説明

おごり管理機能を備えたセルフオーダーPOSシステム

【課題】おごり機能を備えたセルフオーダーPOSシステムを実現する。
【解決手段】電子メニュー注文装置は、おごり主となる顧客の操作入力により、当該顧客のIDと、おごり主が指定したおごり先の顧客IDと品目IDの組とを含むおごり受付電文を顧客管理サーバーに送信するとともに、適時に取得した顧客IDを含む問い合わせ電文を顧客管理サーバーに送信して返送されてきたおごり受託電文に基づいておごり品目を表示し、当該品目表示中に確認の旨のユーザ入力があるとおごり品目のIDを含む注文電文をPOS店舗システムに送信し、POS店舗システムは、当該注文電文に基づいて受注伝票を発行し、顧客管理サーバーは、受信したおごり受付電文をおごり寄託電文として記憶し、受信したおごり問い合わせ電文中の顧客IDをおごり主としたおごり寄託電文の内容をおごり受託電文として電子メニュー注文装置に送信するセルフオーダーPOSシステムとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、客が操作して飲食物を注文するためのセルフオーダーPOSシステムに関し、具体的には、客が他の客に飲食物をおごる際の個別精算に対応したセルフオーダーPOSシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
===セルフオーダーPOSシステム===
最近、レストランや居酒屋などにおいて、入店した客にコンピュータ端末(電子メニュー注文装置)を預け、客がメニューを見て商品を選ぶ行為と、選んだ商品をお店に注文する行為とを、客自身が電子メニュー注文装置(客席端末とかオーダー端末などと呼ばれている)を操作して行う方式のセルフオーダーPOSシステムが実用化され、普及し始めてきた。このシステムに関しては、以下に例示するような多くの先行技術が存在する。
【0003】
《先行技術例1:特許文献1参照:特開昭58−137076号》「食堂管理装置」
レジスタ端末装置、厨房用表示装置、配膳用表示装置、テーブルごとの注文用端末装置を備え、これらを中央処理装置で制御することにより注文・配膳・精算などの業務を正確かつ高能率に行えるようにした。
《実開昭63−179557号》「タッチセンサー付・ビジュアルメニューオーダーシステム」
ビデオディスクプレーヤでメニュー映像を再生してパソコンのタッチパネル付モニターテレビに表示し、客がタッチ入力した飲食物の注文情報をPOSレジスタと厨房プリンタに無線伝送して注文伝票を印刷するとともに会計処理を行う。
《特開平2−156372号》「オーダエントリ装置」
オーダエントリ端末を店舗内の各テーブルに埋め込み、画像情報をメニューとして表示し、客に直接オーダエントリさせる。
《特開平5−314149号》「料理オーダ装置」
客がテーブルに座って切り換えスイッチを切り替えると、テレビ番組などを映していたタッチパネル表示装置にメニュービデオ装置で再生される料理メニューが表示される。画面の各料理には文字スーパーインポーズによって値段も同時に表示される。
《特開平10−74218号》「電子メニュー装置及び電子オーダーリングシステム」
メニューの変更を行うにあたって、電子スチルカメラで商品を撮影してメニューデータ記憶部に格納するだけで良いため、通常のメニューのように写真の現像や印刷を待つ必要がなく、手軽に行うことができる。
《特開平11−296747号》「個人別会計機能を有するPOSシステム」
飲食物をセルフオーダーするごとに注文する客のIDを入力することで、グループ客の合計額と一人一人の客の会計金額の両方を自動的に集計し、精算を客ごとに行えるようにした。
【0004】
===カラオケ多用途端末===
周知のように最近のカラオケ店では、分厚いカラオケ目次本に代わり、タブレットコンピュータにより構成され、デンモク、キョクNAVI、ナビカラといった商品名が付いたカラオケ多用途端末(以下、客室端末)が普及している。タブレットコンピュータの持つ演算能力・記憶能力・通信能力はきわめて大きいので、この種の客室端末をカラオケに関連したさまざまな用途に供する開発が進められ、非特許文献1に説明されているように客室端末を電子メニュー注文装置としても機能させるセルフオーダーPOSシステムが実用化された。また、以下の特許文献には、カラオケ歌唱を録音するといった有料サービスの料金を、電子マネー機能付きICカードのインタフェースを備えた客室端末を介して電子マネーで決済できるとともに、その際に生じるおつりをカラオケ店が独自に管理できるようにした「カラオケ演奏に伴う付加機能を利用者の希望により有料で実行する電子マネー課金式カラオケシステム」に関する技術が記載されており、今後、グループで客室を借り切る形態のカラオケ店舗において、現状では、客室単位で請求されている飲食代金が個人のICカードによって個別に精算できるようになる可能性がある。なお、電子マネーによる決済方法などについては以下の特許文献2に記載されている。また、現在発行されている電子マネーの利用方法が以下の非特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開2005−338147号公報
【特許文献2】特開2004−54628号公報
【非特許文献1】株式会社エクシング、「オーダーエントリーシステム」、[online]、平成17年11月9日、[平成17年12月20日検索]、インターネット<URL:http://www.xing.co.jp/news/news051109.html>
【非特許文献2】ビットワレット株式会社、”Edy”、[online]、[平成18年1月27日検索]、インターネット<URL:http://www.edy.jp>
【発明の開示】
【発明の意図】
【0005】
