説明

かずら巻付き防止具

【課題】金網フェンスへのかずらの巻き付きを有効に防止する。
【解決手段】かずらの上方への伸びを阻止する板材5と、板材5に上縁が固定されると共に金網フェンス1の支柱2に対向する部位が支柱2に固定され金網3へのかずらの巻付きを阻止するネット6と、地面近傍のかずらの上方への伸びを阻止して下向きに折り返す第2折り返し材13とを備え、かずらの金網3への巻き付きをネット6で阻止し、板材5及び半筒体11でかずらの上方への伸びを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網状フェンス、例えば、金網フェンスへのかずらの巻付きを防止するためのかずら巻付き防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
施設や私有地への第3者の侵入を阻止したり、田畑への動物の侵入を阻止するために、金網フェンスが用いられている。蔓科の植物であるかずらは様々なものに巻き付いて成長するため、金網フェンスが設置されている場所のかずらは、金網に巻き付いて成長することになる。金網フェンスに巻き付いたかずらを取り除く場合、刈り取り機や鎌は金網に刃が接触するため使用することができず、人手による手作業で取り除いているのが現状である。このため、金網フェンスに巻き付いたかずらの取り除き作業は多大な労力と時間を要する作業となっている。
【0003】
電柱の支線等にかずらが巻き付かないようにするための防止具が従来から提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。しかし、従来から提案されている防止具は、かずらが巻き付く対象が棒状、線状の支線等であり、線部材が細かく網目状に面で配される金網フェンスに適用することは構造上不可能である。このように、金網フェンスに対してかずらの巻き付を防止する技術は確立されていないのが実情であり、有効な対策が望まれている。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3123795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、網状フェンス、例えば、金網フェンスへのかずらの巻き付きを有効に防止することができるかずら巻付き防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明のかずら巻付き防止具は、網状フェンスの長手方向に延びて網状フェンスに固定されフェンス面の外側に突出してかずらの上方への伸びを阻止する折り返し材と、折り返し材に上縁が固定され下縁がフェンス面に固定され網状フェンスへのかずらの巻付きを阻止するシート材とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に係る本発明では、フェンス面に下縁が固定されたシート材によりかずらの網面への巻き付きが阻止され、上方に伸びるかずらは折り返し材により上方への伸びが阻止され、網状フェンスへのかずらの巻き付が防止される。
【0008】
そして、請求項2に係る本発明のかずら巻付き防止具は、請求項1に記載のかずら巻付き防止具において、網状フェンスの長手方向に延びてシート材の下縁と共に網状フェンスに固定されフェンス面の外側に突出してかずらの上方への伸びを阻止する第2折り返し材を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る本発明では、第2折り返し材により、網状フェンスの地面付近のかずらのフェンス面方向への伸びを阻止することができる。
【0010】
また、請求項3に係る本発明のかずら巻付き防止具は、請求項1もしくは請求項2に記載のかずら巻付き防止具において、シート材はネットであることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る本発明では、ネットによりかずらの網面への巻き付きが阻止される。シート材としては、透明な板状のシート等網状フェンスのフェンス面を覆うものであれば種々のシート材を用いることができる。
【0012】
また、請求項4に係る本発明のかずら巻付き防止具は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のかずら巻付き防止具において、折り返し材は、板材であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る本発明では、板材によりかずらの上方への伸びが阻止される。板材としては、網状フェンスに固定される縁部が備えられ、縁部に連続して矩形板状の板部が一体に備えられた構成が適用される。材質としてはアルミニウム等の金属や透明な樹脂等が適宜採用される。金属を採用することで、耐久性に優れた板材となり、透明な樹脂を採用することで、見栄えの低下を抑制した板材とすることができる。
【0014】
また、請求項5に係る本発明のかずら巻付き防止具は、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載のかずら巻付き防止具において、第2折り返し材は、長手方向に延びる開口が筒面に形成され開口が下向きに配される断面半円状の半筒体を有することを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る本発明では、断面半円状の半筒体により、網状フェンスの地面付近のかずらのフェンス面方向への伸びを下向きに折り返した状態で阻止することができる。
【0016】
また、請求項6に係る本発明のかずら巻付き防止具は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のかずら巻付き防止具において、折り返し材及びシート材は、網状フェンスの両側に備えられていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る本発明では、折り返し材及びシート材が網状フェンスの両側に備えられているので、フェンス面の両面がシート材に覆われてかずらの網面への巻き付きが確実に阻止され、フェンス面の両面で折り返し材によりかずらの上方への伸びが阻止される。
【0018】
上記目的を達成するための請求項7に係る本発明のかずら巻付き防止具は、網状フェンスの長手方向に延びて網状フェンスに固定されフェンス面の外側に突出してかずらの上方への伸びを阻止する板状の折り返し材と、折り返し材に上縁が固定されると共に金網フェンスの支柱に対向する部位が支柱に固定され網状フェンスへのかずらの巻付きを阻止するネットと、網状フェンスの長手方向に延びてネットの下縁と共に網状フェンスに固定されフェンス面の外側に突出してかずらの上方への伸びを阻止する第2折り返し材とを備え、第2折り返し材は、長手方向に延びる開口が筒面に形成され開口が下向きに配される断面半円状の半筒体を有し、折り返し材及びネット及び第2折り返し材は網状フェンスの両側に備えられていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に係る本発明では、フェンス面に下縁が固定されたネットによりかずらの網面への巻き付きが阻止され、上方に伸びるかずらは板材により上方への伸びが阻止され、網状フェンスへのかずらの巻き付が防止される。そして、断面半円状の半筒体により、網状フェンスの地面付近のかずらのフェンス面方向への伸びが阻止され、フェンス面の両面がネットに覆われてかずらの網面への巻き付きが確実に阻止され、フェンス面の両面で板材によりかずらの上方への伸びが阻止される。
【発明の効果】
【0020】
本発明のかずら巻付き防止具は、網状フェンス、例えば、金網フェンスへのかずらの巻き付きを有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1には本発明の一実施形態例に係るかずら巻付き防止具を備えた金網フェンスの外観、図2には本発明の一実施形態例に係るかずら巻付き防止具を備えた金網フェンスの正面視、図3には本発明の一実施形態例に係るかずら巻付き防止具を備えた金網フェンスの側面視、図4には図3中の矢印IV部の詳細、図5には図3中の矢印V部の詳細を示してある。
【0022】
図1〜図3に示すように、網状フェンスとしての金網フェンス1は、所定間隔で立設された支柱2の間に金網3が張られている。支柱2の上部は外側に傾斜されて鉄条網4が張り渡され、忍び返しとされている。金網フェンス1の下から3分の1程度の高さの位置には金網フェンス1の長手方向、即ち、支柱2の並び方向(図1中左右方向)に沿って延びる折り返し材としての板材5が固定されている。板材5にはシート材としての帯状のネット(目合:極小)6の上縁が固定されている。板材5は1m程度の高さの範囲で設置することが好ましい。
【0023】
図4に示すように、板材5は、ボルト、ナットからなるねじ部材7により金網フェンス1に固定される縁部8を有し、縁部8に連続して矩形板状の板部9が一体に備えられている。板材5は、例えば、アルミニウム製であり、耐久性に優れた構造とされている。板材5として、透明な樹脂等を用いることで、見栄えの低下を抑制したものとすることができる。板材5の縁部8はネット6の上縁と共にねじ部材7により金網フェンス1に固定されている。
【0024】
図3、図4に示すように、板材5の板部9は金網フェンス1のフェンス面の外側に傾斜した状態で配され、ネット6は金網フェンス1の金網3の面を覆うように配されている。これにより、板部9が金網フェンス1のフェンス面の外側に突出した状態になり、かずらの上方への伸びが板部9で阻止され、ネット6により金網3へのかずらの巻付きが阻止される。
【0025】
図1〜図3に示すように、ネット6の下縁に沿って半筒体11を有する第2折り返し材13が金網フェンス1に固定され、第2折り返し材13の半筒体11は、金網フェンス1の長手方向、即ち、支柱2の並び方向(図1中左右方向)に沿って延びてネット6の下縁と共に金網フェンス1に固定されている。第2折り返し材13の金網フェンス1側は、半筒体11の縁から連続して地面まで延ばされており、第2折り返し材13は断面J字状に形成されている。また、支柱2に対応するネット6は、ボルト、ナットからなるねじ部材7により支柱2に固定されている。
【0026】
図5に示すように、第2折り返し材13の半筒体11は、ねじ部材7により内面側からネット6の下縁と共に金網フェンス1に固定されている。半筒体11は、長手方向に延びる開口12が筒面に形成され開口12が下向きに配される断面半円状であり、金網フェンス1のフェンス面の外側に突出してかずらの地面付近の上方への伸びを半円の内周側で阻止して下に向けさせるようになっている。
【0027】
そして、図2〜図5に示すように、板材5、ネット6及び第2折り返し材13は金網フェンス1の両側に備えられている。このため、金網フェンス1の金網3の両面がネット6に覆われ、かずらの金網3への巻き付きが確実に阻止され、金網フェンス1の両面で板材5によりかずらの上方への伸びが阻止される。また、金網フェンス1の両面で地面付近のかずらの上方への伸びを下に向けさせることができる。
【0028】
上述したかずら巻付き防止具を備えることにより、金網3の面に下縁が固定されたネット6によりかずらの金網3への巻き付きが阻止され、上方に伸びるかずらは板材5により上方への伸びが阻止される。そして、第2折り返し材13の断面半円状の半筒体11により、金網フェンス1の地面付近のかずらの金網3の面方向への伸びが阻止される。更に、金網3の両面がネット6に覆われてかずらの金網3への巻き付きが確実に阻止され、金網フェンス1の両面で板材5によりかずらの上方への伸びが阻止される。
【0029】
このため、金網フェンス1へのかずらの巻き付きを有効に防止することができ、金網フェンス1に巻き付くかずらの本数が激減して除去作業が飛躍的に容易になり、金網フェンス1のかずらの除去作業に対する作業時間の大幅な短縮と労力の大幅な低減を図ることができる。
【0030】
尚、本発明のかずら巻付き防止具は、板材5、ネット6及び第2折り返し材13を金網フェンス1の両側に備えた例を挙げて説明したが、片側だけに備えても金網フェンス1へのかずらの巻き付きを有効に防止することができる。また、第2折り返し材13はかずらの生息状況等により省略することもでき、板材5及びネット6を備えることで、金網フェンス1へのかずらの巻き付きを有効に防止することができる。また、折り返し材である板材5及び第2折り返し材13の形状も設置する場所や網状フェンスの状況により種々変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、網状フェンス、例えば、金網フェンスへのかずらの巻付きを防止するためのかずら巻付き防止具の産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態例に係るかずら巻付き防止具を備えた金網フェンスの外観図である。
【図2】本発明の一実施形態例に係るかずら巻付き防止具を備えた金網フェンスの正面図である。
【図3】本発明の一実施形態例に係るかずら巻付き防止具を備えた金網フェンスの側面図である。
【図4】図3中の矢印IV部の詳細図である。
【図5】図3中の矢印V部の詳細図である。
【符号の説明】
【0033】
1 金網フェンス
2 支柱
3 金網
4 鉄条網
5 板材
6 ネット
7 ねじ部材
8 縁部
9 板部
11 半筒体
12 開口
13 第2折り返し材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網状フェンスの長手方向に延びて網状フェンスに固定されフェンス面の外側に突出してかずらの上方への伸びを阻止する折り返し材と、
折り返し材に上縁が固定され下縁がフェンス面に固定され網状フェンスへのかずらの巻付きを阻止するシート材と
を備えたことを特徴とするかずら巻付き防止具。
【請求項2】
請求項1に記載のかずら巻付き防止具において、
網状フェンスの長手方向に延びてシート材の下縁と共に網状フェンスに固定されフェンス面の外側に突出してかずらの上方への伸びを阻止する第2折り返し材を備えたことを特徴とするかずら巻付き防止具。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載のかずら巻付き防止具において、
シート材はネットであることを特徴とするかずら巻付き防止具。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のかずら巻付き防止具において、
折り返し材は、板材であることを特徴とするかずら巻付き防止具。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載のかずら巻付き防止具において、
第2折り返し材は、長手方向に延びる開口が筒面に形成され開口が下向きに配される断面半円状の半筒体を有することを特徴とするかずら巻付き防止具。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のかずら巻付き防止具において、
折り返し材及びシート材は、網状フェンスの両側に備えられていることを特徴とするかずら巻付き防止具。
【請求項7】
網状フェンスの長手方向に延びて網状フェンスに固定されフェンス面の外側に突出してかずらの上方への伸びを阻止する板状の折り返し材と、
折り返し材に上縁が固定されると共に金網フェンスの支柱に対向する部位が支柱に固定され網状フェンスへのかずらの巻付きを阻止するネットと、
網状フェンスの長手方向に延びてネットの下縁と共に網状フェンスに固定されフェンス面の外側に突出してかずらの上方への伸びを阻止する第2折り返し材とを備え、
第2折り返し材は、長手方向に延びる開口が筒面に形成され開口が下向きに配される断面半円状の半筒体を有し、
折り返し材及びネット及び第2折り返し材は網状フェンスの両側に備えられている
ことを特徴とするかずら巻付き防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−240404(P2008−240404A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83787(P2007−83787)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】