説明

γ−アミノアルキルベンゼンからベンゾチアゼピンを製造する方法

本発明は、式[II]で示される[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを、アルデヒドまたはその多量体、および酸と反応させることにより、式[I]で示される2,3,4,5−テトラヒドロ[1,4]ベンゾチアゼピンを製造する方法を提供する。さらに本発明は、まず、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを、アルデヒドまたはその多量体、および酸と反応させて、式[III]で示される[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを形成させ;次いでこの[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを酸で処理して、2,3,4,5−テトラヒドロ[1,4]ベンゾチアゼピンを形成させることを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーン類から2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[1,4]チアゼピン類を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン類は、例えば米国特許第5416066号および5580866号に開示され、そして米国特許出願第2005/0215540号、2007/0049572号および2007/0173482号に公開されているように、それらの生物活性故に重要な化合物である。
【0003】
2−オキソ−、3−オキソ−、5−オキソ−および3,5−ジオキソ−1,4−ベンゾチアゼピンならびに2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピンの製造については合成法が存在する。しかしながら、カルボニル基を含まない2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ−1,4−チアゼピンの製造を記載している刊行物は比較的少なく、それらの殆どはカルボニル基またはイミンの還元を含んでいる。文献に記載されている経路の多くは、オルト置換されたアレーンから出発し、オルト置換基を七員環の結合のための「アンカー」として利用している。文献において、オルト置換アレーンで始まらない、調製上有用な合成の本質上全ては、γ−アミド上のアシル基の炭素が橋頭に隣接する炭素となり、アシル置換基が5−置換基となる、ビシュラー・ナピエラルスキー反応の改良法を利用している。前述の合成のように、ビシュラー・ナピエラルスキー合成はイミニウム中間体の還元を必要とする。
【0004】
4−および5−置換基に、より柔軟性を持たせ、別個の還元工程を回避するような2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[1,4]チアゼピン類の直接構築のためには、分子内反応を行うのが有用であろう。トリプタミンのようなβ−アリールエチルアミンがアルデヒドとの縮合(環化)後に六員環の閉環を受ける、ピクテ・スペングラー反応は、過去一世紀にわたり六員環系の合成に広く利用されており、この目的のために検討され得るかも知れない。ところが、ピクテ・スペングラー反応は、1,4−ベンゾチアゼピン類のような七員環系に対しては一般に有用でなかった。典型的なアレーンの反応がうまくいかないのは七員環の立体配座が好ましくないせいである、というのが一見説得力のありそうな説明である。ホルムアルデヒドの付加から良好な収率のベンゾチアゼピンを生成する分子内ピクテ・スペングラー型反応の例外が2例ある。1つの例では、出発物質が極めて稀な活性化アレーン(カテコール誘導体)であった[Manini et al. J. Org. Chem. (2000), 65, 4269-4273]。別の例では、出発物質がビス(ベンゾトリアゾリルメチル)アミンであり、これが環化してモノ(ベンゾトリアゾリル)ベンゾチアゾールとなる[Katritzky et al. J. Chem. Soc. P1 (2002), 592-598]。
【発明の概要】
【0005】
本発明において、アミド、ウレアまたはカルバメートといった官能基が第一アミン上に導入されると、七員環が一段階で高収率に製造され得るということが、思いがけなくも見出された。さらに、アシル基が容易に除去されて4位での精緻化を実現できる。
【0006】
本発明は、式:
【化1】


で示される2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]ベンゾチアゼピンを製造する方法に関するものである。
【0007】
1つの局面では、その方法は、式:
【化2】


で示される[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを、式:RCHOで示されるアルデヒドまたはその多量体、および酸と反応させることを含む。これらの式において、
Arは、単環式、二環式もしくは三環式アリールまたはヘテロアリール環系であり;
、RおよびRは各々独立して、H(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり;
は、(C−C10)アシル;P(O)R、C(=O)−R10、C(=S)−R11、S(=O)12、(CH13、窒素保護基、OH、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であるか:または、RおよびRは一緒になって、オキソ置換された窒素含有ヘテロ環を形成し;
は、その存在毎に独立して、H、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルもしくは(C−C)アルキル−ヘテロアリール、ハロゲン、アシル、SO、−OR、−SR、−NR6a6b、−N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)R、−C(=O)NR6a6b、−C(=O)OR、−C(=O)R、−OC(=O)R、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキル、−O−(C−C)ハロアルキル、−Nまたは−P(O)R[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり;
10およびR11は、各々独立して、H、−OR14、−NR6a6b、NHNHR15、NHOH、CONHNHR15、CO15、CONR15、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオロエニルメトキシ、アダマンチルオキシ、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり;
6a、R6b、R12、R14、R15、R16およびR17は、それらの存在毎に各々独立して、H、−OR15、−NR1516、NHNHR16、NHOH、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であるか;または、R6aおよびR6bは、それらが結合している窒素と一緒になって、五、六、または七員環窒素含有ヘテロ環を表し;
13は、NH、OH、−SO16、−NHSO16、C(=O)R17、NH(C=O)R17、−O(C=O)R17、または−P(O)Rであり;mは、1〜10の整数であり;そしてqは、ゼロまたは1〜4の整数であり、但し、Rが−C(=O)Rである時、Rは硫黄側鎖に対してオルト位にはない。
【0008】
が、アセチル、ベンゾイル、トルオイル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、アクリロイル、オキサリルまたは−C(=O)NR6a6bであり、Rが、(C−C)炭化水素、ハロゲン、−OR、−SR、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキルまたは−O−(C−C)ハロアルキルであり;そして、RがHまたは(C−C)炭化水素であるのが有利である。また、Arは、好ましくはフェニルである。
【0009】
あるいは、RおよびRは一緒になって、ピロリドン、オキサゾリジノンまたはピペリジノンを形成する。別の態様では、R、RおよびRは水素である。
【0010】
本発明の別の局面では、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンをまずアルデヒドおよび塩基と反応させて、式:
【化3】


で示される[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを形成させ、次いでこの[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを酸で処理して、2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを形成できる。
【0011】
本発明の両局面において、酸は、例えばトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸のようなスルホン酸、または、例えば三フッ化硼素エーテル錯塩、四塩化チタン、塩化アルミニウムもしくは塩化亜鉛のようなルイス酸であってよく、そして、好ましいアルデヒドまたは多量体は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたは1,3,5−トリオキサンである。本発明の第二の局面において、塩基は、アルカリ金属水素化物、水酸化物もしくは炭酸塩、ピリジン、またはトリアルキルアミンのうちの1以上であってよい。塩基の例には、NaH、NaOH、KOH、NaCO、KCO、CsCO、EtNまたは(iPr)NEtがあるが、これらに限定される訳ではない。
【0012】
本発明の好ましい態様において、Rが、式:−C(=O)−R18で示される(C−C10)アシル、または窒素保護基、OH[式中、R18は、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]である場合、式:
【化4】


で示される化合物を、式:
【化5】


[式中、Mは、H、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であってよい]
で示されるオキサラート化合物に変換する。この特別な態様では、qは0または1であり;R、RおよびRは、水素であり;Rは、式:−C(=O)−R18[式中、R18は、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]で示される(C−C10)アシルであり;Rは、H、(C−C)炭化水素、ハロゲン、−OR、−SR、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキルまたは−O−(C−C)ハロアルキルであり;そして、Rは、Hまたは(C−C)炭化水素である。
【0013】
この変換工程は、典型的には、R基を開裂させて、式:
【化6】


で示される2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを得、この2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを蓚酸エステルでアシル化し、次いでそのエステルを加水分解することを含む。或る態様では、この加水分解工程は、上記で利用された種類の塩基でエステルを処理し、MがHである時は場合により酸性化することを含む。MがHである時、オキサラート化合物をさらにその塩に変換できる[ここで、Mは、アルカリまたはアルカリ土類カチオン、例えばNa、Mg++またはCa++であるか、またはMはアンモニウム、例えばNHである]。
【0014】
qが1であり、Rがベンゾチアゼピン環の7位にあるOCHである特別な態様において、この化合物は、式:
【化7】


を有する。
【0015】
この特別な態様において、Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムであってよい。
【0016】
本発明の別の態様では、特に、式:
【化8】


で示される化合物を、式:
【化9】


を有する[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンから出発して取得する。
【0017】
この態様では、アルデヒドはパラホルムアルデヒドであり、酸はトルエンスルホン酸または塩酸である。この反応は、式:
【化10】


で示されるCBZ−保護ベンゾチアゼピンを提供する。
【0018】
この方法はさらに、カルボベンジルオキシ基を酸で開裂させて7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを得;この7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンをクロロ蓚酸メチルでアシル化し;メチルエステルを水性塩基で加水分解し;酸性化して酸化合物を形成させ;そして、場合によりその酸化合物を、式:
【化11】


で示される化合物に変換する、ことを含む。
【0019】
この態様では、Mは、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である。
【0020】
本発明の別の態様では、式:
【化12】


で示される[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを、式:RCHOで示されるアルデヒドまたはその多量体、および酸で処理し、式:
【化13】


で示される化合物を生成させることにより、2,3,4,5−テトラヒドロ[1,4]ベンゾチアゼピンを製造する。
【0021】
この態様では、Rは、R3a[式中、R3aは、式:−C(=O)−R18[式中、R18は、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]で示される(C−C10)アシルである]である。
【0022】
3a置換基をさらに開裂させて、式:
【化14】


で示される4−非置換−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを生成させる。
【0023】
この4−非置換−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンをRXでアシル化し、式:
【化15】


で示される化合物を生成させる。
【0024】
この態様では、Rは、(C−C10)アシル、P(O)R、C(=O)−R10、C(=S)−R11、S(=O)12、(CH13、窒素保護基、OH、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であるか;または、RおよびRは一緒になって、オキソ置換された窒素含有ヘテロ環を形成し;そして、Xは、ハロゲン、(C−C10)アシルオキシ、または活性化エステル残基である。特別な態様では、Rは、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、置換ベンジルオキシカルボニルまたはフルオレニルメトキシカルボニルである。別の態様では、RXは、酸塩化物、酸無水物、活性化エステル、クロロホルマートまたはカルバミン酸クロリドである。
【0025】
本発明の別の態様では、式:
【化16】


{式中、Ar、R、R、R、Rおよびqは前記と同義であり、そしてR3aは、−C(=O)−R18[式中、R18は、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]である}
で示される化合物を、式:HN(R19で示されるアミンと反応させて、式:
【化17】


