説明

ねじ部品締結装置

【課題】高速、かつ高精度にねじ部品を締め付けることが可能なねじ部品締結装置を提供する。
【解決手段】ねじ部品締結装置1は、ドライバビットが連結される出力軸11と、モータ3に連結して高速低トルク駆動を出力軸へ伝達する高速低トルク駆動伝達系と、減速機12を介して低速高トルク駆動を出力軸へ伝達する低速高トルク駆動伝達系と、仮締め工程では高速低トルク駆動伝達系により回転駆動を出力軸11へ伝達する一方、本締め工程では低速高トルク駆動伝達系により回転駆動を出力軸へ伝達するようこれら伝達系を切り替えるクラッチ手段8,14と、仮締め工程においてねじ部品が着座する直前に出力軸11の回転速度を所定の回転速度に減速するようモータ3を駆動制御する制御ユニット18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ部品を高速低トルクで仮締めした後、低速高トルクで本締めするねじ部品締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上記技術分野に属するねじ締め機としては、特許文献1あるいは特許文献2に示すものがある。このねじ締め機は、高速低トルク駆動伝達系および低速高トルク駆動伝達系の2系統で構成されている。そして、ねじ部品の座面がワークに着座するまでの仮締め工程では高速低トルク駆動伝達系が駆動する一方、着座したねじ部品を目標のトルクで締め付けるまでの本締め工程では低速高トルク駆動伝達系が駆動する。このように、ねじ部品の着座前後で駆動系を切り替えることにより、高速ねじ締めを実現するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−006560号公報
【特許文献2】特開2008−114303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ねじ締め機では、仮締め工程において高速回転状態でねじ部品の座面が被締結物に着座するため、この際に生じる衝撃トルクが高くなる。これでは、仮締め工程において、すでにねじ部品が目標の締め付けトルク間近まで締め付けられてしまう。こうなると、本締め工程において、目標の締め付けトルクでねじ部品の締め付けを完了すべく、正確なトルク管理を実現することができなかった。
【0005】
本発明のねじ部品締結装置は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、高速、かつ高精度にねじ部品の締め付けを完了することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明のねじ部品締結装置は、ねじ部品の頭部に係合するドライバビットが連結される出力軸と、回転駆動源に連結して高速低トルク駆動を出力軸へ伝達する高速低トルク駆動伝達系と、回転駆動源に減速手段を介して連結して低速高トルク駆動を出力軸へ伝達する低速高トルク駆動伝達系と、ねじ部品のねじ込み開始から着座までの仮締め工程では高速低トルク駆動伝達系により回転駆動を出力軸へ伝達する一方、ねじ部品の着座からねじ込み完了までの本締め工程では低速高トルク駆動伝達系により回転駆動を出力軸へ伝達するようこれら伝達系を切り替えるクラッチ手段と、仮締め工程においてねじ部品が着座する直前に出力軸の回転速度を所定の回転速度に減速するよう回転駆動源を制御する制御ユニットとを備える。
【0007】
また、前記制御ユニットが、本締め工程において出力軸の回転速度を段階的あるいは無段階的に減速するよう回転駆動源を制御することが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のねじ部品締結装置によれば、ねじ部品の着座直前に制御ユニットが回転駆動源を制御して出力軸の回転速度を減速するので、ねじ部品の座面が被締結物に着座した際に生じる衝撃トルクを低く抑えることができる。そのため、仮締め工程で、すでにねじ部品が目標の締め付けトルク近くまで締め付けられてしまうおそれがなくなる。したがって、本締め工程において正確なトルク管理を実現できるので、目標の締め付けトルクで確実にねじ部品の締め付けを完了することができる。
【0009】
また、本締め工程では、制御ユニットが、出力軸の回転速度を段階的あるいは無段階的に減速する。そのため、本締め工程前段では、高速ねじ締め付けによってねじ締め時間を短縮できるとともに、本締め工程後段では、低速ねじ締め付けによって目標の締め付けトルクで確実にねじ締めを完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のねじ部品締結装置を示す断面図である。
【図2】本発明のねじ部品締結装置の高速低トルク駆動伝達系に薄塗りを施した図である。
【図3】本発明のねじ部品締結装置の低速高トルク駆動伝達系に薄塗りを施した図である。
【図4】本発明のねじ部品締結装置の駆動制御を示すグラフである。
【図5】出力軸の回転数と衝撃トルクの大きさを減速比別に比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1において、1はねじ、ボルト、ナットなどのねじ部品を締結または緩めるためのねじ部品締結装置であり、ケース2に取付けられた回転駆動源の一例であるACサーボモータ3(以下、単にモータ3という)を有している。このモータ3にはレゾルバ3bが組み付けられており、当該モータ3の駆動軸3aの回転角を検出可能に構成されている。
【0012】
前記モータ3の駆動軸3aには主動歯付きプーリ4(以下、単に主動プーリ4という)が一体に回転可能に連結されている。このモータ3の横位置には、駆動軸3aと軸線平行方向に延びて中空円筒状の第1入力軸5が回転可能に支持して設けられており、この第1入力軸5には、その上部に従動歯付きプーリ6(以下、単に従動プーリ6という)が一体に連結されている。この従動プーリ6と前記主動プーリ4とには、無端の歯付きベルト7が巻回されて噛合しており、モータ3の駆動を第1入力軸5に伝達できるよう構成されている。また、従動プーリ6の上部には、クラッチ手段の一例として電磁クラッチ8が設けられており、この電磁クラッチ8には前記第1入力軸5を挿通し、かつ第1入力軸5に対して回転可能に設けられた中実の第2入力軸9が連結されている。前記主動プーリ4と従動プーリ6との歯数が異なり、減速比は1/2.4である。これは、出力トルクの低いモータであっても十分なトルクを得るべく予備的に設定されたものであり、同一の歯数にして増減速しない構成でも何ら問題ない。
【0013】
前記電磁クラッチ8は、従動プーリ6に一体に回転可能に連結された入力部81と、第2入力軸9に一体に回転可能に連結された出力部82と、コイル部83とを有している。コイル部83は通電により電磁石となり、これにより出力軸82に入力部81を磁力結合させることが可能に構成されている。常時は、コイル部83に通電がなされず、入力部81と出力部82とが分離して第2入力軸9にモータの駆動を伝達できない状態にあるが、コイル部83に通電されて入力部81と出力部82とが結合すると、第2入力軸9にモータ3の駆動を伝達可能な状態となる。
【0014】
前記第2入力軸9は、第1入力軸5内を挿通して延び、その先端には出力軸11が連結されている。この出力軸11は、第2入力軸9に連結された伝達軸部111と、この伝達軸部111先端のスプライン穴部111aにスプライン軸部112aを挿入・噛合させることによって伝達軸部111と一体に回転可能に連結された本体軸部112とから構成されている。この出力軸11の本体軸部112先端には、ねじ部品の頭部に係合してこれに回転伝達を行うためのドライバビット、ソケット等のねじ締め工具(図示せず)が直接又は各種継ぎ手を介して連結されている。
【0015】
また、前記第1入力軸5の先端は、減速機12に連結されている。この減速機12は、一般にハーモニックドライブ(登録商標)として知られるものであり、第1入力軸5は、これらのウェーブジェネレータ121に連結されている。この減速機12は、サーキュラスプライン122を本ねじ部品締結装置1のケース2に固定し、ウェーブジェネレータ121によって入力された回転をフレクスプライン123により減速・逆転させて出力する、いわゆるハーモニックドライブ(登録商標)減速機としての一般的な使用構造を採用している。その減速比は、1/30である。
【0016】
前記減速機12のフレクスプライン123は、ケース2内に回転可能に配置されたカップリング13に連結されている。このカップリング13は、クラッチ手段の一例であるツースクラッチ14に連結されている。このツースクラッチ14は、前記カップリング13に一体に回転可能に連結された入力部141と、前記出力軸11の伝達軸111に一体に回転可能に連結された出力部142と、この出力部142と入力部141とを常時分離するように付勢する付勢手段(図示せず)と、ケース2に固定されたコイル部143とを有して成る電磁クラッチである。入力部141と出力部142とは、互いの対向面を環状の円盤面に成し、その周縁部に歯部141a,142aが形成された構成であり、前記コイル部143への通電で発生する電磁力により歯部141a,142aを噛合させて結合するように構成されている。このツースクラッチ14は、常時、コイル部143に通電がなされずに入力部141と出力部142とが分離しており、出力軸11に減速機12の出力回転を伝達不可能な状態となっているが、コイル部143に通電されて入力部141と出力部142とが結合すると、出力軸11に減速機12の出力回転を伝達可能な状態となる。
【0017】
前記ケース2の下部には中空円筒状の起歪体15が一体に連結されている。この起歪体15には、ブリッジ接続された歪みゲージ16が貼付されており、出力軸11に作用する回転負荷に応じて歪む起歪体15の歪み量に応じた電気信号をアナログ信号として検出するよう構成されている。これら起歪管15および歪みゲージ16によってトルク検出手段が構成されている。また、歪みゲージ16のリード線16aは回路基板16bに接続されおり、この回路基板16b上でアナログ信号がデジタル変換されてトルク検出部18fに出力されるよう構成されている。そして、このトルク検出部18fが内蔵のCPUで当該デジタル信号を受信して演算処理することにより、出力軸11に作用する回転負荷トルクを電気的に算出するよう構成されている。
【0018】
また、前記起歪体15の下部には、ねじ締めロボットのアーム(図示せず)や機台(図示せず)等に固定可能な取付フランジ17が一体に固定されている。
【0019】
18は制御ユニットであり、制御部18aと、この制御部18aからの指令を受けて前記モータ3を駆動制御するモータ駆動部18cと、前記レゾルバ3bに励磁電圧を印加しするとともに、その出力電圧から回転角度を割り出すレゾルバ駆動部18dと、制御部18aからの指令を受けて前記電磁クラッチ8を通電制御するクラッチ制御部18bと、同じく制御部18aからの指令を受けて前記ツースクラッチ14を通電制御するクラッチ制御部18eと、モータ3の駆動制御に必要な各種プログラム・パラメータ等を記憶した記憶部18iと、各種情報の入力を行う操作部18gと、各種情報を表示する表示部18hとを備えて成る。
【0020】
本ねじ部品締結装置1は、ねじ込み開始から着座までねじ部品を高速・低トルクで締め付ける仮締め工程、着座したねじ部品を締め付け完了まで低速・高トルクで締め付ける本締め工程を行う。
【0021】
仮締め工程では、制御ユニット18は各クラッチ制御部18b、18eを通電制御して電磁クラッチ8をON、ツースクラッチ14をOFFに設定する。これにより、駆動系が高速低トルク駆動伝達系に切り替えられる。この高速低トルク駆動伝達系は、図2に薄塗りを施した部位であり、主動プーリ4と、従動プーリ6と、電磁クラッチ8と、第2入力軸9と、出力軸11とから成る。この順でモータ3の回転駆動が減速機12を介することなく出力軸11へ伝達される。なお、仮締め工程では、従動プーリ6の回転に伴い、第1入力軸5およびこれに連結された減速機12も回転するが、前記ツースクラッチ14がOFFの状態では、回転駆動が出力軸11へ伝達されないように構成されている。
【0022】
一方、本締め工程では、制御ユニット18は前記電磁クラッチ8をOFF、ツースクラッチ14をONに通電制御する。これにより、駆動系が高速低トルク駆動伝達系から低速高トルク駆動伝達系へ切り替えられる。この低速高トルク駆動伝達系は、図3に薄塗りを施した部位であり、主動プーリ4と、従動プーリ6と、第1入力軸5と、減速機12と、カップリング13と、ツースクラッチ14と、出力軸11とから成り、この順でモータ3の回転駆動が減速機12を介して出力軸11へ伝達される。
【0023】
ところで、前記減速機12の一例であるハーモニックドライブは、前述のとおり、入力・出力が逆回転となる。したがって、低速高トルク駆動伝達系による本締め工程では、制御ユニット18がモータ3を逆転駆動させることにより、出力軸11が正転方向に回転するように構成されている。
【0024】
図4は、本ねじ部品締結装置1の制御ユニット18による駆動制御を示すものであり、仮締め工程および本締め工程における出力軸11の回転数およびトルクを示すグラフである。なお、ねじ込み開始から着座までは仮締め工程、着座から締め付け完了までは本締め工程を示す。
【0025】
仮締め工程では、ねじ込み開始時、制御ユニット18は、出力軸11が最高回転数の2000rpmで回転するようモータ3を駆動制御する。そして、ねじ部品が所定の巻数までねじ込まれると、出力軸11の回転速度を所定の回転速度に減速するようモータ3を制御する。
【0026】
具体的には、制御ユニット18の記憶部18iには、ねじ部品の巻数が予め設定されている。そして、レゾルバ駆動部18dで回転軸11の回転角を監視し、ねじ込み開始から着座までに要する巻数から2巻分を減じた位置、すなわち着座直前までねじ部品がねじ込まれると、出力軸11の回転数を減じるようモータ3を駆動制御する。減速時の出力軸11の回転数は400rpmに設定されている。
【0027】
続いて、仮締め工程において400rpmに減速後、残りの2巻分ねじ部品がねじ込まれて着座すると、衝撃トルクが生じる。この衝撃トルクを前記トルク検出手段が検出すると、制御ユニット18は各クラッチ制御部18b、18eを通電制御して電磁クラッチ8をOFF、ツースクラッチ14をONに設定するとともに、前記ハーモニックドライブの特性上、モータ3を逆転駆動させる。これにより、駆動系が低速高トルク駆動伝達系に切り替えられ、本締め工程に移行する。
【0028】
本締め工程では、制御ユニット18の記憶部18iには出力軸11に作用する回転負荷トルクに対応する閾値が設定されている。この閾値は、大小2個設定されており、回転負荷トルク値の低い第1閾値は目標の締め付けトルクの25%程度に設定する一方、回転負荷トルク値の高い第2閾値は目標の締め付けトルクの75%程度に設定する。そして、回転負荷トルクがこれら閾値に到達する毎に、制御ユニット18は出力軸11の回転速度を減じるようモータ3を駆動制御する。
【0029】
例えば、目標の締め付けトルクを15N・mに設定した場合、第1閾値は目標の締め付けトルクの25%に相当する3.75N・m、第2閾値は目標の締め付けトルクの75%に相当する11.25N・mに設定される。また、出力軸11の回転数は、着座から第1閾値までは30rpm、第1閾値から第2閾値までは15rpm、第2閾値から目標の締め付けトルクまでは3rpmに設定されている。
【0030】
ここで、図5は、出力軸11の回転数と、衝撃トルクの大きさとの関係を、減速比別に比較したグラフである。実線は、歯数の異なる前記プーリ4,6により減速比1/2.4に設定した本発明のねじ部品締結装置1を示し、破線は、減速比1/10の減速機を介して駆動伝達するよう構成された比較用のねじ部品締結装置を示す。
【0031】
図5に示すグラフによれば、本発明のねじ部品締結装置1では、出力軸11の回転数が400rpmでは、3.2N・mの衝撃トルクが発生する。これに対して、出力軸11の回転数が2000rpmでは、17N・mの衝撃トルクが発生する。すなわち、出力軸11の回転数を400rpmに減速することなく2000rpmのままでねじ部品が着座すると、衝撃トルクが目標の締め付けトルク15N・mを超えてしまうため、過剰締め付けとなる。
【0032】
一方、比較用のねじ部品締結装置では、出力軸の回転数を本発明のねじ部品締結装置1と同じく400rpmに減速したところで、減速による高トルク駆動によって、13N・mもの衝撃トルクが生じてしまう。ここで、本発明のねじ部品締結装置1と同じく衝撃トルクを3.2N・mに低減しようとすれば、出力軸の回転数を100rpmまで減速しなければならない。これでは、高速ねじ締めを実現できない。
【0033】
そこで、本発明のねじ部品締結装置1によれば、ねじ部品の着座直前に出力軸11の回転数を減じるので、過大な衝撃トルクが発生しない。そのため、衝撃トルクによってねじ部品が締め付けトルクまで締め付けられることもなくなる。したがって、過剰締め付けを防止でき、目標のトルクでねじ部品の締め付けを完了できる。しかも、仮締め工程で駆動する高速低トルク駆動伝達系が減速機を介さない構成によっても、衝撃トルクを低く抑えることができる。したがって、比較用のねじ部品締結装置と比較して、減速時であっても出力軸11の回転数を400rpmとして高く設定することが可能となり、高速ねじ締めを実現できる。
【0034】
また、衝撃トルクの低減により、仮締め工程で既に、ねじ部品がねじ締め完了トルク間近まで締め付けられなることもなくなる。そのため、ねじ部品の座面と、被締結物との摩擦に関し、図4に示すように、静摩擦μから動摩擦μ’への移行ポイントPが本締め工程前段になる。したがって、静摩擦から動摩擦への移行の際に生じる慣性モーメントによる過剰締め付けも防止できる。
【0035】
さらに、本発明のねじ部品締結装置1は、本締め工程では出力軸11の回転速度を段階的に減速する。望ましくは、前述のとおり、大小2個以上の閾値を設定し、この閾値に回転負荷トルクが到達する毎に減速する。すなわち、閾値を2個設定した場合には、高速、中速、低速の三段階による減速制御とする。これに対して、高速から低速への二段階による減速制御では、減速時の慣性モーメントによって過剰締め付けとなる虞がある。そこで、三段階による減速制御では、中速段階を介することによって、減速時の慣性モーメントによる過剰締め付けも防止でき、益々高速、かつ高精度のねじ締め付けが可能となる。
【0036】
なお、本発明のねじ部品締結装置1においては、本締め工程では出力軸11の回転速度を段階的に減速するのみならず、無段階的に減速してもよい。つまり、出力軸11の回転速度を徐々に減速するようモータ3を駆動制御してもよい。
【0037】
また、本発明のねじ部品締結装置1においては、ねじ締め完了時に、ドライバビットとねじ頭部との食い付きを解除すべく、ねじ部品を緩め方向に出力軸を逆回転させることも可能である。ただし、緩めを実現するには、上記特許文献2(特開2008−114303号公報)に開示されたねじ部品締結機のように、高速低トルク駆動伝達系から低速高トルク駆動伝達系へを切り替えるためのクラッチ手段として一方向クラッチを用いてはならない。一方向クラッチでは、出力軸11を締め付け方向にしか回転させることができないからである。そこで、クラッチ手段として、例えば電磁クラッチ8あるいはツースクラッチ14を用いれば、低速高トルク駆動伝達系において出力軸11は正逆双方向に回転可能となり、締め付け、緩めの両方を実現できる。
【0038】
1 ねじ部品締結装置
2 ケース
3 モータ
3a 駆動軸
4 主動プーリ
5 第1入力軸
6 従動プーリ
7 歯付きベルト
8 電磁クラッチ
9 第2入力軸
11 出力軸
12 減速機
13 カップリング
14 ツースクラッチ
15 起歪体
16 歪みゲージ
17 取付フランジ
18 制御ユニット
18a 制御部
18b クラッチ制御部
18c モータ駆動部
18d レゾルバ駆動部
18e クラッチ制御部
18f トルク検出部
18g 操作部
18h 表示部
18i 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ部品の頭部に係合するドライバビットが連結される出力軸と、
回転駆動源に連結して高速低トルク駆動を出力軸へ伝達する高速低トルク駆動伝達系と、
回転駆動源に減速手段を介して連結して低速高トルク駆動を出力軸へ伝達する低速高トルク駆動伝達系と、
ねじ部品のねじ込み開始から着座までの仮締め工程では高速低トルク駆動伝達系により回転駆動を出力軸へ伝達する一方、ねじ部品の着座からねじ込み完了までの本締め工程では低速高トルク駆動伝達系により回転駆動を出力軸へ伝達するようこれら伝達系を切り替えるクラッチ手段と、
仮締め工程においてねじ部品が着座する直前に出力軸の回転速度を所定の回転速度に減速するよう回転駆動源を制御する制御ユニットと
を備えることを特徴とするねじ部品締結装置。
【請求項2】
前記制御ユニットが、本締め工程において出力軸の回転速度を段階的あるいは無段階的に減速するよう回転駆動源を制御することを特徴とする請求項1に記載のねじ部品締結装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−121126(P2012−121126A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276240(P2010−276240)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【Fターム(参考)】