うね立て施肥作業機
【課題】施肥ノズルの溝跡によるうねの外観低下や、水たまりの発生を防止する。
【解決手段】走行機体1に連結して使用され、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機3であって、土壌を耕耘する耕耘部4と、耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部5と、成形されたうねの中に施肥ノズル6を介してペースト肥料を吐出する施肥部7とを備え、うね立て成形部5は、うねの上面を成形する天板11を有し、該天板11の後端部に、施肥部7の施肥ノズル6と、施肥ノズル6の溝跡を消す溝消し部材23とを設けた。
【解決手段】走行機体1に連結して使用され、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機3であって、土壌を耕耘する耕耘部4と、耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部5と、成形されたうねの中に施肥ノズル6を介してペースト肥料を吐出する施肥部7とを備え、うね立て成形部5は、うねの上面を成形する天板11を有し、該天板11の後端部に、施肥部7の施肥ノズル6と、施肥ノズル6の溝跡を消す溝消し部材23とを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタなどの走行機体に連結して使用され、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機が知られている。例えば、特許文献1に示されるうね立て施肥作業機は、土壌を耕耘する耕耘部と、耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部と、成形されたうねの中に施肥ノズルを介してペースト肥料を吐出する施肥部とを備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−69831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のうね立て施肥作業機では、うね立て成形部の前側に施肥ノズルを配置しているので、施肥深さの変動により、施肥精度が低下する惧れがあった。例えば、うね立て成形部の天板を上下動自在に構成し、この天板を任意の上下位置に固定した状態や、上下動を許容する状態でうね立て施肥作業を行うものでは、天板の上下位置変動に応じて、うねの上面と施肥ノズルの位置関係が変化するので、施肥深さが変動し、施肥精度が低下する可能性がある。
【0005】
そこで、うね立て成形部の後側に施肥ノズルを配置することも考えられるが、うね立て成形部の後側で施肥を行うと、うねの上面に施肥ノズルの溝跡が残るので、うねの外観が低下するだけでなく、溝跡に水が溜まって作物の成育に悪影響を及ぼす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、走行機体に連結して使用され、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機であって、土壌を耕耘する耕耘部と、耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部と、成形されたうねの中に施肥ノズルを介してペースト肥料を吐出する施肥部とを備え、前記うね立て成形部は、うねの上面を成形する天板を有し、該天板の後端部に、施肥部の施肥ノズルと、施肥ノズルの溝跡を消す溝消し部材とを設けたことを特徴とする。
また、前記施肥ノズル及び溝消し部材を、うね立て成形部の天板に対して左右位置調節自在に取り付けたことを特徴とする。
また、前記施肥ノズルを、うね立て成形部の天板に対して上下位置調節自在に取り付けると共に、溝消し部材を、施肥ノズルの上下位置調節に拘わらず、天板に対して一定の上下位置を維持可能としたことを特徴とする。
また、前記溝消し部材に、うねの上面に苗移植位置又は播種位置を示すラインを引くマーカ部材を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、天板の後端部に、施肥部の施肥ノズルを取り付けたので、たとえ、うね立て成形部の天板を上下動自在に構成し、この天板を任意の上下位置に固定した状態や、上下動を許容する状態でうね立て施肥作業を行うものであっても、天板の上下動に施肥ノズルを追従させることができ、その結果、うねの上面と施肥ノズルの位置関係が変化することを抑制し、施肥深さの変動による施肥精度の低下を防止することができる。さらに、天板の後端部には、施肥ノズルの溝跡を消す溝消し部材が設けられているので、施肥ノズルの溝跡によるうねの外観低下や、水たまりの発生を防止することができる。
