説明

つかみ装置

【課題】ゴムスリーブ10の交換作業を簡単に行うことが可能なつかみ装置1を提供する。
【解決手段】密閉室5の壁面の一部を構成するゴムスリーブ10を備え、密閉室5に空気を供給することによりゴムスリーブ10を膨張変形させてワークを保持するつかみ装置1であって、ゴムスリーブ10の下端部12が、ボルト部材20のテーパ面22と中間部材30のテーパ面32とにより着脱自在に挟持され、ゴムスリーブ10の上端部16が、ナット部材40のテーパ面46と中間部材30のテーパ面36とにより着脱自在に挟持されている構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つかみ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴムスリーブを膨張変形させて対象物(ワーク)を保持するつかみ装置が開発されている。内周つかみ装置(ピッカ)は、円筒状のワークの内側において、ゴムスリーブを外側に膨張変形させ、ワークの内周面にゴムスリーブを押圧してワークを保持するものである。外周つかみ装置(グリッパ)は、ゴムスリーブの内側にワークを配置して、ゴムスリーブを内側に膨張変形させ、ワークの外周面にゴムスリーブを押圧してワークを保持するものである。
【0003】
図6は、従来技術に係る内周つかみ装置の側面断面図である。この内周つかみ装置9は、ゴムスリーブ10を柱状体920の外周に装着したものである。ゴムスリーブ10の下端部の外周には金属リング930が配置されている。この金属リング930を加締る(縮径する)ことにより、ゴムスリーブ10の下端部が密閉封止されている。またゴムスリーブ10の上端部は外側に折り返され、金属リング940を加締ることにより密閉封止されている。これにより、ゴムスリーブ10と柱状体920との間に密閉室5が形成されている。この密閉室5に空気を供給することにより、ゴムスリーブ10が外側に膨張変形するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−190766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係る内周つかみ装置では、破損したゴムスリーブ10の交換が困難である。具体的には、古いゴムスリーブ10を取り外す際に、金属リング930,940の切断に手間がかかり、また切断された金属リング930,940が新たな廃棄物となる。一方、新しいゴムスリーブ10を取付ける際に、金属リング930,940の加締作業が必要になるが、この加締作業には熟練が必要であり、また加締装置のない場所では行うことができない。さらに、このような金属リング930,940の交換作業を、ゴムスリーブ10の両端部についてそれぞれ行う必要がある。
【0005】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたもので、弾性スリーブの交換作業を簡単に行うことが可能なつかみ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係るつかみ装置は、密閉室の壁面の少なくとも一部を構成する弾性スリーブを備え、前記密閉室に流体を供給することにより前記弾性スリーブを弾性変形させて対象物を保持するつかみ装置であって、前記弾性スリーブの端部が、対向配置された一対のテーパ面に着脱自在に挟持されていることを特徴とする。
この構成によれば、一対のテーパ面を接近および離反させるだけで、弾性スリーブの取り付けおよび取り外しを行うことが可能になる。これにより、特殊な装置や熟練を要することなく弾性スリーブを取付けることが可能になり、また弾性スリーブ以外の廃棄物を発生させることなく弾性スリーブを取り外すことが可能になる。したがって、弾性スリーブの交換作業を簡単に行うことができる。
【0007】
前記テーパ面には、周方向に伸びる溝部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、溝部に弾性スリーブが嵌り込むことで、軸方向における弾性スリーブのずれを防止することができる。
【0008】
