説明

まくらぎ締結装置

【課題】 施工性が良好であり安全性が高く簡単な構造によってまくらぎの長さ方向の移動を容易に規制することができるまくらぎ締結装置を提供する。
【解決手段】 まくらぎ締結装置8は、斜め方向からまくらぎ4を橋梁1に締結している。橋梁1上の軌道2が曲線区間であるときには、この軌道2上を列車が走行すると軌道2に横圧が作用して、まくらぎ4が長さ方向に移動しようとする。橋梁1の上フランジ1fとまくらぎ4とが連結部材9によって連結され、締結部材12によって連結部材9が固定部材10に締結されているため、連結部材9に引張力F2が作用している。このため、まくらぎ4が長さ方向に移動しようとするときに、この引張力F2の水平方向の分力F2Xが横方向の抵抗力としてまくらぎ4に作用する。その結果、まくらぎ4の長さ方向の移動が規制されて、軌道2の横方向の変位が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、まくらぎを支持構造物に締結するまくらぎ締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来のまくらぎ締結装置の使用状態を概略的に示す正面図である。
図10に示す軌道102は、橋梁101上に敷設されており、レール103はレール締結装置105によって橋まくらぎ104に締結され、橋梁101の上フランジ104と橋まくらぎ104との間には高さ調整板106が挿入されている。従来のまくらぎ締結装置107は、レール103を支持する橋まくらぎ104を貫通して橋梁101の上フランジ101aに掛け止めされるフックボルト107aと、このフックボルト107aを橋まくらぎ104に締結する締結ナット107bなどを備えている。このような従来のまくらぎ締結装置107では、フックボルト107aによって橋まくらぎ104と上フランジ101aとを上下方向に連結して、橋まくらぎ104の上方向(縦方向)に対する抵抗力をこの橋まくらぎ104に作用させている。
【0003】
このような従来のまくらぎ締結装置107では、橋まくらぎ104の上面から貫通孔104aをあけて、橋まくらぎ104の下方からこの貫通孔104aにフックボルト107aを通し、上フランジ101aにフックボルト107aを掛け止めしている。しかし、貫通孔104aと上フランジ101aとの位置関係が一定になるように、橋まくらぎ104に貫通孔104aを正確にあけることが困難である。このため、貫通孔104aと上フランジ101aとの位置関係を現場で測定して、これらの位置関係に応じた長さの異なる数種類のフックボルト107aを予め準備する必要性があり、施工性が低下してしまう問題点がある。特に、レール103と橋まくらぎ104との間に金属製のタイプレート105aを挿入してこれらを締結する場合には、タイプレート105aとフックボルト107aとの間を電気的に絶縁するために、タイプレート105aから離れた位置に貫通孔104aを形成する必要がある。このため、貫通孔104aが上フランジ101aからさらに離れ、フックボルト107aの先端部と上フランジ101aとが完全に接触せずこれらの間に隙間が形成されてしまう問題点がある。このような不都合を解決するための橋まくらぎ締結金具が提案されている。
【0004】
従来の橋まくらぎ締結金具は、橋まくらぎの上面に搭載される床板と、この床板に固定されて波形状に折り曲げられた上ばね金具と、橋まくらぎと橋桁とに跨って接触し波形状に折り曲げられた下ばね金具と、上ばね金具の波状部と下ばね金具の波状部とに嵌めこまれてこれらを連結する連結枠と、床板と上ばねとの間に差し込まれて床板から上ばね金具が抜け出すのを防止する楔などを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の橋まくらぎ締結金具では、下ばね金具に連結枠を嵌め込んだ状態で橋まくらぎの端部から連結枠を挿入し、橋まくらぎの下面と橋桁の下面とを下ばね金具によって押さえつけ、床板上の上ばね金具に連結枠を嵌め込んだ後に、上ばね金具と床板との間に楔を挿入している。その結果、この従来の橋まくらぎ締結金具では、上ばね金具と下ばね金具との間に橋まくらぎと橋桁とを挟み込み締結しているため、フックボルトを挿入するための貫通孔を橋まくらぎに形成する必要がなく作業性を向上させている。
【0005】
【特許文献1】実開平6-024001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の橋まくらぎ締結金具では、上ばね金具と下ばね金具とによって橋まくらぎと橋桁とを上下方向のみから締結している。その結果、橋まくらぎが腐食して橋まくらぎの高さが低くなると締結力が低下するため、定期的に点検して床板と上ばね金具との間に楔をより一層深く差し込む作業が必要になり、保守に手間がかかる問題点がある。また、従来の橋まくらぎ締結金具では、上ばね金具を固定する床板が橋まくらぎの上面に固定されていない。このため、締結力が低下すると、橋まくらぎの長さ方向の移動を規制することができなくなる。特に、橋梁が溶接桁である場合には、橋まくらぎを支持する溶接桁のフランジが平坦であるため、締結力が低下すると溶接桁上に橋まくらぎが載っているだけの状態となり、橋まくらぎの長さ方向の移動を規制することができなくなる。その結果、車両の走行によってレールの長さ方向と交差する方向に作用する横圧や、温度上昇によってレールが伸びたときにこのレールを長さ方向と交差する方向に変位させる横圧などによって、レールとともに橋まくらぎが長さ方向に変位する問題点がある。さらに、従来の橋まくらぎ締結金具では、橋まくらぎの端部から連結枠を挿入し、橋まくらぎの下面と橋桁の下面とに跨るように下ばね金具を位置決めし、床板と上ばね金具との間に楔を挿入するような複雑で手間のかかる作業が必要になり、作業人員が増加し作業に時間がかかる問題点がある。
