説明

「非回収」または「熱回収」コークス炉において高膨張圧炭混合物をコークス化するための方法および装置

本発明は、「非回収」または「熱回収」コークス炉において高膨張圧炭をコークス化するための方法に関し、それによって石炭の周期的なコークス化のため、一列に配置されたコークス炉室から構成されるコークス炉室列が使用され、高温まで予熱された多量の石炭がコークス炉に導入され、コークス化によって生じる膨張圧がコークスケーキ上方のガス区画に放出されてコークス炉室を囲むコークス炉室壁面がコーキング中に生じる膨張圧から開放されるような装填高さに装填される。本発明は、この方法を実行できる装置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「非回収」または「熱回収」コークス炉において高膨張圧炭をコークス化するための方法に関し、それにより石炭の周期的なコークス化のため、一列に配置されたコークス炉室から構成されるコークス炉室列が使用され、一定の温度まで予熱された多量の石炭が装填対象のコークス室に導入され、コークス化によって生じる膨張圧がコークスケーキ上方のガス区画に放出されてコークス炉室を囲むコークス炉室壁面がコーキング中に生じる膨張圧から開放されるような装填高さに装填される。本発明は、この方法を実行できる装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
石炭のコークス化の間に、膨張圧として知られる相当な圧力が生じる。これはコークス炉室壁面に作用し、コークス炉室壁面が相当な機械的応力にさらされる。コークス炉室壁面には、アンカー台、壁面保護物、炉室フレーム、バイアスばね、およびアンカーで構成される複雑なクロスアンカー装置がしばしば備え付けられる。コークス炉室壁面用クロスアンカー装置の一例は、国際公開第2009141086A1号パンフレットに見られる。
【0003】
膨張圧は、揮発性石炭成分とタールの分離および塑性領域の合流によるタールの溝の形成によって、石炭のコークス化の間にいわゆるコークスケーキの塑性領域に生じる。膨張圧は内部ガス圧力として知られるものによってもたらされ、石炭の膨張および収縮に関連して生じる。高温のコークス炉室壁面によってコークスは最初に壁面近くで生じるため、内部ガス圧力はすでにコークス化した石炭によってコークス炉室壁面に作用する。石炭のコークス化の間に、コークス炉室壁面を損傷させるに十分な膨張圧が生じることがある。経験により、二回の装填の間の期間として定義される運転時間の約75%時に最高膨張圧に到達する。クロスアンカー装置のバイアスばねが膨張圧を吸収する役目を果たすため、それらに高度に圧縮応力を与え、膨張圧によるコークス炉室壁面の損傷を防止するため、たびたび正確に調整しなければならない。
【0004】
このことは、相当な出費をともなう。さらに、クロスアンカー装置が適切に調整されていなかったり、炉の耐用期間を通じてメンテナンスされていなかったりすると、膨張圧の影響によって、コークス炉室壁面を頻繁に補修しなければならない。膨張圧の大きさは主として石炭の種類または石炭の混合物の種類に使用される石炭の種類に依存するため、コークス化に使用できる石炭の種類はしばしば厳しく制限される。そのため、意図した用途に特に適した石炭を当初からコークス化に使用することができない。コークス化する石炭に添加物を導入することによって膨張圧を下げることもできる。これら添加物の例には揮発性成分の含有量が多いコークスブリーズおよび不活性の暗炭がある。しかし、本利用方法に好ましくない効果を及ぼすこともあるため、添加物の導入は必ずしも好ましくない。最後に、コークス化速度は、含水率、揮発性石炭成分含有量、装填高さ、および装填重量にも依存する。
【0005】
また装填の際、供給される石炭は、円錐形装填を均一な高さの炉内装填に変えるため、装填後に機械的レベリングバーによって常に均さなければならない。これによってコークス化過程が均質化される。レベリングバーは、炉扉のレベリングホールから横方向に炉内へ導入される。これによって複雑な設計および建造が必要となる。
【0006】
したがって、現在の課題は、高膨張圧炭のコークス化方法を開発し、それによって過度な膨張圧を避ける必要がなく、使用する石炭が自由に選べるようにすることである。含水率、揮発性石炭成分含有量、装填重量、層高さ、石炭の種類、使用する石炭の種類のマセラルグループ、およびコークス化条件の選択が、コークス化において影響を及ぼすべきではない。またその際、コークス化方法をより経済的にするため、レベリング扉やクロスアンカー等の複雑な部品の設計および建造は不要とすべきである。
【0007】
本発明は、「非回収」または「熱回収」コークス炉における高膨張圧炭のコークス化方法のこの課題を解決し、それによって
