説明

すりおろし器

【解決手段】すりおろし板2に形成した複数の刃孔6,7で相対向する内周縁からすりおろし面2a側へ突出させた複数の刃部10,11を刃孔6,7の内周縁に沿って並べて相対向する一対の刃部群12,13としている。各刃部群12,13をすりおろし面2aに沿って互いに間隔S1,S2をあけて並設している。各刃孔6,7の両刃部群12,13のうち一方の刃部群13における刃部11の高さを他方の刃部群12における刃部10の高さよりも大きく設定するとともに、互いに隣接する両刃孔6,6と6,7で互いに隣接する一方の刃孔6,7の刃部群12,13と他方の刃孔6,7の刃部群12,13とのうち一方の刃孔6,7の刃部群12,13における刃部10,11の高さと他方の刃孔6,7の刃部群12,13における刃部10,11の高さとを互いに同一に設定している。
【効果】所望のすりおろし状態にし易くして食感を良くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すりおろし板上ですりおろし面側へ突出させた複数の刃部をすりおろし面に沿って並設したすりおろし器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のおろし器においては、湾曲させたおろし板に形成された多数の落し穴で相対向する一対の内周縁にそれぞれ複数のおろし刃が形成され、各内周縁のおろし刃群がおろし板上に沿って互いに間隔をあけて並設されている。
【特許文献1】特開2003−325364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記おろし器においては、各おろし刃の高さが同一であり、おろし板ですりおろされた大根等の被おろし物において粒々のサイズがほぼ一定になる。そのため、刃の高さが小さ過ぎると大根おろし等の粒々が小さ過ぎ、刃の高さが大き過ぎると大根おろし等の粒々が大き過ぎ、その大根おろし等を食する際に食感が悪くなる。また、薄いおろし板を湾曲させる際におろし板にゆがみが生じると、おろし板上のすりおろし面が滑らかな曲面に成形されないため、すりおろし面で大根等の被おろし物に対する各おろし刃のくい込み寸法が小さくなり過ぎたり大きくなり過ぎたりする部分が生じ、大根等のすりおろしに支障を来たして大根おろし等が所望のすりおろし状態にならない。
【0004】
この発明は、すりおろし板上で間隔をあけて並設した各刃部群間に変化を持たせたり湾曲させたすりおろし板のゆがみをなくすようにすりおろし板の形状を改良することにより、所望のすりおろし状態にし易くして食感を良くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後記実施形態の図面(図1〜3に示す第1実施形態、図4〜5に示す第2実施形態、図6〜7に示す第3実施形態、図8〜11に示す第4実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
【0006】
請求項1の発明にかかるすりおろし器は、第1〜4実施形態に対応し、下記のように構成されている。
このすりおろし器においては、すりおろし板2に形成した複数の刃孔6,7の内周縁からすりおろし面2a側へ突出させた複数の刃部10,11を刃孔6,7の内周縁に沿って並べて一つの刃部群12,13とし、その各刃部群12,13をすりおろし板2上のすりおろし面2aに沿って互いに間隔S1,S2をあけて並設している。ちなみに、この刃部群12,13において各刃部10,11を直線状の内周縁に沿って並設したり凹状または凸状の内周縁に沿って並設したりすることができ、各刃部群12,13をそれらの内周縁の延設方向Nに対し交叉する方向Mで互いに間隔S1,S2をあけて並設する。この各刃部群12,13は、すりおろし面2aに対する刃部10,11の高さH10,H11が異なる複数種類の刃部群12,13からなる。例えば、刃部10の高さH10が小さい刃部群12と、刃部11の高さH11が大きい刃部群13とにより、2種類の刃部群12,13を備えている。各種類の刃部群12,13において、各刃部10,11の高さH10,H11は、請求項2の発明のようにほぼ同一であっても、互いに異なっていてもよいが、各種類の刃部群12,13間で刃部10,11の高さH10,H11の大小関係を持たせることが必要である。各刃孔6,7の刃部群12,13については、請求項3の発明のように相対向して一対設けてもよいが、各刃孔6,7に一つだけ設けるようにしてもよい。各刃孔6,7で相対向する両刃部群12,13はそれらの端部で互いにつながっていても離れていてもよい。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第1〜4実施形態に対応)においては、前記各刃部群12,13で各刃部10,11の高さH10,H11が互いに同一に設定されている。ただし、一つの刃部群12,13で各刃部10,11の高さH10,H11の違いが製作誤差等により若干生じてもよい。