【0007】
この発明の課題は、施工性が良好であり安全性が高く簡単な構造によってまくらぎの長さ方向の移動を容易に規制することができるまくらぎ締結装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、まくらぎ(4)を支持構造物(1)に締結するまくらぎ締結装置であって、前記まくらぎが長さ方向に移動するのを規制するように、前記支持構造物にこのまくらぎを斜め方向から連結する連結部材(9)を備えることを特徴とするまくらぎ締結装置(8)である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のまくらぎ締結装置において、前記連結部材は、前記支持構造物が橋梁(1)であるときにこの橋梁のフランジ部(1f)と前記まくらぎとを連結することを特徴とするまくらぎ締結装置である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のまくらぎ締結装置において、前記連結部材は、前記まくらぎが上方向に移動するのを規制することを特徴とするまくらぎ締結装置である。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のまくらぎ締結装置において、前記連結部材は、前記前記支持構造物に掛け止めされる部分の表面が硬化処理されていることを特徴とするまくらぎ締結装置である。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項4又は請求項5に記載のまくらぎ締結装置において、前記連結部材は、前記前記支持構造物に掛け止めされる部分に剛性を付与する剛性付与部(9e)を備えることを特徴としているまくらぎ締結装置である。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のまくらぎ締結装置において、前記まくらぎの端部に固定される固定部材(10)と、前記固定部材に前記連結部材を締結する締結部材(12)とを備え、前記連結部材は、一方の端部が前記支持構造物に掛け止めされ、他方の端部が前記締結部材に締結されることを特徴とするまくらぎ締結装置である。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6に記載のまくらぎ締結装置において、前記締結部材は、前記連結部材が緩むのを防止する緩み止め部(12c)を備えることを特徴とするまくらぎ締結装置である。
【0015】
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7に記載のまくらぎ締結装置において、前記締結部材が脱落するのを防止する脱落防止部材(13)を備えることを特徴とするまくらぎ締結装置である。
【0016】
請求項9の発明は、請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載のまくらぎ締結装置において、前記固定部材は、前記連結部材を傾斜した状態で保持する保持筒部(10b)を備え、前記保持筒部は、前記連結部材との間に所定の隙間を形成することを特徴とするまくらぎ締結装置である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によると、施工性が良好であり安全性が高く簡単な構造によってまくらぎの長さ方向の移動を容易に規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の使用状態を概略的に示す正面図である。図2は、この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の使用状態を概略的に示す平面図である。図3は、この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の拡大図である。
【0019】
橋梁1は、軌道2の下部に空間を確保し車両の荷重を支持する構造物である。図1及び図2に示す橋梁1は、鋼板及び形鋼を用いて製造されたI型の橋桁の上部を列車が走行する上路プレートガーダである。橋梁1は、図1に示すように、鋼板と山形鋼とを溶接又はリベットなどによって接合してI形の桁に組み立てて互いに平行に並べた一対の主桁1aと、一対の主桁1aの上部を連結する上横構1bと、一対の主桁1aの下部を連結する下横構1cと、一方の主桁1aの上部と他方の主桁1aの下部とを連結する一対の中間対傾構1dと、一対の主桁1aの下端部に接続された下フランジ1eと、一対の主桁1aの上端部に接続された上フランジ1fなどを備えている。
【0020】
軌道2は、車両が走行する通路(線路)であり、橋梁1上に敷設され橋梁1によって支持されている。軌道2は、図1〜図3に示すレール3と、まくらぎ4と、レール締結装置5と、図1及び図3に示す高さ調整板6と、図1〜図3に示すまくらぎ締結装置7,8などを備えている。