また、請求項2の発明によれば、施肥ノズル及び溝消し部材を、うね立て成形部の天板に対して左右位置調節自在に取り付けたので、植付条間などに応じて施肥ノズル及び溝消し部材の左右位置を任意に設定することができる。
また、請求項3の発明によれば、施肥ノズルを、うね立て成形部の天板に対して上下位置調節自在に取り付けたので、作物の種類などに応じて施肥深さを任意に設定することができる。しかも、溝消し部材を、施肥ノズルの上下位置調節に拘わらず、天板に対して一定の上下位置を維持可能としたので、施肥ノズルの上下位置調節に拘わらず、施肥ノズルの溝跡を確実に消すことができる。
また、請求項4の発明によれば、溝消し部材に、うねの上面に苗移植位置又は播種位置を示すラインを引くマーカ部材を取り付けたので、施肥ノズルの溝跡を消しても、苗移植位置や播種位置を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】トラクタに連結されたうね立て施肥作業機の側面図である。
【図2】昇降リンク機構の側面図である。
【図3】耕耘部の側面図である。
【図4】うね立て成形部及び施肥部の平面図及びうねの断面図である。
【図5】うね立て成形部及び施肥部の部分平面図である。
【図6】(A)は図5のA−A断面図、(B)は図5のB−B断面図である。
【図7】うね高さをH1、施肥深さをL1とした場合の説明図である。
【図8】うね高さをH2、施肥深さをL2とした場合の説明図である。
【図9】うね高さをH2、施肥深さをL3とした場合の説明図である。
【図10】うね高さをH2、施肥深さをL4とした場合の説明図である。
【図11】うね高さをH2、施肥深さをL5とした場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1はトラクタの走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介してうね立て施肥作業機3が連結されている。うね立て施肥作業機3は、うね立て及び施肥を同時に行う作業機であり、図3〜図11に示すように、土壌を耕耘する耕耘部4と、耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部5と、成形されたうねの中に施肥ノズル6を介してペースト肥料を吐出する施肥部7とを備えて構成されている。
【0010】
耕耘部4は、単独でも使用可能なロータリ耕耘作業機からなり、うね立て作業を行う場合は、リヤカバー8を跳ね上げ位置に保持すると共に、耕耘部ツールバー9にうね立て成形部5が装着される。
【0011】
うね立て成形部5は、耕耘部4の後方に配置され、耕耘土をうね立てする左右一対のうね立て板10を備える。また、うね立て成形部5には、うねの上面を成形する天板11も設けられている。天板11は、上端部を支点として上下回動自在に構成されると共に、うね高さ調節ロッド12により任意の上下位置に固定した状態や、上下動を許容する状態でうね立て作業を行うことが可能となっている。
【0012】
施肥部7は、耕耘部4の上部に取り付けられる肥料タンク13や施肥ポンプ14と共にペースト施肥装置を構成している。施肥ポンプ14は、肥料タンク13に貯溜されたペースト肥料を吸引すると共に、吸引したペースト肥料を、施肥ホース15を介して施肥部7の施肥ノズル6に圧送する。これにより、施肥ノズル6は、成形されたうねの中にペースト肥料を吐出することが可能になる。尚、本実施形態の施肥部7は、図4に示すように、苗植付条毎(又は播種条毎)に左右2本の施肥ノズル6を有し、苗植付条の直下を避けて苗植付条の左右両側方に所定の深さでペースト肥料を施すように構成されている。
【0013】
うね立て施肥作業機3に施肥部7を取り付けるにあたり、本発明においては、施肥部7をうね立て成形部5の天板11に取り付けている。このようにすると、うね立て成形部5の天板11を上下動自在に構成し、この天板11を任意の上下位置に固定した状態や、上下動を許容する状態でうね立て施肥作業を行うものであっても、天板11の上下動に施肥ノズル6を追従させることができるので、うねの上面と施肥ノズル6の位置関係が変化することを抑制し、施肥深さの変動による施肥精度の低下を防止することができる。以下、うね立て成形部5の天板11に対する施肥部7の具体的な取付構造について説明する。
【0014】
施肥部7は、天板11の左右中央部に立設される施肥部ブラケット16に取り付けられる左右一対の第一ホルダ17と、第一ホルダ17から左右に延出する施肥部ツールバー18と、施肥部ツールバー18に取り付けられる左右一対の第二ホルダ19と、各第二ホルダ19に取り付けられる左右一対のノズルブラケット20と、各ノズルブラケット20に取り付けられる施肥ノズル6とを備えて構成されている。
【0015】