[式中、各々のR19は、Hおよび(C−C)アルキルから独立して選ばれるか、または、一緒になって、N(R19が、五、六、または七員環窒素含有ヘテロ環を表す]
で示される化合物を形成させる。五、六、または七員環窒素含有ヘテロ環は、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−CBZピペラジンまたはアゼパンであってよい。
【0026】
本発明の別の好ましい態様では、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーン化合物が、式:
【化18】


を有する場合、それを、ホルムアルデヒドまたはその多量体、および酸と反応させて、式:
【化19】


で示される保護ベンゾチアゼピンを形成させることができ、または、それを、ホルムアルデヒドまたはその多量体、および塩基と反応させて、式:
【化20】


で示される[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]ベンゼンを形成させることができる。
【0027】
[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]ベンゼンをさらに酸と反応させると、式:
【化21】


[式中、R3aは、式:−C(=O)−R18で示される(C−C10)アシルであり;R5aは、H、(C−C)炭化水素、ハロゲン、−OR、−SR、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキルまたは−O−(C−C)ハロアルキルであり;Rは、Hまたは(C−C)炭化水素であり;そして、R18は、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]
で示される保護ベンゾチアゼピンが得られる。
【0028】
3a基をさらに開裂させると、式:
【化22】


で示される化合物が得られる。
【0029】
4−非置換−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを、RXでアシル化すると、式:
【化23】


[式中、Rは(C−C10)アシルであり;そして、Xは、ハロゲン、(C−C10)アシルオキシ、または活性化エステル残基である]
で示される化合物が得られる。
【0030】
別の態様では、式:
【化24】


で示される化合物をさらに、
【化25】


[式中、Mは、H、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である]
に変換する。
【0031】
この態様では、R3a基を開裂させて2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを得、この2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを蓚酸エステルでアシル化し、エステルを加水分解することにより、変換を達成する。或る態様では、この加水分解工程は、そのエステルを塩基で処理し、MがHである時は場合により酸性化することを含む。場合により、MがHである得られた化合物を、その塩に変換してもよい[ここで、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムといったカチオンである]。
【0032】
本発明の第三の態様では、式:
【化26】


で示される化合物を、式:
【化27】


で示される化合物と反応させて、式:
【化28】


で示される化合物を得、その後、式:RXで示される化合物と反応させることにより、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを得る。場合により、塩基を使用できる。LGは、チオールによる求核置換のための脱離基であり、Xは、アミンによる求核置換のための脱離基である。LGは、例えばクロロ、ヨードもしくはブロモのようなハロゲン、または、例えばメタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、ニトロフェニルスルホナートもしくはブロモフェニルスルホナートのようなスルホナートであってよい。RXは、典型的には、酸塩化物、酸無水物、活性化エステル、クロロホルマートまたはカルバミン酸クロリドである。
【0033】
本発明のさらに別の態様では、式:
【化29】


で示される化合物を、式:
【化30】


で示される化合物と反応させることにより、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを製造する。
【0034】
場合により、塩基を使用できる。LGは、チオールによる求核置換のための脱離基であり、ハロゲン(例えば、クロロ、ヨードおよびブロモ)またはスルホナート(例えば、メタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、ニトロフェニルスルホナートおよびブロモフェニルスルホナート)であってよい。
【0035】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、アリール融合テトラヒドロチアゼピン類、例えば2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン類を製造する方法に関するものである。
【0036】
定義
本明細書全編にわたり、用語および置換基はそれらの定義を保持する。
【0037】
アルキルは、直鎖、分枝、または環式炭化水素構造およびそれらの組み合わせの包含を意図する。低級アルキルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。低級アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−およびt−ブチルなどがある。好ましいアルキル基は、C20またはそれ以下のアルキル基である。シクロアルキルはアルキルの部分集合であり、3〜8個の炭素原子を有する環式炭化水素基を包含する。シクロアルキル基の例にはc−プロピル、c−ブチル、c−ペンチル、ノルボルニルなどがある。
【0038】
〜C20炭化水素は、アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびそれらの組み合わせを包含する。例には、ベンジル、フェネチル、シクロヘキシルメチル、カンホリルおよびナフチルエチルがある。「炭素環」という語は、酸化状態にない、全体が炭素原子で構成される環系の包含を意図する。したがって、(C−C10)炭素環は、シクロプロパン、ベンゼンおよびシクロヘキセンを指し;(C−C12)炭素多環は、ノルボルナン、デカリン、インダンおよびナフタレンのような系を指す。
【0039】
アルコキシまたはアルコキシルは、酸素を介して親構造に結合した、直線状、分枝、環状形態およびそれらの組み合わせである1〜8個の炭素原子を有する基を指す。例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどがある。低級アルコキシは、1〜4個の炭素を含む基を指す。メトキシが好ましい。本出願の目的のため、アルコキシおよび低級アルコキシはメチレンジオキシおよびエチレンジオキシを包含する。
【0040】
オキソアルキルは、1以上の炭素が酸素に置き換わっているアルキル残基を指す。例には、メトキシプロポキシ、3,6,9−トリオキサデシルなどがある。
【0041】
アシルは、−(C(=O)−を介して結合し、且つ1〜10個の炭素を含む置換基を指す。この基はさらに、酸素および窒素のようなヘテロ原子をも含み得る。或る態様では、アシルは、ホルミル、ならびに、カルボニル官能基を介して親構造に結合した、直線状、分枝、環状形態、飽和、不飽和および芳香族ならびにそれらの組み合わせである1〜10個の炭素原子を含む基を指す。親構造との結合点がカルボニルにある限り、アシル残基中の1以上の炭素が、窒素、酸素または硫黄に置き換わっていてもよい。例には、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、−C(=O)NHなどがある。低級アシルは、1〜4個の炭素を含む基を指す。(C−C10)アシルの例はさらに、トルオイル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、アクリロイル、オキサリルおよび−C(=O)N(R11[式中、各々のR11は、独立してHまたは(C−C)アルキルであるか、または、一緒になって、N(R11が五、六もしくは七員環窒素含有ヘテロ環を表す]をも包含する。五、六または七員環窒素含有ヘテロ環は例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−CBZピペラジンまたはアゼパンであってよい。当業者は、基:−C(=O)N(R11は、それらが結合している環上窒素と一緒になって、ウレアとして命名されることもあるということが理解できるであろう。或る態様では、T. W. GreeneおよびP. G. M. WutsによるProtective Groups in Organic Synthesis[John Wiley & Sons, New York, 1999]に記載されているその他の(C−C10)アシル基もまた考慮できる。
【0042】
アリール(Ar)およびへテロアリールは、O、N、またはSから選ばれる0〜3個のヘテロ原子を含む五または六員芳香環またはヘテロ芳香環;O、N、またはSから選ばれる0〜3個のヘテロ原子を含む二環式九もしくは十員芳香環系またはヘテロ芳香環系;または、O、N、またはSから選ばれる0〜3個のヘテロ原子を含む三環式十三または十四員芳香環系またはヘテロ芳香環系を意味する。芳香族六〜十四員炭素環式環には例えば、ベンゼン、ナフタレン、インダン、テトラリン、およびフルオレンがあり、五〜十員芳香族ヘテロ環式環には例えば、イミダゾール、ピリジン、インドール、チオフェン、ベンゾピラノン、チアゾール、フラン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピリミジン、ピラジン、テトラゾールおよびピラゾールがある。
【0043】
アリールアルキルは、アリール残基がアルキルを介して親構造に結合している置換基を指す。例は、ベンジル、フェネチルなどである。ヘテロアリールアルキルは、ヘテロアリール残基がアルキルを介して親構造に結合している置換基を指す。例には例えば、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどがある。
【0044】
ヘテロ環は、1〜3個の炭素が、N、OおよびSより成る群から選ばれるヘテロ原子に置き換わっている、シクロアルキルまたはアリール残基を意味する。窒素および硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、また、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよい。本発明の範囲内にあるヘテロ環の例には、ピロリジン、ピラゾール、ピロール、テトラヒドロイソキノリン、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール(置換基として存在する場合、一般にメチレンジオキシフェニルと称する)、テトラゾール、モルホリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、ジオキサン、テトラヒドロフランなどがある。ヘテロアリールは、そのヘテロ環が芳香族である、ヘテロ環の部分集合であることに留意されたい。
【0045】
置換アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルなどは、各残基中最大3個のH原子が、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ(アルコキシカルボニルとも称する)、カルボキサミド(アルキルアミノカルボニルとも称する)、シアノ、カルボニル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メルカプト、アルキルチオ、スルホキシド、スルホン、アシルアミノ、アミジノ、フェニル、ベンジル、ヘテロアリール、フェノキシ、ベンジルオキシ、またはヘテロアリールオキシに置き換わっている、アルキル、アリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルを指す。
【0046】
「ハロゲン」という語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0047】
「保護する」、「脱保護する」および「保護された」官能基に関する術語は本出願の全編に出現する。このような術語は当業者に充分理解され、一連の試薬による連続処理を含む工程の文脈において使用される。そのような文脈において、保護基は、それ無しでは反応してしまうが反応が望ましくない工程中に、官能基を隠すために使用される基を指す。保護基はその工程において反応を妨げるが、その後、元の官能基を露出させるために除去することができる。その除去または「脱保護」は、その官能基が妨害するであろう反応または反応群が完了した後に起こる。したがって、本発明の工程の場合のように一連の試薬が特定された場合、当業者は、「保護基」として適切な基を容易に想定することができる。
【0048】
本発明の場合、保護されねばならない官能基は、アミン、ならびに時にはカルボン酸およびアルコールを包含する。このような目的に適した基は、化学分野の標準的な教科書、例えばT. W. GreeneおよびP. G. M. WutsによるProtective Groups in Organic Synthesis[John Wiley & Sons, New York, 1999]に記載されており、これを引用により本明細書の一部とする。「アミノ基の保護」という標題の章(494−614頁)が特に注目される。
【0049】
略語Me、Et、Ph、Tf、TsおよびMsは、それぞれメチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルを表す。有機化学者(即ち当業者)が利用する略語の総合リストは、Journal of Organic Chemistryの各巻の初版に登場する。典型的には「略語の標準リスト」という標題の表で提供されるこのリストを、引用により本明細書の一部とする。当業者には理解できるであろうが、「イソプロパノール」、「イソプロピルアルコール」および「2−プロパノール」という語は同義であり、CAS Registry No:67−63−0で表される。
【0050】
本発明方法で使用できる酸の例にはスルホン酸またはルイス酸があるが、これらに限定されない。スルホン酸の例には、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸があるが、これらに限定される訳ではない。ルイス酸の例には、三フッ化硼素エーテル錯化合物、四塩化チタン、塩化アルミニウムまたは塩化亜鉛があるが、これらに限定されない。酸塩の例はピリジニウムp−トルエンスルホナートである。
【0051】
本発明方法で使用できる塩基の例には、アルカリ金属水素化物、水酸化物もしくは炭酸塩、ピリジンまたはトリアルキルアミンがあるが、これらに限定される訳ではない。具体的な塩基には、NaH、NaOH、KOH、NaCO、KCO、CsCO、EtNおよび(iPr)NEtがある。
【0052】
下に開示する様々な態様における酸または塩基への言及は、上に列挙した任意の物質への言及を包含する。
【0053】
本発明方法をスキーム1に示す。
【0054】
【化31】

