説明

しわ取り消臭剤組成物

【課題】汗臭及びアルデヒド類等に由来する複合臭を低減させることができ、かつアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを除去することができるしわ取り消臭剤組成物を提供する。
【解決手段】一般式(a1)で表される特定のポリヒドロキシアミン化合物及び/又はその塩(a)、水(20℃)に対する溶解度が1質量%以下であり、20℃での蒸気圧が100mmHg以上であり、且つ融点が50℃以下である油剤(b)、並びに界面活性剤(c)を含有するしわ取り消臭剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、しわ取り消臭剤組成物、及びしわ取り消臭方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯習慣の変化により、肌に直接触れない衣類は着てすぐに洗わない習慣が増えているが、その一方で洗わない衣類のしわや匂いを気にしており、衣類のしわ除去性能や様々な匂い(複合臭)に対する消臭性能が求められている。これまでに、特定の悪臭成分に対する消臭技術は知られているが、複合臭に対して効果的なものは少ない。
【0003】
また、スーツ等のドライクリーニング衣類は家庭での水洗いが困難であり、それらのしわ取り方法については、一般にアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行う方法があるが、手間がかかる作業である上、風合いを損ねる場合がある。これまでに、熱処理を行わずに衣類のしわを伸ばす技術が開示されているが、しわ除去効果は不十分である。
【0004】
例えば、特許文献1には、陽イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤とキレート剤を併用することにより,汗臭やタバコ臭を消臭する液体消臭剤が開示され、特許文献2には,香料等の消臭基剤と陽イオン界面活性剤と特定の溶剤を併用することにより,汗臭を消臭する液体消臭剤が開示されている。しかしながら、これらの液体消臭剤は、アルデヒド類等に対する消臭性能は充分ではない。
【0005】
特許文献3には、植物からの抽出物を主成分とする消臭基材、香料、エタノール及び界面活性剤を併用することにより、腐敗臭を抑制する消臭剤組成物が開示され、特許文献4には、ベタイン型両性化合物、非イオン性界面活性剤、及び陰イオン界面活性剤からなる処理剤で処理することにより、アンモニア臭等を消臭しうる消臭性繊維が開示されている。しかしながら、これらも汗臭やアルデヒド類に対する消臭性能は充分ではない。
【0006】
特許文献5には、トリエタノールアミンやトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等から選ばれる1種以上を塩として含む陰イオン界面活性剤により、低級脂肪酸、アミン類が共存する複合臭を抑制できることが開示されている。しかしながら、陰イオン界面活性剤のアミン塩はアルデヒド類に対する効果が充分でなく、水に対する溶解性が悪いものもあるため、消臭剤組成物を調製するには適さない。
【0007】
特許文献6には、有機二塩基酸又はその塩により、酢酸、イソ吉草酸等の低級脂肪酸類やアンモニア、トリメチルアミン等のアミン類等を消臭できることが開示されているが、有機二塩基酸又はその塩は、アルデヒド類に対する消臭効果が充分でない。
【0008】
特許文献7には、中高年以降に認められる加齢臭の原因物質の一つとされるノナナール等の不飽和アルデヒドの消臭について、エタノールアミンが効果的であることが開示されている。しかしながら、汗臭等に対する効果が不明であり、またエタノールアミンは刺激性があり、人体に触れる可能性のある形態での使用には適さない。
【0009】
また、特許文献8にはヘキシレングリコールやイソプレングリコール等の特定の水溶性溶剤と水を組み合わせた組成物を衣類のしわ部にスプレーした後、放置するだけでしわ部を取り除く技術が記載されているが、この方法では衣類についた軽いしわは取り除けるが、深いしわを完全に除去するのは困難である。特許文献9には特定のアルコール、グリセリン、非イオン性界面活性剤と水から成る組成物を布帛にスプレー噴霧した後で吊り下げて自然乾燥するか、アイロンがけを行うことでしわを除去する技術が記載されているが、自然乾燥だけでは十分にしわを除去することができず、またアイロンがけはしわ取りには非常に効果的であるが、手間が掛かる作業である上、風合いを損ねる可能性がある。特許文献10にはポリエーテル変性シリコーン、4級アンモニウム型抗菌剤と植物から抽出した消臭基剤を併用することによる消臭(たばこ臭など)抗菌しわ除去剤に関する技術が記載されているが、複合臭に対する消臭性能は十分ではない。
【0010】
更に、特許文献11〜13には、消臭やしわ取りに用いる組成物に、任意に有効量の緩衝剤を使用できることが記載されているが、消臭効果あるいはしわ取り効果については更なる向上が望まれる上、これら両方に優れた効果を得る点については言及されていない。
【0011】
かかる状況から、特に汗臭及びアルデヒド類等に由来する複合臭を低減させることができ、かつアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを除去することができるしわ取り消臭剤組成物の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開2001−40581号公報
