説明

へテロ環状シクロパミン類似体及びその使用方法

本発明は、ヘッジホッグ経路関連障害、特に癌の処置に有用なステロイド系アルカロイドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にシクロパミン類似体、その医薬組成物ならびにそのような類似体及び組成物の使用方法に関する。これらの化合物及び組成物は癌及び乾癬などのヘッジホッグにより媒介される疾患ないし障害の処置に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
ヘッジホッグポリペプチドは、ヘッジホッグ経路においてシグナル伝達(ないしシグナリング)として機能する分泌型タンパク質である。ヒトにおいては、ソニックヘッジホッグ(SHH)、デザ−トヘッジホッグ(DHH)及びインディアンヘッジホッグ(IHH)の3つの異なる形態のヘッジホッグタンパク質が発見されている。ソニックヘッジホッグは、哺乳類において最も一般的なヘッジホッグメンバ−であり、また、ヘッジホッグファミリ−の中で、最もよく特徴づけられたリガンドである。分泌前に、SHHは、分子内切断と脂質修飾反応を受ける。この脂質修飾されたペプチドがシグナル伝達活性を担う。
【0003】
ヘッジホッグ経路の阻害は、ある種の癌において、腫瘍増殖の阻害をもたらすことが示されている。例えば、抗ヘッジホッグ抗体は、ヘッジホッグ経路の機能に拮抗(ないしアンタゴナイズ)し、腫瘍の増殖を阻害することが示されている。また、ヘッジホッグ経路活性の小分子阻害(Small molecule inhibition)がいくつかの癌種(タイプ)で細胞死をもたらすことを示されている。
【0004】
この技術分野の研究は主としてヘッジホッグ経路の生物学の解明及び新たなヘッジホッグ経路阻害剤の発見に焦点を当てて来た。ヘッジホッグ経路の阻害剤は確認されているが、ヘッジホッグ経路のより有効ないし強力な阻害剤を特定する必要がなおある。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明は、シクロパミンの類似体、医薬組成物及びそれらの使用方法に関する。本発明は、式(1a)及び(1b)の化合物、互変異性体、飽和誘導体及びその薬学上許容される塩を含む:

[式1a又は1b中;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−SR20、−OR20、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は−[(W)−S]20であり;
、R及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ニトリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルセレノ、アラルキルセレノ、アリールセレノ、アルキルチオ、アラルキルチオ又はアリールチオであり;
は、Hであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
あるいはR及びRは、一緒になって=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
10及びR11は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
あるいはR及びR10は一緒になって結合を形成し;
あるいはR10及びR11は一緒になって結合を形成し;
20は、それぞれ独立して(independently for each occurrence)、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又は−[C(R)−R21
あるいは任意の2つのR20(any two occurrences of R20)は、一緒になってN、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の任意に置換された環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
23は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、=O、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、 −S(O)20、 −S(O)N(R20)(R20)、 −N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
24は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり;
−T−T−T−は、Y−B−A、B−Y−A又はA−B−Yであり;
A及びBは、それぞれ独立して、N、S又はC(R23)であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;
Yは、−O−、−S−又は−N(R24)−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]。
【0006】
本発明はさらに、上記に定義の化合物を含む医薬組成物、ある疾患の処置のため、さらにin vitro又はex vivoでのヘッジホッグ経路の阻害のためのこれらの化合物及び組成物の使用方法、治療におけるそのような化合物の使用、そして薬物の製造のためのそのような化合物の使用を含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
本明細書で使用される用語の定義は、化学及び製薬分野の各用語に関して認識されている技術の現状を組み込むことを意図するものである。適宜、例を示す。これらの定義は、個々に又はより大きな群の一部として特定の例において限定される以外、本明細書で用いられる際の用語に当てはまる。
【0008】
本明細書において、例えば、アルキル、m、nなどの各表現の定義は、任意の構造において1回を超えて現れる場合、同じ構造の他所でのその定義とは独立であるものとする。
【0009】
本明細書において「アシル」とは、一般式R−C(=O)−(ここで、Rは、H、アルキル、アリール又はアラルキルであり得る)の基を指す。典型的なアシル基では、RはH又は任意に置換され(得)るC1−C6アルキルであるか、又はRはアラルキルであってもよく、ここで、このアラルキルのアリール部分は5〜7員の芳香族又は複素芳香環であり、かつ、そのアルキル部分はC1−C4アルキレン基であり;かつ、アルキル部分及びアリール部分の双方は、このような基に関して本明細書に記載されているように、任意に置換され(得)る。ベンジル、p−メトキシベンジル及びフェニルエチルは典型的なアラルキルの例である。
【0010】
「アシルアミノ」とは、一般式:

[この一般式中、R50は、以下に定義されるとおりであり、R54は、水素、アルキル、アルケニル又は(CH2)−R61を表す(ここで、m及びR61は以下に定義されるとおりである)]によって表すことができる部分を指す。
【0011】
「アルケニル」及び「アルキニル」とは、少なくとも1つのそれぞれ二重結合又は三重結合を含むこと以外は以下に記載されるアルキルに、長さ及び可能な置換という点で類似する不飽和脂肪族基を指す。アルケニル及びアルキニル基は、利用可能な価数によって許容される範囲まで、アルキル基に対する置換基として適する同様の基で置換可能である。典型的なアルケニル及びアルキニル基はその主鎖構造に2〜10個の炭素を含む。
【0012】
「アルコキシル」又は「アルコキシ」とは、(それに結合した)酸素ラジカルを有する、以下で定義されるアルキル基を指す。代表的なアルコキシル基は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ及びtert−ブトキシなどを含む。アルコキシ基のアルキル部分はアルキル基様の大きさであり、利用可能な価数によって許容される範囲まで、アルキル基に対する置換基として適する同様の基で置換することができる。
【0013】
「アルキル」とは、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基及びシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基の基を指す。ある実施形態において、直鎖又は分枝鎖アルキルは、その主鎖に30以下(例えば、直鎖ではC−C30、分枝鎖ではC−C30)、20以下の炭素原子を有する。典型的には、アルキル基はその主鎖として1〜10個の炭素原子を含み、置換型であっても非置換型であってもよい。同様に、あるシクロアルキルは、その環構造に3〜10個の炭素原子を有し、その環構造に5、6又は7個の炭素を有することができる。特に断りのない限り、アルキル及びシクロアルキル基は、単独であれアラルキル基などの別の基の一部としてのものであれ、限定されるものではないが、ハロゲン、アジド、オキソ、アシル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、オキシミノ、アミド、アシルアミノ、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボン酸又はそれらのエステルもしくはアミド、シリル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又は複素芳香族部分、−CF及びCNなどのような好適な置換基により置換することができる。
【0014】
アルキル、アルケニル又はアルキニルがアルコキシ、アルキルチオなどの別の基の一部であるか、又は別の基上の置換基である場合、それは、しばしば、任意に置換された6個までの炭素原子を有する低級アルキル基又は低級アルケニル基又はアルキニル基である。このような目的では、典型的な置換基は、ハロ、−OR’、−SR’、−SOR’、−SONR’、COOR’、CONR’、オキソ、−NR’、NR’C(O)R’、NR’C(O)OR’、NR’SOR’、OC(O)R’を含む(ここで、各R’は、独立してH又は非置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル又はC2−C6アルキニルである)。
【0015】
「アルキルチオ」とは、(それに結合した)硫黄ラジカルを有する、上記で定義されたアルキル基を指す。ある実施形態では、「アルキルチオ」部分は−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル及びS−(CH−R61(m及びR61は以下に定義される)で表される。代表的なアルキルチオ基としては、メチルチオ及びエチルチオなどが挙げられる。
【0016】
「アミド(amido及びamide)」とは、アミノ置換カルボニルとして当該技術分野で認識(art recognized)されており、一般式:

(この一般式中、R50及びR51は以下に定義されるとおりである)
で表すことができる部分を含む。本発明においてアミドの或る実施形態には、不安定であり得るイミドは含まないだろう。
【0017】
「アミン」及び「アミノ」とは、当該技術分野で認識されており、非置換型及び置換型双方のアミン、例えば、一般式:

[この一般式中、R50、R51、R52及びR53は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、−(CH−R61を表す(R61はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環又は多環を表し;mは0又は1〜8の整数である)、[あるいは]R50及びR51(又は4級/チャ−ジ形態のR50及びR52)はそれが結合しているN原子と一緒になって、環構造に4〜8原子を有する複素環を完成する]
で表すことができる部分を指す。他の実施形態では、R50及びR51(及び任意にR52)は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル又は−(CH−R61を表す。したがって、「アルキルアミン」は、それと結合した置換又は非置換アルキルを有する(すなわち、R50及びR51の少なくとも1つがアルキル基である)上記で定義されたアミン基を含む。
【0018】
本明細書において「アラルキル」とは、単独であれ、例えばアラルキルオキシなどの基の名称の一部としてのものであれ、本明細書に記載のアリール基(例えば、芳香族又は複素芳香族基)で置換された本明細書に記載のアルキル基を指す。各アラルキル基のアルキル部分及びアリール部分の双方は典型的には任意に置換され(得)る。典型的なアラルキル基としては、例えば、一般式Ar−(CH−(この一般式中、Arはアリール環を表し、tは1〜6の整数である)を含む。
【0019】
本明細書において「アリール」とは、単独であれ、例えば「アリールオキシ」などの別の名称の一部としてのものであれ、環員としてN、O及びSから選択される0〜4個のヘテロ原子を含み得る5員、6員及び7員の単環芳香族基、ならびに例えば、ベンゼン、アントラセン、ナフタレン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジンなどのような環を含んでなる縮合二環式系及び三環式系(fused bicyclic an tricyclic systems)を含む。環構造にヘテロ原子を有するアリール基は、「アリール複素環」又は「複素芳香族」とも称される。芳香環は、1以上の環位置において、上記のような、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボニル含有基、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分、−CF又はCNなどの置換基で置換されてもよい。「アリール」には、2以上の炭素が2つの隣接する環に共有されている(該環は「縮合環」である)2以上の環式環(多くの場合、2つの環又は3つの環)を有する多環式環系も含む(この場合、これらの環の少なくとも1つは芳香族であり、例えば、他の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はヘテロシクリルである)。いくつかの実施形態では、各アリールはフェニル、チオフェン、フラン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール及びイソチアゾールから選択される。フェニルがときどき、好ましい。
【0020】
「ブレンステッド酸」とは、水素イオン(プロトン)供与体として働き得る任意の物質を指す。
【0021】
「カルボニル含有基」とは、一般式:

