説明

α7ニコチン性アセチルコリン受容体リガンドとしてのアザ二環式化合物

本開示は、塩を含む式I:


の化合物、ならびに本化合物を使用する組成物および使用方法に関する。本化合物は、ニコチン性α7受容体に対するリガンドであり、中枢神経系の種々の障害、特に情動障害および神経変性障害の処置に有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本願は、米国仮特許出願第61/255,794号(2009年10月28日出願)に基づく利益を主張する。
【0002】
本発明の背景
本開示は、全般的に、塩を含む式Iの化合物および組成物ならびに本化合物を使用する方法に関する。本化合物は、ニコチン性α7受容体に対するリガンド、アゴニストおよび部分アゴニストであり、中枢神経系の種々の障害、特に情動障害および神経変性障害の処置に有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
統合失調症は、重篤な精神障害であり、人口の約1%が罹患している。その進行過程は、精神的および社会的機能の重大な機能障害をもたらし、しばしば他の病状の発症を引き起こす。易罹患性は、しばしば家族性であり、遺伝的要因および環境的要因の双方が重要であると考えられている。統合失調症の直接的および間接的費用は、米国のみでも年間数百億ドルと見積もられている。
【0004】
統合失調症の患者は、自殺リスクが高い(約10%の生涯リスク)。患者らは、全ての原因の死亡率が2.5倍高く、その結果、平均余命が20%短い。病気の発症は、種々の状態のリスクを増大させ、その結果死亡リスクを増大させる、不健康な生活習慣要因および行動の連鎖を引き起こし得る。
【0005】
統合失調症の発症は、青年期後期または成人期早期で最も多く、生涯に亘ってエピソードが再発する。統合失調症は、陽性症状、陰性症状、認知症状の3つの別個の症状ドメインの発現によって特徴付けられる。精神病性症状または陽性症状は、妄想、幻覚、思考障害およびパラノイアを含む。陰性症状は、否定的情動、引きこもりおよび快感消失を含む。認知機能不全は、注意力、作業記憶および実行機能の欠陥を含む。統合失調症の病態生理は十分には理解されていないが、ほとんどの専門家は、生物学的、遺伝的および環境的要因が役割を果たす多因子障害であると考えている。現在のほとんどの治療は、ドーパミン系を標的とし、過剰なドーパミン神経伝達が、統合失調症の少なくとも幾つかの局面の根底にあるという示唆が得られている。この理論は、ドーパミンレベルを上昇させる医薬が統合失調症の陽性症状に類似した精神病を引き起こすという発見により、さらに支持される。また、統合失調症の患者由来の脳の死後分析により、D2ドーパミン受容体数の増加が示されている。非定型抗精神薬として知られ、幾つかのさらなる神経伝達受容体に活性な新規な抗精神薬が、ここ10年で導入されているが、これらの医薬はまた、D2ドーパミン受容体に対する効果も共有している。現在使用されている医薬は全て大きな制限がある。陽性症状は、一般的に、大部分の患者で軽減されるが、これらの医薬は、一般的であってしばしば最も衰弱性である陰性症状および認知欠陥をほとんど軽減しない。さらに、抗精神病薬は、幾つかの望ましくなく、かつ制限的な副作用を有する。
【0006】
ニコチンは、認知機能に良い影響を有する数少ない薬物の1つである。多くの統合失調症患者が喫煙しており、患者での喫煙率は、一般的集団の2〜4倍であり、施設に入ったことのある患者の90%までが喫煙している。この喫煙習慣は、自己治療の形態として特徴付けられている。
【0007】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は、中枢および末梢神経系に亘って広く発現される、五量体のリガンド開口型イオンチャネルである。これらのチャネルは、速く脱感作する(fast-desensitizing)カルシウムチャネルであり、開いたときにCa++イオンの細胞内濃度を上昇させる。12種の受容体が存在するが、脳中で最も多いニコチン受容体は、α4β2およびα7である。α4β2複合体は、“高親和性”ニコチン部位として同定されている。ホモ五量体α7受容体は、天然生成物α−ブンガロトキシンに選択的に結合して、それによりその相対的に容易な局在化および測定が可能となる。α7受容体は、主に、皮質、海馬および皮質下辺縁領域で発現され、通常、シナプス前性に生じる。学習および記憶に関係する領域へのα7nAChRの局在化は、ノックアウトマウスおよび薬理学的処置の両方を用いた研究に至っている。それは、感覚ゲーティング、記憶および神経可塑性に関係している。α7アゴニストは、ドーパミン、セロトニン、グルタメートおよびGABAを含む、齧歯類の神経伝達物質の放出を増加させることが示されている。α7アゴニストおよび部分アゴニストなどのα7受容体に選択的に結合する化合物は、正常動物および老齢動物において、学習機能および記憶機能を改善し、スコポラミン誘発記憶欠損を回復させ、NMDAアンタゴニストによって誘発される認知欠陥を回復させ、アンフェタミン誘発ゲーティング破壊などの薬理的誘発ゲーティング機能欠陥を回復させ、幾らかの抗不安特性を有することが示されている。本発明のα7アゴニストは、統合失調症、および、統合失調症に関連した認知障害の処置に有用であると予測される。
【0008】
アルツハイマー病は、進行性の神経変性障害であり、認知機能の全般的な喪失を引き起こす。発症率は加齢と共に上昇し、85歳以上の25〜50%がある程度の認知症に罹患していると概算される程である。アルツハイマー病の診断は、正常な成人と比較して、残っている平均余命が半分まで減少することを暗示している。
【0009】
アルツハイマー病の臨床学的徴候は、進行性の認知衰退、日常生活を行う能力の低下、および、精神神経症状または行動の変化である。疾患の進行期には、筋系の変質および移動性の低下により、自分で食物を摂取できなくなり、最終的には、患者は寝たきりとなる。言語は非常に混乱し、次いで完全に喪失する。患者は、一人で単純作業さえ行えなくなり、常に監視が必要となる。施設介護の費用は、疾患の費用のほぼ70%を占める。従って、認知機能を向上させ、施設収容を遅らせる治療が、非常に必要とされている。
【0010】
アルツハイマー病は、皮質および海馬中のニコチン受容体の減少を伴うことが、幾つかの研究で示されている。ニコチン注射またはニコチン皮膚パッチは、アルツハイマー病患者において、注意力、記憶および学習能力を著しく改善することが報告されている。アルツハイマー病の進行中、ニコチン受容体の進行性の喪失が起こるが、より豊富なα4受容体に比べてα7神経細胞が比較的残る。近年、選択的ニコチン性α7アゴニストの投与は、8週間もの長期間投与されたときに、アルツハイマー病患者の認知機能を向上させることが示された。この臨床データは、α7アゴニストおよび部分アゴニストが正常な動物および老齢動物において学習機能および記憶機能を改善し、スコポラミン誘発記憶欠損を回復させたことを示した前臨床データと一致している。従って、本発明の化合物は、アルツハイマー病の処置および予防に有用であり得る。アミロイドペプチドAβ42は、α7ニコチン受容体に結合することが示されている(Wang et al., J. Biol. Chem., 2000, 275:5626-5632; J. Neurochem. 2000, 75:1155-1161)。この結合は、Aβ42の凝集を促進し、Aβ42の毒性作用に重要であると考えられており、また、α7ニコチン受容体を介したシグナル伝達の脱制御を引き起こし得る。α7受容体遺伝子の欠失は、アルツハイマー病のマウスモデルにおいて、認知障害およびシナプス病理を改善する(Dziewczapolski et al., J. Neuroscience, 2009, pp 8805-8815)。本発明の化合物は、Aβ42およびα7受容体の相互作用を崩壊させ得る。α7アゴニストおよび部分アゴニストによる処置は、アルツハイマー病において、疾患を修飾するためのアプローチとなり得る。α7受容体はまた、アルツハイマー病などの神経変性状態における炎症プロセスを媒介し得る(Conejero-Goldberg et al., Neurosci. and Biobehav. Rev., 2008, 32, pp 693-706)。本発明のα7アゴニストおよび部分アゴニストは、アルツハイマー病などの神経変性疾患および障害における炎症を軽減するのに有用であり得る。
【0011】
α7受容体はまた、迷走神経を介した炎症の軽減に関与していることが示されている。さらに、α7受容体は、関節リウマチ(RA)および変形性関節症(OA)患者由来の滑膜細胞で発現され、α7アゴニストは、リウマチの関節で起こる炎症誘発カスケードを阻害することが示されている(Waldberger et al., Arthritis and Rheumatism, Vol 58, pp 3439-3449)。従って、本発明の化合物は、関節リウマチおよび変形性関節症などの炎症状態の処置に有用であり得る。
【0012】
α7サブユニットを含むニコチン受容体は、胃腸の過敏性に関与することが知られている粘膜の肥満細胞に存在する(Kageyama-Yahara et al., Biochem and Biophys. Research Commun., 2008, v. 377, pp321-325)。α7アゴニストGTS-21は、粘膜の肥満細胞の抗原誘発脱顆粒を阻害し、このことは、α7アゴニストが、過敏性腸状態、例えば潰瘍性大腸炎の処置に有用であることを示唆する。
【0013】
近年の報告において(Marrero et al., JPET Fast Forward, September 28, 2009, DOI: 10.1124/jpet.109.154633)、α7アゴニストは、II型糖尿病のマウスモデル(レプチン受容体欠損db/dbマウス)において、体重増加を減らし、食物取り込みを減少させ、トリグリセリド、ブドウ糖、糖化ヘモグロビンおよびTNFaの上昇した血漿レベルを低下させることが示された。本発明のα7アゴニストおよび部分アゴニストは、糖尿病の処置に有用であり得る。
【0014】
下記の参考文献は、ニコチン受容体系およびα7受容体とリガンドの全般的なレビューを提供する:Picciotto and Zoli, J. Neurobio. (2002) 53:641-655; Brening, et al, Ann. Reports in Med. Chem. (2005) 40:3-16; Dani and Bertrand, Ann. Rev. Pharm. Tox. (2007) 47:699-729; Olincy and Stevens, Biochem. Pharmacol. (2007) 74:1192-1201; Broad, et al, Drugs Future (2007) 32 (2):161-70; de Jonge and Ulloa, Brit. J. Pharmacol. (2007) 151:915-929; Romanelli, et al, ChemMedChem (2007) 2(6):746-767; Lightfoot et al., Progress in Medicinal Chemistry (2008), v 46, pp131-171; Concotta et al., Current Opinion in Investigational Drugs (2008), v 9, pp47-56; Leiser et al., Pharmacol. and Therapeutics (2009), doi:10:1016/j.pharmthera.2009.03.009)。
【0015】
ニコチン性α7受容体に対するリガンドは、上記参考文献、ならびに米国特許出願第20090270405号公報、米国特許第2007004715号、国際公開第2008/000469号、国際公開第2003/092580号、国際公開第2004/000,469号、欧州特許第337,547号、欧州特許第452,101号およびC.J. Swain, et al., J. Med. Chem., (1992) 35:1019-1031に開示されている。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、技術的利益を提供し、例えば本化合物は新規であり、ニコチン性α7受容体に対するリガンドであり、種々の中枢神経系の障害、特に情動障害および神経変性障害の処置に有用であり得る。さらに、本化合物は、作用機序、結合、阻害効果、標的選択性、溶解度、安全性プロファイルまたはバイオアベイラビリティーの1種以上に関連した製薬用途に関する利益を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の説明
本発明は、薬学的に許容される塩を含む式Iの化合物および組成物ならびにこれらの化合物を用いた処置方法を包含する。本化合物は、中枢神経系の種々の障害の処置に有用であり得る。
【0018】
本発明の一つの局面は、式I:
【化1】