【0055】
本発明の第一の局面では、本発明は、式:
【化32】


で示される2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[1,4]チアゼピンを製造する方法に関するものである。
【0056】
この方法はチアゼピン環の形成をもたらし、式:
【化33】


で示される[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを、式:RCHOで示されるアルデヒドまたはその多量体、および酸で処理することを含む。この方法において、Arは、単環式、二環式もしくは三環式アリールまたはヘテロアリール環系である。例には、Arがベンゼンである化合物(ベンゾチアゼピン類)およびArが例えばナフタレン、ピリジンまたはベンゾフランである化合物がある。
【0057】
、RおよびRは各々独立して、H、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルから独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]である。
【0058】
は、(C−C10)アシル;P(O)R、C(=O)−R10、C(=S)−R11、S(=O)12、(CH13、窒素保護基、OH、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]である。
【0059】
は、その存在毎に独立して、H、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルもしくは(C−C)アルキル−ヘテロアリール、ハロゲン、アシル、SO、−OR、−SR、−NR6a6b、−N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)R、−C(=O)NR6a6b、−C(=O)OR、−C(=O)R、−OC(=O)R、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキル、−O−(C−C)ハロアルキル、−Nまたは−P(O)R[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]である。
【0060】
10およびR11は、各々独立して、H、−OR14、−NR6a6b、NHNHR15、NHOH、CONHNHR15、CO15、CONR15、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオロエニルメトキシ、アダマンチルオキシ、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]である。
【0061】
6a、R6b、R12、R14、R15、R16およびR17は、それらの存在毎に各々独立して、H、−OR15、−NR1516、NHNHR16、NHOH、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であるか;または、R6aおよびR6bは、それらが結合している窒素と一緒になって、五、六、または七員環窒素含有ヘテロ環を表す。
【0062】
13は、NH、OH、−SO16、−NHSO16、C(=O)R17、NH(C=O)R17、−O(C=O)R17、または−P(O)Rであり;mは、1〜10の整数であり;そしてqは、ゼロまたは1〜4の整数であり、但し、Rが−C(=O)Rである時、Rは硫黄側鎖に対してオルト位にはない。
【0063】
本明細書において意図されるアシルは、−C(=O)−を介して結合し、1〜10個の炭素を含む置換基を指す。この基はさらに、酸素および窒素のようなヘテロ原子を含み得る。(C−C10)アシルの例には、アセチル、ベンゾイル、トルオイル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、アクリロイル、オキサリルおよび−C(=O)N(R19[式中、各々のR19は、水素、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、もしくはアルキルへテロアリールであるか、または、一緒になって、N(R19が、五、六、もしくは七員環窒素含有ヘテロ環を表す]がある。この五、六、または七員環窒素含有ヘテロ環は、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−CBZピペラジンまたはアゼパンであってよい。Rの部分集合において、R3aは、式:−C(=O)−R18で示される(C−C10)アシルであり;そしてR18は、H、C−Cアルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである。或る態様においては、T. W. GreeneおよびP. G. M. WutsによるProtective Groups in Organic Synthesisに記載されているその他の(C−C10)アシル基もまた考慮できる。当業者は、基:−C(=O)N(R19は、それらが結合している環上窒素と一緒になって、ウレアとして命名されることもあるということが理解できるであろう。
【0064】
あるいは、RおよびRは一緒になって、オキソ置換窒素含有ヘテロ環を形成できる。例には、ピロリドン、オキサゾリジノンまたはピペリジノンがある。これらのヘテロ環において、オキソは窒素に隣接し、例えば、
【化34】


となっている。
【0065】
アルデヒド成分において、Rは、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキルおよびへテロアリール(C−C)アルキルであってよい。アリールおよびへテロアリール残基の各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルから独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい。RがHである時、このアルデヒドはホルムアルデヒドである。ホルムアルデヒド自身は気体であり、よってそれはしばしば、商業的に入手できるオリゴマーおよびポリマー、即ち1,3,5−トリオキサンおよびパラホルムアルデヒドのうちの1つとして、より容易に取り扱われる。同様に、アセトアルデヒドはその市販トリマー、パラアルデヒド(2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリオキサン)として使用でき、または、そのアルデヒドはパラホルムアルデヒドである。任意のアルデヒドの多量体を本発明方法においてアルデヒドの代わりに使用できるということが、当業者には明らかであろう。
【0066】
炭素環上の置換基(群)(Rは、独立して、H、(C−C10)炭化水素、ハロゲン、−OR、−SR、−N(R、−N(R)C(=O)OR、−C(=O)N(R、−C(=O)OR、−C(=O)R、−OC(=O)R、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキル、−O−(C−C)ハロアルキル、−Nまたは−P(O)Rであってよい。これらの置換基において、Rは、H、(C−C10)炭化水素、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル(C−C)アルキルまたはアリール(C−C)アルキルであってよく;Rは、(C−C10)炭化水素、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルまたはアリールアルキルであってよく;RおよびRは独立して、H、(C−C10)炭化水素、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル(C−C)アルキルまたはアリール(C−C)アルキルであってよい。或る態様では、Rは、H、(C−C)炭化水素、ハロゲン、−OR、−SR、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキルおよび−O−(C−C)ハロアルキルであってよく;そして、Rは、Hまたは(C−C)炭化水素であってよい。Rが−C(=O)Rであり且つ硫黄側鎖に対してオルト位にある時、それは所望の反応を妨害し、低収量のチアゼピンが生成するかも知れない。
【0067】
本発明の第二の局面においては、チアゼピン環が1工程ではなく2工程で閉環する。[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを上に開示したアルデヒドおよび塩基と反応させると、式:
【化35】


で示される[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンが形成される。
【0068】
この[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを酸で処理して、2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[1,4]チアゼピンを形成させる。本発明の或る態様では、Rが、式:−C(=O)−R18で示される(C−C10)アシル、または窒素保護基、OH[式中、R18は、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]である場合、この方法は、式:
【化36】


で示される化合物を、式:
【化37】


で示される化合物に変換することを含む。
【0069】
この変換工程は、R基を開裂させて、式:
【化38】


で示される2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを得、この2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを蓚酸エステルでアシル化し;そしてエステルを除去することによって達成される。或る態様では、このエステルを加水分解により除去する。この態様によれば、加水分解は、エステルを塩基または酸で処理することにより達成する。しかしながら別の態様では、エステルが水素化により開裂可能な官能基を含む場合(例えばベンジルエステル)、このベンジルまたはその他の開裂可能な基を、例えばHならびにPd/CおよびPt/Cのような金属触媒を用いる接触水素添加によって除去できる。
【0070】
Mは、H、アンモニウム、アルカリ金属(例えばナトリウム)またはアルカリ土類金属(例えば、マグネシウムまたはカルシウム)であってよい。「アンモニウム」という語は、アルギニン、NH、NアルキルH、N(アルキル)、N(アルキル)およびN(アルキル)を包含する、全種類のカチオン性窒素化合物の包含を意図している。
【0071】
本発明方法により製造される化合物は、水和形態、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などであってよく、または、それらは無水形態であってもよいということが当業者には理解できるであろう。同様に、本発明方法により製造される化合物は、アルコールのような有機溶媒との溶媒和物、例えばメタノラート、エタノラートなどの形態であってよい。
【0072】
或る態様では、本方法は、R、RおよびRが水素であり、RがCOORである材料を使用して上記のように実施する。得られたエステルを開裂させて酸を生成させ、これらを場合によりその塩に変換することができる[ここで、Mは前記と同義である]。現在好ましい態様では、Mはナトリウムである。
【0073】
本発明の別の態様では、本方法は、式:
【化39】


で示される化合物を製造することを含み(ここで、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンは、式:
【化40】


を有し、アルデヒドはパラホルムアルデヒドであり、そして酸は、トルエンスルホン酸または塩酸である)、この反応は、式:
【化41】


で示されるCBZ−保護ベンゾチアゼピンを提供する。
【0074】
カルボベンジルオキシ基を酸で開裂させて7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを得、これをクロロ蓚酸メチルでアシル化する。このメチルエステルを水性塩基で加水分解し;次いでそれを酸性化すると、酸化合物が得られる。
【0075】
この酸化合物は、場合により、式:
【化42】


[式中、Mは、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である]
で示される化合物に変換される。
【0076】
本発明の別の態様では、RがR3aである場合、式:
【化43】


で示される[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを、式:RCHOで示されるアルデヒドまたはその多量体、および酸で処理して、式:
【化44】


{式中、R3aは、式:−C(=O)−R18で示される(C−C10)アシル、または窒素保護基[式中、R18は、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]である}
で示される化合物を生成させることによって、2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[1,4]チアゼピンを製造する。
【0077】
3a置換基をさらに開裂させて、式:
【化45】


で示される4−非置換−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを製造できる。
【0078】
この4−非置換−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンをRXでさらにアシル化し、式:
【化46】


で示される化合物を生成させる。
【0079】
置換基Rは、(C−C10)アシル、P(O)R、C(=O)−R10、C(=S)−R11、S(=O)12、(CH13、窒素保護基、OH、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり:そしてXは、ハロゲン、(C−C10)アシルオキシ、または活性化エステル残基である。
【0080】
特別な態様において、R置換基は、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、置換ベンジルオキシカルボニルまたはフルオレニルメトキシカルボニルであり;そして、RXは、酸塩化物、酸無水物、活性化エステル、クロロホルマートまたはカルバミン酸クロリドである。
【0081】
特別な態様では、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーン化合物は、式:
【化47】


