複数の第1識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として表示されるとともに、当該複数の第1識別情報のいずれとも1対1で対応しない第2識別情報に関する情報が、読取無効となった非接触通信媒体として表示される。
【0020】
読取対象の近くに非接触通信媒体が付された他の物品があることから、読取対象だけでなくこの異なる物品に付された非接触通信媒体までも読み取ってしまう場合でも、撮像画像には、読取対象が撮像されているはずである。そこで、抽出された各第1識別情報のいずれとも1対1で対応しない第2識別情報に関する情報が、読取無効となった非接触通信媒体として表示されることで、読取作業中に不要な非接触通信媒体を読み取ったことが分かるので、読み取りの無駄をなくすような読取作業に関する改善を作業者に促すことができる。
【0021】
請求項5の発明では、抽出手段により抽出された複数の第1識別情報のうち、取得手段により一括して取得された複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して判定手段により上記規則性に基づいて欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が撮像画像に占める位置とが、当該複数の第1識別情報および規則性に基づいて推定手段により推定される。そして、表示手段には、推定手段により推定された欠落した識別情報が、撮像画像に対してその占める位置を示すように表示される。
【0022】
これにより、抽出手段により抽出されずに欠落する識別情報がある場合でも、この欠落する識別情報が推定されて表示手段に表示されるため、どの非接触通信媒体を読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【0023】
請求項6の発明では、第1識別情報は文字情報であり、推定手段により欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が撮像画像に占める位置に当該欠落した識別情報が存在することを前提に、調整手段により文字認識精度を上記欠落した識別情報の推定時よりも低くして文字としてより認識しやすく調整された状態で、複数の第1識別情報が、抽出手段により抽出される。そして、抽出手段により欠落した識別情報に相当する文字情報が抽出されない場合には、欠落した識別情報は表示手段には表示されない。
【0024】
これにより、文字情報である第1識別情報が欠落する場合でもこの欠落した識別情報に関する推定精度を向上させることができ、抽出手段により抽出されずに欠落する識別情報がある場合でも、この欠落する識別情報が推定されて表示手段に表示されるため、どの非接触通信媒体を読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【0025】
請求項7の発明では、抽出手段により抽出された複数の第1識別情報のうち、取得手段により一括して取得された複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して判定手段により上記規則性に基づいて欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が撮像画像に占める位置とが、当該複数の第1識別情報および規則性に基づいて推定手段により推定される。そして、推定手段により欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が撮像画像に占める位置に対応する撮像範囲を基準に焦点位置を調整した状態で、新たに撮像画像が撮像手段により撮像され、この撮像画像から第1識別情報が抽出手段により抽出される。そして、新たな撮像画像に応じて抽出された第1識別情報のうち、一括して取得された第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として新たな撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示手段に表示される。
【0026】
これにより、各読取対象にそれぞれ表示される各第1識別情報が抽出可能に撮像される可能性を高めることができ、最初の撮影時に撮像画像から抽出されずに欠落する識別情報がある場合でも、この欠落する識別情報を再撮像して表示手段に表示されるため、どの非接触通信媒体を読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る携帯端末により各収容箱に対する読取作業状態を例示する説明図である。
【図2】図1の携帯端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【図3】第1実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図3の撮像処理にて撮像された撮像画像を例示する説明図である。
【図5】図5(A)は、全てが既読タグである場合の表示部の表示状態を例示する説明図であり、図5(B)は、一部が未読タグである場合の表示部の表示状態を例示する説明図である。
【図6】第2実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】図6の撮像処理にて撮像された撮像画像を例示する説明図である。
【図8】第3実施形態に係る携帯端末により各収容箱に対する読取作業状態を例示する説明図である。
【図9】第3実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図10】図9の撮像処理にて撮像された撮像画像Pを例示する説明図である。
【図11】第4実施形態に係る携帯端末により各収容箱に対する読取作業状態を例示する説明図である。
【図12】第4実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図13】図12の撮像処理にて撮像された撮像画像を例示する説明図である。
【図14】推定されたシリアル番号が表示される表示部の表示状態を例示する説明図である。
【図15】第5実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図16】第6実施形態における制御部による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、本発明の非接触通信媒体読取装置を携帯端末20に適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る携帯端末20により各収容箱B1〜B12に対する読取作業状態を例示する説明図である。図2は、図1の携帯端末20の電気的構成を例示するブロック図である。
【0029】
本実施形態に係る携帯端末20は、複数の読取対象に付された非接触通信媒体の情報を無線通信(非接触通信)にてそれぞれ読み取るため非接触通信媒体読取装置である。本実施形態では、図1に例示するように、所定の部品をそれぞれ収容する収容箱として12個の収容箱B1〜B12が読取対象である。これら各収容箱B1〜B12は、それぞれ同じ寸法の箱形状として構成されている。このように構成される収容箱B1〜B12は、図1に例示するように、シリアル番号順に整列されて積み重ねられている。
【0030】
各収容箱B1〜B12の前面(配置時に作業者に対して見やすくなる面)には、その収容箱を特定するための固有の識別情報として、シリアル番号(図1では「00001」〜「00012」)が印刷されたラベルL1〜L12がそれぞれ貼り付けられている。また、各収容箱B1〜B12には、収容物等に関する情報や貼り付けられたラベルのシリアル番号などのタグ情報が読み取り可能に記憶されたRFIDタグT1〜T12がそれぞれ付されている。すなわち、収容箱に付されたRFIDタグのシリアル番号を読み取ったことを認識することで、当該収容箱の収容物等に関する情報を読み取ったことがわかる。なお、ラベルに表示されるシリアル番号は、特許請求の範囲に記載の「第1識別情報」の一例に相当し、RFIDタグT1〜T12に記憶されるシリアル番号は、特許請求の範囲に記載の「第2識別情報」の一例に相当し、両シリアル番号は、同一番号である場合に1対1で対応するものとする。
【0031】
このように構成される収容箱B1〜B12は、図1に例示するように、シリアル番号「00001」〜「00004」に対応する収容箱B1〜B4がシリアル番号順に積み重ねられ、シリアル番号「00005」〜「00008」に対応する収容箱B5〜B8がシリアル番号順に積み重ねられ、シリアル番号「00009」〜「00012」に対応する収容箱B9〜B12がシリアル番号順に積み重ねられている。そして、このように積み重ねられた収容箱B1〜B12が一箇所に密集するように所定の位置に置かれている。
【0032】
図2に示すように、携帯端末20の筐体内には、携帯端末20全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有しており、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。メモリ22は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当し、後述する読取処理等を実行可能な所定のプログラムや、各ハードウェアを制御可能なシステムプログラムなどが予め格納されている。
【0033】
また、制御部21には、撮像部23、表示部24、キー操作部25および通信インターフェース26などが接続されている。撮像部23は、制御部21によって制御されて、撮像時にその撮像画像に応じた画像信号(画素信号)を制御部21に出力するように構成されている。表示部24は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21から表示処理等に関する指令を受けて動作するようになっている。なお、撮像部23および表示部24は、特許請求の範囲に記載の「撮像手段」および「表示手段」の一例に相当し得る。
【0034】
キー操作部25は、制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、これらからの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行うようになっている。また、通信インターフェース26は、外部(例えば外部ホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体内には、電源となるバッテリ27や電源部28が収容されており、これらによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0035】
また、制御部21には、非接触通信部30が接続されている。この非接触通信部30は、アンテナ31及び制御部21と協働して上述したRFIDタグT1〜T12や無線タグ等の非接触通信媒体との間で電磁波による通信を行ない、非接触通信媒体に記憶されるデータの読取り、或いは非接触通信媒体に対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この非接触通信部30は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図2にて概略的に示すように、発振器32、変調器33、復調器34などを備えてなるものである。なお、非接触通信部30には、これら以外の公知構成(例えば、増幅器、フィルタ回路、整合回路等)も設けられているが、図2ではこれらについては図示を省略している。なお、本実施形態では、上記非接触通信媒体として、収容箱B1〜B12に付されたRFIDタグT1〜T12が通信対象となる。また、非接触通信部30は、特許請求の範囲に記載の「取得手段」の一例に相当し得る。
【0036】
次に、読取作業時における制御部21による読取処理について図3〜図5を用いて説明する。図3は、第1実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。図4は、図3の撮像処理にて撮像された撮像画像Pを例示する説明図である。図5(A)は、全てが既読タグである場合の表示部24の表示状態を例示する説明図であり、図5(B)は、一部が未読タグである場合の表示部24の表示状態を例示する説明図である。
【0037】
まず、携帯端末20が電源ON状態になり所定の初期設定がなされた後に、読取作業者が携帯端末20を各収容箱B1〜B12に向けた状態で、これら各収容箱B1〜B12に付されたRFIDタグT1〜T12の情報を読み取るための読取操作がキー操作部25に対してなされると、図3のステップS101にてタグ情報一括読取処理がなされる。この処理では、携帯端末20に対して無線通信可能な範囲に存在するRFIDタグのタグ情報が一括して取得される。
【0038】
次に、ステップS103において、撮像処理がなされる。この処理では、上記読取操作に応じて、各収容箱B1〜B12に貼り付けられた各ラベルL1〜L12が、図4に例示するように、撮像画像Pとして撮像される。なお、上述したタグ情報一括読取処理時に各ラベルL1〜L12を撮像するために、読取作業手順として、撮像部23を各ラベルL1〜L12に向けた状態で上記読取操作が実施されるように、決められている。
【0039】
このように各ラベルL1〜L12が撮像されると、ステップS105において、第1識別情報抽出処理がなされる。この処理では、ステップS103にて撮像された撮像画像Pから各ラベルL1〜L12に表示されたシリアル番号が第1識別情報としてそれぞれ抽出される。具体的には、図4に例示する撮像画像Pでは、「00001」〜「00012」までのシリアル番号がそれぞれ抽出される。そして、このように抽出されたシリアル番号には、当該撮像画像Pに対して抽出された位置に関する情報が抽出位置情報として付加される。
【0040】
次に、ステップS107において、第2識別情報抽出処理がなされる。この処理では、ステップS101にて一括して読み取った各タグ情報から、シリアル番号が第2識別情報としてそれぞれ抽出される。
【0041】
続いて、ステップS109において、選択処理がなされる。この処理では、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号のうち、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応するシリアル番号が、タグ情報が読み取られたRFIDタグ(以下、既読タグという)が付された収容箱のラベルに表示されたシリアル番号であるとして、選択される。
【0042】
そして、ステップS111において、表示処理がなされる。この処理では、ステップS103にて撮像された撮像画像Pに対して、ステップS109にて選択されたシリアル番号の抽出位置に対応する領域が既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。また、上記撮像画像Pに対して選択されないシリアル番号がある場合には、このシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、タグ情報が読み取られていないRFIDタグ(以下、未読タグという)が付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。