前記弾性スリーブの第1端部を挟持する第1テーパ面および第2テーパ面と、前記弾性スリーブの第2端部を挟持する第3テーパ面および第4テーパ面と、前記第1テーパ面を備えた第1締結部材と、前記第4テーパ面を備えた第2締結部材と、を備え、前記第2テーパ面および前記第3テーパ面は、同一の中間部材に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第2テーパ面と第3テーパ面とが別々の中間部材に形成されている場合と比べて、部品点数の増加による製造コストの増加を抑制することができる。
【0009】
前記第1締結部材または前記第2締結部材が、前記中間部材に締結されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1締結部材または第2締結部材を中間部材に締結することにより、弾性スリーブの第1端部および第2端部のうち一方端部が挟持された状態になるので、他方端部の取り扱いが容易になる。例えば、弾性スリーブの第1端部を挟持した状態で、第2端部の折り返し作業を簡単に行うことができる。したがって、弾性スリーブの交換作業を簡単に行うことができる。
【0010】
前記中間部材は、前記第1締結部材および前記第2締結部材によって共締めされていることを特徴とする。
この構成によれば、第1締結部材と第2締結部材とを締結するだけで、弾性スリーブの第1端部および第2端部を挟持することが可能になる。また第1締結部材と第2締結部材とを取り外すだけで、弾性スリーブの第1端部および第2端部を開放することが可能になる。したがって、弾性スリーブの交換作業を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一対のテーパ面を接近および離反させるだけで、弾性スリーブの取り付けおよび取り外しを行うことが可能になる。したがって、弾性スリーブの交換作業を簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るつかみ装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る内周つかみ装置の側面断面図であり、図2は分解図である。図1に示すように、第1実施形態に係る内周つかみ装置1は、密閉室5の壁面の少なくとも一部を構成するゴムスリーブ(弾性スリーブ)10を備え、密閉室5に空気(流体)を供給することによりゴムスリーブ10を膨張変形させて対象物(ワーク)を保持するものである。
ゴムスリーブ10は、ゴム材料により円筒状に形成され、その上端部16を外側に折り返して使用される。
【0013】
内周つかみ装置1の下方には、ボルト部材20が配置されている。ボルト部材20は、頭部21を下方に向けねじ部24を上方に向けて配置されている。ボルト部材20の内部には空気導入路26が形成されている。空気導入路26は、ねじ部24の先端から中心軸に沿って下方に伸び、さらに水平方向に折れ曲がってボルト部材20の側面に開口27が形成されている。
ボルト部材20の頭部21の側面は、下方から上方に向かって縮径されたテーパ面22になっている。そのテーパ面22には、周方向に伸びるリング状の溝部23が複数形成されている。
【0014】
内周つかみ装置1の上方には、ナット部材40が配置されている。ナット部材40は、中心軸に沿って貫通孔が形成された本体部41と、本体部41の下端面の周縁部から立設された筒状部44とで構成されている。本体部41の貫通孔の上方には空気導入口42が形成され、下方にはボルト部材20のねじ部25と螺合するねじ部45が形成されている。また、筒状部44の内周面は、下方から上方に向かって縮径されたテーパ面46になっている。
【0015】
ボルト部材20とナット部材40との間には、中間部材(中子)30が配置されている。中間部材30は、中心軸に沿って貫通孔が形成された本体部34と、本体部34の下端面の周縁部から立設された筒状部31とで構成されている。本体部34の貫通孔には、ボルト部材20のねじ部25と螺合するねじ部35が形成されている。また、ボルト部材20の空気導入路26の開口27の位置には、貫通孔の周方向に伸びる溝部38が形成されている。溝部38の底面から中間部材30の外周面にかけて、空気供給路39が形成されている。
【0016】
中間部材30の筒状部31の内周面は、下方から上方に向かって縮径されたテーパ面32になっている。筒状部31のテーパ面32は、ボルト部材20のテーパ面22と対向配置されている。ゴムスリーブ10の下端部12は、一対のテーパ面22,32に挟持されて密閉封止されている。なお、テーパ面22に形成された溝部23にゴムスリーブ10が嵌り込むことで、軸方向におけるゴムスリーブ10のずれが防止されている。
