説明

ひずみ感知センサ

【課題】 測定対象部材に貼付して、稼働中の対象部材に生成したひずみが所定の大きさを越えたか否かを推定する小型で低廉なひずみ感知センサを供給する。
【解決手段】 薄膜基板4と少なくとも1対のひずみ伝達片2とセンサ箔1からなり、薄膜基板4は測定対象に貼付されて測定対象と共に歪むもので、ひずみ伝達片2は薄膜基板4上に形成されそれぞれ一端7が薄膜基板4に固定されて測定スパンが決められ、絶縁膜はひずみ伝達片2とセンサ箔1との間に配置され、センサ箔1とひずみ伝達片2は絶縁膜を介して貼付され、センサ箔1は電気良導体でなり断面積がひずみ伝達片2より小さいブリッジ部が対になったひずみ伝達片のギャップの間に渡されるように形成され、ひずみがセンサ箔1の限度を超えるとセンサ箔1が破断して、これを電気的に検出することにより、測定対象のひずみ履歴を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物などが履歴した最大ひずみや過大なひずみや、繰返し荷重を受ける構造物や回転軸などにおける疲労損傷するおそれがある各種の部位において実地条件下で発生しているひずみを簡便に検知する貼付け型のひずみ感知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
現実に供用に付されている橋梁その他の構造物、機械装置、車両、航空機、船舶などに過大な荷重が掛かったことがあれば部材の損傷が問題になるので、補修計画などに影響を及ぼす。また、地震対策には橋脚などの耐震耐荷力の検査が必要になる。
このため、構造物や車両などが履歴した最大ひずみや過大なひずみを把握する必要がある。
【0003】
材料におけるひずみ状態を推定するために従来から利用される方法に、測定対象とする部位に歪みゲージを貼付して、その部位に発生するひずみを常時測定する方法がある。
この方法は、変換器など精密な計測装置を用いなければならないので、一度に多数の部位について計測することは難しいため、大型の構造物等について全体的にひずみ履歴状況を把握することが難しい。
また、回転機械の回転軸などでは、運転中に発生するひずみを検知することは極めて難しい。
【0004】
特許文献1には、構造物が受けてきた応力の大きさを把握するために使用する応力測定センサが開示されている。大型の構造物にひずみゲージを使う方法では、導線の引き回しが非常に困難になり、特に原子力構造物では導線の補修ができないなどの問題があった。これに対して、開示された応力測定センサは、導線の引き回しを不要とし、高温環境下でも簡単に測定ができるものとして、開発されたものである。
開示のセンサは、被測定物より小さなひずみで破壊する材料で製作したワイヤの両端を被測定物に固定しておいて、ワイヤの破断の有無から被測定物に作用した応力が所定の値より大きかったか小さかったかを判定するものである。
【0005】
特許文献1に開示された応力測定センサは、ベースとなる薄膜に固定台を固定しワイヤの両端を接着剤などで固定台に固定する。ワイヤは破断ひずみが小さい例えばニッケル、チタン、炭素鋼などの材質が選ばれる。また、固定台は非導電性の高分子材料、セラミックス系材料、非鉄金属材料などが選ばれる。なお、ワイヤの代りに短冊形平板を用いても良く、局部的に細くした部分を備えてひずみを集中させることにより感度を向上させることができる。
ワイヤあるいは短冊形平板を導電性のものとして、破断の有無やひずみの大小を電気的に検出しても良い。
【0006】
開示された応力測定センサは、被測定物に貼付する薄膜の上に固定台を固定し、固定台に検知ワイヤあるいは平板を接着して形成するものであるから、製法上形状や寸法の再現性を確保することが難しく、再現性のある測定をすることが困難である。
【0007】
また、特許文献2には、金属箔基板の上に中央部に亀裂進展部を有する破断片を形成した、極めて小型で薄いクラック型疲労センサが開示されている。例示された実施例には、亀裂進展部には先端が鋭く加工されたスリットが側端から形成されていて、被測定部材に発生する繰返し応力に対応して亀裂が生じて進展する疲労センサが記載されている。
特許文献2に開示された疲労センサは小型で感度が高いため、対象部位の極めて近傍に貼付して、貼付部分における繰返し応力により疲労センサの疲労損傷度を測定して対象部位の疲労損傷度を推定したり実寿命を推定したりすることができる。
【0008】
しかし、構造物や輸送機械などには各種の部材が溶接、機械加工、押出し成型、鋳造など様々な形態で使用されており、これらの部材について疲労損傷度や寿命を推定しようとすると、測定対象部材によって条件が異なるので、十分正しい結果を得るためには複雑な演算が必要で、開示された疲労センサを適切に使用するためには高度な知識と熟練を要求されるという問題がある。また、開示された疲労センサは繰返し応力について対象部材との対応関係を確立して代表測定を可能にしたものであり、ひずみの大きさを測定することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−005175号公報
