ねじ端子台、電動機制御装置及び電気機器
【課題】より小さいサイズの電線を接続することが可能なねじ端子台、ねじ端子台用角座金、電動機制御装置及び電気機器を提供する。
【解決手段】電動機制御装置10は、電線Cの芯線Csに圧着された圧着部22を有する圧着端子Tが接続される端子金具38と、圧着端子T又は圧着端子Tにより圧着された芯線Csとの干渉を回避するための切り欠き部60が少なくとも1つの縁に形成されている角座金40と、角座金40と端子金具38との間にて圧着端子Tを固定する端子ねじ42とを有するねじ端子台12を備える。
【解決手段】電動機制御装置10は、電線Cの芯線Csに圧着された圧着部22を有する圧着端子Tが接続される端子金具38と、圧着端子T又は圧着端子Tにより圧着された芯線Csとの干渉を回避するための切り欠き部60が少なくとも1つの縁に形成されている角座金40と、角座金40と端子金具38との間にて圧着端子Tを固定する端子ねじ42とを有するねじ端子台12を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ端子台、ねじ端子台用角座金、電動機制御装置及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気機器の端子装置が記載されている。この端子装置は、端子ねじと、端子ねじの首部に装着される電線押え金具を有している。この電線押え金具の4辺のほぼ中央部には、それぞれ切り欠きが設けられている。端子装置には、この切り欠きと対応する案内リブが設けられている。
この端子装置によれば、端子ねじの転倒が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−44045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、より小さいサイズの電線を接続することが可能なねじ端子台、ねじ端子台用角座金、電動機制御装置及び電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る電動機制御装置は、電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成された角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備える。
【0006】
前記目的に沿う第2の発明に係る電動機制御装置は、電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための第1の切り欠き部が1つの縁だけに形成されるとともに、該第1の切り欠き部とは反対の側の縁に前記第1の切り欠き部の開口方向を定める第2の切り欠き部が形成された角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備える。
【0007】
前記目的に沿う第3の発明に係るねじ端子台は、電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成された角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを備える。
【0008】
前記目的に沿う第4の発明に係るねじ端子台用角座金は、圧着端子又は該圧着端子により圧着された電線の芯線との干渉を回避するための切り欠き部が縁に形成されている。
【0009】
前記目的に沿う第5の発明に係る電気機器は、電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成された角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、より小さいサイズの電線を接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るインバータの内部構造図である。
【図2】同インバータが有するねじ端子台の斜視図である。
【図3A】同インバータが有するねじ端子台の平面図である。
【図3B】同インバータが有するねじ端子台の正面図である。
【図3C】同インバータが有するねじ端子台の側面図である。
【図4】図3AのA−A断面を示す斜視図である。
【図5】リード部につながる端子金具の斜視図である。
【図6】同インバータが有するねじ端子台の角座金の斜視図である。
【図7A】同インバータが有するねじ端子台の角座金の平面図である。
【図7B】同インバータが有するねじ端子台の角座金の側面図である。
【図8】同インバータが有するねじ端子台の角座金が、圧着端子を固定する様子を示す斜視図である。
【図9】同インバータが有するねじ端子台の角座金が、圧着端子を固定する様子を示す平面図である。
【図10】同インバータが有するねじ端子台の角座金が、電線の芯線を固定する様子を示す平面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るインバータが有するねじ端子台の角座金が、圧着端子を固定する様子を示す平面図である。