【0017】
一方、中間部材30の本体部34の外周面は、下方から上方に向かって縮径されたテーパ面36になっている。本体部34のテーパ面36は、ナット部材40のテーパ面46と対向配置されている。ゴムスリーブ10の上端部16は、一対のテーパ面36,46に挟持されて密閉封止されている。なお、本体部34のテーパ面36には、周方向に伸びるリング状の溝部37が複数形成されている。この溝部37にゴムスリーブ10が嵌り込むことで、軸方向におけるゴムスリーブ10のずれが防止されている。
【0018】
すなわち第1実施形態では、ゴムスリーブ10の下端部12を挟持する第1テーパ面22および第2テーパ面32と、ゴムスリーブ10の上端部16を挟持する第3テーパ面36および第4テーパ面46とを備え、第1テーパ面22がボルト部材(第1締結部材)20に形成されるとともに、第4テーパ面46がナット部材(第2締結部材)40に形成され、第2テーパ面32および第3テーパ面36は同一の中間部材30に形成されている。これにより、第2テーパ面32と第3テーパ面36とを別々の中間部材に形成する場合と比べて、部品点数の増加による製造コストの増加を抑制することができる。
【0019】
そして、ボルト部材20と中間部材30とが締結されて、第1テーパ面22および第2テーパ面32によりゴムスリーブ10の下端部12が着脱自在に挟持されている。またボルト部材20とナット部材40とが締結されて、第3テーパ面36および第4テーパ面46によりゴムスリーブ10の上端部16が着脱自在に挟持されている。
【0020】
これにより、ゴムスリーブ10の下端部12および上端部16が密閉封止されて、ゴムスリーブ10を壁面の一部とする密閉室5が形成されている。この密閉室5に対して、空気導入口42、空気導入路26、開口27、溝部38および空気供給路39を介して、外部から空気を供給すると、ゴムスリーブ10が二点差線のように外側に膨張変形する。このゴムスリーブ10を筒状ワーク(不図示)の内周面に押圧して、ワークを保持しうるようになっている。
【0021】
(ゴムスリーブの交換方法)
次に、ゴムスリーブ10の交換方法につき、図2を用いて説明する。最初に、新しいゴムスリーブ10の取付けについて説明する。
まず、ゴムスリーブ10を折り返す前の円筒状態で、ゴムスリーブ10の下端部12の内面を、ボルト部材20のテーパ面22に載置する。そして、ボルト部材20のねじ部25を、中間部材30のねじ部35に締結する。これにより、ゴムスリーブ10の下端部12の外面が中間部材30のテーパ面32に押圧され、ゴムスリーブ10の下端部12が一対のテーパ面22,32により挟持される。
【0022】
次に、ゴムスリーブ10の上端部16を外側に折り返す。ここではゴムスリーブ10の下端部12が固定されているので、上端部16の折り返し作業を簡単に行うことができる。次に、ゴムスリーブ10の上端部16の内面を、中間部材30のテーパ面36に載置する。そして、ナット部材40のねじ部45を、ボルト部材20のねじ部25に締結する。これにより、ゴムスリーブ10の上端部16の外面がナット部材40のテーパ面46に押圧され、ゴムスリーブ10の上端部16が一対のテーパ面36,46により挟持される。
なお、ゴムスリーブ10の上端部16を一対のテーパ面36,46により挟持した後に、ゴムスリーブ10の下端部12を内側に折り返して、一対のテーパ面22,32により挟持する手順も考えられる。しかしながら、ゴムスリーブ10を内側に折り返すと、ゴムスリーブ10が縮径されてしわになり、密閉室5を密閉封止できなくなるおそれがある。これに対して、上述したようにゴムスリーブ10の上端部16を外側に折り返せば、ゴムスリーブ10が拡径されるのでしわになることはない。したがって、密閉室5を確実に密閉封止することができる。
以上により、ゴムスリーブ10の取り付けが完了する。
【0023】
一方、ゴムスリーブ10の取り外し作業は、上記と逆の手順で行えばよい。すなわち、ボルト部材20からナット部材40を取り外し、ゴムスリーブ10の上端部16を開放する。次に、中間部材30からボルト部材20を取り外し、ゴムスリーブ10の下端部12を開放する。なお取り外したボルト部材20、ナット部材40および中間部材30は、もちろん再利用することが可能である。
以上のように、古いゴムスリーブ10の取り外しおよび新しいゴムスリーブ10の取り付けを行うことにより、ゴムスリーブ10の交換作業を行うことができる。
【0024】