[この一般式中、X50は結合であるか、あるいは酸素又は硫黄を表し、R55及びR56は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、−(CH−R61又は薬学上許容される塩を表す(ないし与える)陽イオンを表し、m及びR61は上記で定義されたとおりである]
により表し得るような部分を含む。カルボニル含有基が存在する場合のいくつかの実施形態では、それはカルボン酸又はエステル又はアシルオキシ基であり;X50は、このような実施形態ではOであり、かつ、R55又はR56は、存在する場合には、H又は任意に置換されたアルキル基であり得る。
【0022】
「ジラジカル」とは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロアラルキル基(それぞれ任意に置換され(得)る)に由来する任意の一連の二価の基を指す。例えば、

はアルキルジラジカルであり;

もアルキルジラジカルであり;

はアラルキルジラジカルであり;また


は(アルキル)ヘテロアラルキルジラジカルである。典型的な例は、一般構造(CH(この一般構造式中、xは1〜6である)のアルキレン;2〜6個の炭素原子と、1以上の二重結合又は三重結合とを有する対応するアルケニレン及びアルキニレンリンカー;3〜8環員を有するシクロアルキレン基;(CHC(=O)(CH(この式中、a及びbはそれぞれ0〜4の整数である)などの基;及び

及びその異性体など、1つの開放原子価(ないしオ−プンバレンス:open valence)がアリール環上にあり、かつ1つ(他の開放原子価)アルキル部分にあるアラルキル基を含む。ジラジカルのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロアラルキル部分は、上記のように任意に置換され(得)る。
【0023】
本明細書において「ハロアルキル」とは、任意の位置の1〜全部の水素がハライドで置換されたアルキル基を指す。「パーハロアルキル」は、全部の水素がハライドで置換されたアルキル基を指す。
【0024】
「ヘテロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」とは、本明細書に記載のアルキル及びシクロアルキル基を指す(そのアルキル又はシクロアルキル部分の少なくとも1つの炭素原子がN、O及びSから選択されるヘテロ原子で置換されている)。典型的な例は、メトキシメチル、アリルチオエチル、ジメチルアミノエチル及びテトラヒドロフラニルが挙げられる。
【0025】
本明細書において「ヘテロ原子」とは、炭素又は水素以外のいずれかの元素の原子を意味する。ヘテロ原子の例は、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄及びセレン(セレニウム)を含む。典型的には、ヘテロ原子は、N、O及びSから選択される。
【0026】
「ヘテロシクリル」又は「複素環式基」とは、その環構造が少なくとも1つの炭素原子と、1〜4個のヘテロ原子とを含む、3〜10員の環構造、いくつかの例では3〜7員環を指す。複素環はまた多環でもあり得る。ヘテロシクリル基は、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、トリアゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム(アゼチジノン及びピロリジノンなど)、スルタム及びスルトンなどを含む。複素環式環は1以上の位置で、上記のように、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボニル含有基、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又は複素芳香族部分、−CF又はCNなどのような置換基で置換することができる。
【0027】
「ルイス酸」とは、電子対受容体として働き得る任意の物質を指す。
【0028】
炭素の数が特に明示されていなければ、本明細書において「低級アルキル」とは、その主鎖構造に1〜10個の炭素、いくつかの実施形態では1〜6個の炭素原子を有する上記で定義されたアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」も同様の鎖長を有する[アルケニル基及びアルキニル基を意味する]。あるアルキル基は、低級アルキルである。いくつかの実施形態において、本明細書にアルキルとして示されている置換基は低級アルキルである。
【0029】
本明細書において「ニトロ」とは−NOを意味し;「ハロゲン」とは−F、−Cl、−Br又はIを表し;「スルフヒドリル」とは−SHを意味し;「ヒドロキシル」とは−OHを意味し;そして「スルホニル」とは−SO−を意味する。
【0030】
本明細書において「任意に置換され(得)る、ないし任意に置換された」とは、明示された基が非置換型であってもよいし、あるいはその明示された基の利用可能な価数と一致するまで、1以上の置換基で置換され(得)ることを示す。いくつかの実施形態では、任意に置換され(得)る基はそれぞれ4個までの置換基又は0〜3個の置換基で置換される。
【0031】
「オキソ」とは、カルボニル酸素(=O)を指す。
【0032】
「ポリシクリル」又は「多環式基」とは、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通している2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はヘテロシクリル)を指し、例えば、それらの環は「縮合環」である。非隣接原子を介して結合されている環は「架橋」環と呼ばれる。この多環の各環は、上記のように、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボニル含有基、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又は複素芳香族部分、−CF又は−CNなどのような置換基で置換され得る。
【0033】
本明細書において「保護基」とは、所望でない化学変換から潜在的な反応性官能基を保護する一時的な置換基を意味する。このような保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、ならびにアルデヒドのアセタール、ケトンのケタールそれぞれが挙げられる。保護基化学の分野は、総説されている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 第二版; Wiley:New York、1991)。
【0034】
本明細書において「糖」とは、1以上のピラノース及び/又はフラノース環を含む天然又は非天然の単糖、二糖、オリゴ糖を指す。この糖は、本発明のステロイド系アルカロイドにエーテルの架橋(linkage)を介して、又はアルキルの架橋(linkage)を介して共有結合されてもよい。ある実施形態において、この糖部分は、本発明のステロイド系アルカロイドに、糖環のアノマー中心において共有結合されていてもよい。糖は、限定されるものではないが、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、グルコース及びトレハロースを含む。
【0035】
「トリフリル」、「トシル」、「メシル」及び「ノナフリル」とは、それぞれトリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル及びノナフルオロブタンスルホニル基を指す。「トリフレート」、「トシレート」、「メシレート」及び「ノナフレート」とは、それぞれ、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル及びノナフルオロブタンスルホン酸エステル官能基及び前記の基を含む分子を指す。
【0036】
「チオキソ」とは、カルボニル硫黄(=S)を指す。
【0037】
省略形のMe、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Msは、それぞれメチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル及びメタンスルホニルを指す。当技術分野の通常の知識を有する有機化学者が用いる省略形の総覧はJournal of Organic Chemistryの初版の各巻に見られ、この一覧は典型的にはStandard List of Abbreviationsと題された表に示される。
【0038】
「置換」又は「で置換された」とは、このような置換が置換された原子及び置換基の許容される原子価と一致し、かつ、該置換が安定な(例えば、再配列、環化、除去による変換などの変換を自然に起こさない)化合物になるという暗示の条件を含むと理解される。
【0039】
2つの基が「一緒になって結合を形成する」場合であって、かつ、それ以外において互いに直接結合していない(2つの)原子に、これらの基が(それぞれ)結合している場合には、係る2つの基は、それらが結合している原子の間の結合を表す。これらの基が互いに直接結合している(2つの)原子上に(それぞれ)ある場合は、2つの基は互いに直接結合している2つの原子の間の付加的結合を表す。よって、例えば、R及びRが一緒になって結合を形成している場合、構造−C(A)R−C(B)R−は−C(A)=C(B)−を表す。
【0040】
本発明は、式(1a)及び(1b)の化合物、互変異性体、飽和誘導体及びその薬学上許容される塩を含む:

[式(1a)及び(1b)中;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−SR20、−OR20、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は−[(W)−S]20であり;
、R及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ニトリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルセレノ、アラルキルセレノ、アリールセレノ、アルキルチオ、アラルキルチオ又はアリールチオであり;
は、Hであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
あるいはR及びRは、一緒になって=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
10及びR11は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
あるいはR及びR10は一緒になって結合を形成し;あるいはR10及びR11は一緒になって結合を形成し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又は−[C(R)−R21であるか;
あるいは任意の2つのR20は、一緒になってN、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の任意に置換された環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
23は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、=O、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、 −S(O)20、 −S(O)N(R20)(R20)、 −N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
24は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり;
−T−T−T−は、Y−B−A、B−Y−A又はA−B−Yであり;
A及びBは、それぞれ独立して、N、S又はC(R23)であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;
Yは、−O−、−S−又は−N(R24)−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]。
【0041】
本発明のある化合物は、特に、幾何異性型又は立体異性型で存在し得る。本発明は、本発明の範囲内にあるものとして、シス−及びトランス−異性体、R−及びS−鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、それらのラセミ混合物、及びそれらの他の混合物を含む、このような化合物の全てを意図する。付加的な不斉炭素原子が、アルキル基のような置換基中に存在していてもよい。このような異性体ならびにそれらの混合物は全て、本発明中に含まれるものとする。本発明の化合物に互変異性型の可能性がある場合、本発明は各互変異性型を含む。キラル中心の立体化学が明白に描写又は記載されていなければ、その構造はその中心に各異性体を含む。構造の図に化合物の絶対的な立体化学が描写されている場合、その描写されている異性体は好ましい実施形態であり、具体的描写されている各化合物のラセミ混合物も本発明の実施形態である。
【0042】
いくつかの実施形態では、式(1a)及び(1b)の化合物に存在するR、R、R、R10、R11は、それぞれ、H又はアルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、任意に置換されたC1−C6アルキル、メチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、又はエチルがときどき好ましい。ある実施形態では、R、R、R、R10及びR11は、Hであり、いくつかの実施形態では、Rは、Rと一緒になって結合を形成し、あるいは、R10は、R11と一緒になって結合を形成する。
【0043】
式(1a)又は(1b)の化合物のいくつかの上記の実施形態では、R及びRは、一緒になって結合を形成し、従って、式(1a)又は(1b)中のR及びR上の炭素は、二重結合によって連結される。
【0044】
いくつかの上記の実施形態では、R及びRは、それぞれ、Hであり;あるいは、R及びRは、一緒になって=O又は=Sを形成する。
【0045】
いくつかの上記の実施形態では、Yは−O−又は−N(R24)−である。
【0046】
いくつかの上記の実施形態では、Xは、結合であり、他の実施形態では、Xは、CHである。
【0047】
上記の実施形態におけるWは、ジラジカルであり、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、アラルキルジラジカル、(アルキル)アリールアルキルジラジカル又は(アルキル)ヘテロアリールアルキルジラジカルであり得る。 いくつかの実施形態では、Wは、式(CHのアルキレンである(この式中、tは、1〜6であり、しばしば、tは、1〜4である)。W又はWの任意の一部分は、典型的にアルキル又はアリール基に適する置換基で置換することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、Rは、W及びpで定義され(ここで、pは、0〜6の整数である);いくつかの好ましい実施形態では、pは、1である。
【0049】
いくつかの上記の実施形態では、Rは、H又は、任意に置換されたC1−C6アルキルを含むアルキルである。他の実施形態では、Rは、C(=O)R20又はCOOR20を含むアシル基である(これらの式中、R20は、上記で定義されたとおりである)。これらの実施形態におけるR20の特定の例は、メチル、 エチル、tert−ブチル、フェニル及びベンジルを含む。他の実施形態では、Rは、OHである。他の実施形態では、Rは、SOR’(この式中R’は、C1−C6アルキル)である。
【0050】
いくつかの上記の実施形態では、R及びRは、双方ともHである。他の[実施形態]では、R及びRは、一緒になって結合を形成し、従って、R及びRにおいて炭素を連結する結合は、二重結合である。
【0051】
それぞれの(at each occurrenc)R20は、独立して、上記で定義されたとおりに選択される。いくつかの上記の実施形態では、存在する各R20は、独立して、H又は任意に置換されたC1−C6アルキルである。2つのR20が同一原子上又は隣接する原子上にある場合、それらは、上記で定義されたとおり、4−8環員を有する任意に置換された環を形成するように環化し得、いくつかの上記の実施形態では、同一原子上の2つのR20は、環員としてN、O、S及びPから選択されるヘテロ原子を2つまで有する5又は6員環を形成するように環化する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR20は、−[C(R)−R21であり、及び/又は各RはHであり、及び/又はqは0−2である。
【0052】
式(1a)、(1b)、(6a)及び(11b)では、−T−T−T−は、上記で記載されたとおり、縮合複素芳香族基を形成するようシクロヘキサン環に縮合される。上記の実施形態では、−T−T−T−は、ときどき、CR23−NR24−N、CR23−N−NR24、CR23−O−N又はCR23−N−Oを表す。これらの実施形態の他の例では、−T−T−T−は、N−O−CR23、N−NR24−CR23又はNR24−N−CR23を表す。このような実施形態では、R24は、H、任意に置換されたC1−C6アルキル、C(O)R20、CO20、CON(R20又はSO20であり得;これらの実施形態では、R20は、H、C1−C6アルキル又はベンジルなどのアラルキルであり得る。式(1a)、(1b)、(6a)及び(11b)の他の実施形態では、−T−T−T−は、−S−CR23−N−又は−O−CR23−N−である。上記実施形態の全てにおいてR23は、H、ハライド又はCFを含む任意に置換されたC1−C6アルキルであり得る。これらの実施形態では、しばしば、R24は、H、C1−C6アルキル又は−SO2−[C1−C6アルキル]である。
【0053】
いくつかの実施形態では、式(1a)の化合物は、式(6a):

