たて長折り畳み式床暖房用温水マット
【技術課題】 たて長に形成した温水マットをエレベータや部屋への搬入に支障がない大きさに小型化する。
【解決手段】 マット本体2をたて長に形成すると共に温水パイプ4の直線部4aをマット本体2の長手方向に向けると共にUターン部4bをマット本体2の両端部2bに接近させる。
その上で、マット本体2の裏面であって、温水パイプ4の直線部4aと直交し、マット本体2を横断するように一定の間隔でスリット7を形成し、マット本体2の表面に貼り合わせた放熱シート6を内側にしてスリット7を利用してマット本体2を端からロール状に巻き取ることにより、全体的に小型化を図り、エレベータや部屋内への搬入ができるようにする。
【解決手段】 マット本体2をたて長に形成すると共に温水パイプ4の直線部4aをマット本体2の長手方向に向けると共にUターン部4bをマット本体2の両端部2bに接近させる。
その上で、マット本体2の裏面であって、温水パイプ4の直線部4aと直交し、マット本体2を横断するように一定の間隔でスリット7を形成し、マット本体2の表面に貼り合わせた放熱シート6を内側にしてスリット7を利用してマット本体2を端からロール状に巻き取ることにより、全体的に小型化を図り、エレベータや部屋内への搬入ができるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の床に施工され、部屋を床側から暖めることができるたて長折り畳み式床暖房用温水マットに関する。
【背景技術】
【0002】
床暖房用温水マットは、部屋の床面の大きさに合わせて一定の大きさのものを1枚又は複数枚使用するようになっている。
【0003】
この理由は、温水マットを工場で製造し、これを現場まで搬送したり、現場の建物に搬入するときに大きすぎてエレベータ内に持ち込めないとか、部屋の出入口が狭くて搬入できないと云った問題があるためである。
【0004】
そこで、従来は前記搬送や搬入に支障が生じないように温水マットを折り畳み式に形成したものがある。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2000−65365)に紹介されている温水マットでは、温水マット内に挿入された小根太と平行に温水マットの裏面にスリットを形成しておき、このスリットのところで曲折しながら巻き取るようにしている。
【0006】
しかし、この場合でも、木製である小根太を折り畳むことはできないため、小型化には限界がある。
【0007】
そこで、2枚の温水マットを小根太の長さ方向において上下に継ぎ足し、中間で2つ折り(山折り)にできるように形成した温水マットが特許文献2(特開2010−38390)に紹介されている。
【0008】
しかし、この特許文献2の温水マットの場合であっても、個別の温水マット2枚を上下に並べるようにして継ぎ足し、この継ぎ目で山折りして2つに折り畳むようにしただけで、基本的には1枚のマットを折り畳む特許文献1におけると同様に、上下の温水マットにおいてそれぞれ小根太方向の長さを小さくすることは出来ない。
【0009】
また、小根太の挿入されていない所謂ネダレスタイプの温水マットの場合でも、特許文献3(特開2010−216727)に紹介されているように、折り畳み用のスリットは温水パイプと平行に設けられている。
【0010】
このように、従来の温水マットの場合、小さく折り畳むことには限界があることから、広い床面積の場合には、図11に示すように例えば4枚の温水マット1を敷き詰めることが必要であった。この図11において、符号の2はマット本体、2aは小根太、3は配管溝、4は温水パイプである。
【0011】
しかし、このように4枚もの温水マット1を敷き詰めた場合、温水パイプ4のUターン部4bの数が多くなり、圧損が大きくなると共に、各温水マット1間において温水パイプ4の接続が必要となり、施工に多大な手間がかかるだけでなく、水漏れ等のトラブルの原因ともなり易く、また接続用のジョイント金具等の部品点数も多くなるという問題がある。
【0012】
そこで、上記図11で説明した4枚の温水マット1を2枚構成で対応する例を考えてみると、温水マット1の幅を1枚分と同一寸法となし、長さ方向を2枚分として全体を長尺の1枚構成となし、施工はこの長尺タイプのものを図12に示すように左右2列に並べて行う方法が考えられる。
【0013】
しかし、この図12のような長尺タイプに温水マット1を形成すると、図12でも明らかなように、温水パイプ4の蛇行ピッチ数が多くなり、直線部4aの長さが短くなることから、製作コストが高くつき、更にUターン部4bの数が多くなるために温水パイプ4の圧損が大きくなる。図12、13において、7はマット本体2の裏面において、温水パイプ4の直線部4aと平行に形成された折り畳み用のスリットである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−65365号公報
【特許文献2】特開2010−38390号公報