を有し、ホルムアルデヒドまたはその多量体、および酸と反応させて、式:
【化48】


で示される保護ベンゾチアゼピンを形成、または、ホルムアルデヒドもしくはその多量体、および塩基と反応させて、式;
【化49】


で示される[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]ベンゼンを形成させることができる。
【0082】
この[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]ベンゼンをさらに酸と反応させると、式:
【化50】


で示される保護ベンゾチアゼピンが得られる。
【0083】
3a置換基は、式:−C(=O)−R18で示される(C−C10)アシル、または窒素保護基であり、置換基R5aは、H、(C−C)炭化水素、ハロゲン、−OR、−SR、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキルまたは−O−(C−C)ハロアルキルであり;置換基Rは、Hまたは(C−C)炭化水素であり;そして、置換基R18は、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである。
【0084】
さらなる開裂は、式:
【化51】


で示される化合物を生成する。
【0085】
この化合物をRXでさらにアシル化すると、式:
【化52】


で示される化合物が得られる。
【0086】
置換基は、(C−C10)アシル、P(O)R、C(=O)−R10、C(=S)−R11、S(=O)12、(CH13、窒素保護基、OH、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり;R10およびR11は、各々独立して、H、−OR14、−NR6a6b、NHNHR15、NHOH、CONHNHR15、CO15、CONR15、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオロエニルメトキシ、アダマンチルオキシ、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり;R13は、NH、OH、−SO16、−NHSO16、C(=O)R17、NH(C=O)R17、−O(C=O)R17、または−P(O)Rであり;mは、1〜10の整数であり;R6a、R6b、R12、R14、R15、R16およびR17は、それらの存在毎に各々独立して、H、−OR15、−NR1516、NHNHR16、NHOH、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であるか;または、R6aおよびR6bは、それらが結合している窒素と一緒になって、五、六、または七員環窒素含有ヘテロ環を表し;そして、Xは、ハロゲン、(C−C10)アシルオキシ、または活性化エステル残基である。
【0087】
別の態様では、R3a基を開裂させて2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを得、この2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを蓚酸エステルでアシル化し、エステルを加水分解することにより、式:
【化53】


で示される化合物の、式:
【化54】


[式中、Mは、H、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である]
で示される化合物へのさらなる変換が達成される。
【0088】
加水分解工程は、エステルを塩基または酸で処理し、そして場合によりMがHである時は酸性化することを含む。得られた生成物を、場合により、MがHであるその塩に変換してもよい。Mは、Na、Ca++、Mg++またはアンモニウムといったカチオンであってよい。
【0089】
一段階および二段階閉環に使用する[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーン化合物は、式:
【化55】


で示される化合物を、場合により塩基の存在下で、式:
【化56】


で示される化合物と反応させ、式:
【化57】


で示される化合物を得ることによって取得できる。LGは、チオによる求核置換のための脱離基である。チオールによる置換のための脱離基は当分野で公知である。それらにはハロゲンおよびスルホナートがある。例には、クロロ、ヨード、ブロモ、メタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、ニトロフェニルスルホナートおよびブロモフェニルスルホナートがある。
【0090】
別の態様では、式:
【化58】


で示される化合物を、場合により塩基の存在下で、式:
【化59】


で示される化合物と反応させ、式:
【化60】


で示される化合物を得ることにより、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーン化合物を取得できる。アシル置換基Rは、場合により塩基の存在下で、式:RXの化合物により二段階反応で付加され得る。LGは、チオールによる求核置換反応のための脱離基であり、Xは、アミンによる求核置換反応のための脱離基である。したがってRXは、酸塩化物、酸無水物、活性化エステル、クロロホルマート、スルホニルクロリドまたはカルバミン酸クロリドであってよい。「活性化エステル」とは、当分野、特にペプチド合成の分野で周知の用語であり、アミンによる置換反応を受けてアミドを形成することのできるエステルを意味する。この用語は、近傍の電子吸引置換基により「活性化される」エステルを包含する。例には、フェノール類のエステル、特にペンタフルオロフェノールエステルのような電気陰性置換フェノールエステル;例えばカルボジイミドとの相互作用から生ずる、イソウレアのO−エステル;N−ヒドロキシイミドおよびN−ヒドロキシヘテロ環のO−エステルがある。具体例には、S−t−ブチルエステル、S−フェニルエステル、S−2−ピリジルエステル、N−ヒドロキシピペリジンエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステルおよびN−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステルが包含される。
【0091】
別の態様では、本発明は、R基を開裂させて、式:
【化61】


で示される化合物を製造し、その後、場合により塩基の存在下で、式:RX[式中、Xは、アミンによる求核置換のための脱離基である]で示される化合物と反応させることにより、2,3,4,5−テトラヒドロ[1,4]チアゼピンを得る方法を含む。RXは、酸塩化物、酸無水物、活性化エステル、クロロホルマートおよびカルバミン酸クロリドから選ばれる。
【0092】
或る特別な態様では、式:
【化62】


で示される化合物を、式:X−CH−COOR’[式中、Xはハロゲンであり、R’はアルキルである]で示される化合物と反応させ、式:
【化63】


で示されるエステル化合物を形成させる。
【0093】
その後このエステルを加水分解すると、式:
【化64】


で示される化合物が形成される。
【0094】
或る特別な態様では、本発明は、式:
【化65】


[式中、Ar、R、R、R、Rおよびqは前記と同義であり、そしてRは、−C(=O)−R20[式中、R20は、N(R19[式中、各々のR19は、水素、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルへテロシクリル、またはアルキルヘテロアリールから独立して選ばれるか;または、一緒になって、N(R19が、五、六、または七員環窒素含有ヘテロ環を表す]である]である]
で示される化合物を製造する方法を提供する。五、六、または七員環窒素含有ヘテロ環は、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−CBZピペラジンまたはアゼパンであってよい。この態様によれば、本方法は、式:
【化66】


[式中、Ar、R、R、R、Rおよびqは前記と同義であり、そしてR3aは、−C(=O)−R21[式中、R21は、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]である]
で示される化合物を、式:HN(R19[式中、各々のR19は独立して前記と同義である]で示されるアミンと反応させ、式:
【化67】


で示される化合物を形成させることを含む。
【0095】
この態様は、本発明方法による単純且つ高収率のカルバメートの合成、および、高品質の生成物を高収率で提供する、単純且つ効率的な方法による、カルバメートからウレア誘導体へのさらなる変換という利点を有する。
【0096】
式:
【化68】


で示される化合物は、例えば米国特許出願第11/506285号(US2007/0173482号)、11/212413号(US2007/0049572号)、11/212309号(US2006/0194767号)および10/809089号(US2005/0215540号)に記載されるような(これらの内容は、引用によりその全内容を本明細書の一部とする)、様々な1,4−ベンゾチアゼピン化合物を製造するための出発物質として使用できるということが、当業者には明白である。
【0097】
実施例
発明の範囲内に入る例示的な方法を以下に示す。
【0098】
実施例1:2−(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)−2−オキソ酢酸(6)(スキーム2)の合成
【0099】
【化69】