【特許文献2】特開2001−281120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、測定対象部材に貼付して、稼働中の対象部材に生成したひずみが所定の大きさを超えたか否かを推定するひずみ感知センサを供給することであり、特に目視などで簡単に結果を知ることができる小型で低廉なひずみ感知センサを供給することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係るひずみ感知センサは、薄膜基板と少なくとも1対のひずみ伝達片とセンサ箔からなり、薄膜基板は測定対象に貼付されて測定対象と共に歪むもので、ひずみ伝達片は薄膜基板上に形成されそれぞれ一端が薄膜基板に固定されて測定スパンが決められ、絶縁膜はひずみ伝達片とセンサ箔との間に配置され、センサ箔とひずみ伝達片は絶縁膜を介して貼付され、センサ箔は電気良導体でなり断面積がひずみ伝達片より小さいブリッジ部が対になったひずみ伝達片のギャップの間に渡されるように形成され、測定スパンの間のひずみがセンサ箔に集中してセンサ箔の破断ひずみの限度を超えるとセンサ箔が破断することにより測定対象のひずみが所定のひずみを超えたことを検知するもので、センサ箔の破断が電気的に検出できることを特徴とする。
【0012】
本発明のひずみ感知センサは、ひずみ伝達片より断面積の小さいセンサ箔がひずみ伝達片の間に渡されているので、測定対象部材がひずみを生じたときに生じたひずみがセンサ箔の部分に集中し、ひずみの拡大機能を備えることになる。センサ箔は所定の破断伸びを有し、せん断部の局所ひずみが破断伸びを越えると最小断面部が破断する。センサ箔が破断したときは、センサ箔の破断強度とひずみの集中度とから決まる所定のひずみ以上のひずみが測定対象部材に発生したと推定することができる。
【0013】
ひずみ伝達片とセンサ箔の板厚差が大きくて両者の剛性差が大きいほど感度が大きくなるので、精度が確保できる限り板厚差を調整して対象部材のひずみ最大値の測定範囲を調整することができる。
また、測定対象のひずみに伴いセンサ箔部に現れるひずみは、2つのひずみ伝達片の固定位置同士の距離が大きいほど大きくなるので、この距離を調整することにより検出範囲を調整することができる。
【0014】
1対のひずみ伝達片がひずみの検出方向に沿った方向に並んで配置され、センサ箔はひずみ伝達片が相互に離れる方向に歪むひずみを検知するようになっていてもよい。この場合は、ひずみ感知センサを貼付した部材の延び方向のひずみを感知することができる。感知感度を向上させるため、センサ箔部分にスリットを形成してもよい。
また、1対のひずみ伝達片がひずみの検出方向に垂直の方向に並んで配置され、センサ箔はひずみ伝達片が相互にずれる方向に歪むひずみを検知するようになっていてもよい。この場合は、部材の伸縮をセンサ箔のせん断破断により検知することになる。センサ箔部分の形状に伸縮方向に沿った凹みを形成してせん断し易くしても良い。
【0015】
センサ箔は、ひずみ伝達片と同じ材料で両者を一体に形成することができる。センサ箔とひずみ伝達片を電鋳法で形成するときは、センサ箔の狭い幅の部分は電鋳法やエッチングにより正確に形成することができる。また、センサ箔の厚みは2段電鋳法により正確に制御することができる。
【0016】
ひずみ伝達片とセンサ箔を電気良導体とし、ひずみ伝達片とセンサ箔の間に電気絶縁体薄膜を介装させるようにしてもよい。さらに、センサ箔がひずみ伝達片の上まで広がって電極を形成するようにすれば、目視による判断が困難な場合にも、センサ箔の破断や変形による抵抗変化を電気的に検出することによって、簡単にひずみ状況を把握することができる。なお、現地でテスターのプローブを当てて検出することもできるが、電極に電線を接合して遠隔地で検出するようにしても良い。
【0017】
薄膜基板がステンレススチールで形成され、センサ箔が電解銅で形成されていてもよい。また、薄膜基板がインバーで形成され、前記センサ箔がニッケルで形成されてもよい。
センサ箔は、破断伸びが小さい方が精度の良い感知センサを構成することができる。また、特性がよく知られており、製造が容易な材質を選ぶことが好ましい。したがって、電解銅は電鋳法により堆積が容易で十分に硬いため、また、ニッケルは十分に硬く疲労センサなどで情報および技術が蓄積されているため、センサ箔に使用することが好ましい。
【0018】
また、本願発明のひずみ感知センサは、薄膜基板とひずみ伝達片からなり、薄膜基板は測定対象に貼付されて測定対象と共に歪むもので、ひずみ伝達片は薄膜基板上にてこ部と柱部を有する形状に形成され、てこ部が第1のヒンジ部を介して薄膜基板に固定され、柱部の根本が薄膜基板に固定されると共に先端が第2のヒンジ部を介しててこ部における第2ヒンジ部の近傍に連結されていることを特徴とする。ヒンジ部はひずみ伝達片と同じ材料で形成され、挟路形状で薄い板厚を有しひずみの拡大機構を備える。
【0019】
ひずみ伝達片の固定部同士の距離が拡縮すると、てこ部が柱部に押し引きされて第1ヒンジ部の位置で回動する。抜力した後でも第1、第2のヒンジ部に変位のヒステリシスのためてこ部の傾きが残る。この残留変位はてこ部の尻に付けた目盛りにより評価できるので、この残留変位によって両固定部間のひずみ量を推定することができる。
【0020】
また、ひずみ感知センサは、ひずみ伝達片を囲繞する補強枠を備えて、センサ部を保護するようにすることが好ましい。