(6a)
[式(6a)中;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−SR20、−OR20、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は−[(W)−S]20であり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
あるいはR及びRは、一緒になって=O又は=Sを形成し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R)−R21であり;
あるいは任意の2つのR20は、一緒になってN、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の任意に置換された環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(heterocycyl [sic、heterocyclyl])、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
23は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、=O、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
24は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり;
−T−T−T−は、Y−B−A、B−Y−A又はA−B−Yであり;
A及びBは、それぞれ独立して、N、S又はC(R23)であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;
Yは、−O−、−S−又は−N(R24)−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]
又はその互変異性体、飽和誘導体、薬学的に許容可能な塩によって表される。
【0054】
式(6a)の化合物のいくつかの実施形態では、Xは、結合であり、他[の実施形態]では、Xは、CHである。
【0055】
いくつかの上記の式(6a)の化合物の実施形態では、Yは、−O−であり、そのような実施形態の他では、Yは、−N(R24)−である。このような実施形態では、R24は、上記で定義されたとおりであり、 いくつかの実施形態では、R24は、H、C1−C6アルキル又はCOOR20又はSO20である(これらの式中R20は、C1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)アルキルであり、ここで各アルキル又はアリールは、任意に置換される)。
【0056】
式(6a)の化合物のこのような実施形態では、Rは、上記で定義されたとおりである。いくつかの上記の実施形態では、Rは、H、C1−C6アルキル、COOR20又はSO20である(これらの式中、R20は、C1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)アルキルであり、 ここで各アルキル又はアリールは、任意に置換される)。いくつかの実施形態では、pは、1である。
【0057】
他の実施形態では、式(1b)の化合物は、式(11b):

[式11b中;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−SR20、−OR20、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は−[(W)−S]20であり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
あるいは、R及びRは、一緒になって=O又は=Sを形成し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R)−R21であり;
あるいは、任意の2つのR20は、一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の任意に置換された環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(heterocycyl [sic、heterocyclyl]);アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
23は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、=O、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
24は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり;
−T−T−T−は、Y−B−A、B−Y−A又はA−B−Yであり;
A及びBは、それぞれ独立して、N、S又はC(R23)であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;
Yは、−O−、−S−又は−N(R24)−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]
の化合物又はその互変異性体、飽和誘導体、薬学的に許容可能な塩である。
【0058】
式(11b)の化合物のいくつかの実施形態では、Xは、結合であり、他の実施形態では、Xは、CHである。
【0059】
いくつかの上記の式(11b)の化合物の実施形態では、Yは、−O−であり、他のこのような実施形態では、Yは、−N(R24)−である。このような実施形態では、R24は、上記で定義されたとおりであり、いくつかの実施形態では、R24は、H、C1−C6アルキル、COOR20又はSO20である(これらの式中、R20は、C1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)アルキルであり、ここで各アルキル又はアリールは、任意に置換される。
【0060】
式(11b)の化合物のこのような実施形態では、Rは、上記で定義されたとおりである。いくつかの上記の実施形態では、Rは、H、C1−C6アルキル、COOR20又はSO20である(これらの式中、R20は、C1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)アルキルであり、ここで、 各アルキル又はアリールは、任意に置換される。いくつかの実施形態では、pは、1である。
【0061】
或る実施形態では、式(1a)又は(1b)の化合物は、以下の化合物及びその互変異性体、飽和誘導体、薬学的に許容可能な塩から選択される:





【0062】
本発明の化合物の薬学上許容される塩は、例えば、無毒の有機酸又は無機酸からの、化合物の通常の無毒の塩又は第四級アンモニウム塩を含む。例えば、このような通常の無毒の塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸に由来するもの;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などのような有機酸から調製される塩を含む。
【0063】
他の場合において、本発明の化合物は1以上の酸性官能基を含んでもよく、従って、製薬上許容される塩基で薬学上許容される塩を形成することができる。これらの例において、「薬学上許容される塩」とは、本発明の化合物の比較的無毒の無機塩基付加塩及び有機塩基付加塩を指す。これらの塩は同様に、投与ビヒクル中でのin situで又は投与形態(薬剤)製造ステップで調製することもできるし、あるいは遊離酸の形態の精製化合物を、薬学上許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩などの好適な塩基と、又はアンモニアと、又は薬学上許容される有機第一級アミン、第二級アミンもしくは第三級アミンとを別に反応させて調製することもできる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウムの塩などを含む。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどを含む(例えば、上記Berge et al.,参照)。
【0064】
別の視点において、本発明は、上記の実施形態の何れかに記載の式(1a)又は(1b)の化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩の少なくとも1つと、少なくとも1つの薬学上許容される賦形剤とを混合して含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、上記実施形態の何れかによれば、医薬組成物内の化合物は、式(6a)又は(11b)の化合物である。
【0065】
別の視点において、本発明は、有効量の本明細書に記載の化合物を対象ないし被験者に投与することを含む、ヘッジホッグ経路により媒介される症状ないし状態を処置する方法を提供する。本発明はまた、有効量の本明細書に記載の化合物を対象に投与することを含む、対象においてヘッジホッグ経路に拮抗ないし対抗(アンタゴナイズ)する方法も提供する。本発明はまた、治療上有効な量の本明細書に記載の化合物を対象に投与することを含む、対象において癌を処置する方法も提供する。このような癌は、中枢神経系の癌及び消化管の癌を含む。本発明はさらに、患者の細胞においてヘッジホッグ経路の活性化を低減ないし抑制するのに十分な量の本明細書に記載の化合物を患者に投与することを含む、過剰増殖性疾患を有すると診断された患者においてヘッジホッグ経路の活性化を阻害する方法を提供する。
【0066】
本発明は、さらに、治療で使用する式(1a)、(1b)、(6a)及び/又は(11b)の化合物そしてそれらの医薬組成物(ないし薬剤)を提供する。本発明は、さらに、薬剤の製造で使用する式(1a)、(1b)、(6a)及び/又は(11b)の化合物を提供する。本発明は、さらに、ヘッジホッグ経路により媒介される疾患を処置する医薬(薬剤)の製造で使用する式(1a)、(1b)、(6a)及び/又は(11b)の化合物を提供する。
【0067】
別の視点において、本発明は、式(1a)又は(1b)の任意の上記実施形態に記載の少なくとも1つの化合物又はその薬学上許容される塩又はその医薬組成物を対象に投与することを含む、ヘッジホッグ経路の過度な活性によって苦しむ対象を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、上記実施形態の何れかによれば、医薬組成物中の化合物は、式(6a)又は(11b)の化合物である。いくつかの実施形態では、対象は、過剰増殖性疾患を有すると診断された対象であり、いくつかの実施形態では、過剰増殖性疾患は、癌である。
【0068】
ステロイド系アルカロイド化合物の合成
上記のステロイド系アルカロイド誘導体は天然ステロイド系アルカロイド又はその合成類似体から直接調整することができる。ある例では、ステロイド系アルカロイド出発物質はシクロパミン又はジェルビン(jervine)であり得る。これらのステロイド系アルカロイドは商業的に購入もできるし、又はVeratrum californicumから抽出することもできる。便宜上、シクロパミンの環に類似の本発明の化合物の環は、ときどき、環A−Fとして識別される環

に関して、シクロパミンの環との類似性によって記載されるだろう。
【0069】
上記の化合物は、本発明の技術分野においてよく知られた方法の組合せを使用すれば、多種多様な方法で合成することができる。ある例では、その化合物は、シクロパミンなどのステロイド系化合物由来の1−ケト−3−アール(1-keto-3-als)を、置換及び非置換のヒドラジン、N−ヒドロキシルアミン又はN−メルカプトアミンなどの様々な二官能性の求核剤で縮合することによって合成することができる。1−ケト−3−(N−クロロ)−イミンを、非置換のヒドラジン、N−ヒドロ−アミン又はN−メルカプトアミンで縮合して、多種多様な5員複素環を取得(ないしアクセス)することができる。A環に二重結合を有する化合物の[3+2]シクロ付加反応は、例えば、ピロリジン、イソオキサゾリジン、1、2、3−トリアジン及びそれらの不飽和誘導体を取得(ないしアクセス)することに使用することができる。アルファハロケトンを、第一級チオ−アミドと縮合してチオゾール(thioazoles [sic, thiazoles])を取得(ないしアクセス)することができる。
【0070】
ある例では、本発明の化合物は6員又は7員のD環を含み得る。6員のD環を有する化合物は、ジェルビン又はシクロパミンなどのある種の天然物から取得できる。要するに、スキームAの例で示されているように、7員のD環類似体は、好適なステロイド系アルカロイドのD環をシクロプロパン化した後に、得られたシクロプロパン化生成物をルイス酸又はブレンステッド酸で処理して、7員のD環類似体を生成する環拡大再配列を触媒することによって、得ることができる。
【0071】
スキームA 7員のD環の形成例