【図12】同インバータが有するねじ端子台の角座金が、電線の芯線を固定する様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、各図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態に係るインバータ(電動機制御装置及び電子機器の一例)10は、図示しないモータを制御することができる。このインバータ10は、軽負荷定格又は重負荷定格が選択できる2重定格を有している。従って、駆動するモータ容量に応じて、インバータ10には複数のサイズの電線が接続される可能性がある。
インバータ10は、図1に示すように、外部端子として、多極のねじ端子台12を有している。
【0014】
インバータ10に接続される電流供給用の電線や、信号伝達用の電線の末端には、圧着端子T(図2、図9参照)が組み付けられる。圧着端子Tは、電線Cの芯線Cs(図9参照)に圧着される圧着部22と、圧着部22の先端側にねじ端子台12に接続される接続部24とを有している。電線Cは、圧着端子Tの圧着部22から芯線Csが先端側に例えば1mm程度出た状態で圧着される(図9参照)。
電線Cは、この圧着端子Tの接続部24がねじ端子台12に接続されることにより、インバータ10に電気的に接続される。なお、圧着端子Tではなく、電線Cの芯線Csが直接ねじ端子台12に接続される場合もある。
【0015】
ねじ端子台12は、図2、図3A〜図3C及び図4に示すように、ハウジング30に納められた複数の端子部32を有している。各端子部32は、端子金具38と、角座金(ねじ端子台用角座金)40と、端子ねじ42とを有している。
端子金具38は、電線Cの末端の圧着端子Tの接続部24が接続される。端子金具38は、ねじ端子台12から突出するリード部44に電気的につながっている(図5参照)。リード部44は、図1に示すヒートシンク52に固定された基板54に電気的に接続される。
角座金40は、平面視して矩形状の部材である。角座金40は、圧着端子Tの接続部24又は電線Cの芯線Csに接触する。
端子ねじ42は、圧着端子Tの接続部24又は電線Cの芯線Csを角座金40と端子金具38との間にて挟み込み、固定することができる。端子ねじ42は、端子ねじ42の首部に角座金40を保持することができる。
【0016】
次に、角座金40について詳細に説明する。
図6に示すように、角座金40の各縁の中央部には、圧着端子Tの圧着部22又は圧着部22により圧着された芯線Csとの干渉を回避するための切り欠き部60が形成されている。なお、切り欠き部60は少なくとも1つの縁に形成されていれば良い。
同図6及び図7Aに示すように、この切り欠き部60は、縁に沿う開口幅(縁に沿う第1の方向の長さ)W1が、切り欠き部60の深さ(第1の方向と交差する第2の方向の長さ)D1よりも広くなるように形成されている。また、切り欠き部60は、その幅が開口側と反対の側(端子ねじ42の側)に向かうに従って狭くなるように形成されている。
別の観点から説明すると、この切り欠き部60は、端子ねじ42の軸方向から見て(平面視して)台形状である。切り欠き部60の縁に沿う部分が下底に相当し、端子ねじ42の側の辺が上底に相当する。
また、各切り欠き部60よりも内側の中央部には、端子金具38の側に突出する突起部64が形成されている(図6参照)。
【0017】
一方、図6及び図7Bに示すように、角座金40の角部には、それぞれ、切り欠き部60を除いた縁の中央部から、端子金具38の方向に折り曲げられた折り曲げ部66が形成されている。この折り曲げ部66の端子金具38の側の面(圧着端子Tの接続部24又は電線Cの芯線Csに接する側の面)は、例えば平面である。折り曲げ部66の端子金具38の側の面は、端子部32に接続される芯線Csの表面に沿う曲面としても良い。即ち、折り曲げ部66は、折り曲げ部66が形成されていない場合よりも、端子部32に接続された芯線Csとの接触面積を増大させることができれば良い。
【0018】
従って、本実施の形態によれば、図8及び図9に示すように、圧着端子T又は圧着端子Tにより圧着された芯線Csとの干渉を回避するための切り欠き部60が形成されているので、より小さいサイズの圧着端子Tを端子部32に接続できる。即ち、より小さいサイズの電線Cをねじ端子台12に接続できる。
また、第1切り欠き部60の幅が開口側と反対の側に向かうに従って狭くなるように形成されているので、端子ねじ42を締結する際に角座金40が端子ねじ42の中心軸回りにずれていても、圧着端子Tの固定が容易となる。
さらに、角座金40の角部に折り曲げ部66が形成されているので、電線Cの芯線Csを端子部32に直接接続する場合(図10参照)には、芯線Csと角座金40との接触面積(ケーブルを保持する力)を確保できる。
【0019】
〔第2の実施の形態〕
続いて、本発明の第2の実施の形態に係るインバータについて説明する。第1の実施の形態に係るインバータ10と同一の構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0020】
本実施の形態に係るインバータに設けられたねじ端子台の角座金40aの縁には、図11に示すように、圧着端子T又は圧着端子Tにより圧着された芯線Csとの干渉を回避するための第1の切り欠き部61が1つの縁だけに形成されている。
また、第1の切り欠き部61とは反対の側の縁には、第1の切り欠き部61の開口方向を定める第2の切り欠き部62が形成されている。ねじ端子台12のハウジング30には、この第2の切り欠き部62に対応する突起(不図示)が設けられている。