【特許文献3】特開2010−216727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、1枚の温水マットのよこ幅を小さく形成し、たて方向に長い帯状に形成し、温水パイプはこのたて長さ方向にその直線部を配置してUターン部の数を減らして広い床面積において最小枚数で対応することができ、更にロール状に巻き取って小型化することによりエレベータや部屋への搬入を可能にした温水マットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、たて長折り畳み式床暖房用温水マットにおいて、a.たてに長い平板形状のマット本体と、
b.前記マット本体の表面において、その直線部が長手方向に向けて形成されていると共に隣接する前記直線部の両端が交互にUターン部で結ばれることにより、全体が蛇行しているように形成された温水パイプ配管溝と、
c.前記配管溝内に配管されていると共に内部に温水を通して放熱を行う温水パイプと、
d.前記温水パイプが配管されたマット本体の表面全体に貼り合わされた放熱シートと、
e.前記マット本体の裏面であって、前記温水パイプの直線部に対して直交する方向に一定の間隔で形成された折り畳み用のスリットと、で構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
更に請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記マット本体の裏面に形成されるスリットの断面形状が、V又はI又はU字状を呈していることを特徴とするものである。
【0018】
更に請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記スリットは、マット本体の肉厚に対して一定の深さまで構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
更に請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記スリットは、マット本体の肉厚を切断する深さまで構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
更に請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記スリットは、1枚のマット本体において一定の深さのところまで形成されたものと、肉厚を切断する深さのところまで構成されたものとが混在していることを特徴とするものである。
【0021】
更に請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記マット本体は、発泡体で構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
更に請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記マット本体の表面に貼り合わされる放熱シートは、アルミニュウム箔製であることを特徴とするものである。
【0023】
更に請求項8に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記マット本体に形成される配管溝とここに配管される温水パイプは、1枚のマット本体において単数系統又は複数系統から成ることを特徴とするものである。
【0024】
更に請求項9に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記温水マットは、放熱シートを内側にしながら長手方向の一端から前記スリットの作用でロール状に捲き取ることができることを特徴とするものである。
【0025】
更に請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項にキシアのたて長折り畳み式床暖房用マットにおいて、前記マット本体において、スリット間にこのスリットと平行にマット本体の肉厚と同じ厚さから成り、かつその上面であって、温水パイプが横断する位置に断面U字状のパイプ逃げ溝を形成した床材支持用の小根太が挿入されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は以上のように、温水マットをたて長に形成し、温水パイプの直線部を温水マットの長手方向に向けて配管すると共にUターン部を長手方向の両端縁に接近して形成した。
【0027】
この結果、直線部とUターン部の数を図12の温水マットに比較して大幅に減少させることにより、製作コストの低減と圧損を大幅に削減することができる。
【0028】
また、温水パイプの直線部が長いことにより、この直線部において装着する断面逆Ω字状の放熱テープの長さを長くとることができるため、温水パイプから放熱シートへの熱伝導率を高めて高効率の温水マットを提供できる。
【0029】