本発明者らは、カラオケ事業を展開しており、客室端末を利用してカラオケ店舗の各客室における飲食代金を個人のICカードによって個別に精算できるようにしたいと思った。このとき、カラオケを楽しみながら飲食をする、という憩いの場においては、たとえば、歌唱採点ゲームをして点数が低かった方が高かった方におつまみをおごる、部下を引き連れてカラオケ店を訪れた上司が仕事でがんばった特定の部下に、あるいは上司が事前におごるための手続きを済ませておいて、部下が後日カラオケ店舗を訪れたとき、日頃の労をねぎらって豪華な料理をおごる、数人の男女でカラオケ店を訪れたグループで、ある男性が日頃好意を持っている気になる女性にカクテルをおごる、など、飲食物をおごるという行為が一つの客室を共用利用する同伴者同士、あるいはカラオケを楽しむ人同士の親睦をより深めるのではないかと考えた。もちろん、カラオケの場に限らず、飲食物をおごるという行為には、おごる側(おごり主)のおごる相手(おごり先)への特別な思いが込められている場合が多い。そして、おごり先もその特別な思いを好意的に受け取るのであれば、おごり主とおごり先は、そのおごる・おごられる、というやりとりを他の人にはあまり知られたくない時と場合も必ずあるはずである。電子メニュー注文装置によって飲食物の注文できるセルフオーダーPOSシステムであれば、電子メニュー注文装置を操作している人だけがこっそり誰かにおごったり、おごられた事実を確認したりすることができるようなおごり方にも対応することができる。本発明は、このような効果を期待して創作された。
【発明の要旨】
【0006】
本発明は、次の事項(1)〜(14)によって特定されるものである。
(1)電子メニュー注文装置と、POS店舗システムと、顧客管理サーバーとが通信可能に結合されたセルフオーダーPOSシステムであること
(2)電子メニュー注文装置は、顧客ID取得手段と、メニューデータベースと、表示手段と、操作入力手段と、制御手段を備えること
(3)顧客ID取得手段は、利用客の顧客IDを取得可能であること
(4)メニューデータベースは、飲食物の品目に関わる各種属性情報を品目IDに対応付けして集約すること
(5)表示手段は、制御手段の制御により画像を表示すること
(6)入力手段は、客による操作入力を可能とすること
(7)制御手段は、顧客IDを取得した際におごり確認処理を行うとともに、おごり出力処理、メニュー処理、注文受付処理、おごり受付処理を可能とすること
(8)おごり確認処理は、顧客管理サーバーに顧客IDを含むおごり問い合わせ電文を送信し、これに対して顧客管理サーバーからおごり受託電文が返信されてきた際、おごり受託電文中のおごり主の顧客IDと品目IDに基づいておごり品目提示画面を表示させること
(9)おごり出力処理は、おごり確認処理によるおごり品目の表示中に確認の旨のユーザ入力があった際、おごり品目の品目IDを含む注文電文をPOS店舗システムに送信すること
(10)メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付けること
(11)注文受付処理は、メニュー表示中にて受け付けた品目IDを含む注文電文をPOS店舗システムに送信すること
(12)おごり受付処理は、利用客の顧客IDをおごり主IDとし、利用客が指定した顧客のIDをおごり先IDとして、メニュー表示中に利用客から受け付けた品目IDに、おごり主IDとおごり先IDとを対応付けしたおごり受付電文を顧客管理サーバーに送信すること
(13)POS店舗システムは、注文電文を受信した際に受注伝票を発行すること
(14)顧客管理サーバーは、受信したおごり受付電文をおごり先IDをキーとしたおごり寄託電文として記憶し、電子メニュー注文装置からおごり問い合わせ電文を受信した際、電文中の顧客IDをキーとするおごり寄託電文が記憶されている場合、その電文と同じ内容を含んだおごり受託電文を当該電子メニュー注文装置に送信すること
【0007】
また本発明は、次の事項(21)〜(39)によって特定されるものであってもよい。
(21)電子メニュー注文装置と、POS店舗システムと、顧客管理サーバーとが通信可能に結合されたセルフオーダーPOSシステムであること
(22)電子メニュー注文装置は、顧客ID取得手段と、メニューデータベースと、表示手段と、操作入力手段と、制御手段を備えること
(23)顧客ID取得手段は、利用客の顧客IDを取得可能であること
(24)メニューデータベースは、飲食物の品目に関わる各種属性情報を品目IDに対応付けして集約すること
(25)表示手段は、制御手段の制御により画像を表示すること
(26)入力手段は、客による操作入力を可能とすること
(27)制御手段は、ログイン処理、ログオフ処理、おごり確認処理、メニュー処理、注文受付処理、おごり受付処理を可能とすること
(28)ログイン処理は、取得した顧客IDを含むログイン電文を顧客管理サーバーに送信すること
(29)ログオフ手段は、取得した顧客IDを含むログオフ電文を顧客管理サーバーに送信すること
(30)おごり確認処理は、顧客管理サーバーからおごり受託電文が送信されてきた際、おごり受託電文中のおごり主の顧客IDと品目IDに基づいておごり品目提示画面を表示させること
(31)おごり出力処理は、おごり確認処理によるおごり品目提示画面の表示中に確認の旨のユーザ入力があった際、おごり品目の品目IDを含む注文電文をPOS店舗システムに送信すること
(32)メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付け、
(33)注文受付処理は、メニュー表示中にて受け付けた品目IDを含む注文電文をPOS店舗システムに送信すること
(34)おごり受付処理は、利用客の顧客IDをおごり主IDとし、利用客が特定した顧客のIDをおごり先IDとして、メニュー表示中に利用客から受け付けた品目IDに、おごり主IDとおごり先IDとを対応付けしたおごり受付電文を顧客管理サーバーに送信すること
(35)POS店舗システムは、注文電文を受信した際に受注伝票を発行すること
(36)顧客管理サーバーは、ログイン監視手段と、おごり寄託電文記憶手段と、おごり受託電文送付手段とを備えること
(37)ログイン監視手段は、ログイン電文を受信した際、電文中に含まれる顧客IDと当該電文を送付してきた電子メニュー注文装置との組を記憶して当該顧客IDをログイン中として管理するとともに、当該電子メニュー注文装置から当該顧客IDを含むログオフ電文を受信すると、当該顧客IDをログオフ中として管理すること
(38)おごり寄託電文記憶手段は、受信したおごり受付電文をおごり先IDをキーとしたおごり寄託電文として記憶すること
(39)おごり受託電文送付手段は、記憶したおごり寄託電文中のおごり先IDに該当する顧客IDがログイン中にある場合、当該おごり寄託電文と同じ内容を含んだおごり受託電文を当該電子メニュー注文装置に送信すること
【0008】
上記事項(1)〜(13)、または上記事項(21)〜(39)と次の事項(41)〜(45)とによって特定されるセルフオーダーPOSシステムも本発明の範囲である。
