説明

はんだ耐熱性試験方法

【課題】 プリント配線板用基板材料のボルト締めはんだ耐熱性を容易且つ定量的に評価できるはんだ耐熱性試験方法を提供する。
【解決手段】 プリント配線板用基板材料におけるプリント配線板のボルト締め部の締付けトルク量によるはんだ耐熱性を評価するはんだ耐熱性試験方法において、全面銅箔付のプリント配線板用基板材料の四隅又は任意の箇所に穴をあけ、トルクレンチを用いて任意の締付けトルクでボルト締めを行ったサンプルをはんだ槽に浮かべ、膨れが発生するまでの時間及びサンプルのクラック発生状況を確認してはんだ耐熱性を評価することを特徴とするはんだ耐熱性試験方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ耐熱性試験方法、詳しくはプリント配線板用基板材料のボルト締付けはんだ耐熱性試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は、はんだ付けにより部品を取付けるため、プリント配線板用基板材料のはんだ耐熱性の確保が必要となる。
はんだ耐熱性の必要レベルは、プリント配線板用基板材料を構成する基材、樹脂及びプリント配線の加工工程により異なるが、はんだ耐熱性が低い場合は、プリント配線板の回路部絶縁部の膨れ,剥離等の不具合につながる。
プリント配線板用基板材料のはんだ耐熱性試験方法には、非特許文献1などに定められた試験方法が採用されている。
【非特許文献1】JIS C6481
【0003】
プリント配線板は部品取付けの他、ボルト締めを行うことがあり、その締付けトルク量によっては、プリント配線板用基板材料の有するはんだ耐熱性の限界以上の負荷がかかり、その結果、ボルト締め部分に膨れ、クラック等の不具合が生じることがあるが、前記、非特許文献1に規定されるはんだ耐熱性試験方法は、プリント配線板用基板材料を全面銅箔付、片側半面銅箔付又は全面エッチングを実施したサンプルを用いてはんだ槽に浮かべるか浸漬する試験方法であるため、ボルト締めを施した状態におけるはんだ耐熱性の限界確認には適さないという課題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、プリント配線板用基板材料のボルト締めはんだ耐熱性を容易且つ定量的に評価できるはんだ耐熱性試験方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、プリント配線板用基板材料のボルト締めはんだ耐熱性について種々実験を行った結果、 ボルト径を一定にして試験片を作製し、数条件のボルトの締付けトルク、はんだ温度によって、容易に且つ定量的に安定した評価が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、プリント配線板用基板材料におけるプリント配線板のボルト締め部の締付けトルク量によるはんだ耐熱性を評価するはんだ耐熱性試験方法において、全面銅箔付のプリント配線板用基板材料の四隅又は任意の箇所に穴をあけ、トルクレンチを用いて任意の締付けトルクでボルト締めを行ったサンプルをはんだ槽に浮かべ、膨れが発生するまでの時間及びサンプルのクラック発生状況を確認してはんだ耐熱性を評価することを特徴とするはんだ耐熱性試験方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プリント配線板用基板材料のボルト締めはんだ耐熱性を容易且つ定量的に評価でき工業的に極めて好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明を実施するための最良の形態ついて図面を引用して詳しく説明する。
図1及び図2に示すように、50×50mmの寸法に切断した試験材料銅箔部3を有する試験材料(片)2の四隅に穴をあけ、この穴あけ部1にボルト4を挿入した後、ナット5で留める。
【0009】
このときトルクレンチを使用し、任意の締付けトルクでボルト4を固定する。試験材料(片)2は全面銅箔付を用いる。なお、図1及び図2は、片側面で説明したものである。
その後、任意の温度に設定したはんだ槽にナット取付け面を下にして、膨れの発生するまで又は一定時間浮かべる。膨れが生じるまでの時間の長短の比較及びエッチングにより銅箔を除去した後に目視でクラック発生の有無を確認することにより、プリント配線板用基板材料のボルト締付けはんだ耐熱性が評価できる。
【0010】
本発明において、穴径及びボルト径については、特に制限はないが、径が小さ過ぎると締付け力が小さく、また大き過ぎると締付けが大きくなり、共に精度の高い評価が困難と なるため、ボルト径は2.0〜4.0mm(φ)、望ましくは3.0mm(φ)付近とすることで良好な結果が得られる。
【実施例】
【0011】
はんだ耐熱性の限界が最も低い、紙基材フェノール樹脂片面銅張積層板を用い、それに使用される銅箔原紙毎にボルト締付けはんだ耐熱性を行った。
試験実施に当たっては、再現性及び整合性を考慮し、以下の条件で行った。
・ 試験片:50×50mm、全面銅箔付、四隅に3.05mm(φ)の穴あけ実施
・ ボルト、ナット径:3.0mm(φ)
・ 締付けトルク:5、7、10kgf・cm及び穴あけのみ試験片
・ はんだ温度:260(+2、−1)
・ 試験:膨れの生じるまでの時間を計時および目視によるクラック発生有無確認
【0012】
その結果、得られた数値のばらつきも小さく、締付けトルク量の差、銅箔、基材の差を明確に捉えることができる再現性及び信頼性の高い評価ができた。 表1に評価結果を示す。
【0013】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ボルト締付けはんだ耐熱性試験片の穴あけ状態を示す平面図である。
【図2】ボルト締付け状態を示す試験片断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 穴あけ部
2 試験材料
3 試験材料銅箔部
4 ボルト
5 ナット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板用基板材料におけるプリント配線板のボルト締め部の締付けトルク量によるはんだ耐熱性を評価するはんだ耐熱性試験方法において、全面銅箔付のプリント配線板用基板材料の四隅又は任意の箇所に穴をあけ、トルクレンチを用いて任意の締付けトルクでボルト締めを行ったサンプルをはんだ槽に浮かべ、膨れが発生するまでの時間及びサンプルのクラック発生状況を確認してはんだ耐熱性を評価することを特徴とするはんだ耐熱性試験方法。

【図1】
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【図2】
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