この第2の切り欠き部62は、縁に沿う開口幅(縁に沿う方向の長さ)W2が、第2の切り欠き部62の深さ(縁に沿う方向と交差する方向の長さ)D2よりも広くなるように形成されている。また、第2の切り欠き部62の開口幅W2は、その幅が開口側と反対の側に向かうに従って狭くなるように形成されている。
なお、第1の切り欠き部61及び第2の切り欠き部62が形成された縁とは異なる縁には、切り欠き部は形成されていない。
【0021】
従って、本実施の形態によれば、圧着端子T又は圧着端子Tにより圧着された芯線Csとの干渉を回避するための第1の切り欠き部61が形成されているので、より小さいサイズの圧着端子Tを端子部32に接続できる。即ち、より小さいサイズの電線Cをねじ端子台12に接続できる。
また、第1の切り欠き部61の幅が開口側と反対の側に向かうに従って狭くなるように形成されているので、端子ねじ42を締結する際に角座金40aが端子ねじ42の中心軸回りにずれていても、圧着端子Tの固定が容易となる。
また、第2の切り欠き部62をハウジング30に形成された突起に嵌合させて、角座金40aの位置を合わせると、第1の切り欠き部61の開口方向が定まるので、組み立て作業上のミスの発生が抑えられる。
さらに、電線Cの芯線Csを角座金40aと端子金具38との間にて挟みこむ場合には、図10及び図12を対比すると明らかなように、角座金40aの芯線Csに接する部分に切り欠き部が形成されていないので、芯線Csと角座金40aとの接触面積(ケーブルを保持する力)をより大きく確保できる(図12参照)。
【0022】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能である。例えば、前述の実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて発明を構成する場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0023】
圧着端子Tは、前述の実施の形態に限定されるものではない。圧着端子Tは、例えば、裸圧着端子及び絶縁被覆付圧着端子等、任意の種類の圧着端子が適用可能である。
圧着端子Tの接続部の形状は、丸型に限定されるものではない。圧着端子の接続部の形状は、例えば、先開形であっても良い。
電気機器はインバータに限定されるものではない。電気機器の他の例として、制御装置や計測器等が挙げられる。
【符号の説明】
【0024】
10:インバータ、12:ねじ端子台、22:圧着部、24:接続部、30:ハウジング、32:端子部、38:端子金具、40、40a:角座金、42:端子ねじ、44:リード部、52:ヒートシンク、54:基板、60:切り欠き部、61:第1の切り欠き部、62:第2の切り欠き部、64:突起部、66:折り曲げ部、T:圧着端子、C:電線、Cs:芯線
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ端子台、ねじ端子台用角座金、電動機制御装置及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気機器の端子装置が記載されている。この端子装置は、端子ねじと、端子ねじの首部に装着される電線押え金具を有している。この電線押え金具の4辺のほぼ中央部には、それぞれ切り欠きが設けられている。端子装置には、この切り欠きと対応する案内リブが設けられている。
この端子装置によれば、端子ねじの転倒が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−44045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、より小さいサイズの電線を接続することが可能なねじ端子台、ねじ端子台用角座金、電動機制御装置及び電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る電動機制御装置は、電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成された角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備える。
【0006】
前記目的に沿う第2の発明に係る電動機制御装置は、電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための第1の切り欠き部が1つの縁だけに形成されるとともに、該第1の切り欠き部とは反対の側の縁に前記第1の切り欠き部の開口方向を定める第2の切り欠き部が形成された角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備える。
【0007】
前記目的に沿う第3の発明に係るねじ端子台は、電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成された角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを備える。
【0008】
前記目的に沿う第4の発明に係るねじ端子台用角座金は、圧着端子又は該圧着端子により圧着された電線の芯線との干渉を回避するための切り欠き部が縁に形成されている。
【0009】