(41)制御手段は、おごり実施通知処理と、おごり実施問い合わせ処理と、おごり実施結果提示処理とを行うこと
(42)おごり実施通知処理は、おごり出力処理において確認入力があった際、おごり受託電文の内容を含むおごり実施通知電文を顧客管理サーバーに送信すること
(43)おごり実施問い合わせ処理は、顧客管理サーバーに顧客IDを含むおごり実施問い合わせ電文を送信すること
(44)おごり実施結果提示処理は、おごり実施問い合わせ電文に対して顧客管理サーバーからおごり実施結果電文が返信されてきた際、当該おごり実施結果電文中の内容に基づいておごり実施結果画面を表示すること
(45)顧客管理サーバーは、おごり実施通知電文を受信した際、当該電文の内容をおごり主IDをキーとして記憶するとともに、電子メニュー注文装置からおごり実施問い合わせ電文を受信した際、当該電文中の顧客IDをキーとしたおごり実施通知電文の内容が記憶されている場合、その内容を含んだおごり実施結果電文を当該電子メニュー注文装置に送信すること
【0009】
本発明によるセルフオーダーPOSシステムは、上記事項(1)〜(13)、または上記事項(21)〜(39)と次の事項(51)〜(55)とによって特定されるものであってもよい。
(51)制御手段は、おごり確認処理において、おごり品目提示画面の表示中に確認、辞退のいずれかのユーザ入力を可能とするとともに、おごり実施問い合わせ処理と、おごり実施結果提示処理とを行うこと
(52)おごり実施通知処理は、おごり品目表示画面の表示中に確認、あるいは辞退の旨のユーザ入力があるとおごり受託電文の内容と、おごりを受諾した旨、あるいは辞退した旨の情報とを含んだおごり実施通知電文を顧客管理サーバーに送信すること
(53)おごり実施問い合わせ処理は、顧客管理サーバーに顧客IDを含むおごり実施問い合わせ電文を送信すること
(54)おごり実施結果提示処理は、おごり実施問い合わせ電文に対して顧客管理サーバーからおごり実施結果電文が返信されてきた際、当該おごり実施結果電文中の内容に基づいて、おごりが受諾、あるいは辞退された旨を含むおごり実施確認画面を表示すること
(55)顧客管理サーバーは、おごり実地通知電文を受信すると当該電文の内容をおごり主IDをキーとして記憶するとともに、電子メニュー注文装置からおごり実施問い合わせ電文を受信した際、当該電文中の顧客IDをキーとしたおごり実施通知電文の内容が記憶されている場合、当該内容を含むおごり実施結果電文を電子メニュー注文装置に送信すること
【0010】
なお、上記各発明におけるセルフオーダーPOSシステムは、以下の要件(61)を備えていてもよい。
(61)制御手段は、おごり確認処理において、顧客IDの入力を促す案内を表示させるとともに、当該案内に従って入力された顧客IDと当該確認処理の起源となったおごり受諾電文に含まれるおごり先IDとが一致した場合、おごり品目提示画面表示中のユーザ入力を受け付け可能とすること
【実施例】
【0011】
===ネットワーク構成===
本発明の実施例におけるセルフオーダーPOSシステムは、複数の客室を備えたカラオケ集合店舗(以下、カラオケ店舗)の各客室での飲食代を利用者ごとに個別精算する際に、特定の利用者が他の利用者におごるおごり機能を備えている。図1に本実施例におけるセルフオーダーPOSシステム(以下、POSシステム)を含むネットワーク構成を示した。このネットワークの基本構成は、上記特許文献1に記載の電子マネー課金式カラオケシステムとほぼ同じである。そして、本実施例のPOSシステムでは、当該特許文献1に記載のカラオケ多用途端末(以下、客室端末)を電子メニュー注文装置として機能させている。
【0012】
インターネット80aを利用したVPN(Virtual Private Network)80bには、カラオケ事業者の各地のカラオケ店100に敷設されたLAN110やカラオケ事業者が管理する各種コンピュータ(事業者コンピュータ)90が接続されて広域イントラネットが構築されている。各地のカラオケ店100の各客室120にはカラオケ装置2やそれに付属する器機が設置され、カラオケ装置2はVPN80bを介してカラオケ事業者が管理するコンピュータ90と通信し、たとえば、カラオケ装置2がホスト装置90からカラオケデータの配信を受けたり、インターネット80aを介して外部のコンピュータと通信したりする。
【0013】
カラオケ事業者は、電子マネー決済機構(以下、決済機構)に加盟し、カラオケ店舗におけるカラオケに関わる各種サービス代金や飲食代金を電子マネーにより支払えるサービスを提供している。そしてインターネット80aには、決済機構が管理する決済センターコンピュータ300が接続されている。
【0014】
カラオケ店舗100には、飲食物の注文に関わる各種業務を担う周知のPOS店舗システム60が構築されている。POS店舗システム60は、厨房に設置されたプリンタやレジ端末を含み、客室端末30からの注文情報に基づいて、例えば、厨房に設置されたプリンタに品目や配膳先の客室やテーブルを印刷出力したり、店舗100のフロントにおけるPOS対応レジスタに向けて出力したりする。電子マネーによる飲食代の支払い案件に関しては、インターネット80aを介して決済センターコンピュータ300に接続し、飲食代に関わる決済情報を当該決済センターコンピュータ300に送信する。
【0015】
本実施例において、カラオケ店舗100に敷設されたLAN110には、カラオケの利用に関わるネットワーク(カラオケ店舗システム)とPOS店舗システム60の2つのネットワークが物理的に接続され、カラオケ店舗システムとPOS店舗システム60の両システムは、ゲートウエイ50により異なるプロトコルが整合されて相互通信が可能となっている。また、客室端末30は、自身に実装されている所定規格の無線LANインタフェース(IEEE 802.11a,IEEE 802.11b,IEEE 802.11gなど)により、無線アクセスポイント40を介してLAN110に接続してカラオケ店舗システムやPOS店舗システム60と通信する。そして本実施例のPOSシステムは、カラオケ店舗100の各客室120にあって電子メニュー注文装置として機能する客室端末30と、カラオケ店舗のPOS店舗システム60と、ホスト装置90とにより構成される。
【0016】
===客室端末===