【0043】
具体的には、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号が「00001」〜「00012」であり、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号が「00001」〜「00012」であることから、ステップS105にて撮像画像Pから抽出された全てのシリアル番号が、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応する場合には、図5(A)に例示するように表示される。すなわち、全てのラベルのシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、既読タグが付された収容箱の位置を示すように、例えば表示色を変えて表示部24に表示される。
【0044】
一方、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号が「00001」〜「00012」であり、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号が「00001」〜「00005」、「00007」〜「00012」であり、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号「00006」のみが、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応しない場合には、図5(B)に例示するように表示される。すなわち、シリアル番号「00006」の抽出位置に対応する領域のみが、未読タグが付された収容箱の位置を示すように、例えばその領域が太線で囲われるように表示部24に表示され、その他のシリアル番号の抽出位置に対応する領域は、既読タグが付された収容箱の位置を示すように、上述のように表示色を変えて表示部24に表示される。
【0045】
以上説明したように、本第1実施形態に係る携帯端末20では、各収容箱B1〜B12にそれぞれ付されたRFIDタグT1〜T12のタグ情報には、当該RFIDタグが付された収容箱に表示されたラベル(L1〜L12)のシリアル番号に1対1で対応するシリアル番号が含まれている。そして、RFIDタグ(T1〜T12)のタグ情報が一括して取得される際に各ラベルL1〜L12のシリアル番号が撮像されて、この撮像画像Pから各シリアル番号が抽出されると、このように抽出された各シリアル番号のうち、一括して取得された各タグ情報にそれぞれ含まれるシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、既読タグが付された収容箱(読取対象)の位置を示すように表示部24により表示される。
【0046】
これにより、各収容箱B1〜B12にそれぞれ付されたRFIDタグT1〜T12のタグ情報を一括して取得する場合には、これら各収容箱B1〜B12に表示されたラベルのシリアル番号のうち一括して取得されたタグ情報のシリアル番号に1対1で対応するシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、既読タグが付された収容箱の位置を示すように表示部24に表示されるので、同一形状の収容箱にそれぞれ取りつけられた複数のRFIDタグを読み取る場合でも、どのRFIDタグを読み取ったかを容易に視認することができる。
また、各収容箱がそれぞれ類似した形状であっても上記処理を実施することで上記効果を奏するため、類似形状の収容箱にそれぞれ取りつけられた複数のRFIDタグを読み取る場合でも、どのRFIDタグを読み取ったかを容易に視認することができる。
【0047】
特に、表示部24には、撮像画像Pから抽出された複数のシリアル番号のうち、一括して取得された各タグ情報にそれぞれ含まれるシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、未読タグが付された収容箱(読取対象)の位置を示すように表示部24に表示される。
【0048】
これにより、一括して取得されたシリアル番号のRFIDタグが付された収容箱と異なる収容箱のラベルのシリアル番号が抽出されるとき、この抽出された情報が撮像画像Pに対して未読タグが付された読取対象の位置を示すように表示部24に表示されるので、読取作業者は、未読タグが付された収容箱の位置を容易に視認することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の携帯端末20を具現化した第2実施形態について図6および図7を用いて説明する。図6は、第2実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。図7は、図6の撮像処理にて撮像された撮像画像Pを例示する説明図である。
【0050】
本第2実施形態に係る携帯端末20では、上述した撮像処理にて読取対象に表示されたラベルのシリアル番号が全て撮像されない場合に再撮像するために、図3に示すフローチャートに代えて図6に示すフローチャートを採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
読取作業者が撮像部23を各ラベルL1〜L12に向けた状態でキー操作部25を操作するとき、図7に例示するように、読取対象である各収容箱B1〜B12にそれぞれ表示されたラベルL1〜L12のシリアル番号が全て撮像されない場合がある。この理由としては、例えば、作業環境などによって撮像時に携帯端末20がぶれてしまうなどの場合が考えられる。この場合に上記第1実施形態における読取処理を実施すると、ステップS105にて適切なシリアル番号が抽出されない場合がある。
【0052】
そこで、本第2実施形態では、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pから抽出される複数のシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するまで、撮像処理を繰り返す。
以下、本第2実施形態における読取処理について、図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0053】
上記第1実施形態における読取処理と同様に、ステップS107までの処理が終了すると、ステップS108において、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号(ステップS107にて抽出されたシリアル番号)の全てが、ステップS105にて撮像画像Pから抽出される複数のシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するか否かについて判定される。
【0054】
ここで、図7に例示するように、読取対象である各収容箱B1〜B12にそれぞれ表示されたラベルL1〜L12のシリアル番号のうち「00009」〜「00012」が撮像されないために、撮像画像Pから抽出されたシリアル番号のうち、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号がある場合には、ステップS108にてNoと判定されて、ステップS103にて再び撮像処理がなされて新たな撮像画像Pが撮像される。
【0055】