第一ホルダ17は、施肥部ブラケット16に対して上下2本の取付ボルト21を介して取り付けられる。ここで、施肥部ブラケット16には、上下方向に所定の間隔を存して4つの取付孔16aが形成されており、使用する取付孔16aの選択的な変更により、天板11に対する施肥部7の取付位置を上下2段階に調節することが可能となっている。このようにすると、天板11に対する施肥部7の上下位置調節にもとづいて、施肥ノズル6の施肥深さを任意に変更することができる。
【0016】
また、ノズルブラケット20は、第二ホルダ19に対して上下2本の取付ボルト22を介して取り付けられる。ここで、ノズルブラケット20には、上下方向に所定の間隔を存して7つの取付孔20aが形成されており、使用する取付孔20aの選択的な変更により、施肥部7に対する施肥ノズル6の取付位置を上下4段階に調節することが可能となっている。このようにすると、天板11に対する施肥部7の上下位置調節及び施肥部7に対する施肥ノズル6の上下位置調節にもとづいて施肥深さを多段階(8段階=2段階×4段階)に設定することができる。
【0017】
さらに、施肥部7には、溝消し部材23が設けられている。溝消し部材23は、施肥ノズル6がうねの上面に形成する溝跡を消すための部材であり、例えば、施肥ノズル6の後方でうねの上面を滑走するソリ状の均し板により構成される。このような溝消し部材23を設けると、施肥ノズル6の溝跡によるうねの外観低下を防止できるだけでなく、施肥ノズル6の溝跡に水が溜まって作物の生育に悪影響を及ぼすような不都合を回避できる。
【0018】
施肥ノズル6及び溝消し部材23は、うね立て成形部5の天板11に対して左右位置調節自在とすることが好ましい。例えば、本実施形態では、施肥部ツールバー18に対して第二ホルダ19を左右位置調節自在に取り付けることにより、施肥ノズル6及び溝消し部材23の左右位置調節を可能にしている。このようにすると、植付条間などに応じて施肥ノズル6及び溝消し部材23の左右位置を任意に設定することが可能になる。
【0019】
因みに、本実施形態の第二ホルダ19は、施肥部ツールバー18に沿って移動自在に構成されると共に、ナット24の締め付けにより任意の左右位置で固定されるので、ナット24を回し操作するだけで、施肥ノズル6及び溝消し部材23の左右位置を容易に調節することが可能になる。また、本実施形態では、第一ホルダ17も第二ホルダ19と略同じ構造を有するので、第一ホルダ17に対する施肥部ツールバー18の左右位置調節にもとづいて、施肥ノズル6及び溝消し部材23の左右位置を変更してもよい。
【0020】
また、前述したように、うね立て成形部5の天板11に対して施肥ノズル6を上下位置調節自在に取り付けるにあたり、溝消し部材23は、施肥ノズル6の上下位置調節に拘わらず、天板11に対して一定の上下位置を維持可能とすることが好ましい。例えば、本実施形態では、左右一対のノズルブラケット20に対して溝消し部材23を取り付けるにあたり、ノズルブラケット20に形成される溝消し部材23の取付孔20bを上下方向に長い長孔とし、該長孔に沿って溝消し部材23の上下位置を調節可能にしている。このようにすると、施肥ノズル6の上下位置調節に拘わらず、溝消し部材23の上下位置をうねの上面レベルに維持し、施肥ノズル6の溝跡を確実に消すことができる。
【0021】
また、本実施形態では、溝消し部材23に、うねの上面に苗移植位置又は播種位置を示すラインを引くマーカ部材25が取り付けられている。このようなマーカ部材25を設けると、溝消し部材23が施肥ノズル6の溝跡を消しても、苗移植位置や播種位置を容易に認識することができるので、苗移植作業や播種作業おける作業性や作業精度を向上させることができる。因みに、本実施形態のマーカ部材25は、溝消し部材23の上面中央部に上下角度調節自在に設けられた長尺な板材からなり、溝消し部材23の上面中央部から後方下方に延出することにより、うねの上面にラインを引くようになっている。
【0022】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、走行機体1に連結して使用され、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機3であって、土壌を耕耘する耕耘部4と、耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部5と、成形されたうねの中に施肥ノズル6を介してペースト肥料を吐出する施肥部7とを備え、うね立て成形部5は、うねの上面を成形する天板11を有し、該天板11の後端部に、施肥部7の施肥ノズル6と、施肥ノズル6の溝跡を消す溝消し部材23とを設けたので、たとえ、うね立て成形部の天板11を上下動自在に構成し、この天板11を任意の上下位置に固定した状態や、上下動を許容する状態でうね立て施肥作業を行うものであっても、天板11の上下動に施肥ノズル6を追従させることができ、その結果、うねの上面と施肥ノズル6の位置関係が変化することを抑制し、施肥深さの変動による施肥精度の低下を防止することができる。しかも、天板11の後端部には、施肥ノズル6の溝跡を消す溝消し部材23が設けられているので、施肥ノズル6の溝跡によるうねの外観低下や、水たまりの発生を防止することができる。