【特許文献2】特開2001−70423号公報
【特許文献3】特開2001−178806号公報
【特許文献4】特開2004−176225号公報
【特許文献5】特開2004−49889号公報
【特許文献6】特開2001−95907号公報
【特許文献7】特開2001−97838号公報
【特許文献8】特開平10−25660号公報
【特許文献9】特開平1−6174号公報
【特許文献10】特開2003−96667号公報
【特許文献11】特表2003−533588号公報
【特許文献12】特表2003−533589号公報
【特許文献13】特表2004−500493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、汗臭及びアルデヒド類等に由来する複合臭を低減させることができ、かつアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを除去することができるしわ取り消臭剤組成物、及びしわ取り消臭方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、特定のポリヒドロキシアミン類が汗臭やアルデヒド類等に由来する複合臭の消臭に有効であり、また、特定の油剤と併用することによりアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを除去することができることを見出した。
【0014】
本発明は、下記一般式(a1)で表されるポリヒドロキシアミン化合物及び/又はその塩(a)〔以下、(a)成分という〕、20℃の水に対する溶解度が1質量%以下であり、20℃での蒸気圧が100mmHg以上であり、且つ融点が50℃以下である油剤(b)〔以下、(b)成分という〕、並びに界面活性剤(c)〔以下、(c)成分という〕を含有するしわ取り消臭剤組成物に関する。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R1は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基を表し、R2は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基を表し、R3及びR4は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R3及びR4は、同一でも異なっていてもよい。)
【0017】
また、本発明は、上記本発明のしわ取り消臭剤組成物を、噴霧により繊維製品に付着させ、対象物の臭い及びしわを低減させるしわ取り消臭方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のしわ取り消臭剤組成物は、汗臭及びアルデヒド類等に由来する複合臭を消臭でき、且つアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを除去することができる。本発明の組成物は、液体組成物、特に水系組成物の調製も容易であり、スプレー用として好適な組成物を容易に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<(a)成分>
(a)成分は、上記一般式(a1)で表されるポリヒドロキシアミン化合物及び/又はその塩である。
【0020】
一般式(a1)において、R1は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基を表す。炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基が挙げられる。また、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
【0021】
1は、消臭性能及び入手性の観点から、上記の中では水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましく、特に水素原子、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましい。
【0022】
また、一般式(a1)のR2は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基としては、上記R1で例示のものが挙げられる。
【0023】
2は、消臭性能及び入手性の観点から、上記の中では水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシエチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。
【0024】
また、一般式(a1)のR3及びR4は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R3及びR4は、同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましく、特にメチレン基が好ましい。
【0025】
(a)成分の具体例としては、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−4−ヒドロキシプロピル−1,7−ヘプタンジオール、2−(N−エチル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−エチル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等、及びそれらと塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸等との塩が挙げられる。