[式中、
は、イソオキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、インダゾリル、インドリル、2−インドロニル(indolonyl)、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、フロピリジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、イソチアゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、チアゾロピリジノニル、チアゾロピラジニル、チアゾロピリミジニル、トリアゾロピリジニル、トリアゾロピラジニル、ピロロトリアジニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5H−クロメノ[4,3−d]ピリミジニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリニル、7,8−ジヒドロキナゾリン−5(6H)−オニルおよびテトラヒドロベンゾチアゾリルからなる群から選択され、これらは、C1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、C3−7シクロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C1−4アルキルスルホニル、NR、ピロリジノニル、メチレンジオキシ、フリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ナフチル、C1−4アルキルアミド、CONR、ピリジル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される0〜3個の置換基で置換されており、ここで、イミダゾリル、ピリジル、フェニルおよびベンジルは、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシおよびNRからなる群から独立して選択される0〜2個の置換基で置換されており;
は、水素、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキルまたはC1−4アミノアルキルであって、
は、水素、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキルまたはC1−4アミノアルキルであるか;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、アゼチジニル(axetidinyl)、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、N−(C1−4アルキル)ピペラジニル、モルホリニルまたはホモピペリジニルであり;
nは、1または2である。]
の化合物もしくはその立体異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0019】
本発明の他の局面は、式:
【化2】