図2(A)(B)に客室端末30の外観図と機能ブロック構成をそれぞれに示した。客室端末30のハードウエア構成は、基本的には、無線LANインタフェースを備えた周知のタブレットコンピュータと同じであり、コンピュータ本体となる端末制御部が当該客室端末を制御・統括している。内蔵するハードディスク装置などの外部記憶にはカラオケ装置2にて演奏可能なカラオケ楽曲に関する目次情報や、タッチパネル31に表示する各種画像情報などが蓄積され、客室端末30では、これら蓄積情報が端末制御部34により楽曲索引データベースとして管理されている。また、演奏予約などの操作対象となる同じ客室のカラオケ装置2についての所在情報(IPアドレスなど)も外部記憶に記憶されている。
【0017】
端末制御部34は、タッチパネル33を介した利用者との対話を通じて目次情報の断片をクエリーとして受け付け、該当するカラオケ楽曲の目次情報を楽曲索引データベースより取り出して提示する処理を行う。そして、客室端末30において、最終的にカラオケ楽曲が1曲に特定され、その楽曲を演奏予約する旨の利用者入力がなされると、楽曲IDを含む演奏予約コマンドのコードを無線LANインタフェースを介して接続したLAN110を経由させて同じ客室120にあるカラオケ装置2に向けて転送する。
【0018】
また外部記憶には、注文可能な飲食物の品目についての品目情報(名称、画像、価格、カロリーなど)がメニューデータベースとして記憶されている。客室端末30では、各品目が品目IDによって識別され、各品目IDに品目情報(名称、画像、価格、カロリーなど)が対応付けされて管理されている。そして、所定の操作入力を受け付けると、メニューデータベースの各品目情報をタッチパネル33に表示し、その表示した品目の注文入力を受け付け可能とする。
【0019】
===ICカード===
本実施例において、POSシステムのおごり機能を利用できる人は、あらかじめ、カラオケ事業者に自身の個人情報を含む会員情報(氏名、連絡先、ニックネームなど)を登録した会員であり、各会員には、カラオケ事業者から電子マネー機能付きのICカードが付与されている。このICカードは非接触型ICカードであり、固有のカードIDが割り当てられて、そのカードIDがICカードに内蔵されている書き換え不可能なメモリに記憶されている。カラオケ事業者はカードIDを会員IDとし、ホスト装置90の記憶資源には、その会員IDに会員情報が対応付けされて記憶されている。すなわち、ホスト装置90は、会員情報を管理するコンピュータ(顧客管理サーバー)としての機能を備えている。なお、ICカードに内蔵されている書き換え可能な不揮発性メモリには、電子マネー残高と最近所定件数分の支払いに関する情報(取引履歴)とが記録されている。そして客室端末30のカードインタフェース39は、アンテナ38に翳されたICカードと端末制御部34との通信を仲介し、端末制御部34の制御の下、ICカード内の記憶情報を読み取ったり、取引履歴を書き込んだりする。
【0020】
===決済センターコンピュータ===
決済センターコンピュータ300は、電子マネーによる決済を管理し、多数のICカードをカードIDによって識別し、各カードIDにカードの残高や取引履歴などを自身のデータベースに逐次更新しながら記憶・管理したりしている。ICカードを使用して何らかの代金を支払う場合、決済センターコンピュータ300とオンライン状態にある専用の課金装置を使用する。そして、この課金装置にICカードに記録されているカードIDや残高を読み取らせ、支払い額を入力する。課金装置は、読み取ったカードの記録データと支払額とを決済センターコンピュータ300に送付し、決済センターコンピュータ300は、このカードのカード残高と取引履歴を更新するとともに、支払代金を支払先の口座にオンラインで振り込むなど、電子マネー決済に後続する各種処理を行う。カード残高と取引履歴を更新するとその旨を課金装置に返送し、課金装置は、ICカードに記録されている残高と取引履歴を更新する。そして本実施例では、客室端末30が上記課金装置として機能する。
【0021】
===ログイン手続き===
POSシステムのおごり機能を利用するおごり主やおごり先となる会員は、当該機能の利用に先立って、現にカラオケ店舗100の客室を利用している会員としてホスト装置90にログインしておく必要がある。本実施例では、客室端末30を起動すると、タッチパネル33に、ICカードをアンテナ部38にかざすように案内する旨が表示され、会員がこの案内に従ってICカードを客室端末30のアンテナ部38にかざすと、端末制御部34は、カードインタフェース39を介してカードIDを取得し、このIDをホスト装置90に送信する。ホスト装置90は、受信したカードIDに対応する会員情報が登録されていれば、当該カードIDを会員IDとし、対応する会員情報を客室端末30に返送する。 ホスト装置90から会員情報を受け取った客室端末30は、会員情報中の適宜な情報(ニックネームなど)をタッチパネル33に表示し、ICカードの所持者に自身の会員情報であることを確認させる。そして、会員による確認操作を受け付けると、その旨の情報をホスト装置90に送付する。ホスト装置90は、この確認の旨の情報を持って当該会員をログインさせる。そしてホスト装置90は、カードIDを送付してきた客室端末30から該当会員がログオフする旨の情報が送付されてくるまで、当該会員が「ログイン中」であると認知する。
【0022】
客室端末30は、所定の操作を受け付けると、カラオケや飲食に関わる各種サービスへの利用窓口となる初期画面を表示する。図3にこの初期画面の概略を示した。この画面130にはカラオケ装置2の操作を主体としたボタン群131と、飲食物の注文サービスを利用可能に呼び出すためのボタン132とが配設されている。また本実施例では、会員は自身の顔写真と、その写真をはめ込むアニメのキャラクタを会員情報としてホスト装置90に登録しており、ログイン中の会員については、タッチパネル33に会員の顔写真をキャラクタにはめ込んだ画像をアバター133として表示する。非会員のアバター133は、客室端末30に用意されているキャラクタから適当に選択したものが表示される。会員が、自身のアバター133をタッチパネル33で指定した上で飲食物を注文したり、楽曲をカラオケ装置2にリクエストしたりするなどの指示を与えると、POS店舗システム60やカラオケ装置2やホスト装置90にその指示した会員のIDが送付される。それによって、注文やリクエストを行った会員をPOS店舗システムやカラオケ利用に関わるコンピュータ側で特定することができる。
【0023】
===飲食物の基本的な注文・支払い方法===