また、温水マットは、スリットが長さ方向に対して直交する方向に設けてあるため、放熱シートを内側に位置させて端からロール状に巻き取って小型化できるため、例えばよこ幅が2.5mで長さが10〜15mの温水マットであっても、ロール状に巻き取ったときの大きさはロールの直径を60〜80cmに抑えることができる。この結果、エレベータや部屋内への搬入や運搬を容易に行うことができる。
【0030】
また、小根太をスリットと平行に挿入することにより、ロール状に巻き取ることに支障がない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る温水マットの平面図。
【図2】A−A’線断面図。
【図3】B−B’線断面図。
【図4】施工例の説明図。
【図5】ロール状に巻いている状態の説明図。
【図6】(A)〜(D)スリットの形状の説明図。
【図7】小根太入り温水マットの平面図。
【図8】C−C’線断面図。
【図9】D−D’線断面図。
【図10】小根太を途中まで交互に挿入した例の説明図。
【図11】広い部屋に従来の温水マットを施工するときの説明図。
【図12】従来の配管とスリットから成る長尺タイプの温水マットの説明図。
【図13】E−E’線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の温水マットは、部屋の床に施工され、マット本体に配管された温水パイプ内を循環する60℃〜80℃の温水の熱で床面を加熱し、部屋内を温めるものである。
【0033】
上記マット本体は、発泡樹脂板の上面に配管溝を形成し、この配管溝内に樹脂製の温水チューブを配管した形態から成る。
【0034】
そして、上記配管が終ったマット本体の上面にはアルミニュウム箔製の放熱シートが貼り合わせてあり、この放熱シートは、温水パイプ内を循環する温水の熱を温水マット全面に均一に分布させることにより床面の温度の均一化を図る。
【0035】
また、温水パイプの直線部の下半には断面逆Ω字状のアルミニュウム箔製の伝熱テープが装着されていて、この伝熱テープは、温水パイプの配管溝内に隠れる下半周面の熱を前記した放熱シートに伝えて熱効率を高めるために装着される。但し、この伝熱テープが装着されない形態で製作された温水マットも存在し、本発明は、この双方に適用できる。
【0036】
本発明が適用される温水マットには小根太の挿入の無い所謂ネダレスタイプとフローリング等の床材を支持する小根太入りの双方が含まれ、小根太入りの場合は、温水パイプの直線部を横断するため、この横断部にはU字状の温水パイプ逃げ溝が形成されている。
【0037】
温水マットの裏面に形成するスリットは、マット本体の肉厚の一部を残す深さ、又はマット本体の肉厚を切断する深さ、又はこの双方を組み合わせた形態で形成し、ピッチは小さいほど巻き径を小さくできるが、マット本体の強度が低下することから、ピッチは10〜25cm位が良い。但し、このピッチは温水マットの大きさに応じて決定するものとする。
【0038】
マット本体の厚さ及び温水パイプの径は、本発明の適用に際しては限定されないが、因みに現在実用化されているこの数値はマット本体の厚さは12mm、温水パイプの径は10mmである。
【実施例1】
【0039】
図1〜図6に基づいてネダレスタイプの温水マットに本発明を実施した例を詳細に説明する。図中符号の1は温水マット全体を指し、2は発泡樹脂で成形された板状のマット本体であって、このマット本体2の横幅W=2.5m、長さL=10mである。
【0040】
このマット本体2の上面にはマット本体2の長手方向に直線溝3aが向き、マット本体2の両端部2bに接近した位置に隣接した直線溝3aを交互に結ぶUターン溝3bを形成する断面U字状の配管溝3が形成されている。
【0041】
なお、図1において、配管溝3は1系統のみで表現されているが、2系統以上形成される場合の方が多い。
【0042】
4は上記配管溝3に配管された温水パイプであって、この温水パイプ4内には熱源機(図示せず)で発生した温水が図4に示すように導管C、C’、ヘッダーBを介して循環する。4aは温水パイプ4の直線部、4bはUターン部、図2、3において、6はマット本体2の上面全体を覆うようにして貼り着けられた放熱シートである。
【0043】
図2において、5は温水パイプ4の直線部4aに装着されたアルミ箔製の放熱テープである。
【0044】
7はマット本体2の裏面において、その肉厚方向に向けて形成された断面V字状のスリットであって、このスリット7は、マット本体2の横幅方向(温水パイプ4の直線部4aに直交する方向)に図3に示すように20cmピッチで平行に形成されている。
【0045】
なお、スリット7の形状は、図6(A)に示すようにI字状又は(B)に示すようにU字状でも良く、又は(C)に示すように肉厚全体を切断するように形成しても良い。
【0046】
あるいは(D)に示すように本実施例のV又はI又はU字状のスリット7と(C)に示した切断スリット7との組み合わせとしても良い。
【0047】