【0026】
これらの中では、消臭性能等の観点から、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール及びそれらと塩酸等の酸との塩から選ばれる1種以上が特に好ましい。
【0027】
一般式(a1)で表されるポリヒドロキシアミン化合物を塩酸等の塩として用いる場合は、塩基を添加することによりpHを調整することができる。用いることができる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。これらの中では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0028】
(a)成分は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、(a)成分は、常法により製造することができる。
【0029】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、20℃の水に対する溶解度が1質量%以下であり、20℃での蒸気圧が100mmHg以上であり、且つ融点が50℃以下である油剤である。本発明の(b)成分が、融点が50℃以下であるということは、本発明の効果を発現する室温付近の温度領域で液状であり、蒸気圧が100mmHg以上であるということは、揮発し難い物性を有し、本発明の組成物を付与した後、殆どは蒸発せず、液体状態であることを意味する。更に、20℃の水に対する溶解度が1重量%以下であるということは、水に極めて難溶であり、その結果、(c)成分の界面活性剤と水が共存することで、水和ゲルが効率的に形成されるもの考えられる。本発明者らは、このような水和ゲルを形成しうる組み合わせの組成物を衣類上に接触し、乾燥させることで、水和ゲルが形成し、衣類が湿潤時にも滑り、効率よくしわが除去できることを見出した。
【0030】
本発明の(b)成分としては、下記(b1)〜(b9)から選ばれる1種以上であることが好適である。なお、下記化合物において、PO(C36O)、EO(C24O)の平均付加モル数はNMRにより求めることができる。
【0031】
(b1)下記一般式(b1)で表される化合物〔以下、(b1)成分という〕
5−Y−[(PO)m/(EO)n]−H (b1)
〔式中、R5は炭素数10〜22の炭化水素基であり、POはC36Oを示し、EOはC24Oを示し、m及びnはそれぞれ平均付加モル数を示し、mは3〜100、nは1〜10の数であり、(PO)と(EO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。Yは、−O−又は−COO−、−CONH−又は−NHCO−のいずれかである。〕
【0032】
(b2)下記一般式(b2)で表される化合物〔以下、(b2)成分という〕
H−O−[(PO)p/(EO)q]−H (b2)
〔式中、POはC36Oを示し、EOはC24Oを示し、p及びqはそれぞれ平均付加モル数を示し、pは10〜100、qは0〜30の数であり、(PO)と(EO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。〕
【0033】
(b3)下記一般式(b3)で表される化合物〔以下、(b3)成分という〕
【0034】
【化4】

【0035】
〔式中、式中、p及びqはそれぞれ平均付加モル数を示し、pは10〜100、qは0〜30の数であり、(C36O)及び(C24O)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよい。〕
【0036】
(b4)分子量100〜500の脂肪酸〔以下、(b4)成分という〕
【0037】
(b5)炭素数8〜24の脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセライド〔以下、(b5)成分という〕
【0038】
(b6)下記一般式(b6)で表されるエステル化合物〔以下、(b6)成分という〕
6−CO−O−R7 (b6)
〔式中、R6は炭素数8〜20の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基、R7は炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基である。〕
【0039】
(b7)下記一般式(b7)で表されるエーテル化合物〔以下、(b7)成分という〕
8−O−R9 (b7)
〔式中、R8及びR9はそれぞれ独立に炭素数4〜18の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基である。〕
【0040】
(b8)分子量100〜500の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖炭化水素〔以下、(b8)成分という〕
【0041】
(b9)分子量100〜300の直鎖もしくは分岐鎖のアルコール〔以下、(b9)成分という〕
【0042】
(b1)成分の一般式(b1)において、R5は炭素数10〜22の炭化水素基であり、好ましくは炭素数12〜20、より好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、mは3〜100、好ましくは3〜60、より好ましくは10〜60の数であり、nは1〜10、好ましくは1〜9、より好ましくは1〜8の数であり、m/nは好ましくは3〜12、より好ましくは4〜10であり、Yは、より好ましくは−O−又は−COO−であり、更に好ましくは−O−であり、(PO)と(EO)はブロック付加が好ましく、中でも下記一般式(b1−1)で表される化合物がより好ましい。