【0021】
レール3は、車両の車輪を支持し案内してこの車両を走行させる部材である。図1〜図3に示すレール3は、例えば、通常25mの標準長さの定尺レールを溶接して200m以上の長さに接合したロングレールである。レール3は、図1及び図3に示すように、車両の車輪の踏面と接触するレール頭部3aと、タイプレート5a上に設置されるレール底部3bと、レール頭部3aとレール底部3bとを繋ぐレール腹部3cとから構成されている。
【0022】
図1〜図3に示すまくらぎ4は、レール3を支持する部材である。まくらぎ4は、左右のレール3の間隔(軌間)を正確に保持するとともに、レール3から伝達される列車荷重を橋梁1に分散させる。まくらぎ4は、レール3の長さ方向と直交する方向に所定の間隔をあけて、レール3と橋梁1との間に並べて設置されている。図1〜図3に示すまくらぎ4は、橋梁1の桁上に設置して使用される橋まくらぎであり、例えば木材を所定の寸法に加工して製造された木まくらぎである。まくらぎ4には、図1及び図3に示すように、フックボルト7aが縦方向に貫通する貫通孔4aが形成されている。
【0023】
図1〜図3に示すレール締結装置5は、レール3をまくらぎ4に締結する装置である。レール締結装置5は、レール3からまくらぎ4に作用する圧力を分散させてレール底部3bがまくらぎ4に食い込むのを防止する機能を有する。レール締結装置5は、図1及び図3に示すように、タイプレート5aと、軌道パッド5bと、締結ばね5cと、締結ボルト5dと、締結ナット5eと、犬くぎ5fなどを備えている。タイプレート5aは、レール3とまくらぎ4との間に挿入される板状の締結用部材であり、レール3の横方向の移動を規制する。軌道パッド5bは、レール3とタイプレート5aとの間に挿入される緩衝用の板状部材であり、車両が通過する際に発生する衝撃荷重を緩和するとともに、レール3が長手方向に移動するふく進に対する抵抗力を確保するために、レール底部3bの下面とタイプレート5aの上面との間に挟み込まれる加硫ゴム製やウレタン製の板状部材である。締結ばね5cは、レール3を押さえ付けて締結するばねである。締結ばね5cは、例えば、板状のばね鋼を略U字状に折り曲げて形成した板ばね(主ばね)であり押さえ金(ばねクリップ)として機能する。締結ボルト5dは、締結ばね5cを締め付ける部材であり、タイプレート5aの雌ねじ部と噛み合う六角ボルトなどである。締結ボルト5dは、レール底部3bの上面に締結ばね5cを押し付けている。締結ナット5eは、締結ボルト5dに装着される部材であり、犬くぎ5fはタイプレート5aをまくらぎ4に固定する部材である。
【0024】
図1及び図3に示す高さ調整板6は、橋梁1とまくらぎ4との間に挿入してまくらぎ4の高さを調整する部材である。高さ調整板6は、橋梁1の前後の区間と橋梁1上の区間とで軌道2の高さが同一になるようにこの軌道2の高さを調整する板状のパッキンなどであり、図1及び図3に示すように上フランジ1fの上面とまくらぎ4の下面との間に挟み込まれている。高さ調整板6の下面には、例えば、橋梁1がリベット接合によって組み立てられており上フランジ1fの上面からリベット頭が突出しているときには、このリベット頭と嵌合する凹部が多数形成されている。
【0025】
図1〜図3に示すまくらぎ締結装置7は、まくらぎ4を橋梁1に締結する装置である。まくらぎ締結装置7は、上下方向からまくらぎ4を橋梁1に締結して、まくらぎ4を上方向に移動する力がこのまくらぎ4に作用したときにこの力に対抗する抵抗力をまくらぎ4に作用させる。まくらぎ締結装置7は、例えば、図1に示すように軌道2の左右にそれぞれ配置されてまくらぎ4の縦方向の移動を阻止している。まくらぎ締結装置7は、図1及び図3に示すように、フックボルト7aと、締結ナット7bと、座金7cなどを備えている。まくらぎ締結装置7は、フックボルト7aの引張力(締結力)F1によって上下方向からまくらぎ4を橋梁1に締結しているため、まくらぎ4の垂直方向(縦方向)の移動のみを規制する。
【0026】
図1及び図3に示すフックボルト7aは、まくらぎ4を上フランジ1fに固定する部材である。フックボルト7aは、外観形状がL字状に形成されたボルトであり、まくらぎ4を垂直方向に引っ張る引張棒として機能する。フックボルト7aは、まくらぎ4の上方向の移動を規制するように、まくらぎ4を橋梁1に連結している。フックボルト7aには、先端部を直角に折り曲げて上フランジ1fに掛け止めされるフック部7dと、まくらぎ4の貫通孔4aを貫通し締結ナット7bと噛み合う雄ねじ部7eとが形成されている。締結ナット7bは、フックボルト7aをまくらぎ4に締結する部材であり、フックボルト7aの雄ねじ部7eに締め付けられることによって、まくらぎ4と橋梁1とを強固に連結する。座金7cは、まくらぎ4と締結ナット7bとの間に挟み込まれる部材である。座金7cは、図2に示すように、外観形状が四角の板状部材であり、締結ナット7bの緩みを防止するために4隅がまくらぎ4の上面に刺さり込むように折り曲げられている。
【0027】