前記目的に沿う第5の発明に係る電気機器は、電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成された角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、より小さいサイズの電線を接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るインバータの内部構造図である。
【図2】同インバータが有するねじ端子台の斜視図である。
【図3A】同インバータが有するねじ端子台の平面図である。
【図3B】同インバータが有するねじ端子台の正面図である。
【図3C】同インバータが有するねじ端子台の側面図である。
【図4】図3AのA−A断面を示す斜視図である。
【図5】リード部につながる端子金具の斜視図である。
【図6】同インバータが有するねじ端子台の角座金の斜視図である。
【図7A】同インバータが有するねじ端子台の角座金の平面図である。
【図7B】同インバータが有するねじ端子台の角座金の側面図である。
【図8】同インバータが有するねじ端子台の角座金が、圧着端子を固定する様子を示す斜視図である。
【図9】同インバータが有するねじ端子台の角座金が、圧着端子を固定する様子を示す平面図である。
【図10】同インバータが有するねじ端子台の角座金が、電線の芯線を固定する様子を示す平面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るインバータが有するねじ端子台の角座金が、圧着端子を固定する様子を示す平面図である。
【図12】同インバータが有するねじ端子台の角座金が、電線の芯線を固定する様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、各図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態に係るインバータ(電動機制御装置及び電子機器の一例)10は、図示しないモータを制御することができる。このインバータ10は、軽負荷定格又は重負荷定格が選択できる2重定格を有している。従って、駆動するモータ容量に応じて、インバータ10には複数のサイズの電線が接続される可能性がある。
インバータ10は、図1に示すように、外部端子として、多極のねじ端子台12を有している。
【0014】
インバータ10に接続される電流供給用の電線や、信号伝達用の電線の末端には、圧着端子T(図2、図9参照)が組み付けられる。圧着端子Tは、電線Cの芯線Cs(図9参照)に圧着される圧着部22と、圧着部22の先端側にねじ端子台12に接続される接続部24とを有している。電線Cは、圧着端子Tの圧着部22から芯線Csが先端側に例えば1mm程度出た状態で圧着される(図9参照)。
電線Cは、この圧着端子Tの接続部24がねじ端子台12に接続されることにより、インバータ10に電気的に接続される。なお、圧着端子Tではなく、電線Cの芯線Csが直接ねじ端子台12に接続される場合もある。
【0015】
ねじ端子台12は、図2、図3A〜図3C及び図4に示すように、ハウジング30に納められた複数の端子部32を有している。各端子部32は、端子金具38と、角座金(ねじ端子台用角座金)40と、端子ねじ42とを有している。
端子金具38は、電線Cの末端の圧着端子Tの接続部24が接続される。端子金具38は、ねじ端子台12から突出するリード部44に電気的につながっている(図5参照)。リード部44は、図1に示すヒートシンク52に固定された基板54に電気的に接続される。
角座金40は、平面視して矩形状の部材である。角座金40は、圧着端子Tの接続部24又は電線Cの芯線Csに接触する。
端子ねじ42は、圧着端子Tの接続部24又は電線Cの芯線Csを角座金40と端子金具38との間にて挟み込み、固定することができる。端子ねじ42は、端子ねじ42の首部に角座金40を保持することができる。
【0016】
次に、角座金40について詳細に説明する。
図6に示すように、角座金40の各縁の中央部には、圧着端子Tの圧着部22又は圧着部22により圧着された芯線Csとの干渉を回避するための切り欠き部60が形成されている。なお、切り欠き部60は少なくとも1つの縁に形成されていれば良い。
同図6及び図7Aに示すように、この切り欠き部60は、縁に沿う開口幅(縁に沿う第1の方向の長さ)W1が、切り欠き部60の深さ(第1の方向と交差する第2の方向の長さ)D1よりも広くなるように形成されている。また、切り欠き部60は、その幅が開口側と反対の側(端子ねじ42の側)に向かうに従って狭くなるように形成されている。
別の観点から説明すると、この切り欠き部60は、端子ねじ42の軸方向から見て(平面視して)台形状である。切り欠き部60の縁に沿う部分が下底に相当し、端子ねじ42の側の辺が上底に相当する。
また、各切り欠き部60よりも内側の中央部には、端子金具38の側に突出する突起部64が形成されている(図6参照)。
【0017】
一方、図6及び図7Bに示すように、角座金40の角部には、それぞれ、切り欠き部60を除いた縁の中央部から、端子金具38の方向に折り曲げられた折り曲げ部66が形成されている。この折り曲げ部66の端子金具38の側の面(圧着端子Tの接続部24又は電線Cの芯線Csに接する側の面)は、例えば平面である。折り曲げ部66の端子金具38の側の面は、端子部32に接続される芯線Csの表面に沿う曲面としても良い。即ち、折り曲げ部66は、折り曲げ部66が形成されていない場合よりも、端子部32に接続された芯線Csとの接触面積を増大させることができれば良い。
【0018】
従って、本実施の形態によれば、図8及び図9に示すように、圧着端子T又は圧着端子Tにより圧着された芯線Csとの干渉を回避するための切り欠き部60が形成されているので、より小さいサイズの圧着端子Tを端子部32に接続できる。即ち、より小さいサイズの電線Cをねじ端子台12に接続できる。
また、第1切り欠き部60の幅が開口側と反対の側に向かうに従って狭くなるように形成されているので、端子ねじ42を締結する際に角座金40が端子ねじ42の中心軸回りにずれていても、圧着端子Tの固定が容易となる。
さらに、角座金40の角部に折り曲げ部66が形成されているので、電線Cの芯線Csを端子部32に直接接続する場合(図10参照)には、芯線Csと角座金40との接触面積(ケーブルを保持する力)を確保できる。
【0019】
〔第2の実施の形態〕
続いて、本発明の第2の実施の形態に係るインバータについて説明する。第1の実施の形態に係るインバータ10と同一の構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0020】
本実施の形態に係るインバータに設けられたねじ端子台の角座金40aの縁には、図11に示すように、圧着端子T又は圧着端子Tにより圧着された芯線Csとの干渉を回避するための第1の切り欠き部61が1つの縁だけに形成されている。
また、第1の切り欠き部61とは反対の側の縁には、第1の切り欠き部61の開口方向を定める第2の切り欠き部62が形成されている。ねじ端子台12のハウジング30には、この第2の切り欠き部62に対応する突起(不図示)が設けられている。
この第2の切り欠き部62は、縁に沿う開口幅(縁に沿う方向の長さ)W2が、第2の切り欠き部62の深さ(縁に沿う方向と交差する方向の長さ)D2よりも広くなるように形成されている。また、第2の切り欠き部62の開口幅W2は、その幅が開口側と反対の側に向かうに従って狭くなるように形成されている。
なお、第1の切り欠き部61及び第2の切り欠き部62が形成された縁とは異なる縁には、切り欠き部は形成されていない。
【0021】
従って、本実施の形態によれば、圧着端子T又は圧着端子Tにより圧着された芯線Csとの干渉を回避するための第1の切り欠き部61が形成されているので、より小さいサイズの圧着端子Tを端子部32に接続できる。即ち、より小さいサイズの電線Cをねじ端子台12に接続できる。
また、第1の切り欠き部61の幅が開口側と反対の側に向かうに従って狭くなるように形成されているので、端子ねじ42を締結する際に角座金40aが端子ねじ42の中心軸回りにずれていても、圧着端子Tの固定が容易となる。
また、第2の切り欠き部62をハウジング30に形成された突起に嵌合させて、角座金40aの位置を合わせると、第1の切り欠き部61の開口方向が定まるので、組み立て作業上のミスの発生が抑えられる。
さらに、電線Cの芯線Csを角座金40aと端子金具38との間にて挟みこむ場合には、図10及び図12を対比すると明らかなように、角座金40aの芯線Csに接する部分に切り欠き部が形成されていないので、芯線Csと角座金40aとの接触面積(ケーブルを保持する力)をより大きく確保できる(図12参照)。
【0022】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能である。例えば、前述の実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて発明を構成する場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0023】
圧着端子Tは、前述の実施の形態に限定されるものではない。圧着端子Tは、例えば、裸圧着端子及び絶縁被覆付圧着端子等、任意の種類の圧着端子が適用可能である。
圧着端子Tの接続部の形状は、丸型に限定されるものではない。圧着端子の接続部の形状は、例えば、先開形であっても良い。
電気機器はインバータに限定されるものではない。電気機器の他の例として、制御装置や計測器等が挙げられる。
【符号の説明】
【0024】
10:インバータ、12:ねじ端子台、22:圧着部、24:接続部、30:ハウジング、32:端子部、38:端子金具、40、40a:角座金、42:端子ねじ、44:リード部、52:ヒートシンク、54:基板、60:切り欠き部、61:第1の切り欠き部、62:第2の切り欠き部、64:突起部、66:折り曲げ部、T:圧着端子、C:電線、Cs:芯線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成されている角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備えた電動機制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電動機制御装置において、前記切り欠き部の開口幅が該切り欠き部の深さよりも長い電動機制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の電動機制御装置において、前記切り欠き部の形状は、前記縁に沿う第1の方向の長さが、該第1の方向と交差する第2の方向の長さよりも大きくなっている電動機制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の電動機制御装置において、前記切り欠き部の幅が、開口側と反対の側に向かうに従って狭くなっている電動機制御装置。
【請求項5】
請求項1記載の電動機制御装置において、前記切り欠き部の形状が、平面視して台形状となっている電動機制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動機制御装置において、2重定格にて動作する電動機制御装置。
【請求項7】
電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための第1の切り欠き部が1つの縁だけに形成されるとともに、該第1の切り欠き部とは反対の側の縁に前記第1の切り欠き部の開口方向を定める第2の切り欠き部が形成されている角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備えた電動機制御装置。
【請求項8】
電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成されている角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを備えたねじ端子台。
【請求項9】
圧着端子又は該圧着端子により圧着された電線の芯線との干渉を回避するための切り欠き部が縁に形成されているねじ端子台用角座金。
【請求項10】
電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成されている角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備えた電気機器。
【請求項1】
電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成されている角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備えた電動機制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電動機制御装置において、前記切り欠き部の開口幅が該切り欠き部の深さよりも長い電動機制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の電動機制御装置において、前記切り欠き部の形状は、前記縁に沿う第1の方向の長さが、該第1の方向と交差する第2の方向の長さよりも大きくなっている電動機制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の電動機制御装置において、前記切り欠き部の幅が、開口側と反対の側に向かうに従って狭くなっている電動機制御装置。
【請求項5】
請求項1記載の電動機制御装置において、前記切り欠き部の形状が、平面視して台形状となっている電動機制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動機制御装置において、2重定格にて動作する電動機制御装置。
【請求項7】
電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための第1の切り欠き部が1つの縁だけに形成されるとともに、該第1の切り欠き部とは反対の側の縁に前記第1の切り欠き部の開口方向を定める第2の切り欠き部が形成されている角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備えた電動機制御装置。
【請求項8】
電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成されている角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを備えたねじ端子台。
【請求項9】
圧着端子又は該圧着端子により圧着された電線の芯線との干渉を回避するための切り欠き部が縁に形成されているねじ端子台用角座金。
【請求項10】
電線の芯線に圧着された圧着部を有する圧着端子が接続される端子金具と、
前記圧着端子又は該圧着端子により圧着された前記芯線との干渉を回避するための切り欠き部が少なくとも1つの縁に形成されている角座金と、
前記角座金と前記端子金具との間にて前記圧着端子を固定する端子ねじとを有するねじ端子台を備えた電気機器。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−26000(P2013−26000A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159167(P2011−159167)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【特許番号】特許第4911257号(P4911257)
【特許公報発行日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【特許番号】特許第4911257号(P4911257)
【特許公報発行日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】
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