5O−(PO)m−(EO)n−H (b1−1)
【0043】
(b2)成分の一般式(b2)において、pは10〜100、好ましくは15〜80、より好ましくは20〜70の数であり、qは0〜30、好ましくは0〜25、より好ましくは0〜20の数であり、p/qは好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、(PO)と(EO)は、ブロック付加が好ましく、中でも下記一般式(b2−1)又は(b2−2)で表される化合物がより好ましい。
HO−(PO)p−(EO)q−H (b2−1)
HO−(EO)r−(PO)p−(EO)s−H (b2−2)
〔式中、r+s=qである。〕
【0044】
(b3)成分の一般式(b3)において、xは10〜40、好ましくは15〜35、より好ましくは15〜30の数であり、yは1〜10、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜5の数であり、(C36O)及び(C24O)は、ブロック付加が好ましく、中でも下記一般式(b3−1)で表される化合物がより好ましい。
【0045】
【化5】

【0046】
(b4)成分としては、分子量100〜500、好ましくは100〜400の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖を有する脂肪酸が好ましく、具体的には、炭素数6〜20の脂肪酸が挙げられ、ヘキサン酸、オクタン酸、オクチル酸、デカン酸、ラウリン酸、オレイン酸が好ましい。
【0047】
(b5)成分としては、炭素数8〜24、好ましくは8〜22、より好ましくは8〜20の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセライドが好ましく、具体的には、トリ、ジ又はモノオクタン酸グリセリン、トリ、ジ又はモノデカン酸グリセリン、トリ、ジ又はモノオレイン酸グリセリンが好ましい。
【0048】
(b6)成分としては、一般式(b6)において、R6は炭素数8〜20の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、R7は炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であるエステル化合物が好ましく、オクタン酸エチル、オクタン酸イソプロピル、オクタン酸ブチル、オクタン酸ヘキシル、オクタン酸オクチル、オクタン酸デシル、オクタン酸ドデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸ドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸オクチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸オクチル、オレイン酸ドデシルが好ましい。
【0049】
(b7)成分の一般式(b7)において、R8及びR9はそれぞれ独立に炭素数4〜10の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であるエーテル化合物が好ましい。
【0050】
(b8)成分としては、分子量100〜500、好ましくは150〜500、より好ましくは200〜500の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖炭化水素が好ましく、具体的には、ドデカン、ヘキサデカン、ノナデカン、スクワラン、スクワレン、又は石油から分離精製されるパラフィン系化合物を主成分とする留分、平均分子量が200〜400の流動パラフィンなどのパラフィン系オイルが好ましい。
【0051】
(b9)成分としては、平均分子量100〜300の直鎖もしくは分岐鎖の1価アルコールが好ましく、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールが好ましい。
【0052】
(b)成分としては、しわ除去性能の点から、(b1)〜(b8)が好ましく、(b1)〜(b7)がより好ましい。
【0053】
<(c)成分>
本発明の(c)成分である界面活性剤は、(b)成分の溶液安定性を確保し、且つ(a)成分の新油性悪臭成分への接触性を高める上で重要である。ここで、本発明でいう界面活性剤と(b)成分は、類似した構造を有する場合もあるが、(b)成分は水に不溶の物質であり、(c)成分は水と油の双方に可溶な物質である点で異なる。従って、本発明では、20℃の水に対する溶解度が1質量%以下の化合物を(b)成分とし、これを超えて水に溶解する物質を(c)成分として定義する。
【0054】
界面活性剤としては、特に制限はなく、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤の中から選ばれる1種種以上が挙げられる。これらの中では、非イオン性界面活性剤が好ましく、下記一般式(c1)で表される化合物が、消臭性能及びしわ除去性能の点から、特に好ましい。
【0055】
10−Z−[(EO)a/(PO)b]−R11 (c1)