このD環の環拡大は、A環及びB環の修飾(ないし修正、変更)などの構造への他の修飾又は本願明細書に記載の他の縮合環の付加の前後に行うことができる。これらの環拡大類似体は、当技術分野で公知の種々の官能基化反応を用いてさらに官能基化することができる。代表的な例としては、アルケニルハライド又はアリールハライドへのパラジウムカップリング反応、酸化、還元、求核試薬との反応、求電子試薬との反応、ペリ環状反応、保護基の設置及び保護基の除去などが挙げられる。
【0072】
医薬組成物(薬剤)
本明細書に開示される化合物又はその塩は、1以上の薬学上許容される担体(添加剤)及び/又は希釈剤を用いて投与に好適な組成物へと処方することができる。医薬組成物は、以下に適合したものを含む固体又は液体状で投与のために特別に処方することができる:(1)経口投与、例えば、水薬(水性又は非水性の溶液又は懸濁物)、錠剤、例えば口内、舌下及び全身吸収を対象とするもの、カプセル、ボーラス、粉末、顆粒、舌へ適用するためのペースト;(2)非経口投与、例えば、無菌溶液もしくは懸濁液、又は徐放性処方物などの皮下、筋肉内、静脈内又は硬膜外注射によるもの;(3)局所適用、例えば、クリーム、軟膏又は放出制御性パッチ若しくは皮膚へ適用されるスプレー;(4)膣内又は直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム又はフォームとしてのもの;(5)舌下投与;(6)眼球投与;(7)経皮投与;(8)肺投与;又は(9)経鼻投与。
【0073】
医薬組成物に採用され得る好適な水性又は非水性担体の例は、水、PBSなどの水性緩衝液、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物(液)、オリーブオイルなどの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用、分散物の場合には、要求される粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0074】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、滑沢剤及び/又は抗酸化剤などの助剤を含んでもよい。本明細書に開示されている化合物に対する微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール及びフェノールソルビン酸などを包含することによって確保することができる。また、糖類及び塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物に含ませるのも望ましい。さらに、注射可能薬剤形の吸収の延長は、モノステアリン酸アルブミンやゼラチンなど、吸収を遅らせる薬剤を包含させることによって達成することができる。
【0075】
これらの処方物又は組成物の調製方法は、化合物と担体及び任意的に1以上の補助成分とを会合させるステップを含む。一般的に、当該処方物は、化合物と液体担体もしくは微粉固体担体又はその両方とを均一かつ緊密に会合させた後、必要に応じてその製品を成形することによって調整される。
【0076】
本明細書に開示されている化合物がヒト及び動物に医薬として投与される場合、それ自体で与えることもできるし、あるいは例えば薬学上許容される担体と組み合わせた0.1〜99%、又は約10〜50%、又は約10〜40%、又は約10〜30%、又は約10〜20%、又は約10〜15%の有効成分を含む医薬組成物として与えることもできる。
【0077】
医薬組成物における当該有効成分の実際の投与レベルは、患者に毒性を与えることなく、特定の患者の所望の治療応答を達成するのに有効な有効成分量、組成及び投与様式が得られるように可変である。
【0078】
選択される用量レベルは、使用する特定の化合物又はそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用する特定の化合物の排泄又は代謝率、吸収の割合及び程度、処置期間、使用する特定の化合物と組み合わせて使用する他の薬剤、化合物及び/又は物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、健康状態及び病歴ないし治療暦、ならびに医薬分野において周知の同様の因子を含む種々の因子に依存するだろう。
【0079】
一般に、本明細書に開示されている化合物の好適な一日量は、治療効果を得るのに有効な最低用量の化合物量であるだろう。このような有効量は一般に、上記の諸因子に依存するだろう。一般に、患者のための当該化合物の経口用量、静脈内用量及び皮下用量は、示された効果のために用いられる場合、一日に体重1キログラム当たり約0.0001〜約200mg、又は約0.001〜約100mg、又は約0.01〜約100mg、又は約0.1〜約100mg、又は約1〜約50mgの範囲であるだろう。
【0080】
当該化合物は、毎日、1日おき、週に3回、週に2回、毎週、又は2週間おきに投与することができる。投与計画は「休薬」を含むことができ、すなわち、2週間投与して1週間休む、又は3週間投与して1週間休む、又は4週間投与して1週間休むなど、又は休薬なしに連続的に投与することができる。当該化合物は経口投与、静脈内投与、腹膜内投与、局所投与、経皮投与、筋肉内投与、皮下投与、鼻腔内投与、舌下投与又は他の任意の経路で投与することができる。
【0081】
この処置を受ける対象は、霊長類、特にヒト、ならびにウマ、ウシ、ブタ及びヒツジなどの他の哺乳類、一般には家禽及びペットを含む、必要とする任意の動物である。
【0082】
処置方法
ヘッジホッグシグナル伝達は、多くの発達段階、とりわけ左右対称の形成において、必須である。ヘッジホッグシグナル伝達の欠損又は減少は、複数の発達上の欠損及び形成異常(それらのうち最も著しいものの一つが単眼奇形である)をもたらす。
【0083】
多くの腫瘍及び増殖性症状がヘッジホッグ経路によるものであることが示されている。このような細胞の増殖及び生存は本明細書に開示されている化合物による処置によって影響を受け得る。最近、孤発性基底細胞癌において(Xie et al. (1998) Nature 391: 90-2)、また、中枢神経系の原始神経外胚葉性腫瘍において(Reifenberger et al. (1998) Cancer Res 58: 1798-803)、ヘッジホッグ経路突然変異の活性化が起こっていることが報告された。ヘッジホッグ経路の制御されない活性化はまた、膵臓癌、食道癌、胃癌を含む消化管癌(Berman et al. (2003) Nature 425: 846-51, Thayer et al. (2003) Nature 425: 851-56)、肺癌(Watkins et al. (2003) Nature 422: 313-317)、前立腺癌(Karhadkar et al. (2004) Nature 431: 707-12, Sheng et al. (2004) Molecular Cancer 3: 29-42, Fan et al. (2004) Endocrinology 145: 3961-70)、乳癌(Kubo et al. (2004) Cancer Research 64: 6071-74, Lewis et al. (2004) Journal of Mammary Gland Biology and Neoplasia 2: 165-181)、及び肝細胞癌(Sicklick et al. (2005) ASCO conference, Mohini et al. (2005) AACR conference)などの多数の癌種でも示されている。
【0084】
例えば、ヘッジホッグ経路の小分子阻害(Small molecule inhibition)は、基底細胞癌(Williams , et al., 2003 PNAS 100: 4616-21)、髄芽細胞腫(Berman et al., 2002 Science 297: 1559-61)、膵臓癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51)、胃腸癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51, 公開PCT出願WO05/013800)、食道癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51)、肺癌(Watkins et al., 2003. Nature 422: 313-7)及び前立腺癌(Karhadkar et al., 2004. Nature 431: 707-12)の成長を阻害することが示されている。したがって、本明細書に記載の化合物及び組成物は、髄芽細胞腫、膵臓癌、消化器系の癌、肺癌及び前立腺癌の処置に有用である。
【0085】
さらに、例えば、乳癌(Kubo et al., 2004. Cancer Research 64: 6071-4)、肝細胞癌(Patil et al., 2005. 96th Annual AACR conference, abstract #2942 Sicklick et al., 2005. ASCO annual meeting, abstract #9610)、血液性悪性腫瘍(Watkins and Matsui, 未発表の結果)、基底癌(Bale & Yu, 2001. Human Molec. Genet. 10:757-762 Xie et al., 1998 Nature 391: 90-92)、髄芽細胞腫(Pietsch et al., 1997. Cancer Res. 57: 2085-88)及び胃癌(Ma et al., 2005 Carcinogenesis May 19, 2005 (Epub))などの多くの癌種がヘッジホッグ経路の制御されない活性化を有していることが示されている。さらに、研究者らは、ヘッジホッグ経路の小分子阻害が乾癬の症状を改善することを示している(Tas, et al., 2004 Dermatology 209: 126-131)。実施例に示されるように、本明細書に開示されている化合物はヘッジホッグ経路を調節(modulate)することが示され、選択された化合物が腫瘍成長を阻害(inhibit)することが示されている。従って、これらの化合物は種々の癌などの種々の過剰増殖性疾患を処置することに有用であり得ると考えられる。
【0086】
本明細書で開示されている方法を用いて処置することができる増殖性障害は、肺癌(小細胞肺癌及び非小細胞肺癌)、他の肺系の癌、髄芽細胞腫及び他の脳癌、膵臓癌、基底細胞癌、乳癌、前立腺癌及び他の尿生殖器癌、胃腸間質腫瘍(GIST)及び他の消化管の癌、結腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、造血系の癌(多発性骨髄腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫ならびに骨髄異形成症候群を含む)、真性赤血球増加症、ワルデンストロームマクログロブリン血症、重鎖病、軟組織肉腫(繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、黒色腫及び他の皮膚癌)、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、肝嚢胞腺癌(stadenocarcinoma[sic, cystadenocarcinoma])、髄様癌腫、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、膀胱癌及び他の尿生殖器癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭癌、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴覚神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、子宮内膜癌、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、原発性骨髄化生、過好酸球増加性症候群、全身性肥満細胞症、家族性過好酸球増加症、慢性好酸球性白血病、甲状腺癌、神経内分泌癌及びカルチノイド腫瘍が挙げられる。さらなる障害としては、ゴーリン症候群及び乾癬を含む。
【0087】
この処置を受ける対象は、霊長類、特にヒト、ならびにウマ、ウシ、ブタ及びヒツジなどの他の哺乳類、一般には家禽及びペットを含む、必要とする任意の動物である。
【0088】
本明細書で開示されているヘッジホッグ阻害剤は他の癌処置と組み合わせることができる。例えば、それらは外科処置;放射線;生物療法(例えば、インターフェロン、サイトカイン、例えば、インターフェロンα、インターフェロンγ及び腫瘍壊死因子、造血系成長因子、モノクローナル血清療法、ワクチン及び免疫賦活薬など);抗体(例えば、アバスチン(avastin)、エルビタックス(Erbitux)、リツキサン(Rituxan)及びベクサー(Bexxar));内分泌療法(ペプチドホルモン、コルチコステロイド、エストロゲン、アンドロゲン及びアロマターゼ阻害剤を含む);抗エストロゲン作用薬(例えば、タモキシフェン(Tamoxifen)、ラロキシフェン(Raloxifene)及びメゲストロール(Megestrol));LHRH作用薬(例えば、ゴスクルクリン(goscrclin)及び酢酸ロイプロリド(Leuprolide acetate);抗アンドロゲン作用薬(例えば、フルタミド(flutamide)及びビカルタミド(Bicalutamide));遺伝子療法;骨髄移植;光線力学療法(例えば、ベルテポルフィン(vertoporfin[sic、verteporfin])(BPD−MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4及びデメトキシ−ヒポクレリンA(2BA−2−DMHA));及び化学療法薬と組み合わせることができる。
【0089】
化学療法薬の例は、ゲムシタビン、メトトレキサート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルバジン、エトポシド、プレドニゾロン、デキサメタゾン、シタラビン(cytarbine[sic, cytarabine])、カンプトテシン(campathecins[sic, camptothecins])、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビンが挙げられる。さらなる薬剤としては、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン及びメルファラン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU))、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン及びトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン及びテモゾロマイド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビン)、タキソイド(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)、エピポドフィリン(例えば、エトポシド、テニポシド、トポテカン、9−アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン、クリスナトール及びマイトマイシンC)、代謝拮抗剤、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキサート及びトリメトレキサート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン及びEICAR)、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤(例えば、ヒドロキシ尿素及びデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラチトレキセド及びカペシタビン)、シトシン類似体(例えば、シタラビン(ara C)、シトシンアラビノシド及びフルダラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン及びチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例えば、EB1089、CB1093及びKH1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン作動性神経毒(例えば、1−メチル−4−フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD及びダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2及びペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン及びミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミール)、Ca2+ATPアーゼ阻害剤(例えば、タプシガーギン)、イマチニブ、サリドマイド、レナリドミド、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ及びスニチニブ及びプロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブを含む)を含む。
【0090】
本明細書で開示されているヘッジホッグ阻害剤が付加的治療薬、放射線もしくは外科術のような他の処置と組み合わせて投与される場合、各薬剤又は療法の用量はほとんどの例で単剤療法の対応する用量よりも低くないし少なくなるだろう。また、一般に、本明細書に記載のヘッジホッグ阻害剤及び第二の治療薬は同じ医薬組成物で投与する必要はなく、異なる物理化学的特徴のために、異なる経路で投与してもよい。例えば、1つの化合物を経口投与し、第二の治療薬を静脈投与することができる。可能である場合、同じ医薬組成物での投与の様式及び適否(advisability)の決定は、十分に、通常の知識を有する(陶業)臨床医の技術範疇内である。最初の投与は当技術分野でステップの確立されたプロトコルに従って行なうことができ、その後、当業臨床医によって、観察される効果に基づいて、用量、投与様式及び投与時間を修正することができる。
【0091】
ヘッジホッグ阻害剤及び第二の治療薬及び/又は放射線は、増殖性疾患の性質、患者の状態及び投与される第二の治療薬及び/又は放射線の実際の選択に応じて、並行(例えば、同時、本質的に同時もしくは同じ処置プロトコル内で)又は逐次(すなわち、一方の後に他方を任意の時間をあけて)投与することができる。
【0092】
ヘッジホッグ阻害剤及び第二の治療薬及び/又は放射線を同時に又は本質的に同時に投与しない場合には、最適な投与順序は、条件が異なれば異なり得る。よって、ある状況においては、最初に当該ヘッジホッグ阻害剤を投与した後に第二の治療薬及び/又は放射線を投与することができ、他の状況においては、最初に第二の治療薬及び/又は放射線を投与した後にヘッジホッグ阻害剤を投与することができる。この交互投与は単一の治療プロトコル内で繰り返してもよい。処置される疾病及び患者の状態を評価した後に、治療プロトコル内での各治療剤の投与順序及び投与の繰り返し回数を決定することは、十分に、通常の知識を有する医師の技術範疇内である。例えば、特に第二の治療薬が細胞毒性薬剤である場合に、第二の治療薬及び/又は放射線を最初に投与し、ヘッジホッグ阻害剤を投与し、ここで有利であると判断された場合に、第二の治療薬の投与及び/又は放射線治療をおこなうことによって、治療プロトコルが完了するまで処置を継続することができる。
【実施例】
【0093】
一般的に記載する本発明は、下記の実施例を参照すればより容易に理解されるであろう。なお、下記の実施例は、単に本発明のある視点及び実施形態を示すために含まれ、本発明を限定するものではない。

