説明

すべり軸受

【課題】高面圧下で優れた耐疲労性及びなじみ性を有するすべり軸受を提供する。
【解決手段】裏金層2、Al基中間層3及びAl基軸受合金層4を備えたすべり軸受1において、Al基中間層4の厚さを30μm以下にし、且つ、硬さをビッカース硬さで70以上にする。Al基軸受合金層に、Alと他の元素から成る金属間化合物及び/又はSi粒子を含んでいるすべり軸受。Al基軸受合金層は、所定のSn、Siと、その他の金属元素を2種類以上からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏金層、Al基中間層、Al基軸受合金層を備えたすべり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
Al基軸受合金を内張りしたすべり軸受(以下、Al軸受と称する)は、初期なじみ性が比較的良好であり、高面圧で優れた耐疲労性及び耐摩耗性を有し、自動車や一般産業機械の高出力エンジンの軸受に用いられている。このようなAl軸受は、一般に、Al基軸受合金層と裏金層とを、Al基中間層を介して接着してバイメタルを構成し、このバイメタルを機械加工して製造される。
【0003】
ところが近年、更なるエンジンの高性能化によって、より高面圧での使用に耐え得るようなすべり軸受が要望されてきている。この要望に応えるため、Al基軸受合金層の改良だけでなく、Al基中間層の改良も考えられてきている。
【0004】
Al基中間層の耐荷重性を改良させたすべり軸受としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。このすべり軸受は、Al基軸受合金層をAl−Snから形成し、中間層(Al基中間層に相当)を純Alから形成し、且つ、この中間層の厚さを20μm以下に設定している。
この構成によれば、中間層の変形量がきわめて小さく抑えられ、良好な耐荷重性が得られると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−217747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のすべり軸受は、クッションとして作用する比較的軟らかい中間層が薄いので、なじみ性を十分に発揮することができない。
一般に、Al基中間層の硬度を高くすると、Al基中間層は、クッション性が低下し、なじみ性が低下すると考えられている。又、Al基中間層を厚くすると、Al基中間層は、クッション性が増してなじみ性が向上すると考えられている。
【0007】
そこで、Al基中間層の硬度を低くし、且つ、厚さを厚くすることが考えられる。
前述したように、近年のエンジンの高性能化によるすべり軸受の苛酷な使用への要望により、更なるなじみ性の向上が望まれている。しかしながら、Al基中間層を軟らかくして厚くしても、なじみ性に対する昨今の厳しい要求に対しては、必ずしも十分とは言えない場合があった。しかも、そのようなすべり軸受の場合、耐疲労性が低下する傾向も見られた。
【0008】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は高面圧下で優れた耐疲労性及びなじみ性を有するすべり軸受を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来、すべり軸受のクッション性は、Al基中間層が負担するものと考えられてきたため、Al基中間層の耐疲労性、及びAl基中間層を有するすべり軸受のなじみ性の改良にあたって、Al基中間層の硬度を高くし、且つ、薄くする構成については、検討されてこなかった。又、これまで、なじみ性の向上と耐疲労性の向上とは相反するものと考えられてきた。しかしながら、本発明者は、鋭意実験を重ね、Al基中間層の厚さを所定以下にし、且つ、硬さを所定以上にすることにより、優れた耐疲労性及びなじみ性を有するすべり軸受を得ることができることを究明した。
【0010】
本発明の請求項1のすべり軸受は、裏金層、Al基中間層及びAl基軸受合金層を備えたすべり軸受において、Al基中間層の厚さが30μm以下、且つ、硬さがビッカース硬さで70以上であることを特徴としている。
【0011】