すなわち、各収容箱B1〜B12にそれぞれ表示されたラベルL1〜L12のシリアル番号が全て1つの撮像画像Pに撮像されることで、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pから抽出される複数のシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するまで、上記撮像処理が繰り返されることとなる。
【0056】
このような繰り返し処理中に、読取作業者が撮像部23を各ラベルL1〜L12に対して適切に向けることで、各収容箱B1〜B12にそれぞれ表示されたラベルL1〜L12のシリアル番号が全て1つの撮像画像Pに撮像される。これにより、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pから抽出される複数のシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応することとなり、ステップS108にてYesと判定される。
【0057】
そして、上述したステップS109以降の処理がなされ、ステップS103にて撮像された撮像画像Pに対して、ステップS109にて選択されたシリアル番号の抽出位置に対応する領域が既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。また、上記撮像画像Pに対して選択されないシリアル番号がある場合には、このシリアル番号の抽出位置に対応する領域が未読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。
【0058】
なお、本第2実施形態では、上述したステップS107にて一括して読み取った各タグ情報からシリアル番号を抽出する処理を、ステップS103における撮像処理よりも前段階で実施することで、上記繰り返し処理中にステップS107の処理を実施しないようにしてもよい。
【0059】
以上説明したように、本第2実施形態に係る携帯端末20では、撮像画像Pから抽出されたシリアル番号のうち、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号がある場合には、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pから抽出される複数のシリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するまで、撮像が繰り返される。そして、この繰り返し撮像により、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pから抽出される各シリアル番号のいずれかに対して1対1で対応するとき、当該タグ情報のシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号があると、このシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、未読タグが付された収容箱(読取対象)の位置を示すように表示部24に表示される。
【0060】
これにより、各収容箱B1〜B12にそれぞれ表示されたラベルL1〜L12のシリアル番号を撮像画像Pから確実に抽出することができる。さらに、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、撮像画像Pに対してその抽出された位置を示すように表示部24に表示され、各タグ情報のシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、未読タグが付された収容箱(読取対象)の位置を示すように表示部24に表示されるため、読取作業者は、未読タグが付された収容箱の位置を容易に視認することができる。
【0061】
[第3実施形態]
次に、本発明の携帯端末20を具現化した第3実施形態について図8〜図10を用いて説明する。図8は、第3実施形態に係る携帯端末20により各収容箱B1〜B8に対する読取作業状態を例示する説明図である。図9は、第3実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。図10は、図9の撮像処理にて撮像された撮像画像Pを例示する説明図である。
【0062】
本第3実施形態に係る携帯端末20では、読取対象でない収容箱に付されたRFIDタグのタグ情報が取得される場合にこの情報を無効化するために、図3に示すフローチャートに代えて図9に示すフローチャートを採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
本第3実施形態では、読取対象が収容箱B1〜B8であり、図8に例示するように、これら各収容箱B1〜B8の近くに読取対象でない収容箱B9〜B12があることから、RFIDタグT1〜T8のタグ情報だけでなくRFIDタグT9〜T12のタグ情報までも読み取ってしまう場合がある。しかしながら、この場合でも、撮像画像Pには、収容箱B1〜B8のラベルL1〜L8が撮像され、収容箱B9〜B12のラベルL9〜L12は撮像されていないはずである。
【0064】
そこで、本第3実施形態では、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号のうち撮像画像Pから抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応しないシリアル番号があると、この対応しないシリアル番号のタグ情報を無効化する。
以下、本第3実施形態における読取処理について、図9のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0065】
上記第1実施形態における読取処理と同様に、ステップS107までの処理が終了すると、ステップS108aにおいて、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号のうち、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応しないシリアル番号があるか否かについて判定される。
【0066】
ここで、ステップS101にてRFIDタグT1〜T8のタグ情報だけでなくRFIDタグT9〜T12のタグ情報もが取得され、ステップS105にて、図10に例示するように、読取対象である各収容箱B1〜B8にそれぞれ表示されたラベルL1〜L8のシリアル番号が撮像される場合には、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号のうち、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応しないシリアル番号が存在することとなる。
【0067】
この場合には、ステップS108aにてYesと判定され、ステップS110にて無効化処理がなされ、1対1で対応しないシリアル番号「00009」〜「00012」のタグ情報が無効化される。そして、ステップS111aにて、上述した表示処理がなされるとともに、「00009」〜「00012」のタグ情報に関する情報が読取無効である旨が表示部24に表示される。
【0068】
一方、ステップS107にて各タグ情報から抽出されたシリアル番号のうち、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号に対して1対1で対応しないシリアル番号がない場合には、ステップS108aにてNoと判定される。この場合には、無効化処理が実施されることなく、ステップS111aにて上記ステップS111と同様の処理がなされる。
【0069】