で示される式Iの立体異性体である。
【0020】
本発明の他の局面は、式:
【化3】

で示される式Iの立体異性体である。
【0021】
本発明の他の局面は、式:
【化4】

で示される式Iの立体異性体である。
【0022】
本発明の他の局面は、式:
【化5】

で示される式Iの立体異性体である。
【0023】
本発明の他の局面は、式:
【化6】

で示される式Iの立体異性体である。
【0024】
本発明の他の局面は、式:
【化7】

で示される式Iの立体異性体である。
【0025】
本発明の他の局面は、式:
【化8】

で示される式Iの立体異性体である。
【0026】
本発明の他の局面は、式:
【化9】

で示される式Iの立体異性体である。
【0027】
本発明の他の局面は、Rが、ジメチルイソオキサゾリル、(メチル)(フェニル)イソオキサゾリル、メチルピラゾリル、ジメチルピラゾリル、チエニルピラゾリル、メトキシフェニルピラゾリル、チアゾリル、ブロモチアゾリル、シアノチアゾリル、メチルチアゾリル、ジメチルチアゾリル、(メチル)(フェニル)チアゾリル、イソプロピルチアゾリル、ブチルチアゾリル、ベンジルチアゾリル、メトキシフェニルメチルチアゾリル、フェニルチアゾリル、クロロフェニルチアゾリル、メトキシフェニルチアゾリル、(メトキシフェニル)(メチル)チアゾリル、ピリジニルチアゾリル、(フェニル)(メチル)イミダゾリル、メチルオキサジアゾリル、エチルオキサジアゾリル、メチルチアジアゾリル、フルオロフェニルチアジアゾリル、フリルチアジアゾリル、(ジメチルカルボキサミド)(メチル)チアゾリル、(ピロリジニルCO)チアゾリル、フェニルトリアゾリル、ピリジニル、ブロモピリジニル、クロロピリジニル、(クロロ)(フルオロ)ピリジニル、(クロロ)(メチル)ピリジニル、ジクロロピリジニル、フルオロピリジニル、シアノピリジニル、(シアノ)(メチル)ピリジニル、(シアノ)(ジメチル)ピリジニル、メトキシピリジニル、(メチルピロリジニル)ピリジニル、フェニルピリジニル、メトキシピリジニルピリジニル、ピリダジニル、ブロモピリダジニル、クロロピリダジニル、メチルピリダジニル、メトキシピリダジニル、メチルチオピリダジニル、ピロリジニルピリダジニル、ピロリジノニルピリダジニル、フェニルピリダジニル、ピリジニルピリダジニル、メトキシピリジニルピリダジニル、ピリミジニル、(ブロモ)(イソプロピル)ピリミジニル、(ブロモ)(ジメチル)ピリミジニル、(ブロモ)(シクロプロピル)ピリミジニル、(ブロモ)(メトキシ)ピリミジニル、(ブロモ)(フェニル)ピリミジニル、(ブロモ)(ピリジニル)ピリミジニル、クロロピリミジニル、(クロロ)(ジメチル)ピリミジニル、(メチル)(メトキシ)ピリミジニル、メチルピリミジニル、エチルピリミジニル、(メチル)(フェニル)ピリミジニル、ジメチルピリミジニル、ブチルピリミジニル、イソプロピルピリミジニル、シクロプロピルピリミジニル、メトキシピリミジニル、ジメトキシピリミジニル、イソプロポキシピリミジニル、シクロペントキシピリミジニル、ジフルオロメトキシピリミジニル、トリフルオロエトキシピリミジニル、フェノキシピリミジニル、メチルチオピリミジニル、フェニルピリミジニル、クロロフェニルピリミジニル、メチルフェニルピリミジニル、メトキシフェニルピリミジニル、(フェニル)(トリアゾリル)ピリミジニル、ピリジニルピリミジニル、メトキシピリジニルピリミジニル、メトキシピリミジニルピリミジニル、ナフチルピリミジニル、ピラジニル、ブロモピラジニル、(ブロモ)(メトキシ)ピラジニル、クロロピラジニル、メチルピラジニル、ジメチルピラジニル、ブチルピラジニル、シアノピラジニル、メトキシピラジニル、イソプロポキシピラジニル、トリフルオロメチルピラジニルおよびフェニルピラジニルおよびジメチルトリアジニルからなる群から選択される、式Iの化合物;またはその薬学的に許容される塩である。
【0028】
本発明の他の局面は、Rが、ジメチルピリジノイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、クロロベンゾオキサゾリル、フルオロフェニルベンゾオキサゾリル、エチルフェニルベンゾオキサゾリル、ジメチルアミノフェニルベンゾオキサゾリル、ピリジニルベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、アセトアミドベンゾチアゾリル、ブロモベンゾチアゾリル、クロロベンゾチアゾリル、(クロロ)(メチル)ベンゾチアゾリル、(クロロ)(メトキシ)ベンゾチアゾリル、フルオロベンゾチアゾリル、ジフルオロベンゾチアゾリル、シアノベンゾチアゾリル、メチルベンゾチアゾリル、ジメチルベンゾチアゾリル、(メチル)(メトキシ)ベンゾチアゾリル、エチルベンゾチアゾリル、トリフルオロメチルベンゾチアゾリル、ヒドロキシベンゾチアゾリル、メトキシベンゾチアゾリル、エトキシベンゾチアゾリル、イソプロポキシベンゾチアゾリル、トリフルオロメトキシベンゾチアゾリル、ジフルオロメトキシベンゾチアゾリル、ジメトキシベンゾチアゾリル、モルホリニルベンゾチアゾリル、(ピロリジニルCO)ベンゾチアゾリル、メチルスルホニルベンゾチアゾリル、クロロチアゾロピリジニル、ジメチルチアゾロピリジニル、ベンジルオキシチアゾロピリジニル、ジフルオロメトキシチアゾロピリジニル、ベンゾトリアゾリル、インドロニル、インダゾリル、ブロモインダゾリル、クロロインダゾリル、フルオロインダゾリル、(メチル)(メトキシ)インダゾリル、メトキシインダゾリル、トリフルオロメチルインダゾリル、トリフルオロメトキシインダゾリル、ジフルオロメトキシインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、フルオロベンゾイミダゾリル、メチルベンゾイミダゾリル、(メチル)(メトキシ)ベンゾイミダゾリル、メトキシベンゾイミダゾリル、テトラヒドロベンゾチアゾリル、フロピリジニル、ジメチルフロピリミジニル、チエノピリミジニル、イソプロピルチエノピリミジニル、ジメチルチエノピリミジニル、クロロトリアゾロピリジニル、メチルトリアゾロピリジニル、トリフルオロメチルトリアゾロピリジニル、メトキシトリアゾロピリジニル、トリアゾロピラジニル、ブロモピロロトリアジニル、ジメチルアミノチアゾロピリミジニル、チアゾロピラジニル、ブロモチアゾロピラジニル、メトキシチアゾロピラジニル、メチルチオチアゾロピラジニル、メトキシチアゾロピリミジニル、(メチル)(メトキシ)チアゾロピリミジニル、キノリニル、ブロモキノリニル、フルオロキノリニル、メチルキノリニル、(メチル)(メトキシ)キノリニル、イソキノリニル、ブロモイソキノリニル、ジクロロイソキノリニル、メチルイソキノリニル、ジメチルイソキノリニル、キノキサリニル、クロロキノキサリニル、メチルキノキサリニル、メトキシキノキサリニル、キナゾリニル、ブロモキナゾリニル、ナフチリジニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5H−クロメノ[4,3−d]ピリミジニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリニルおよび7,8−ジヒドロキナゾリン−5(6H)−オニルからなる群から選択される、式Iの化合物;またはその薬学的に許容される塩である。
【0029】
本発明の他の局面は、Rが、フェニルチアゾリル、(クロロ)(メチル)ピリジニル、(ブロモ)(フェニル)ピリミジニル、メトキシピリミジニル、ジフルオロメトキシピリミジニル、 ジフルオロエトキシピリミジニル、シクロペントキシピリミジニル、(メチルフェニル)ピリミジニル、(メトキシフェニル)ピリミジニル、ブロモピラジニル、クロロピラジニル、メチルチオピラジニル、メトキシベンゾチアゾリル、エトキシベンゾチアゾリル、ジフルオロメトキシベンゾチアゾリル、チアゾロピリジノニル、トリフルオロメチルインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニルおよびキナゾリニルからなる群から選択される、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0030】
本発明の他の局面は、Rが、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンゾチアゾリル、チアゾロピリジニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニルおよびキナゾリニルからなる群から選択され、これらが、C1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、C3−7シクロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキルスルホニル、NR、ピロリジノニル、メチレンジオキシ、フリル、チエニル、トリアゾリル、ピリミジニル、ナフチル、C1−4アルキルアミド、CONR、ピリジル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される0〜3個の置換基で置換されており、ここで、ピリジル、フェニルおよびベンジルが、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシおよびNRからなる群から独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている、式Iの化合物;またはその薬学的に許容される塩である。
【0031】
本発明の他の局面は、Rが、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾロピリジニルおよびイソキノリニルからなる群から選択され、これらが、C1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、C3−7シクロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキルスルホニル、NR、ピロリジノニル、メチレンジオキシ、フリル、チエニル、トリアゾリル、ピリミジニル、ナフチル、C1−4アルキルアミド、CONR、ピリジル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される0〜3個の置換基で置換されており、ここで、ピリジル、フェニルおよびベンジルは、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシおよびNRからなる群から独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている、式Iの化合物;またはその薬学的に許容される塩である。
【0032】
本発明の他の局面は、Rが、ピリジニルおよびイソキノリニルからなる群から選択され、これらが、C1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、C3−7シクロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキルスルホニル、NR、ピロリジノニル、メチレンジオキシ、フリル、チエニル、トリアゾリル、ピリミジニル、ナフチル、C1−4アルキルアミド、CONR、ピリジル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される0〜3個の置換基で置換されており、ここで、ピリジル、フェニルおよびベンジルが、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシおよびNRからなる群から独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている、式Iの化合物;またはその薬学的に許容される塩である。
【0033】
本発明の他の局面は、Rが、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾロピリジニル、イソキノリニルおよびベンゾオキサゾリルからなる群から選択され、これらが、C1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、C3−7シクロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、NR、ピロリジノニル、メチレンジオキシ、フリル、チエニル、トリアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリミジニル、ナフチル、C1−4アルキルアミド、CONR、ピリジルおよびフェニルからなる群から独立して選択される0〜3個の置換基で置換されており、ここで、ピリジル、フェニル、チアゾリルおよびイミダゾリルが、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシおよびNRからなる群から独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている、式Iの化合物;またはその薬学的に許容される塩である。
【0034】
本発明の他の局面は、
(5S*,5'R*)−N−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン、
(5S*,5'R*)−N−(6−メトキシベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン、
(5S*,5'R*)−N−(チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン、
(5S*,5'R*)−N−(イソキノリン−3−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン、
(5R*,5'R*)−N−(チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
からなる群から選択される化合物;またはその薬学的に許容される塩である。
【0035】
式Iの化合物について、R、RおよびRを含む可変の置換基の全ての例の範囲は、可変の置換基の他の何れかの例と独立して用いられ得る。そのため、本発明は、異なる局面の組み合わせを含む。
【0036】
特にことわらない限り、これらの用語は、下記の意味を有する。“アルキル”は、1〜4個の炭素からなる直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味する。“アルケニル”は、2〜4個の炭素からなる、少なくとも1個の二重結合を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味する。“アルキニル”は、2〜4個の炭素からなる、少なくとも1個の三重結合を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味する。“シクロアルキル”は、3〜7個の炭素からなる単環式環系を意味する。“ハロアルキル”および“ハロアルコキシ”は、モノハロからパーハロの全てのハロゲン化異性体を含む。炭化水素部分を有する用語(例えばアルコキシ)は、炭化水素部分についての直鎖および分枝鎖の異性体を含む。括弧でくくられた用語および多重括弧でくくられた用語は、結合の関係を当業者に明らかにすることを意図している。例えば、((R)アルキル)のような用語は、置換基Rでさらに置換されたアルキル置換基を意味する。
【0037】
本発明は、本化合物の全ての薬学的に許容される塩の形態を含む。薬学的に許容される塩は、カウンターイオンが、化合物の生理活性または毒性にほとんど寄与せず、かつ、薬理学的等価物と同程度の機能がある塩である。これらの塩は、通常の有機の技術に従って、市販の反応剤を用いて合成され得る。幾つかのアニオン塩の形態は、酢酸塩、アシストラート(acistrate)、ベシル酸塩、臭化物、塩化物、クエン酸塩、フマル酸塩、グルクロン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびキシナホ酸塩を含む。幾つかのカチオン塩の形態は、アンモニウム、アルミニウム、ベンザチン、ビスマス、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、リチウム、マグネシウム、メグルミン、4−フェニルシクロヘキシルアミン、ピペラジン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛の塩の形態を含む。
【0038】
幾つかの本発明の化合物は、立体異性体の形態で存在する。本発明は、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む、本化合物の全ての立体異性体の形態を含む。立体異性体を合成し、分離する方法は、当技術分野で既知である。
【0039】
本発明は、本化合物の全ての互変異性体の形態を含む。互変異性体のペアの例を下に示す。
【化10】