【0100】
2−(4−メトキシフェニルチオ)エタンアミン(1)
4−メトキシチオフェノール(50g、0.357mol)、2−クロロエチルアミン一塩酸塩(39.8g、0.343mol)、KCO(78.8g、0.57mol)及びジイソプロピルエチルアミン(32ml、0.178mol)をTHF200mlに混合した。混合物を減圧下で5分間脱ガスし、アルゴン下、一晩還流した。溶媒を除去し、水(300ml)をフラスコに加えた。混合物をジクロロメタン(3×200ml)で抽出した。有機物を回収し、ジクロロメタンを除去し、濃HCl50ml、続いて水200mlを加えた。溶液を1:1 EtOAc/ヘキサン(3×200ml)で抽出した。水層を2M NaOHでpH10に調整し、ジクロロメタン(3×200ml)で抽出した。合わせた有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、標的化合物61gを無色の液体として得た(収率97%)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 7.35(d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.81 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 3.77 (s, 3H), 2.88-2.80 (m, 4H), 1.44 (s, 2H)。
【0101】
2−(4−メトキシフェニルチオ)エチルカルバミン酸ベンジル(2)
第一方法
化合物1(8.0g、43.7mmol)を含むフラスコに、重炭酸ナトリウム(12.1g、144mmol)、水(100ml)及びジクロロメタン(200ml)を加え、クロロギ酸ベンジル(8.2g、48.1mmol、ジクロロメタン100mlに希釈した)を0℃で滴下した。添加した後、混合物を室温で5時間撹拌した。有機層を回収し、水溶液をジクロロメタン100mlで抽出した。合わせた有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、得られた固体をTHF/ヘキサン(1:10)200mlで粉砕した。固体を回収し、乾燥させて、標的生成物(12.9g)を得た(収率93%)。
【0102】
代替方法
化合物1(10g、54.6mmol)の溶液に、ジクロロメタン200ml中のトリエチルアミン(15ml、106mmol)を加え、クロロギ酸ベンジル(7.24ml、51.5mmol、ジクロロメタン100mlに希釈した)0℃で滴下した。添加した後、溶液を室温で1時間撹拌した。固体を濾過により除去した。溶液を0.1M HCl100ml及び飽和炭酸ナトリウム100mlで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、白色の固体を得て、これをTHF/ヘキサン(1:20)200ml中で3時間撹拌した。固体を濾過により回収し、標的化合物14.2gを得た(収率87%)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 7.35(m, 7H), 6.83 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 5.07 (m, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.10 (q, J = 6.3 Hz, 2H), 2.92 (t, J= 6.3 Hz, 2H)。
【0103】
7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩ベンジル(3)
トルエン250ml中の化合物2(7.3g、23mmol)、パラホルムアルデヒド(6.9g、0.23mol)及びp−トルエンスルホン酸(1.45g、7.6mmol)の混合物を70℃で一晩撹拌した。室温に冷ました後、固体を濾別した。溶液を飽和炭酸ナトリウム(100ml)で抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。標的生成物(7.4g)を、溶媒を除去した後の液体として得た(収率97%)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 7.44 (d, J= 8.1 Hz, 0.77H), 7.32 (m, 5.60H), 7.07 (d, J= 2.7 Hz, 0.33H), 6.68 (m, 1.30H), 5.04 (s, 2H), 4.59 (ss, 2H), 3.96 (br, 1.80), 3.80 (ss, 1.23 H), 3.55 (s, 1.97H), 2.76 (m, 2H)。
【0104】
7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン臭化水素酸(4HBr塩)
第一方法
HBr(酢酸中の33%、10ml)の溶液を化合物3(4.2g、12.8mmol)に加えた。添加した後、二酸化炭素が発生し始め、白色の固体を得た。混合物を室温で更に2時間放置した。ジエチルエーテル(150ml)を混合物に加え、それを30分間撹拌した。固体を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄した。固体を減圧下で乾燥させ、標的化合物3.40gを得た(91.8%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): 9.02 (br, 2H), 7.52 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 7.27 (d, J= 3.3 Hz, 1H), 6.92 (dd, J= 8.4, 2.7 Hz, 1H), 4.41 (s, 2H), 3.77 (s, 3H), 3.53 (m, 2H), 2.96 (m, 2H)。
【0105】
代替方法(遊離塩基4a)
化合物3(10g、30mmol)を濃HCl 50ml、水50ml及びジオキサン30mlに混合した。混合物を100℃で一晩撹拌した。室温に冷却した後、溶媒の大半及びHClを減圧下で除去した。水(100ml)を溶液に加え、固体を濾別した。水溶液をEtOAc/ヘキサン(1:1、3×100ml)で抽出し、NaOH 15gを加えることにより塩基性化した。混合物をジクロロメタン(3×150ml)で抽出した。合わせた溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、液体を得て、凝固させ、室温で放置して、標的化合物6.2gを得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 7.42 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 6.78 (d, J= 2.7 Hz, H), 6.68 (dd, J= 2.7, 8.1 Hz, 1H), 4.08 (s, 2H), 3.96 (br, 1.80), 3.76 (s, 3 H), 3.38 (m, 2H), 2.68 (m, 2H)。
【0106】
2−(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)−2−オキソ酢酸メチル(5)
ジクロロメタン20ml中の化合物4(580mg、2.97mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(1.0ml、5.5mmol)の溶液に、クロロオキソ酢酸メチル(301μl、3.27mmol)を加えた。溶液を室温で4時間撹拌した。それをジクロロメタン40mlで希釈し、1M HCl(2×30ml)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、標的化合物(740mg)を得た(収率89%)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 7.46 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 7.09 (d, J= 2.7Hz, 1H), 6.73 (m, 1H), 4.76 (br, 2H), 4.06 (m, 0.6H), 3.87 (m, 7.4H), 2.81 (m, 2H)。
【0107】
2−(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)−2−酢酸オキソ(6)
化合物5(740mg)をTHF、メタノール及び1M NaOH(1:1:1)の混合物30mlに溶解した。溶液を室温で6時間撹拌し、1N HClで酸性化した。有機溶媒を除去し、得られた固体を回収して、水で洗浄した。固体を減圧下で乾燥させ、固体600mgを得た(収率85%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): 7.43 (m, 2H), 7.00 (d, J= 2.7Hz, 1H), 6.79 (m, 1H), 4.66 (ss, 2H), 3.98-3.82 (m, 2H), 3.73 (ss, 3H), 2.83 (m, 2H)。
【0108】
実施例2:化合物38(例えば、7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)(ピペラジン−1−イル)メタノン(ARM064))(スキーム3)の合成
【0109】
【化70】

【0110】
化合物1をClC(=O)ORと反応させ化合物36を形成し、ここでRは、それらが結合している酸素と一緒になって、フェニル、4−NO−フェニル、メチル、エチル、ベンジル、アリル、CHCCl、CHCF又は他の基であり、アミンと反応させると脱離基として機能しうる。化合物36を(CHO)と反応させ、酸中で化合物37を形成した。化合物37とアミン(HNR”)の混合物を塩基又は、Al(CH(Janda, K. D. et. al. Tetrahedron 2004, 60, 3439)若しくはγ−Al(Vauthey, I. et. al. Tetrahedron Lett. 2000, 41,6347)のような触媒の存在下で加熱し、化合物38を得た。あるいはまた、化合物37とアミン(HNR”)の反応を、Zr(Ot−Bu)(Porco, J. A. et. al. Organic Lett. 2007, 1517)のような金属触媒を使用することにより触媒化することができる。ARM064の調製に関して、HNR”はピペラジン又はBoc−保護ピペラジンである。Boc−保護ピペラジンを使用すると、Boc基をTFAのような酸中で除去できる。得られた化合物38はARM064である。収率:85%〜95%。
【0111】
実施例3:化合物38(例えば、7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)(ピペラジン−1−イル)メタノン(ARM064))(スキーム4)の合成
【0112】
【化71】

【0113】
化合物1をClC(=O)ORと反応させ化合物36を形成し、ここでRはフェニル、4−NO−フェニル、メチル、エチル、ベンジル、アリル、CHCCl、CHCF又は他の基であり、アミンと反応させると脱離基として機能しうる。化合物36を(CHO)と反応させて、酸中で化合物37を形成した。次にカルバミン基を除去し、遊離アミンの化合物4aを得た。Rがベンジルのとき、化合物3から化合物4及び4aへの変換に関して実施例1に記載したように、カルバメート37を化合物4又はその遊離塩基の化合物4aに変換した。化合物4a(又は4)を、場合により塩基の存在下で、トリホスゲン、続いてアミン(HNR”)により反応させた。ARM064の調製に関して、HNR”は好ましくはBoc−保護ピペラジンである。Boc−保護ピペラジンを使用すると、Boc基をTFAのような酸中で除去しうる。得られた化合物38はARM064である。
【0114】
実施例4:7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩メチル(8)(スキーム5)の合成
【0115】
【化72】

【0116】
2−(4−メトキシフェニルチオ)エタンアミン塩酸塩(1−HCl)
DMF(200ml)中の4−メトキシベンゼンチオール(25g)、2−クロロエチルアミンHCl(1.1当量)及びCsCO(2.4当量)の混合物を60℃で2日間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、粗生成物をEtOAc 300mlに溶解した。有機相をHO(2×50ml)で洗浄し、減圧下で濃縮した。残留物を1N HCl 200mlに溶解し、EtOAc(2×50ml)で洗浄した。水相を蒸発させて、所望の生成物をHCl塩及び白色の固体として得た。収率:34.8g、91%。(1N NaOHで塩を処理して遊離アミンを得ることができた)。
【0117】
2−(4−メトキシフェニルチオ)カルバミン酸エチルメチル(7)
約0℃に冷却したCHCl(20ml)中の化合物1−HCl(0.466g)の溶液に、クロロギ酸エチル(1.1当量)及びトリエチルアミン(2.5当量)を加えた。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、1N HCl及び飽和NaHCOで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、生成物7を白色の固体として得た(収率480mg、98%)。
1N-NMR (300MHz, CDCl3):δ:7.4 (d, 2H), 6.8 (d, 2H), 5.1 (broad, 1H), 3.8 (s, 3H), 3.65 (s, 3H), 3.30 (t, 2H), 2.95 (t, 2H)。
【0118】
7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩メチル(8)
ベンゼン(4ml)中の化合物7(95mg)、パラホルムアルデヒド(95mg、過剰)、p−トルエンスルホン酸(30mg)の混合物を60℃で一晩撹拌した。TLCによる分析は新しいスポット及び出発物質の完全な消滅を示した。濾過し、続いて濃縮し、SiOのクロマトグラフィーに付し、純粋な生成物8 92mgを得た。収率:95%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3):δ:7.40 (d, 0.6H), δ:7.38 (d, 0.4H), 6.98 (s, 0.4H), 6.80(s, 0.6H), 6.61 (d, 1H), 4.35 (s, 0.4 x 2H), 4.30 (s, 0.6 x 2H), 3.89 (s, broad, 2H), 3.70 (s, 3H), 3.60 (s, 0.6 x 3H), 2.90 (m, 2H)。
【0119】
実施例5:7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩メチル(8)(スキーム6)の合成
【0120】
【化73】

【0121】
ヒドロキシメチル(2−(4−メトキシフェニルチオ)エチル)カルバミン酸メチル(9)
THF(50ml)中の化合物7(2.0g)、パラホルムアルデヒド(1.5g)、CsCO(1.2当量)の混合物を70℃で3時間撹拌した。濾過し、溶媒を濃縮し、標記生成物9を純粋な白色の固体として得た。収率:2.2g、98%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.4 (d, 2H), 6.89 (d, 2H), 4.7 (broad, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.65 (s, 3H), 3.40 (t, 2H), 2.95 (t, 2H)。
【0122】
7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩メチル(8)
CHCl 10ml中の化合物9(20.0mg)の溶液を、アルゴン下、BF−OEt 1.1当量で処理した。混合物を一晩撹拌し、1N HCl及び飽和NaHCOで洗浄した。溶媒を除去し、粗生成物を得て、TLC分析は1つの主要なスポットを示した。粗生成物を更にSiOのカラムにより精製して、標記化合物(16mg)を得た。構造を、7−MeO−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピンとクロロギ酸エチルの反応により調製した確実なサンプルでのNMRとTLCの比較により確認した。
1H-NMR (CDCl3):δ:7.40 (d, 0.6H), δ:7.38 (d, 0.4H), 6.98 (s, 0.4H), 6.80(s, 0.6H), 6.61 (d, 1H), 4.35 (s, 0.4 x 2H), 4.30 (s, 0.6 x 2H), 3.89 (s, broad, 2H), 3.70 (s, 3H), 3.60 (s, 0.6 x 3H), 2.90 (m, 2H).
【0123】
実施例6:1−(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)エタノン(11)(スキーム7)の合成
【0124】
【化74】

【0125】
N−(2−(4−メトキシフェニルチオ)エチル)アセトアミド(10)
約0℃に冷却したCHCl(15ml)中の化合物1−HCl(0.44g)の溶液に、アセチルクロリド(1.0ml)及びトリエチルアミン(1.0ml)を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、1N HCl、飽和NaHCOで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、生成物10を固体(TLC及びNMRにより純粋にした)として得た。収率:0.5g。
1H-NMR (300MHz, CDCl3):δ:7.4 (d, 2H), 6.8 (d, 2H), 5.90 (s, broad, 1H), 3.8 (s, 3H), 3.40 (t, 2H), 2.95 (t, 2H), 2.1 (s, 3H).
【0126】
1−(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)エタノン(11)
ベンゼン(4ml)中の化合物11(70mg)、パラホルムアルデヒド(70mg)、p−トルエンスルホン酸(40mg)の混合物を、70℃で一晩撹拌した。濾過し、続いて飽和NaHCO溶液で洗浄し、粗生成物を得て、これをSiOのクロマトグラフィーにより精製して、標的化合物(11)を得た(収率91%)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.50 (d, 0.6H), δ:7.38 (d, 0.4H), 7.10 (s, 0.4H), 6.80(s, 0.6H), 6.70 (m, 1H), 4.70 (s, 0.4 x 2H), 4.60 (s, 0.6 x 2H), 4.10 (s, broad, 0.6 x 2H), 3.90 (s, broad, 0.4 x 2H), 3.80 (s, 0.4 x 3H), 3.79 (s, 0.6 x 3H), 2.90 (m, 2H), 2.2 (s, 0.4 x 3H), 2.06 (s, 0.6 x 3H).
【0127】
実施例7:2,2,2−トリフルオロ−1−(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)エタノン(13)(スキーム8)の合成
【0128】
【化75】

【0129】
2,2,2−トリフルオロ−N−(2−(4−メトキシフェニルチオ)エチル)アセトアミド(12)
約4℃に冷却したCHCl(20ml)中の化合物1(塩酸塩として1.8g)の溶液に、トリフルオロ酢酸無水物(1.1当量)及びトリエチルアミン(1.5当量)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、1N HCl及び飽和NaHCOで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、生成物12を固体(TLC及びNMRにより純粋にした)として得た。収率:2.5g。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.4 (d, 2H), 6.8 (d, 2H), 6.6 (s, broad, 1H), 3.8 (s, 3H), 3.40 (t, 2H), 2.95 (t, 2H)。
【0130】
2,2,2−トリフルオロ−1−(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)エタノン(13)
トルエン(10ml)中の化合物12(100mg)、パラホルムアルデヒド(100mg)、p−トルエンスルホン酸(60mg)の混合物を80℃で一晩撹拌した。濾過し、続いて飽和NaHCO3溶液で洗浄して、粗生成物13を得た(TLC及びNMRにより推定収率約70%)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.45 (d, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.7 (d, 1H), 4.6 (m, 2H), 4.0 (m, 2H), 3.8 (s, 3H), 2.9 (m, 2H)。
【0131】
実施例8:7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルバルデヒド(15)(スキーム9)の合成
【0132】
【化76】

【0133】
N−(2−(4−メトキシフェニルチオ)エチル)ホルムアミド(14)
HCOEt(20ml)中の化合物1(550mg)及びEtN(1ml)の溶液を12時間還流した。混合物を冷却し、1N HCl及び飽和NaHCOで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、生成物14を固体として得た:606mg。粗生成物をTLC及びNMRにより純粋にして、次の工程反応で更に精製しないで使用した。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): 8.15 (s, 1H), 7.4 (d, 2H), 6.8 (d, 2H), 6.2 (s, broad, 1H), 3.8 (s, 3H), 3.40 (t, 2H), 2.95 (t, 2H)。
【0134】
7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルバルデヒド(15)
ベンゼン(5ml)中の化合物14(100mg)、パラホルムアルデヒド(100mg)、p−トルエンスルホン酸(60mg)の混合物を70〜75℃で2日間撹拌した。濾過し、飽和NaHCOで洗浄し、濃縮して、粗生成物15を得た(TLC及びNMRにより推定収率約70%)。
1H-NMR (CDCl3): δ:8.2 (s, 1H), 7.50 (d, 1H), 7.10 (s, 1H), 6.80(d, 1H), 4.80 (s, broad, 2H), 4.10 (s, broad, 2H), 3.80 (s, 3H), 2.90 (m, 2H)。
【0135】
実施例9:(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)(モルホリノ)メタノン(17)(スキーム10)の合成
【0136】
【化77】

【0137】
N−(2−(4−メトキシフェニルチオ)エチル)モルホリン−4−カルボキサミド(16)
CHCl(10ml)中の化合物1(400mg)の溶液に、トリホスゲン(1.0当量)及びトリエチルアミン(2.5当量)を0℃で加えた。反応混合物を2時間室温で撹拌し、モルホリン(3.0当量)を加えた。反応物を、TLCによりそれが完了したように見えるまで撹拌して(約4時間)、1N HCl及び飽和NaHCO(3×10ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し生成物16(520mg)を得た。粗生成物をTLC及びNMRにより純粋にして、次の工程反応で更に精製しないで使用した。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.4 (d, 2H), 6.8 (d, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.65 (m, 4H), 3.40 ( t, 2H), 3.28 (m, 4H), 2.95 (t, 2H)。
【0138】
(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)(モルホリノ)メタノン(17)
ベンゼン(5ml)中の化合物16(100mg)、パラホルムアルデヒド(110mg)、p−トルエンスルホン酸(60mg)の混合物を、70〜75℃で14時間撹拌した。反応溶液を濾過し、飽和NaHCOで洗浄し、濃縮して、粗標記生成物17を得た(TLC及びNMRによる推定収率約50%)。SiO(CHCl/EtOAc 10:1)のクロマトグラフィーに付し、構造物の確認のための純粋なサンプルを得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.4 (d, 1H), 6.95 (s, 1H), 6.7 (d, 1H), 4.5 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.79 (s, broad, 2H), 3.70 (m, 4H), 3.10 (m, 4H), 2.95 (t, 2H)。
【0139】
実施例10:4−(7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4−カルボニル)ピペラジン−1−カルボン酸塩ベンジル(19)(スキーム11)の合成
【0140】
【化78】

【0141】
4−(2−(4−メトキシフェニルチオ)エチルカルバモイル)ピペラジン−1−カルボン酸塩ベンジル(18)
CHCl(10ml)中の化合物1(183mg)の溶液に、トリホスゲン(0.7当量)及びトリエチルアミン(1.0当量)を0℃で加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、N−Cbz−ピペリジン(1.5当量)及びEtN(0.5ml)を加えた。反応混合物を一晩撹拌し、1N HCl及び飽和NaHCO(3×5ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、標記生成物18を得て、クロマトグラフィー(SiO、CHCl/EtOAc 10:1)により精製した。収率:360mg。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.4 (d, 2H), 7.30 (s, 5H), 6.8 (d, 2H), 6.6 (s, broad, 1H), 5.15 (s, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.50 (m, 4H), 3.40 ( t, 2H), 3.30 (m, 4H), 2.95 (t, 2H)。
【0142】
4−(7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4−カルボニル)ピペラジン−1−カルボン酸塩ベンジル(19)
ベンゼン(5ml)中の化合物18(30mg)、パラホルムアルデヒド(100mg)、p−トルエンスルホン酸(30mg)の混合物を70〜75℃で2日間撹拌した。反応混合物を濾過し、飽和NaHCOで洗浄し、濃縮し、粗生成物19を得て、これをSiO(CHCl/EtOAc 10:1)のクロマトグラフィーにより精製した。収率:21mg、69%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.4 (d, 1H), 7.35 (s, 5H), 6.85 (s, 1H), 6.70 (d, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.5 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.75 (s, broad, 2H), 3.60 ( m, 4H), 3.20 (m, 4H), 2.95 (t, 2H)。
【0143】
実施例11:8−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩ベンジル(22)及び6−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩ベンジル(23)(スキーム12)の合成
【0144】
【化79】

【0145】
2−(3−メトキシフェニルチオ)エタンアミン(20)
CHCN(60ml)中の3−メトキシベンゼンチオール(5g)、2−クロロエチルアミン塩酸塩(1.1当量)及びCsCO(2.2当量)の混合物を、60℃で20時間撹拌した。反応混合物にEtOAc(100ml)を加え、HO(2×30ml)で洗浄した。有機相を減圧下で濃縮し、生成物20(収率:6.2g、95%)を得て、これをTLC及びNMRにより純粋にし、次の工程反応で更に精製しないで使用した。
【0146】
2−(3−メトキシフェニルチオ)カルボン酸塩エチルベンジル(21)
約0℃に冷却したEtOAc(50ml)中の化合物20(1.0g)の溶液に、クロロギ酸ベンジル(1.1当量)及びトリエチルアミン(1.2当量)を加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌し、1N HCl及び飽和NaHCO(2×10ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、粗標記生成物を得た。クロマトグラフィーにより精製し、21を白色の固体として得た。収率:1.61g。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.4 (s, 5H), 7.2 (m, 1H), 6.95 (d, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.7 (d, 1H), 5.15 (s, broad, 2H), 3.8 (s, 3H), 3.40 (t, 2H), 2.95 (t, 2H)。
【0147】
8−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩(22)及び6−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩ベンジル(23)
ベンゼン(5ml)中の化合物21、パラホルムアルデヒド(100mg)、p−トルエンスルホン酸(50mg)の混合物を76℃で20時間撹拌した。濾過し、続いて濃縮し、SiOのクロマトグラフィーに付して、生成物22及び23(50:1)の混合物を得た。合計収率:83mg。
1H-NMR (CDCl3): 7.80 (d, 0.5 x 1H), 7.45-7.2 (m, 6H), 7.08 (m), 6.95 (s, 0.4 x 1H), 6.80 (d), 6.68 (d), 6.70 (d, 0.6 x 1H), 5.1 (s), 5.0 (s), 4.7 (s, broad), 4.6 (s), 4.05 (s, broad, 2H), 3.82 (s, 0.6 x 3H), 3.80 (s, 0.3 x 3H), 2.8 (m, 2H)。
【0148】
実施例12:7−メチル−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩ベンジル(26)(スキーム13)の合成
【0149】
【化80】