図1〜図3に示すまくらぎ締結装置8は、まくらぎ4を橋梁1に締結する装置である。まくらぎ締結装置8は、図1及び図3に示すように、斜め方向からまくらぎ4を橋梁1に締結して、まくらぎ4を横方向に移動する力がこのまくらぎ4に作用したときにこの力に対抗する抵抗力をまくらぎ4に作用させるとともに、まくらぎ4を上方向に移動する力がこのまくらぎ4に作用したときにこの力に対抗する抵抗力をまくらぎ4に作用させる。まくらぎ締結装置8は、例えば、図1に示すように軌道2の左右にそれぞれ配置されてまくらぎ4の横方向及び縦方向の移動を阻止している。まくらぎ締結装置8は、図1〜図3に示すように、連結部材9と、固定部材10と、脱落防止部材11と、締結部材12と、脱落防止部材13などを備えている。まくらぎ締結装置8は、図1に示すように、連結部材9の引張力F2(締結力)によって斜め方向からまくらぎ4を橋梁1に締結しているため、連結部材9の引張力(締結力)F2の水平方向(横方向)の分力F2Xによってまくらぎ4の水平方向の移動を規制するとともに、垂直方向(縦方向)の分力F2Yによってまくらぎ4の垂直方向の移動も規制する。
【0028】
図4は、この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の連結部材の外観図であり、図4(A)は側面図であり、図4(B)は図4(A)のIVB方向から見た正面図であり、図4(C)は図4(A)のIV-IVC線で切断した状態を示す断面図である。
図1〜図4に示す連結部材9は、まくらぎ4が長さ方向に移動するのを規制するように、橋梁1にこのまくらぎ4を斜め方向から連結する部材である。連結部材9は、図1及び図3に示すように、橋梁1の上フランジ1fとまくらぎ4とを連結し、まくらぎ4の長さ方向及び上方向の移動を規制する。連結部材9は、一方の端部が橋梁1に掛け止めされ、他方の端部が締結部材12に締結されている。連結部材9は、図1、図3及び図4に示すように、外観形状が略J字状の金具であり、まくらぎ4を長さ方向に対して斜め方向(例えば傾斜角度20°程度)に引っ張る引張棒として機能し、図4(C)に示すように断面形状が円形の軸状の鋼材などを曲げ加工して形成されている。連結部材9は、図2に示すように、まくらぎ4の一方の端部に2本配置され他方の端部に2本配置されており、合計4本によってまくらぎ4を橋梁1に連結している。連結部材9は、図1、図3及び図4に示すように、フック部9aと雄ねじ部9bとを備えている。
【0029】
フック部9aは、橋梁1に掛け止めされる部分である。フック部9aは、図1及び図3に示すように、上フランジ1fの段差部に引っ掛かるような形状に折り曲げられている。フック部9aの先端部には、図4(B)に示すように、上フランジ1fとの接触面積が大きくなるように、上フランジ1fと面接触し密着するように平坦面9cが形成されている。フック部9aは、例えば、800°C程度までバーナで加熱した後に水冷する焼入れなどの熱処理によって表面が硬化処理されている。雄ねじ部9bは、締結部材12によって固定部材10に締結される部分である。雄ねじ部9bは、図4(A)に示すように、連結部材9のフック部9aとは反対側の端部から所定の長さ形成されており、雄ねじ部9bにはこの雄ねじ部9bを貫通する貫通孔9dが形成されている。
【0030】
図5は、この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の固定部材の外観図であり、図5(A)は平面図であり、図5(B)は正面図であり、図5(C)は左側面図であり、図5(D)は図5(A)のV-VD線で切断した状態を示す断面図である。
図1〜図3及び図5に示す固定部材10は、まくらぎ4の端部に固定される部材である。固定部材10は、図1〜図3に示すように、まくらぎ4の端部の上側角部に引っ掛けるように装着され固定されている。固定部材10は、図5に示すように、装着部10aと保持筒部10bなどを備えている。
【0031】
装着部10aは、まくらぎ4の端部に装着される部分であり、屈曲板10cと側板10dとから構成されている。屈曲板10cは、固定部材10がまくらぎ4の長さ方向に移動するのを規制する部分であり、まくらぎ4の幅よりも僅かに長くなるように所定の寸法でL形鋼(山形鋼)などを切断して形成されている。屈曲板10cには、この屈曲板10cを貫通する貫通孔10eが形成されている。側板10dは、固定部材10がまくらぎ4の長さ方向と直交する方向に移動するのを規制する部分であり、屈曲板10cの両端部にそれぞれ鋼板を溶接してこの屈曲板10cと一体に形成されている。
【0032】
図6は、この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置における高さ調整板の高さが異なるときの保持筒部の機能を説明するための概念図であり、図6(A)は高さ調整板が薄いときの概念図を示し、図6(B)は高さ調整板が厚いときの概念図を示す。図7は、この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置におけるまくらぎの長さが異なるときの保持筒部の機能を説明するための概念図であり、図7(A)は連結部材の傾斜角度が大きいときの概念図を示し、図7(B)は連結部材の傾斜角度が小さいときの概念図を示す。
【0033】