【0008】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記各刃孔6,7は相対向する一対の刃部群12,13を有している。例えば、相対向する一対の刃部群12,13間に刃孔6,7が設けられている。
【0009】
請求項1〜3の発明では、刃部10,11の高さH10,H11の異なる各刃部群12,13が互いに間隔S1,S2をあけて並設されたすりおろし板2で大根等の被おろし物がすりおろされるため、粒々が小さくなるものと粒々が大きくなるものとが互いに混ざり合った大根おろし等を簡単にすりおろすことができ、所望のすりおろし状態になってその大根おろし等を食する際に食感が良くなる。
【0010】
請求項1または請求項2または請求項3の発明を前提とする請求項4の発明(第1〜4実施形態に対応)においては、各刃部10の高さH10が小さい一または二以上の刃部群12からなる第一群と、この第一群よりも各刃部11の高さH11が大きい一または二以上の刃部群13からなる第二群とを交互に並設している。
【0011】
請求項3の発明を前提とする請求項5の発明(第1,4実施形態に対応)においては、前記各刃孔6,7で相対向する一対の刃部群12,13のうち一方の刃部群13における刃部11の高さH11を他方の刃部群12における刃部10の高さH10よりも大きく設定するとともに、互いに隣接する両刃孔6,6と6,7で互いに隣接する一方の刃孔6,7の刃部群12,13と他方の刃孔6の刃部群12,13とのうち一方の刃孔6,7の刃部群12,13における刃部10,11の高さH10,H11と他方の刃孔6,7の刃部群12,13における刃部10,11の高さH10,H11とを互いに同一に設定している。
【0012】
請求項4〜5の発明では、粒々が小さくなるものと粒々が大きくなるものとが互いに混ざり合った大根おろし等を簡単にすりおろすことができる。
請求項1から請求項5のうちいずれかの請求項の発明を前提とする請求項6の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記すりおろし板2の外周部は、前記すりおろし板2上のすりおろし面2aですりおろし方向である長手方向Xに沿った一対の縦対辺部3と、その長手方向Xに直交する幅方向Yに沿った一対の横対辺部4とからなり、このすりおろし板2はこの一対の横対辺部4間でこの一対の横対辺部4とともに湾曲して成形されている。例えば、すりおろし板2をすりおろし面2a側へ凸状に湾曲させたりすりおろし面2a側に対する反対側へ凹状に湾曲させる。請求項6の発明では、平坦なすりおろし板2と比較してすりおろし板2の強度を高めることができる。
【0013】
請求項7の発明にかかるすりおろし器は、第1〜4実施形態に対応し、下記のように構成されている。
このすりおろし器においては、すりおろし板2上ですりおろし面2a側へ突出させた複数の刃部10,11,14,15をすりおろし面2aに沿って並設している。前記すりおろし板2の外周部は、前記すりおろし板2上のすりおろし面2aにおいてすりおろし方向である長手方向Xに沿った一対の縦対辺部3と、その長手方向Xに直交する幅方向Yに沿った一対の横対辺部4とからなる。このすりおろし板2はこの一対の横対辺部4間でこの一対の横対辺部4とともに湾曲して成形されている。この一対の横対辺部4にはすりおろし面2a側に対する反対側へ折曲した端板部4aを有し、その端板部4aには湾曲を容易にするための切込み5を形成している。例えば、すりおろし板2をすりおろし面2a側へ凸状に湾曲させたりすりおろし面2a側に対する反対側へ凹状に湾曲させる。
【0014】
請求項7の発明では、平坦なすりおろし板2と比較してすりおろし板2の強度を高めることができるとともに、端板部4aの折曲により、すりおろし板2のすりおろし面2aをゆがみのない滑らかな曲面に維持することができる。そのため、大根等の被おろし物をすりおろし板2ですりおろす際、すりおろし面2aで被おろし物に対する各刃部10,11,14,15のくい込み寸法が安定し、大根等のすりおろしを円滑に行うことができる。
【0015】