・石炭の周期的なコークス化のため、一列に配置されたコークス炉室から構成されるコークス炉室列が使用され、
・コークス炉室は、適切な輸送設備によって石炭がコークス炉室に装填される石炭ホッパから装填され、
・石炭は不活性ガス下で100〜400℃の温度に昇温され、そして石炭は不活性ガス下でコークス炉室に装填され、
・予熱された量の石炭は、コークス化の膨張圧がコークスケーキ上方のガス区画に逃げうるように、付加的なレベリングなしで一定の装填高さになるよう装填対象のコークス炉室に入れられ、そして
・石炭は、コーキングサイクルの過程において、指定されたコークス炉室内でコークスに変換される。
【0008】
予熱炭のコークス炉室への装填、そのため石炭が最初に100〜400℃の温度に加熱されることにより、一部の揮発性成分が既に放出され、加熱が密閉された環境で行われ、燃焼によってコークスが失われることのない状況が可能となる。さらに、予熱炭が、輸送手段を用い、「熱回収」または「非回収」コークス炉列のコークス炉カバーを通して装填されるため、一定の装填高さが維持され、膨張圧がコークスケーキ上方のガス区画に逃げうる。
【0009】
100℃〜400℃の高温において、石炭は流体的流動特性によって特徴付けられる擬似流体状態に到達し、コークス炉列は特に効率的で均一な方法で装填できる。これによってコークス化方法の管理が簡略化され、コークスの品質が大幅に改善される。
【0010】
同時に、石炭の揮発性成分の大部分が、炉が装填される前すでに外部装置内で放出されているため、「熱回収」または「非回収」コークス炉における石炭のコークス化に要する運転時間が大幅に削減される。このように、この方策によって「熱回収」または「非回収」コークス化方法のコスト効率が高まる。
【0011】
さらに、装填の間に複雑な設計および建造によるレベリング扉開口やクロスアンカーが不要であり、この方法のコスト効率は大幅に高まる。
【0012】
「熱回収」または「非回収」コークス炉列は、その建造方法がこの設計の代表的な建造方法において、コークス化ガスの部分燃焼を意図したコークスケーキ上方のガス区画を考慮に入れているため、この方法に適している。この設計以外のコークス炉はオフガスのための区画を持っていないか、非常に小さい区画しか持っていないため、膨張圧をただちに解放することはできない。「熱回収」または「非回収」設計のコークス炉例のリストおよび説明は、米国特許第4344820A号明細書、米国特許第4287024A号明細書、米国特許第5114542A号明細書、英国特許出願公開第1555400A号明細書、または加国特許第2052177C号明細書に見られる。加熱によって石炭に含まれている水分も放出される。このように、コークス化は装填および加熱の直後に開始できる。
【0013】
熱回収およびコークス化方法の改善のために石炭を加温することは既に知られている。独国特許出願公開第4204578C2号明細書には高温生ガスからの熱回収によって供給炭を乾燥および予熱する方法が説明されており、それは湿った供給炭を、700〜900℃の運転温度から約550℃の出口温度まで冷却される生ガスと対向流手段で直接接触させることを特徴とする。この方法は主に水平室コーキングのエネルギー効率の改善に役立ち、それによってコークスおよび生ガスからできる限り顕熱が取り去られ、石炭によって方法に再導入される。石炭は、石炭の状態および含水率に依存して、まず予備乾燥され、次いで予熱される。このように予備乾燥および予熱は広い限界内で設定できる。
【0014】
独国特許出願公開第2706026A1号明細書には、予熱された供給炭をコークス化室に運搬する方法および方法を実施するためのシステムが説明されており、それにより供給炭は、1つまたは数個の計量貯蔵容器から窒素等の加圧された、中性の輸送媒体によってコークス化室の中央上方に空気力学的に装填され、そして輸送媒体は排気分配装置中で供給炭から分離され、次いで重力によって1つ以上のパイプシュートそしてコークス化室内に分配される。最新技術によれば、予熱された石炭の温度は100〜280℃でよい。
【0015】
しかし、その方法は、不活性ガス下、石炭が高温で装填できる「熱回収」または「非回収」コークス炉列の使用について言及していない。予熱炭の使用によって、どのように膨張圧が打ち消されるかについては説明されていない。パイプシュートが使用される唯一の輸送手段として示されている。しかし、この発明について、密封環境で石炭をコークス炉室に装填できる、予熱炭の任意の輸送手段が理論的に利用できる。
【0016】