【0040】
本発明は、本発明の化合物中に存在する原子の全ての同位体を含むことを意図している。同位体は、同一の原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子を含む。一般的な非限定的例として、水素の同位体は、重水素およびトリチウムを含む。炭素の同位体は、13Cおよび14Cを含む。同位体標識された本発明の化合物は、一般的に、他のときに用いられる標識されていない反応剤の代わりに、適切な同位体標識された反応剤を用いて、当業者に既知の慣用の方法によって製造され得るか、または、本明細書で記載された方法と類似の方法によって製造され得る。このような化合物は、生物活性を測定する際の標準および試薬としてなどの、様々な潜在的用途を有し得る。安定な同位体の場合は、このような化合物は、生物学的性質、薬理学的性質または薬物動態の性質を好都合に修飾する可能性を有し得る。
【0041】
合成方法
本化合物は、下記の方法および当技術分野の技術の範囲内の変形を含む、当技術分野で既知の方法によって合成され得る。幾つかの反応剤および中間体は、当技術分野で既知である。他の反応剤および中間体は、容易に入手可能な物質を用いて、当技術分野で既知の方法によって合成され得る。本化合物の合成を説明するために用いられる可変基(例えば番号付けされた“R”置換基)は、本化合物を合成する方法を説明することのみを意図しており、特許請求の範囲または本明細書の他の章で用いられる可変基と混同されるべきではない。下記の方法は、例示を目的とし、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0042】
本化合物の幾つかは、この章で記載された反応および方法を用いて製造され得る。反応は、用いられる反応剤および物質に適切な溶媒中で行われ、行われる変換に適当なものである。分子の種々の位置に存在する官能基は、提案された反応剤および反応と共存できなければならないことが、有機合成の分野の当業者に理解される。このような反応条件と共存できるという置換基の制限は、当業者に容易に明らかとなり、その際には別の方法を用いなければならない。
【0043】
スキームで用いられる略号は、一般的に、当技術分野で用いられる慣例に従う。本明細書および実施例で用いられる化学的略号は、下記の通り定義される:“NaHMDS”=ビス(トリメチルシリル)アミド ナトリウム;“DMF”=N,N−ジメチルホルムアミド;“MeOH”=メタノール;“NBS”=N−ブロモスクシンイミド;“Ar”=アリール;“TFA”=トリフルオロ酢酸;“LAH”=水素化リチウムアルミニウム;“BOC”=t−ブトキシカルボニル、“DMSO”=ジメチルスルホキシド;“h”=時間;“rt”=室温または保持時間(文脈による);“min”=分;“EtOAc”=酢酸エチル;“THF”=テトラヒドロフラン;“EDTA”=エチレンジアミン四酢酸;“EtO”=ジエチルエーテル;“DMAP”=4−ジメチルアミノピリジン;“DCE”=1,2−ジクロロエタン;“ACN”=アセトニトリル;“DME”=1,2−ジメトキシエタン;“HOBt”=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物;“DIEA”=ジイソプロピルエチルアミン、“Nf”=CF(CF)SO−;および“TMOF”=トリメチルオルトホルメート。
【0044】
本明細書で用いられる略号は、下記の通り定義される;“1×”=1回、“2×”=2回、“3×”=3回、“℃”=度(摂氏)、“eq”=当量、“g”=グラム、“mg”=ミリグラム、“L”=リットル、“ml”=ミリリットル、“μl”=マイクロリットル、“N”=規定、“M”=モル濃度、“mmol”=ミリモル、“min”=分、“h”=時間、“rt”=室温、“RT”=保持時間、“atm”=気圧、“psi”=平方インチポンド(pounds per square inch)、“conc.”=濃縮、“sat”または“sat'd”=飽和、“MW”=分子量、“mp”=融点、“ee”=エナンチオマー過剰率、“MS”または“Mass Spec”=質量分析、“ESI”=エレクトロスプレーイオン化質量分析、“HR”=高解像度、“HRMS”=高解像度質量分析、“LCMS”=液体クロマトグラフィー質量分析、“HPLC”=高速液体クロマトグラフィー、“RP HPLC”=逆相HPLC、“TLC”または“tlc”=薄層クロマトグラフィー、“NMR”=核磁気共鳴分光分析、“1H”=プロトン、“δ”=デルタ、“s”=一重項、“d”=二重項、“t”=三重項、“q”=四重項、“m”=多重項、“br”=ブロード、“Hz”=ヘルツ、および、“α”、“β”、“R”、“S”、“E”および“Z”は、当業者によく知られている立体化学の記号である。
【0045】
スキーム1
【化11】

【0046】
式Iの化合物を、反応スキーム1に示した通り製造することができる。式IIIのケトンは既知であって、当業者に既知の方法によって製造され得る。シアン化ナトリウムまたはシアン化カリウム+酸との反応によって、該ケトンを対応する式IVのシアノヒドリンに変換することができる。ボラン/テトラヒドロフラン錯体との反応によって、式IVの化合物を対応する式Vのアミノ−メチル化合物(ボラン錯体)に還元することができる。
【0047】
不活性溶媒中で、式Vの化合物をヘテロアリール イソチオシアネートと直接反応させ、式VIのチオウレアを得ることができる。あるいは、ヘテロアリールアミンをチオカルボニル−ジイミダゾールと反応させ、活性化種を得ることができ、これを単離することなく式Vの化合物を式VIの化合物に変換するために用いることができる。該ヘテロアリールアミンを当業者に既知の方法によって製造し得る。
【0048】
例えばジ−イソプロピル カルボジイミドを用いて、式VIのチオウレアを環化させ、式VIIのオキサゾリンを得ることができ、これを酸で処理することによって脱保護し、ラセミの最終生成物の式Iの化合物が得る。当技術分野で既知の方法によって、例えば、キラルクロマトグラフィーによって、式Iの化合物を純粋なエナンチオマーに分離し得る。
【0049】
式Xの化合物中のボラン基は、例えば希塩酸で処理することによって除去され、キラルな式XIのキヌクリジンアミンを得ることができる。反応スキーム1と同様に、式XIのアミン塩は、イソチオシアネートと反応させて、式VIaのチオウレアを得ることができ、これをジアルキル カルボジイミドまたは混合チオウレア(チオカルボニル ジイミダゾールとの反応より)と反応させて、キラルな式Iのオキサゾリン キヌクリジン化合物を得ることができる。
【0050】
スキーム2
【化12】

【0051】
あるいは、式Vのボラン基を塩酸で除去し、式XIIの二塩酸塩を得て、これを塩基の存在下でイソチオシアネートと反応させ、中間体である式XIIIのチオウレアを得ることができ、これを反応スキーム1〜2の通りに環化させて式Iの化合物を得ることができる。
【0052】
スキーム3
【化13】