保持筒部10bは、連結部材9を傾斜した状態で保持する部分であり、この連結部材9が貫通しこの連結部材9を保持する。保持筒部10bは、円形の鋼管を所定の長さで切断して形成された筒状の部材であり、装着部10aの両側にそれぞれ配置されており、所定の角度(例えば20°程度)だけ傾けて側板10dに溶接され固定されている。保持筒部10bは、図6及び図7に示すように、保持筒部10bの内径D1が連結部材9の外形D2よりも大きく形成されており、連結部材9との間に所定の隙間を形成している。このため、保持筒部10bは、図6に示すように、高さ調整板6の高さHが変化してもこの連結部材9を保持可能であり、図7に示すように連結部材9の傾斜角度が所定範囲内で変化してもこの連結部材9を保持可能である。保持筒部10bは、例えば、図6(A)に示すように、高さ調整板6が厚さH1で薄いときには連結部材9の垂直方向の位置が相対的に低くなり、図6(B)に示すように高さ調整板6が厚さH2で厚いときには連結部材9の垂直方向の位置が相対的に高くなるが、連結部材9との間の隙間によってこの連結部材9の相対的な位置の変位を吸収している。また、保持筒部10bは、例えば、図7(A)に示すように、まくらぎ4の長さが短いときには連結部材9が傾斜角度θ1で角度が大きくなり、図7(B)に示すようにまくらぎ4の長さが長いときには連結部材9が傾斜角度θ2で角度が小さくなるため、連結部材9との間の隙間によってこの連結部材9の傾きの変化を吸収している。
【0034】
図2に示す脱落防止部材11は、固定部材10の脱落を防止する部材である。脱落防止部材11は、図5(A)(D)に示す固定部材10の貫通孔10eに挿入されまくらぎ4の上面にねじ込まれるねじくぎなどであり、安全対策として固定部材10をまくらぎ4に固定している。
【0035】
図8は、この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の締結部材の断面図であり、図8(A)は締結前の状態を示す断面図であり、図8(B)は締結後の状態を示す断面図である。
図1〜図3及び図6〜図8に示す締結部材12は、固定部材10に連結部材9を締結する部材である。締結部材12は、連結部材9が固定部材10から緩むのを防止する機能を有する。締結部材12は、図8に示すように、ナット12a,12bと、緩み止め部12cと、座金12d,12eとを備えている。
【0036】
図8に示すナット12a,12bは、連結部材9の雄ねじ部9bに装着されて保持筒部10bに連結部材9を締め付ける部材である。緩み止め部12cは、連結部材9が緩むのを防止する部分である。緩み止め部12cは、図8に示すように、ナット12aの下面に形成されたテーパ状の凹部12fと、ナット12bの上面に形成されナット12bの中心から偏心したテーパ状の凸部12gとを備えている。緩み止め部12cは、ナット12a,12bを締め付けることによって凹部12fと凸部12gとを互いに摩擦接触させる。緩み止め部12cは、例えば、下側のナット12bを締め付けた後に上側のナット12aを締め付けることによって、凹部12fに対して凸部12gを楔として作用させ、ナット12aの雌ねじ部と雄ねじ部9bとの間の摩擦力を増大させてナット12aの緩みを防止する。座金12d,12eは、保持筒部10bとナット12bとの間に挟み込まれる部材である。座金12dは、保持筒部10bに締結力を平均化して作用させるために座金12eと保持筒部10bとの間に挟み込まれており、雄ねじ部9bが貫通する貫通孔12hを有し、図2に示すように外観形状が四角形の板状部材である。座金12eは、保持筒部10b内にナット12a,12bが落ち込まないようにこの保持筒部10bよりも大きく形成されている。座金12eは、図7及び図8に示すように、ナット12bと座金12dとの間に挟み込まれており、雄ねじ部9bが貫通する貫通孔12iを有し、主として緩み止め用として使用されるばね座金である。
【0037】
図1〜図3及び図6〜図8に示す脱落防止部材13は、締結部材12が脱落するのを防止する部材である。脱落防止部材13は、図4(A)(D)に示す雄ねじ部9bの貫通孔9dに挿入される割ピンであり、締結部材12が連結部材9から脱落するのを阻止する。
【0038】
次に、この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の施工方法を説明する。
図1〜図3に示すように、まくらぎ4の両端部の上側角部に固定部材10の装着部10aをそれぞれ装着し、脱落防止部材11を貫通孔10eに挿入してまくらぎ4の上面に打ち込み、まくらぎ4に固定部材10が固定される。次に、固定部材10の保持筒部10bの下端側から上端側に向かって連結部材9の雄ねじ部9bを挿入し、図1に示すように橋梁1の上フランジ1fに連結部材9のフック部9aを掛け止めする。次に、図6〜図8に示すように、雄ねじ部9bに座金12d,12eを装着した後に、雄ねじ部9bにナット12a,12bを装着してスパナによって仮締めする。同様の方法によって、図2に示すように、1本のまくらぎ4を合計4本の連結部材9によって橋梁1に連結し、ナット12a,12bを仮締めした後に、トルクレンチによって4本の連結部材9が均一の締結力(例えば19600N/m程度)によって固定部材10に締結されるように、ナット12a,12bを本締めする。次に、図6〜図8に示すように、全ての連結部材9の雄ねじ部9bの貫通孔9dに脱落防止部材13を挿入して固定する。最後に、海岸線に沿って軌道2が敷設されているような場合には塩害による腐食を防ぐために、固定部材10、脱落防止部材11、締結部材12及び脱落防止部材13の表面に必要に応じて防錆塗料が塗布される。