請求項3の発明を前提とする第8の発明(第2実施形態に対応)においては、前記各刃孔6,7で相対向する一対の刃部群12,13のうち一方の刃部群12,13における刃部10,11の高さH10,H11と他方の刃部群12,13における刃部10,11の高さH10,H11とを互いに同一に設定するとともに、互いに隣接する両刃孔6,6と6,7で互いに隣接する一方の刃孔6,7の刃部群12,13と他方の刃孔6,7の刃部群12,13とのうち一方の刃孔6,7の刃部群13における刃部11の高さH11を他方の刃孔6,7の刃部群12における刃部10の高さH10よりも大きく設定している。第8の発明では、粒々が小さくなるものと粒々が大きくなるものとが互いに混ざり合った大根おろし等を簡単にすりおろすことができる。
【0016】
請求項3の発明を前提とする第9の発明(第3実施形態に対応)においては、前記各刃孔6,7で相対向する一対の刃部群12,13のうち一方の刃部群13における刃部11の高さH11を他方の刃部群12における刃部10の高さH10よりも大きく設定するとともに、互いに隣接する両刃孔6,7で互いに隣接する一方の刃孔6,7の刃部群12,13と他方の刃孔6,7の刃部群12,13とのうち一方の刃孔6,7の刃部群13における刃部11の高さH11を他方の刃孔6,7の刃部群12における刃部10の高さH10よりも大きく設定している。第9の発明では、粒々が小さくなるものと粒々が大きくなるものとが互いに混ざり合った大根おろし等を簡単にすりおろすことができる。
【0017】
請求項1から請求項5のうちいずれかの請求項の発明、または第8の発明または第9の発明を前提とする第10の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記各刃孔6,7の刃部群12,13で各刃部10,11の並設方向Nは、前記すりおろし板2上のすりおろし面2aにおいてすりおろし方向である長手方向Xに対し傾斜している。第10の発明では、大根等の被おろし物をすりおろし板2ですりおろす際、各刃部群12,13に対する被おろし物の抵抗を軽減し、大根等のすりおろしを円滑に行うことができる。
【0018】
請求項6または請求項7の発明を前提とする第11の発明(第4実施形態に対応)において、前記すりおろし板2で一対の縦対辺部3には、すりおろし面2a側に対する反対側へ折曲した段差部16を介して端板部3aを形成している。第11の発明では、段差部16により、すりおろし板2の縦対辺部3のゆがみを防止することができる。
【0019】
請求項1から請求項7のうちいずれかの請求項の発明、または第8の発明または第9の発明または第10の発明または第11の発明を前提とする第12の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記すりおろし板2は金属により成形され、プラスチックにより成形された外枠18内にこのすりおろし板2の外周部が埋設されているとともに、この外枠18の内周部の内側でこのすりおろし板2が露出している。第12の発明では、外枠18内にすりおろし板2を設けた刃台17を把持して大根等のすりおろしを円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、すりおろし板2上で間隔S1,S2をあけて並設した各刃部群12,13間に変化を持たせたり、湾曲させたすりおろし板2のゆがみをなくすようにすりおろし板2の形状を改良することにより、所望のすりおろし状態にし易くして食感を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
まず、本発明の第1実施形態について図1〜3を参照して説明する。
図1に示すようにプレス成形された平坦な金属成形板1は、板厚0.5mmのステンレスからなり、図2に示すようにすりおろし器の一部品であるすりおろし板2を成形する途中状態のものである。この金属成形板1の外周部は、前後方向である長手方向Xに沿った左右両側の縦対辺部3と、その長手方向Xに直交する左右方向である幅方向Yに沿った前後両側の横対辺部4とからなる。これらの縦対辺部3及び横対辺部4で端板部3a,4aにはそれぞれ複数の切込み5が形成されている。なお、左側の縦対辺部3と右側の縦対辺部3とは互いに同一寸法になっているが、後側の横対辺部4の寸法が前側の横対辺部4の寸法よりも大きくなっている。
【0022】
前記金属成形板1には長方形状の刃孔6とく形状の刃孔7と正方形状の刃孔8とが表裏両側へ多数貫設されている。すべての刃孔6,7,8のうち、複数の刃孔7と複数の刃孔8とが幅方向Yの中央部で長手方向Xへ交互に並設されているとともに、刃孔7の片側孔7aと複数の刃孔6とが長手方向Xに対し傾斜する方向Mへ並設された複数の刃孔群9が幅方向Yの両側で長手方向Xへ並設されている。長方形状の刃孔6においては、相対向する長辺内周部から複数の刃部10,11が長辺内周部に沿って並べられて一対の刃部群12,13が形成され、相対向する短辺内周部から複数の刃部14が短辺内周部に沿って並べられている。く形状の刃孔7の片側孔7aにおいても、長方形状の刃孔6と同様に、一対の刃部群12,13と刃部14とが形成されている。正方形状の刃孔8においては、四辺内周部から複数の刃部15が四辺内周部に沿って並べられている。特に、各刃孔群9においては、各刃孔6,7の刃部群12,13が金属成形板1上に沿って互いに間隔S1,S2(互いに隣接する両刃部10,11の底辺部間の距離)をあけて長手方向Xに対し傾斜する方向Mへ並設され、各刃部群12,13で各刃部10,11の並設方向Nが金属成形板1上で長手方向Xに対し傾斜している。前記各刃部10,11,14,15はいずれも二等辺三角形状をなしている。ちなみに、各刃孔6,7で相対向する両刃部群12,13間の間隔S1は約9mm(好ましくは5mm以上20mm以下)に設定され、互いに隣接する両刃孔6,7間で相対向する両刃部群12,13間の間隔S2は約5mm(好ましくは3mm以上20mm以下)に設定されている。
【0023】
前記金属成形板1から図2に示すすりおろし板2をさらに成形する。このすりおろし板2においては、図3にも示すように、各刃孔6,7,8の各刃部10,11,14,15がすりおろし面2a側から上方へ約60度の起こし角度(好ましくは45度以上80度以下)で起立して突出し、前後両側の横対辺部4間でこの横対辺部4とともに一定の曲率半径約140mm(好ましくは80mm以上400mm以下)だけ上方へ凸状に湾曲して成形されているとともに、前後両側の横対辺部4で端板部4aがすりおろし面2a側に対する反対側である下方へ約5mmの折り曲げ幅で約90度折り曲げられている。
【0024】
前記すりおろし板2の各刃孔6,7において相対向する両刃部群12,13のうち、一方の刃部群12で各刃部10の高さH10(すりおろし面2aから頂部10aまでの距離)が互いに同一に設定されているとともに、他方の刃部群13で各刃部11の高さH11(すりおろし面2aから頂部11aまでの距離)が互いに同一に設定され、この刃部群13における刃部11の高さH11がこの刃部群12における刃部10の高さH10よりも約0.2mm〜3.0mm程度大きく設定されている。特に、各刃孔群9において、互いに隣接する両刃孔6,6または6,7間では、各刃部10の高さH10が互いに同一に設定された上記の刃部群12と刃部群12とが互いに隣接しているか、各刃部11の高さH11が互いに同一に設定された上記の刃部群13と刃部群13とが互いに隣接している。すなわち、第一群としての一つの刃部群12と、第二群としての二つの刃部群13と、第一群としての二つの刃部群12と、第二群としての二つの刃部群13と、第一群としての二つの刃部群12と、第二群としての一つの刃部群13とが順次交互に並設されている。また、刃部群13において各刃部11の頂部11a間の間隔G11は、刃部群12において各刃部10の頂部10a間の間隔G10よりも大きく設定されている。なお、前記刃部14の高さH14は前記刃部11の高さH11と同一に設定されている。
【0025】
ちなみに、前記高さH10は0.8mm(好ましくは0.5mm以上2.0mm以下)に設定され、前記高さH11は1.1mm(好ましくは0.7mm以上4.0mm以下)に設定され、前記間隔G10は1.3mm(好ましくは1.0mm以上2.5mm以下)に設定され、前記間隔G11は1.6mm(好ましくは1.2mm以上5.0mm以下)に設定されている。
【0026】
次に、本発明の第2実施形態について第1実施形態との相違点を中心に図4〜5を参照して説明する。
すりおろし板2の各刃孔6,7においては、前記刃部群12と刃部群12とが相対向しているか、前記刃部群13と刃部群13とが相対向している。特に、各刃孔群9において、互いに隣接する両刃孔6,6または6,7間では前記刃部群12と刃部群13とが互いに隣接している。すなわち、第一群としての二つの刃部群12と第二群としての二つの刃部群13とが順次交互に並設されている。
【0027】
次に、本発明の第3実施形態について第1実施形態との相違点を中心に図6〜7を参照して説明する。
すりおろし板2の各刃孔6,7においては、前記刃部群12と刃部群13とが相対向している。特に、各刃孔群9において、互いに隣接する両刃孔6,6または6,7間では前記刃部群12と刃部群13とが互いに隣接している。すなわち、第一群としての一つの刃部群12と第二群としての一つの刃部群13とが順次交互に並設されている。
【0028】
次に、本発明の第4実施形態について第1実施形態との相違点を中心に図8〜11を参照して説明する。
図8に示すすりおろし板2において、左右両側の縦対辺部3にはすりおろし面2a側に対する反対側である下方へ約90度折曲された段差部16を介して端板部3aが形成されている。
【0029】
図8に示す第4実施形態のすりおろし板2は、全体の歪の調整後に金型内にインサートされる。その金型によるインサート成形により、図9,10に示す刃台17が成形される。この刃台17においては、プラスチックにより成形された外枠18内にすりおろし板2の外周部における左右両側の縦対辺部3と前後両側の横対辺部4とが埋設されるとともに、この外枠18の内周部の内側ですりおろし板2のすりおろし面2aが露出する。図2に示す第1実施形態のすりおろし板2や、図4に示す第2実施形態のすりおろし板2や、図6に示す第3実施形態のすりおろし板2についても、同様にインサート成形されて刃台17が成形される。
【0030】
図11に示すように、受け容器19はプラスチックにより成形された外容器20と内容器21とからなり、この外容器20上に内容器21とこれらの刃台17とが順次重ねられて使用される。この内容器21は多数の通孔21aを有している。この外容器20の外側に成形された取っ手22の外側にはエラストマーや合成ゴムやシリコン樹脂などの軟質材からなるハンドル23が組み付けられているか、金型内にインサートされた取っ手22の外側にハンドル23がインサート成形されている。このハンドル23は、受け容器19を載置面Fに載置した状態でその載置面Fに当たり、載置面Fに対する受け容器19の滑り止め機能を兼ねている。この外容器20の底部四隅部には滑止め部材20aが取着されている。受け容器19上の刃台17において、すりおろし板2のすりおろし面2aは、ハンドル23側である前側からハンドル23に対する反対側である後側に向うに従い載置面Fに対し約5度だけ下方へ次第に傾斜し、このすりおろし面2aにおいて幅方向Yの寸法は前側から後側へ向うに従い次第に大きくなっている。ちなみに、図11に示すすりおろし器全体において、長手方向Xの最大寸法は約290mm、幅方向Yの最大寸法は約140mm、最大高さは約100mm、全重量は約440gに設定されている。
【0031】
さて、受け容器19上の刃台17において大根等の被おろし物をすりおろし板2のすりおろし面2aに載せて往復動させると、その被おろし物は、各刃孔6,7,8の刃部10,11,14,15によりすりおろされて各刃孔6,7,8等から内容器21に落ち、さらに内容器21の通孔21aを通して外容器20に落ちる。なお、すりおろし板2の四隅部に形成された小孔24からも水分が流れ落ちる。この各小孔24は、刃台17のインサート成形時にすりおろし板2を金型内にインサートする際の位置決め孔としても利用することができる。
【0032】
前記各実施形態においては、刃部10の高さH10が小さい刃部群12と、刃部11の高さH11が大きい刃部群13とによる2種類の刃部群12,13を所定の規則的配置で並べているが、刃部の高さの大小関係を持たせた3種類以上の刃部群を前記各実施形態とは異なる並べ方により配置してもよい。また、刃部10,11の高さH10,H11については、三角形状である各刃部10,11の外形サイズを変えれば同じ起こし角度(例えば約60度)でもそれらの高さH10,H11を変えることができ、同じ外形サイズの三角形状である各刃部10,11でも起こし角度を変えればそれらの高さH10,H11を変えることができる。なお、前記すりおろし板2を含む刃台17については、プラスチックにより一体成形してもよく、その場合には各刃孔や各刃部も同時に成形される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態にかかるすりおろし器においてすりおろし板の成形途中状態を示す平面図である。
【図2】(a)は上記すりおろし板の成形完了状態を示す平面図であり、(b)はこのすりおろし板の正面図であり、(c)はこのすりおろし板の背面図であり、(d)は(a)のA1−A1線における部分断面図であり、(e)は(a)のA2−A2線における部分断面図である。
【図3】(a)は図2(a)の部分拡大平面図であり、(b)は(a)のB1−B1線における部分拡大断面図であり、(c)は(a)のB2−B2線における部分拡大断面図であり、(d)は(a)のB3−B3線における部分拡大断面図である。