【0053】
さらに、(ヘテロ)芳香族性アミンを、二硫化炭素、水酸化ナトリウムおよびヨウ化メチルと反応させ、中間体である式XIVのカルボンイミドジチオ酸ジメチルを得る。これらを塩基の存在下で式XIIの二塩酸塩と反応させて、2molのメタンチオールを除去し、直接式Iの望ましい生成物を得る。
【0054】
生物学的方法
I) α7ニコチン性アセチルコリン受容体結合
ラットのα7ニコチン性アセチルコリン受容体(ラットα7nAChR)を安定に発現するHEK293細胞を用いて、結合のための膜を調製した。4℃で、10mM Tris(pH 7.4)、5mM EDTAおよびプロテアーゼ阻害剤からなる低浸透圧性溶解緩衝液中で、細胞をホモジナイズし、32000×gで20分間遠心分離した。50mM Tris(pH 7.4)、1mM EDTAおよびプロテアーゼ阻害剤からなる膜洗浄緩衝液中で、ペレットを1回洗浄し、32000×gで20分間遠心分離した。このペレットを、50mM KHPO(pH 7.4, 25℃)、1mM EDTA、0.005% Triton-X 100および0.1%(v/v) Sigma社製プロテアーゼ阻害剤カクテルからなるアッセイ緩衝液に再度懸濁した。アリコートをドライアイス/エタノール中で凍結し、アッセイの日まで−80℃で保存した。
【0055】
II) 哺乳動物細胞におけるニコチン性アセチルコリン受容体チャネル機能についてのCa2+感受性蛍光ベースアッセイα−7(FLIPR)
概要: リード化合物を、哺乳動物のHEK 293細胞中で発現させたニコチン性ACh受容体イオンチャネルのα−7、α3β4、α4αβ2およびα1β1δ1εサブタイプへのアゴニスト活性について評価する。384ウェルFLIPR(蛍光画像プレートリーダー)を用いて行った動的蛍光Ca2+流入測定から、アゴニスト強度および有効性を測定する。創薬活動における細胞内二価カチオン濃度、特にCa2+の濃度変化を測定するための蛍光指示薬の有用性が詳細に記載されている(Rudiger, R., et al., Nature Reviews, 2003, 4:579-586; Gonzalez J.E., et al., Receptors and Channels, 2002, 8:283-295)。このアッセイにおいて、384ウェルアッセイプレートに播種したチャネル発現HEK細胞株に、510nmでの緑色の放出シグナルが細胞内Ca2+濃度の上昇に応答して増加する、膜透過性蛍光Ca2+指示色素を取り込ませる。細胞の基底蛍光をリアルタイムでモニターし、次に試験化合物を急性に添加する。化合物が非選択性カチオンチャネルのいずれかのアゴニストであれば、チャネルは開いて、細胞内Ca2+イオンの細胞質への移動が可能となり、それらはCa2+指示色素に結合して、蛍光アウトプットシグナルの増加を起こし、それが冷却CCD撮像カメラによって検出される。
【0056】
材料および方法: 反応剤:Ca2+指示色素Fluo−4のアセトメトキシ(AM)エステルをInVitrogen (Carlsbad, CA)から得た。アセチルコリンおよび全ての緩衝液の成分は、Sigma Chemical Company, St. Louis, MOから購入した。G418および基礎培地をInVitrogen Life Technologies, Carlsbad, CAから購入した。ウシ胎児血清を(InVitrogen, Carlsbad, CA)から購入した。
【0057】
細胞培養: HEK−293細胞を、10%(v/v) ウシ胎児血清を含む基礎培地中で、37℃で、5% COインキュベーター中で増殖させた。イオンチャネルを安定的に発現するHEK−293細胞を、500μg/ml G418を添加した同じ培地中で増殖させた。
【0058】
HEK−293細胞中で発現されたCa2+チャネルのCa2+流量アッセイ: 対象のイオンチャネルを発現するHEK−293を、384ウェル黒壁透明底ポリ−D−リジン被覆プレートに、20μlの10%(v/v) ウシ胎児血清を含む基礎培地中約20,000細胞/ウェルの密度で播種し、29℃で、5% COインキュベーター中で2日間インキュベートした。アッセイを行う前に、細胞にFluo−4のAMエステルを取り込ませた。細胞取り込みは、培養培地を除き、それを20mM HEPES、2.5mM プロベネシド、0.5mM CaCl、1mM MgClおよび10μM アトロピンを含むハンクス平衡塩溶液(#14175-095)と混合した30 μl/ウェルの色素のAM エステル(5μM)と置き換えることによって行った。色素取り込みは室温で90分間行い、その時点で、色素取り込み溶液を除き、40μl/ウェルのハンクス緩衝液と置き換えた。色素を取り込んだ細胞を、FLIPR384(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)に載せた。Fluo−4色素を488nmのアルゴンレーザー線を用いて励起させた。放出を、540±30nmのバンドパスフィルターを用いてフィルターした。Ca2+流量アッセイを用いて試験化合物の効果を評価するために、試験された化合物を、アッセイ調製済みプレートに入れた。ニコチン受容体イオンチャネル発現細胞において、20μl/ウェルの試験化合物を含むハンクス緩衝液を添加することによって、アッセイを開始した。全てのアッセイについて、1Hzで10秒間データを集め(ベースライン)、その時点で化合物含有刺激緩衝液を添加し、0.33Hzで3分間さらに測定を行った。
【0059】
データ分析: ニコチン受容体Ca2+流量アッセイの統計学的ロバスト性を、ブランクおよび総ウェルから決定する。総ウェルは、各化合物試験プレートについての最大チャネル活性化(アセチルコリンの最大有効投与量)を規定し、対応量のDMSOのみを含むブランクウェルは、ゼロチャネル活性化を規定する。FLIPRプレートリーダーから得た蛍光単位の生データファイルを、自動的にエクスポートし、社内データ分析ツールによって処理する。各濃度の試験化合物について低下した%活性化データを、MathIQ fitting engine (ID Business Solutions Limited, Surrey, UK)を用いてフィットさせる。試験化合物の示された条件でのCa2+流量について、最大蛍光強度の変化をフィットさせることによって、データを分析する。3個のアッセイウェルの平均値の20点の濃度応答曲線(CRC)から、化合物の強度(EC50値)を計算する。試験化合物の強度(Ymax値)は、総ウェルにおけるアセチルコリンへの最大応答と比較して表される。
【0060】
III) Fos定量化アッセイ
オスのウィスターラットを、医薬(1〜10mg/kg)またはビークル(2ml/kg, 皮下)で処置した。処置後2時間で、ラットを素早く断頭し、目的の脳領域を氷上で摘出し、重量を量り、液体窒素で急速冷凍し、−80℃で保存する。核抽出物における脳組織のさらなる処理およびFos定量化は、市販のELISAベース化学発光検出キット(カタログ番号89860, EZ−検出c−Fosトランスキット, Pierce Biotechnology Inc., Rockford, IL)によって規定されたプロトコルに従って行う。
【0061】
IV) ラットにおけるMK−801破壊セットシフトアッセイ
このアッセイは、Stefani et al. (Behavioral Neuroscience, 2003, 117: 728-737)によって記載されたプロトコルの修飾を用いる。このアッセイにおいて、MK−801誘発運動能力欠損(0.03mg/kg, 腹腔内, 1回投与)を逆転させる能力について、試験化合物を評価した。
【0062】
上記のアッセイ(II)で試験された、本明細書に記載された具体的な化合物の活性を表1に示す。
表1
【化14】

【表1】

a EC50値(nM)に基づく活性: +++ =<100nM; ++ =100〜1000nM; + = 1000〜100000nM; b NT =試験せず; NA = 活性なし (>1000000nM)。
【0063】
医薬組成物および処置方法
式Iの化合物は、α7に結合し、情動障害および神経変性障害を処置するのに有用であり得る。従って、本発明の他の局面は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、および、薬学的に許容される担体を含む組成物である。
【0064】
本発明の他の局面は、情動障害または神経変性障害を処置する医薬の製造における、式Iの化合物の使用である。
本発明の他の局面は、統合失調症またはアルツハイマー病を処置する医薬の製造における、式Iの化合物の使用である。
【0065】
本発明の他の局面は、情動障害または神経変性障害を処置する方法であって、患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法である。
本発明の他の局面は、統合失調症またはアルツハイマー病を処置する方法であって、患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法である。
【0066】
本発明の他の局面は、統合失調症を処置する方法であって、患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法である。
本発明の他の局面は、アルツハイマー病を処置する方法であって、患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法である。
【0067】
本発明の他の局面は、認知障害を処置する方法であって、患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法である。
本発明の他の局面は、関節リウマチを処置する方法であって、患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法である。
【0068】
本発明の他の局面は、変形性関節症を処置する方法であって、患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法である。
本発明の他の局面は、潰瘍性大腸炎を処置する方法であって、患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法である。
【0069】
本発明の他の局面は、クローン病を処置する方法であって、患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法である。
本発明の他の局面は、糖尿病を処置する方法であって、患者に、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法である。
【0070】
“患者”は、情動障害および神経変性障害の分野の従業者によって治療に適すると解されるヒトを意味する。
“処置”、“治療”および関連の用語は、情動障害および神経変性障害の分野の従業者によって理解される通りに用いられる。
【0071】
本発明の化合物は、一般的に、治療有効量の化合物またはその薬学的に許容される塩、および、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物として与えられ、慣用の賦形剤を含んでもよい。薬学的に許容される担体は、許容される安全性プロファイルを有する慣用の既知の担体である。組成物は、全ての一般の固体および液体の形態を包含し、例えば、カプセル剤、錠剤、ロゼンジおよび散剤、ならびに、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤および溶液を含む。組成物は、一般の製剤方法を用いて製造され、慣用の賦形剤(例えば結合剤および湿潤剤)およびビークル(例えば水およびアルコール)が、組成物に一般的に用いられる。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA, 17th edition, 1985を参照のこと。
【0072】
固体組成物は、通常、単位投与形で製剤化され、1回用量当たり約1〜1000mgの有効成分を提供する組成物が好ましい。投与量の幾つかの例は、1mg、10mg、100mg、250mg、500mgおよび1000mgである。一般的に、他の医薬が、臨床的に用いられているその群の医薬と同様の単位用量範囲で存在する。典型的には、これは0.25〜1000mg/単位である。
【0073】
液体組成物は、通常、単位投与量範囲である。一般的に、液体組成物は、1〜100mg/mlの単位投与量範囲である。投与量の幾つかの例は、1mg/ml、10mg/ml、25mg/ml、50mg/mlおよび100mg/mlである。一般的に、他の医薬は、臨床的に用いられているその群の医薬と同様の単位用量範囲で存在する。典型的には、これは1〜100mg/mlである。
【0074】
本発明は、全ての慣用の投与方法を包含し、経口および非経腸方法が好ましい。一般的には、投与レジメは、臨床的に用いられている他の医薬と同様である。典型的には、1日投与量は、1日当たり1〜100mg/kg体重である。一般的には、多くの化合物が経口で必要とされ、非経腸では少ない。しかし、具体的な投与レジメは、医師によって、堅実な医学的判断を用いて決定される。
【0075】
具体的な態様の説明
H−NMRスペクトルを、Bruker 500、400または300 MHz装置で測定し、化学シフトを、テトラメチルシラン(δ=0.0)を参照としてppm(δ)で示した。全ての蒸発を減圧下で行った。特にことわらない限り、Shimadzu社の装置で、Phenomenex-Luna 4.6×50mm S 10 逆相カラムを用いて、流速4ml/分で、メタノール/水中0.1% TFAの濃度勾配[0〜100%, 3分, ランタイム4分]を用いて、UV検出器を220nmに設定して、あるいは、Gemini C18 4.6×50mm 5μ 逆相カラムで、流速5ml/分で、10mM 酢酸アンモニウム アセトニトリル/水の濃度勾配[5〜95%, 3分, ランタイム4分]を用いて、UV検出器を220nmに設定して、LC/MS分析を行った(陰イオンの質量分析)。特にことわらない限り、精製は、分取C-18カラムによって、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)を含むメタノール−水の濃度勾配を用いて、Shimadzu社の高速液体分取クロマトグラフィー系を用いて、XTERRA 30×100mm S5 カラムを用いて、流速40ml/分で、12分の濃度勾配で行った。
【実施例】
【0076】
実施例1
(5S*,5'R*)−N−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
【化15】

【0077】
工程A: (5S*,6R*)−6−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−6−カルボニトリル
【化16】