これは、マット本体2の長さ方向があまり長い場合、マット本体2を継ぎ足しながら1枚のマット本体2とする必要が生じる場合もあり、この場合のスリット7は、継ぎ足し部分は丁度マット本体2の肉厚が切断された形態となることに形態の根拠がある。
【0048】
以上に説明した温水マットは、従来の温水マットを広い部屋に施工する例として説明した図11の4枚使用例に対し、図4に示すように床Aに対して左右に2列に並べて敷設することにより対応する。勿論大きな床面積の場合には3枚以上を並べて対応する。
【0049】
また、温水マット1を巻き取って小型化する場合には、図5に示すように放熱シート6側を内側にして端からスリット7の作用でロール状に巻く。このように巻いた時、温水マット1のロールの直径は70cm、ロールの長さは2.5mとなり、この大きさであれば通常のエレベータ内への持ちこみや部屋への搬入に支障はない。
【実施例2】
【0050】
本実施例2は、小根太入り温水マットに関し、図7〜図9にその詳細を示す。
【0051】
小根太10は、マット本体2において、スリット7と平行に挿入されている。
【0052】
そして、小根太10の上面には図9に示すように温水パイプ4を逃れるU字状の逃げ溝11が形成されている。
【0053】
なお、この小根太10は、本実施例ではスリット7の中間に1つおきに挿入されているが、2つおき又はそれ以上の間隔で挿入しても良い。
【0054】
この小根太10を挿入したとき、マット本体2は小根太10のところで切り離されているが、放熱シート6ですべて繋がれており、バラバラとなることはない。
【0055】
また、このマット本体2が小根太10の部分で分離されるのを防ぐために、図10に示すように小根太10の先端12を左右から交互に一定のところまで挿入し、マット本体2を横断しないようにすることで、マット本体2を繋ぎ止めておくようにしても良い。
【0056】
図7〜11において、実施例1と同一の符号は同一物を指すため、説明の重複を避けるためここでの説明は省略する。
【符号の説明】
【0057】
1 温水マット
2 マット本体
3 配管溝
4 温水パイプ
5 放熱テープ
6 放熱シート
7 スリット
10 小根太
11 逃げ溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の床に施工され、部屋を床側から暖めることができるたて長折り畳み式床暖房用温水マットに関する。
【背景技術】
【0002】
床暖房用温水マットは、部屋の床面の大きさに合わせて一定の大きさのものを1枚又は複数枚使用するようになっている。
【0003】
この理由は、温水マットを工場で製造し、これを現場まで搬送したり、現場の建物に搬入するときに大きすぎてエレベータ内に持ち込めないとか、部屋の出入口が狭くて搬入できないと云った問題があるためである。
【0004】
そこで、従来は前記搬送や搬入に支障が生じないように温水マットを折り畳み式に形成したものがある。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2000−65365)に紹介されている温水マットでは、温水マット内に挿入された小根太と平行に温水マットの裏面にスリットを形成しておき、このスリットのところで曲折しながら巻き取るようにしている。
【0006】
しかし、この場合でも、木製である小根太を折り畳むことはできないため、小型化には限界がある。
【0007】
そこで、2枚の温水マットを小根太の長さ方向において上下に継ぎ足し、中間で2つ折り(山折り)にできるように形成した温水マットが特許文献2(特開2010−38390)に紹介されている。
【0008】
しかし、この特許文献2の温水マットの場合であっても、個別の温水マット2枚を上下に並べるようにして継ぎ足し、この継ぎ目で山折りして2つに折り畳むようにしただけで、基本的には1枚のマットを折り畳む特許文献1におけると同様に、上下の温水マットにおいてそれぞれ小根太方向の長さを小さくすることは出来ない。
【0009】
また、小根太の挿入されていない所謂ネダレスタイプの温水マットの場合でも、特許文献3(特開2010−216727)に紹介されているように、折り畳み用のスリットは温水パイプと平行に設けられている。
【0010】
このように、従来の温水マットの場合、小さく折り畳むことには限界があることから、広い床面積の場合には、図11に示すように例えば4枚の温水マット1を敷き詰めることが必要であった。この図11において、符号の2はマット本体、2aは小根太、3は配管溝、4は温水パイプである。
【0011】
しかし、このように4枚もの温水マット1を敷き詰めた場合、温水パイプ4のUターン部4bの数が多くなり、圧損が大きくなると共に、各温水マット1間において温水パイプ4の接続が必要となり、施工に多大な手間がかかるだけでなく、水漏れ等のトラブルの原因ともなり易く、また接続用のジョイント金具等の部品点数も多くなるという問題がある。
【0012】
そこで、上記図11で説明した4枚の温水マット1を2枚構成で対応する例を考えてみると、温水マット1の幅を1枚分と同一寸法となし、長さ方向を2枚分として全体を長尺の1枚構成となし、施工はこの長尺タイプのものを図12に示すように左右2列に並べて行う方法が考えられる。
【0013】
しかし、この図12のような長尺タイプに温水マット1を形成すると、図12でも明らかなように、温水パイプ4の蛇行ピッチ数が多くなり、直線部4aの長さが短くなることから、製作コストが高くつき、更にUターン部4bの数が多くなるために温水パイプ4の圧損が大きくなる。図12、13において、7はマット本体2の裏面において、温水パイプ4の直線部4aと平行に形成された折り畳み用のスリットである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−65365号公報
【特許文献2】特開2010−38390号公報
【特許文献3】特開2010−216727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、1枚の温水マットのよこ幅を小さく形成し、たて方向に長い帯状に形成し、温水パイプはこのたて長さ方向にその直線部を配置してUターン部の数を減らして広い床面積において最小枚数で対応することができ、更にロール状に巻き取って小型化することによりエレベータや部屋への搬入を可能にした温水マットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、たて長折り畳み式床暖房用温水マットにおいて、a.たてに長い平板形状のマット本体と、
b.前記マット本体の表面において、その直線部が長手方向に向けて形成されていると共に隣接する前記直線部の両端が交互にUターン部で結ばれることにより、全体が蛇行しているように形成された温水パイプ配管溝と、
c.前記配管溝内に配管されていると共に内部に温水を通して放熱を行う温水パイプと、
d.前記温水パイプが配管されたマット本体の表面全体に貼り合わされた放熱シートと、
e.前記マット本体の裏面であって、前記温水パイプの直線部に対して直交する方向に一定の間隔で形成された折り畳み用のスリットと、で構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
更に請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記マット本体の裏面に形成されるスリットの断面形状が、V又はI又はU字状を呈していることを特徴とするものである。
【0018】
更に請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記スリットは、マット本体の肉厚に対して一定の深さまで構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
更に請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記スリットは、マット本体の肉厚を切断する深さまで構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
更に請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記スリットは、1枚のマット本体において一定の深さのところまで形成されたものと、肉厚を切断する深さのところまで構成されたものとが混在していることを特徴とするものである。
【0021】
更に請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記マット本体は、発泡体で構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
更に請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記マット本体の表面に貼り合わされる放熱シートは、アルミニュウム箔製であることを特徴とするものである。
【0023】
更に請求項8に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記マット本体に形成される配管溝とここに配管される温水パイプは、1枚のマット本体において単数系統又は複数系統から成ることを特徴とするものである。
【0024】
更に請求項9に記載の発明は、請求項1に記載のたて長折り畳み式温水マットにおいて、前記温水マットは、放熱シートを内側にしながら長手方向の一端から前記スリットの作用でロール状に捲き取ることができることを特徴とするものである。
【0025】
更に請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項にキシアのたて長折り畳み式床暖房用マットにおいて、前記マット本体において、スリット間にこのスリットと平行にマット本体の肉厚と同じ厚さから成り、かつその上面であって、温水パイプが横断する位置に断面U字状のパイプ逃げ溝を形成した床材支持用の小根太が挿入されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は以上のように、温水マットをたて長に形成し、温水パイプの直線部を温水マットの長手方向に向けて配管すると共にUターン部を長手方向の両端縁に接近して形成した。