補強枠とひずみ伝達片は同じ材料から形成されることが好ましい。電鋳法による場合は、任意の堆積形状を形成することができるので、補強枠とひずみ伝達片を一緒に形成することができる。
【0021】
本発明のひずみ感知センサは、小さく形成することができるので、対象部材の測定目的位置の極近傍に貼付することにより、正確にひずみ状況を感知することができる。また、安価に製作することができるので、測定対象部材に多数貼付して、密度の高いデータを取得するようにすることができる。
さらに、結果は取り付け現場で簡単に確認することができるので、非熟練作業者でも容易に正確な測定結果を収集することができ、的確な判断を得ることができる。
【0022】
また、センサは変換器等を要せず電気配線が不要なので、測定点を増加しても測定コストを大幅に増大させることなくひずみ状態を把握できる。また、回転する部材を測定するときも、スリップリングなどの特別な回路素子を使うことなく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例に係るひずみ感知センサの要部拡大図を伴う平面図である。
【図2】第1実施例のひずみ伝達片の平面図である。
【図3】第1実施例に使用するセンサ箔の平面図である。
【図4】第1実施例のひずみ感知センサの概念的な断面図である。
【図5】第1実施例のひずみ感知センサの試験結果を示すグラフである。
【図6】第1実施例の別の態様の要部拡大図を伴う平面図である。
【図7】第1実施例のさらに別の態様の平面図である。
【図8】本発明の第2実施例に係るひずみ感知センサの要部拡大図を伴う平面図である。
【図9】第2実施例のひずみ感知センサの概念的な断面図である。
【図10】第2実施例の別の実施態様を示す要部拡大図を伴う平面図である。
【図11】第2実施例のさらに別の実施態様を示す平面図である。
【図12】第2実施例のまた別の実施態様を示す平面図である。
【図13】第2実施例のさらに別の実施態様を示す要部拡大図を伴う平面図である。
【図14】本発明の第3実施例に係るひずみ感知センサの平面図である。
【図15】第3実施例のひずみ感知センサの側面図である。
【図16】第3実施例の別の実施態様を示す平面図である。
【図17】第3実施例のさらに別の実施態様を示す平面図である。
【図18】第3実施例のまた別の実施態様を示す平面図である。
【図19】本発明の第4実施例に係るひずみ感知センサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明について実施例に基づき図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明の第1実施例に係るひずみ感知センサの要部拡大図を伴う平面図、図2はひずみ伝達片の平面図、図3はセンサ箔の平面図、図4は概念的な断面図、図5は試験結果を示すグラフ、図6は本実施例の別の態様の要部拡大図を伴う平面図、図7はさらに別の実施態様を示す平面図である。
【0026】
本実施例のひずみ感知センサは、図1−4に表示するように、センサ箔1とひずみ伝達片2の間に絶縁膜3が介装された3層薄膜構造を有する。ひずみ感知センサは、薄膜基板4の上に固定して用いることが便利である。薄膜基板4は接着剤で測定対象部材5の表面に貼付され、測定対象部材5のひずみを忠実にひずみ感知センサに伝達する。
【0027】
図2に例示するように、ひずみ伝達片2はそれぞれ対になった短冊形の金属薄膜で形成される。1対のひずみ伝達片2は極く狭いギャップgを隔てて向かい合っており、他端はそれぞれひずみ感知センサの枠体6に接続されている。
枠体6は、ひずみ伝達片2と同じ厚さ、同じ材質で一体に形成され、それぞれがばらばらに分解しかねないひずみ伝達片2を互いに連結して正しい位置関係を保持させる機能を有する。また、枠体6はひずみ感知センサを薄膜基板4にスポット溶接などで固定するときに固定代として利用することもできる。
【0028】
図3に例示するように、センサ箔1はひずみ伝達片2より薄い金属薄膜で、ひずみ伝達片2のギャップgの位置にブリッジ部8が来るように形成される。ブリッジ部8に隣接する部分9は、ひずみ伝達片2のひずみを正確にブリッジ部8に伝達する機能を有するもので、ひずみ伝達片2と同じ幅Wで形成され、さらに細い導線部を介して電極部10が形成される。センサ箔1は極めて薄い絶縁膜3を介してひずみ伝達片2に固定される。導線部は、電極部10に電線を半田付けする場合に、熱がブリッジ部8に悪影響を与えないようにするために設けられたものである。
【0029】
ブリッジ部8は、図1の拡大図に示すように、狭い幅dを持つ狭隘部を構成して、ひずみ伝達片2とブリッジ部8の断面積比に対応して応力集中させ、測定対象部材5に発生したひずみの大部分をブリッジ部8に集める効果を有する。
さらに、ブリッジ部8の中に形成される狭隘部は、測定対象部材の測定スパン中に発生したひずみ量を、ギャップgより短い狭隘部の部分に集中させることにより感度を高める効果も有する。
【0030】
本実施例のひずみ感知センサは、エッチングや電鋳法により形成することができる。