水(3ml)中の1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−6−オン塩酸塩(1.0g, 7.99mmol)を含むバイアルに、水(1ml)に溶解したシアン化ナトリウム(392mg, 7.99mmol)を加えた。混合物を50℃で一夜加熱し、得られた沈殿物を吸引濾過によって集め、(5S*,6R*)−6−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−6−カルボニトリルを白色の固体として得た(790mg, 65%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 6.49 (br. s., 1 H) 3.25 - 3.66 (m, 1 H) 2.91 (d, J=13.55 Hz, 1 H) 2.61 - 2.87 (m, 4 H) 2.15 (br. s., 1 H) 1.52 - 1.88 (m, 3 H) 1.34 (d, J=13.55 Hz, 1 H)。
【0078】
工程B: ((1R*,5S*,6S*)−6−(アミノメチル)−6−ヒドロキシ−1−アンモニオビシクロ[3.2.1]オクタン−1−イル)トリヒドロボレート
【化17】

6−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−6−カルボニトリル(790mg, 5.19mmol)をTHF(5ml)に溶解した。この溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(5.19ml, 5.19mmol, THF中1M)をゆっくりと加えた。発泡が止んだ後、反応物を室温で30分間撹拌し、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(15.57ml, 15.57mmol)で再度処理した。反応物を4時間還流し、室温まで冷却した。エタノール(100ml)をゆっくり添加することによって、反応を停止させ、室温で一夜撹拌した。溶媒を除去し、((1R*,5S*,6S*)−6−(アミノメチル)−6−ヒドロキシ−1−アンモニオビシクロ[3.2.1]オクタン−1−イル)トリヒドロボレートを得た(376mg, 42%)。これをそのまま次の反応に用いた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 3.20 - 3.55 (m, 2 H) 3.14 (dd, J=13.30, 1.51 Hz, 1 H) 2.79 - 2.99 (m, 3 H) 2.64 - 2.79 (m, 3 H) 1.96 - 2.05 (m, 1 H) 1.02 - 1.92 (m, 9 H)。
【0079】
工程C: N−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボチオアミド
【化18】

アセトニトリル(300ml)中のベンゾ[d]チアゾール−2−アミン(20g, 133mmol)に、1,1'−チオカルボニルジイミダゾール(30.8g, 173mmol)を加えた。反応物を50℃で24時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、沈殿物を濾過し、アセトニトリル(2×50ml)で洗浄した。黄色の粉末を真空オーブン(40℃)中で2時間乾燥させた。生成物であるN−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボチオアミド(28.9g, 111mmol)を、さらに精製することなく次の工程に用いた。
【0080】
工程D: (5S*,5'R*)−N−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
【化19】

((1R*,5S*,6S*)−6−(アミノメチル)−6−ヒドロキシ−1−アンモニオビシクロ[3.2.1]オクタン−1−イル)トリヒドロボレート(300mg, 1.76mmol)およびN−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボチオアミド(550mg, 2.12mmol)を、DMF(5ml)中で合わせた。反応物を70℃で2時間加熱し、N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド(1.37ml, 8.82mmol)で処理した。反応物をさらに2時間加熱し、室温まで冷却した。反応物をクロロホルム/水の混合物に注ぎ、有機物を集めて乾固させ、残渣を得た。残渣をアセトン(6ml)に溶かし、塩酸(3ml, 3M, 9.00mmol)で処理した。反応物を室温で3時間撹拌し、クロロホルム/水の混合物に注いだ。有機物を廃棄し、水層をpH 7に中和した。中和された層をクロロホルムで抽出し、クロロホルムを真空で除去し、粗製の混合物を得た。この混合物をPREP HPLCによって精製した。望ましい化合物のフラクションを合わせて、飽和重炭酸ナトリウムで希釈した。溶液をクロロホルムで数回抽出した。クロロホルム層を合わせて濃縮し、(5S*,5'R*)−N−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミンを白色の粉末として得た(45.1mg, 13%)。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 9.17 - 9.65 (m, 1 H) 7.62 (dd, J=13.18, 7.65 Hz, 2 H) 7.25 - 7.37 (m, 1 H) 7.11 - 7.20 (m, 1 H) 4.12 (d, J=9.79 Hz, 1 H) 3.96 - 4.06 (m, 1 H) 3.59 (d, J=14.31 Hz, 1 H) 3.24 (d, J=11.54 Hz, 1 H) 3.12 (dd, J=14.31, 2.51 Hz, 1 H) 2.79 - 3.00 (m, 3 H) 2.30 (q, J=3.35 Hz, 1 H) 1.71 - 1.92 (m, 2 H) 1.33 - 1.57 (m, 2 H). LC/MS RT=0.687分 [M+H]=315.06。
【0081】
実施例2
(5S*,5'R*)−N−(6−メトキシベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
【化20】

【0082】
工程A: N−(6−メトキシベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボチオアミド
【化21】

アセトニトリル(20ml)中の6−メトキシベンゾ[d]チアゾール−2−アミン(0.53g, 2.94mmol)に、1,1'−チオカルボニルジイミダゾール(0.681g, 3.82mmol)を加えた。反応混合物を65℃で24時間撹拌した。沈殿物を濾過し、アセトニトリルで洗浄し(2×20ml)、生成物を得た。生成物を、さらに精製せず、または特性決定せずに、次の工程に直接用いた。
【0083】
工程B: (5S*,5'R*)−N−(6−メトキシベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
【化22】

((1R*,5S*,6S*)−(6−(アミノメチル)−6−ヒドロキシ−1−アンモニオビシクロ[3.2.1]オクタン−1−イル)トリヒドロボレート(300mg, 1.76mmol)およびN−(6−メトキシベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボチオアミド(615mg, 2.117mmol)を、DMF(5ml)中で合わせた。反応物を70℃で2時間加熱し、N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド(1.37ml, 8.82mmol)で処理した。反応物をさらに2時間加熱し、室温まで冷却した。反応物をクロロホルム/水の混合物に注ぎ、有機物を集めて乾固させ、残渣を得た。残渣をアセトン(6ml)に溶かし、塩酸(3ml, 3M, 9.00mmol)で処理した。反応物を室温で3時間撹拌し、クロロホルム/水の混合物に注いだ。有機物を廃棄し、水層をpH 7に中和した。中和した層をクロロホルムで抽出し、クロロホルムを真空で除去し、粗製の混合物を得た。この混合物をPREP HPLCによって精製した。望ましい化合物のフラクションを合わせて、飽和重炭酸ナトリウムで希釈した。溶液をクロロホルムで数回抽出した。クロロホルム層を合わせて濃縮し、N−(6−メトキシベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミンを白色の粉末として得た(13.1.1mg, 3%)。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 9.04 - 9.55 (m, 1 H) 7.50 (d, J=8.78 Hz, 1 H) 7.15 (d, J=2.51 Hz, 1 H) 6.91 (dd, J=8.91, 2.64 Hz, 1 H) 4.11 (d, J=9.79 Hz, 1 H) 3.97 - 4.07 (m, 1 H) 3.76 - 3.88 (m, 3 H) 3.64 (d, J=14.31 Hz, 1 H) 3.29 (br. s., 1 H) 3.16 (d, J=14.31 Hz, 1 H) 2.87 - 3.06 (m, 3 H) 2.35 (d, J=2.76 Hz, 1 H) 1.70 - 1.96 (m, 2 H) 1.38 - 1.63 (m, 2 H). MS: LC/MS RT=0.923分 [M+H]=345.08。
【0084】
実施例3
(5S*,5'R*)−N−(チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
【化23】

【0085】
工程A: (5S*,6S*)−6−(アミノメチル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−6−オール 二塩酸塩
【化24】

((1R*,5S*,6S*)−(6−(アミノメチル)−6−ヒドロキシ−1−アンモニオビシクロ[3.2.1]オクタン−1−イル)トリヒドロボレート(400mg, 2.352mmol)を、MeOH(25ml)に溶解し、3N HCl水溶液(8ml, 24.00mmol)を加え、混合物を50℃で2時間加温した。この時点で、反応物を室温まで冷却し、乾固するまで蒸発させ、EtOHで磨砕し、6−(アミノメチル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−6−オール 二塩酸塩を白色の固体として得た(240mg, 収率44.5%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 11.13 (br. s., 1 H) 8.23 (br. s., 3 H) 6.10 (s, 1 H) 3.65 (d, J=13.30 Hz, 2 H) 3.23 - 3.46 (m, 3 H) 2.93 - 3.25 (m, 3 H) 2.39 (d, J=2.76 Hz, 1 H) 1.80 - 2.04 (m, 1 H) 1.52 - 1.82 (m, 3 H)。
【0086】
工程B: チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルカルボンイミドジチオ酸ジメチル
【化25】

DMF(2ml)中のチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−アミン(300mg, 1.98mmol)の懸濁液に、20.0M 水酸化ナトリウム(200μl, 4.0mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、この時点で二硫化炭素(300μl, 4.96mmol)を加え、得られた帯赤褐色の混合物を10分間撹拌した。さらに20M 水酸化ナトリウム(200μl, 4.0mmol)を加え、混合物を再度10分間撹拌した。最後にヨードメタン(300μl, 4.76mmol)を滴下した。混合物を5分間撹拌し、この時点で多量の黄色の沈殿物が形成した。混合物を水に注ぎ、固体を濾過によって集め、チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルカルボンイミドジチオ酸ジメチルを、さらに精製することなく用いるのに十分な純度の黄色の固体として得た(190mg, 収率38%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.47 (d, J=4.58 Hz, 1 H) 8.11 (dd, J=8.24, 1.53 Hz, 1 H) 7.37 (dd, J=8.24, 4.88 Hz, 1 H) 2.66 (s, 6 H)。
【0087】
工程C: (5S*,5'R*)−N−(チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
【化26】