本発明のすべり軸受の基本形態の例を、図1に示す。図1のすべり軸受1は、裏金層2と、裏金層2上にAl基中間層3を介して接着されて設けられたAl基軸受合金層4との3層構造である。
【0012】
裏金層は、例えば鋼から形成されている。
Al基中間層は、厚さが30μm以下、且つ、硬さがビッカース硬さで70以上であると、良好な耐疲労性、及び良好ななじみ性を発揮する。厚さが20μm以下、且つ、硬さがビッカース硬さで80以上であることがより好ましい。
【0013】
Al基中間層は、30μm以下であるときに、硬さがビッカース硬さで70以上であると、すべり軸受のAl基軸受合金層に荷重が加わっても変形が生じ難く、すべり軸受の耐疲労性は向上する。特に、Al基中間層の硬さがビッカース硬さで80以上では、Al基軸受合金層により大きな荷重が加わってもほとんど変形が生じず、すべり軸受の耐疲労性は向上する。
【0014】
Al基中間層は、硬さがビッカース硬さで70以上であるときに、Al基中間層の厚さが30μm以下であると、すべり軸受において、Al基中間層自身のクッション性は低下すると考えられるが、薄いが故にすべり軸受のなじみ性への影響は少なく、結果として、Al基軸受合金層がすべり軸受のクッション性を補うようになる。即ち、Al基中間層の硬さをビッカース硬さで70以上にして厚さを30μm以下にすることにより、すべり軸受に加わる動荷重は、Al基軸受合金層で吸収するようになり、すべり軸受全体としてのなじみ性は良好になる。特に、Al基軸受合金層は、厚さが150μm以上500μm以下であると、良好な耐疲労性、及び良好ななじみ性に対して好ましい。
【0015】
Al基中間層は、硬さがビッカース硬さで70以上であるときに、厚さが5μm以上であることが好ましい。Al基中間層の厚さを5μm以上にすることにより、裏金層とAl基中間層との接着、及びAl基中間層とAl基軸受合金層との接着が良好になる。又、Al基中間層は、厚さが30μm以下であるときに、硬さがビッカース硬さで150以下であることが好ましい。Al基中間層の硬さを150HV以下にすることにより、接着が良好になる。
【0016】
本発明の請求項2のすべり軸受は、Al基軸受合金層に、Alと他の2種類以上の元素とから成る金属間化合物であって粒径が0.5μm未満の金属間化合物を、8個/μm以上含み、Al基軸受合金層の硬さが、ビッカース硬さで50以上80未満であることを特徴としている。
【0017】
Al基軸受合金層に2種類以上の元素が添加されていると、これらの元素はAlと多元系金属間化合物を構成するほか、単独でもAlのマトリクス中に分散する。上記多元系金属間化合物のAl以外の構成元素はマトリクス中にも分散しているため、多元系金属間化合物はマトリクスとの結合強度が高まる。このため、繰り返し曲げ応力が作用しても離脱し難く、塑性変形を生じ難く、なじみ性を損なうことなく曲げ疲労強度が向上して耐疲労性が向上する。
【0018】
Alと化合して金属間化合物を構成する元素は、Mn,V,Mo,Cr,Co,Fe,Ni,W,Ti,Zrの金属元素である。例えば、この金属元素の中でMn,Vを選択した場合、これらの元素はAl−Mn−Vの多元系金属間化合物、この場合3元系金属間化合物を生成するほか、Mn及びVが単独でマトリクス中に存在するようになる。
【0019】
多元系金属間化合物がマトリクスの塑性変形を阻止する機能は、多元系金属間化合物が0.5μm未満の微細なもので、その分布密度が1μm当たり8個以上の場合に、効果的に発揮される。又、この範囲内の多元系金属間化合物であれば、マトリクスの伸びを損なわずに強靭化できる。
【0020】
更に、Al基軸受合金層の成分、例えば多元系金属間化合物の成分の割合を変更することにより、Al基軸受合金層の硬さを変えることができる。そして、Al基軸受合金層の硬さを、ビッカース硬さHVで50以上にすることにより、Al基軸受合金層が高出力エンジンに適用された場合における高荷重の作用下でも疲労をより生じ難くすることができる。又、Al基軸受合金層の硬さを、ビッカース硬さHvで80未満にすることにより、より良好ななじみ性を得ることができる。
【0021】
このすべり軸受(Al軸受)は、鋳造工程、圧延工程、圧接工程、熱処理(焼鈍)工程、機械加工工程を経て製造される。即ち、鋳造工程では、Al基軸受合金(Al基軸受合金層)を溶融して板状に鋳造する。鋳造された板状のAl基軸受合金を、圧延工程で圧延し、圧接工程で鋼板(裏金層)に薄いAl基合金板(Al基中間層)を介して圧接して軸受形成用板材にする。その後、軸受形成用板材を焼鈍し、軸受形成用板材を機械加工して半円筒状又は円筒状の軸受に形成する。この製造工程において、鋳造後のAl基軸受合金の圧延から軸受形成用板材の焼鈍のプロセスを経て0.5μm未満の微細な金属間化合物を析出させることができる。
【0022】
本発明の請求項3のすべり軸受は、Al基軸受合金層に、Alと少なくともSiとから成る金属間化合物及び/又はSi粒子を含んでいることを特徴としている。
【0023】
Alと少なくともSiとから成る金属間化合物としては、例えば、Al−Si−FeやAl−Si−Mn等があり、これらの金属間化合物の大きさは、1〜10μmである。又、Si粒子の大きさは、1〜10μmである。
Alと少なくともSiとから成る金属間化合物を含ませることにより、Si粒子と同様に、相手軸に対してはラッピング作用を発揮し、すべり軸受の非焼付性は良好になる。又、Siは、マトリクスに固溶し、或いは、硬いSi粒子として晶出して、Al基軸受合金層の強度を増す。これにより、すべり軸受の耐疲労性は更に向上する。
【0024】
本発明の請求項4のすべり軸受は、Al基軸受合金層が、3〜20質量%のSnと、1.5〜8質量%のSiと、Mn,V,Mo,Cr,Co,Fe,Ni,W,Ti,Zrの内から2種類以上を選択して成る金属元素であって、その総量が0.01〜3質量%である金属元素と、不可避的不純物を除く残部がAlとから成ることを特徴としている。
【0025】
Al基軸受合金層にSnを3質量%以上含ませることにより、すべり軸受としての非焼付性、なじみ性、異物埋収性等の表面性能を改善することができ、Snの含有量を20質量%以下にすることにより、より高面圧に耐え得ることができる。
Al基軸受合金層にSiを1.5質量%以上含ませることにより、上記のSiの作用を十分に発揮することができ、Siの含有量を8質量%以下にすることにより、良好な耐疲労性を維持することができる。
【0026】
金属元素として、Mn,V,Mo,Cr,Co,Fe,Ni,W,Ti,Zrを用いることが好ましい。これらの金属元素は、Alと結合して、3元系(又はそれ以上の多元系)の金属間化合物を生成させることができるためである。又、この金属元素の総量を0.01%以上にすることにより、上述した金属間化合物の生成を多くすることができる。又、金属元素の総量を3質量%以下にすることにより、良好な耐疲労性を維持することができる。
【0027】
本発明の請求項5のすべり軸受は、Al基軸受合金層に、Cu,Zn,Mgの内から1種類以上を選択して成る元素であって、その総量が0.1〜7質量%である元素を含んでいることを特徴としている。
【0028】
Cu,Zn,Mgの内から1種類以上を選択して成る元素は、マトリクスに固溶する。これにより、マトリクス強度を高めることができる。
Cu,Zn,Mgの内から1種類以上を選択して成る元素の総量を0.1質量%にすることにより、上記作用を十分に発揮させることができ、総量を7質量%以下にすることにより、良好ななじみ性を維持することができる。
【0029】
本発明の請求項6のすべり軸受は、Al基軸受合金層が、Al以外に2種類以上の元素を含み、Al基中間層が、Al基軸受合金層に含まれる元素のうちの少なくとも2種類の元素を含み、且つ、それらの元素のうち、その含有量がAl基軸受合金層の含有量の50%〜150%であるものを2種類以上含むことを特徴としている。
【0030】
この構成にすることにより、Al基中間層のヤング率の値は、Al基軸受合金層のヤング率の値とほぼ等しくなり、すべり軸受に曲げ応力が加わっても、Al基軸受合金層とAl基中間層の各層内部に余計な歪みが生じてしまうことを防止でき、疲労によるクラックの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】すべり軸受の断面図
【図2】なじみ性試験に用いられる試験機へのすべり軸受の取付け状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の効果を確認するために、表1に示す成分のAl基軸受合金層とAl基中間層を用いて本発明のすべり軸受(実施例品1〜8)及び従来構成のすべり軸受(比較例品1〜3)の試料片を製作し、耐疲労性試験及びなじみ性試験を行った。