〔式(c1)中、R10は、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R11は、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、Zは−O−又は−COO−のいずれかであり、EOは、オキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、(EO)と(PO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(EO)と(PO)の付加順序は問わない。a及びbは平均付加モル数であり、a+bの合計は5〜15の数であり、bは2以下の数である。〕
【0056】
消臭性能向上の観点から、一般式(c1)で表される化合物のR10は、好ましくは炭素数10〜18、より好ましくは炭素数10〜16、更に好ましくは炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基であり、R11は、好ましくは水素原子、又は炭素数1〜2のアルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基、更に好ましくは水素原子である。
【0057】
また、一般式(c1)のaは、好ましくは5〜14の数、より好ましくは5〜13、更に好ましくは5〜12であり、bは好ましくは0である。一般式(c1)で表される化合物としては、ポリオキシエチレン(n=6〜12)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(n=5〜12)モノアルキル(炭素数12〜14の2級の炭化水素基)エーテル、ラウリン酸ポリオキシチレン(n=6〜13)メチルエーテルから選ばれる1種以上が特に好ましい。ここで、nはオキシエチレン基の平均付加モル数である。
【0058】
<しわ取り消臭剤組成物>
本発明では、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を組み合わせることにより、汗臭及びアルデヒド類等に由来する複合臭に対する消臭性能が更に高まり、同時に繊維製品のしわを低減することができるしわ取り消臭剤組成物が得られる。
【0059】
すなわち、通常、臭気成分はスーツ、セーター等の衣料、カーテン、ソファー等の繊維製品等の固体表面に付着するが、(b)成分及び(c)成分は、固体表面に付着した臭気成分の揮発を抑制するばかりでなく、消臭成分である(a)成分を安定に分散させ、繊維製品等に対する接触性を向上させて、消臭性能を更に高めることができる。
【0060】
本発明のしわ取り消臭剤組成物中の(a)成分、(b)成分、(c)成分の含有量は、消臭する悪臭の濃度、使用形態、繊維製品の種類、しわの程度によって適宜調整することができる。
【0061】
(a)成分の組成物中の含有量は、通常0.02質量%以上、好ましくは0.02〜10質量%、より好ましくは0.02〜8質量%、更に好ましくは0.02〜5質量%、更に好ましくは0.02〜3質量%、更に好ましくは0.02〜2質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%である。
【0062】
(b)成分の組成物中の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.01〜8質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.02〜3質量%、更に好ましくは0.02〜2質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%である。
【0063】
(c)成分の組成物中の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.01〜8質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.02〜3質量%、更に好ましくは0.02〜2質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%である。
【0064】
(a)成分の効果を更に高めるうえで(a)成分、(b)成分及び(c)成分の配合比率は、(a)/(b)の質量比で、好ましくは10/1〜1/10、より好ましくは8/1〜1/8、更に好ましくは5/1〜1/5、更に好ましくは3/1〜1/5、特に好ましくは1/1〜1/5であり、(a)/(c)の質量比で、好ましくは10/1〜1/10、より好ましくは8/1〜1/8、更に好ましくは5/1〜1/5、更に好ましくは4/1〜1/4、特に好ましくは3/1〜1/3であり、(a)/[(b)+(c)]の質量比で、好ましくは10/1〜1/10、より好ましくは8/1〜1/8、更に好ましくは5/1〜1/5、更に好ましくは3/1〜1/5、特に好ましくは1/1〜1/5である。
【0065】
本発明のしわ取り消臭剤組成物において、(a)成分、(b)成分、(c)成分等以外の残部は水とすることができる。また必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、多価アルコール、他の消臭剤、及び一般に添加される各種の溶剤、ゲル化剤、硫酸ナトリウムやN,N,N−トリメチルグリシン等の塩、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌・抗菌剤、香料、色素、紫外線吸収剤等の他の成分を添加することができる。
【0066】