【0039】
次に、この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の作用を説明する。
図1〜図3に示す橋梁1上の軌道2が曲線区間であるときには、この軌道2上を列車が走行すると軌道2に横圧が作用して、まくらぎ4が長さ方向に移動しようとする。また、レール3がロングレールであるときには、レール3が温度上昇によって規定の長さ以上に伸びると、レール3の長さ方向への伸びが規制されてレール3が長さ方向と交差する方向に変位しようとし、まくらぎ4が長さ方向に移動しようとする。さらに、軌道2上を走行する列車がローリングすると軌道2に横圧が作用し、地震発生時には軌道2を横方向に変位させる外力が作用して、まくらぎ4が長さ方向に移動しようとする。特に、橋梁1が溶接桁である場合には、橋梁1がリベット桁である場合とは異なり、まくらぎ4を支持する上フランジ1fの上面が平坦であるため、まくらぎ4が容易に長さ方向に移動する可能性がある。図1及び図3に示すように、橋梁1の上フランジ1fとまくらぎ4とが連結部材9によって連結され、締結部材12によって連結部材9が固定部材10に締結されているため、図1に示すように連結部材9に引張力F2が作用している。このため、まくらぎ4が長さ方向に移動しようとするときに、この引張力F2の水平方向の分力F2Xが横方向の抵抗力としてまくらぎ4に作用する。その結果、まくらぎ4の長さ方向の移動が規制されて、軌道2の横方向の変位が抑制される。また、まくらぎ4が上方向に移動しようとするときに、この引張力F2の垂直方向の分力F2Yが縦方向の抵抗力としてまくらぎ4に作用する。その結果、まくらぎ4の上方向の移動が規制されて、軌道2の上方向の変位が抑制される。
【0040】
この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、まくらぎ4が長さ方向に移動するのを規制するように、橋梁1にこのまくらぎ4を斜め方向から連結部材9が連結する。このため、まくらぎ4の横抵抗力を増強することができるため、まくらぎ4が長さ方向に移動するのを阻止することができる。
【0041】
(2) この第1実施形態では、橋梁1の上フランジ1fとまくらぎ4とを連結部材9が連結する。このため、固定構造物である橋梁1の上フランジ1fを利用してこの上フランジ1fにまくらぎ4を強固に連結し、まくらぎ4の横方向に移動を規制することができる。特に、溶接桁の場合には主桁1aの上面に2枚の鋼材を溶接して上フランジ1fが形成されており、図1及び図3に示すように1枚目の鋼材と2枚目の鋼材との間には段差部が形成されている。このため、この段差部を利用して上フランジ1fとまくらぎ4とを簡単に連結することができる。
【0042】
(3) この第1実施形態では、まくらぎ4が上方向に移動するのを連結部材9が規制する。このため、まくらぎ4のがたつきが抑えられ、軌道2上を列車が走行するときに発生する振動によって列車の乗り心地が低下するのを防ぐことができる。また、まくらぎ4が腐食してロックボルト7aが緩み、フックボルト7aに作用する引張力F1が低下したようなときに、連結部材9の引張力F2の垂直方向の分力F2Yによってまくらぎ4の上方向の移動を可能な限り阻止することができる。さらに、まくらぎ締結装置7とまくらぎ締結装置8とを併用することによってフックボルト7aの負担を軽減することができ、フックボルト7aの寿命を長くすることができる。
【0043】
(4) この第1実施形態では、まくらぎ4の端部に固定部材10が固定されており、この固定部材10に連結部材9を締結部材12が締結し、連結部材9の一方の端部が橋梁1に掛け止めされており、他方の端部が締結部材12に締結されている。このため、必要最小限の部材によって簡単に組み立てることができ、施工に手間がかからず作業性を向上させることができる。
【0044】
(5) この第1実施形態では、連結部材9のフック部9aの表面が硬化処理されている。このため、連結部材9の締結により発生する引張力F2に対して十分な強度を確保することができ、軌道2上を走行する列車の振動にも十分に耐えることができる。
【0045】
(6) この第1実施形態では、連結部材9が緩むのを防止する緩み止め部12cを 締結部材12が備えている。このため、連結部材9の引張力F2が低下してこの引張力F2の垂直方向の分力F2Xが低下するのを防止し、まくらぎ4を横方向に移動するのを阻止することができる。
【0046】
(7) この第1実施形態では、締結部材12が脱落するのを脱落防止部材13が防止する。このため、連結部材9から締結部材12が脱落して橋梁1から締結部材12が落下する危険を防止することができる。
【0047】
(8) この第1実施形態では、連結部材9を傾斜した状態で保持する保持筒部10bを固定部材10が備えている。このため、従来の橋まくらぎ締結金具のように軌道2の下側に手を入れて締結作業を行う必要がなく、軌道2の上側から作業状況を確認しながら手元で掛け止め作業や締結作業などを行うことができ、作業性を向上させることができる。特に、軌道2の外側に点検作業時に作業員が歩行するための歩み板が設置されている場合には、この歩み板から連結部材9の掛け止め作業や締結部材12の締結作業などを簡単に行うことができる。