石炭についての本発明の方法の実行にとって、石炭の種類に応じて均一な装填ができるように、擬似流体状態に到達することが重要である。さらに、含水率、揮発性石炭成分含有量、装填重量、層高さ、石炭の種類、石炭のマセラルグループ、予熱によるコークス化速度および均一な装填はもはや影響を及ぼさない。
【0017】
本方法において、予熱された石炭は種々の方法で製造できる。本発明の好適な実施形態において、石炭はコークス炉列の一つに割り当てられた石炭ホッパのうちの一つから取り出される。予熱は、たとえば中間コンテナの中で行える。これはホッパ、ボックス、またはコーンの形でよい。高温固体輸送用パイプは、最新技術においてよく知られている。本発明の一実施形態において、コークス炉室は不活性ガス下においてパイプを介して石炭ホッパから予熱された石炭を装填される。石炭はパイプ内の予熱によっても有利に供給できる。この方法において、加熱は不活性ガス下で生じ、それによってパイプは石炭を加熱できる装置を備えている。脱ガス装置または分配器はパイプ中の任意の位置に置くことができる。これらは遮断装置を備えることができ、たとえばバルブまたはスライドがこれに適する。
【0018】
コークス炉室は不活性ガスの存在下において、コンベヤベルトを介しても石炭ホッパから予熱された石炭を装填できる。予熱は、たとえば中間コンテナの中で行える。これはホッパ、ボックス、またはコーンの形とすることができる。高温固体輸送用コンベヤベルトは、最新技術においてよく知られているところである。石炭はコンベヤベルト上でも予熱できる。コンベヤベルトまたはコンベヤベルトのハウジングは、本方法のこの実施形態によれば、石炭を加熱できる装置を備えている。本発明の可能な一つの実施形態において、ハウジングは不活性ガスを導入するための接続部を備えている。
【0019】
予熱炭は、その内部で石炭が予熱される石炭ホッパまたは石炭コンテナからも供給できる。この目的を達成するため、石炭ホッパまたは中間コンテナとしても設計できるコンテナは石炭を加熱する装置を備えている。たとえば石炭ホッパまたはコンテナ内の石炭は、蒸気、排ガス、加熱された空気等の高温媒体がその内部を流れる熱コイルによって加熱できる。
【0020】
加熱コイルは任意の形式とすることができ、たとえばパイプラインまたはラジエータが考えられる。高温移動媒体は加熱コイルを貫流する。それらは任意の種類とすることができ、高温で加熱コイルを貫流する。その温度は任意のレベルでよい。本発明の有利な実施形態においては、その温度は200℃超である。
【0021】
本発明の一実施形態において、石炭ホッパまたはコンテナからコークス炉室への予熱炭の装填は、不活性ガス下の装炭車によって実施される。そのため、石炭は石炭ホッパ、コンテナ、または装炭車内で加熱できる。たとえば、予熱炭は不活性ガス下の装炭車から供給でき、それにより石炭は装炭車内で加熱される。もし装炭車内で加熱するとすれば、装炭車は石炭を加熱するための装置を備えている。これらは装炭車のどの位置に設けてもよい。装炭車は、装填装置とコークス炉室を装填するための排出接合部を備えている。コークス炉室装填用装炭車は、最新技術においてよく知られているところである。コークス炉の炉蓋の装填口フレームからカバーを持ち上げる装置を備えた装炭車の実施例が国際公開第2009097984A2号パンフレットに見られる。
【0022】
本発明の代表的な実施形態において、コークス炉室は装炭車から予熱炭を装填され、それにより装炭車は不活性ガス下で石炭を運搬するパイプラインまたはコンベヤベルトと装填される装填孔の間に運河のような接続を確立している。
【0023】
本発明の一設計において、石炭を加温するために流動床が用いられる。この方法において、流動は加熱された不活性ガスまたは400℃まで冷却された後の最終炉下降管からの低酸素ガスによる。そのようなガスは、その後に最終炉の上部炉または下部炉に戻すことができる。流動床内の熱コイルを使うこともできる。
【0024】
不活性ガスは窒素、ヘリウム、またはアルゴンでよい。石炭またはコークスは不活性ガス下ここで加熱される。加熱中の石炭の燃焼を避けることが必要である。不活性ガス下で石炭を取り扱うのは、石炭が加熱される場合のみ必要である。本方法において、不活性ガス下で取り扱うということは、石炭を加え、燃焼すなわち石炭と空気の過度の反応を妨げるに足る量の不活性ガスで石炭を覆うことを意味していると理解される。
【0025】
石炭は上述の任意の輸送手段または貯蔵手段において任意の方法で加熱できる。したがってバーナまたは高温ガスを使用できる。高温ガスは直接または間接熱交換によって石炭を加熱できる。たとえば、石炭は、誘導、マイクロ波、またはアーク加熱によっても加熱できる。これらの加熱の種類は、最新技術においてよく知られているところである。この実施例は、独国特許出願公開第2812520A1号明細書、英国特許出願公開第1089092A号明細書、米国特許出願公開第4389283号明細書に見られる。石炭は100〜400℃に予熱される。
【0026】
コークス炉室への高温石炭の装填点は、本発明の一実施形態において、コークス炉カバーの1〜4個の装填孔を通して行われる。本方法において、装炭車はコークス炉室のカバーに沿って移動し、石炭を不活性ガスで覆った状態でのコークス炉室の装填を可能とする。加熱炭の装填または輸送は一時的でも永続的でもよい。これは一般的に所定の操業計画にもとづいて行われる。
【0027】
本発明の一実施形態において、コークス炉室への高温石炭の装填はコークス炉室カバーの1〜4個の装填孔を通して行われる。コークス炉装炭車はコークス炉室のカバーに沿って移動し、石炭を運搬するパイプラインと装填される装填孔との間の接続パイプラインを、不活性ガス雰囲気なしに確立するだけでコークス炉室の装填を可能とする。この目的を達成するため、少なくとも二つのスライドまたは他の付属器具を作動させる。加熱炭は一時的または永続的に装填または輸送してよい。これは一般的に所定の運転計画に基づいて行われる。
【0028】
本発明の一実施形態において、石炭を加熱するのに役立つ媒体は石炭塔近くのコークス炉列の最終部の炉1〜6から取り出され、冷却後に送り戻される。
【0029】
本発明の課題は、
・コークス炉室カバーを通して装填されることを必要とする多数のコークス炉室を備えたコークス炉列またはコークス炉群と、
・コークス炉列またはコークス炉群のカバーの頂部に沿って移動でき、少なくとも1つのコークス炉室に装填できる装炭車と、
・装炭車に装填できる石炭ホッパと
を含み、それにより
・装炭車には適切な装置によって不活性ガスを満たすことができ、それにより、装炭車は、空気が入らず、燃焼することなしにコークス炉室を装填できる石炭装炭接続口を備えており、また
・装炭車は石炭を加熱する装置を備えている、
先行する請求項の何れか1項に記載の方法を用いる、「非回収」または「熱回収」コークス炉列において高膨張圧炭をコークス化するための装置によっても解決される。
【0030】
本装置の一実施形態において、装炭車は不活性ガス用のシール可能な供給コンテナを備える。
【0031】
本方法のさらなる実施形態において、装填対象のコークス炉室が装炭車から予熱炭を装填され、それにより装炭車が不活性ガス下で石炭を運搬するパイプラインまたはコンベヤベルトと装填対象の炉装填孔の間に運河のような接続を備えており、コンベヤベルト、装炭車、および装填孔の接続をスライド、バルブ、バケットコンベヤ、スクリュコンベヤ、その他の接続器具等、少なくとも2つのシール可能な接続金具によって分離することができる。
【0032】
装炭車は加熱するための装置を備えている。これは最新技術によってバーナ、高温ガスの供給接続部等のより簡単な装置とすることができる。これは装炭車内において誘導、マイクロ波、またはアーク加熱によっても行える。装炭車は少なくとも一つのシールできる不活性ガス用供給接続部を備えることができる。装炭車はシールできる不活性ガス用供給コンテナを備えることができる。
【0033】
本発明は、コーキング中のコークス炉室における膨張圧の増加を避ける方法でコークス炉室の装填を果たすという利点を有する。このことによってコークス化方法のコスト効率がさらによくなる。さらに、過剰な含水率および石炭の揮発性成分の不都合な含有量によって生じる不利益が避けられる。
【0034】
本発明の利点は以下のとおりである。
・二つの装填プロセス間の運転時間が大幅に削減され、設備収入が増加してコスト効率向上につながる。
・従来型の水平室炉では使用できなかった高膨張圧炭で、そのためより安価で入手できる石炭が、いかなる損傷も生じる危険なしに利用できる。
・高価なクロスアンカー装置が不要になるため、設計および建造の複雑性が減少する。
・そうでなければ必要になる、高価なレベリング装置も不要になる。
【0035】
本発明の装置を、本発明の可能な実施形態のみを描いた、二つの図を用いてより正確に説明する。図1は、本発明によるコークス炉列および装填用装炭車を示す。図2は、本発明による装炭車を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】例として合計8つの「熱回収」または「非回収」型コークス炉室(2)から成るコークス炉列(1)を示す。
【図2】装填用開口(14)および石炭(9)が予熱できる二つの加熱装置(10a、10b)を備えた装炭車(7)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、例として合計8つの「熱回収」または「非回収」型コークス炉室(2)から成るコークス炉列(1)を示す。コークス炉室(2)はコークス炉カバー(4)の装填孔(3)を通して装填される。コークス炉室(2)のうち二つが前回の荷を排出した後の開放位置に描かれており、それにより、引き上げられたコークス炉室扉(5)がコークス炉室開口(6)の上方に位置している。コークス炉室(2)は、コークス炉列(1)のカバー(4)に沿ってガイドレール(8)上を移動し、装填対象のコークス炉室(2)の上方に位置し、装填対象のコークス炉室(2)に排出ノズルを介して高温、予熱炭(9)を装填する装炭車(7)によって装填される。コークスは、加熱装置(10)を備えた装炭車(7)内で加熱される。装炭車(7)は、装炭車レベルより上方に位置する石炭ホッパ(11)から装填される。装填は、石炭ホッパ(11)内でも石炭(13)を取り囲んでいる不活性ガス下で行われる。石炭(9)が装填対象のコークス炉室(2)まで燃焼せずに運搬できるように、装炭車(7)も不活性ガス(12)下に置くことができる。
【0038】
図2は、装填用開口(14)および石炭(9)が予熱できる二つの加熱装置(10a、10b)を備えた装炭車(7)を示す。装炭車(7)の下部には、それを通って高温、予熱炭(9)が装填されるコークス炉室(2)に装填できる排出ノズル(15)がある。高温、予熱炭(9)が燃焼せずに運搬できるように、装炭車(7)は不活性ガス(16)用供給コンテナを備えている。案内車輪(17)によって、車はガイドレール(8)に沿って移動できる。
【符号の説明】
【0039】
1.コークス炉列
2.コークス炉室
3.装填孔
4.コークス炉室カバー
5.コークス炉室扉
6.コークス炉室開口
7.装炭車
8.ガイドレール
9.高温、予熱炭
10.上部加熱装置
10a.下部加熱装置
10b.加熱装置
11.石炭ホッパ
12.不活性ガス
13.石炭
14.コークス車装填用開口
15.装炭車用排出ノズル
16.不活性ガス用供給コンテナ
17.案内車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
「非回収」または「熱回収」コークス炉列(1)において高膨張圧炭(13)をコークス化するための方法であって、
・一列に配置されたコークス炉室(2)から構成されるコークス炉列(1)が石炭(9)の周期的なコークス化に用いられ、
・前記コークス炉室(2)が、適切な運搬装置を用いて前記石炭(13)を前記コークス炉室(2)内まで装填できる石炭ホッパ(11)によって装填される方法において、
・前記石炭(9)が不活性ガス(12)下で100〜400℃の温度に昇温され、前記量の石炭(9)が不活性ガス(12)下で装填対象の前記コークス炉室(2)に装填され、
・前記予熱炭(9)が、前記コークス化の膨張圧がコークスケーキ上方のガス区画に逃げうるように、付加的なレベリングなしで一定の装填高さで装填対象の前記コークス炉室(2)に入れられ、
・前記石炭(9)がコーキングサイクルの間に所定の前記コークス炉室(2)内でコークスに変換できることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記コークス炉室(2)への前記予熱炭(9)の装填が石炭ホッパ(11)から不活性ガス(12)下のパイプラインを介して行われることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記予熱炭(9)が前記パイプライン内の予熱を経て供給されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記コークス炉室(2)への前記予熱炭(9)の装填が石炭ホッパ(11)から不活性ガス(12)下のコンベヤベルトを介して行われることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記予熱炭(9)が前記コンベヤベルト上での予熱を経て供給されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記予熱炭(9)が流動床での予熱を経て供給されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記予熱炭(9)が前記石炭(13)が予熱される石炭コンテナ(11)から供給されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記石炭(13)が蒸気、排ガス、生コークス炉ガス、加熱空気、またはこれら媒体の混合物等の高温媒体の貫流する熱コイルを介して前記石炭コンテナ(11)内で加熱されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法において、前記石炭を加熱する役目を果たす前記媒体がコークス炉列(1)の石