実施例1

ステップA

シクロパミン2(5.02g、12.2mmol、1.0当量)を無水ピリジン(25mL)に溶解した。DMAP(300mg、2.44mmol、0.2 当量)及びトリエチルアミン(5.5mL、39.1mmol、3.2当量)を加え、次にBtO−Cbz(10.5g、39.1mmol、3.2当量)を加え、混合溶液を40℃で2時間加熱した。混合溶液を室温まで冷却し、30mLの水で処理し、均質な溶液が得られるまで加熱し、室温まで放冷した。生じた白色沈殿を濾取し、濾過ケ−キを水(3×50mL)で洗浄し、風乾して9.53gの未精製物質を得、これをトルエン/ヘプタン(1:9、70mL)から結晶化させて6.75gの目的生成物[3]を得た。
【0094】
ステップB

−20℃のジエチル亜鉛(572mg、482μL、4.63mmol、3当量)DCM溶液(5.0mL)に、反応温度を−80℃未満に維持しつつ、ビス(2、6−ジメチルフェニル)リン酸(1.42g、4.63mmol、3当量)DCM溶液(15mL)を加えた。この溶液を15分間0℃で熟成させ、無希釈ジヨ−ドメタン(1.24g、374μL、3当量)を加え、混合溶液を(ビス−CBz−シクロパミン、1.05g、1.54mmol、1.0当量)のDCM溶液(10mL)を加える前に、15分間0℃で熟成させた。冷却浴を室温の水浴に置き換え、4.5時間室温で維持した。この混合溶液をドライアイス−アセトン浴で−76℃まで冷却し、反応温度を−74℃未満に維持しつつ、メタンスルホン酸DCM溶液(0.6mL 50%v/v溶液 4.63mmol、3.0当量)で滴下処理した。混合溶液を15−20分間熟成させ、反応温度を−65℃未満に維持しつつ、モルホリン(2.69g、2.70mL、20当量)を滴下して、反応を抑えた。冷却浴を取り外し、反応混合溶液を16−18時間攪拌し、白色沈殿を濾去し、濾液を2.0M HCl(2×20mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×20mL)、水(2×20mL)及び鹹水(20mL)で連続的に洗浄した。その後、これを硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮して乾固させ、未精製物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 17:3→4:1)により精製し、924mg(1.33mmol、86%)の目的生成物[4]を得た。
【0095】
ステップC

化合物4(4.05g、5.83mmol、1当量)のEtOAc:トルエン(2:1、60mL)溶液に、炭素に担持した20%水酸化パラジウム(823mg、0.583mmol、0.1当量)を加えた。このフラスコを排気し、水素を3回充填した。この混合物を水素雰囲気下で1時間攪拌した。無希釈エチレンジアミン(0.38mL)を加え、この混合溶液を1時間攪拌し、触媒を濾去した。濾過ケーキをEtOAc:トルエン(2:1、12mL)で2回洗浄した。合わせた濾液を2%エチレンジアミン水溶液(3×20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮し、2.46gの化合物5を白色の結晶固体として得た。
【0096】
ステップD

丸底フラスコにホモアリールアルコール14[sic, 5](7.50g、17.6mmol、1当量)、アルミニウムtert−ブトキシド(6.10g、24.8mmol、1.4当量)、無水トルエン(115mL)及び2−ブタノン(90g、1.24mol、7当量)を順次入れた。この懸濁液を窒素雰囲気下で、75℃まで16時間加熱した。次に、反応温度を49℃まで放冷した。攪拌した懸濁液に20%(W/W)酒石酸カリウムナトリウム水溶液(226g)を加えた。懸濁液を室温で3.5時間攪拌した。層を分けた。有機層を20%ロシェル塩水溶液(2×250mL)及び水(225mL)で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。残渣をトルエン(3.0ml)でリンスし、排出した。合わせた有機層を濃縮乾固させた。2−プロパノール(250mL 数回に分けて添加)から最終溶液質量が44gとなるまで濃縮することによって、この物質から残りの反応溶媒を除去した。2−プロパノールからN−ヘプタン(275mL 数回に分けて添加)に溶媒交換を行って最終溶液質量41gとしたところ、完全に目的生成物が沈殿した。懸濁液をさらなるN−ヘプタン(40mL)で希釈し、室温で1時間攪拌し、濾過した。この生成物をN−ヘプタン(17mL)で洗浄し、乾燥させ、5.4gの目的生成物[6]を得た。
【0097】
ステップE

丸底フラスコに出発物質6(110mg、0.26mmol、1当量)及び10%パラジウム/炭素(palladium on carbon)(106mg)を入れた。これらの固体をピリジン(4mL)に懸濁させた。この懸濁液を水素雰囲気下(1気圧)に置き、この混合溶液を室温で一晩攪拌した。反応混合溶液をセライトで濾過し、濾液を真空濃縮した。未精製物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(MeOH/DCM 5:95)を用いて精製し、93mgの目的化合物[7]を得た。
【0098】
ステップF

丸底フラスコに化合物7(4.23g、9.94mmol、1当量)及びTHF(60mL)を入れた。トリエチルアミン(6.92mL、49.7mmol、5.0当量)及びクロロギ酸ベンジル(1.54mL、10.93mmol、1.1当量)を加え、この混合溶液を室温で1時間攪拌した。反応混合溶液を飽和炭酸水素水溶液(100mL)とEtOAc(100mL)とに分液した。層を分け、有機層を乾燥し(NaSO)、濃縮乾固させた。未精製物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 2:98→14:86)を用いて精製し、3.75gの物質[8]を得た。
【0099】
ステップG

乾燥した丸底フラスコにKOtBu(0.57g、5.1mmol、7当量)及びtBuOH(6mL)を入れ、室温で10分間攪拌した。化合物8(0.3g、0.73mmol、1当量)を加え、5分間攪拌した。白色懸濁液が黄色透明溶液になった。ギ酸エチル(0.35mL、4.4mmol、6当量)を滴下で加えると、この溶液は少し不透明になり、気泡を発した。泥状物を室温で48時間攪拌した。次に、混合溶液をMTBE/1%NaOH(2x20mL)で分液した。pHが5に達するまで、水層を2NHClで酸性化し、次に、クロロホルム(2X)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して乾固させ、200mgの淡黄色泡沫[9]を得た。この物質を、さらに精製することなしに、次のステップで使用した。
【0100】
ステップH