【0048】
(9) この第1実施形態では、連結部材9との間に所定の隙間を保持筒部10bが形成している。このため、図6に示すように、高さ調整板6の厚さが異なり連結部材9の垂直方向の相対的な高さが異なる場合や、図7に示すようにまくらぎ4の長さが異なり連結部材9の傾斜角度が変化する場合であっても、連結部材9を保持しまくらぎ4と橋梁1とを連結部材9によって連結することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図9は、この発明の第2実施形態に係るまくらぎ締結装置の連結部材の外観図であり、図9(A)は側面図であり、図9(B)は図9(A)のIX-IXB線で切断した状態を示す断面図である。以下では、図1〜図8に示す部分と同一の部分については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図9に示す連結部材9は、剛性付与部9eを備えており、この剛性付与部9eはフック部9aに剛性を付与する部分である。剛性付与部9eは、例えば、図9(A)に示すように、フック部9aを橋梁1に掛け止めし締結した状態で曲げモーメントMがフック部9aに作用したときに、フック部9aに曲げ剛性を付与することによってフック部9aの口開きを防止する。剛性付与部9eは、図9(B)に示すように、フック部9aの両側面に沿って所定の長さで形成された溝であり、プレス機械などによってフック部9aに溝を形成した後にフック部9aが焼入れなどによって硬化処理される。この第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、フック部9aに剛性を付与する剛性付与部9eを連結部材9が備えているため、フック部9aが曲がり難くなり強度をより一層向上させることができる。
【0050】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、まくらぎ4を支持する支持構造物として橋梁1を例に挙げて説明したが橋梁1に限定するものではなく、他の支持構造物についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、橋梁1として上路プレートガーダを例に挙げて説明したが、下路プレートガーダなどの他の形式の橋梁についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、レール締結装置5がタイプレート5aを備える場合を例に挙げて説明したが、タイプレートを省略してまくらぎ4とレール3とを犬くぎによって締結する場合についてもこの発明を適用することができる。
【0051】
(2) この実施形態では、レール3が温度上昇によって横方向に変位する可能性があるロングレールである場合を例に挙げて説明したが、レール3が定尺レールである場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、軌道2の左右両側にまくらぎ締結装置8をそれぞれ1台ずつ配置した場合を例に挙げて説明したが設置台数を合計2台に限定するものではない。例えば、図1に示す軌道2が曲線区間である場合であって、右側のレール3が曲線の内側(内軌側)であり左側のレール3が曲線の外側(外軌側)であるときには、まくらぎ締結装置8を外軌側にのみ配置することもできる。
【0052】
(3) この実施形態では、まくらぎ4をまくらぎ締結装置8によって橋梁1に締結しているが、列車の通過本数や軌道2の曲線半径などに応じて、例えば3〜5m間隔で任意のまくらぎ4をまくらぎ締結装置8によって締結したり、全てのまくらぎ4をまくらぎ締結装置8によって締結したりすることもできる。また、この実施形態では、まくらぎ締結装置7,8を併用する場合を例に挙げて説明したがまくらぎ締結装置7を省略することもできる。
【0053】
(4) この実施形態では、フック部9aを焼入れして硬化処理する場合を例に挙げて説明したが、ショットピーニング処理やショットブラスト処理などによってフック部9aを硬化処理することもできる。また、この実施形態では、締結部材12のナット12a,12bが緩み止め部12cを備える場合を例に挙げて説明したが、2個のナットを重ねて締結する通常のダブルナット構造の場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、固定部材10、脱落防止部材11、締結部材12及び脱落防止部材13の表面に防錆塗料を塗布する場合を例に挙げて説明したが、これらの部材を亜鉛めっきして防錆塗料の塗布を省略することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の使用状態を概略的に示す正面図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の使用状態を概略的に示す平面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の拡大図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の連結部材の外観図であり、(A)は側面図であり、(B)は(A)のIVB方向から見た正面図であり、(C)は(A)のIV-IVC線で切断した状態を示す断面図である。
