説明

とうもろこし畑の切り株処理装置

【課題】コーンハーベスタに、ラッピングマシンを連結した細断型ロールベーラを伴走させて、連続走行で作業を行うときに、ラッピングマシンから放出されるラップロールが、圃場面に植立しているコーンの切り株による損傷を受けることがないよう、そのラップロールが放出されていく圃場面に植立して残っている切り株を、ラップロールが放出される前に、倒伏破壊した状態に処理しておく。
【解決手段】ロールベーラの機体後部に連結装着せるラッピングマシンの機体に、組付け支架せるリヤフレームの後端側に、ラップロールを誘導するキッカーを、昇降回動自在に軸着連結し、そのキッカーの底面側に、前記リヤフレームの下降作動により下降した状態時に圃場面のコーンの切り株に対し当接する破壊部材を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飼料用とうもろこしを、ハーベスタにより刈り取り、ハーベスタに伴走させたロールベーラによりロールベールに成形し、ロールベーラに連結するラッピングマシンによりラップロールに形成し、そのラップロールを圃場面に放出して、ラップロールサイレージを調整する作業を行うときに、圃場面に残っているコーンの切り株が、放出されるラップロールを被覆しているラップフィルムに突き刺さって穴を開け、侵入する空気によりラップしたコーンを腐敗させるようになるのを防止するために、ラッピングマシンから、ラップロールが圃場面に放出される前に、圃場面に残っているコーンの切り株を、ラップロールに対する突き刺さりを生ぜしめない倒伏した状態に処理しておくためのコーンの切り株処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飼料用とうもろこしを、ハーベスタで刈り取り収穫し、これをロールベーラでロールベールに成形し、ラッピングマシンによりラップロールに調整するとき、ロールベーラには、ハーベスタで刈り取られて2〜3cmに細断された飼料用とうもろこしを受け入れるホッパを有し、このホッパに受け入れた細断された飼料用とうもろこしを、ベール成形室に搬送して、ロールベールに圧縮・成形する形態の細断型ロールベーラが用いられる。
【0003】
飼料用とうもろこしを、ハーベスタで刈り取り収穫し、細断型ロールベーラで、ロールベールに圧縮成形し、それの周面をラップフィルムで被覆して密封し、高品質なコーンサイレージに調整するとき、ハーベスタによる飼料用とうもろこしの刈り取り収穫は、飼料として質的に落ちる株元部を収穫しないよう、切り株高さが15〜20センチあるいはそれ以上の切り株高さ位置において刈り取られる。
【0004】
このため、飼料用とうもろこしの刈り取った跡のとうもろこし畑の圃場面は、切り株高さの高いとうもろこしの切り株が、圃場の全面に直立して残っている状態となっている。
【0005】
このため、ラップフィルムによりラップし終えたロールベールのラップロールをラッピングマシンから放出するとき、このとうもろこしを刈り取った跡の圃場面に放出すると、ロールベールを被覆しているラップフィルムに、圃場面に突き立った姿勢で並列している切り株が突き刺さり、ラップフィルムに穴を開けたりする損傷を与え、乳酸醗酵させて良質の飼料に調整するコーンサイレージを腐敗させ、品質を著しく低下させるようになる。
【0006】
このことから、飼料用とうもろこしを、ハーベスタにより収穫し、これを伴走させるロールベーラによりロールに圧縮・成形していくときは、成形したロールベールは、ラップフィルムでラップしないで、ラッピングしない裸の状態で圃場面に放出して放置し、これを、グリッパ付きトラクタにより拾い集めて、切り株の破砕処理を行った圃場、または、圃場から離れた集積場所に運び、そこでラッピングマシンによりラップ作業を行い、ラップし終えたラップロールを、切り株による損傷を受けることがない状態として放出するようにしている。
【0007】
このため、コーンを刈り取り、ロールベールに成形してラッピングによりコーンサイレージに調整する作業は、多くの作業機械と多くの作業者を必要としていた。
【0008】
コーンをコーンハーベスタで刈り取り、それを伴走するロールベーラでロールベールに成形し、ラップしない裸の状態で圃場に放出し、これを、コーン切り株の破壊処理が行われた圃場に運び、そこで、ラッピングする場合についていえば、コーンハーベスタ1台と、細断型ロールベーラ1台と、ラップマシン1台と、トラクタ2台と、作業者(オペレータ)2人が必要で、さらに、ラップし終えたラップロールの運搬に、トラック1台とグリッパ付きトラクタ1台と、作業者2人が必要となる。
【0009】
コーンハーベスタで刈り取ったコーンを、運搬車で集積場所に運び、そこで、ロールベールへの圧縮・成形と、成形したロールベールのラッピングを行う場合にあっては、コーンを収穫するコーンハーベスタ1台と、細断型ロールベーラ1台と、ラップマシン1台と、トラクタ2台と、人2名と、トラック1台と、グリッパ付きトラクタ1台と、投入用ぺイローダ1台と、人3名とが必要となる。
【0010】
このコーンを収穫して圧縮成形し、ラップフィルムによりラッピングすることでラップロールサイレージに調整する作業は、牧草の収穫・調整作業と同様に、コーンを自走ハーベスタで収穫し、これにラッピングマシンを連結した細断型ロールベーラを伴走させ、刈り取り収穫したコーンを、圧縮・成形してラップフィルムによりラップし、それを圃場面に落下・放出させていくようにすれば、必要とする機械を最小限に抑えて、省力的な労働力で、しかも機械を連続走行させた状態で作業が行えるようになる。
【0011】
しかし、このようなシステムでコーンのラップロールサイレージの調整作業を行うと、ラッピングマシンからのラップし終えたラップロールの放出を、ハーベスタにより刈り取り収穫したコーンの切り株が植立している圃場面に対して行うことになり、この切り株によりラップしたラップフィルムに損傷を生ぜしめ、調整するラップロールサイレージの品質を劣化させる問題が出てくる。
【0012】
作業を効率的に行うために、細断型ロールベーラとラップマシンとを1台に組み合わせたコンビ型の機械が開発されてきている。このコンビ型の機械によりコーンのラップロールサイレージの調整作業を行うときは、ロールベーラ部で圧縮・成形されたロールベールが、ロールベーラ部に連結するラッピングマシン部を経て放出されることから、圧縮・成形したロールベールを、ラップしない裸のままの状態として放出するわけにはいかず、ラップフィルムでラップしたラップロールの状態として放出するようになる。
【0013】
このため、このコンビ型の機械は、コーンハーベスタに伴走させて、飼料用とうもろこしをラップロールサイレージに調整する作業を、連続走行させた状態で行い、作業を省力的にすると、前述のシステムによる調整作業と同様に、ラップフィルムに損傷を生ぜしめるようになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明において解決しようとする課題は、飼料用とうもろこしを、ラップロールサイレージに調整する作業が、要する機械を最小限に抑えて、省力的な労働力で行えるよう、コーンハーベスタに、ラッピングマシンを連結した細断型ロールベーラを伴走させて、連続走行で作業を行うときに、ラッピングマシンから放出されるラップロールが、圃場面に植立しているコーンの切り株による損傷を受けることがないよう、そのラップロールが放出されていく圃場面に植立して残っている切り株を、ラップロールが放出される前に、倒伏破壊した状態に処理しておく切り株処理手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上述の課題を解決するための手段として、ロールベーラの機体後部に連結装着せるラッピングマシンの機体に、ロールベールを支承するリヤフレームを、昇降作動機構により後端側が昇降するよう組付け支架し、そのリヤフレームの後端側に、ラップロールを誘導するキッカーを、昇降回動自在に軸着連結し、そのキッカーには、上面側にリヤフレームから放出されるラップロールを支承して誘導する案内部材を設け、底面側には、前記リヤフレームの下降作動により下降した状態時に圃場面のコーンの切り株に対し当接する破壊部材を設けてなるとうもろこし畑の切り株処理装置を提起するものである。
そして、これに併せて、上述のとうもろこし畑の切り株処理装置において、ラッピングマシンのリヤフレームの後端側に、昇降回動自在に軸着連結せるキッカーを、該キッカーと前記リヤフレームとの間に設けるスプリングにより、支承するラップロールの重量で下降回動し、ラップロールの支承のない状態時に略水平な姿勢に上昇回動するよう支持せしめたことを特徴とするとうもろこし畑の切り株処理装置を提起し、
さらに、上述のとうもろこし畑の切り株処理装置において、キッカーに装備せしめる破壊部材を、キッカーに設けたラップロールを支承する支承部材の底面により構成し、キッカーの上に乗ったラップロールの重量を利用してコーンの切り株を破壊するようにしたことを特徴とするとうもろこし畑の切り株処理装置を提起し、
さらに、前述のとうもろこし畑の切り株処理装置において、キッカーに装備せしめる破壊部材を、キッカーをリヤフレームに連結する連結部材により構成したことを特徴とするとうもろこし畑の切り株処理装置を提起するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明手段は、機体の後部にラップマシンを連結装着したロールベーラを、コーンハーベスタに伴走させて、収穫していく飼料用とうもろこしを、連続走行の状態で、ロールに圧縮・成形し、ラップフィルムでラップしてラップロールとして放出し、ラップロールサイレージに調整していく作業を行う際、ロールベーラの後部に連結したラップマシンによるロールベールのラッピングを終えたときに、支承しているラップロールを排出するようラッピングマシンのリヤフレームを下降回動させると、連結するキッカーが下降し、その底面側が圃場面に当接し、キッカーの上面側に転動してくるラップロールの重量で、底面側が圃場面のコーンの切り株に圧接した状態となり、この状態で機体と共に圃場面を進行移動していくようになって、これにより、圃場面のコーンの切り株は、キッカーに設けた破壊部材により押し倒され押し潰されていく。
【0017】
そして、この状態での時間の経過によりキッカーの底面及び連結軸により圃場面の切り株を押し潰していく作用が、圃場面の一定の区間において行われたところで、ラッピングマシンのリヤフレームを上昇させれば、水平な姿勢で接地していたキッカーの前部が連動して上昇し、後部は支承しているラップロールの重量により押さえられて上昇しないことで、後方に向け下降傾斜した姿勢となり、支承していたラップロールは後方に転げ出し、キッカーが押し倒して潰した切り株の上に放出される。放出を終えて空になったキッカーは、前端側が上昇した状態位置において、スプリングにより水平な姿勢に戻り、次にリヤフレーム上から放出されてくるラップロールを待つ状態となる。
【0018】
従って、機体の後部にラッピングマシンを連結したロールベーラを、コーンハーベスタに伴走させて、コーンを収穫しながら、ロールベールに圧縮・成形し、ラップフィルムで被覆して放出し、ラップロールサイレージに調整していく作業が、放出するラップロールに、圃場面に植立している切り株に突き刺さることで生ずる損傷を生ぜしめることなく行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の実施の態様を実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0020】
図1及び図2は、本発明を実施せるとうもろこし畑の切り株処理装置の平面図及び側面図で、同図において、Aはロールベーラ、BはそのロールベーラAの機体の後部に連結装着したラッピングマシン、10はラッピングマシンBの機体1の後端側に設けたリヤフレーム、Cはそのリヤフレーム10の後端側に、上下に昇降回動自在に軸着連結したキッカーを示す。
【0021】
ロールベーラAは、この例においては、車体2の前端側に設けた牽引桿20を、トラクタ(図示省略)の機体後部に設けられた連結ヒッチに連結し、そのトラクタの運転走行により牽引されて走行する被牽引型のものであり、それの車体2の前半側に、コーンハーベスタ(図示省略)で刈り取り収穫されて細断処理され、ブロワーにより吹き出されるコーンの切截片を受け入れるホッパ21を装架し、後半側には、前記ホッパ21の底部に設けた床コンベア22で後送されて、移送コンベア23に引き継がれて移送されるコーンの切截片を、受入口から受け入れて、ロールベールに圧縮・成形するベール成形装置aを設けた通常のもので、そのベール成形装置aは、成形するロールベールが所定の径に形成されたときに、移送コンベア23の作動を停止して、成形室内に張架したタイトチェンを駆動することで、繰出装置から繰り出されるネットまたはトワインにより梱包する梱包機構24を具備し、また、この梱包が終了したときに、成形室の後部機枠25が後方上方に向け開放回動して、成形して梱包したロールベールを後方に排出するようにしてある通常の形態のものである。
【0022】
この被牽引型のロールベーラAは車体2に、トラクタのPTO軸と伝導連結することで、回転動力を入力する入力軸26と、この入力軸26に伝導される回転動力により駆動される油圧装置(図示省略)が装架してあり、前述の床コンベア22及びベール成形装置aのタイトチェン等が、油圧装置で生成する油圧により作動する油圧モータにより駆動されるようにしてある。
【0023】
本発明手段によるとうもろこし畑の切り株処理装置は、ロールベーラAが、被牽引型である場合に限らない。ロールベーラを、車体2にエンジンを搭載し、そのエンジンにより車体2に装架せる走行装置を駆動することで、自走して走行する自走型とする場合がある。この場合には、油圧装置は搭載したエンジンにより駆動されるようになる。
【0024】
ラッピングマシンBは、それの機体1の前端側に設けた連結器11を、ロールベーラAの車体2の後端部に設けた連結器27に接続することで、前端側をロールベーラAの車体2に支架し、機体1の前後の中間部位の左右の両側に設けたスタンド12と、左右の中間部位の底面に設けたキャスタ13とにより地面に支承させることで、機体1が略水平な姿勢を保持して後方に延出する状態としてロールベーラAの車体2の後部に連結装着してある。
【0025】
そして、その機体1の前端に寄る部位に、側面視において、上方に立ち上がった後に後方に弧状に湾曲する形状で、平面視において、横倒しのアーチ状をなす形状の支柱14を立設し、このアーチ状の支柱14の上端側の左右の中央部位に、油圧モータにより駆動される上下方向の回転軸15を設け、この回転軸15に、下向きの半円弧状に形成したアーム16の頂部を取り付け、そのアーム16の一対に対向する下端の遊端部が、前記回転軸15を油圧モータ17による駆動でその回転軸15中心に旋回回動するようにし、このアーム16の前記一対の遊端部に、それぞれ、ラップフィルムの巻束を装填する支軸と、そのラップフィルムの巻束から繰り出されるラップフィルムに、所定の緊張圧を与えるフィルム緊張装置とを設け、このアーム16の旋回中心の下方に、圧縮・成形と、それの梱包を終えて前述のロールベーラAから排出されるロールベールを支承するリヤフレーム10を設けた構成としている。
【0026】
ロールベールの支承は、リヤフレーム10の後端側に軸支したロール101と、リヤフレーム10の前端側に軸支した小径のテンションロール103と、これらにエンドレスにかけ回した巾広のベルト104とラッピングマシンBの機体1の本体部の後端部に軸支せる押し込みロール102とで行われている。
【0027】
このロール101とロール103とにエンドレスにかけ回したベルト104は、後位のロール101が、リヤフレーム10の後端側の側端部に設けた油圧モータ軸107により駆動回転することで循環回行し、これにより、当該ベルト104上に支承するロールベールRを、支承位置において転動させ、ラッピング工程の間、ロールベールRの周面に対するラップフィルムの巻き付け位置を、周方向に順次変動させるようにしている。
【0028】
リヤフレーム10は、ラッピングマシンBの機体1の本体部とは別体に形成してあり、そのリヤフレーム10の前端側を、連結軸を介し機体1の本体部の後端部に軸支して、後端側が前記連結軸中心に自在に昇降するよう軸架し、かつ、該リヤフレーム10の後端側の下面と、機体1の本体部の後端部の下面との間に渡架するよう組み付けた昇降作動機構である油圧シリンダ105により、該リヤフレーム10の後端側を支承せしめて、その油圧シリンダ105の伸縮作動により、このリヤフレーム10の後端側が昇降作動するようにしてある。
【0029】
キッカーCは、このリヤフレーム10の後端部に、後方に突出するようにブラケット106を設けて、そのブラケット106の後端部に設けた連結軸30に該キッカーCの前端部を軸架することで、連結軸30中心に後端側が自在に昇降するように、リヤフレーム10の後端側に軸着連結してある。
【0030】
このキッカーCは、図1・図2・図13に示しているように、支承するラップロールR’の軸方向の長さより広い間隔巾をもって左右に対向する一対の側板31と、それら側板31の間に渡架する支承部材32・33とで、全体が平面視において略方形で、側面視において前後に長い浅い平箱状に形成してあり、ラップロールR’は、図5に示しているように、前後に並列する支承部材32・33の上に載ることで支承されるようにしてある。
【0031】
支承部材32・33は、この例においては、後方に位置する支承部材32は、縦断面が正円状の円筒状に形成してあり、前方に位置する支承部材33にあっては、縦断面が半円筒状をなすように形成しているが、リヤフレーム10が略水平な姿勢となっている状態時に、上面に乗るラップロールR’を安定に支承し、リヤフレーム10が後方に向け下降傾斜する姿勢となった状態時に、支承しているラップロールR’を後方に向け転動して排出されていくよう案内するようになればよく、その形状は任意であり、また、この例においては、後方に位置する円筒状の支承部材32を、左右の側板31間に支軸34により回転自在に軸支して、リヤフレーム10の後方に向けての下降傾斜によりラップロールR’を排出するときの、その排出作動が迅速に行われるようにしているが、左右の両端部位を、側板31の内面に対し前方の支承部材33と同様に、溶接などにより固定状態に取り付けてよいものである。
【0032】
キッカーCは、それの左右の側板31の前後の中間部位と、前記リヤフレーム10の後端側における左右の側端部に立ち上げたブラケット106との間に渡架するよう設けたスプリング35により、常態において、図3に示すよう略水平な姿勢に保持せしめてあり、リヤフレーム10を油圧シリンダ105の作動で、図4にあるよう下降作動させることで、下降させた状態時に、前述の略水平な姿勢のまま、底面側が圃場面に当接していくようにしてある。
【0033】
このキッカーCの底面側には、前述の図3の状態時に、圃場面に残っているコーンの切り株に対し圧接していく破壊部材bが設けられる。
【0034】
この破壊部材bは、前述したように、リヤフレーム10の下降作動で、圃場面に対し底面側が接当するように下降した状態位置を占めるようになったときに、この状態においての機体1の走行移動により、圃場面に植立して残っているコーンの切り株Dを順次押し倒して押し潰すように破壊していくためのものであり、機体1の走行移動に伴うキッカーCの走行移動により、圃場面のコーンの切り株に対し圧接していくようになればよく、その形状・構造は任意である。
【0035】
この例においては、円筒状に形成した後位の支承部材32と、半円筒形状に形成した前位の支承部材33の底面に設けた補強壁330とにより構成しているが、前位の支承部材33と後位の支承部材32との間におけるキッカーCの底面側に、図3において鎖線で示しているように、そり板状に形成した底板36を設けてこれにより構成する場合、また、キッカーCをリヤフレーム10の後端部に軸着連結する連結軸30を、図1において鎖線に示しているように、左右の側板31間に渡るよう長く形成しておいて、この連結軸30をもって、圃場面のコーンの切り株Dを押し倒して押し潰す破壊部材bを構成する場合等適宜に構成してよい。
【0036】
このように、被牽引によりまたは自走して走行するロールベーラAと、それの機体後部に連結装着したリヤフレーム10を下降作動を可能としたラッピングマシンBと、そのラッピングマシンBのリヤフレーム10の後端部に昇降回動自在に軸着連結したキッカーCと、このキッカーCに設けた破壊部材bとで構成されるとうもろこし畑の切り株処理装置は、ロールベーラAをコーンハーベスタに伴走させて、コーンハーベスタで刈り取り細断処理したコーンの切截片を、受け入れて、ロールベールに成形し、ラッピングして排出していく作業を行う際、ロールベーラAが受け入れたコーンの切截片をロールベールに圧縮・成形している工程にあって、ラッピングマシンBのリヤフレーム10の上にはロールベールが存在していない状態のときには、ロールベーラAの後位に連結するラッピングマシンB及びそれのリヤフレーム10ならびにキッカーCは、図3に示しているように、リヤフレーム10が圃場面に植立している切り株Dの上方に位置し、このリヤフレーム10の後方に連結するキッカーCも、切り株Dの上方において、略水平な姿勢に保持され、この状態においてロールベーラAと共に、同図3において進行方向である左方に進行している。
【0037】
次にロールベーラAのベール成形室内におけるロールベールの成形及びそれの梱包の工程が終了して、ベール成形室から放出されたロールベールRがラッピングマシンBのリヤフレーム10の上に乗り、ラッピングマシンBの旋回するアーム16の回動端に軸支せるフィルムの巻束から繰り出されるラップフィルムによりラッピングが行われている工程のときにも、リヤフレーム10及びキッカーCは、図4にあるように、前述の図3に示すベール成形の工程における状態時と同様に、圃場面のコーンの切り株Dの上方に位置し、この状態位置を保持して、機体の進行方向に進行移動している。
【0038】
次に、ラッピングマシンBのリヤフレーム10上に支承されたロールベールRのラッピングの工程が終了すると、それを知らせる信号によりロールベーラAの機体または牽引するトラクタに設けられるコントローラに設置した自動の制御動作、またはロールベーラまたはトラクタのオペレータによる手動の制御動作によって、油圧シリンダ105を作動させることにより、リヤフレーム10の後端側を下降させると、リヤフレーム10の後端側に連結したキッカーCは、水平な姿勢を保持した状態で下降し、図5に示しているように、底面側が圃場面に植立している切り株Dの条列の上に当接していく状態となり、この状態でロールベーラAの機体と共に移動し進行していく。そして、その進行・移動により、キッカーCに当接する切り株Dを押し倒していく状態となる。
【0039】
このとき、リヤフレーム10が後端側の下降作動により後方に向け下降傾斜する姿勢となることで、このリヤフレーム10の上面側に支承されていたラップロールR’は、後方に転動してキッカーCの上面に乗り、そこに支承される。これにより、キッカーCはラップロールR’の重量により圃場面に押し付けられ、図6に示している状態となって進行していくようになり、底面に接するコーンの切り株Dを強く押し倒し、押し潰して破壊していくようになる。
【0040】
次にこの図6に示している状態での機体の進行で、キッカーCによるコーンの切り株を押し倒して破壊していく作動は、これにより、圃場面の切り株Dが倒されて押し潰された区間が、ラップロールR’の放出に充分な距離となる時間(例えば6秒間)続けられる。この時間は、コントローラに設定する設定時間を調整することで変更される。そして、コーンの切り株を押し倒した区間がラップロールR’の放出に充分な距離となったときに、リヤフレーム10の後端側は、油圧シリンダ105の作動で上昇し、図7にあるように、これに連結するキッカーCの前端側を吊り上げ、キッカーCを支承するラップロールR’の重量により後端側が接地した傾斜姿勢にする。
【0041】
これにより、キッカーC上のラップロールR’は、図8にあるように、キッカーCの後方に排出され、そのラップロールR’は、圃場面の、切り株Dが押し倒された区間内に放出される。
【0042】
このラップロールR’が放出されると、キッカーCは、ラップロールR’の荷重から解放されて、復元回動し、図9にあるように、油圧シリンダ105の作動で上昇しているリヤフレーム10の後端部から、略水平に後方に突出して、圃場面の切り株Dの上方に位置して、機体と共に移動・進行する旧の状態に戻り、次にロールベーラAから排出されるロールベールを持つようになる。
【0043】
従って、ラッピングマシンを連結したロールベーラを、コーンハーベスタに伴走させて、連続走行する状態において、コーンをラップロールとして圃場面に放出する作業が、放出するラップロールに、切り株により受ける損傷を無くした状態で行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明を実施せるとうもろこし畑の切り株処理装置の全体の概要平面図である。
【図2】同上装置の概要側面図である。
【図3】同上装置の要部の側面図である。
【図4】同上要部の、ラップロールがラッピングマシンのリヤフレーム上に乗った状態時の側面図である。
【図5】同上要部の、リヤフレームを下降作動させた状態時の作用の説明図である。
【図6】同上要部の、キッカー上にラップロールが乗った状態時の作用の説明図である。
【図7】同上要部の、図6の状態時からリヤフレームを上昇作動させたときの作用の説明図である。
【図8】同上要部の、図7の状態となったときのラップロールが押し倒された切り株の上に放出されていく状態を示す説明図である。
【図9】同上要部の、ラップロールの放出により、リヤフレーム及びキッカーが旧の状態位置に復元した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
A ロールベーラ
B ラッピングマシン
C キッカー
D コーンの切り株
R ロールベール
R’ ラップロール
a 成形装置
b 破壊部材
1 機体
10 リヤフレーム
101 ロール
102 押し込みロール
103 テンションロール
104 ベルト
105 油圧シリンダ
106 ブラケット
107 油圧モータ軸
11 連結器
12 スタンド
13 キャスタ
14 支柱
15 回転軸
16 アーム
17 油圧モータ
2 車体
20 牽引桿
21 ホッパ
22 床コンベア
23 移送コンベア
24 梱包機構
25 後部機枠
26 入力軸
27 連結器
30 連結軸
31 側板
32・33 支承部材
330 補強壁
34 支軸
35 スプリング
36 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールベーラの機体後部に連結装着せるラッピングマシンの機体に、ロールベールを支承するリヤフレームを、昇降作動機構により後端側が昇降するよう組付け支架し、そのリヤフレームの後端側に、ラップロールを誘導するキッカーを、昇降回動自在に軸着連結し、そのキッカーには、上面側にリヤフレームから放出されるラップロールを支承して誘導する案内部材を設け、底面側には、前記リヤフレームの下降作動により下降した状態時に圃場面のコーンの切り株に対し当接する破壊部材を設けてなるとうもろこし畑の切り株処理装置。
【請求項2】
ラッピングマシンのリヤフレームの後端側に、昇降回動自在に軸着連結せるキッカーを、該キッカーと前記リヤフレームとの間に設けるスプリングにより、支承するラップロールの重量で下降回動し、ラップロールの支承のない状態時に略水平な姿勢に上昇回動するよう支持せしめたことを特徴とする請求項1記載のとうもろこし畑の切り株処理装置。
【請求項3】
キッカーに装備せしめる破壊部材を、キッカーに設けたラップロールを支承する支承部材の底面により構成し、キッカーの上に乗ったラップロールの重量を利用してコーンの切り株を破壊するようにしたことを特徴とする請求項1記載のとうもろこし畑の切り株処理装置。
【請求項4】
キッカーに装備せしめる破壊部材を、キッカーをリヤフレームに連結する連結部材により構成したことを特徴とする請求項1記載のとうもろこし畑の切り株処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−165414(P2009−165414A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7689(P2008−7689)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000132909)株式会社タカキタ (34)
【Fターム(参考)】