説明

にんにくの少臭化処理方法

【課題】
にんにく摂取後の口臭を低減するために効率よく、且つ低価格で処理できることが望まれており、食品添加物を活用して、安定的にその目的を達成することが要求されている。
【解決手段】
皮を剥いた、にんにくをフイチン酸・クエン酸・酢酸等の0.1〜10.0g/L水溶液と0.1〜10.0g/Lアルコールに浸漬し、口臭発生の原因物質である酵素アリイナーゼを事前に不活性化することによって、摂取後の口臭を低減することが可能になった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、にんにくを摂取後に口臭が残らないようにするための、処理に関するものである。 にんにくは強壮効果、制がん効果等有用な野菜であるが、摂取後の口臭が残るので、消費量も伸び悩んでいるのが現状である。
【背景技術】
【0002】
にんにくの臭気成分は、その根茎に含まれるアリインが、摂取時に酵素アリイナーゼによって、アリシンに分解される際に副生する、硫化水素・メルカプタン類・硫化アリル等の有機硫黄化合物が主体で、品種間でも若干の違いがある。 この口臭の源である有機硫黄化合物の生成反応を抑制するために、様々な処方が提案され実施されているが、いまだ十分な効果を発揮しているものは多くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平4‐12699
【特許文献2】特公平4‐14949
【特許文献3】特公平7‐79659
【特許文献4】特公平8‐17671
【特許文献5】特開2004‐159515
【特許文献6】特開2006‐223240
【特許文献7】特許417961
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
にんにくはアリインとアリイナーゼが、根茎内で細胞として独立して存在しており、摂取時に始めて両者が接触してアリシンへと反応が進捗することが知られている。 にんにくを摂取する前段階で、酵素アリイナーゼの活性を抑制する処理をしておくことによって、口臭問題は解消する筈であるが、これまでに簡単に効果的な抑制方法が開発されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般的には、有機酸を活用することで、アリイナーゼの活性は抑制される傾向があるが、その酸の種類及び処理条件によっては、効率よく少臭化すること期待出来ないことが多かった。
その原因のひとつが、少臭剤のにんにく根茎への、不均一な分布であり、その根茎サイズ等にかかわらず均質に処理できることが不可欠である。
また、根茎は、撥水性があり均等に少臭液の浸透を、阻害するケースもある。
【0006】
このような不備を解消する為に、アルコールを少量添加して界面活性剤的に根茎の表面張力を低下させ、根茎に親水性を持たせる処置をとることが、肝要である。
【発明の効果】
【0007】
にんにく摂取後の口臭測定方法には、従来ガス検知管や、ガスクロマトグラフィ等によって、口臭中のガス成分を測定し少臭効果の測定をやっていたが、口臭中の臭気成分濃度が低く測定に手間と、時間がかかり、評価が適正に出来なかった。 この度、高感度半導体ガスセンサーを用いて、にんにくを摂取前後に、直接口臭データが迅速に且つ的確に把握できるようになり、その数値で少臭化の判定が可能となり、効果判定が即時に明瞭に可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
皮を剥いたにんにくを、実施例1から3のような条件で、有機酸を1.0g/Lになるようにし、アルコール1.0g/L添加条件で処理した結果を実施例の後に表示した。 いずれも摂取したあと、高感度半導体ガスセンサーで口臭を計測したが、50以下の口臭が問題にならない数値まで、少臭化されていることが確認されている。
【実施例1】
【0009】
にんにくを1.0g/Lのフイチン酸水溶液に1.0g/Lになるようにアルコールを加え、30〜35℃で、7時間浸漬して、根茎に吸収させる。その後水洗して30〜40℃の温風を通記した条件で、浸漬前の重量になるまで通気乾燥をする。
【実施例2】
【0010】
にんにくを1.0g/Lのクエン酸水溶液に1.0g/Lになるようにアルコールを加え、30〜35℃で、7時間浸漬して、根茎に吸収させる。その後水洗して30〜40℃の条件で通気して、浸漬前の重量になるまで通気乾燥をする。
【実施例3】
【0011】
にんにくを1.0g/Lの酢酸水溶液に1.0g/Lになるようにアルコールを加え30〜35℃で7時間浸漬して根茎に吸収させる。その後水洗し30〜40℃の条件で通気して、浸漬前の重量になるまで通気乾燥する。
【0012】
にんにく根茎を、ラップにくるみ90℃の熱水に10分間浸漬し加熱して辛みを取り除く。この根茎の2.4gを摂取し、10分後の口臭を高精度半導体ガスセンサーで測定する。摂取前の口臭測定値と併せて少臭効果が判断できる。
【0013】
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
にんにく摂取後の口臭を抑制するために、にんにくを処理する方法であって、にんにくをアルコールとフイチン酸の水溶液に浸漬し、吸収させることを特徴とする、にんにく処理方法。
【請求項2】
にんにく摂取後の口臭を抑制するために、にんにくを処理する方法であって、にんにくをアルコールとクエン酸の水溶液に浸漬し、吸収させることを特徴とする、にんにく処理方法。
【請求項3】
にんにくを摂取後の口臭を抑制するために、にんにくを処理する方法であって、にんにくをアルコールと酢酸の水溶液に浸漬し、吸収させることを特徴とするにんにく処理方法。

【公開番号】特開2011−211907(P2011−211907A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80149(P2010−80149)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(399122907)
【Fターム(参考)】