【0023】
また、施肥ノズル6及び溝消し部材23を、うね立て成形部5の天板11に対して左右位置調節自在に取り付けたので、植付条間などに応じて施肥ノズル6及び溝消し部材23の左右位置を任意に設定することができる。
【0024】
また、施肥ノズル6を、うね立て成形部5の天板11に対して上下位置調節自在に取り付けると共に、溝消し部材23を、施肥ノズル6の上下位置調節に拘わらず、天板11に対して一定の上下位置を維持可能としたので、施肥ノズル6の上下位置調節に拘わらず、施肥ノズル6の溝跡を確実に消すことができる。
【0025】
また、溝消し部材23に、うねの上面に苗移植位置又は播種位置を示すラインを引くマーカ部材25を取り付けたので、施肥ノズル6の溝跡を消しても、苗移植位置や播種位置を容易に認識することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 走行機体
3 うね立て施肥作業機
4 耕耘部
5 うね立て成形部
6 施肥ノズル
7 施肥部
11 天板
13 肥料タンク
14 施肥ポンプ
16 施肥部ブラケット
17 第一ホルダ
18 施肥部ツールバー
19 第二ホルダ
20 ノズルブラケット
23 溝消し部材
25 マーカ部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタなどの走行機体に連結して使用され、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機が知られている。例えば、特許文献1に示されるうね立て施肥作業機は、土壌を耕耘する耕耘部と、耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部と、成形されたうねの中に施肥ノズルを介してペースト肥料を吐出する施肥部とを備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−69831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のうね立て施肥作業機では、うね立て成形部の前側に施肥ノズルを配置しているので、施肥深さの変動により、施肥精度が低下する惧れがあった。例えば、うね立て成形部の天板を上下動自在に構成し、この天板を任意の上下位置に固定した状態や、上下動を許容する状態でうね立て施肥作業を行うものでは、天板の上下位置変動に応じて、うねの上面と施肥ノズルの位置関係が変化するので、施肥深さが変動し、施肥精度が低下する可能性がある。
【0005】
そこで、うね立て成形部の後側に施肥ノズルを配置することも考えられるが、うね立て成形部の後側で施肥を行うと、うねの上面に施肥ノズルの溝跡が残るので、うねの外観が低下するだけでなく、溝跡に水が溜まって作物の成育に悪影響を及ぼす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、走行機体に連結して使用され、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機であって、土壌を耕耘する耕耘部と、耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部と、成形されたうねの中に施肥ノズルを介してペースト肥料を吐出する施肥部とを備え、前記うね立て成形部は、うねの上面を成形する天板を有し、該天板の後端部に、施肥部の施肥ノズルと、施肥ノズルの溝跡を消す溝消し部材とを設けたことを特徴とする。
また、前記施肥ノズル及び溝消し部材を、うね立て成形部の天板に対して左右位置調節自在に取り付けたことを特徴とする。
また、前記施肥ノズルを、うね立て成形部の天板に対して上下位置調節自在に取り付けると共に、溝消し部材を、施肥ノズルの上下位置調節に拘わらず、天板に対して一定の上下位置を維持可能としたことを特徴とする。
また、前記溝消し部材に、うねの上面に苗移植位置又は播種位置を示すラインを引くマーカ部材を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、天板の後端部に、施肥部の施肥ノズルを取り付けたので、たとえ、うね立て成形部の天板を上下動自在に構成し、この天板を任意の上下位置に固定した状態や、上下動を許容する状態でうね立て施肥作業を行うものであっても、天板の上下動に施肥ノズルを追従させることができ、その結果、うねの上面と施肥ノズルの位置関係が変化することを抑制し、施肥深さの変動による施肥精度の低下を防止することができる。さらに、天板の後端部には、施肥ノズルの溝跡を消す溝消し部材が設けられているので、施肥ノズルの溝跡によるうねの外観低下や、水たまりの発生を防止することができる。