上述したように、客室端末30は、電子メニュー注文装置としても機能する。図4〜図6は、客がある品目を注文するまでにタッチパネル33に表示される画面概略図である。初期画面130にある電子メニュー注文装置機能の呼び出しボタン132を指示すると、電子メニュー注文装置としてのトップ画面(メニュートップ画面:図4、140)が表示される。このメニュートップ画面140には、品目を飲み物と食べ物をそれぞれ個別に検索するためのボタン(141,142)が配設され、客は、このメニュートップ画面140を起点として、注文したい品目を検索し、目的とする品目を選択するための品目選択画面(図5、150)をタッチパネル33に表示させる。そして、表示中の品目から特定の品目について注文数をリストダウンボックス151より指定し、その品目に対応する選択ボタン152を指示すると、選択した品目を確認して注文するための注文画面(図6、160)が表示される。この画面には、注文した品目の代金の支払い方法を選択するためのボタン(162〜164)も配設されており、客は、この画面160により注文品目と数量と確認した上で、支払い方法を指示する。本実施例では、客室単位で支払う旨の指示を受け付ける「割り勘」ボタン162と、ICカードの電子マネー機能を使って品目を注文した人が個別に割り勘とは別に個別に支払うための「個別精算」ボタン163、そして、注文した品目を特定の会員におごる際に指示する「おごり」164の各ボタンが配設されている。
【0024】
なお、この画面160にも数量を指定するためのリストダウンボックス161があり、数量を再度指定し直せる。注文に間違いがなければ、上記「割り勘」「個別精算」「おごる」のいずれかのボタン(162〜164)を指示する。「割り勘」ボタン162が指示されると、注文が確定し、POS店舗システム60は、受け付けた注文情報に基づいて、注文者および配膳先となる客室と、注文された品目とを特定し、その後のPOS業務のための処理(伝票発行処理)に移行する。
【0025】
また本実施例では、ログイン中の会員がこの個別精算によって飲食代を支払うことができるようになっており、「個別精算」ボタン163を指示すると、品目を注文した人がその代金を正しく支払えるように、注文した人を確認するための注文者確認画面が表示される。図7にこの注文者確認画面の概略を示した。この画面170には、ログイン中の会員のアバター171と、自身のアバターを選択してICカードをアンテナにかざすように指示するメッセージ172とが表示される。会員が指示に従って自身のアバター171を選択してICカードを翳すと、客室端末30は、ホストコンピュータ90に接続し、現在ログインしている会員IDと当該カードのIDとを照合し、ログイン中の会員IDである旨の情報が返送されてくれば、支払い方法を選択させるための画面を表示する。図8にこの支払い方法選択画面の画面概略を示した。この画面180には、「電子マネー」ボタン181と「レジ払い」ボタン182とが表示される。
【0026】
「電子マネー」ボタン181を指示すると、客室端末は、再度ICカードをアンテナにかざす旨の案内を表示し、会員が指示に従ってICカードをかざすと、ICカードのIDと注文した品目の料金とを含んだ決済情報を決済センターコンピュータ300に送付するとともに、電子マネー決済の旨と品目情報とを含んだ注文情報をPOS店舗システム60に送付する。それによって、飲食代の支払いが完了し、POS店舗システム60は、電子マネー決済の旨の伝票発行処理を行い、品目の注文が確定される。
【0027】
「レジ払い」ボタン182を指示すると、認知した会員IDと飲食代とを含んだ注文情報がPOS店舗システムに送付され、POS店舗システム60は、飲食代金と会員IDの組と客室の識別情報とを対応付けした個別精算情報をレジ端末に送付する伝票発行処理を行う。それによって、この客室の利用客がフロントでチェックアウトするときに、レジ端末にて会員IDに対応付けされた飲食代金が別途伝票出力される。そして、フロントの店員は、該当する会員に個別精算分の飲食代金を請求し、請求された会員は現金や電子マネーなど適宜な方法でその代金を支払えばよい。なお、注文画面にて「キャンセル」ボタン163を指示すると、先の品目を選択する画面150に画面が戻る。このように、個別精算については、ログイン中の会員が自身のICカードを再度認証させることで、利用者が自身の飲食代を他の利用者の飲食代として「つけて」しまわないようにしている。
【0028】
===おごり機能===
注文画面には、「おごり」ボタンが配設されている。このボタンを指示すると、おごり機能が起動する。図9〜図11に、客室端末がおごり主からのおごり指示を受け付ける際にタッチパネルに表示される画面の遷移を示した。また図12に、POSシステムにおけるおごり機能に関わる処理の流れを示した。注文画面における「おごり」ボタンを指示すると、おごり機能の起動画面が表示される(図9)。おごり機能の起動画面190には、おごり主を特定するために、先の支払い方法指定画面と同様に、飲食代を支払う人、すなわちおごり主にICカードをアンテナに翳すように案内するメッセージ191と、同じ客室端末30を介して現にログインしている会員のアバター192とが表示される。
【0029】
おごり主が、この画面190のメッセージ191に従って自身のアバター192を選択した上で、自身のICカードをアンテナに翳すと、客室端末30は、読み取ったICカードのIDをホスト装置90に照会し、ログイン中の会員IDである旨が返送されてきたならば、おごりの指示を受け付けるためのおごり受付画面(図10:200)を表示する。おごり受付画面200には、おごり先となる会員のアバター201が選択可能にして表示されるとともに、おごり先へのおごりを確定させるための「おごる」ボタン202が表示される。そして、おごり主がおごり先のアバター201を選択し「おごる」ボタン202を指示すると、おごり主の会員ID(おごり主ID)と、品目IDと、数量、おごり先の会員ID(おごり先ID)とを含んだおごり受付電文がホスト装置90に送達される。ホスト装置90では、客室端末30から受け付けたおごり受付電文をおごり寄託電文として、送付されてきた電文に含まれるおごり先IDをキーとして記憶する。また客室端末30は、おごり受付電文の内容を確認させるためのおごり確認画面(図11:210)を表示する(s1〜s3)。
【0030】
客室端末30は、たとえば、カラオケ装置2にリクエスト曲を演奏予約させるとき、POS店舗システム60に対して個別精算によって品目を注文するときなど、会員の特定が可能な状態で何らかの操作を受け付けると、その会員のIDを含んだおごり問い合わせ電文をホスト装置90に送信する。すなわち、客室端末30を操作した会員をおごり先としたおごり寄託電文がホスト装置90にて記憶されているかどうかを問い合わせる。ホスト装置90は、問い合わせ電文中の会員IDをキーとしたおごり寄託電文が自身の記憶資源に存在する場合。そのおごり寄託電文の内容をおごり受託電文として客室端末30に返送する(s4〜s6→s9)。
【0031】
客室端末30は、送付されてきたおごり受託電文に含まれている品目IDとおごり主IDとに基づいて、おごられた事実を確認させるとともに、そのおごりを受け入れるか否かを問い合わせるための画面(おごり品目提示画面)をタッチパネル33に表示する(s10)。図13におごり品目提示画面の概略を示した。この例において、客室端末30の端末制御部34は、品目IDとおごり主IDとに基づいて、自身の記憶資源に記憶されている品目情報とおごり主のアバターやニックネームを特定し、おごり品目提示画面220におごられた品目の品目情報221とおごり主222とを表示し、おごりの内容をおごり先の会員に確認させる。客室端末30は、当該画面220の「確認」ボタン223が指示されると、該当の品目IDとおごり主IDとを含んだ注文情報をPOS店舗システム60に向けて送信する(s11,s12)。すなわち、おごり主が注文した品目を「レジ払い」によって個別精算することと同様の伝票発行処理を行う(s13)。なお、「キャンセル」ボタン224が指示されると、おごり受託電文の内容を消去し、メニュートップ画面140を表示するなど適当な画面を表示する。したがって、当該おごりの事実が無かったものとして処理される。
【0032】
POS店舗システム60は、客室端末30からおごり主IDを含んだ注文情報を受け取ると、厨房のプリンタに所要の情報を出力するとともに、おごり主IDと品目IDとを含んだ個別精算情報をレジ端末に向けて発行するなど所定の伝票発行処理を行う。フロントでは、おごり主の会員がチェックアウトする際に当該会員がおごった品目の代金を個別精算分として請求すればよい。
【0033】
===おごりの実施確認===
おごった品目がおごり先によって注文されたか否かをおごり主が確認できるようにしてもよい。客室端末30は、おごり先の会員がおごり品目提示画面220に対して「確認」ボタン223を指示したならば、おごりを受け入れた旨の情報と、当該提示画面220の生成起源となったおごり受託電文の内容とを含んだおごり実施通知電文をホスト装置90に送信する。「キャンセル」ボタン224が指示された場合は、おごりを辞退した旨の情報と、おごり受託電文の内容とを含んだおごり実施通知電文をホスト装置90に送信する。ホスト装置90は、送付されてきたおごり実施通知電文の内容を当該電文に含まれているおごり主IDをキーとして記憶する。
【0034】
客室端末30は、おごり問い合わせ電文を送付するときと同様に、会員の特定が可能な状態で何らかの操作を受け付けると、その会員のIDを含んだおごり実施問い合わせ電文をホスト装置90に送信する。ホスト装置90は当該会員IDをおごり主としたおごり実施通知電文の内容が記憶されていることを確認すると、その内容を含むおごり実施結果電文を客室端末30に返送する。客室端末30は、おごり実施結果電文を受け取ると、当該電文にふくまれているおごりを受諾した旨、あるいはおごりを辞退した旨を記載したおごり実施結果画面を表示する。図14に、おごり先がおごりを受諾したときのおごり実施結果画面の概略を示した。この画面230には、おごりの内容(おごり主、おごり先、おごり品目、数量)231と、受諾した旨のメッセージ232とが表示される。辞退された場合にはその旨のメッセージが表示される。
【0035】
なお、おごり先がおごり品目提示画面220を閲覧していなかったり、「確認」ボタン223や「キャンセル」ボタン224への指示が行われていなかったりする場合には、ホスト装置90にはおごり実施通知電文が送達されておらず、その電文の内容は記憶されていない。このような場合にホスト装置90がおごり実施問い合わせ電文を受信した際には、おごり先によるおごりに対する指示がなされていない旨を含んだおごり実施結果画面を客室端末30に送付すればよい。そして客室端末30は、おごり実施結果画面に、おごり先によって受諾、あるいは辞退の旨の指示が未だなされていない旨のメッセージを表示すればよい。
【0036】
===おごり事実の通知について===
上記実施例では、おごり先が客室端末30に対して何らかの操作を行うたびに、おごりの事実があるか否かをホスト装置90に問い合わせていた。この例に限らず、たとえば、客室端末30は、会員IDの入力とともに所定の操作を受け付けると、当該会員をおごり先としたおごり受託電文が有るか否かをホスト装置に問い合わせるようにしてもよい。
【0037】
おごり先が客室端末30を操作しているときに限らず、ホスト装置90が、おごり受託電文を記憶した時点でおごり先がログインしていれば、そのおごり先がログイン操作に使用した客室端末30に向けておごり受託電文を送付するようにしてもよい。
【0038】
===おごり先の認証===
上記実施例では、おごり品目提示画面220をおごり先以外のカラオケ利用者が閲覧し、おごり先の意志にかかわらず、おごり先以外の人がおごり品目提示画面220に表示されているおごり品目を注文してしまう可能性がある。おごり主が特定の人をおごり先として特別の思いを込めて飲食物をおごったのであれば、正しくおごり先がおごり品目提示画面220を閲覧したか否か、あるいはおごり品目を正しくおごり先が注文したか否かを、POSシステム1側で確認する必要がある。
【0039】
このようなおごり主とおごり先との個人的なやりとりに対応するためには、たとえば、おごり品目提示画面に、おごり先にICカードをアンテナ38に翳して認証手続きを行う旨の案内文を表示し、おごり先が案内に従ってICカードをアンテナ38に翳すと当該カードIDと、品目提示画面の生成起源となったおごり受諾電文中のおごり先IDとを照合し、一致したならば、品目の注文を受け付けるようにすればよい。
【0040】
===顧客管理サーバー===
上記実施例では、ホスト装置90が顧客管理サーバーとしても機能していた。しかし、おごり主とおごり先とが同じカラオケ店舗100の同じ客室端末30を介してログインし、現にログイン中であることを認知できればよいのであるから、顧客管理サーバーとして機能するコンピュータがカラオケ店舗100にあってもよい。
【0041】
===おごり主ID、おごり先IDについて===
おごり主やおごり先を識別するためのIDは、個人を特定するものではなく、たとえば、飲食店にある座席やテーブル、客室を識別するための情報であってもよい。それによって、あるテーブルで飲食しているグループが他のテーブルや座席にいるグループや客に対しおごることができ、そのおごりの行為をきっかけとして、初対面の人同士が友人同士となることが期待できる。
【0042】
===ログインについて===
上記実施例では、おごり主が客室端末によりおごり受付電文をホスト装置に送付させてから、おごり先がおごり品目に対する注文を受諾/辞退するまでの間、おごり主とおごり先が同じ客室端末30を介して現に顧客管理サーバーにログインしていることを前提としていた。そして、おごり主へのおごり品目の注文代金は、レジ払いによる個別精算を原則としていた。
【0043】
この前提や原則に限らす、たとえば、おごり先が別の客室や別の店舗など、おごり主とは異なる客室端末を介してログインしている場合であっても、おごり主がおごり先の会員IDを知っているのであれば、その会員IDをおごり先として入力すれば、おごり主とおごり先とが同じ客室端末30を介してログインしている必要はない。
【0044】
===前払いによるおごりについて===
おごり主が、おごり受付電文を送付した後、後日、おごり先がおごり品目提示画面を見て、おごりの受諾/辞退を指示するような形態も考えられる。このような場合に対応して、たとえば、特許文献1に記載されているように、おごり主は、おごった品目の代金を前払いで支払っておき、もし、おごりが辞退されたならば、ホスト装置90にて、その前払い金相当のポイントをおごり主の会員IDに対応付けして管理し、後日おごり主が自身の飲食代やおごり品目の飲食代、あるいはカラオケの利用に関わる代金をそのポイントで支払えるようにすればよい。
【0045】
また、「レジ払い」に限らず、電子マネーによっておごり品目の代金を支払うようにすることもできる。電子マネー決済は前払いが前提であるので、この場合も、おごりが辞退された場合、代金相当分をカラオケ店舗で利用可能なポイントで前払い代金分をおごり主に返還すればよい。もちろん、電子マネーで前払いした代金を電子マネーで返却することもできる。おごりが辞退された場合、そのおごり品目の金額をホスト装置90などカラオケ事業者側の適宜なコンピュータに記憶させ、おごり主が後日カラオケ店舗100を訪れた際、おごり品目の代金分をカラオケ事業者が決済機構に支払い、その代金分の電子マネーをカラオケ店舗100にある入金端末にておごり主のICカードに再入金すればよい。客室端末30に入金端末としての機能があれば、おごり主がログインした際に客室端末30を介しておごり主のICカードに電子マネーを入金することもできる。
【0046】
周知のクレジットカード決済であれば、おごり主がおごり品目とおごり先とを指定した際に一度決済し、たとえば、クレジットカード決済による口座引き落とし日までにおごり先がおごりを受諾すれば、クレジットカードの事業者は、所定の手順で口座引き落とし処理を行い、受諾しなければカラオケ事業者側で該当案件のクレジットカード決済をキャンセルするようにクレジットカード事業者側へ通知すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例におけるセルフオーダーPOSシステムを含むネットワーク構成図である。
【図2】上記セルフオーダーPOSシステムを構成している客室端末の外観図(A)と、機能ブロック図(B)である。
【図3】上記客室端末に表示される初期画面の概略図である。
【図4】上記客室端末が電子メニュー注文装置として起動する際に表示するトップ画面の概略図である。
【図5】上記客室端末が表示する品目選択画面の概略図である。
【図6】上記客室端末が表示する注文画面の概略図である。
【図7】上記客室端末が表示する個別精算認証画面の概略図である
【図8】上記客室端末が表示する個別精算支払い画面の概略図である。
【図9】上記客室端末が表示するおごり注文画面の概略図である。
【図10】上記客室端末が表示するおごり受付画面の概略図である。
【図11】上記客室端末が表示するおごり確認画面の概略図である。
【図12】上記セルフオーダーPOSシステムにおけるおごり機能に関わる処理の流れ図である。
【図13】上記客室端末が表示するおごり品目提示画面の概略図である。
【図14】上記客室端末が表示するおごり実施結果画面の概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1 セルフオーダーPOSシステム
2 カラオケ装置
30 客室端末
60 POS店舗システム
90 ホスト装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メニュー注文装置と、POS店舗システムと、顧客管理サーバーとが通信可能に結合されたセルフオーダーPOSシステムであって、
電子メニュー注文装置は、顧客ID取得手段と、メニューデータベースと、表示手段と、操作入力手段と、制御手段を備え、
顧客ID取得手段は、利用客の顧客IDを取得可能であり、
メニューデータベースは、飲食物の品目に関わる各種属性情報を品目IDに対応付けして集約し、
表示手段は、制御手段の制御により画像を表示し、
入力手段は、客による操作入力を可能とし、
制御手段は、顧客IDを取得した際におごり確認処理を行うとともに、おごり出力処理、メニュー処理、注文受付処理、おごり受付処理を可能とし、
おごり確認処理は、顧客管理サーバーに顧客IDを含むおごり問い合わせ電文を送信し、これに対して顧客管理サーバーからおごり受託電文が返信されてきた際、おごり受託電文中のおごり主の顧客IDと品目IDに基づいておごり品目提示画面を表示させ、
おごり出力処理は、おごり確認処理によるおごり品目の表示中に確認の旨のユーザ入力があった際、おごり品目の品目IDを含む注文電文をPOS店舗システムに送信し、
メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付け、
注文受付処理は、メニュー表示中にて受け付けた品目IDを含む注文電文をPOS店舗システムに送信し、
おごり受付処理は、利用客の顧客IDをおごり主IDとし、利用客が指定した顧客のIDをおごり先IDとして、メニュー表示中に利用客から受け付けた品目IDに、おごり主IDとおごり先IDとを対応付けしたおごり受付電文を顧客管理サーバーに送信し、
POS店舗システムは、注文電文を受信した際に受注伝票を発行し、
顧客管理サーバーは、受信したおごり受付電文をおごり先IDをキーとしたおごり寄託電文として記憶し、電子メニュー注文装置からおごり問い合わせ電文を受信した際、電文中の顧客IDをキーとするおごり寄託電文が記憶されている場合、その電文と同じ内容を含んだおごり受託電文を当該電子メニュー注文装置に送信する
セルフオーダーPOSシステム。
【請求項2】
電子メニュー注文装置と、POS店舗システムと、顧客管理サーバーとが通信可能に結合されたセルフオーダーPOSシステムであって、
電子メニュー注文装置は、顧客ID取得手段と、メニューデータベースと、表示手段と、操作入力手段と、制御手段を備え、
顧客ID取得手段は、利用客の顧客IDを取得可能であり、
メニューデータベースは、飲食物の品目に関わる各種属性情報を品目IDに対応付けして集約し、
表示手段は、制御手段の制御により画像を表示し、
入力手段は、客による操作入力を可能とし、
制御手段は、ログイン処理、ログオフ処理、おごり確認処理、メニュー処理、注文受付処理、おごり受付処理を可能とし、
ログイン処理は、取得した顧客IDを含むログイン電文を顧客管理サーバーに送信し、
ログオフ手段は、取得した顧客IDを含むログオフ電文を顧客管理サーバーに送信し、
おごり確認処理は、顧客管理サーバーからおごり受託電文が送信されてきた際、おごり受託電文中のおごり主の顧客IDと品目IDに基づいておごり品目提示画面を表示させ、
おごり出力処理は、おごり確認処理によるおごり品目提示画面の表示中に確認の旨のユーザ入力があった際、おごり品目の品目IDを含む注文電文をPOS店舗システムに送信し、
メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付け、
注文受付処理は、メニュー表示中にて受け付けた品目IDを含む注文電文をPOS店舗システムに送信し、
おごり受付処理は、利用客の顧客IDをおごり主IDとし、利用客が指定した顧客のIDをおごり先IDとして、メニュー表示中に利用客から受け付けた品目IDに、おごり主IDとおごり先IDとを対応付けしたおごり受付電文を顧客管理サーバーに送信し、
POS店舗システムは、注文電文を受信した際に受注伝票を発行し、
顧客管理サーバーは、ログイン監視手段と、おごり寄託電文記憶手段と、おごり受託電文送付手段とを備え、
ログイン監視手段は、ログイン電文を受信した際、電文中に含まれる顧客IDと当該電文を送付してきた電子メニュー注文装置との組を記憶して当該顧客IDをログイン中として管理するとともに、当該電子メニュー注文装置から当該顧客IDを含むログオフ電文を受信すると、当該顧客IDをログオフ中として管理し、
おごり寄託電文記憶手段は、受信したおごり受付電文をおごり先IDをキーとしたおごり寄託電文として記憶し、
おごり受託電文送付手段は、記憶したおごり寄託電文中のおごり先IDに該当する顧客IDがログイン中にある場合、当該おごり寄託電文と同じ内容を含んだおごり受託電文を当該電子メニュー注文装置に送信する
セルフオーダーPOSシステム。
【請求項3】
制御手段は、おごり実施通知処理と、おごり実施問い合わせ処理と、おごり実施結果提示処理とを行い、
おごり実施通知処理は、おごり出力処理において確認入力があった際、おごり受託電文の内容を含むおごり実施通知電文を顧客管理サーバーに送信し、
おごり実施問い合わせ処理は、顧客管理サーバーに顧客IDを含むおごり実施問い合わせ電文を送信し、
おごり実施結果提示処理は、おごり実施問い合わせ電文に対して顧客管理サーバーからおごり実施結果電文が返信されてきた際、当該おごり実施結果電文中の内容に基づいておごり実施結果画面を表示し、
顧客管理サーバーは、おごり実施通知電文を受信した際、当該電文の内容をおごり主IDをキーとして記憶するとともに、電子メニュー注文装置からおごり実施問い合わせ電文を受信した際、当該電文中の顧客IDをキーとしたおごり実施通知電文の内容が記憶されている場合、その内容を含んだおごり実施結果電文を当該電子メニュー注文装置に送信する
請求項1または2に記載のセルフオーダーPOSシステム。
【請求項4】
制御手段は、おごり確認処理において、おごり品目提示画面の表示中に確認、辞退のいずれかのユーザ入力を可能とするとともに、おごり実施問い合わせ処理と、おごり実施結果提示処理とを行い、
おごり実施通知処理は、おごり品目表示画面の表示中に確認、あるいは辞退の旨のユーザ入力があるとおごり受託電文の内容と、おごりを受諾した旨、あるいは辞退した旨の情報とを含んだおごり実施通知電文を顧客管理サーバーに送信し、
おごり実施問い合わせ処理は、顧客管理サーバーに顧客IDを含むおごり実施問い合わせ電文を送信し、
おごり実施結果提示処理は、おごり実施問い合わせ電文に対して顧客管理サーバーからおごり実施結果電文が返信されてきた際、当該おごり実施結果電文中の内容に基づいて、おごりが受諾、あるいは辞退された旨を含むおごり実施確認画面を表示し、
顧客管理サーバーは、おごり実施通知電文を受信すると当該電文の内容をおごり主IDをキーとして記憶するとともに、電子メニュー注文装置からおごり実施問い合わせ電文を受信した際、当該電文中の顧客IDをキーとしたおごり実施通知電文の内容が記憶されている場合、当該内容を含むおごり実施結果電文を電子メニュー注文装置に送信する
請求項1または2に記載のセルフオーダーPOSシステム。
【請求項5】
制御手段は、おごり確認処理において、顧客IDの入力を促す案内を表示させるとともに、当該案内に従って入力された顧客IDと当該確認処理の起源となったおごり受諾電文に含まれるおごり先IDとが一致した場合、おごり品目提示画面表示中のユーザ入力を受け付け可能とする、請求項1〜4のいずれかに記載のセルフオーダーPOSシステム。


【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図12】
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【図3】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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