溶剤としては、水、エタノール、イソプロパノール等の低級(炭素数3〜4)アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール類(炭素数2〜12)、エチレングリコールやプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールやジプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノール性化合物のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0067】
本発明のしわ取り消臭剤組成物の25℃におけるpHは6〜9.5に調整することが好ましい。pH6以上で汗臭やアルデヒド類に対する効果が優れ、またpH9.5以下でアミン類等に対する効果が優れる。
【0068】
なかでも、汗臭及びアルデヒド類等に由来する複合臭の全てに対する効果、及び皮膚刺激低減の観点から、本発明のしわ取り消臭剤組成物の25℃におけるpHは6.5〜9.5が好ましく、6.8〜9が更に好ましい。
【0069】
本発明のしわ取り消臭剤組成物のpHは、塩酸等の酸、又は水酸化ナトリウム等のアルカリを添加することにより調整することができる。
【0070】
本発明のしわ取り消臭剤組成物の使用形態は、液状、ゲル状、粉状、粒状等の固体状とすることができる。液状の場合には、特にスプレー、ローション等として繊維製品に用いることができる。本発明のしわ取り消臭剤組成物は、特に液状、更に水系組成物としてミストタイプのスプレー容器に充填し、一回の噴霧量を0.1〜1mlに調整したものが好ましい。使用するスプレー容器としては、トリガースプレー容器(直圧あるいは蓄圧型)やディスペンサータイプのポンプスプレー容器等の公知のスプレー容器を用いることができる。すなわち、本発明では、本発明のしわ取り消臭剤組成物、特に液状のしわ取り消臭剤組成物をスプレー容器に充填してなるスプレー式しわ取り消臭剤を得ることができる。本発明の組成物は、噴霧により繊維製品に付着させて、対象物の臭い及びしわを低減させることが好ましく、前記スプレー式しわ取り消臭剤はこの方法に好適に用いられる。繊維製品としては、スーツ、セーター等の衣類、カーテン、ソファー等が挙げられる。
【実施例】
【0071】
実施例1〜16及び比較例1〜13
<しわ取り消臭剤組成物の調製>
表1〜表4に示す配合処方のしわ取り消臭剤組成物を調製した。なお、抗菌剤としてはプロキセルBDN(アビシア株式会社製、10%水溶液)を使用し、得られた組成物は、1規定の塩酸又は1/10規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH8(25℃)に調整した。表1〜表4中の記号の成分は下記のとおりである。
【0072】
(a)成分
・a−1:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
・a−2:2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール
・a−3:2−アミノ−1,3−プロパンジオール
【0073】
(b)成分(便宜的に(b)成分以外の成分も例示する)
・b−1:一般式(b1−1)中のR5が炭素数18の直鎖アルキル基、mが38、nが6の数であり、化合物
・b−2:一般式(b1−1)中のR5が炭素数16の直鎖アルキル基、mが15、nが3の数である化合物
・b−3:一般式(b1−1)中のR5が炭素数12の直鎖アルキル基、mが25、nが5の数である化合物
・b−4:一般式(b2)中のpが30、qが5の数である化合物
・b−5:一般式(b2)中のpが35、qが0の数である化合物
上記b−1〜b−5は、何れも、水(20℃)に対する溶解度が1質量%以下であり、20℃での蒸気圧が100mmHg以上であり、且つ融点が50℃以下ある。
・b−6:オレイン酸(20℃での蒸気圧=240mmHg、融点=約11℃)
・b−7:ラウリン酸(20℃での蒸気圧=186mmHg、融点=45℃)
・b−8:トリオレイン酸グリセリン(20℃での蒸気圧=100mmHg以上、融点=5℃以下)
・b−9:オレイン酸ブチル(20℃での蒸気圧=100mmHg以上、融点=−10℃以下)
・b−10:流動パラフィン(モレスコホワイトP−55、松村石油(株)製、平均分子量296、20℃での蒸気圧=100mmHg以上、融点=50℃以下)
・b−11:スクワラン(20℃での蒸気圧=100mmHg以上、融点=50℃以下)
・b−12:n−ヘキサデカン(20℃での蒸気圧=100mmHg以上、融点=18℃)
・b−13:n−ドデカン(20℃での蒸気圧=106mmHg、融点=−8℃以下)
・b−14:2−オクチルドデカノール(20℃での蒸気圧=100mmHg以上、融点=50℃以下)
・b−15:1−ドデカノール(20℃での蒸気圧=148mmHg、融点=24℃)
・b−16:イソステアリルアルコール(20℃での蒸気圧=100mmHg以上、融点=−30℃)
上記b−6〜b−16は、何れも、水(20℃)に対する溶解度が1質量%以下である。
【0074】
・b’−1:一般式(b1−1)中のR5が炭素数12の直鎖アルキル基、mが0、nが50の数である化合物(水(20℃)に対する溶解度=1質量%超)
・b’−2:一般式(b2)中のpが5、qが0の数である化合物(水(20℃)に対する溶解度=1質量%超、20℃での蒸気圧=100mmHg以上、融点=50℃以下)
・b’−3:ステアリン酸(水(20℃)に対する溶解度=1質量%以下、20℃での蒸気圧=245mmHg、融点=54〜57℃)