化合物9(200mg、0.33mmol、1.0当量)のピリジン溶液(4mL)を110℃で加熱し、ヒドロキシルアミンHCl水溶液(71mg、1.0mmol、3当量)(1.2mL)で処理した。4時間の攪拌後、混合溶液を水とDCMとに(それぞれ30mL)分液した。有機層を1MHCl水溶液(30ml)で洗浄し、次に鹹水(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮した。未精製残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(10→40% エーテル/ヘキサン)により精製し、[3、2−c]−イソキサゾールを白色固体(87.0mg)として得た。
【0101】
攪拌棒及びゴム隔膜を備えたフラスコ内で生成カルバメートイソキサゾールをEtOAc(7mL)に溶解した。この溶液を窒素でスパージし、10%Pd/C(湿潤、DeguSSaタイプE101、Aldrich、25mg)を加えた。この混合溶液を窒素、次いで水素ガスでスパージし、室温で2時間攪拌した。その後、この混合溶液を窒素でスパージし、0.45μmポリエチレン膜で濾過し、濃縮し、透明油状物とした。この油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.5%水酸化アンモニウム/2→10%MeOH/DCM)により精製し、純粋な分画を濃縮して油状物を得、これを7%水/tBtOHから凍結乾燥させ、目的生成物[1]を白色粉末として得た(37mg:[M+H]=451.7m/z)。
【0102】
実施例2



化合物9(100.0mg、0.17mmol、1.0当量)のエタノール溶液(4mL)を、ヒドラジン(16mg、0.34mmol、2.0当量)で処理し、70℃で0.5時間加熱した。混合溶液を真空濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(20→60% エーテル/ヘキサン)により精製し、保護ピラゾールを白色固体(72.0mg)として得た。
【0103】
攪拌棒及びゴム隔膜を備えたフラスコ内で生成カルバメートイソキサゾールをEtOAc(7mL)に溶解した。この溶液を窒素でスパージし、10%Pd/C(湿潤、DegussaタイプE101、Aldrich、25mg)を加えた。この混合溶液を窒素、次いで水素ガスでスパージし、室温で2時間攪拌した。その後、この混合溶液を窒素でスパージし、0.45μmポリエチレン膜で濾過し、濃縮し、透明油状物とした。この油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.5%水酸化アンモニウム/2→10%MeOH/DCM)により精製し、純粋な分画を濃縮して油状物を得、これを7%水/tBtOHから凍結乾燥させ、目的生成物[10]を白色粉末として得た(37mg:[M+H]=450.6m/z)。
【0104】
実施例3

ヒドラジンの代わりにメチルヒドラジンを使用して、化合物11を実施例2に記載の手法に従って生成した([M+H]=464.7m/z)。
【0105】
実施例4



化合物9(100.0mg、0.17mmol、1.0当量)のエタノール溶液(4mL)を、ヒドラジン(16mg、0.34mmol、2.0当量)で処理し、70℃で0.5時間加熱した。混合溶液を真空濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(20→60% エーテル/ヘキサン)により精製し、保護ピラゾールを白色固体(72.0mg)として得た。
【0106】
Cbz−保護ピラゾール(200mg、0.34mmol、1.0当量)をピリジン(4mL)に溶解し、室温で攪拌しつつ、メタンスルホン酸クロリド(117mg、1.03mmol、3当量)で処理した。30分後、混合溶液をEtOAc(40mL)と、水(20mL)とに分液した。有機層を鹹水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮した。結果として生じた油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(10→20%EtOAc/ヘキサン)で精製し、透明の油状物(150mg)を得た。
【0107】
攪拌棒及びゴム隔膜を備えたフラスコ内で、メタンスルホン酸ピラゾールをEtOAc(15mL)に溶解した。この溶液を窒素でスパージし、10%Pd/C(湿潤、DegussaタイプE101、Aldrich、50mg)を加えた。この混合溶液を窒素、次いで水素ガスでスパージし、室温で2時間攪拌した。その後、この混合溶液を窒素でスパージし、0.45μmポリエチレン膜で濾過し、濃縮し、透明油状物とした。この油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.5%水酸化アンモニウム/2→10%MeOH/DCM)により精製し、純粋な分画を濃縮して油状物を得、これを7%水/tブタノールから凍結乾燥させ、目的生成物を白色粉末として得た(78mg:[M+H]=528.8m/z)。
【0108】
実施例5

化合物10(60mg、0.13mmol、1.0当量)をMeI(38mg、0.27 mmol、2 当量)が入ったDCM(1mL)に溶解し、炭酸カリウム(74mg、0.53mmol、4.0当量)と共に室温で激しく攪拌した。1時間攪拌した後、混合溶液をDCM(20mL)と水とに分液し、水層を2分画のDCM(20mL)で抽出した。合わせた有機層を鹹水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮した。結果として生じた油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.5%水酸化アンモニウム/1→6%MeOH/DCM)により精製し、純粋な分画を濃縮して、油状物を得、これを7%水/tブタノールから凍結乾燥させ、目的生成物[13]を白色粉末として得た(18mg:[M+H]=464.6m/z)。
【0109】
実施例6

化合物10(80.0mg、0.19mmol、1.0当量)をジイソプロピルエチルアミン(115mg、0.9mmol、5当量)が入った無水DCM(2mL)に溶解し、アセチルクロリド(42mg、0.54mmol、3当量)で処理した。室温で30分間攪拌した後、混合溶液を真空濃縮した。結果として生じた残渣を1:1THF/MeOH(5mL)に再溶解し、1.5時間攪拌しつつ、水酸化アンモニウム(0.5mL)で処理した。この混合溶液を真空濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.5%水酸化アンモニウム/1→8%MeOH/DCM)により精製し、透明の油状物を得、これを7%水/tブタノールから凍結乾燥させ、目的生成物[14]を白色粉末として得た(14mg:[M+H]=492.5m/z)。
【0110】
実施例7

ステップA

乾燥した丸底フラスコにKOtBu(0.70 g、6.3mmol、7当量)及びtBuOH(10mL)を入れ、溶液を室温で10分間攪拌した。化合物8(0.5g、0.89mmol、1当量)を加え、5分間攪拌した。エチルトリフルオロ酢酸(0.64ml、5.4mmol、6当量)を滴下で加えると、この溶液は少し不透明になり、気泡を発した。泥状物を室温で48時間攪拌した。混合溶液をDCM(40mL)で希釈し、水(2x30mL)で洗浄した。有機層を鹹水(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して乾固させ、550mgの淡いオレンジ色泡沫[16]を得た。この物質を、さらに精製することなしに、次のステップで使用した。
【0111】
ステップB

化合物16(210mg、0.32mmol、1.0当量)のエタノール溶液(4mL)をヒドラジン(32mg、0.64mmol、2.0当量)で処理し、80℃で1.5時間加熱した。この溶液を真空濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(20→55%EtOAc/ヘキサン)により精製し、3−トリフルオロメチルピラゾールを白色固体(95.0mg)として得た。
【0112】
攪拌棒及びゴム隔膜を備えたフラスコ内で生成カルバメートピラゾールをEtOAc(7mL)に溶解した。この溶液を窒素でスパージし、10%Pd/C(湿潤、DegussaタイプE101、Aldrich、25mg)を加えた。この混合溶液を窒素、次いで水素ガスでスパージし、室温で2時間攪拌した。その後、この混合溶液を窒素でスパージし、0.45μmポリエチレン膜で濾過し、濃縮し、透明油状物とした。この油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.5%水酸化アンモニウム/2→14%MeOH/DCM)により精製し、純粋な分画を濃縮して油状物を得、これを7%水/tブタノールから凍結乾燥させ、目的生成物[15]を白色粉末として得た(42mg:[M+H]=518.8m/z)。
【0113】
実施例8

ステップA

乾燥した丸底フラスコにKOtBu(0.57g、5.1mmol、7当量)及びtBuOH(6mL)を入れ、室温で10分間攪拌した。化合物7(0.3g、0.73mmol、1当量)を加え、5分間攪拌した。ギ酸エチル(0.35mL、4.4mmol、6当量)を滴下で加えると、この溶液は少し不透明になり、気泡を発した。泥状物を室温で48時間攪拌した。混合溶液をMTBE/1%NaOH(2×20mL)で分液した。pHが5に達するまで、水層を2NHClで酸性化し、次に、クロロホルム(2X)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して乾固させ、200mgの淡黄色泡沫[18]を得た。この物質を、さらに精製することなしに使用した。
【0114】
ステップB

丸底フラスコに化合物18(195mg、0.44mmol、1当量)を入れた。この物質をEtOH(3mL)に溶解し、ヒドラジン(43μL、0.89mmol、2当量)を加えた。結果として生じる混合溶液を対流するように加熱した。1時間後、溶液を室温まで冷却した。濾過した溶液からの固形状物を壊し、ヘプタンで洗浄し、乾燥させ、19mgの目的物質([M+H]=436.4m/z)を得た。
【0115】
実施例9

ステップA

丸底フラスコにカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(580mg、1.04mmol、1当量)を入れ、無水THF(12mL)に溶解した。反応混合溶液を−74℃まで冷却した。反応溶液に化合物8(310mg、1.55mmol、1.5当量)を入れた。混合溶液を0.5時間攪拌し、クロロトリエチルシラン(234mg、1.55mmol、1.5当量)無水THF溶液(2mL)を[加えた]。反応混合溶液を0.5時間攪拌し、水(10mL)を加えた。反応混合溶液を室温まで温め、EtOAcで抽出した。有機[層]を分画し、乾燥させ、濃縮して乾固させた。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 2%→6%)を使用して精製し、目的物質を得た。
【0116】
ステップB

丸底フラスコに37%ホルムアルデヒド水溶液(329mg、4.05mmol、5当量)を入れ、THF(10mL)で希釈した。反応溶液を−20℃まで冷却し、出発物質[20](546mg、0.810mmol、1当量)のTHF(2mL)溶液及び1MテトラブチルアンモニウムフロリドTHF(1.06g、4.05mmol、5当量)を入れた。混合溶液を−20℃で0.5時間攪拌し、鹹水とEtOAcとに分液した。有機層を分画し、乾燥させ、真空濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン10%→20%)を使用して精製し、目的物質[21]を得た。
【0117】
ステップC

丸底フラスコに化合物21(100mg、0.169mmol、1当量)を入れ、DCM(5mL)に溶解した。反応溶液を0℃まで冷却し、デス- マーチンペルヨージナン(Dess-Martin periodinane、144mg、0.339mmol、2当量)を入れた。混合溶液を0℃で0.5時間攪拌した。反応混合溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とEtOAcとに分液した。有機層を分画し、乾燥させ、真空濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン5%→10%)を使用して精製し、目的物質[22]を得た。
【0118】
ステップD