たとえば、図1に示したひずみ感知センサでは、ステンレススチールSUS304の50μm薄膜の上に厚さ18〜20μmのポリイミド膜を接着し、その上に18μmの銅箔を接着して、3層構造を形成する。その後、SUS薄膜とポリイミド膜をエッチングしてたとえば100μmのギャップを有する幅4mm、1対分の全長が160mmのひずみ伝達片2と枠体6の形を生成し、また反対方向から銅箔をエッチングしてひずみ感知するブリッジ部8や電極10などを含めたセンサ箔1の形状を形成する。
なお、センサ箔1の形状は、型抜きにより形成することもできる。
【0031】
さらに、ひずみ伝達片2側の面を薄膜基板4に接着することにより、センサのハンドリングを容易にし、センサを対象部材に簡単に適用できるようにし、かつ測定の再現性を向上させることができる。薄膜基板4をひずみ伝達片2と同じ金属で形成したときは、ひずみ伝達片2と薄膜基板4をスポット溶接で強固に接着することができる。薄膜基板4はプラスチックで形成してもよい。
【0032】
図1に示したひずみ感知センサは、たとえば幅17mm、長さ166mmの薄膜基板4の中に3個のセンサを包含するように形成することができ、極めて小さい。従って、部材の局所におけるひずみを感知することができる。
なお、センサ箔1は電鋳法により薄膜基板上に直接形成しても良い。電鋳法の形状再現性は極めて高いので、電鋳法による形状形成をしたセンサは正確な測定結果を得ることができる。
【0033】
なお、各薄膜の厚さや、薄膜層毎の形状、検出部のギャップ量などは、測定対象部材の感知したいひずみに応じて適当に設計される。
実際に、たとえば、ひずみ伝達片2、絶縁層3、センサ箔1の厚みを、それぞれ10μmから数100μmとしたものが多数の測定点に適用するものとして便利である。また、ギャップ量も測定の条件に応じて調整することができ、数10μmから数mmの値が用いられる。
さらに、ひずみ伝達片2をインバー、センサ箔1をニッケルで構成してもよい。ニッケルの特性や製造方法については、疲労センサの製造や使用により蓄積された技術を活用することができる。
【0034】
ひずみ伝達片2はそれぞれ1カ所で測定対象部材5に固定され、測定スパンLが決められる。薄膜基板4は測定対象部材5の表面に堅く貼着されているので、たとえばスポット溶接7などによりひずみ伝達片2を薄膜基板4に固定することによって、実質的にひずみ伝達片2を測定対象部材5に固定することができる。
測定対象部材5が何らかの応力作用により伸縮すると、測定スパンLの部分に生じるひずみεはひずみ感知センサのひずみ伝達片2とセンサ箔1に分配される。分配率は材料のヤング率などに影響されるが、部品の断面積に関係する応力集中度に大きく影響され、測定スパンLに生じたひずみεの殆どがギャップgの位置にあるブリッジ部8のセンサ箔1に集中する。
【0035】
したがって、(ひずみε×測定スパンL/ギャップg)がセンサ箔1のひずみ率となり、この値がセンサ箔1の破断ひずみεfを越えればセンサ箔1が破損する。そこで、センサ箔1が破損したときは、センサ箔1の破断ひずみεfに対応する測定対象部材5のひずみε0を算出することにより、測定対象部材5のひずみεが少なくとも対応ひずみε0を越えたことを感知することができる。なお、センサ箔1に狭隘部を形成したときは、実質的な検出長がさらに短くなり同じひずみεに対するひずみ率が大きくなって、検出がより容易になる。
本実施例のセンサ箔形状によれば、ひずみが狭隘部に集中するため実質的なひずみ率を増倍するため、破断ひずみεfがたとえば20%以下の材料であれば比較的容易に破断するように構成することができる。
【0036】
ひずみ伝達片2のギャップgは極めて小さいため、センサ箔1の破断状態を目視で判断することが難しい場合がある。このような場合は、センサ箔1の端部に設けられた電極部10にテスターのプローブを接触して、電気的に簡単に検出することができる。また、電極部10に導線を半田付けし遠隔の計器に接続して、多数のセンサについて集中的に破断状況を把握するようにしてもよい。
【0037】
破断ひずみεfは、センサ箔の材質、狭隘部の形状、サイズ、応力拡大係数K、亀裂の発生条件などにより変化するので、破断ひずみεfを調整することにより測定目標に適合するようにすることができる。
ただし、ひずみ伝達片2も応力を受けて歪むので、センサ箔1に伝達するひずみは断面積比などにより若干緩和される。そこで、正確な測定には、これらの緩和率を実験的に算出して補正することが必要である。
【0038】
本実施例のひずみ感知センサは、数mmから数100mmの測定スパンに発生する変位量をギャップ部に集中させてセンサ箔を破損させ、目視あるいはテスタなどの携帯型簡易計器により検出するので、従来と比較して極めて多数の計測点を設定して全体的に測定・診断することができる。
センサは長さ200mm以下の小型に形成され、測定には構造表面に貼付するだけでモニタと接続する配線などが不要であるので、測定点が増えても測定コストが膨大化するようなことはない。
【0039】
図5は、ひずみ感知センサの検出能を確認するために行った実験の結果を示すグラフである。
グラフは、横軸をひずみ感知センサのセンサ箔が破断するときの応力の理論値、縦軸をその実測値にとり、狭隘部の線幅dをパラメータとして実験結果をプロットしたものである。線幅が50μm,100μm,200μmの3ケースについて、測定対象部材に応力を生じさせて破断した時の応力を求めた。本実験では、測定スパンLを40mm,60mm,80mmと変えることにより、同じ線幅における破断応力を変えた。なお、線幅50μmではギャップ200μm、線幅100μmと200μmではギャップ100μmで試験している。
実験結果から、理論値と実測値はかなりよく一致しており、一定の制約下ではセンサとして使用できることが分かる。
【0040】
なお、図1に示された実施例では、1枚の薄膜基板4の上にひずみ感知センサが3個一緒に形成されているので、1度に3個の測定スパンを独立に設定することができる。このため、同じスパンを設定して測定確度を向上させることもできるし、3個の異なる条件下の測定をすることもできる。
【0041】
図6は、本実施例のひずみ感知センサの別の態様を説明する平面図である。
本態様のセンサは、1対のひずみ伝達片11の間にひずみ発生方向に沿ったギャップ部を設けて、このギャップを挟んでセンサ箔12の狭隘部13を配設したものである。
狭隘部13の局所ひずみが材料の破断伸びを越えると破断することに基づいて、測定対象部材に負荷されたひずみが閾値を越えたことを感知するものである。なお、ひずみ伝達片11とセンサ箔12の間に電気絶縁層を形成し、センサ箔12に形成された電極部14を介して電気的に感知するようにしてもよい。
図6に示すように、ブリッジを形成する狭隘部13を部材の伸び方向に傾けるようにすると、部材の伸びと縮みで狭隘部が伸長する場合と圧縮する場合に分かれて破損強度が異なるので、伸びと縮みで異なる感度を有するセンサになる。
なお、図6に示したセンサは、2個のセンサが点対称に配置されていて、二重測定により測定確度を向上させたものである。
【0042】
図7はさらに別の態様を示す平面図である。
ひずみ伝達片15がギャップ部17を挟んで対向し、センサ箔16がひずみ伝達片15の縁まで覆うのではなく少し内側に退いた形状に形成されている。したがって、ブリッジ18を形成する狭隘部は上記の各態様より長くなり、センサ箔16がひずみ伝達片15によく固着している場合でもひずみ率が緩和する可能性があるが、ブリッジ部18の破断状態はよく判定できる。
また、ブリッジ部18の最狭部における寸法精度は簡単に確保できるので、測定の再現性は向上する。
【実施例2】
【0043】
図8は本発明の第2実施例に係るひずみ感知センサの要部拡大図を伴う平面図、図9はその要部断面図、図10は本実施例の別の態様の要部拡大図を伴う平面図、図11,12,13は本実施例のさらに別の実施態様を示す平面図である。
第2実施例のひずみ感知センサは、ひずみ伝達片とセンサ箔が同じ材料から形成された1枚構造であることを特徴とする。
図8の平面図および図9の断面図を参照すると、1対のひずみ伝達片21がギャップ部22を挟んで対向配置し、周囲を枠体25で囲繞した金属薄膜でひずみ感知センサが形成される。
【0044】
ひずみ感知センサは、ひずみ伝達片21が自由に伸縮できるように枠体25を薄膜基板29に貼付して、ひずみ感知センサの取扱を容易にすると共に、測定対象部材30の表面に貼付したときに部品の位置が狂わないようにしてある。
ギャップ部22には、ブリッジ部24が形成される。ブリッジ部24は、ひずみ伝達片21の部分より肉厚が薄く、たとえばひずみ伝達片21の厚みが200μmであるのに対して20μmの厚さになるように形成される。
【0045】
ブリッジ部24は、たとえば幅1mmのギャップ部に対して幅1mmの薄膜帯26で形成され、長さ方向中間部に幅の両側から刻まれた1対のスリット27が形成されている。スリット27は、たとえば加工限界の幅0.225mmで深さ0.4mmを持ち、スリットの先端が鋭角に形成されていて、所定の荷重より大きな荷重が掛かるとスリット先端から容易に亀裂が形成・成長して、残存部28が簡単に破断されるようになっている。なお、スリット27先端間の距離は0.2mmで、一旦破断が生じると残存部28は一挙に破断に至る。
【0046】
ひずみ伝達片21とブリッジ部24、枠体25は、はじめに全面に金属を堆積させて肉の薄いブリッジ部24が堆積した後で、ブリッジ部24の部分にマスクを掛けて肉厚部分の電鋳を行う2段電鋳法により、正確に形成される。
なお、測定対象部材30に適用するときは、ひずみの測定範囲に応じて、測定スパンが所定の値になるように、ひずみ伝達片21の適当な位置をスポット溶接23で測定対象部材に固定する。
【0047】
ブリッジ部24の最狭部であるスリット先端間の部分の断面積とひずみ伝達片21の断面積の比が大きいほど、ひずみ分配率がブリッジ部24に偏り、測定の感度が向上する。また、ギャップ部22の間隙幅と溶接位置23間の測定スパンとの比が大きいほどブリッジ部2にひずみが集中するので、測定対象部材に小さな応力が発生してもブリッジ部24が破断する可能性が高くなる。
【0048】
ひずみ伝達片21、ブリッジ部24、枠体25は、ニッケル箔から形成されることが好ましい。ニッケルは疲労センサに多用されるので、センサとしての特性や製造方法についての技術蓄積が膨大で、これらの技術を活用することにより、目的に適合する正確なセンサの設計および製造が容易である。
なお、薄膜基板29は、熱膨張率が小さいインバーで形成することが推奨される。
【0049】
図10は、本実施例の別の態様を示す図面で、図6と同様、1対のひずみ伝達片31の間にひずみ発生方向に沿ったギャップ部32を設けて、このギャップを挟んでブリッジ部33を配設したものである。ギャップ幅は約1mmとした。ひずみ感知センサは2段電鋳法を用いてたとえばニッケル金属で精密に形成することができ、たとえばインバー製の薄膜基板35に固定した形で使用に供される。
【0050】
ブリッジ部33は、ひずみ伝達片31と同じ材料からなり、厚さが20μmとひずみ伝達片31の約1/10になっていて、さらに加工精度を考えると加工限界に近い0.166mmなどの幅を持つ狭隘部34を有する。なお、このような狭隘部34を有するときは、測定対象部材に発生したひずみは実質的には狭隘部34の最狭部分、たとえば中央部の長さ約200μmの部分などに集中すると考えて、ブリッジ部33のひずみ率を大きく見積もってもよい。
ひずみ伝達片31の長さは2枚合わせて100mm余りあり、測定スパンは100mm以下の適当な値、たとえば約60mm,80mm,100mmという風に選択できる。
なお、これらの寸法は検出したいひずみ量に対応して変更することができる。
【0051】
ひずみ伝達片31のスポット溶接位置によって決まる測定スパンに生じるひずみと等量だけ、2つのひずみ伝達片31が互いに反対方向に移動するので、ブリッジ部33にせん断力が働き、狭隘部34の局所ひずみが材料の破断伸びを越えると狭隘部34が破断する。
狭隘部34の破断に基づいて、測定対象部材に負荷されたひずみが閾値を越えたことを感知する。破断は目視で確認することができる。
【0052】
図11と図12は、本実施例のさらに別の態様を示す平面図である。
図11の態様は、ひずみ伝達片に一体に形成された狭隘部が伸長して破断することにより測定対象部材のひずみを感知するもので、図面では伸長と圧縮の2つの方向のひずみを測定できるように複合されたセンサが表わされている。
【0053】
図面上側のセンサは伸長方向のひずみを感知するもので、ひずみ伝達片36のほぼ中央部に狭隘部37が形成されていて、狭隘部37を挟んだ固定位置41でスポット溶接などを用いて測定対象部材に固定して測定する。測定スパン間に発生するひずみは狭隘部37に集中して狭隘部37の変形比率が拡大され、局所ひずみが狭隘部の破断伸びを越えると破断するので、測定対象部材に狭隘部の破断伸びに対応するひずみが生じたことが分かる。一方、狭隘部37の圧縮に対する抵抗力は大きいので、測定対象部材が圧縮する方向に歪んでも狭隘部37はなかなか破損しない。なお、狭隘部37は、厚さを減じて応力拡大係数を大きくすることにより感度をさらに向上させることができる。
【0054】
図面下側のセンサは、圧縮方向のひずみを感知するもので、一方のひずみ伝達片38の他端で狭隘部40を介して折り返すようにもう一方のひずみ伝達片39が設けられていて、2個のひずみ伝達片38,39のそれぞれを測定対象部材にスポット溶接などで固定すると、固定位置42の間の測定スパンにおいて圧縮する方向のひずみが発生したときに狭隘部40が伸長して、限界を超えたときに破断するようになっている。この場合は、測定スパンが延びる方向に歪む場合には狭隘部40が圧縮応力を受けるので破損しにくく、ひずみの感知ができない。
こうして、2つのセンサが分担して圧縮方向と伸長方向のひずみを監視するので、これらを1枚の薄膜基板43に並置して機能を複合し、両方向のひずみ感知センサとすることができる。
【0055】
図12の態様のセンサは、1対のひずみ伝達片44,45の間にひずみ発生方向に沿ったギャップ部46を設けて、このギャップを挟んでブリッジ部47を配設したものである。ブリッジ部47は2段電鋳法により伝達片44,45と一体に形成される。
図12に示すように、ブリッジ部47を測定対象部材の伸び方向に傾けるように形成すると、部材の伸びで狭隘部が伸長する場合には感知能力が高いが部材の圧縮で圧縮する場合は破損しにくく感知能力が劣るので、傾きを逆にした1対のブリッジ部47を形成して、両方向共にひずみが閾値を越えたことを感知できるようにしたものである。
【0056】
図13は、本実施例のさらに別の態様を説明する平面図である。
本図の態様は、ひずみ伝達片48,49の間に形成されるギャップ部50がひずみの検出方向に対して傾きを持つことを特徴とする。ブリッジ部51はギャップ部50に垂直に形成されるため、ひずみの方向に対して角度を持ち、ブリッジ部51の狭隘部はせん断破断をするので破断しやすく、感知感度が向上する。
【実施例3】
【0057】
図14は本発明の第3実施例に係るひずみ感知センサの平面図、図15はその側面図、図16−18は別の実施態様を示す平面図である。
本実施例のひずみ感知センサは、狭隘部を有するセンサ箔が、ひずみ伝達片と異なる金属で直接ひずみ伝達片表面に形成されることを特徴とする。
図14と図15から、本実施例のひずみ感知センサは、1対のひずみ伝達片52の間に形成されるギャップ部にセンサ箔53を渡して、その中央部に両縁側からスリットを設けて狭隘な残存部を残すようにしたひずみ感知部54を備えたものを薄膜基板55に固定したものである。ひずみ伝達片52の適当な位置56でスポット溶接などの方法により測定対象部材に固定して測定スパンを決定する。
【0058】
測定スパン間の部材のひずみがひずみ感知部54に集中して、センサ箔53の破断ひずみを越えるとひずみ感知部54で破断する。センサ箔53の破断を目視で確認することにより、測定対象部材が予め設定したひずみ閾値を越えたか否かを推定することができる。
なお、ひずみ伝達片52に対するセンサ箔53の層厚比が大きいほど、応力集中率が高くなり、ひずみがセンサ箔に大きく配分されて狭隘部で破断し易くなる。
ひずみ感知部54に応力が作用すると、スリット先端の片方あるいは両方に2本の小さい亀裂が発生して変形帯を形成し、両側の変形帯が徐々に進展してやがて合体し破断に至る。
【0059】
図16の実施態様は、1対のひずみ伝達片57の間にひずみ方向に形成されたギャップ部58を跨いでセンサ箔59が配置され、センサ箔59のギャップ部58の位置に狭隘部60を形成したものである。狭隘部60は測定対象部材のひずみ量に応じて発生するせん断力によって破断するので、測定対象部材に予め決めた閾値を越えるひずみが発生したか否かを判定することができる。
【0060】
図17の実施態様は、ひずみ伝達片61の間に形成されるギャップ部が鍵の手に曲がって、曲がり込んだ位置に形成されたセンサ箔62のブリッジ部63がひずみ伝達片61の固定部65が縮まる方向に移動するときに感度を有するように構成されたものである。ブリッジ部63におけるひずみ検出部は引張り方向に応力が作用したときに破断に至るように、断面積が条件に適合するように選択されている。中央部に切り欠きを設けて破断を誘引するようにしても良い。
ひずみ感知センサは薄膜基板64の上に固定された状態で利用に供される。
【0061】
図18の実施態様は、1対のひずみ伝達片66が幅の中心線に沿ってギャップ68を形成し、このギャップ68を跨ぐ狭隘部を持ったセンサ箔67が設けられ、薄膜基板69に固定されたものである。センサ箔67の狭隘部は、伸長方向に引張られたときに破断しやすく、圧縮方向に押圧されたときには座屈しにくい。
このひずみ感知センサは、たとえば回転軸71の表面にギャップ68が軸方向に来るように置いて、ひずみ伝達片66の端部70を回転軸71に固定して用いる。回転装置を運転したときに、狭隘部の伸長方向に発生する捻れひずみが予め決めた閾値を越えていなかったかを感知することができる。
なお、反対方向の捻れひずみに対しては感度が低く、感知が難しい。
【実施例4】
【0062】
図19は本発明の第4実施例に係るひずみ感知センサの平面図である。
本実施例のひずみ感知センサは、測定対象部材のひずみが無くなった後にヒステリシスによりセンサ部品に残った残留ひずみを拡大して示すようにして、ひずみ履歴を推定するものである。センサ部品は破断には至らないが、変形することにより測定対象部材のひずみを感知することができる。
本実施例のひずみ感知センサは、ひずみ伝達片81を形成する金属薄膜をエッチングして、あるいは電鋳法などにより堆積して、整形される単層型センサである。なお、図18には表記を省略したが、ひずみ感知センサは、上記説明した各実施例のセンサと同様、薄膜基板に固定することにより、部品の位置関係を正しく維持しやすくすることが好ましい。
【0063】
ひずみ伝達片81は、図19に示すように、ひずみを伝達する柱部82とひずみを拡大して示す機能を有するてこ部83および枠体84を備えている。てこ部83の根本側端部と枠体84の間に狭隘化されたヒンジ部86、てこ部83の根本側端部の近傍に柱部82の先端と連結する狭隘部85が形成されている。ヒンジ部86狭隘部85は幅を狭化して柔軟性を付与し、さらに狭隘部85は厚さを小さくして応力集中率を増大することが好ましい。
柱部82の根本を測定対象部材の表面に固定し、てこ部83のヒンジ部86近傍の枠体部分を測定対象部材の表面に固定する。
【0064】
ひずみ感知センサを固定した測定対象装置を運転する間に、柱部82根本の固定位置87とてこ部83根本の固定位置88の間の測定スパンLが伸びると、てこ部83は狭隘部85を介して柱部82に引張られるので、ヒンジ部86を支点として回動し先端部が下方に傾く。測定対象装置の運転が終わると測定スパンLは元に戻るが、狭隘部85はヒステリシスを持つので変形量に応じた残留変形を残す。したがって、てこ部83の先端は元の位置に戻らず、最大ひずみ量に応じた偏倚角を示す。そこで、残留偏倚角を測定することにより、運転中に測定スパンLに生じたひずみを推定することができる。
【0065】
以上詳細に説明した通り、本発明のひずみ感知センサを測定対象部材の表面に固定してから、対象装置を運転させることにより、運転中に対象部材に発生したひずみの大きさを推定することができる。
本発明のひずみ感知センサは、薄くて小型なセンサシートの形で供給することができ、狭い表面にも容易に適用することができる。また、感知結果は目視、あるいはテスタなどで簡単に知ることができる。したがって、適用や測定のコストは従来より大きく減少し、装置に対して解析に十分な多数の測定箇所を設定しても過大な費用を要しない。
【符号の説明】
【0066】
1 センサ箔
2 ひずみ伝達片
3 絶縁膜
4 薄膜基板
5 測定対象部材
6 枠体
7 スポット溶接部
8 ブリッジ部
9 ブリッジ部に隣接する部分
10 電極部
11 ひずみ伝達片
12 センサ箔
13 ブリッジ部
14 電極部
15 ひずみ伝達片
16 センサ箔
17 ギャップ部
18 ブリッジ部
21 ひずみ伝達片
22 ギャップ部
23 スポット溶接部
24 ブリッジ部
25 枠体
26 ブリッジ部薄膜帯
27 スリット
28 残存部
29 薄膜基板
30 測定対象部材
31 ひずみ伝達片
32 ギャップ部
33 ブリッジ部
34 狭隘部
35 薄膜基板
36 ひずみ伝達片
37 狭隘部
38,39 ひずみ伝達片
40 狭隘部
41,42 スポット溶接固定位置
43 薄膜基板
44,45 ひずみ伝達片
46 ギャップ部
47 ブリッジ部
48,49 ひずみ伝達片
50 ギャップ部
51 ブリッジ部
52 ひずみ伝達片
53 センサ箔
54 ひずみ感知部
55 薄膜基板
56 固定位置
57 ひずみ伝達片
58 ギャップ部
59 センサ箔
60 ブリッジ部
61 ひずみ伝達片
62 センサ箔
63 ブリッジ部
64 薄膜基板
65 固定部
66 ひずみ伝達片
68 ギャップ
67 センサ箔
69 薄膜基板
70 固定端部
71 回転軸
81 ひずみ伝達片
82 柱部
83 てこ部
84 枠体
85 狭隘部
86 ヒンジ部
87,88 固定位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜基板と少なくとも1対のひずみ伝達片と絶縁膜とセンサ箔からなり、該薄膜基板は測定対象に貼付されて該測定対象と共に歪むもので、前記ひずみ伝達片は該薄膜基板上に形成されそれぞれ一端が該薄膜基板に固定されて測定スパンが決められ、前記絶縁膜は前記ひずみ伝達片と前記センサ箔との間に配置され、前記センサ箔と前記ひずみ伝達片は前記絶縁膜を介して貼付され、前記センサ箔は電気良導体でなり断面積が前記ひずみ伝達片より小さいブリッジ部が前記対になったひずみ伝達片のギャップの間に渡されるように形成され、前記測定スパンの間のひずみが前記センサ箔に集中して該センサ箔の破断ひずみを超えると該センサ箔が破断することにより前記測定対象のひずみが所定のひずみを超えたことを検知するもので、前記センサ箔の破断が電気的に検出できることを特徴とするひずみ感知センサ。
【請求項2】
前記ブリッジ部が、前記ひずみ伝達片の幅より狭い幅を持つ部分を有することを特徴とする請求項1記載のひずみ感知センサ。
【請求項3】
前記絶縁膜は、前記センサ箔の前記ブリッジ部を除く略全面を覆う範囲に拡がることを特徴とする請求項1又は2に記載のひずみ感知センサ。
【請求項4】
前記1対のひずみ伝達片がひずみの検出方向に沿った方向に並んで配置され、前記センサ箔は該ひずみ伝達片が相互に離れる方向に歪むひずみを検知することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のひずみ感知センサ。
【請求項5】
前記1対のひずみ伝達片がひずみの検出方向に垂直の方向に並んで配置され、前記センサ箔は該ひずみ伝達片が相互にずれる方向に歪むひずみを検知することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のひずみ感知センサ。
【請求項6】
前記センサ箔は前記ひずみ伝達片の応力を集中して応力拡大する形状を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のひずみ感知センサ。
【請求項7】
前記センサ箔が前記ひずみ伝達片の上まで広がって電極を形成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のひずみ感知センサ。
【請求項8】
前記センサ箔は破断ひずみが20%以下の材料で形成されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のひずみ感知センサ。
【請求項9】
前記薄膜基板がインバーで形成され、前記センサ箔がニッケルで形成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のひずみ感知センサ。
【請求項10】
前記ひずみ伝達片は該ひずみ伝達片を囲繞し該ひずみ伝達片の一部が接続する補強枠を備え、該ひずみ伝達片と該補強枠は同じ1枚の薄膜材料から形成されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のひずみ感知センサ。
【請求項11】
前記ひずみ伝達片は電鋳法、エッチング、型抜き法のいずれかで形成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のひずみ感知センサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2013−40956(P2013−40956A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232532(P2012−232532)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【分割の表示】特願2005−262866(P2005−262866)の分割
【原出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】