【0033】
【表1】

【0034】
実施例品1〜8の製造方法は次の通りである。まず、例えば、量産性に優れたベルト鋳造装置によって表1に示す成分からなるAl基軸受合金の板材を製造した。その後、この鋳造されたAl基軸受合金に、表1に示す成分からなるAl基中間層を構成する薄い板材を圧接して複層アルミニウム合金板を製造し、この複層アルミニウム合金板を、裏金層を構成する鋼板に圧接して軸受形成用板材(いわゆるバイメタル)を製造した。そして、軸受形成用板材を、350度を超え400度以下の温度にて数時間加熱する焼鈍を行った後の軸受形成用板材を機械加工してすべり軸受(半割軸受)を製造し、実施例品4〜8を得た。
【0035】
上記軸受形成用板材の焼鈍により、Al基軸受合金層のマトリクス中に金属間化合物が析出する。そして、析出した金属間化合物の大きさを電子顕微鏡による組織写真から解析したところ、粒径が0.5μm未満の大きさのものが、1μm当たり、表1に示す個数認められた。尚、粒径は、電子顕微鏡で解析して得られた金属間化合物1個当たりの最大長さと定義する。
【0036】
一方、実施例品1〜3及び比較例品1〜3の製造方法は、上記実施例品4〜8の製造方法と相違し、軸受形成用板材の焼鈍温度が低く、例えば、300度以上350度以下で行うものである。
このようにして得られたAl基軸受合金層での金属間化合物の存在は、表1に示すように少個数であった。
このような実施例品1〜8、比較例品1〜3に対して行った耐疲労性試験及びなじみ性試験は次のようなものである。
【0037】
(1)耐疲労性試験
焼鈍を行った後の軸受形成用板材を機械加工して試験片(実施例品1〜8、比較例品1〜3)を製作し、耐疲労性を見るための曲げ疲労性試験を実施した。この試験片は、総厚1.5mm、裏金層の厚さ1.2mmであり、Al基軸受合金層の厚さとAl基中間層との合計の厚さは0.3mmである。試験条件は、Al基軸受合金層の表面の歪みが一定となるようにして、往復曲げをAl基軸受合金層の表面にクラックが発生するまで繰り返した。又、試料片のAl基軸受合金層の表面にクラックが発生したときに、Al基中間層の断面を観察し、Al基中間層にもクラックが発生していたかを観察した。この試験結果を表1に示す。表1中の「×10回」の縦の欄には、試料片のAl基軸受合金層の表面にクラックが発生するまでの往復曲げの繰り返し回数を示す。又、表1中の「Al基中間層のクラックの有無」の縦の欄には、その往復曲げを繰り返した後の試料片のAl基中間層にクラックが発生していたかを示す。例えば、実施例品1では、この実施例品1に往復曲げを25×10回繰り返し行ったときに試料片のAl基軸受合金層の表面にクラックが発生し、そのときのAl基中間層にはクラックが発生していなかったことを示している。
【0038】
(2)なじみ性試験
なじみ性を確認するために、実施例品1〜8及び比較例品1〜3に対してなじみ性試験を行った。なじみ性試験は、半割軸受状にした2個の試料片となるすべり軸受を、図2に示すように、径方向にΔL、本試験では40μmずらして合わせ、回転荷重試験機に取付け、この状態で、表2に示す試験条件でなじみ性試験を行った。本試験は、回転荷重試験機によって、軸の遠心力により軸受内周面に回転荷重を付加することによって行う。
【0039】
このように、すべり軸受をずらして組付けることにより、軸の荷重をすべり軸受の周方向の端部辺りに加えることによって、すべり軸受のなじみ性を確認することができる。この試験では、なじみ性が良好であれば、局部当りを良好に回避することができ、長期に渡って焼付や疲労による損傷を防ぐとされている。尚、荷重は、評価荷重である30MPaまで徐々に上げていき、評価荷重になった状態からすべり軸受に損傷が発生するまでの時間を測定した。
【0040】
【表2】

【0041】
次に、上記試験の結果について解析する。
耐疲労性試験の結果を考察するに、実施例品1〜8は、比較例品1〜3に比べて、長期に渡って優れた曲げ疲労強度を有することにより耐疲労性に優れていることが理解できる。
実施例品1〜8は、比較例品1〜3に比べてAl基中間層が硬くかつ薄く、すべり軸受のAl基軸受合金層に荷重が加わっても変形が生じ難いため、耐疲労強度に優れたと考えられる。