【0027】
この結果、直線部とUターン部の数を図12の温水マットに比較して大幅に減少させることにより、製作コストの低減と圧損を大幅に削減することができる。
【0028】
また、温水パイプの直線部が長いことにより、この直線部において装着する断面逆Ω字状の放熱テープの長さを長くとることができるため、温水パイプから放熱シートへの熱伝導率を高めて高効率の温水マットを提供できる。
【0029】
また、温水マットは、スリットが長さ方向に対して直交する方向に設けてあるため、放熱シートを内側に位置させて端からロール状に巻き取って小型化できるため、例えばよこ幅が2.5mで長さが10〜15mの温水マットであっても、ロール状に巻き取ったときの大きさはロールの直径を60〜80cmに抑えることができる。この結果、エレベータや部屋内への搬入や運搬を容易に行うことができる。
【0030】
また、小根太をスリットと平行に挿入することにより、ロール状に巻き取ることに支障がない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る温水マットの平面図。
【図2】A−A’線断面図。
【図3】B−B’線断面図。
【図4】施工例の説明図。
【図5】ロール状に巻いている状態の説明図。
【図6】(A)〜(D)スリットの形状の説明図。
【図7】小根太入り温水マットの平面図。
【図8】C−C’線断面図。
【図9】D−D’線断面図。
【図10】小根太を途中まで交互に挿入した例の説明図。
【図11】広い部屋に従来の温水マットを施工するときの説明図。
【図12】従来の配管とスリットから成る長尺タイプの温水マットの説明図。
【図13】E−E’線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の温水マットは、部屋の床に施工され、マット本体に配管された温水パイプ内を循環する60℃〜80℃の温水の熱で床面を加熱し、部屋内を温めるものである。
【0033】
上記マット本体は、発泡樹脂板の上面に配管溝を形成し、この配管溝内に樹脂製の温水チューブを配管した形態から成る。
【0034】
そして、上記配管が終ったマット本体の上面にはアルミニュウム箔製の放熱シートが貼り合わせてあり、この放熱シートは、温水パイプ内を循環する温水の熱を温水マット全面に均一に分布させることにより床面の温度の均一化を図る。
【0035】
また、温水パイプの直線部の下半には断面逆Ω字状のアルミニュウム箔製の伝熱テープが装着されていて、この伝熱テープは、温水パイプの配管溝内に隠れる下半周面の熱を前記した放熱シートに伝えて熱効率を高めるために装着される。但し、この伝熱テープが装着されない形態で製作された温水マットも存在し、本発明は、この双方に適用できる。
【0036】
本発明が適用される温水マットには小根太の挿入の無い所謂ネダレスタイプとフローリング等の床材を支持する小根太入りの双方が含まれ、小根太入りの場合は、温水パイプの直線部を横断するため、この横断部にはU字状の温水パイプ逃げ溝が形成されている。
【0037】
温水マットの裏面に形成するスリットは、マット本体の肉厚の一部を残す深さ、又はマット本体の肉厚を切断する深さ、又はこの双方を組み合わせた形態で形成し、ピッチは小さいほど巻き径を小さくできるが、マット本体の強度が低下することから、ピッチは10〜25cm位が良い。但し、このピッチは温水マットの大きさに応じて決定するものとする。
【0038】
マット本体の厚さ及び温水パイプの径は、本発明の適用に際しては限定されないが、因みに現在実用化されているこの数値はマット本体の厚さは12mm、温水パイプの径は10mmである。
【実施例1】
【0039】
図1〜図6に基づいてネダレスタイプの温水マットに本発明を実施した例を詳細に説明する。図中符号の1は温水マット全体を指し、2は発泡樹脂で成形された板状のマット本体であって、このマット本体2の横幅W=2.5m、長さL=10mである。
【0040】
このマット本体2の上面にはマット本体2の長手方向に直線溝3aが向き、マット本体2の両端部2bに接近した位置に隣接した直線溝3aを交互に結ぶUターン溝3bを形成する断面U字状の配管溝3が形成されている。
【0041】
なお、図1において、配管溝3は1系統のみで表現されているが、2系統以上形成される場合の方が多い。
【0042】
4は上記配管溝3に配管された温水パイプであって、この温水パイプ4内には熱源機(図示せず)で発生した温水が図4に示すように導管C、C’、ヘッダーBを介して循環する。4aは温水パイプ4の直線部、4bはUターン部、図2、3において、6はマット本体2の上面全体を覆うようにして貼り着けられた放熱シートである。
【0043】
図2において、5は温水パイプ4の直線部4aに装着されたアルミ箔製の放熱テープである。
【0044】
7はマット本体2の裏面において、その肉厚方向に向けて形成された断面V字状のスリットであって、このスリット7は、マット本体2の横幅方向(温水パイプ4の直線部4aに直交する方向)に図3に示すように20cmピッチで平行に形成されている。
【0045】
なお、スリット7の形状は、図6(A)に示すようにI字状又は(B)に示すようにU字状でも良く、又は(C)に示すように肉厚全体を切断するように形成しても良い。
【0046】
あるいは(D)に示すように本実施例のV又はI又はU字状のスリット7と(C)に示した切断スリット7との組み合わせとしても良い。
【0047】
これは、マット本体2の長さ方向があまり長い場合、マット本体2を継ぎ足しながら1枚のマット本体2とする必要が生じる場合もあり、この場合のスリット7は、継ぎ足し部分は丁度マット本体2の肉厚が切断された形態となることに形態の根拠がある。
【0048】
以上に説明した温水マットは、従来の温水マットを広い部屋に施工する例として説明した図11の4枚使用例に対し、図4に示すように床Aに対して左右に2列に並べて敷設することにより対応する。勿論大きな床面積の場合には3枚以上を並べて対応する。
【0049】
また、温水マット1を巻き取って小型化する場合には、図5に示すように放熱シート6側を内側にして端からスリット7の作用でロール状に巻く。このように巻いた時、温水マット1のロールの直径は70cm、ロールの長さは2.5mとなり、この大きさであれば通常のエレベータ内への持ちこみや部屋への搬入に支障はない。
【実施例2】
【0050】
本実施例2は、小根太入り温水マットに関し、図7〜図9にその詳細を示す。
【0051】
小根太10は、マット本体2において、スリット7と平行に挿入されている。
【0052】
そして、小根太10の上面には図9に示すように温水パイプ4を逃れるU字状の逃げ溝11が形成されている。
【0053】
なお、この小根太10は、本実施例ではスリット7の中間に1つおきに挿入されているが、2つおき又はそれ以上の間隔で挿入しても良い。
【0054】
この小根太10を挿入したとき、マット本体2は小根太10のところで切り離されているが、放熱シート6ですべて繋がれており、バラバラとなることはない。
【0055】
また、このマット本体2が小根太10の部分で分離されるのを防ぐために、図10に示すように小根太10の先端12を左右から交互に一定のところまで挿入し、マット本体2を横断しないようにすることで、マット本体2を繋ぎ止めておくようにしても良い。
【0056】
図7〜11において、実施例1と同一の符号は同一物を指すため、説明の重複を避けるためここでの説明は省略する。
【符号の説明】
【0057】
1 温水マット
2 マット本体
3 配管溝
4 温水パイプ
5 放熱テープ
6 放熱シート
7 スリット
10 小根太
11 逃げ溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.たてに長い平板形状のマット本体と、
b.前記マット本体の表面において、その直線部が長手方向に向けて形成されていると共に隣接する前記直線部の両端が交互にUターン部で結ばれることにより、全体が蛇行しているように形成された温水パイプ配管溝と、
c.前記配管溝内に配管されていると共に内部に温水を通して放熱を行う温水パイプと、
d.前記温水パイプが配管されたマット本体の表面全体に貼り合わされた放熱シートと、
e.前記マット本体の裏面であって、前記温水パイプの直線部に対して直交する方向に一定の間隔で形成された折り畳み用のスリットと、
f.で構成されていることを特徴とするたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項2】
前記マット本体の裏面に形成されるスリットの断面形状が、V又はI又はU字状を呈していること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項3】
前記スリットは、マット本体の肉厚に対して一定の深さまで構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項4】
前記スリットは、マット本体の肉厚を切断する深さまで構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項5】
前記スリットは、1枚のマット本体において一定の深さのところまで形成されたものと、肉厚を切断する深さのところまで構成されたものとが混在していること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項6】
前記マット本体は、発泡体で構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項7】
前記マット本体の表面に貼り合わされる放熱シートは、アルミニュウム箔製であること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項8】
前記マット本体に形成される配管溝とここに配管される温水パイプは、1枚のマット本体において単数系統又は複数系統から成ること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項9】
前記温水マットは、放熱シートを内側にしながら長手方向の一端から前記スリットの作用でロール状に巻き取ることができること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項10】
前記マット本体において、スリット間にこのスリットと平行にマット本体の肉厚と同じ厚さから成り、かつその上面であって、温水パイプが横断する位置に断面U字状のパイプ逃げ溝を形成した床材支持用の小根太が挿入されていること、を特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のたて長折り畳み式床暖房用マット。
【請求項1】
a.たてに長い平板形状のマット本体と、
b.前記マット本体の表面において、その直線部が長手方向に向けて形成されていると共に隣接する前記直線部の両端が交互にUターン部で結ばれることにより、全体が蛇行しているように形成された温水パイプ配管溝と、
c.前記配管溝内に配管されていると共に内部に温水を通して放熱を行う温水パイプと、
d.前記温水パイプが配管されたマット本体の表面全体に貼り合わされた放熱シートと、
e.前記マット本体の裏面であって、前記温水パイプの直線部に対して直交する方向に一定の間隔で形成された折り畳み用のスリットと、
f.で構成されていることを特徴とするたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項2】
前記マット本体の裏面に形成されるスリットの断面形状が、V又はI又はU字状を呈していること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項3】
前記スリットは、マット本体の肉厚に対して一定の深さまで構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項4】
前記スリットは、マット本体の肉厚を切断する深さまで構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項5】
前記スリットは、1枚のマット本体において一定の深さのところまで形成されたものと、肉厚を切断する深さのところまで構成されたものとが混在していること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項6】
前記マット本体は、発泡体で構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項7】
前記マット本体の表面に貼り合わされる放熱シートは、アルミニュウム箔製であること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項8】
前記マット本体に形成される配管溝とここに配管される温水パイプは、1枚のマット本体において単数系統又は複数系統から成ること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項9】
前記温水マットは、放熱シートを内側にしながら長手方向の一端から前記スリットの作用でロール状に巻き取ることができること、を特徴とする請求項1に記載のたて長折り畳み式床暖房用温水マット。
【請求項10】
前記マット本体において、スリット間にこのスリットと平行にマット本体の肉厚と同じ厚さから成り、かつその上面であって、温水パイプが横断する位置に断面U字状のパイプ逃げ溝を形成した床材支持用の小根太が挿入されていること、を特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のたて長折り畳み式床暖房用マット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−229894(P2012−229894A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99708(P2011−99708)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000183071)住商メタレックス株式会社 (27)
【出願人】(510167992)株式会社プラン・ドゥー (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000183071)住商メタレックス株式会社 (27)
【出願人】(510167992)株式会社プラン・ドゥー (2)
【Fターム(参考)】
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