DMF(4ml)中の(5S*,6S*)−6−(アミノメチル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−6−オール 二塩酸塩(100mg, 0.436mmol)に、チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルカルボンイミドジチオ酸ジメチル(111mg, 0.44mmol)および炭酸セシウム(427mg, 1.31mmol)を加えた。反応物を80℃で3時間加熱し、室温まで冷却した。反応物を水およびクロロホルムに注ぎ、有機層を集めた。これをさらにシリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し、クロロホルム中5〜40% (10%NHOH/メタノール)で溶出した。生成物(5S*,5'R*)−N−(チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン(34mg, 0.108mmol, 24%)をカラムから単離し、濃縮し、黄褐色の固体を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.27 (br. s., 1 H) 8.31 (dd, J=4.77, 1.51 Hz, 1 H) 7.91 (dd, J=8.28, 1.51 Hz, 1 H) 7.39 (dd, J=8.03, 4.77 Hz, 1 H) 4.00 - 4.13 (m, 2 H) 3.14 - 3.32 (m, 2 H) 2.92 (s, 2 H) 2.64 - 2.86 (m, 2 H) 2.18 (d, J=2.01 Hz, 1 H) 1.69 - 1.85 (m, 2 H) 1.24 - 1.57 (m, 2 H). MS: (LC/MS) RT=1.053分 [M+H]=314.11。
【0088】
実施例4
(5S*,5'R*)−N−(イソキノリン−3−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
【化27】

【0089】
工程A: 3−イソチオシアナトイソキノリン
【化28】

ジクロロメタン中の1,1'−チオカルボニルジピリジン−2(1H)−オン(0.805g, 3.47mmol)の溶液に、室温で、イソキノリン−3−アミン(0.5g, 3.47mmol)を加えた。反応物を室温で18時間撹拌した。LC/MSにより、望ましい生成物のピークが主要なピークとして示された。深橙色の溶液を濃縮し、濾過した。濾液をシリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し(0〜40% 酢酸エチル−ヘキサン)、4−イソチオシアナト−6−(3−メトキシフェニル)ピリミジンを白色の固体として得た(0.55g, 2.96mmol, 収率85%)。
LCMS R.T. = 2.47; [M+H]+ = 187.23。
【0090】
工程B: (5S*,5'R*)−N−(イソキノリン−3−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
【化29】

DMF(3ml)中の(5S*,6S*)−6−(アミノメチル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−6−オール 二塩酸塩(84mg, 0.54mmol)に、3−イソチオシアナトイソキノリン(100mg, 0.54mmol)および炭酸セシウム(526mg, 1.61mmol)を加えた。反応物を80℃で2時間加熱し、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(0.168ml, 1.08mmol)で処理した。反応物を80℃で18時間維持し、室温まで冷却した。粗製の反応物をシリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し、クロロホルム中5〜40% (10%NHOH/メタノール)で溶出した。望ましい生成物を集め、濃縮し、(5S*,5'R*)−N−(イソキノリン−3−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミンを黄色の固体として得た(34mg, 収率20%)。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 9.15 (br. s., 1 H) 8.96 (s, 1 H) 7.86 (d, J=8.03 Hz, 1 H) 7.70 (d, J=8.28 Hz, 1 H) 7.55 (t, J=7.28 Hz, 1 H) 7.31 - 7.42 (m, 2 H) 4.10 (d, J=9.03 Hz, 1 H) 3.96 (d, J=9.03 Hz, 1 H) 3.60 (d, J=14.05 Hz, 1 H) 3.31 (d, J=11.80 Hz, 1 H) 3.09 (dd, J=14.05, 2.01 Hz, 1 H) 2.81 - 3.01 (m, 3 H) 2.30 (d, J=3.01 Hz, 1 H) 1.74 - 1.91 (m, 2 H) 1.42 - 1.58 (m, 2 H). MS: (LC/MS) RT=0.797分 [M+H]=309.01。
【0091】
実施例5
(5R*,5'R*)−N−(チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
【化30】