・b’−4:酪酸(水(20℃)に対する溶解度=1質量%超、20℃での蒸気圧=74mmHg、融点=−8℃)
・b’−5:カプロン酸エチル(水(20℃)に対する溶解度=1質量%以下、20℃での蒸気圧=100mmHg未満、融点=50℃以下)
・b’−6:n−デカン(水(20℃)に対する溶解度=1質量%以下、20℃での蒸気圧=72mmHg、融点=−30℃)
・b’−7:n−ヘキサン(水(20℃)に対する溶解度=1質量%以下、20℃での蒸気圧=−14mmHg、融点=−95℃)
・b’−8:コレステロール(水(20℃)に対する溶解度=1質量%以下、20℃での蒸気圧=100mmHg以上、融点=148℃)
・b’−9:ステアリルアルコール(水(20℃)に対する溶解度=1質量%以下、20℃での蒸気圧=100mmHg以上、融点=60.0℃)
・b’−10:1−ヘキサノール(水(20℃)に対する溶解度=1質量%以下、20℃での蒸気圧=71mmHg、融点=50℃以下)
【0075】
(c)成分
・c−1:ポリオキシエチレン(平均付加モル数=8)ラウリルエーテル
・c−2:ポリオキシエチレン(平均付加モル数=9)モノアルキル(sec炭素数12〜14)エーテル
【0076】
<消臭効果の評価>
(1)消臭対象物の調製
木綿メリアス布(10cm×10cm)に、臭気成分として、イソ吉草酸(汗臭モデル)の10ppmエタノール溶液、又はノナナール(アルデヒド臭モデル)の1%エタノール溶液をスプレーバイアル(株式会社マルエム、No.6)を用いて1回スプレーし、30分間乾燥させた後、試験片とした。
【0077】
(2)消臭方法
上記方法にて得た試験片に、表に示す配合処方のしわ取り消臭剤組成物をスプレーバイアル(株式会社マルエム、No.6)を用いて6回スプレーし、25℃/50%RHの恒温室にて1時間乾燥させた。
【0078】
(3)消臭性能評価
30歳代の男性5人及び女性5人の計10人のパネラーに、乾燥後の試験片の臭いを嗅いでもらい、下記の6段階の臭気強度表示法で評価し、その平均値を求め、表に示した。
0:無臭
1:何の臭いか分からないが、ややかすかに何かを感じる強さ(検知閾値のレベル)
2:何の臭いか分かる、容易に感じる弱い臭い(認知閾値のレベル)
3:明らかに感じる臭い
4:強い臭い
5:耐えられないほど強い臭い
評価は平均値2未満が好ましい。結果を表1〜4に示す。
【0079】
<しわ取り効果の評価>
(1)しわつけ方法
ウール生地(ウールサージ、(株)谷頭商店)からなる試験布20cm×10cmにイオン交換水をスプレー噴霧して湿潤させた後、試験布を2つ折りにして、40℃に設定した恒温室内で折り目部分に2kgの重りをのせ、24時間放置することによって、これをしわ取り評価のモデルじわとした。
【0080】
(2)しわ取り方法
上記方法にて作成したモデルじわのついた試験布に対し、表に示すしわ取り消臭剤組成物をスプレー容器(キャニオン製、T−7500)を用いて試験布乾燥時質量に対して50質量%噴霧した後、25℃/50%RHの恒温室に12時間放置し、自然乾燥させた。乾燥終了後、試験布のしわの取れ具合を判定した。
【0081】
(3)しわ除去性能評価
判定は、しわ取り消臭剤組成物をスプレー処理した布と、処理前の布(対照)とを、熟練した5人のパネラーに下記の基準で採点してもらい、平均点を求め、表に示した。評価は平均点3未満が好ましい。
1:全くしわがない
2:ほとんどしわがない
3:僅かにしわが残っている
4:相当しわが残っている
5:著しくしわが残っている
【0082】
【表1】

【0083】
表1の比較例1〜2では、(b)成分の代替として用いた化合物の水(20℃)に対する溶解度が高いため、比較例1の組成物はしわ除去性能が不十分であり、比較例2の組成物は消臭性能及びしわ除去性能が不十分であるのに対し、実施例1〜5のしわ取り消臭剤組成物は、消臭性能及びしわ除去性能のいずれに対しても効果が高いことが分かる。
【0084】
【表2】

【0085】
表2から、比較例3の組成物は、(b)成分の代替として用いた化合物の融点が高いため、比較例4の組成物は、(b)成分の代替として用いた化合物の水(20℃)に対する溶解度が高く蒸気圧が低いため、また、比較例5の組成物は、(b)成分の代替として用いた化合物のの蒸気圧が低いため、消臭性能及びしわ除去性能が不十分であるのに対し、実施例6〜9のしわ取り消臭剤組成物は、消臭性能及びしわ除去性能のいずれに対しても効果が高いことが分かる。
【0086】
【表3】

【0087】
表3の比較例6〜7では、(b)成分の代替として用いた化合物の蒸気圧が低いため、比較例6の組成物はしわ除去性能が不十分であり、比較例7の組成物は消臭性能及びしわ除去性能が不十分であり、比較例8の組成物は(b)成分の融点が高いため、消臭性能及びしわ除去性能が不十分であるのに対し、実施例10〜13のしわ取り消臭剤組成物は、消臭性能及びしわ除去性能のいずれに対しても効果が高いことが分かる。
【0088】
【表4】

【0089】
表4の比較例9の組成物は、(b)成分の代替として用いた化合物の融点が高いため、しわ除去性能が不十分であり、比較例10の組成物は、(b)成分の代替として用いた化合物の蒸気圧が低いため、消臭性能及びしわ除去性能が不十分である。また、比較例12の組成物は消臭性能が不十分であり、比較例13〜14の組成物は消臭性能及びしわ除去性能が不十分であるのに対し、実施例14〜16のしわ取り消臭剤組成物は、消臭性能及びしわ除去性能のいずれに対しても効果が高いことが分かる。
【0090】
実施例17