【図4】第2実施形態にかかるすりおろし器においてすりおろし板の成形完了状態を示す平面図である。
【図5】(a)は図4の部分拡大平面図であり、(b)は(a)のC−C線における部分拡大断面図である。
【図6】第3実施形態にかかるすりおろし器においてすりおろし板の成形完了状態を示す平面図である。
【図7】(a)は図6の部分拡大平面図であり、(b)は(a)のD−D線における部分拡大断面図である。
【図8】(a)は第4実施形態にかかるすりおろし器においてすりおろし板の成形完了状態を示す平面図であり、(b)はこのすりおろし板の正面図であり、(c)はこのすりおろし板の背面図である。
【図9】第4実施形態にかかるすりおろし器においてすりおろし板を一体的に成形した刃台を示す平面図である。
【図10】(a)は図9のE1−E1線における部分拡大断面図であり、(b)は図9のE2−E2線における部分拡大断面図であり、(c)は図9のE3−E3線における部分拡大断面図である。
【図11】(a)は第4実施形態にかかるすりおろし器を示す側面図であり、(b)は同じく平面図であり、(c)は同じく一部切欠き側面図である。
【符号の説明】
【0034】
2…すりおろし板、2a…すりおろし面、3…縦対辺部、4…横対辺部、4a…端板部、5…切込み、6,7…刃孔、10,11…刃部、12,13…刃部群、H10,H11…刃部の高さ、S1,S2…刃部群間の間隔、X…すりおろし方向である長手方向、Y…幅方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すりおろし板に形成した複数の刃孔の内周縁からすりおろし面側へ突出させた複数の刃部を刃孔の内周縁に沿って並べて一つの刃部群とし、その各刃部群をすりおろし板上のすりおろし面に沿って互いに間隔をあけて並設したすりおろし器において、この各刃部群はすりおろし面に対する刃部の高さが異なる複数種類の刃部群からなることを特徴とするすりおろし器。
【請求項2】
前記各刃部群において各刃部の高さが互いに同一に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のすりおろし器。
【請求項3】
前記各刃孔は相対向する一対の刃部群を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のすりおろし器。
【請求項4】
各刃部の高さが小さい一または二以上の刃部群からなる第一群と、この第一群よりも各刃部の高さが大きい一または二以上の刃部群からなる第二群とを交互に並設したことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載のすりおろし器。
【請求項5】
前記各刃孔で相対向する一対の刃部群のうち一方の刃部群における刃部の高さを他方の刃部群における刃部の高さよりも大きく設定するとともに、互いに隣接する両刃孔で互いに隣接する一方の刃孔の刃部群と他方の刃孔の刃部群とのうち一方の刃孔の刃部群における刃部の高さと他方の刃孔の刃部群における刃部の高さとを互いに同一に設定したことを特徴とする請求項3に記載のすりおろし器。
【請求項6】
前記すりおろし板の外周部は、前記すりおろし板上のすりおろし面においてすりおろし方向である長手方向に沿った一対の縦対辺部と、その長手方向に直交する幅方向に沿った一対の横対辺部とからなり、このすりおろし板はこの一対の横対辺部間でこの一対の横対辺部とともに湾曲して成形されていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれかの請求項に記載のすりおろし器。
【請求項7】
すりおろし板上ですりおろし面側へ突出させた複数の刃部をすりおろし面に沿って並設したすりおろし器において、前記すりおろし板の外周部は、前記すりおろし板上のすりおろし面においてすりおろし方向である長手方向に沿った一対の縦対辺部と、その長手方向に直交する幅方向に沿った一対の横対辺部とからなり、このすりおろし板はこの一対の横対辺部間でこの一対の横対辺部とともに湾曲して成形され、この一対の横対辺部にはすりおろし面側に対する反対側へ折曲した端板部を有し、その端板部には切込みを形成したことを特徴とするすりおろし器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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