丸底フラスコに化合物22(50mg、0.085mmol、1当量)を入れ、EtOH(3mL)に溶解した。反応溶液にヒドラジン(27mg、0.851mmol、10当量)を入れた。混合溶液を80℃まで加熱し、攪拌した。0.5時間後、反応混合溶液を真空濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン50%)を使用して精製し、目的物質[23]を得た。
【0119】
ステップE

丸底フラスに化合物23(43mg、0.074mmol、1当量)及び炭素に担持した10%パラジウム(8mg)を入れた。固形状物をEtOAc(3mL)に懸濁した。懸濁液を水素雰囲気下に置き、混合溶液を20時間室温で攪拌した。反応混合溶液を濾過し、濾液を真空濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(MeOH/DCM 0%→5%)を使用して精製し、目的物質[19]([M+H]=450.5m/z)を得た。
【0120】
実施例10
ステップA

室温の化合物10(72mg、0.16mmol、1当量)のクロロホルム溶液(1.4ml)に、ピリジン(215mg、2.72mmol、17当量)を加えた。結果として生じた混合溶液を0℃まで冷却し、過酸化ベンゾイル(388mg、1.60mmol、10当量)で処理した。混合溶液を1.5時間攪拌し、室温まで温まるようにした。反応混合溶液を水(10ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウムでpHを7〜8に調節し、次に、クロロホルム(2×15ml)で抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濾過して真空乾燥させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 97:3)により精製した。目標化合物30を得た(26mg、0.046mmol、〜30%収量)。
【0121】
ステップB

室温の化合物30(26mg、0.046mmol、1当量)のメタノール溶液(0.8ml)を、2N水酸化カリウム(19mg、0.342mmol、7.5当量)で処理した。結果として生じる溶液を2時間攪拌した。反応混合溶液を水(10ml)で希釈し、1NHClでpHを6〜7に調節し、次にクロロホルム(3x10ml)で抽出し、合わせた有機層をNaSO及び真空中で乾燥させた。残渣を調製用TLC(クロロホルム/メタノール 90:10)により精製した。目的分画を凍結して、乾燥させ、化合物31を粉末として得た(11mg、0.024mmol、〜52%収量)。
【0122】
実施例11

ステップA

丸底フラスコに化合物33(2.0g、3.40mmol、1当量)を入れ、トルエン(25mL)に溶解した。反応溶液にDDQ(0.849g、3.74mmol、1.1当量)を入れた。混合溶液を0.5時間室温で攪拌した。次に、反応混合溶液を元の容量の10%まで真空濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc10%→20%)を使用して精製し、目的物質34を得た。
【0123】
ステップB

丸底フラスコに[上記目的物質]34(123mg、0.21mmol、1当量)、DMF(3mL)及びMeOH(8.5μL、2.1mmol、10当量)を入れた。この溶液に二クロム酸ピリジニウム(424mg、1.2mmol、6当量)を加えた。泥状物を4日間25℃で攪拌した。混合溶液をEtOAc及び水で希釈した。混合溶液をセライトのパッドを介して濾過し、EtOAcでリンスし、次に、層をカット(分画)した。水層を、1分画のEtOAcで抽出した。合わせた有機層を1NHClで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して乾固させた。未精製物質(232mg)をCHClで溶解し、SiOカラム(6g)に乗せ、ヘキサン/EtOAc(20%)で溶出し、目的エステル35(36mg)を得た。
【0124】
ステップC

丸底フラスコに[上記目的エステル]35(35mg、0.057mmol、1当量)及び3mgの10%Pd/C(湿潤、Aldrich DegussaタイプE101)を入れた。この物質をEtOH(3mL)に懸濁させた。フラスコを密封し、水素で3回パージし、1気圧水素下に一晩放置した。泥状物を0.2ミクロンアクロディスク(Acrodisc)を介して濾過し、EtOHで洗浄した。溶媒を〜3mlまで減圧濃縮した。脱保護化する中間体のエタノール性の溶液にヒドラジン水和物(10μl、0.22mmol、4当量)を加え、混合溶液を70℃まで4時間加熱した。この反応の生成物を沈殿させ、2−プロパノール、次にヘプタンにより追跡した。残渣をCHCl/MeOH(10%)で溶出するSiOカラム(1g)によって精製した。主要生成物をt−BuOH/7%HOから凍結乾燥させ、15mgのピラゾロン32([M+H]=466.5m/z)を得た。
【0125】
化合物40−45を上述の技術と同様の技術を使用して生成した。

【0126】
実施例12



出発物質(50.0mg)をDCM(1.5ml)に懸濁し、炭酸水素ナトリウム(28mg、0.33mmol、3当量)水(0.50ml)溶液と共に激しく攪拌した。混合溶液をメタンスルホン酸無水物(28mg、0.11mmol、1当量)で処理し、15分間室温で攪拌した。混合溶液を酢酸エチルと水とに分液し、次に有機層を鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮して得られた残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(50→100%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、白色固体の化合物40(10mg:[M+H]=528.1m/z)を得た。
【0127】
実施例13

出発物質(100.0mg、0.22mmol、1当量)をDCM(3.0ml)に懸濁し、ピリジン(88mg、1.1mmol、5当量)と共に攪拌した。混合溶液をメタンスルホン酸無水物(97mg、0.55mmol、2.5当量)で処理し、15分間室温で攪拌した。混合溶液を酢酸エチルと水とに分液し、次に有機層を鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮して得られた残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(20→50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、白色固体状の化合物41(50mg:[M+H]=606.1m/z)を得た。
【0128】
実施例14

ステップA

10: 1ジオキサン/水(25ml)に懸濁した出発物質(300mg、0.51mmol、1当量)、酢酸ナトリウム(42mg、0.51mmol、1当量)及び酢酸(30mg、0.51mmol、1当量)の混合溶液をN−ブロモコハク酸イミド(95mg、5.4mmol、1.05当量)で処理し、室温で14時間攪拌した。混合溶液を酢酸エチルと水とに分液し、次に有機層を鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮して得られた残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5→30%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、透明油状物をブロモケトン異性体(62mg)の混合溶液として得た。
【0129】
ステップB

このブロモケトン混合溶液をエタノール(1ml)に溶解し、3時間加熱してチオアセタミド(33mg、0.44mmol、4.6当量)と共に対流させた。混合溶液を酢酸エチルと水とに分液し、次に有機層を鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮して得られた残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5→35%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、白色固体(35mg)を得た。この物質をエタノール(4ml)に溶解し、水素雰囲気下で20mgの10%Pd/C(湿潤、Degussaタイプ)と共に1.5時間室温で攪拌した。混合溶液を濾過し、その濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0.5% NHOH/1→10%メタノール/ジクロロメタン)によって精製し、透明油状の化合物42(16mg:[M+H]=481.1m/z)を得た。
【0130】
実施例15

出発物質(140.0mg、0.24mmol、1当量)をDCM(3.0ml)に懸濁し、ピリジン(95mg、1.2mmol、5当量)と共に攪拌した。混合溶液をトルエンスルホニルクロリド(54mg、0.288mmol、1.2当量)で処理し、2時間室温で攪拌した。混合溶液を酢酸エチルと水とに分液し、次に有機層を鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮して得られた残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5→30%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、白色固体を得た。この物質を1:1エタノール/酢酸エチル(4ml)に溶解し、水素雰囲気下で30mgの10%Pd/C(湿潤、Degussaタイプ)と共に、1.5時間室温で攪拌した。混合溶液を濾過し、その濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0.5%NHOH/1→14%メタノール/ジクロロメタン)によって精製し、透明油状の化合物43(64mg:[M+H]=604.1m/z)を得た。
【0131】
実施例 16



0℃の無水ジクロロメタン(7ml)、クロロスルホニルイソシアネート(1.0g、7.06mmol、1当量)、ベンジルアルコール(764mg、7.06mmol、1当量)を、30分間し、1M Cbz−スルファモイルクロリド溶液を生成した。別のフラスコ内で、出発物質(100.0mg、0.22mmol、1当量)をピリジン(88 mg、1.1 mmol、5当量)と共にDCM(3.0ml)に溶解し、Cbz−スルファモイルクロリド(0.55ml、mmol、2.5当量)で処理し、5分間室温で攪拌した。混合溶液を酢酸エチルと水とに分液し、次に有機層を鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮して得られた残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.25%酢酸/ 80→100%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、白色固体を得た。この物質を0.25%酢酸の1:1エタノール/酢酸エチル(4ml)に溶解し、水素雰囲気下で、25mgの10%Pd/C(湿潤、Degussaタイプ)と共に1時間室温で攪拌した。混合溶液を濾過し、濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0.25%酢酸/80→100%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、透明白色固体状の化合物44(32 mg:[M+H]=529.1m/z)を得た。
【0132】
実施例17

乾燥した丸底フラスコにKOtBu(0.49g、4.4 mmol、7当量)及びtBuOH(5mL)を入れ、その溶液を室温で10分間攪拌した。出発物質(0.349g、0.623mmol、1当量)を加え、5分間攪拌した。白色懸濁液は、透明黄色液になった。ギ酸エチル(0.30mL、3.75mmol、6当量)を滴下で加えると、この溶液は少し不透明になり、気泡を発した。泥状物を室温で48時間攪拌した。次に、混合溶液をMTBE/1%水酸化ナトリウム水溶液(2x20mL)間に分画した。水層をpHが5に達するまで2NHClで酸性化し、次に、クロロホルムで2回抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して乾固させ、200mgの淡黄色泡沫を得た。この物質を、さらに精製することなしに、次のステップで使用した。
【0133】