炭塔近くの炉1〜6から運ばれ、冷却後に炉(2)に戻されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記コークス炉室(2)が不活性ガス(12)下の装炭車(11)からの前記予熱炭(9)で装填されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の方法において、前記コークス炉室(2)が装炭車(7)からの前記予熱炭(9)で装填され、それにより前記装炭車(7)が不活性ガス(12)下で石炭(13)を運搬するパイプラインまたはコンベヤベルトと装填対象の装填孔(3)の間に運河のような接続(14,15)を確立していることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、装炭車(7)からの前記予熱炭(9)が不活性ガス(12)下で供給され、それにより前記石炭(13)が前記装炭車(7)内で加熱されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法において、前記不活性ガス(12)が窒素、ヘリウム、またはアルゴンであることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法において、前記石炭(13)が誘導、マイクロ波、またはアーク加熱によって加熱されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか1項に記載の方法において、前記石炭(13)が100〜400℃の温度まで加熱されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載の方法において、前記コークス炉室(2)が前記コークス炉カバー(4)の1〜4個の装填孔(3)を介して前記高温炭(9)を装填されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1乃至16請求項の何れか1項に記載の方法を用いる、「非回収」または「熱回収」コークス炉列(1)で高膨張圧炭(13)をコークス化するための装置であって、
・前記コークス炉室カバー(4)を通して装填対象の複数のコークス炉室(2)を備えたコークス炉列(1)またはコークス炉群(1)と、
・前記コークス炉列(1)または群(1)のカバー(4)に沿って移動でき、少なくとも1つのコークス炉室(2)に装填できる装炭車(7)と、
・前記装炭車(7)へ石炭(13)を装填できる石炭ホッパ(11)と
を含む装置において、
・前記装炭車(7)が適切な装置(16)を介して不活性ガス(12)を装填でき、それにより前記装炭車(7)が密閉環境で燃焼することなく前記コークス炉室(2)に装填できる石炭供給接続口(16)を備えていることと、
・前記装炭車(7)が石炭(9)を加熱するための装置を備えていることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置において、前記装炭車(7)が前記不活性ガス(12)用のシール可能な供給コンテナ(16)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項17に記載の装置において、前記コークス炉室(2)が装炭車(7)から前記予熱炭(9)を装填され、それにより前記装炭車(7)が、不活性ガス(12)下で石炭(13)を運搬するパイプラインまたは前記コンベヤベルトと装填対象の前記炉装填孔(3)との間に運河のような接続(14,15)を確立し、前記コンベヤベルトと装炭車(7)と装填孔(3)との接続(14,15)を少なくとも2つのシール可能な接続金具によって分離することができることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−521349(P2013−521349A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555314(P2012−555314)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000508
【国際公開番号】WO2011/107198
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(502099418)ティッセンクルップ ウーデ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Uhde GmbH
【住所又は居所原語表記】Friedrich−Uhde−Strasse 15, D−44141 Dortmund, Germany
【Fターム(参考)】