【図5】この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の固定部材の外観図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は左側面図であり、(D)は(A)のV-VD線で切断した状態を示す断面図である。
【図6】この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置における高さ調整板の高さが異なるときの保持筒部の機能を説明するための概念図であり、(A)は高さ調整板が薄いときの概念図を示し、(B)は高さ調整板が厚いときの概念図を示す。
【図7】この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置におけるまくらぎの長さが異なるときの保持筒部の機能を説明するための概念図であり、(A)は連結部材の傾斜角度が大きいときの概念図を示し、(B)は連結部材の傾斜角度が小さいときの概念図を示す。
【図8】この発明の第1実施形態に係るまくらぎ締結装置の締結部材の断面図であり、(A)は締結前の状態を示す断面図であり、(B)は締結後の状態を示す断面図である。
【図9】この発明の第2実施形態に係るまくらぎ締結装置の連結部材の外観図であり、(A)は側面図であり、(B)は(A)のIX-IXB線で切断した状態を示す断面図である。
【図10】従来のまくらぎ締結装置の使用状態を概略的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 橋梁(支持構造物)
1f 上フランジ(フランジ部)
2 軌道
3 レール
4 まくらぎ
5 レール締結装置
7 まくらぎ締結装置
7a フックボルト
8 まくらぎ締結装置
9 連結部材
9a フック部
9b 雄ねじ部
9e 剛性付与部
10 固定部材
10a 装着部
10b 保持筒部
11 脱落防止部材
12 締結部材
12a,12b ナット
12c 緩み止め部
12d,12e 座金
13 脱落防止部材
θ1,θ2 傾斜角度
1,H2 厚さ
1,F2 引張力
2X,F2Y 分力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
まくらぎを支持構造物に締結するまくらぎ締結装置であって、
前記まくらぎが長さ方向に移動するのを規制するように、前記支持構造物にこのまくらぎを斜め方向から連結する連結部材を備えること、
を特徴とするまくらぎ締結装置。
【請求項2】
請求項1に記載のまくらぎ締結装置において、
前記連結部材は、前記支持構造物が橋梁であるときにこの橋梁のフランジ部と前記まくらぎとを連結すること、
を特徴とするまくらぎ締結装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のまくらぎ締結装置において、
前記連結部材は、前記まくらぎが上方向に移動するのを規制すること、
を特徴とするまくらぎ締結装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のまくらぎ締結装置において、
前記連結部材は、前記支持構造物に掛け止めされる部分の表面が硬化処理されていること、
を特徴とするまくらぎ締結装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のまくらぎ締結装置において、
前記連結部材は、前記支持構造物に掛け止めされる部分に剛性を付与する剛性付与部を備えること、
を特徴とするまくらぎ締結装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のまくらぎ締結装置において、
前記まくらぎの端部に固定される固定部材と、
前記固定部材に前記連結部材を締結する締結部材とを備え、
前記連結部材は、一方の端部が前記支持構造物に掛け止めされ、他方の端部が前記締結部材に締結されること、
を特徴とするまくらぎ締結装置。
【請求項7】
請求項6に記載のまくらぎ締結装置において、
前記締結部材は、前記連結部材が緩むのを防止する緩み止め部を備えること、
を特徴とするまくらぎ締結装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のまくらぎ締結装置において、
前記締結部材が脱落するのを防止する脱落防止部材を備えること、
を特徴とするまくらぎ締結装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載のまくらぎ締結装置において、
前記固定部材は、前記連結部材を傾斜した状態で保持する保持筒部を備え、
前記保持筒部は、前記連結部材との間に所定の隙間を形成すること、
を特徴とするまくらぎ締結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−85038(P2007−85038A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272904(P2005−272904)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】