2−ホルミルケトン(262 mg、0.45mmol、1.0当量)のエタノール溶液をヒドラジン水和物(50mg、0.90mmol、2.0当量)で処理し、80℃で0.5時間加熱した。その混合溶液を真空濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(20→60%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、保護ピラゾールを白色固体(151mg)として得た。攪拌棒及びゴム隔膜を備えたフラスコ内で、中間体カルバメートを1:1エタノール/酢酸エチル(4mL)に溶解した。その溶液を窒素でスパージし、10%Pd/C(湿潤、DegussaタイプE101、Aldrich、30mg)を加えた。この混合溶液を窒素、次に水素ガスでスパージし室温で2時間攪拌した。混合溶液を濾過し、この油状物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.5%水酸化アンモニウム/1→10%メタノール/ジクロロメタン)によって精製された透明油状になるまで濃縮し、7%水/tBuOHから凍結乾燥させた油状物を得、目的生成化合物45を白色粉末(108.8mg:450.1[M+H]=m/z)として得た。
【0134】
実施例18
ステロイド性アルカロイドを使用した培養細胞におけるヘッジホッグ経路の阻害
ヘッジホッグ経路特異的癌細胞死滅作用は、以下のアッセイを用いて確認することができる。C3H10T1/2細胞はソニックヘッジホッグペプチド(Shh−N)と接触した際に骨芽細胞へ分化する。分化に際し、これらの骨芽細胞は、酵素アッセイで測定可能な高レベルのアルカリ性ホスファターゼ(AP)を生成する(Nakamura et al., BBRC(1997) 237: 465)。従って、C3H10T1/2の骨芽細胞への分化(Shh依存現象)を遮断する化合物は、AP生成の低下によって同定することができる(van der Horst et al., Bone(2003) 33: 899)。アッセイの詳細を以下に記載する。分化アッセイの結果(阻害の概略EC50)を下記の表1に示す。
【0135】
細胞培養
マウス胚性中胚葉線維芽細胞C3H10T1/2細胞(ATCCから入手)を、空気雰囲気下、5%CO、37℃で、10%熱失活FBS(Hyclone)、50ユニット/mlペニシリン及び50μg/mlストレプトマイシン(Gibco/Invitrogen)を添加した基本MEM培地(Gibco/Invitrogen)で培養した。
【0136】
アルカリ性ホスファターゼアッセイ
C3H10T1/2細胞を96ウェルプレートに8×10細胞/ウェルの密度で蒔いた。細胞を集密状態まで(72時間)増殖させた。ソニックヘッジホッグ(250ng/ml)及び/又は化合物で処理した後、細胞を、110μlの溶解バッファー(50mM トリス pH7.4、0.1%トライトンX100)に溶解させ、プレートを超音波処理し、溶解物を0.2μmPVDFプレート(Corning)を介してスピンした。40μlの溶解物を、1mg/ml p−ニトロフェニルリン酸を含むアルカリ性バッファー溶液(Sigma)内でAP活性についてアッセイした。37℃で30分間インキュベートした後、プレートをEnvisionプレートリーダーにて405nmで読み取った。Pierce社のBCAタンパク質アッセイキットを製造者の説明書に従って用いて総タンパク質を定量した。AP活性を全タンパク質に対してノーマライズ(ないし規格化)した。注)「A」は、IC50が20nM未満であることを示し、「B」は、IC50が20〜100nMであることを示し、「C」は、IC50が>100nMであることを示す。
【0137】
表1 阻害の概略EC50

【0138】
実施例19:膵臓癌モデル
化合物10の活性をヒト膵臓モデル(:BxPC−3細胞をマウス右足の側部に皮下移植したモデル)でさらに試験した。腫瘍移植42日後に、マウスをビヒクル(30%HPBCD)又は化合物10のいずれかの投与を受ける2つの群に無作為化した。化合物10を40mg/kg/日で経口投与した。25回の日用量投与を受けた後、化合物12は、ビヒクルコントロールと比べて、腫瘍量の増加を37%統計上低減した(p=0.0437)。この実験の終了時に、HH経路遺伝子のq−RT−PCR分析により標的応答を評価するため、最終投与から4時間後に腫瘍を採取した。ヒトGli−1の分析では変化は見られなかった。マウスGli−1 mRNAレベルの分析では、ビヒクル処理群に比べた場合、化合物処理群に強い抑制制御(ダウンレギュレーション)が見られた。
【0139】
化合物10の活性を別の膵臓癌モデル(正常部位に、すなわち、膵臓に直接PANC−1膵臓癌細胞を移植したモデル)でも試験した。5週間の投与(40mg/kg/日(合計35回の投与))の終わりに、動物から除去した腫瘍を秤量することによって腫瘍の成長をモニターした。化合物10処置動物において腫瘍重量の47%減少として見られた統計的有意差(P=0.00014)が化合物10とビヒクル処置動物との間にあった。さらに、化合物10の最終投与から24時間後に腫瘍組織を採取し、RNAを単離した。BxPC−3で見られた結果と同様の結果がPANC−1細胞に見られた。ヒトGli−1の分析では変化は見られなかったが、その一方では、マウスGli−1 mRNAレベルの分析では変化が見られた。これらのデータは、ヒト腫瘍細胞では見られなかったが、マウス細胞におけるヘッジホッグ経路の阻害を示し、ヘッジホッグ経路阻害剤の1つの作用は、腫瘍と間質の相互作用に影響を及ぼすことであることを示唆する。
【0140】
実施例20:髄芽細胞腫モデル
化合物10の活性はまた、髄芽細胞腫のトランスジェニックマウスモデルでも評価された。腫瘍抑制因子Patched1(Ptch1)及びHypermethylated in Cancer(Hic1)における機能欠損型突然変異の異系接合であるマウスは自発性髄芽細胞腫を発達させる。ヒト髄芽細胞腫と同様に、これらの腫瘍は、残存しているHic1対立遺伝子の完全な過剰メチル化プロモーター、ならびに野生型Ptch1対立遺伝子の発現の欠損を示す。皮下同種移植片として受け渡された場合、これらの腫瘍は急速に増殖し、ヘッジホッグ経路に依存的である。このモデルを採用し、経口投与された化合物の有効性を評価し、活性と、血漿及び腫瘍における薬剤曝露との関連付けを行った。化合物10の単回用量の経口投与(PO)は、投与8時間後のGli−1 mRNA発現の低下により測定されたように、皮下移植腫瘍においてHH経路の用量依存的ダウンレギュレーションをもたらした。
【0141】
化合物POの毎日投与(QD)は、腫瘍増殖の用量依存的阻害をもたらし、高用量の投与では明白な腫瘍退縮が見られた。腫瘍増殖を50%阻害(ED50)する有効な概略1日経口用量は8mg/kgの間である。動物に毎日投与(QD)を21日間処置した場合、処置の停止後、腫瘍の再成長をほとんどないし全く伴わない長期間の生存が観察された(>19日間)。これは、ヘッジホッグ阻害化合物10が、ヘッジホッグ経路と、遺伝子突然変異に起因するヘッジホッグ経路依存性腫瘍における腫瘍成長の双方を阻害することを示す。
【0142】
引用による組み込み
本明細書で引用された米国特許及び米国公開特許出願の全ては、引用により本書に組み込み、記載される。
【0143】
等価物
当業者ならば、ルーチン的実験を行うだけで本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の多くの等価物を認識し、又は確認することができる。このような等価物は、(以下の)特許請求の範囲の請求項に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1a又は1b:

[式1a又は1b中;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−SR20、−OR20、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は−[(W)−S]20であり;
、R及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ニトリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルセレノ、アラルキルセレノ、アリールセレノ、アルキルチオ、アラルキルチオ又はアリールチオであり;
は、Hであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
あるいはR及びRは、一緒になって=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
10及びR11は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
あるいはR及びR10は一緒になって結合を形成し;あるいはR10及びR11は一緒になって結合を形成し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又は−[C(R)−R21
あるいは任意の2つのR20は、一緒になってN、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の任意に置換された環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
23は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、=O、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、 −S(O)20、 −S(O)N(R20)(R20)、 −N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
24は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり;
−T−T−T−は、Y−B−A、B−Y−A又はA−B−Yであり;
A及びBは、それぞれ独立して、N、S又はC(R23)であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;
Yは、−O−、−S−又は−N(R24)−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]
の化合物又はその互変異性体、飽和誘導体、薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
式1a又は1b中、R、R、R、R、R10、R11は、それぞれH又はアルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式1a又は1b中、R及びRは、一緒になって結合を形成する請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式1a又は1b中、R及びRは、それぞれ、Hであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって=O又は=Sの結合を形成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
式1a又は1b中、Yは、−O−又は−N(R24)−である請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
式1a又は1b中、−T−T−T−は、−CR23−N−NR24−又は−CR23−NR24−N−を表す請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式6a:

[式6a中;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−SR20、−OR20、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は−[(W)−S]20であり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
あるいはR及びRは、一緒になって=O又は=Sを形成し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R)−R21であり;
あるいは任意の2つのR20は、一緒になってN、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の任意に置換された環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(heterocycyl [sic、heterocyclyl])、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
23は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、=O、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
24は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり;
−T−T−T−は、Y−B−A、B−Y−A又はA−B−Yであり;
A及びBは、それぞれ独立して、N、S又はC(R23)であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;
Yは、−O−、−S−又は−N(R24)−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]
の化合物又はその互変異性体、飽和誘導体、薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
式6a中、Xは、結合又は−CH−である請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式6a中、Yは、−O−又は−N(R24)−である請求項7又は請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式6a中、−T−T−T−は、−CR23−N−NR24−又は−CR23−NR24−N−を表す請求項7〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
式6a中、R24は、H、アルキル又は−S(O)20である請求項7〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
式6a中、Rは、H、アルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−OR20、−C(O)R20、−CO20、−C(O)N(R20)(R20)、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は−[(W)−S]20である請求項7〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
式11b:

[式11b中;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−SR20、−OR20、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は−[(W)−S]20であり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
あるいは、R及びRは、一緒になって=O又は=Sを形成し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R)−R21であり;
あるいは、任意の2つのR20は、一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の任意に置換された環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(heterocycyl [sic、heterocyclyl]);アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
23は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、=O、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
24は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、パーハロアルキル、ハライド、ニトロ、ニトリル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20又は−[C(R)−R21であり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり;
−T−T−T−は、Y−B−A、B−Y−A又はA−B−Yであり;
A及びBは、それぞれ独立して、N、S又はC(R23)であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;
Yは、−O−、−S−又は−N(R24)−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]
の化合物又はその互変異性体、飽和誘導体、薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
式11b中、Xは、結合又は−CH−である請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式11b中、Yは、−O−又は−N(R24)−である請求項13又は請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
式11b中、−T−T−T−は、−CR23−N−NR24−又は−CR23−NR24−N−を表す請求項13〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
式11b中、R24は、H、アルキル又は−S(O)20である請求項13〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
式11b中、Rは、H、アルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−OR20、−C(O)R20、−CO20、−C(O)N(R20)(R20)、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は−[(W)−S]20である請求項13〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】



からなる群から選択される化合物又はそれらの薬学的に許容可能な塩。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物であって、
少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項21】
治療における、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
薬剤の製造における、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
癌処置用薬剤の製造における、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項24】
癌は、中枢神経系の癌である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
癌は、消化器系の癌である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
in vitro又はex vivoにおいてヘッジホッグ経路の活性化を阻害する方法であって、
ヘッジホッグ経路タンパク質と、ヘッジホッグ経路の活性を抑制することに充分な量の
請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物とを接触させることを含む方法。

【公表番号】特表2010−520295(P2010−520295A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552770(P2009−552770)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/003200
【国際公開番号】WO2008/109184
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(506418758)インフィニティ・ディスカバリー・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】INFINITY DISCOVERY, INC.
【Fターム(参考)】