また、請求項2の発明によれば、施肥ノズル及び溝消し部材を、うね立て成形部の天板に対して左右位置調節自在に取り付けたので、植付条間などに応じて施肥ノズル及び溝消し部材の左右位置を任意に設定することができる。
また、請求項3の発明によれば、施肥ノズルを、うね立て成形部の天板に対して上下位置調節自在に取り付けたので、作物の種類などに応じて施肥深さを任意に設定することができる。しかも、溝消し部材を、施肥ノズルの上下位置調節に拘わらず、天板に対して一定の上下位置を維持可能としたので、施肥ノズルの上下位置調節に拘わらず、施肥ノズルの溝跡を確実に消すことができる。
また、請求項4の発明によれば、溝消し部材に、うねの上面に苗移植位置又は播種位置を示すラインを引くマーカ部材を取り付けたので、施肥ノズルの溝跡を消しても、苗移植位置や播種位置を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】トラクタに連結されたうね立て施肥作業機の側面図である。
【図2】昇降リンク機構の側面図である。
【図3】耕耘部の側面図である。
【図4】うね立て成形部及び施肥部の平面図及びうねの断面図である。
【図5】うね立て成形部及び施肥部の部分平面図である。
【図6】(A)は図5のA−A断面図、(B)は図5のB−B断面図である。
【図7】うね高さをH1、施肥深さをL1とした場合の説明図である。
【図8】うね高さをH2、施肥深さをL2とした場合の説明図である。
【図9】うね高さをH2、施肥深さをL3とした場合の説明図である。
【図10】うね高さをH2、施肥深さをL4とした場合の説明図である。
【図11】うね高さをH2、施肥深さをL5とした場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1はトラクタの走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介してうね立て施肥作業機3が連結されている。うね立て施肥作業機3は、うね立て及び施肥を同時に行う作業機であり、図3〜図11に示すように、土壌を耕耘する耕耘部4と、耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部5と、成形されたうねの中に施肥ノズル6を介してペースト肥料を吐出する施肥部7とを備えて構成されている。
【0010】
耕耘部4は、単独でも使用可能なロータリ耕耘作業機からなり、うね立て作業を行う場合は、リヤカバー8を跳ね上げ位置に保持すると共に、耕耘部ツールバー9にうね立て成形部5が装着される。
【0011】
うね立て成形部5は、耕耘部4の後方に配置され、耕耘土をうね立てする左右一対のうね立て板10を備える。また、うね立て成形部5には、うねの上面を成形する天板11も設けられている。天板11は、上端部を支点として上下回動自在に構成されると共に、うね高さ調節ロッド12により任意の上下位置に固定した状態や、上下動を許容する状態でうね立て作業を行うことが可能となっている。
【0012】
施肥部7は、耕耘部4の上部に取り付けられる肥料タンク13や施肥ポンプ14と共にペースト施肥装置を構成している。施肥ポンプ14は、肥料タンク13に貯溜されたペースト肥料を吸引すると共に、吸引したペースト肥料を、施肥ホース15を介して施肥部7の施肥ノズル6に圧送する。これにより、施肥ノズル6は、成形されたうねの中にペースト肥料を吐出することが可能になる。尚、本実施形態の施肥部7は、図4に示すように、苗植付条毎(又は播種条毎)に左右2本の施肥ノズル6を有し、苗植付条の直下を避けて苗植付条の左右両側方に所定の深さでペースト肥料を施すように構成されている。
【0013】
うね立て施肥作業機3に施肥部7を取り付けるにあたり、本発明においては、施肥部7をうね立て成形部5の天板11に取り付けている。このようにすると、うね立て成形部5の天板11を上下動自在に構成し、この天板11を任意の上下位置に固定した状態や、上下動を許容する状態でうね立て施肥作業を行うものであっても、天板11の上下動に施肥ノズル6を追従させることができるので、うねの上面と施肥ノズル6の位置関係が変化することを抑制し、施肥深さの変動による施肥精度の低下を防止することができる。以下、うね立て成形部5の天板11に対する施肥部7の具体的な取付構造について説明する。
【0014】
施肥部7は、天板11の左右中央部に立設される施肥部ブラケット16に取り付けられる左右一対の第一ホルダ17と、第一ホルダ17から左右に延出する施肥部ツールバー18と、施肥部ツールバー18に取り付けられる左右一対の第二ホルダ19と、各第二ホルダ19に取り付けられる左右一対のノズルブラケット20と、各ノズルブラケット20に取り付けられる施肥ノズル6とを備えて構成されている。
【0015】
第一ホルダ17は、施肥部ブラケット16に対して上下2本の取付ボルト21を介して取り付けられる。ここで、施肥部ブラケット16には、上下方向に所定の間隔を存して4つの取付孔16aが形成されており、使用する取付孔16aの選択的な変更により、天板11に対する施肥部7の取付位置を上下2段階に調節することが可能となっている。このようにすると、天板11に対する施肥部7の上下位置調節にもとづいて、施肥ノズル6の施肥深さを任意に変更することができる。
【0016】
また、ノズルブラケット20は、第二ホルダ19に対して上下2本の取付ボルト22を介して取り付けられる。ここで、ノズルブラケット20には、上下方向に所定の間隔を存して7つの取付孔20aが形成されており、使用する取付孔20aの選択的な変更により、施肥部7に対する施肥ノズル6の取付位置を上下4段階に調節することが可能となっている。このようにすると、天板11に対する施肥部7の上下位置調節及び施肥部7に対する施肥ノズル6の上下位置調節にもとづいて施肥深さを多段階(8段階=2段階×4段階)に設定することができる。
【0017】
さらに、施肥部7には、溝消し部材23が設けられている。溝消し部材23は、施肥ノズル6がうねの上面に形成する溝跡を消すための部材であり、例えば、施肥ノズル6の後方でうねの上面を滑走するソリ状の均し板により構成される。このような溝消し部材23を設けると、施肥ノズル6の溝跡によるうねの外観低下を防止できるだけでなく、施肥ノズル6の溝跡に水が溜まって作物の生育に悪影響を及ぼすような不都合を回避できる。
【0018】
施肥ノズル6及び溝消し部材23は、うね立て成形部5の天板11に対して左右位置調節自在とすることが好ましい。例えば、本実施形態では、施肥部ツールバー18に対して第二ホルダ19を左右位置調節自在に取り付けることにより、施肥ノズル6及び溝消し部材23の左右位置調節を可能にしている。このようにすると、植付条間などに応じて施肥ノズル6及び溝消し部材23の左右位置を任意に設定することが可能になる。
【0019】
因みに、本実施形態の第二ホルダ19は、施肥部ツールバー18に沿って移動自在に構成されると共に、ナット24の締め付けにより任意の左右位置で固定されるので、ナット24を回し操作するだけで、施肥ノズル6及び溝消し部材23の左右位置を容易に調節することが可能になる。また、本実施形態では、第一ホルダ17も第二ホルダ19と略同じ構造を有するので、第一ホルダ17に対する施肥部ツールバー18の左右位置調節にもとづいて、施肥ノズル6及び溝消し部材23の左右位置を変更してもよい。
【0020】
また、前述したように、うね立て成形部5の天板11に対して施肥ノズル6を上下位置調節自在に取り付けるにあたり、溝消し部材23は、施肥ノズル6の上下位置調節に拘わらず、天板11に対して一定の上下位置を維持可能とすることが好ましい。例えば、本実施形態では、左右一対のノズルブラケット20に対して溝消し部材23を取り付けるにあたり、ノズルブラケット20に形成される溝消し部材23の取付孔20bを上下方向に長い長孔とし、該長孔に沿って溝消し部材23の上下位置を調節可能にしている。このようにすると、施肥ノズル6の上下位置調節に拘わらず、溝消し部材23の上下位置をうねの上面レベルに維持し、施肥ノズル6の溝跡を確実に消すことができる。
【0021】
また、本実施形態では、溝消し部材23に、うねの上面に苗移植位置又は播種位置を示すラインを引くマーカ部材25が取り付けられている。このようなマーカ部材25を設けると、溝消し部材23が施肥ノズル6の溝跡を消しても、苗移植位置や播種位置を容易に認識することができるので、苗移植作業や播種作業おける作業性や作業精度を向上させることができる。因みに、本実施形態のマーカ部材25は、溝消し部材23の上面中央部に上下角度調節自在に設けられた長尺な板材からなり、溝消し部材23の上面中央部から後方下方に延出することにより、うねの上面にラインを引くようになっている。
【0022】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、走行機体1に連結して使用され、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機3であって、土壌を耕耘する耕耘部4と、耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部5と、成形されたうねの中に施肥ノズル6を介してペースト肥料を吐出する施肥部7とを備え、うね立て成形部5は、うねの上面を成形する天板11を有し、該天板11の後端部に、施肥部7の施肥ノズル6と、施肥ノズル6の溝跡を消す溝消し部材23とを設けたので、たとえ、うね立て成形部の天板11を上下動自在に構成し、この天板11を任意の上下位置に固定した状態や、上下動を許容する状態でうね立て施肥作業を行うものであっても、天板11の上下動に施肥ノズル6を追従させることができ、その結果、うねの上面と施肥ノズル6の位置関係が変化することを抑制し、施肥深さの変動による施肥精度の低下を防止することができる。しかも、天板11の後端部には、施肥ノズル6の溝跡を消す溝消し部材23が設けられているので、施肥ノズル6の溝跡によるうねの外観低下や、水たまりの発生を防止することができる。