【0150】
2−(p−トリルチオ)エタンアミン(24)
CHCN(30ml)中の4−メチルベンゼンチオール(1.24g)、2−クロロエチルアミンHCl(2.3g)及びCsCO(5.3g)の混合物を50℃で2日間撹拌した。反応混合物にEtOAc(50ml)及びHO(30ml)を加えた。有機相を分離し、HO(2×30ml)で洗浄し、減圧下で濃縮し生成物24を得た。収率:1.67g、95%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.27 (d, 2H), 7.13 (d, 2H), 3.0 (t, 2H), 2.8 (t, 2H), 2.3 (s, 3H)。
【0151】
2−(p−トリルチオ)カルバミン酸エチルベンジル(25)
EtOAc(100ml)中の化合物24(1.60g)の溶液に、クロロギ酸ベンジル(2.0g、1.2当量)及びCsCO(3.2g、3当量)を加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌した。トリエチルアミン(2ml)を加え、反応物を3時間撹拌した。HO(30ml)を添加した後、有機相を分離し、1N HCl(2×30ml)及び飽和NaHCO(2×30ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、生成物25を白色の固体として得た。収率:2.4g、79.7%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3):δ:7.35 (m, 5H), 7.3 (d, 2H), 7.1 (d, 2H), 5.1 (s, broad, 2H), 3.4 (s, broad, 2H), 3.0 (t, 2H), 2.3 (s, 3H)。
【0152】
7−メチル−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩ベンジル(26)
トルエン(10ml)中の化合物25(120mg)、パラホルムアルデヒド(120mg、過剰量)、p−トルエンスルホン酸(40mg)の混合物を70℃で24時間撹拌した。反応混合物を濾過し、飽和NaHCO(2×5ml)で洗浄した。溶媒を除去し、生成物26をTLC及びNMRにより純粋にした生成物として得た。収率:110mg、89%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.40 (m, 7H), 6.95 (d, 1H), 5.1 (s, 2H), 4.5 (s, 2H), 4.0 (m, 2H), 2.8 (m, 2H), 2.1 (s, 3H)。
【0153】
実施例13:7−(メチルチオ)−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩ベンジル(28)(スキーム14)の合成
【0154】
【化81】

【0155】
7−(メチルチオ)−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩ベンジル(28)
ベンゼン(120ml)中の化合物27(3g)、パラホルムアルデヒド(3.5g、過剰量)、p−トルエンスルホン酸(1.5g)の混合物を80℃で14時間撹拌した。反応混合物を濾過し、飽和NaHCO(3×30ml)で洗浄した。溶媒を除去し、化合物28を白色の固体として得た。収率:2.98g、90%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.40 (m, 6H), 7.0 (m, 2H), 5.1 (s, 2H), 4.5 (s, 2H), 4.0 (m, 2H), 2.8 (m, 2H), 2.2 (s, 3H)。
【0156】
実施例14:7−(トリフルオロメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]臭化水素酸チアゼピン(31)(スキーム15)の合成
【0157】
【化82】

【0158】
7−(トリフルオロメトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−カルボン酸塩ベンジル(30)
ベンゼン(15ml)中の2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニルチオ)カルバミン酸エチルベンジル(29)(300mg)、パラホルムアルデヒド(300g)、p−トルエンスルホン酸(100g)の混合物を、80℃で3日間撹拌した。反応混合物を濾過し、飽和NaHCO(2×5ml)で洗浄した。溶媒を除去し、30を白色の固体として得た。生成物を、SiO(石油エーテル/EtOAc=3/1)のクロマトグラフィーにより精製した。収率:235mg、76%。
1H-NMR (CDCl3): δ:7.6 (d, 1H), 7.4 (m, 6H), 7.1 (s, 1H), 5.1 (s, 2H), 4.5 (s, 2H), 4.0 (m, 2H), 2.8 (m, 2H)。
【0159】
7−(トリフルオロメトキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]臭化水素酸チアゼピン(31)
出発物質30(200mg)を、HBr/AcOH溶液3mlで1時間処理した。反応混合物にジエチルエーテル(20ml)を加えた。白色の固体を濾過し、標記化合物をHBr塩として得た。収率:182mg。
1H-NMR (300MHz, CD3OD): δ:7.8 (d, 1H), 7.5 (s, 1H), 7.3(d, 1H), 4.6 (s, 2H), 3.7 (m, 2H), 3.0 (m, 2H)。MS: 250 (M+1)。
【0160】
実施例15:1−(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)プロパ−2−エン−1−オン(33)(スキーム16)の合成
【0161】
【化83】

【0162】
N−(2−(4−メトキシフェニルチオ)エチル)アクリルアミド(32)
EtOAc(50ml)中の化合物1(1.83g)の溶液に、アクリロイルクロリド(1.35g、1.5当量)及びNaCO(2.12g、2.0当量)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、トリエチルアミンを加えた。20分間撹拌した後、混合物をHO(20ml)、1N HCl(2×20ml)及び飽和NaHCO(2×20ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、生成物32を白色の固体(TLCの1箇所)として得た。収率:2.2g、92.8%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.4 (d, 2H), 6.8 (d, 2H), 6.3 (d, 1H), 6.1 (dd, 1H), 5.95 (broad, 1H, NH), 5.6 (d, 1H), 3.8 (s, 3H), 3.5 (m, 2H), 3.0 (t, 2H)。
【0163】
1−(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)プロパ−2−エン−1−オン(33)
ベンゼン(7.0ml)中の化合物32(280mg)、パラホルムアルデヒド(600mg)、p−トルエンスルホン酸(140mg)の混合物を、80℃で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、飽和NaHCO溶液(2×3ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、生成物33を油状物として得た。収率:253mg、86%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.4 (m, 1H), 7.1 (s, 1H), 6.8 (m, 1H), 6.5 (dd, 1H), 6.3 (m, 1H), 5.7 (dd, 1H), 4.7 (s, 2H), 4.0 (s, broad, 2H), 3.8 (s, 3H), 2.8 (m, 2H)。
【0164】
実施例16:7−メトキシ−1,2,11,11a−テトラヒドロベンゾ[f]ピロロ[2,1−c][1,4]チアゼピン−3(5H)−オン(35)(スキーム17)の合成
【0165】
【化84】

【0166】
(R)−5−((4−メトキシフェニルチオ)メチル)ピロリジン−2−オン(34)
CHCN(30ml)中の(R)−(5−オキソピロリジン−2−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホン酸(Helvetica Chimica Acta 1990, 73, 122-32; Tetrahedron: Asymmetry 2007, 18, 664-670)(1.05g、3.9mmol)の溶液に、4−メトキシベンゼンチオール(0.55g、3.9mmol)及びCs2CO3(5g、過剰量)を加えた。反応混合物を3日間撹拌した。溶液にEtOAc(50ml)及びHO(30ml)を加えた。有機相を分離した。溶媒を蒸発させて除去し、標記化合物を油状物(0.91g、98%)として得た。TLC及びNMRは、生成物は次の工程のために十分に純粋であることを示した。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ: 7.4 (d, 2H), 6.8 (d, 2H), 6.19 (s, br, 1H), 3.8 (s, 3H), 3.7 (m, 1H), 3.0 (dd, 1H), 2.8(dd, 1H), 2.3 (m, 3H), 1.80 (m, 1H)。
【0167】
7−メトキシ−1,2,11,11a−テトラヒドロベンゾ[f]ピロロ[2,1−c][1,4]チアゼピン−3(5H)−オン(35)
ベンゼン(60ml)中の5−((4−メトキシフェニルチオ)メチル)ピロリジン−2−オン(34)(160mg)、パラホルムアルデヒド(2.0g)、p−トルエンスルホン酸(200mg)の混合物を、80℃で18時間撹拌した。反応混合物を濾過し、飽和NaHCO溶液(2×10ml)で洗浄した。溶媒を除去し、減圧下で蒸発させて粗生成物34を油状物として得た。生成物をSiO(CHCl/EtOAc=5/1)のクロマトグラフィーにより精製した。収率:140mg、87.5%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ:7.45 (d, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.7 (d, 1H), 4.95 (d, 1H), 4.6 (d, 1H), 4.0 (m, 1H), 3.8 (s, 3H), 2.9 (d, 1H), 2.6 (d, 1H), 2.4 (m, 2H), 2.3 (m, 1H), 1.6 (m, 1H)。
【0168】
実施例17:化合物40 2−(7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン−4(5H)−イル)酢酸(ARM111))(スキーム18)の合成
【0169】
【化85】

【0170】
化合物1を、実施例1に記載のとおり、化合物4又はその遊離塩基4aに変換する。化合物40を調製するために、適切な時間の間、化合物4又はその遊離塩基4a、1−ブロモ酢酸メチル及びピリジンの混合物をDMF中で反応させる。この混合物に、酢酸エチルを加え、必要であれば、反応混合物を、塩基性溶液(例えばNaHCO)、又は水で洗浄する。油状物としての生成化合物39(ARM110)を、例えばSiOカラムクロマトグラフィーにより精製してもよい。次に、塩基(1N NaOHなど)を、溶媒(MeOHなど)中の化合物39に加え、混合物を、適切な時間の間、反応させる。次に、溶媒を、例えば減圧下で除去し、次に、残留物を、水などの水溶液に溶解してもよい。水相を、酢酸エチルで洗浄し、例えば1N HClで約pH4に酸性化してもよい。次に、溶媒を、例えば減圧下で除去して、粗40を得てもよい。NaClを、エタノールなどのアルコールを用いて除去して、純粋な40を固体として得てもよい。
【0171】
本発明は、範囲において、本明細書に記載の特定の実施態様により制限されるものではない。実際のところ、本明細書に記載のものに加えて、本発明の精神及び範囲内の種々の変更が、前述の記載から当業者に明白となろう。そのような変更は、記載された本発明の範囲内にあることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化86】


で示される2,3,4,5−テトラヒドロ[1,4]ベンゾチアゼピンを製造する方法であって、式:
【化87】


で示される[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを、式:RCHOで示されるアルデヒドまたはその多量体、および酸と反応させることを含み、
ここで、
Arは、単環式、二環式もしくは三環式アリールまたはヘテロアリール環系であり;
、RおよびRは各々独立して、H、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり;
は、(C−C10)アシル;P(O)R、C(=O)−R10、C(=S)−R11、S(=O)12、(CH13、窒素保護基、OH、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であるか:または、RおよびRは一緒になって、オキソ置換された窒素含有ヘテロ環を形成し;
は、その存在毎に独立して、H、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリル、(C−C)アルキル−ヘテロアリール、ハロゲン、アシル、SO、−OR、−SR、−NR6a6b、−N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)R、−C(=O)NR6a6b、−C(=O)OR、−C(=O)R、−OC(=O)R、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキル、−O−(C−C)ハロアルキル、−Nまたは−P(O)R[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]として選ばれ;
10およびR11は、各々独立して、H、−OR14、−NR6a6b、NHNHR15、NHOH、CONHNHR15、CO15、CONR15、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオロエニルメトキシ、アダマンチルオキシ、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり;
、R6a、R6b、R、R、R、R12、R14、R15、R16およびR17は、それらの存在毎に各々独立して、H、−OR15、−NR1516、NHNHR16、NHOH、(C−C20)炭化水素、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であるか;または、R6aおよびR6bは、それらが結合している窒素と一緒になって、五、六、または七員環窒素含有ヘテロ環を表し;
13は、NH、OH、−SO16、−NHSO16、C(=O)R17、NH(C=O)R17、−O(C=O)R17、または−P(O)Rであり;mは、1〜10の整数であり;そしてqは、ゼロまたは1〜4の整数であり、但し、Rが−C(=O)Rである時、Rは硫黄側鎖に対してオルト位にはない、方法。
【請求項2】
[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンをまずアルデヒドまたはその多量体および塩基と反応させて、式:
【化88】