【0042】
又、実施例品1〜3と、実施例品4〜8との比較から、粒径が0.5μm未満の金属間化合物の数が1μm当たり8個以上存在すると、これらの金属間化合物がマトリクス中の転位の移動を抑制し、曲げ疲労強度を向上させることができた結果、極めて優れた耐疲労性を持たせることができたと考えられる。
【0043】
なじみ性試験の結果を考察するに、実施例品1〜8は、比較例品1〜3に比べて、局部当り回避性が高く、これにより、なじみ性が良好であることが理解される。
実施例品1〜8と、比較例品3との比較から、Al基合金中簡層が硬くても、このAl基合金中簡層が所定の厚さであれば、Al基軸受合金層がすべり軸受のクッション性を補って、なじみ性が良好であることが理解される。
【0044】
尚、Al基軸受合金層中に含有される金属元素としてのMn,V,Fe以外の金属元素として、Mo,Cr,Co,Ni,W,Ti,Zrを用いても、Mn,V,Feと同様の良好ななじみ性を得ることができた。又、これらの金属元素のうちの2種類以上を選択して、その総量を0.01〜3質量%にすることにより、塑性変形は抑制され、耐疲労性は向上した。
【0045】
Al基軸受合金層中に含有される固溶体を形成する物質としてのCu以外の元素としてZn,Mgを用いても、Cuと同様の作用効果を奏した。これらの元素のうちの1種類以上を選択して、その総量を0.1〜7質量%にすることにより、耐疲労性は向上した。
【符号の説明】
【0046】
図面中、1はすべり軸受、2は裏金層、3はAl基中間層、4はAl基軸受合金層を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏金層、Al基中間層及びAl基軸受合金層を備えたすべり軸受において、
前記Al基中間層は、厚さが30μm以下、且つ、硬さがビッカース硬さで70以上であることを特徴とするすべり軸受。
【請求項2】
前記Al基軸受合金層に、Alと他の2種類以上の元素とから成る金属間化合物であって粒径が0.5μm未満の金属間化合物を、8個/μm以上含み、
前記Al基軸受合金層の硬さは、ビッカース硬さで50以上80未満であることを特徴とする請求項1記載のすべり軸受。
【請求項3】
前記Al基軸受合金層に、Alと少なくともSiとから成る金属間化合物及び/又はSi粒子を含んでいることを特徴とする請求項1又は2記載のすべり軸受。
【請求項4】
前記Al基軸受合金層は、
3〜20質量%のSnと、
1.5〜8質量%のSiと、
Mn,V,Mo,Cr,Co,Fe,Ni,W,Ti,Zrの内から2種類以上を選択して成る金属元素であって、その総量が0.01〜3質量%である金属元素と、
不可避的不純物を除く残部がAlとから成ることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のすべり軸受。
【請求項5】
前記Al基軸受合金層に、Cu,Zn,Mgの内から1種類以上を選択して成る元素であって、その総量が0.1〜7質量%である元素を含んでいることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のすべり軸受。
【請求項6】
前記Al基軸受合金層は、Al以外に2種類以上の元素を含み、
前記Al基中間層は、前記Al基軸受合金層に含まれる元素のうちの少なくとも2種類の元素を含み、且つ、それらの元素のうち、その含有量が前記Al基軸受合金層の含有量の50%〜150%であるものを2種類以上含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のすべり軸受。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−242854(P2010−242854A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92000(P2009−92000)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(591001282)大同メタル工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】