以上に詳述したように、図1に示すつかみ装置では、ゴムスリーブ10の端部が、対向配置された一対のテーパ面に着脱自在に挟持されている構成とした。
この構成によれば、一対のテーパ面を接近および離反させるだけで、ゴムスリーブ10の取り付けおよび取り外しを行うことが可能になる。これにより、特殊な装置や熟練を要することなくゴムスリーブ10を取付けることが可能になり、またゴムスリーブ10以外の廃棄物を発生させることなくゴムスリーブ10を取り外すことが可能になる。すなわち、ゴムスリーブの取り付け時に、熟練を要する金属リングの加締作業を行う必要がなく、また加締装置のない場所でも取り付け作業を行うことができる。また、ゴムスリーブの取り外し時に、金属リングの切断に手間取ることなく、また切断された金属リング等の新たな廃棄物が発生しない。したがって、ゴムスリーブ10の交換作業を簡単に行うことができる。
【0025】
また第1実施形態では、ゴムスリーブ10の下端部12を挟持する一対のテーパ面22,32のうち、テーパ面22を備えたボルト部材20が、テーパ面32を備えた中間部材30に締結されている構成とした。
この構成によれば、ボルト部材20を中間部材30に締結することで、一対のテーパ面22,32によりゴムスリーブ10の下端部12が挟持された状態になるので、上端部16を外側に折り返す作業を簡単に行うことが可能になる。したがって、ゴムスリーブ10の交換作業を簡単に行うことができる。
【0026】
なお、ボルト部材20を中間部材30に締結することなく、ボルト部材20およびナット部材40により中間部材30を共締めする構成としてもよい。この構成によれば、ボルト部材20とナット部材40とを締結するだけで、ゴムスリーブ10の上端部16および下端部12を挟持することが可能になる。またボルト部材20とナット部材40とを取り外すだけで、ゴムスリーブ10の上端部16および下端部12を開放することが可能になる。したがって、ゴムスリーブ10の交換作業を簡単に行うことができる。
【0027】
(第2実施形態)
図3は第2実施形態に係る内周つかみ装置の側面断面図であり、図4は分解図である。図3に示すように、第2実施形態では、ナット部材120およびボルト部材150のいずれも中間部材30に締結することなく、ナット部材(第1締結部材)120およびボルト部材(第2締結部材)150により中間部材30を共締めしている点で第1実施形態と相違している。なお第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
【0028】
第2実施形態では、内周つかみ装置2の下方にナット部材120が配置されている。ナット部材120の上面から中心軸に沿って、ねじ部25が形成されている。ナット部材120の側面は、下方から上方に向かって縮径されたテーパ面22になっている。そのテーパ面22には、周方向に伸びるリング状の溝部23が複数形成されている。
【0029】
また、内周つかみ装置2の上方にボルト部材150が配置されている。ボルト部材150は、頭部51を上方に向けねじ部55を上方に向けて配置されている。なお頭部51とねじ部55との間には、外面にねじ部のないシャフト部54が形成されている。また頭部51の上面から中心軸に沿って、空気導入口52および空気導入路が形成されている。
【0030】
第2実施形態では、ボルト部材150の頭部51と中間部材30との間に、押圧部材140が配置されている。押圧部材140は有底筒状に形成され、その底部41にはボルト部材150の挿通孔が形成されている。また筒部44の内周面は、下方から上方に向かって縮径されたテーパ面46になっている。なおボルト部材150および押圧部材140は一体に形成されていてもよい。
【0031】
中間部材30は第1実施形態と同様に形成されている。ただし中間部材30の貫通孔の内面35にはねじ部がなく、中間部材30とボルト部材150とは締結されていない。中間部材30の貫通孔には、ボルト部材150のシャフト部54が挿入されている。なお貫通孔の内面35には溝部が形成され、その溝部にはOリング58が配置されて、中間部材30とボルト部材150との間が密閉封止されている。
【0032】
そして、ナット部材(第1締結部材)120のねじ部25とボルト部材(第2締結部材)150のねじ部55とが締結され、両者間に配置された中間部材30および押圧部材140が共締めされている。これに伴って、第1テーパ面22および第2テーパ面32によりゴムスリーブ10の下端部12が着脱自在に挟持され、第3テーパ面36および第4テーパ面46によりゴムスリーブ10の上端部16が着脱自在に挟持されている。なおボルト部材150と押圧部材140とを別体に形成したので、ボルト部材150を締め込んでも、第4テーパ面46がゴムスリーブ10の表面上で回転しない。これにより、ゴムスリーブ10がねじれた状態で固定されるのを防止することができる。
【0033】
(ゴムスリーブの交換方法)
次に、ゴムスリーブ10の交換方法につき、図4を用いて説明する。最初に、新しいゴムスリーブ10の取付け方法について説明する。
まず、ゴムスリーブ10を折り返す前の円筒状態で、ゴムスリーブ10の下端部12の内面を、ナット部材120のテーパ面22に載置する。次に、中間部材30のテーパ面32を、ゴムスリーブ10の下端部12の外面に載置する。これにより、一対のテーパ面22,32の間にゴムスリーブ10の下端部12が配置される。この状態で、ゴムスリーブ10の上端部16を外側に折り返す。
【0034】
次に、ゴムスリーブ10の上端部16の内面を、中間部材30のテーパ面36に載置する。次に、押圧部材140のテーパ面46を、ゴムスリーブ10の上端部16の外面に載置する。そして、ボルト部材150のねじ部55を、ナット部材120のねじ部25に締結する。これにより、押圧部材140のテーパ面46がゴムスリーブ10の上端部16の外面を押圧し、ゴムスリーブ10の上端部16が一対のテーパ面36,46により挟持される。また、ゴムスリーブ10の下端部12が一対のテーパ面22,32により挟持される。
以上により、ゴムスリーブ10の取り付けが完了する。
【0035】
一方、ゴムスリーブ10の取り外し作業は、上記と逆の手順で行えばよい。すなわち、ナット部材120からボルト部材150を取り外し、さらに押圧部材140を取り外してゴムスリーブ10の上端部16を開放する。同時に、中間部材30からナット部材120を取り外し、ゴムスリーブ10の下端部12を開放する。これにより、ゴムスリーブ10の取り外しが完了する。
以上のように、古いゴムスリーブ10の取り外しおよび新しいゴムスリーブ10の取り付けを行うことにより、ゴムスリーブ10の交換作業を行うことができる。
【0036】
以上に詳述したように、図3に示す第2実施形態では、第2テーパ面32および第3テーパ面36を備えた中間部材30が、第1テーパ面22を備えたナット部材120および第4テーパ面46に連結されたボルト部材150により共締めされている構成とした。
この構成によれば、ナット部材120とボルト部材150とを締結するだけで、ゴムスリーブ10の上端部16および下端部12を挟持することが可能になる。またナット部材120とボルト部材150とを取り外すだけで、ゴムスリーブ10の上端部16および下端部12を開放することが可能になる。したがって、ゴムスリーブ10の交換作業を簡単に行うことができる。
【0037】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る外周つかみ装置の側面断面図である。第1および第2実施形態は本発明を内周つかみ装置に適用したものであったが、第3実施形態は本発明を外周つかみ装置3に適用したものである点で相違している。なお第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
【0038】
外周つかみ装置3は、ゴムスリーブ10より大径の筒状体(中間部材)220を備えている。筒状体220の軸方向における中央部近傍には、筒状体220を貫通する空気導入口21が形成されている。筒状体220の上端部の内周面には、上方から下方に向かって縮径されたテーパ面が形成されている。また筒状体220の下端部の内周面には、下方から上方に向かって縮径されたテーパ面22が形成されている。なお以下には筒状体220の下端部の近傍を例にして説明する。テーパ面22には、周方向に伸びるリング状の溝部23が複数形成されている。一方、筒状体220の下端部の外周面には、ねじ部25が形成されている。
【0039】
筒状体220の下端部には、キャップ部材(締結部材)230が配置されている。キャップ部材230は、筒状体220の内周側に配置された内筒部31と、筒状体220の外周側に配置された外筒部34と、内筒部31および外筒部34を連結する連結部33とで構成されている。内筒部31の外周面には、下方から上方に向かって縮径されたテーパ面32が形成されている。外筒部34の内周面には、ねじ部35が形成されている。