バイアルに、水(3ml)中の1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−6−オン塩酸塩(1.0g, 7.99mmol)を加えた。反応物を0℃に冷却し、水(1ml)に溶解したシアン化ナトリウム(392mg, 7.99mmol)を、反応物にゆっくりと加えた。反応物を0℃で10分間撹拌し、得られた沈殿物を吸引濾過によって集めた。得られた白色の粉末(1.1g)をTHF(2ml)にすぐに溶解し、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(7.23ml, 7.23mmol, 1M)で処理した。添加が完了した後、反応物を室温で10分間撹拌し、さらにボラン−テトラヒドロフラン錯体(21.68ml, 21.68mmol)で処理した。反応物を3時間還流し、室温まで冷却した。エタノール(100ml)で反応を停止させ、室温で一夜撹拌した。溶媒を真空で除去し、得られた残渣をメタノール(6ml)に溶解し、3N HCl(3ml)で処理した。混合物を50℃で1時間加熱し、濃縮し、白色のクランチ状(crunchy)固体を得た(1.0g)。
【0092】
前述の白色固体(200mg)をDMF(4ml)に溶解し、チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルカルボンイミドジチオ酸ジメチル(223mg, 0.873mmol)および炭酸セシウム(853mg, 2.62mmol)で処理した。反応物を80℃で3時間加熱し、室温まで冷却した。反応物を水(10ml)で希釈し、得られた沈殿物を濾過によって集めた。固体をクロロホルムに溶解し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し、クロロホルム中5〜40% (10%NHOH/メタノール)で溶出した。望ましい生成物を集め、濃縮し、(5R*,5'R*)−N−(チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミンを白色の固体として得た(89mg, 0.282mmol, 32%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.18 (br. s., 1 H) 8.30 (dd, J=4.58, 1.53 Hz, 1 H) 7.90 (dd, J=7.93, 1.53 Hz, 1 H) 7.37 (dd, J=8.09, 4.73 Hz, 1 H) 3.78 - 3.81 (m, 1 H) 3.70 - 3.74 (m, 1 H) 3.31 - 3.45 (m, 1 H) 3.28 (dd, J=14.34, 3.36 Hz, 1 H) 3.07 (d, J=14.04 Hz, 1 H) 2.80 - 2.95 (m, 3 H) 2.72 - 2.81 (m, 1 H) 2.05 - 2.21 (m, 2 H) 1.65 - 1.88 (m, 2 H). LC/MS RT=0.608分 [M+H]=315.99。
【0093】
実施例5a、5b
超臨界流体クロマトグラフィーによって、表題化合物を個々のエナンチオマーに分離した。分離は、Chiralpak AS-Hカラムで、CO中30% MeOH(0.1% DEA含有)からなる移動相で行った。ピーク1は3.76分で溶出し、ピーク2は6.27分で溶出した。
【0094】
実施例5a: ピーク1:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.12 (1 H, br. s.), 8.24 - 8.38 (1 H, m), 7.91 (1 H, dd, J=8.16, 1.38 Hz), 7.38 (1 H, dd, J=8.03, 4.77 Hz), 3.78 - 3.85 (1 H, m), 3.69 - 3.78 (1 H, m), 3.27 (1 H, d, J=3.26 Hz), 3.08 (1 H, d, J=14.31 Hz), 2.73 - 2.96 (4 H, m), 2.08 - 2.21 (2 H, m), 1.70 - 1.90 (2 H, m), 1.40 (1 H, d, J=13.30 Hz). LC/MS R.T. = 0.58分 [M+H] = 315.95。
実施例5b: ピーク2:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.11 (1 H, br. s.), 8.18 - 8.37 (1 H, m), 7.91 (1 H, dd, J=8.03, 1.51 Hz), 7.38 (1 H, dd, J=8.03, 4.77 Hz), 3.77 - 3.85 (1 H, m), 3.69 - 3.77 (1 H, m), 3.29 (1 H, dd, J=14.31, 3.26 Hz), 3.08 (1 H, d, J=14.31 Hz), 2.74 - 2.96 (4 H, m), 2.04 - 2.22 (2 H, m), 1.69 - 1.90 (2 H, m), 1.39 (1 H, d, J=14.05 Hz). LC/MS R.T. = 1.078分 [M+H] = 316.09。
【0095】
本開示は、前述の実施例に限定されないこと、および、その本質的な特性から逸脱せずに、他の具体的な形態に具現化できることは、当業者に明らかである。従って、実施例は、全ての点で例示であって、前述の実施例よりむしろ請求の範囲を参照し、限定的ではないと解釈することが望ましく、請求の範囲と同等の意義および範囲に入る変更は全てそれに包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
は、イソオキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、インダゾリル、インドリル、2−インドロニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、フロピリジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、イソチアゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、チアゾロピリジノニル、チアゾロピラジニル、チアゾロピリミジニル、トリアゾロピリジニル、トリアゾロピラジニル、ピロロトリアジニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5H−クロメノ[4,3−d]ピリミジニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリニル、7,8−ジヒドロキナゾリン−5(6H)−オニルおよびテトラヒドロベンゾチアゾリルからなる群から選択され、これらは、C1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、C3−7シクロアルコキシ、C1−4アルキルチオ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C1−4アルキルスルホニル、NR、ピロリジノニル、メチレンジオキシ、フリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ナフチル、C1−4アルキルアミド、CONR、ピリジル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される0〜3個の置換基で置換されており、ここで、イミダゾリル、ピリジル、フェニルおよびベンジルは、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシおよびNRからなる群から独立して選択される0〜2個の置換基で置換されており;
は、水素、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキルまたはC1−4アミノアルキルであって、
は、水素、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキルまたはC1−4アミノアルキルであるか;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、N−(C1−4アルキル)ピペラジニル、モルホリニルまたはホモピペリジニルであり;
nは、1または2である。]
の化合物またはその立体異性体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、ジメチルイソオキサゾリル、(メチル)(フェニル)イソオキサゾリル、メチルピラゾリル、ジメチルピラゾリル、チエニルピラゾリル、メトキシフェニルピラゾリル、チアゾリル、ブロモチアゾリル、シアノチアゾリル、メチルチアゾリル、ジメチルチアゾリル、(メチル)(フェニル)チアゾリル、イソプロピルチアゾリル、ブチルチアゾリル、ベンジルチアゾリル、メトキシフェニルメチルチアゾリル、フェニルチアゾリル、クロロフェニルチアゾリル、メトキシフェニルチアゾリル、(メトキシフェニル)(メチル)チアゾリル、ピリジニルチアゾリル、(フェニル)(メチル)イミダゾリル、メチルオキサジアゾリル、エチルオキサジアゾリル、メチルチアジアゾリル、フルオロフェニルチアジアゾリル、フリルチアジアゾリル、(ジメチルカルボキサミド)(メチル)チアゾリル、(ピロリジニルCO)チアゾリル、フェニルトリアゾリル、ピリジニル、ブロモピリジニル、クロロピリジニル、(クロロ)(フルオロ)ピリジニル、(クロロ)(メチル)ピリジニル、ジクロロピリジニル、フルオロピリジニル、シアノピリジニル、(シアノ)(メチル)ピリジニル、(シアノ)(ジメチル)ピリジニル、メトキシピリジニル、(メチルピロリジニル)ピリジニル、フェニルピリジニル、メトキシピリジニルピリジニル、ピリダジニル、ブロモピリダジニル、クロロピリダジニル、メチルピリダジニル、メトキシピリダジニル、メチルチオピリダジニル、ピロリジニルピリダジニル、ピロリジノニルピリダジニル、フェニルピリダジニル、ピリジニルピリダジニル、メトキシピリジニルピリダジニル、ピリミジニル、(ブロモ)(イソプロピル)ピリミジニル、(ブロモ)(ジメチル)ピリミジニル、(ブロモ)(シクロプロピル)ピリミジニル、(ブロモ)(メトキシ)ピリミジニル、(ブロモ)(フェニル)ピリミジニル、(ブロモ)(ピリジニル)ピリミジニル、クロロピリミジニル、(クロロ)(ジメチル)ピリミジニル、(メチル)(メトキシ)ピリミジニル、メチルピリミジニル、エチルピリミジニル、(メチル)(フェニル)ピリミジニル、ジメチルピリミジニル、ブチルピリミジニル、イソプロピルピリミジニル、シクロプロピルピリミジニル、メトキシピリミジニル、ジメトキシピリミジニル、イソプロポキシピリミジニル、シクロペントキシピリミジニル、ジフルオロメトキシピリミジニル、トリフルオロエトキシピリミジニル、フェノキシピリミジニル、メチルチオピリミジニル、フェニルピリミジニル、クロロフェニルピリミジニル、メチルフェニルピリミジニル、メトキシフェニルピリミジニル、(フェニル)(トリアゾリル)ピリミジニル、ピリジニルピリミジニル、メトキシピリジニルピリミジニル、メトキシピリミジニルピリミジニル、ナフチルピリミジニル、ピラジニル、ブロモピラジニル、(ブロモ)(メトキシ)ピラジニル、クロロピラジニル、メチルピラジニル、ジメチルピラジニル、ブチルピラジニル、シアノピラジニル、メトキシピラジニル、イソプロポキシピラジニル、トリフルオロメチルピラジニル、フェニルピラジニルおよびジメチルトリアジニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、ジメチルピリジノイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、クロロベンゾオキサゾリル、フルオロフェニルベンゾオキサゾリル、エチルフェニルベンゾオキサゾリル、ジメチルアミノフェニルベンゾオキサゾリル、ピリジニルベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、アセトアミドベンゾチアゾリル、ブロモベンゾチアゾリル、クロロベンゾチアゾリル、(クロロ)(メチル)ベンゾチアゾリル、(クロロ)(メトキシ)ベンゾチアゾリル、フルオロベンゾチアゾリル、ジフルオロベンゾチアゾリル、シアノベンゾチアゾリル、メチルベンゾチアゾリル、ジメチルベンゾチアゾリル、(メチル)(メトキシ)ベンゾチアゾリル、エチルベンゾチアゾリル、トリフルオロメチルベンゾチアゾリル、ヒドロキシベンゾチアゾリル、メトキシベンゾチアゾリル、エトキシベンゾチアゾリル、イソプロポキシベンゾチアゾリル、トリフルオロメトキシベンゾチアゾリル、ジフルオロメトキシベンゾチアゾリル、ジメトキシベンゾチアゾリル、モルホリニルベンゾチアゾリル、(ピロリジニルCO)ベンゾチアゾリル、メチルスルホニルベンゾチアゾリル、チアゾロピリジニル、クロロチアゾロピリジニル、ジメチルチアゾロピリジニル、ベンジルオキシチアゾロピリジニル、ジフルオロメトキシチアゾロピリジニル、ベンゾトリアゾリル、インドロニル、インダゾリル、ブロモインダゾリル、クロロインダゾリル、フルオロインダゾリル、(メチル)(メトキシ)インダゾリル、メトキシインダゾリル、トリフルオロメチルインダゾリル、トリフルオロメトキシインダゾリル、ジフルオロメトキシインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、フルオロベンゾイミダゾリル、メチルベンゾイミダゾリル、(メチル)(メトキシ)ベンゾイミダゾリル、メトキシベンゾイミダゾリル、テトラヒドロベンゾチアゾリル、フロピリジニル、ジメチルフロピリミジニル、チエノピリミジニル、イソプロピルチエノピリミジニル、ジメチルチエノピリミジニル、クロロトリアゾロピリジニル、メチルトリアゾロピリジニル、トリフルオロメチルトリアゾロピリジニル、メトキシトリアゾロピリジニル、トリアゾロピラジニル、ブロモピロロトリアジニル、ジメチルアミノチアゾロピリミジニル、チアゾロピラジニル、ブロモチアゾロピラジニル、メトキシチアゾロピラジニル、メチルチオチアゾロピラジニル、メトキシチアゾロピリミジニル、(メチル)(メトキシ)チアゾロピリミジニル、キノリニル、ブロモキノリニル、フルオロキノリニル、メチルキノリニル、(メチル)(メトキシ)キノリニル、イソキノリニル、ブロモイソキノリニル、ジクロロイソキノリニル、メチルイソキノリニル、ジメチルイソキノリニル、キノキサリニル、クロロキノキサリニル、メチルキノキサリニル、メトキシキノキサリニル、キナゾリニル、ブロモキナゾリニル、ナフチリジニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5H−クロメノ[4,3−d]ピリミジニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリニルおよび7,8−ジヒドロキナゾリン−5(6H)−オニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、ベンゾチアゾリル、メトキシベンゾチアゾリル、チアゾロピリジニルおよびイソキノリニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
nが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、ベンゾチアゾリル、メトキシベンゾチアゾリル、チアゾロピリジニルおよびイソキノリニルからなる群から選択される請求項6に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾロピリジニル、イソキノリニルおよびベンゾオキサゾリルからなる群から選択され、これらが、C1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、C3−7シクロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、NR、ピロリジノニル、メチレンジオキシ、フリル、チエニル、トリアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリミジニル、ナフチル、C1−4アルキルアミド、CONR、ピリジルおよびフェニルからなる群から独立して選択される0〜3個の置換基で置換されており、ここで、ピリジル、フェニル、チアゾリルおよびイミダゾリルが、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシおよびNRからなる群から独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている、請求項5または6に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
(5S*,5'R*)−N−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン、
(5S*,5'R*)−N−(6−メトキシベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン、
(5S*,5'R*)−N−(チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン、
(5S*,5'R*)−N−(イソキノリン−3−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン、
(5R*,5'R*)−N−(チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−4'H−1−アザスピロ[ビシクロ[3.2.1]オクタン−6,5'−オキサゾール]−2'−アミン
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
治療有効量の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
統合失調症、アルツハイマー病、認知障害、関節リウマチ、変形性関節症、潰瘍性大腸炎、クローン病または糖尿病を処置する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含む方法。
【請求項12】
統合失調症に向けた、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アルツハイマー病に向けた、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2013−509417(P2013−509417A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536950(P2012−536950)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054097
【国際公開番号】WO2011/056573
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】