以上説明したように、本第3実施形態に係る携帯端末20では、撮像画像Pから抽出されたシリアル番号の全てが、各タグ情報から抽出されたシリアル番号の一部に対して1対1で対応する場合、表示部24には、既読タグが付された収容箱(読取対象)の位置が表示され、撮像画像Pから抽出されたシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないタグ情報に関する情報が読取無効である旨が表示される。
【0070】
この読取無効である旨の表示により、読取作業中に不要なRFIDタグを読み取ったことが分かるので、読み取りの無駄をなくすような読取作業に関する改善を作業者に促すことができる。
【0071】
[第4実施形態]
次に、本発明の携帯端末20を具現化した第4実施形態について図11〜図14を用いて説明する。図11は、第4実施形態に係る携帯端末20により各収容箱B1〜B9に対する読取作業状態を例示する説明図である。図12は、第4実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。図13は、図12の撮像処理にて撮像された撮像画像Pを例示する説明図である。図14は、推定されたシリアル番号が表示される表示部24の表示状態を例示する説明図であり、図14(A)は全てが既読タグである場合の表示状態を示し、図14(B)は一部が未読タグである場合の表示状態を示す。
【0072】
本第4実施形態に係る携帯端末20では、図11に示すように収容箱B1〜B9が読取対象であり、撮像画像Pから抽出されたラベルのシリアル番号の一部が認識できない場合にこれを推定して表示するために、図3に示すフローチャートに代えて図12に示すフローチャートを採用する点が、上記第1実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
収容箱に表示されたラベルに汚れなどが付着することから、撮像画像P中のシリアル番号が認識できないために、本来撮像画像Pから抽出されるべきラベルのシリアル番号の一部が欠落して抽出されない場合がある。
そこで、本第4実施形態では、撮像画像Pから抽出されたラベルのシリアル番号の規則性に基づいて、欠落したシリアル番号が存在するか否かを判定し、欠落したシリアル番号が存在すると判定されると、このシリアル番号自体を当該規則性から推定するとともに、欠落したシリアル番号が撮像画像に占める位置を推定して、この推定されたシリアル番号を他のシリアル番号とともに表示部24に表示する。
【0074】
以下、本第4実施形態における読取処理について、図12のフローチャートを用いて詳細に説明する。
上記第1実施形態における読取処理と同様に、ステップS109までの処理が終了すると、撮像画像Pから抽出されたシリアル番号のうちステップS109の選択処理にて選択されていないシリアル番号がある場合には、ステップS113にてYesと判定される。そして、ステップS115において、撮像画像Pに欠落したシリアル番号の存在が推定されるか否かについて判定される。ここで、ステップS105にて撮像画像Pから抽出されたシリアル番号が所定の規則性を持っており、欠落したシリアル番号の存在が推定される場合には、ステップS115にてYesと判定される。
【0075】
ここで、シリアル番号が所定の規則性を持っており、欠落したシリアル番号の存在が推定される場合とは、例えば、図13に例示するように、ステップS103にて撮像した撮像画像Pからシリアル番号「00005」が認識できず、シリアル番号「00001」〜「00004」、「00006」〜「00009」が抽出されることから、当該シリアル番号が所定の規則性を持っており、シリアル番号「00005」が欠落していると推定される場合である。なお、欠落したシリアル番号は、特許請求の範囲に記載の「欠落した識別情報」の一例に相当し、ステップS115を実施する制御部21は、特許請求の範囲に記載の「判定手段」の一例に相当し得る。
【0076】
図13に例示するような撮像画像Pからシリアル番号「00001」〜「00004」、「00006」〜「00009」が抽出されるために、ステップS115にてYesと判定されると、ステップS117において、推定処理がなされる。この処理では、撮像画像Pから抽出されるシリアル番号と上記所定の規則性とに基づいて、図13の場合では、シリアル番号「00005」が推定されるとともに、この推定されたシリアル番号の撮像画像Pに対する位置が他のシリアル番号の抽出位置の並びから推定される。
【0077】
そして、ステップS111にて表示処理がなされ、ステップS103にて撮像された撮像画像Pに対して、ステップS109にて選択されたシリアル番号と、ステップS117にて推定されたシリアル番号のうち一括して取得されたタグ情報のシリアル番号に1対1で対応するシリアル番号とについて、その抽出位置または推定位置に対応する領域が既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。
【0078】
特に、上記第1実施形態での表示処理と同様に、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の全てが、ステップS109にて選択されたシリアル番号およびステップS117にて推定されたシリアル番号のいずれかに1対1で対応する場合には、図14(A)に例示するように、全て既読タグとなるように表示部24に表示される。一方、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号の一部が、ステップS109にて選択されたシリアル番号およびステップS117にて推定されたシリアル番号のいずれにも1対1で対応しない場合には、図14(B)に例示するように、一部(図14(B)ではシリアル番号「00006」の領域)が未読タグとなるように表示部24に表示される。
【0079】
なお、ステップS113にてNoと判定される場合、または、ステップS115にてNoと判定される場合には、ステップS111にて上記第1実施形態での表示処理と同様の処理がなされることとなる。
【0080】
以上説明したように、本第4実施形態に係る携帯端末20では、撮像画像Pから抽出された各シリアル番号のうち、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号のいずれとも1対1で対応しないシリアル番号があり、上記規則性に基づいて欠落したシリアル番号が存在すると判定される場合に、この欠落したシリアル番号と当該欠落したシリアル番号が撮像画像Pに占める位置とが、当該各シリアル番号および規則性に基づいて推定される。そして、表示部24には、推定されたシリアル番号が、撮像画像Pに対してその占める位置を示すように表示される。
【0081】
これにより、撮像画像Pから抽出されずに欠落するシリアル番号がある場合でも、この欠落するシリアル番号が推定されて表示部24に表示されるため、どのRFIDタグを読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【0082】
なお、上述した読取処理においてステップS113における判定処理をなくすことで、常にステップS115における判定処理がなされてもよい。
【0083】
[第5実施形態]
次に、本発明の携帯端末20を具現化した第5実施形態について図15を用いて説明する。図15は、第5実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【0084】
本第5実施形態に係る携帯端末20では、タグ情報のシリアル番号を用いて上述した欠落したシリアル番号を推定するために、図12に示すフローチャートに代えて図15に示すフローチャートを採用する点が、上記第4実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、第4実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
以下、本第5実施形態における読取処理について、図15のフローチャートを用いて詳細に説明する。
上記第4実施形態における読取処理と同様に、ステップS109までの処理が終了すると、ステップS119において、一括して取得されたタグ情報のシリアル番号のうち上記ステップS109にて選択されていないシリアル番号(以下、未選択シリアル番号という)があるか否かについて判定される。
【0086】
ここで、未選択シリアル番号がある場合には、ステップS119にてYesと判定されて、ステップS121において、推定処理がなされる。この処理では、未選択シリアル番号がステップS103にて撮像された撮像画像P中に撮像されているが抽出されていないものと推定する。
【0087】
次に、ステップS123において、再抽出処理がなされる。この処理では、シリアル番号は文字情報であるため、未選択シリアル番号が撮像画像P中に撮像されていることを前提に、抽出時の文字認識精度を現段階より1段階低くして文字としてより認識しやすく調整された状態で、未選択シリアル番号を当該撮像画像Pから抽出するための処理を行う。この再抽出処理では、撮像画像Pから抽出された他のシリアル番号の抽出位置から、未選択シリアル番号が存在する可能性が高い領域を推定し、この領域等に対して文字認識精度を1段階低くして未選択シリアル番号を抽出するための処理が行われる。
【0088】
そして、未選択シリアル番号が抽出されないことから、ステップS125にてNoと判定されると、ステップS127にて、所定段階まで文字認識の精度を下げても未選択シリアル番号が抽出されないことから未選択シリアル番号が存在しないと判定されるまで、Noと判定される。そして、ステップS123にて文字認識精度をさらに1段階低くして抽出する処理がなされ、未選択シリアル番号が抽出されるか(S125でYes)、未選択シリアル番号が存在しないと判定される(S127でYes)まで、ステップS123からの処理が繰り返される。なお、ステップS123を実施する制御部21は、特許請求の範囲に記載の「調整手段」の一例に相当し得る。
【0089】
例えば、上述した図13に例示するように、ステップS105にてシリアル番号「00005」が抽出されず、ステップS107にて一括して取得されたタグ情報からシリアル番号「00005」が抽出されるとき、「00005」が未選択シリアル番号であるとして、「00005」を抽出することを前提に文字認識精度を徐々に下げるように調整する。
【0090】
そして、上記繰り返し処理中にステップS123にて撮像画像Pから未選択シリアル番号が抽出されると、ステップS125にてYesと判定されて、ステップS111にて表示処理がなされ、この未選択シリアル番号として抽出されたシリアル番号の抽出位置とステップS109にて選択されたシリアル番号の抽出位置とに対応する領域が、既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。また、上記繰り返し処理中に、所定段階まで文字認識精度を下げても未選択シリアル番号が抽出されないことから未選択シリアル番号が存在しないと判定されると、ステップS127にてNoと判定される。そして、ステップS111において、ステップS109にて選択されたシリアル番号の抽出位置とに対応する領域が、既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。なお、ステップS111において、上記撮像画像Pに対して選択されないシリアル番号がある場合には、このシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、未読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。
【0091】
以上説明したように、本第5実施形態に係る携帯端末20では、未選択シリアル番号が推定されるとき、この未選択シリアル番号が撮像画像Pに占める位置に当該未選択シリアル番号が存在することを前提に、文字認識精度を最初の未選択シリアル番号の推定時よりも低くして文字としてより認識しやすく調整された状態で、未選択シリアル番号が、撮像画像Pから抽出される。そして、未選択シリアル番号に相当する文字情報が抽出されない場合には、未選択シリアル番号は表示部24には表示されない。
【0092】
これにより、文字情報であるシリアル番号が欠落する場合でもこの欠落したシリアル番号(未選択シリアル番号)に関する推定精度を向上させることができ、撮像画像Pから抽出されずに欠落するシリアル番号がある場合でも、この欠落するシリアル番号が推定されて表示部24に表示されるため、どのRFIDタグを読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【0093】
[第6実施形態]
次に、本発明の携帯端末20を具現化した第6実施形態について図16を用いて説明する。図16は、第6実施形態における制御部21による読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【0094】
本第6実施形態に係る携帯端末20では、上述した欠落したシリアル番号が撮像画像Pに占める表示位置を基準に焦点位置を調整して新たな撮像画像を撮像するために、図15に示すフローチャートに代えて図16に示すフローチャートを採用する点が、上記第5実施形態に係る携帯端末と異なる。したがって、第5実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
以下、本第6実施形態における読取処理について、図16のフローチャートを用いて詳細に説明する。
上記第5実施形態における読取処理と同様に、ステップS109までの処理が終了し、未選択シリアル番号があることからステップS119にてYesと判定されると、ステップS127において、表示位置推定処理がなされる。この処理では、ステップS105にて撮像画像Pから抽出された各シリアル番号の規則性とその抽出位置から、未選択シリアル番号が撮像画像Pに対して表示される表示位置が推定される。
【0096】
次に、ステップS129において、再撮像処理がなされる。この処理では、上記ステップS127にて推定される表示位置に対応する撮像範囲を基準に撮像部23の焦点位置が調整された状態で撮像される。続いて、ステップS131において、ステップS127にて再撮像された撮像画像Pから未選択シリアル番号を抽出するための再抽出処理がなされる。上記表示位置に未選択シリアル番号が存在する場合には、その撮像範囲に焦点位置が調整されて撮像されるので、未選択シリアル番号を抽出する可能性を高めることができる。
【0097】
そして、ステップS111にて表示処理がなされ、未選択シリアル番号が抽出されいるならば、撮像画像Pに対して、上記未選択シリアル番号の表示位置と撮像画像Pから抽出されたシリアル番号の抽出位置とに対応する領域が既読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。また、上記撮像画像Pに対して選択されないシリアル番号がある場合には、このシリアル番号の抽出位置に対応する領域が、未読タグが付された収容箱の位置を示すように、表示部24に表示される。
【0098】
これにより、各収容箱B1〜B9にそれぞれ表示されるラベルL1〜L9のシリアル番号が抽出可能に撮像される可能性を高めることができ、最初の撮影時に撮像画像Pから抽出されずに欠落するシリアル番号がある場合でも、この欠落するシリアル番号を再撮像して表示部24に表示されるため、どのRFIDタグを読み取ったかを確実かつ容易に視認することができる。
【0099】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)携帯端末20は、上記シリアル番号に相当する情報が表示されるとともにRFIDタグが付された収容箱B1〜B12等を読取対象とすることに限らず、上記シリアル番号に相当する情報が表示されるとともにRFIDタグが付された対象物を読取対象としてもよい。
【0100】
(2)各収容箱には、それぞれラベルを貼り付けることでシリアル番号を表示することに限らず、直接シリアル番号を表示してもよいし、シリアル番号が表示された他の部材を取り付けることでシリアル番号を表示してもよい。
【0101】
(3)読取対象には、シリアル番号等が記憶されたRFIDタグが付されることに限らず、無線タグなどのシリアル番号等が非接触通信にて読み取り可能に記憶された非接触通信媒体が付されてもよい。
【0102】
(4)読取対象に表示されるシリアル番号とRFIDタグに記憶されるシリアル番号とは直接的に1対1に対応させるために同じ情報が採用されることに限らず、異なる情報であっても間接的に1対1に対応するように設定されればよい。
【0103】
(5)読取対象には、シリアル番号に代えて他の読取対象と識別可能な固有の識別情報が表示されてもよし、RFIDタグには、シリアル番号に代えて他の読取対象と識別可能な固有の識別情報が記憶されてもよい。この場合、読取対象に表示される識別情報とRFIDタグに記憶される識別情報とは直接的または間接的に1対1に対応するように設定されているものとする。
【符号の説明】
【0104】
20…携帯端末
21…制御部(抽出手段,調整手段)
23…撮像部(撮像手段)
24…表示部(表示手段)
30…非接触通信部(取得手段)
B1〜B12…収容箱(読取対象)
L1〜L12…ラベル(第1識別情報)
P…撮像画像
T1〜T12…RFIDタグ(非接触通信媒体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の読取対象にそれぞれ付された非接触通信媒体の情報を一括して取得可能な取得手段と、
前記複数の読取対象にそれぞれ表示された固有の第1識別情報を撮像可能な撮像手段と、
を備える非接触通信媒体読取装置であって、
前記非接触通信媒体の情報には、当該非接触通信媒体が付された読取対象に表示された前記第1識別情報に1対1で対応する第2識別情報が含まれており、
前記取得手段により前記非接触通信媒体の情報が一括して取得される際に前記撮像手段により複数の前記第1識別情報が撮像された撮像画像に対して、これら複数の第1識別情報をそれぞれ抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示される表示手段と、
を備えることを特徴とする非接触通信媒体読取装置。
【請求項2】
前記表示手段には、
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報に関する情報が、読み取られていない非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報がある場合に、前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の全てが、当該撮像手段により撮像された撮像画像から前記抽出手段により抽出される複数の前記第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応するまで、撮像を繰り返し、
前記表示手段には、
前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の全てが、前記撮像手段により撮像された撮像画像から前記抽出手段により抽出される複数の前記第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応する場合に、当該第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない第1識別情報があると、この第1識別情報に関する情報が、前記読み取られていない非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項4】
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報の全てが、前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の一部に対して1対1で対応する場合、
前記表示手段には、前記複数の第1識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として表示されるとともに、当該複数の第1識別情報のいずれとも1対1で対応しない第2識別情報に関する情報が、読取無効となった非接触通信媒体として表示されることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項5】
前記抽出手段により抽出された複数の前記第1識別情報に対して他の識別情報を推定可能な共通の規則性がある場合に、この規則性に基づいて当該複数の第1識別情報に対し欠落した識別情報が存在するか否かについて判定する判定手段と、
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して前記判定手段により前記欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置とを当該複数の第1識別情報および前記規則性に基づいて推定する推定手段と、を備え、
前記表示手段には、前記推定手段により推定された前記欠落した識別情報が、前記撮像画像に対してその占める位置を示すように表示されることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項6】
前記第1識別情報は、文字情報であって、
前記抽出手段により前記撮像画像から文字情報が認識されて抽出される際の基準となる文字認識精度を調整可能な調整手段を備え、
前記抽出手段は、前記推定手段により前記欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置に当該欠落した識別情報が存在することを前提に、前記調整手段により前記文字認識精度を前記欠落した識別情報の推定時よりも低くして文字としてより認識しやすく調整された状態で、複数の第1識別情報を抽出し、
前記表示手段は、前記抽出手段により前記欠落した識別情報に相当する文字情報が抽出されない場合には、前記欠落した識別情報を表示しないことを特徴とする請求項5に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項7】
前記抽出手段により抽出された複数の前記第1識別情報に対して他の識別情報を推定可能な共通の規則性がある場合に、この規則性に基づいて当該複数の第1識別情報に対し欠落した識別情報が存在するか否かについて判定する判定手段と、
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して前記判定手段により前記欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置とを当該複数の第1識別情報および前記規則性に基づいて推定する推定手段と、を備え、
前記撮像手段は、前記推定手段により前記欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置に対応する撮像範囲を基準に焦点位置を調整した状態で、新たに撮像画像を撮像し、
前記抽出手段は、前記撮像手段により前記新たな撮像画像が撮像されると、この撮像画像から前記第1識別情報を抽出し、
前記表示手段には、前記新たな撮像画像に応じて前記抽出手段により抽出された第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として前記新たな撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項1】
複数の読取対象にそれぞれ付された非接触通信媒体の情報を一括して取得可能な取得手段と、
前記複数の読取対象にそれぞれ表示された固有の第1識別情報を撮像可能な撮像手段と、
を備える非接触通信媒体読取装置であって、
前記非接触通信媒体の情報には、当該非接触通信媒体が付された読取対象に表示された前記第1識別情報に1対1で対応する第2識別情報が含まれており、
前記取得手段により前記非接触通信媒体の情報が一括して取得される際に前記撮像手段により複数の前記第1識別情報が撮像された撮像画像に対して、これら複数の第1識別情報をそれぞれ抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示される表示手段と、
を備えることを特徴とする非接触通信媒体読取装置。
【請求項2】
前記表示手段には、
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報に関する情報が、読み取られていない非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報がある場合に、前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の全てが、当該撮像手段により撮像された撮像画像から前記抽出手段により抽出される複数の前記第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応するまで、撮像を繰り返し、
前記表示手段には、
前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の全てが、前記撮像手段により撮像された撮像画像から前記抽出手段により抽出される複数の前記第1識別情報のいずれかに対して1対1で対応する場合に、当該第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない第1識別情報があると、この第1識別情報に関する情報が、前記読み取られていない非接触通信媒体として前記撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項4】
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報の全てが、前記取得手段により一括して取得された前記第2識別情報の一部に対して1対1で対応する場合、
前記表示手段には、前記複数の第1識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として表示されるとともに、当該複数の第1識別情報のいずれとも1対1で対応しない第2識別情報に関する情報が、読取無効となった非接触通信媒体として表示されることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項5】
前記抽出手段により抽出された複数の前記第1識別情報に対して他の識別情報を推定可能な共通の規則性がある場合に、この規則性に基づいて当該複数の第1識別情報に対し欠落した識別情報が存在するか否かについて判定する判定手段と、
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して前記判定手段により前記欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置とを当該複数の第1識別情報および前記規則性に基づいて推定する推定手段と、を備え、
前記表示手段には、前記推定手段により推定された前記欠落した識別情報が、前記撮像画像に対してその占める位置を示すように表示されることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項6】
前記第1識別情報は、文字情報であって、
前記抽出手段により前記撮像画像から文字情報が認識されて抽出される際の基準となる文字認識精度を調整可能な調整手段を備え、
前記抽出手段は、前記推定手段により前記欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置に当該欠落した識別情報が存在することを前提に、前記調整手段により前記文字認識精度を前記欠落した識別情報の推定時よりも低くして文字としてより認識しやすく調整された状態で、複数の第1識別情報を抽出し、
前記表示手段は、前記抽出手段により前記欠落した識別情報に相当する文字情報が抽出されない場合には、前記欠落した識別情報を表示しないことを特徴とする請求項5に記載の非接触通信媒体読取装置。
【請求項7】
前記抽出手段により抽出された複数の前記第1識別情報に対して他の識別情報を推定可能な共通の規則性がある場合に、この規則性に基づいて当該複数の第1識別情報に対し欠落した識別情報が存在するか否かについて判定する判定手段と、
前記抽出手段により抽出された前記複数の第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された前記複数の第2識別情報のいずれとも1対1で対応しない識別情報があり、これら複数の第1識別情報に対して前記判定手段により前記欠落した識別情報が存在すると判定される場合に、この欠落した識別情報と当該欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置とを当該複数の第1識別情報および前記規則性に基づいて推定する推定手段と、を備え、
前記撮像手段は、前記推定手段により前記欠落した識別情報が推定されるとき、この欠落した識別情報が前記撮像画像に占める位置に対応する撮像範囲を基準に焦点位置を調整した状態で、新たに撮像画像を撮像し、
前記抽出手段は、前記撮像手段により前記新たな撮像画像が撮像されると、この撮像画像から前記第1識別情報を抽出し、
前記表示手段には、前記新たな撮像画像に応じて前記抽出手段により抽出された第1識別情報のうち、前記取得手段により一括して取得された複数の非接触通信媒体の情報にそれぞれ含まれる前記第2識別情報のいずれかに対して1対1で対応する識別情報に関する情報が、読み取られた非接触通信媒体として前記新たな撮像画像に対してその抽出された位置を示すように表示されることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
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【図16】
【公開番号】特開2012−173837(P2012−173837A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32841(P2011−32841)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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