【0023】
また、施肥ノズル6及び溝消し部材23を、うね立て成形部5の天板11に対して左右位置調節自在に取り付けたので、植付条間などに応じて施肥ノズル6及び溝消し部材23の左右位置を任意に設定することができる。
【0024】
また、施肥ノズル6を、うね立て成形部5の天板11に対して上下位置調節自在に取り付けると共に、溝消し部材23を、施肥ノズル6の上下位置調節に拘わらず、天板11に対して一定の上下位置を維持可能としたので、施肥ノズル6の上下位置調節に拘わらず、施肥ノズル6の溝跡を確実に消すことができる。
【0025】
また、溝消し部材23に、うねの上面に苗移植位置又は播種位置を示すラインを引くマーカ部材25を取り付けたので、施肥ノズル6の溝跡を消しても、苗移植位置や播種位置を容易に認識することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 走行機体
3 うね立て施肥作業機
4 耕耘部
5 うね立て成形部
6 施肥ノズル
7 施肥部
11 天板
13 肥料タンク
14 施肥ポンプ
16 施肥部ブラケット
17 第一ホルダ
18 施肥部ツールバー
19 第二ホルダ
20 ノズルブラケット
23 溝消し部材
25 マーカ部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に連結して使用され、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機であって、
土壌を耕耘する耕耘部と、
耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部と、
成形されたうねの中に施肥ノズルを介してペースト肥料を吐出する施肥部とを備え、
前記うね立て成形部は、うねの上面を成形する天板を有し、該天板の後端部に、施肥部の施肥ノズルと、施肥ノズルの溝跡を消す溝消し部材とを設けたことを特徴とするうね立て施肥作業機。
【請求項2】
前記施肥ノズル及び溝消し部材を、うね立て成形部の天板に対して左右位置調節自在に取り付けたことを特徴とする請求項1記載のうね立て施肥作業機。
【請求項3】
前記施肥ノズルを、うね立て成形部の天板に対して上下位置調節自在に取り付けると共に、溝消し部材を、施肥ノズルの上下位置調節に拘わらず、天板に対して一定の上下位置を維持可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載のうね立て施肥作業機。
【請求項4】
前記溝消し部材に、うねの上面に苗移植位置又は播種位置を示すラインを引くマーカ部材を取り付けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のうね立て施肥作業機。
【請求項1】
走行機体に連結して使用され、うね立て及び施肥を同時に行ううね立て施肥作業機であって、
土壌を耕耘する耕耘部と、
耕耘土をうね立て成形するうね立て成形部と、
成形されたうねの中に施肥ノズルを介してペースト肥料を吐出する施肥部とを備え、
前記うね立て成形部は、うねの上面を成形する天板を有し、該天板の後端部に、施肥部の施肥ノズルと、施肥ノズルの溝跡を消す溝消し部材とを設けたことを特徴とするうね立て施肥作業機。
【請求項2】
前記施肥ノズル及び溝消し部材を、うね立て成形部の天板に対して左右位置調節自在に取り付けたことを特徴とする請求項1記載のうね立て施肥作業機。
【請求項3】
前記施肥ノズルを、うね立て成形部の天板に対して上下位置調節自在に取り付けると共に、溝消し部材を、施肥ノズルの上下位置調節に拘わらず、天板に対して一定の上下位置を維持可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載のうね立て施肥作業機。
【請求項4】
前記溝消し部材に、うねの上面に苗移植位置又は播種位置を示すラインを引くマーカ部材を取り付けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のうね立て施肥作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−142820(P2011−142820A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3723(P2010−3723)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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