で示される[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを生成させ;次いでこの[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを酸で処理して、2,3,4,5−テトラヒドロ[1,4]ベンゾチアゼピンを形成させる[ここで、酸は、スルホン酸またはルイス酸である]、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩基が、アルカリ金属水素化物、水酸化物もしくは炭酸塩、ピリジン、またはトリアルキルアミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
塩基が、NaH、NaOH、KOH、NaCO、KCO、CsCO、EtNまたは(iPr)NEtである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
酸がスルホン酸またはルイス酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
スルホン酸が、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、およびトリフルオロメタンスルホン酸より成る群から選ばれ、ルイス酸が、三フッ化硼素エーテル錯塩、四塩化チタン、塩化アルミニウムおよび塩化亜鉛より成る群から選ばれる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アルデヒドまたはその多量体が、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたは1,3,5−トリオキサンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
が、アセチル、ベンゾイル、トルオイル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、アクリロイル、オキサリルまたは−C(=O)N(R19[式中、各々のR19は、水素、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、もしくはアルキルへテロアリールであるか、または、一緒になって、N(R19は、五、六、もしくは七員環窒素含有ヘテロ環を表す]である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
が、(C−C)炭化水素、ハロゲン、−OR、−SR、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキルまたは−O−(C−C)ハロアルキルであり;そして、RがHまたは(C−C)炭化水素である;または、
Arがフェニルである;または、
およびRが一緒になって、ピロリドン、オキサゾリジノンまたはピペリジノンを形成する;または、
、RおよびRが水素である、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
qが、0または1であり;R、RおよびRが水素であり;
が、式:−C(=O)−R18[式中、R18は、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]で示される(C−C10)アシル、または窒素保護基であり;
が、H、(C−C)炭化水素、ハロゲン、−OR、−SR、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキルまたは−O−(C−C)ハロアルキルであり、
が、Hまたは(C−C)炭化水素であり;そして、方法がさらに、式:
【化89】


で示される化合物を、式:
【化90】


[式中、Mは、H、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である]
で示されるオキサラート化合物に変換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
変換工程が、R基を開裂させて、式:
【化91】


で示される2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを得;その2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを蓚酸エステルでアシル化し;そしてそのエステルを加水分解することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
加水分解工程が、アルカリ金属水素化物、水酸化物もしくは炭酸塩、ピリジン、またはトリアルキルアミンの塩基でエステルを処理し、MがHである時は場合により酸性化することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
塩基が、NaH、NaOH、KOH、NaCO、KCO、CsCO、EtNまたは(iPr)NEtである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
MがHであるオキサラート化合物をその塩に変換する[ここで、Mは、Na、Mg++、Ca++、またはアンモニウムのようなカチオンである]ことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
qが1であり、そしてRが、ベンゾチアゼピン環の7位にあるOCHであり、化合物が、式:
【化92】


[式中、Mは、水素、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である]
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
特に、式:
【化93】


で示される化合物を製造するための方法であり、
ここで、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンは、式:
【化94】


を有し、アルデヒドはパラホルムアルデヒドであり、酸はトルエンスルホン酸または塩酸であり、この反応は、式:
【化95】


で示されるCBZ−保護ベンゾチアゼピンを提供し、
そして、該方法がさらに、
カルボベンジルオキシ基を酸で開裂させて7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを得;
その7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンをクロロ蓚酸メチルでアシル化し;
そのメチルエステルを水性塩基で加水分解し;
酸性化して酸化合物を形成させ;そして、
場合によりその酸化合物を、式:
【化96】


[式中、Mは、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である]
で示される化合物に変換する、
ことを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
がR3aであり、そして、式:
【化97】


で示される[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを、式:RCHOで示されるアルデヒドまたはその多量体、および酸で処理し、式:
【化98】


{式中、R3aは、式:−C(=O)−R18[式中、R18は、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]で示される(C−C10)アシルまたは窒素保護基である}
で示される化合物を生成させることにより、2,3,4,5−テトラヒドロ[1,4]ベンゾチアゼピンを製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
3aを開裂させて、式:
【化99】


で示される4−非置換−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを生成させることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
4−非置換−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンをRXでアシル化し、式:
【化100】


{ここで、
は、(C−C10)アシル;P(O)R、C(=O)−R10、C(=S)−R11、S(=O)12、(CH13、窒素保護基、OH、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であるか;または、RおよびRは一緒になって、オキソ置換された窒素含有ヘテロ環を形成し;そして、
Xは、ハロゲン、(C−C10)アシルオキシ、または活性化エステル残基である}
で示される化合物を生成させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
4−非置換−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを、式:X−CH−COOR’[式中、Xはハロゲンであり、R’はアルキルである]で示される化合物と反応させ、式:
【化101】


で示されるエステル化合物を形成させ、このエステルを加水分解して、式:
【化102】


で示される化合物を形成させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
3aが、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、置換ベンジルオキシカルボニルまたはフルオレニルメトキシカルボニルである;または、RXが、酸塩化物、酸無水物、活性化エステル、クロロホルマートもしくはカルバミン酸クロリドである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
式:
【化103】


{式中、R3aは、−C(=O)−R18[式中、R18は、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]である}
で示される化合物を、式:HN(R19[式中、各々のR19は、水素、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、もしくはアルキルへテロアリールであるか、または、一緒になって、N(R19は、五、六、もしくは七員環窒素含有ヘテロ環を表す]で示されるアミンで処理して、式:
【化104】


で示される化合物を形成させることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーン化合物が、式:
【化105】


を有し、それを、
(i)ホルムアルデヒドおよび酸と反応させて、式:
【化106】


で示される保護ベンゾチアゼピンを形成させる、または、
(ii)ホルムアルデヒドおよび塩基と反応させて、式:
【化107】


で示される[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]ベンゼンを形成させ、そして、
この[N−ヒドロキシメチル−2−(アシルアミノエチル)チオ]ベンゼンをさらに酸と反応させて、式:
【化108】


[式中、
3aは、式:−C(=O)−R18で示される(C−C10)アシルまたは窒素保護基であり;
5aは、H、(C−C)炭化水素、ハロゲン、−OR、−SR、−NO、−CN、−(C−C)ハロアルキルまたは−O−(C−C)ハロアルキルであり;
は、Hまたは(C−C)炭化水素であり;そして、
18は、H、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、置換ベンジルオキシ、フルオレニルメトキシまたはアダマンチルオキシである]
で示される保護ベンゾチアゼピンを得る、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
3a基を開裂させて、式:
【化109】


で示される化合物を得る工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
4−非置換−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]ベンゾチアゼピンを、RXでアシル化し、式:
【化110】


{ここで、
は、(C−C10)アシル;P(O)R、C(=O)−R10、C(=S)−R11、S(=O)12、(CH13、窒素保護基、OH、(C−C)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−シクロアルキル、(C−C)アルキル−ヘテロシクリルまたは(C−C)アルキル−ヘテロアリール[ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびへテロアリールの各々は、場合により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノおよびハロアルキルより成る群から独立して選ばれる1〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり:そして、
Xは、ハロゲン、(C−C10)アシルオキシ、または活性化エステル残基である}
で示される化合物を得る工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
【化111】


を、
【化112】


[式中、Mは、H、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である]
に変換することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
3a基を開裂させて2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを得、その2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピンを蓚酸エステルでアシル化し、そのエステルを加水分解することにより、変換を達成する;
そして/または、
加水分解工程が、エステルを塩基で処理し、MがHである時は場合により酸性化し[ここで、塩基は、アルカリ金属水素化物、水酸化物もしくは炭酸塩、ピリジン、またはトリアルキルアミンである]、場合により、MがHである得られた化合物をその塩に変換する[ここで、Mはカチオンである]ことを含む、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
式:
【化113】


で示される化合物を、場合により塩基の存在下で、式:
【化114】


で示される化合物と反応させて、式:
【化115】


で示される化合物を得、その後、式:RXで示される化合物と反応させる[式中、LGは、チオールによる求核置換のための脱離基であり、Xは、アミンによる求核置換のための脱離基である]ことにより、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを製造することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
LGが、ハロゲンまたはスルホナートであり、塩基が、アルカリ金属水素化物、水酸化物もしくは炭酸塩、ピリジンまたはトリアルキルアミンであり、そしてRXが、酸塩化物、酸無水物、活性化エステル、クロロホルマートまたはカルバミン酸クロリドである[ここで、スルホナートは、メタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、ニトロフェニルスルホナートおよびブロモフェニルスルホナートより成る群から選ばれ、そして、ハロゲンは、クロロ、ヨードおよびブロモより成る群から選ばれる]、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
式:
【化116】


で示される化合物を、場合により塩基の存在下で、式:
【化117】


[式中、LGは、チオールによる求核置換のための脱離基である]
で示される化合物と反応させることにより、[2−(アシルアミノエチル)チオ]アレーンを製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
LGが、ハロゲンまたはスルホナートであり、塩基が、アルカリ金属水素化物、水酸化物もしくは炭酸塩、ピリジンまたはトリアルキルアミンである[ここで、スルホナートは、メタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、ニトロフェニルスルホナートおよびブロモフェニルスルホナートより成る群から選ばれ、そして、ハロゲンは、クロロ、ヨードおよびブロモより成る群から選ばれる]、請求項30に記載の方法。

【公表番号】特表2011−514904(P2011−514904A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549813(P2010−549813)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/035863
【国際公開番号】WO2009/111463
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(510238616)アームゴ・ファーマ・インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ARMGO PHARMA,INC.
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】