【0040】
そして、筒状体220のねじ部25にキャップ部材230のねじ部35が締結されて、筒状体220のテーパ面22とキャップ部材230のテーパ面32との間にゴムスリーブ10の下端部12が挟持され、ゴムスリーブ10の下端部12が密閉封止されている。同様に、ゴムスリーブ10の上端部16も密閉封止されている。
【0041】
このように、ゴムスリーブ10の上端部16および下端部12が密閉封止されて、ゴムスリーブ10を壁面の一部とする密閉室5が形成されている。この密閉室5に空気導入口21から空気が供給されると、ゴムスリーブ10が二点差線のように内側に膨張変形する。このゴムスリーブ10を外周つかみ装置3の内側に配置されたワーク(不図示)の外周面に押圧して、ワークを保持しうるようになっている。
【0042】
第3実施形態では、筒状体220とキャップ部材230とを締結するだけで、ゴムスリーブ10の上端部16または下端部12を挟持することが可能になる。また筒状体220とキャップ部材230とを取り外すだけで、ゴムスリーブ10の上端部16または下端部12を開放することが可能になる。したがって、ゴムスリーブ10の交換作業を簡単に行うことができる。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態ではゴムスリーブ10の下端部12を挟持する一対のテーパ面22,32のうち、テーパ面22のみに溝部23を形成したが、テーパ面32のみに形成してもよく、両方に形成してもよい。ゴムスリーブ10の上端部16を挟持する一対のテーパ面36,46についても同様である。
また、上記実施形態ではゴムスリーブ10を一対のテーパ面で挟持したが、このテーパ面には階段状面も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態に係る内周つかみ装置の側面断面図である。
【図2】図1の分解図である。
【図3】第2実施形態に係る内周つかみ装置の側面断面図である。
【図4】図2の分解図である。
【図5】第3実施形態に係る外周つかみ装置の側面断面図である。
【図6】従来技術に係る内周つかみ装置の側面断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1,2…内周つかみ装置(つかみ装置) 3…外周つかみ装置(つかみ装置) 5…密閉室 10…ゴムスリーブ(弾性スリーブ) 12…下端部(第1端部) 16…上端部(第2端部) 20…ボルト部材(第1締結部材) 22…テーパ面(第1テーパ面) 23…溝部 30…中間部材 32…テーパ面(第2テーパ面) 36…テーパ面(第3テーパ面) 37…溝部 40…ナット部材(第2締結部材) 46…テーパ面(第4テーパ面) 120…ナット部材(第1締結部材) 150…ボルト部材(第2締結部材) 220…筒状体(中間部材) 230…キャップ部材(締結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉室の壁面の少なくとも一部を構成する弾性スリーブを備え、
前記密閉室に流体を供給することにより前記弾性スリーブを弾性変形させて対象物を保持するつかみ装置であって、
前記弾性スリーブの端部が、対向配置された一対のテーパ面により着脱自在に挟持されていることを特徴とするつかみ装置。
【請求項2】
前記テーパ面には、周方向に伸びる溝部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のつかみ装置。
【請求項3】
前記弾性スリーブの第1端部を挟持する第1テーパ面および第2テーパ面と、
前記弾性スリーブの第2端部を挟持する第3テーパ面および第4テーパ面と、
前記第1テーパ面を備えた第1締結部材と、前記第4テーパ面を備えた第2締結部材と、を備え、
前記第2テーパ面および前記第3テーパ面は、同一の中間部材に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のつかみ装置。
【請求項4】
前記第1締結部材または前記第2締結部材が、前記中間部材に締結されていることを特徴とする請求項3に記載のつかみ装置。
【請求項5】
前記中間部材は、前記第1締結部材および前記第2締結部材によって共締めされていることを特徴とする請求項3に記載のつかみ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate