説明

ぬいぐるみ玩具

【課題】音を出すために金属製の電極などのメカニカルな印象を与える部材を使用しないで、不思議な操作感を与えることができるぬいぐるみ玩具を提供する。
【解決手段】内部に設けられた制御装置100と、表面に形成された複数の通電部位と、を備え、前記複数の通電部位は、前記制御装置100に接続されており、前記制御装置100は、前記複数の通電部位間の通電を検知したときに音声を出力するものであって、前記複数の通電部位は、導電性繊維を用いて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音声を出力するぬいぐるみ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部に露出した複数の電極を備え、この複数の電極のうちの2つの電極間が通電状態となったときに音を出力する装置が知られている。このような装置においては、例えば独立した2以上の電極をそれぞれ人体に接触させることで、人体を介して2つの電極間を通電させ、音を出すようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、第1の人体に接する第1の電極と、第2の人体に接する第2の電極と、第1の人体と第2の人体とが接触することにより第1の電極と第2の電極との間が通電状態となったことを検出して所定の信号を出力する通電検出部と、を備え、出力する信号のレベルを通電状態における通電量に応じて調整して出力し、スピーカから出力させる音の大きさを調整するようにした演奏装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−58742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の演奏装置は、金属製の電極を触ることで音を出していることが一目瞭然であり、なぜ音が出るのかといった不思議な印象を与えるものではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、音を出すために金属製の電極などのメカニカルな印象を与える部材を使用しないで、不思議な操作感を与えることができるぬいぐるみ玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0008】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1に記載のぬいぐるみ玩具は、内部に設けられた制御装置と、表面に形成された複数の通電部位と、を備え、前記複数の通電部位は、前記制御装置に接続されており、前記制御装置は、前記複数の通電部位間の通電を検知したときに音声を出力するものであって、前記複数の通電部位は、導電性繊維を用いて形成されていることを特徴とする。
【0010】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0011】
すなわち、前記ぬいぐるみ玩具を折り曲げることにより、2つの異なる前記通電部位を直接接触させることが可能であることを特徴とする。
【0012】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0013】
すなわち、前記ぬいぐるみ玩具は、手または足の少なくともいずれかを有しており、前記手または足の少なくともいずれかの先に前記通電部位を設けたことを特徴とする。
【0014】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、前記ぬいぐるみ玩具の表面に導電性繊維を毛状に突出させ、前記通電部位を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願発明は上記の通りであり、内部に設けられた制御装置と、表面に形成された複数の通電部位と、を備え、前記複数の通電部位は、前記制御装置に接続されており、前記制御装置は、前記複数の通電部位間の通電を検知したときに音声を出力するものである。このため、複数の通電部位に同時に触れるなどすると、触れた人体を介して通電部位間の通電が検知され、音声が出力される。このとき、複数の通電部位はぬいぐるみ玩具の表面に導電性繊維を用いて形成されているため、感触としてはぬいぐるみ玩具の他の部分と差異がない。よって、単にぬいぐるみ玩具に触れただけで音が出るので、スイッチを押すなどの操作をしている感覚がなく、ユーザーに不思議な操作感を与えることができる。
【0017】
また、前記ぬいぐるみ玩具を折り曲げることにより、2つの異なる前記通電部位を直接接触させることが可能に形成すれば、例えば、手や足を叩いたり、顔を掻いたりする動作をさせることで、通電して音がでるように形成できる。
【0018】
なお、手や足を叩いたり、顔を掻いたりする動作をさせることで音を出させるには、手または足の少なくともいずれかの先に前記通電部位を設ければよい。
【0019】
また、前記ぬいぐるみ玩具の表面に導電性繊維を毛状に突出させ、前記通電部位を形成させてもよい。すなわち、導電性繊維をぬいぐるみ玩具に縫い付けて通電部位を形成する他にも、導電性繊維を毛束状にして通電部位を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ぬいぐるみ玩具の正面図である。
【図2】ぬいぐるみ玩具の内部機構のブロック図である。
【図3】ぬいぐるみ玩具の使用状態図であって、人体を介して通電させた場合の図である。
【図4】ぬいぐるみ玩具の使用状態図であって、通電部位を直接接触させて通電させた場合の図である。
【図5】ぬいぐるみ玩具の使用状態図であって、複数のぬいぐるみ玩具をつなげて通電させた場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0022】
本実施形態に係るぬいぐるみ玩具10は、図1に示すように、動物の形態をしており、胴体部13に、頭部11、右腕部14、左腕部15、右脚部16、左脚部17が設けられている。頭部11には顔部12が形成されており、目鼻口が設けられている。
【0023】
このぬいぐるみ玩具10の表面には、導電性繊維を用いて形成された複数の通電部位が形成されている。本実施形態においては、頭部11に毛状に導電性繊維を突出させた頭部通電部位11a、顔部12に口を形作るように導電性繊維が刺繍された顔部通電部位12a、右腕部14の手先に導電性繊維製の布地を使用して設けた右腕部通電部位14a、左腕部15の手先に導電性繊維製の布地を使用して設けた左腕部通電部位15a、右脚部16の足先に導電性繊維製の布地を使用して設けた右脚部通電部位16a、左脚部17の足先に導電性繊維製の布地を使用して設けた左脚部通電部位17a、の6つの通電部位が設けられている。
【0024】
これらの複数の通電部位は、ぬいぐるみ玩具10の内部に設けられた制御装置100に接続されている。この制御装置100は、前記複数の通電部位間の通電を検知したときに音声を出力する。
【0025】
図2は、この制御装置100を中心とした、ぬいぐるみ玩具10の内部機構を示すブロック図である。この図2に示すように、本実施形態に係る制御装置100には、6つの通電部位とスピーカ20とが接続されている。
【0026】
制御装置100は、特に図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、通電部位に電圧を印加して充放電を行わせるための充放電手段110、通電部位間の通電状態を検出する通電検出手段120、通電検出手段120の検出結果に応じてスピーカ20から出音を行わせる音声制御手段130として機能する。
【0027】
なお、制御装置100としては、上記した各手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0028】
(充放電手段110)
充放電手段110は、電源装置(図示せず)からの電圧を、各通電部位が接続されたポートに対して印加し、充放電を行わせるためのものである。
【0029】
具体的には、図2に示すように、各ポートにはそれぞれコンデンサCが接続されているため、この充放電手段110は各ポートに同時に電圧を印加し、コンデンサCを充電する(充電動作)。そして、充電が完了した後にいずれかのポートに0V出力を行い、放電を促す(放電動作)。この充電動作と放電動作とは、通電部位の数だけ繰り返され、各通電部位で順に0V出力が実行される。
【0030】
例えば、(1)すべてのコンデンサCに充電を行う、(2)頭部通電部位11aに0V出力(後述する通電検出手段120による放電チェック)、(3)すべてのコンデンサCに充電を行う、(4)顔部通電部位12aに0V出力(後述する通電検出手段120による放電チェック)、(5)すべてのコンデンサCに充電を行う、(6)右腕部通電部位14aに0V出力(後述する通電検出手段120による放電チェック)、(7)すべてのコンデンサCに充電を行う、(8)左腕部通電部位15aに0V出力(後述する通電検出手段120による放電チェック)、(9)すべてのコンデンサCに充電を行う、(10)右脚部通電部位16aに0V出力(後述する通電検出手段120による放電チェック)、(11)すべてのコンデンサCに充電を行う、(12)左脚部通電部位17aに0V出力(後述する通電検出手段120による放電チェック)、の1フローをセットとして充放電動作が繰り返される。
【0031】
(通電検出手段120)
通電検出手段120は、前記した充放電手段110による放電状態をチェックするものであり、図2に示すように、各通電部位と充放電手段110とを接続する電線から分岐した電線において、分岐とコンデンサCとの間に接続されている。
【0032】
具体的には、充放電手段110が一定周期ごとに放電を行ったときに、早く放電が完了するポートを検出することで、通電があったことを検出する。例えば、頭部通電部位11aに接続されたポートに0V出力を行ったときに、顔部通電部位12aの放電が早く完了すれば、頭部通電部位11aと顔部通電部位12aとの間で通電があったことが検出できる。
【0033】
通電検出手段120は、通電があったことを検出したときには、後述する音声制御手段130に対して通電信号を出力する。
【0034】
(音声制御手段130)
音声制御手段130は、通電検出手段120からの通電信号に基づきスピーカ20に出音させるものである。
【0035】
この音声制御手段130は、例えば、通電信号があったときに所定の曲のメロディの音を1音ずつスピーカ20に出音させる(いわゆるワンキー演奏)ようにしてもよい。また、通電のあった通電部位の組み合わせによって違う音声が出力されるようにしてもよい。また、音の種類も、ドラムやピアノなどの音楽としてもよいし、動物の鳴き声などを用いてもよい。
【0036】
(遊び方の例)
次に、本実施形態に係るぬいぐるみ玩具10の遊び方の例について説明する。
【0037】
図3は、ぬいぐるみ玩具10の遊び方の一例であり、人体を介して通電させた場合の図である。この図3に示すように、通電部位の任意の2つに同時に触れることで、人体を介して通電が発生し、これを通電検出手段120が検知してスピーカ20から音を出させて遊ぶことができる。
【0038】
人体を介して通電させる場合、ぬいぐるみ玩具10を持ったり離したりすることで通電と断電とを切り替えるようにしてもよいし、複数の人間でぬいぐるみ玩具10に触れておき、この人間同士が触れたり離したりすることで通電と断電とを切り替えるようにしてもよい。
【0039】
図4は、ぬいぐるみ玩具10の遊び方の一例であり、通電部位を直接接触させて通電させた場合の図である。この図4に示すように、ぬいぐるみ玩具10を折り曲げることにより、2つの異なる前記通電部位を直接接触させることでも通電が発生し、これを通電検出手段120が検知してスピーカ20から音を出させて遊ぶことができる。
【0040】
具体的には、図4(a)に示すように、右脚部通電部位16aと左脚部通電部位17aとを触れ合わせることで、足を叩いた動作に合わせて出音させたり、図4(b)に示すように、左腕部通電部位15aと右脚部通電部位16aとを触れ合わせる動作で出音させたり、図4(c)に示すように、右腕部通電部位14aと左腕部通電部位15aとを触れ合わせることで、手を叩いた動作に合わせて出音させたり、図4(d)に示すように、右腕部通電部位14aと頭部通電部位11aとを触れ合わせることで、頭の毛を触る動作に合わせて出音させたりすることができる。なお、この図4で示す接触させる通電部位の組み合わせは例示に過ぎず、これ以外の組み合わせであっても出音が行われることは言うまでもない。
【0041】
図5は、ぬいぐるみ玩具10の遊び方の一例であり、複数のぬいぐるみ玩具10をつなげて通電させた場合の図である。この図5に示すように、それぞれの通電部位を接触させるように複数のぬいぐるみ玩具10を並べ、両端のぬいぐるみ玩具10に同時に触れるなどして通電させれば、同時に複数のぬいぐるみ玩具10に出音させることができる。
【0042】
このように同時に複数のぬいぐるみ玩具10に出音させる場合、例えば合奏モードなどのモードを用意し、複数のぬいぐるみ玩具10が協調して音を出力するように形成すれば、よりバラエティに富んだ音を出させて遊ぶことができる。
【0043】
なお、このように複数のぬいぐるみ玩具10をつなげて遊ぶ方法としては、上記したような両端のぬいぐるみ玩具10に同時に触れるなどして通電させる方法の他にも、例えば、複数のぬいぐるみ玩具10と複数の人間とを交互に配置して輪を作り、これによって通電させるようにしてもよい。
【0044】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態に係るぬいぐるみ玩具10によれば、内部に設けられた制御装置100と、表面に形成された複数の通電部位と、を備え、前記複数の通電部位は、前記制御装置100に接続されており、前記制御装置100は、前記複数の通電部位間の通電を検知したときに音声を出力するものである。このため、複数の通電部位に同時に触れるなどすると、触れた人体を介して通電部位間の通電が検知され、音声が出力される。このとき、複数の通電部位はぬいぐるみ玩具10の表面に導電性繊維を用いて形成されているため、感触としてはぬいぐるみ玩具10の他の部分と差異がない。よって、単にぬいぐるみ玩具10に触れただけで音が出るので、スイッチを押すなどの操作をしている感覚がなく、ユーザーに不思議な操作感を与えることができる。
【0045】
また、前記ぬいぐるみ玩具10を折り曲げることにより、2つの異なる前記通電部位を直接接触させることで音が出るので、図4に示すように、例えば、手や足を叩いたり、顔を掻いたりする動作をさせることで出音させることができる。
【0046】
また、前記ぬいぐるみ玩具10の表面に導電性繊維を毛状に突出させた頭部通電部位11a、導電性繊維を縫い込んで形成した顔部通電部位12a、導電性繊維の布で形成した右腕部通電部位14a・左腕部通電部位15a・右脚部通電部位16a・左脚部通電部位17aを備えており、通電部位の形成方法もバラエティに富んでおり、一見しただけではどこが通電部位なのかが分からず、更に不思議な印象を与えることができる。
【0047】
なお、上記した実施形態においては、頭部11の毛や口、手足に通電部位を設けたが、これに限らない。例えば、尻尾や耳、鼻などに通電部位を設けてもよい。
【0048】
また、上記した実施形態においては、ぬいぐるみ玩具10を動物の形態としたが、これに限らず、魚や車などの任意の形態にすることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 ぬいぐるみ玩具
11 頭部
11a 頭部通電部位
12 顔部
12a 顔部通電部位
13 胴体部
14 右腕部
14a 右腕部通電部位
15 左腕部
15a 左腕部通電部位
16 右脚部
16a 右脚部通電部位
17 左脚部
17a 左脚部通電部位
20 スピーカ
100 制御装置
110 充放電手段
120 通電検出手段
130 音声制御手段
C コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に設けられた制御装置と、表面に形成された複数の通電部位と、を備え、
前記複数の通電部位は、前記制御装置に接続されており、
前記制御装置は、前記複数の通電部位間の通電を検知したときに音声を出力するものであって、
前記複数の通電部位は、導電性繊維を用いて形成されていることを特徴とする、ぬいぐるみ玩具。
【請求項2】
前記ぬいぐるみ玩具を折り曲げることにより、2つの異なる前記通電部位を直接接触させることが可能であることを特徴とする、請求項1記載のぬいぐるみ玩具。
【請求項3】
前記ぬいぐるみ玩具は、手または足の少なくともいずれかを有しており、
前記手または足の少なくともいずれかの先に前記通電部位を設けたことを特徴とする、請求項1または2記載のぬいぐるみ玩具。
【請求項4】
前記ぬいぐるみ玩具の表面に導電性繊維を毛状に突出させ、前記通電部位を形成したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のぬいぐるみ玩具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate