説明

はんだ付けリフロー装置

【課題】搬送キャリアを用いて異なる幅を有するプリント配線板のはんだ付けを行う際に、搬送キャリアにプリント配線板を載置し、連続してはんだ付け作業ができるはんだ付けリフロー装置を提供する。
【解決手段】基板をはんだ付けリフロー炉1に搬送し搬出する第1の搬送路と、搬送キャリアに基板を載置し第1の搬送路に該搬送キャリアを搬入する搬入装置21と、搬送キャリアから基板を搬出して次工程の搬送路に搬出する搬出装置22と、搬入装置21に設置された搬送キャリアの基板の載置幅を調整する搬送キャリア幅寸法調整装置23と、基板のICタグから情報を読み取るタグリーダと、タグリーダが読み込んだ基板の幅情報に基づいて、搬送キャリア幅寸法調整装置23に幅寸法の調整を指令する制御装置25と、搬送キャリアを搬送する第2の搬送路に設置され、搬送キャリアを所定温度まで冷却する冷却装置24と、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送キャリアを用いて異なる幅を有するプリント配線板のはんだ付けを行う際に、搬送キャリアにプリント配線板を載置し、連続してはんだ付け作業ができるはんだ付けリフロー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器組立生産ラインで使用しているはんだ付けリフロー装置は、電極にはんだペーストを塗布し、そのはんだペースト上に電子部品を搭載したプリント配線板を、全体加熱によってはんだペーストを溶融しはんだ付けするために、チェーンコンベアによりプリント配線板の端を支持しながら一定のスピードで搬送し、はんだ付けを行う装置である。
【0003】
前記はんだ付けリフロー装置を用いたはんだ付けプロセスにおいては、プリント配線板の均一な全体加熱が必要となるため、はんだ付けリフロー装置炉内上下面からの熱風または赤外線あるいはそれらの混合によって加熱する。このことからも、チェーンコンベアによりプリント配線板の端を支持する搬送方式が一般的に採用されている。
【0004】
また、従来のはんだ付けリフロー装置は加熱方式の制約から、前記のとおり、チェーンコンベアによりプリント配線板の端を支持する方式が搬送方法として採用されているが、本搬送方法には外形寸法の異なるプリント配線板を混流した場合に、はんだ付けリフロー装置のコンベア幅寸法を毎回変更しなくてはならないという問題点がある。
【0005】
はんだ付けリフロー装置のコンベア幅寸法の変更は、はんだ付けリフロー装置に自動で変更する機能がついている場合が多く、数十秒で完了する場合が殆どである。しかし、実際に幅寸法の変更をする際は、幅寸法の変更を要するプリント配線板の直前に生産した外形寸法の異なるプリント配線板がはんだ付けリフロー装置から排出されたことを確認できてからしか幅寸法が変更できないため、結局、プリント配線板のはんだ付け時間(通常は8〜9分程度)とはんだ付けリフロー装置が幅寸法変更する時間の合計となる10分程度の時間の間隔をあける必要がある。
【0006】
一方、コンベア上にパレット(搬送キャリア)を配置し、搬送キャリアをはんだ付けリフロー装置出口から入口に戻す機構として、昇降装置で設備下面へ搬送し、はんだ付けリフロー装置下面の戻り搬送装置により入口まで戻し、昇降装置ではんだ付けリフロー装置入口に再セットされるものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−179390号公報(図4、段落0065)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術によれば、搬送キャリアは移動保持部がガイドレールに沿って移動され、基板幅に合致する位置においてボールプランジャーにより移動保持部がガイドレールに固定されると記載されているが、異なる幅をもつ基板により移動保持部をどのように自動調整するか開示されていない。
【0009】
また、搬送キャリアの温度管理については開示されていないため、一般的に搬送キャリアを自然冷却することを考えると、戻った搬送キャリアにプリント配線板をセットすると、適正な温度になっていないことが問題となる。すなわち、熱をもったままの搬送キャリアにプリント配線板をセットしはんだ付けリフロー装置に再投入するので適切なはんだ付けができない。
【0010】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、搬送キャリアを用いて異なる幅を有するプリント配線板のはんだ付けを行う際に、搬送キャリアにプリント配線板を載置し、連続してはんだ付け作業ができるはんだ付けリフロー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明のはんだ付けリフロー装置は、電子部品が実装された基板(例えば、プリント配線板W)を設定された温度で加熱しはんだ付けするはんだ付けリフロー炉と、基板をはんだ付けリフロー炉に搬送する第1の搬送路(例えば、コンベア4b〜4f)と、はんだ付けリフロー炉の入口に設置され、搬送キャリアに基板を載置し第1の搬送路に該搬送キャリアを搬入する搬入装置と、はんだ付けリフロー炉の出口に設置され、搬送キャリアから基板を搬出して次工程の搬送路に搬出する搬出装置と、異なる幅を有する基板の幅に応じて、搬入装置に設置された搬送キャリアの基板の載置幅を調整する搬送キャリア幅寸法調整装置と、前工程から搬送されてきた基板のICタグから情報を読み取るタグリーダと、タグリーダが読み込んだ基板の幅情報に基づいて、搬送キャリア幅寸法調整装置に幅寸法の調整を指令する制御装置と、搬出装置から搬入装置へ搬送キャリアを搬送する第2の搬送路(例えば、コンベア4g〜4k)と、第2の搬送路に設置され、搬送キャリアを所定温度まで冷却する冷却装置と、備え、搬出装置は、基板を搬出した搬送キャリアを第2の搬送路に搬出し、搬入装置は、冷却装置で冷却された搬送キャリアを、基板を載置できる位置に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送キャリアを用いて異なる幅を有するプリント配線板のはんだ付けを行う際に、搬送キャリアにプリント配線板を適切に載置し、連続してはんだ付け作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るはんだ付けリフロー装置を示す全体構成である。
【図2】はんだ付けリフロー炉内の構造を示す説明図である。
【図3】はんだ付けリフロー装置を示す概略の外観図である。
【図4】プリント配線板のICタグ貼り付け位置とICタグフォーマットを示す説明図である。
【図5】搬送キャリアの構造を示す説明図である。
【図6】搬送キャリア幅寸法調整装置とプリント配線板の搬入機構を示す説明図である。
【図7】プッシャの一例を示す説明図である。
【図8】後工程へ搬出のためプリント配線板の搬出機構を示す説明図である。
【図9】はんだ付けリフロー装置炉の温度プロファイルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るはんだ付けリフロー装置を示す全体構成である。図1(a)は、全体構成の上面図であり、図1(b)は、冷却装置24の側面図である。なお、各装置のカバーなどは除いている。
【0015】
はんだ付けリフロー装置100は、はんだ付けリフロー炉1(図2参照)と、はんだ付けリフロー炉1の入口に配置される、プリント配線板Wおよび搬送キャリア40を搬入する搬入装置21と、はんだ付けリフロー炉1の出口に配置される、プリント配線板Wおよび搬送キャリア40を搬出する搬出装置22と、搬送キャリア40の幅寸法をプリント配線板Wの幅寸法に調整する搬送キャリア幅寸法調整装置23と、搬送キャリア40を搬出装置22から搬入装置21まで搬送しながら所定温度まで冷却する冷却装置24と、プリント配線板Wおよび搬送キャリア40の搬送を制御する制御装置25とを備えている。
【0016】
はんだ付けリフロー装置100には、搬送路に、プリント配線板Wおよび搬送キャリア40を搬送するコンベア4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4i,4j,4k(以下、総称する場合コンベア4とする。)を有しており、コンベア4はチェーンコンベアで構成されている。また、はんだ付けリフロー装置100には、搬入装置21に設置される回転コンベア31、搬出装置22に設置される回転コンベア32、回転コンベア33、34を有している。
【0017】
搬入装置21は、コンベア4a上のプリント配線板Wを搬送キャリア40にセットするプッシャ26と、プリント配線板Wの生産機種情報をRFID(Radio Frequency IDentification)などの非接触の無線用のICタグWTから読み取るリーダ27(タグリーダ)とを有している。
【0018】
搬出装置22は、搬送キャリア40上のプリント配線板Wを、次工程のコンベア4mへ搬出するためのプッシャ28を有している。
【0019】
制御装置25は、リーダ27が読み取ったICタグWTの情報に基づいてプリント配線板Wの外形寸法情報を搬送キャリア幅寸法調整装置23に指示し、指示を受けた搬送キャリア幅寸法調整装置23は、自動で搬送キャリア40の幅寸法を調整する。また、制御装置25は、冷却装置24中の温度センサ(図示せず)からの情報に基づいて、複数の冷却ファン35の風量を調整し、所定温度(例えば、常温)まで冷却する制御を行う。
【0020】
冷却装置24は、図1(b)に示すように、コンベア4iの下から、複数の冷却ファン35により、所定温度まで冷却することができる。冷却ファン35は、コンベア4iの上下方向に設けてもよいし、左右方向に設けてもよい。
【0021】
搬送キャリア40の温度測定には、赤外線サーモグラフィ装置を用いてもよい。赤外線サーモグラフィ装置は、対象物から出ている赤外線放射エネルギーを検出し、見かけの温度に変換して搬送キャリア40上の温度分布を測定し、この測定した温度分布を温度ごとに色分けして画像化する装置であり、この測定した温度分布を画像化した温度分布画像を生成し、映像信号として制御装置25に送信する。制御装置25は、赤外線サーモグラフィ装置から受信した温度分布画像に基づいて、搬送キャリア40が所定温度領域内にあるか否かを判定し、判定結果に応じて、冷却装置24内の冷却ファン35を制御するとよい。
【0022】
図1を用いて、プリント配線板Wおよび搬送キャリア40の搬送について説明する。
搬入装置21において、搬送キャリア40にセットされたプリント配線板Wは、コンベア4b,4cにより搬送される。はんだ付けリフロー炉1内では、搬送キャリア40にセットされたプリント配線板Wは、コンベア4dで搬送され、はんだ付け処理されたのち、コンベア4eを経由してコンベア4fに搬送される。搬出装置22上のプリント配線板Wは、プッシャ28により、搬送キャリア40から取外され、次工程のコンベア4mに搬送される。
【0023】
プリント配線板Wが取外された後の搬出装置22上の搬送キャリア40は、回転コンベア32で回転され、コンベア4gを経由してコンベア4hに搬送され、次に、回転コンベア33で回転され、コンベア4iを経由してコンベア4jに搬送される。コンベア4i上の搬送キャリア40は、さらに、回転コンベア34で回転され、コンベア4kを介してコンベア4bに搬送される。搬入装置21上の搬送キャリア40は、回転コンベア31で回転されて、プリント配線板Wがセットされるために待機する。搬送キャリア40は、コンベア4iを搬送される間に複数の冷却ファン35により、所定温度まで冷却される。
【0024】
図9は、はんだ付けリフロー装置炉の温度プロファイルの一例を示す説明図である。制御装置25は、温度センサを介して取得されるはんだ付けリフロー炉1の表面温度情報とプリント配線板Wの通過情報とに基づいてプリント配線板Wの温度プロファイルを生成し、ここで生成された温度プロファイルを評価して、コンベア4dの搬送速度、もしくははんだ付けリフロー炉1の表面温度の設定を変更する機能を有している。温度プロファイルとは、例えば、図9に示す温度対時間情報をいう。
【0025】
図9の例を参照すると、横軸において、時間0(sec)側がはんだ付けリフロー炉1の入口側であり、時間450(sec)側がはんだ付けリフロー炉1の出口側である。出口温度においても150度以上あり、搬出装置22上でプリント配線板Wが取外された搬送キャリア40の温度も同程度の温度がある。このため、搬入装置21に搬送キャリア40を戻すまでに、十分に冷却する必要がある。搬送キャリア40を常温に戻すことにより、搬入装置21における、搬送キャリア40に載せたプリント配線板Wが搬送キャリア40の温度上昇の影響を受けないため、プリント配線板Wの初期状態の温度を安定することができる。
【0026】
図2は、はんだ付けリフロー炉内の構造を示す説明図である。はんだ付けリフロー炉1内には、搬送キャリア40に載せられたプリント配線板Wを搬送するチェーンコンベア4dと、はんだ付けを行うプリント配線板Wに温度印加する加熱部2と、はんだ付けを行ったプリント配線板Wを冷却する冷却部3とで構成されている。加熱部2には、加熱ヒータ8があり、加熱ヒータ8の熱を熱風としてプリント配線板Wに当てるファン5と温度を監視する温度センサ6とを有している。冷却部3には、冷却クーラ9があり、冷却クーラ9の熱を冷風としてプリント配線板Wに当てるファン7と温度を監視する温度センサ6とを有している。
【0027】
図3は、はんだ付けリフロー装置を示す概略の外観図である。適宜図1を参照して説明する。図3に示すはんだ付けリフロー装置100の概略の外観図は、図1におけるプッシャ26,28などの構成を省略し、コンベア4の駆動部なども記載を省略した図である。搬送キャリア40に載せられたプリント配線板Wは、はんだ付けリフロー炉1(図2参照)内を通過し、搬出装置22においてプリント配線板Wが搬出された搬送キャリア40が、冷却装置24を通過する過程で、冷却される。そして、搬送キャリア40は、搬入装置21に戻る構成としている。
【0028】
はんだ付けリフロー装置100の構成は、図3に限定されない。例えば、搬送キャリア40の冷却に時間をかける必要がある場合、搬出装置22から搬入装置21への搬送キャリア40の戻り経路(例えば、第2の搬送路)を、ジグザグ形状(Z字状に直線が何度も折れ曲がっていること)、蛇行形状(蛇が這う姿のように曲がりくねっていること)としてもよい。
【0029】
図4は、プリント配線板のICタグ貼り付け位置とICタグフォーマットを示す説明図である。図4(a)は、プリント配線板WにICタグWTの取り付け位置を示し、図4(b)は、ICタグWT内のフォーマットの例である。プリント配線板Wの搬送方向側の位置(図面の右側)にICタグWTが取り付けられていることがわかる。また、ICタグWT内のフォーマットには、例えば、機種名称であるABCDEFGと、プリント配線板Wの幅寸法である123とが記憶されている。なお、図4(b)の例では、プリント配線板Wの幅寸法が記憶されている。しかし、プリント配線板Wの幅寸法が記憶されていない場合、制御装置25が、機種名称から予め登録されているデータベースを検索して、プリント配線板Wの幅寸法を特定するとよい。
【0030】
図5は、搬送キャリアの構造を示す説明図である。図5(a)は側面図であり、図5(b)は上面図である。搬送キャリア40は、固定レール部41,42と、可動レール部43と、ボールネジ44を含んで構成されている。搬送キャリア40には、プリント配線板Wを支える固定レール部42と可動レール部43には、プリント配線板Wを支えるように支持部42a,43aを有している。固定レール部42と可動レール部43との距離がプリント配線板Wの幅の大きさになるように調整するには、ボールネジ44を回転させて動かすことにより、可動レール部43を可動させて調整することができる。
【0031】
図6は、搬送キャリア幅寸法調整装置とプリント配線板の搬入機構を示す説明図である。搬送キャリア幅寸法調整装置23は、前記したように、制御装置25から搬送キャリア幅寸法調整の指示を受けると、不図示のモータによりボールネジ44を回転させて自動で搬送キャリア40の幅寸法を調整することができる。
【0032】
プリント配線板Wの搬入機構は、コンベア4a(図1参照)にプリント配線板Wが搬送されると、コンベア4aは一旦停止し、リーダ27がICタグWTの情報を読み込み制御装置25に送信し、制御装置25は、受信したタグ情報に基づいて、搬送キャリア幅寸法調整装置23に搬送キャリア幅寸法調整の指示をする。搬送キャリア幅寸法調整装置23が可動レール部43の位置調整の処理が終了すると、プッシャ26は、プリント配線板Wをプッシュし、搬送キャリア40の支持部42a,43aの上にプリント配線板Wを載置する。また、プリント配線板Wの搬入機構のプッシャ26は、プリント配線板Wのプッシュが完了すると、元の位置に戻る。
【0033】
図7は、プッシャの一例を示す説明図である。ワークであるプリント配線板Wがコンベア搬送により、所定位置に停止すると、プッシャ26がプリント配線板Wに向けてレール26c上を移動する。プッシャ26が移動を開始するとプッシャ押え治具26aからプッシャ26が外れ、バネ26bの力でプッシャ26がワークを押し出せる位置まで浮き上がる。これにより、プッシャ26上を通過したプリント配線板Wをプッシャ26が押し出せるようになる。元に戻すときは、プッシャ26がレール26c上を元の位置に戻され、プッシャ押え治具26aに当接して下方向に押さえられる。これにより、ワークの搬送に支障のない初期状態(低姿勢状態)に戻される。なお、プッシャ28についても同様である。
【0034】
図8は、後工程へ搬出のためプリント配線板の搬出機構を示す説明図である。プリント配線板Wの搬出機構は、搬出装置22にプリント配線板Wが載置された搬送キャリア40が搬入されると、プッシャ28がプリント配線板Wをプッシュし、搬送キャリア40の支持部42a,43aの上からコンベア4mに載置するように構成されている。また、プリント配線板Wの搬出機構のプッシャ28は、プリント配線板Wのプッシュが完了すると、プッシャ28は、元の位置に戻されるように構成されている。このように、プリント配線板Wの搬出機構は、搬送キャリア40に載っているプリント配線板Wを押し出し、次工程搬送コンベアであるコンベア4mに搬出するものである。
【0035】
本実施形態によれば、前工程からコンベア4aにプリント配線板Wが搬入されると、搬入されたプリント配線板Wに搭載されたICタグWTをリーダ27が認識し、ICタグWTの生産機種情報を読み取る。読み取った情報を、LAN(Local Area Network)を経由し生産管理PC(Personal Computer)である制御装置25に伝達する。生産機種情報を受けた制御装置25は、搬送キャリア幅寸法調整装置23を制御し、指定されたプリント配線板Wの外形寸法に、搬送キャリアWの幅寸法を調整する。調整後、プッシャ26が動作し、プリント配線板Wを調整された搬送キャリアWに搬入し、チェーンコンベアであるコンベア4cを経由してコンベア4dに移載され、はんだ付けリフローを開始する。
【0036】
コンベア4dで搬送され、はんだ付けが完了したプリント配線板Wは、搬送キャリア40が搬出装置22に搬入されると、プリント配線板Wを搬送キャリア40から外すプッシャ28が作動し、搬送キャリア40に載置されているプリント配線板Wを押し出し、次工程搬送コンベアであるコンベア4mに搬出する。プリント配線板Wがコンベア4mに搬出されると、搬出装置22の回転コンベア32が回転し、搬送キャリア40をコンベア4gに搬出する。搬出された搬送キャリア40は回転コンベア33を通過する。搬送キャリア40は、複数の冷却ファン35を有した冷却装置24により、コンベア4iにて搬送キャリア40を冷却し、そして、回転コンベア34を通過したのち、はんだ付けリフロー装置100の入口である搬入装置21に戻される。
【0037】
これにより、毎回冷却された搬送キャリア40を使ってプリント配線板Wのはんだ付けリフロー作業を行うため、プロファイルが安定し、正常なはんだ付け品質を確保することが可能となる。
【0038】
本実施形態のはんだ付けリフロー装置100において、プリント配線板Wを搬送キャリアに載せてリフローはんだ付けを行う。なお、搬送キャリアWは、はんだ付けリフロー装置100に繋がった生産管理PC(例えば、制御装置25)からの指示によりはんだ付けリフロー装置100の入口にある搬送キャリア幅寸法調整装置23にて、プリント配線板Wの外形寸法に調整し、プッシャ26を用いてプリント配線板Wを搬送キャリア40にセットする。
【0039】
外形寸法が同じ搬送キャリア40にてはんだ付けリフロー炉1に投入するため、はんだ付けリフロー炉1の搬送コンベア自体は、搬送コンベアの幅寸法を変更することなく、プリント配線板Wのはんだ付けをすることが可能となる。また、はんだ付けリフロー装置100は、プリント配線板Wが載った搬送キャリア40がはんだ付けリフロー炉1の出口部にさしかかった際、搬出装置22により自動でプリント配線板Wを搬送キャリア40から後工程のコンベア4mへ搬出する機構を備え、プリント配線板Wを排出した搬送キャリア40が、搬送キャリア搬送コンベア(例えば、コンベア4g〜4k(第2の搬送路))を使用し、入口部のプリント配線板供給装置(例えば、搬入装置21)へ戻る機構を有する。さらに、はんだ付けリフロー炉1出口より排出された搬送キャリア40を常温まで冷却することが可能となる。
【0040】
本実施形態によれば、はんだ付けリフロー装置100のはんだ付けにおいて、プリント配線板Wの外形寸法の異なる機種を生産する際に行う搬送コンベアの幅調整時間を排除し、生産性の向上を図り、搬送キャリア40の冷却を強制的におこない、冷却された搬送キャリア40を繰り返し使用することで、正常なはんだ付け品質を確保することが可能となる。
【0041】
本実施形態のはんだ付けリフロー装置100によれば、異なる幅を有する複数のプリント配線板Wを混流し連続して搬入が可能となり、はんだ付けリフロー装置100の搬送コンベア幅寸法調整のために生産停止することなく、はんだ付けリフロー装置100の生産効率向上が図れる。また、自動で搬送キャリアの幅寸法変更をすることにより、段取り時間を短縮することが可能となる。
【0042】
本実施形態によれば、はんだペーストを電極に塗布したプリント配線板と、はんだペーストを塗布した電極上に搭載した電子部品とを全体加熱にてはんだペーストを溶融しはんだ接合させることを目的とした電子機器組立生産ラインのはんだ付けリフロー装置において、異なる幅を有する複数のプリント配線板を混流で連続してはんだ付けを行う場合であっても、はんだ付けリフロー装置を停止することなく連続してはんだ付け生産ができる。
【符号の説明】
【0043】
1 はんだ付けリフロー炉
2 加熱部
3 冷却部
4 コンベア
4a コンベア(前工程の搬送路)
4b〜4f コンベア(第1の搬送路)
4g〜4k コンベア(第2の搬送路)
4m コンベア(後工程の搬送路)
5,7 ファン
6 温度センサ
8 加熱ヒータ
9 冷却クーラ
20 リーダ
21 搬入装置
22 搬出装置
23 搬送キャリア幅寸法調整装置
24 冷却装置
25 制御装置
26 プッシャ(第1の押し出し装置)
27 リーダ(タグリーダ)
28 プッシャ(第2の押し出し装置)
31,32,33,34 回転コンベア
35 冷却ファン
40 搬送キャリア
41,42 固定レール部
43 可動レール部
44 ボールネジ
100 はんだ付けリフロー装置
W プリント配線板(基板)
WT ICタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された基板を設定された温度で加熱しはんだ付けするはんだ付けリフロー炉と、
前記基板を前記はんだ付けリフロー炉に搬送する第1の搬送路と、
前記はんだ付けリフロー炉の入口に設置され、搬送キャリアに前記基板を載置し前記第1の搬送路に該搬送キャリアを搬入する搬入装置と、
前記はんだ付けリフロー炉の出口に設置され、前記搬送キャリアから前記基板を搬出して次工程の搬送路に搬出する搬出装置と、
異なる幅を有する前記基板の幅に応じて、前記搬入装置に設置された搬送キャリアの前記基板の載置幅を調整する搬送キャリア幅寸法調整装置と、
前工程から搬送されてきた前記基板のICタグから情報を読み取るタグリーダと、
前記タグリーダが読み込んだ基板の幅情報に基づいて、前記搬送キャリア幅寸法調整装置に幅寸法の調整を指令する制御装置と、
前記搬出装置から前記搬入装置へ前記搬送キャリアを搬送する第2の搬送路と
前記第2の搬送路に設置され、前記搬送キャリアを所定温度まで冷却する冷却装置と、備え、
前記搬出装置は、前記基板を搬出した搬送キャリアを前記第2の搬送路に搬出し、
前記搬入装置は、前記冷却装置で冷却された搬送キャリアを、前記基板を載置できる位置に配置する
ことを特徴とするはんだ付けリフロー装置。
【請求項2】
前記搬入装置は、前記前工程から搬送されてきた前記基板を搬送キャリアに前記基板を載置する第1の押し出し装置を有し、
前記搬出装置は、前記搬送キャリアから前記基板を搬出して次工程の搬送路に搬出する第2の押し出し装置を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のはんだ付けリフロー装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記冷却装置中の温度センサからの情報に基づいて、複数の冷却ファンの風量を調整し、所定温度まで冷却する制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のはんだ付けリフロー装置。
【請求項4】
前記はんだ付けリフロー装置は、さらに、赤外線サーモグラフィ装置を有し、
前記赤外線サーモグラフィ装置は、前記第2の搬送路上を搬送される前記搬送キャリアの赤外線放射エネルギーを検出し、該赤外線放射エネルギーに基づいて温度分布画像を生成し、映像信号として制御装置に送信し、
前記制御装置は、受信した温度分布画像に基づいて、前記搬送キャリアが所定温度領域内にあるか否かを判定し、該判定結果に応じて前記冷却装置内の前記冷却ファンを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のはんだ付けリフロー装置。
【請求項5】
前記第2の搬送路は、ジグザグ形状または蛇行形状とする
ことを特徴とする請求項1に記載のはんだ付けリフロー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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