実施例1で得られたしわ取り消臭剤組成物に、香料0.01%(対組成物、質量比)を配合し、しわ取り消臭剤組成物を調製した。なお、香料としては、ケイ皮酸エチル5質量部、酢酸リナリル10質量部、リラール部15質量部、ヘキシルシンナミックアルデヒド10質量部、パーライド10質量部、フェニルエチルアルデヒド20質量部、セダーアルコール10質量部、及びリモネン20質量部からなる調合香料を使用した。
【0091】
実施例1等の方法にて消臭性能評価を行った結果、実施例17のしわ取り消臭剤組成物は、汗臭及びアルデヒド臭のいずれに対しても消臭性能が高く、且つ配合した香料の香調は維持されていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(a1)で表されるポリヒドロキシアミン化合物及び/又はその塩(a)、20℃の水に対する溶解度が1質量%以下であり、20℃での蒸気圧が100mmHg以上であり、且つ融点が50℃以下である油剤(b)、並びに界面活性剤(c)を含有するしわ取り消臭剤組成物。
【化1】


(式中、R1は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基を表し、R2は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基を表し、R3及びR4は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R3及びR4は、同一でも異なっていてもよい。)
【請求項2】
(b)成分が下記(b1)〜(b9)から選ばれる1種以上である請求項1に記載のしわ取り消臭剤組成物。
(b1)下記一般式(b1)で表される化合物
5−Y−[(PO)m/(EO)n]−H (b1)
〔式中、R5は炭素数10〜22の炭化水素基であり、POはC36Oを示し、EOはC24Oを示し、m及びnはそれぞれ平均付加モル数を示し、mは3〜100、nは1〜10の数であり、(PO)と(EO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。Yは、−O−又は−COO−、−CONH−又は−NHCO−のいずれかである。〕
(b2)下記一般式(b2)で表される化合物
H−O−[(PO)p/(EO)q]−H (b2)
〔式中、POはC36Oを示し、EOはC24Oを示し、p及びqはそれぞれ平均付加モル数を示し、pは10〜100、qは0〜30の数であり、(PO)と(EO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。〕
(b3)下記一般式(b3)で表される化合物
【化2】


〔式中、式中、x及びyはそれぞれ平均付加モル数を示し、pは10〜100、qは0〜30の数であり、(C36O)及び(C24O)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよい。〕
(b4)分子量100〜500の脂肪酸
(b5)炭素数8〜24の脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセライド
(b6)下記一般式(b6)で表されるエステル化合物
6−CO−O−R7 (b6)
〔式中、R6は炭素数8〜20の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基、R7は炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基である。〕
(b7)下記一般式(b7)で表されるエーテル化合物
8−O−R9 (b7)
〔式中、R8及びR9はそれぞれ独立に炭素数4〜18の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の1価炭化水素基である。〕
(b8)分子量100〜500の飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖炭化水素
(b9)分子量100〜300の直鎖もしくは分岐鎖のアルコール
【請求項3】
一般式(a1)で表されるポリヒドロキシアミン化合物及び/又はその塩(a)が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、及び2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載のしわ取り消臭剤組成物。
【請求項4】
一般式(a1)で表されるポリヒドロキシアミン化合物及び/又はその塩(a)の含有量が0.01〜10質量%であり、油剤(b)の含有量が0.01〜10質量%であり、界面活性剤(c)の含有量が0.01〜10質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載のしわ取り消臭剤組成物。
【請求項5】
液状である、請求項1〜4のいずれかに記載のしわ取り消臭剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のしわ取り消臭剤組成物を、噴霧により繊維製品に付着させ、対象物の臭い及びしわを低減させるしわ取り消臭方法。

【公開番号】特開2007−239117(P2007−239117A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60706(P2006−60706)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】