説明

めっき溶液の解析及び制御のための方法と装置

【課題】めっき溶液の解析及び制御のための方法と装置
【解決手段】めっきシステムは、めっき溶液と、めっき溶液の制御のための装置とを含み、装置は、有機成分の測定のためのラマン分光計と、金属成分の測定のための可視光分光計と、pHプローブとを含む。めっき溶液は、連続的に又は間欠的にサンプリングすることができる。めっき溶液の注入は、めっきプロセス中に消費された又は失われた成分の調整を行う。注入の方法は、めっき溶液を所望の組成に維持することに基づいている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2007年12月12日出願に出願された「Method and Apparatus for Plating Solution Analysis and Control(めっき溶液の解析及び制御のための方法と装置)」と題された米国仮出願第61/012,998号の利益を主張するものであり、該仮出願の内容は、参照によって全体を本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、めっき溶液の解析及び制御に関する。更に具体的には、本発明は、廃棄物及び化学物質使用量を最小限に抑えるなどの他の有用な目的を達成しつつ、めっき膜の物理的属性を最適にするために、めっき溶液中の有機成分及び金属イオン成分の両方を解析するための、並びにそれらの成分の濃度を調整するための、改善された方法と装置とを提供する。
【背景技術】
【0003】
電導体の作成におけるアルミニウムに代わるものとして、半導体デバイスに銅膜を用いることが多くなっている。当業者ならば明らかなように、導体としての銅(銅導体)は、導電性が高いこと、及び(デバイスの信頼性を低下させる)エレクトロマイグレーションに対する感受性が低いことを含む様々な利点を有する。それにもかかわらず、銅導体の利用は、幾つかの欠点を伴っており、そのうちの1つは、半導体デバイス内において導電路を隔てるために用いられる誘電体膜に対する接着性の低さである。特定の誘電体材料に対する銅の接着性の低さは、特に、高度な半導体処理技術とともに新しい誘電体材料が導入される場合などに、新しい破壊のメカニズムを生じる恐れがあり、銅導体の有用性を減少させる。
【0004】
銅電導膜に関連した問題を軽減する1つの方法は、誘電体材料に対して強い接着性を有する追加の材料を銅表面にコーティングすることである。提案される技術の1つは、誘電体膜の利用に先立って、銅膜上にコバルトタングステンリン化物(CoWP)を無電解めっきすることを含む。無電解めっきプロセスは、露出した銅金属上にのみCoWPを選択的に析出させるめっき溶液に、作成中の半導体デバイスを入れることを含み、これは、いかなるマスキング工程も外部電流の印加も必要としない。めっき溶液は、有機化学成分と無機化学成分との組み合わせであり、これらの成分は、所望の膜を凝集させてその膜の成長を促すことによって、組成、導電性、厚さ、粒状構造などの所望の物理的特性及び化学的特性を生じることができるように、相互に作用する。
【0005】
CoWPの無電解めっきのためのめっき溶液の一例では、コバルトイオンの源として塩化コバルト又は硫酸コバルトが用いられ、タングステンイオンの源としてタングステン酸ナトリウムが用いられ、リン含有イオンの源として次亜リン酸ナトリウムが用いられる。コバルトイオン及びタングステンイオンを還元するための還元剤として、有機化学物質ジメチルアミンボラン(DMAB)が用いられる。通常、DMABは、銅表面上への合金のめっきを開始させる。開始後は、一部にはDMABの作用及びやはり反応に関与する次亜リン酸塩イオンによって、更なる還元が生じる。従来の電気めっきにおいて、めっき溶液中の金属イオンは、外部電源から電子を受け取り、化学的に還元されて、金属の形態になる。無電解めっきでは、還元用の電子は、化学的還元剤によって供給される。溶液中の金属イオンを安定化させるため、及び自然分解の可能性を減らすために、クエン酸などの錯化剤が用いられてよい。クエン酸は、更に、pH調整剤としても機能することができる。
【0006】
析出プロセス中、めっき溶液中の反応物質は消費され、廃棄物が蓄積される。めっき溶液の成分が所望の濃度レベル内に留まることを保証するためには、成分濃度を測定及び調整する必要がある。当業者に知られる1つのアプローチは、めっき浴の成分の濃度を決定するために、めっき浴のサンプルを採取し、従来の化学滴定を実施することである。このアプローチの不利点は、それが低速で冗長なことにある。もう1つの不利点は、滴定の結果として大量の廃棄物が生成され、滴定プロセスに必要とされた化学物質を追加供給する必要があることにある。挙句には、滴定プロセスは、通常、無電解めっきプロセスを実施するプロセス器具から離して実施される。また、1つの化学成分の存在がその他の成分の定量的結果を妨げる又は変化させる滴定プロセスは、マトリックス効果によって混乱する恐れがある。
【0007】
当業者に馴染みのある業界誌の論文に、無電解めっき浴を制御するための方法が提案されている。例えば、コバルトタングステンリン化物(CoWP)無電解めっき溶液中の有機成分を解析するための方法として、サイクリックボルタンメトリックストリッピング(CVS)技術が論じられている。他の論文は、めっき溶液中の金属イオンの濃度を決定するための紫外線可視分光技術も提案している。無電解めっきに用いられる化学溶液の監視に利用できると考えられるものとして、ラマン分光計も言及されている。当業者ならば明らかなように、めっき浴制御のためのこれらの技術の効果的利用は、これらの解析技術をどのように組み合わせて構成するかについての詳細な教示から恩恵を受けられると考えられる。
【0008】
具体的には、めっき浴のリアルタイムな又はほぼリアルタイムな制御のためには、これらのシステムから得られる定量的結果を使用するための方法が必要である。更には、めっき溶液のpHを測定及び制御する手段を分光技術と組み合わせることで、技術を進歩させられると考えられる。当業者ならばわかるように、pHは、溶液中のヒドロニウムイオン(H3O+)濃度の指標であり、ヒドロニウムイオン濃度を1リットルの溶液毎のモル数で表したものを[H3O+]とすると、pHは、log10[H3O+]にほぼ等しい。
【0009】
したがって、必要とされるのは、めっき浴中の化学成分の濃度を測定及び制御するための改善された手段である。とりわけ必要とされるのは、所望の物理的特性及び化学的特性を有するめっき膜を生成するために、めっき浴中の有機成分及び金属の濃度を決定する能力と、めっき浴のpHの指標とを、めっき浴の成分濃度を変更するための方法と組み合わせるシステムである。測定は、マトリックス効果を受ける心配がほとんどないことが望ましく、また、めっき浴のリアルタイムな又はほぼリアルタイムな制御を可能にするために、比較的短い時間間隔で動作することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
これらの必要性は、溶液入力マニホールドによって比較的少量のめっき溶液を抜き取ってその溶液をラマン分光計及び可視光分光計(VIS)を有するフローセルに運ぶことによってめっき浴をサンプリングするための方法と装置とを提示する本発明において満たされる。サンプルは、更に、pHプローブに運ばれる。ラマン分光計は、複数の有機成分を同時に測定可能であり、本発明の特定の実施形態では、めっき溶液中のジメチルアミンボラン(DMAB)濃度の決定のために使用される。また、ラマン分光計は、次亜リン酸塩、亜リン酸塩、ホウ酸塩、タングステン酸塩、及びその器具の動作範囲内の波長に対して反応性のその他のイオンなどの、無機成分の測定に用いることができる。可視(VIS)分光計は、溶液中の金属濃度の決定に使用される。これらのイオンは、銅、ニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、及び白金を非限定例として含むことができる。
【0011】
pHプローブは、めっき溶液のヒドロニウムイオン濃度(pH)を測定するものであり、随意として、pH測定をめっき浴温度に対して相関可能にするために温度センサを組み入れている。制御システムは、ラマン分光計、VIS分光計、及びpHプローブによってなされた測定に基づいて、めっき溶液に対し、複数の反応化学物質及び脱イオン(DI)水のいずれかの追加を行う。制御システムは、めっき溶液の組成及び体積を適切に維持するために、注入追加を調整する方法を用いる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の代表的実施形態にしたがった、めっき浴をサンプリングするための装置の概略構成図である。
【図2】本発明を利用する無電解めっきシステムの代表的ブロック図である。
【図3A】100ミリリットル(mL)の無電解CoWPB溶液に脱イオン(DI)水を追加した結果として生じるpHの変化を示した滴定反応データのグラフである。
【図3B】100ミリリットル(mL)の無電解CoWPB溶液にテトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)溶液を追加した結果として生じるpHの変化を示した滴定反応データのグラフである。
【図3C】100ミリリットル(mL)の無電解CoWPB溶液に1モル(1M)液のクエン酸溶液を追加した結果として生じるpHの変化を示した滴定反応データのグラフである。
【図3D】100ミリリットル(mL)の無電解CoWPB溶液に1モル(1M)液のジメチルアミンボラン(DMAB)の溶液を追加した結果として生じるpHの変化を示した滴定反応データのグラフである。
【図4】化学滴定の包括的反応のグラフである。
【図5】化学供給ユニット(CDU)内の溶液の吸光度が高い値を有するときの溶液注入算定の代表的フローチャートを示している。
【図6】化学供給ユニット(CDU)内の溶液の吸光度が低い値を有するときの溶液注入算定の代表的フローチャートを示している。
【図7】化学供給ユニット(CDU)内の溶液が高いジメチルアミンボラン(DMAB)濃度を有するときの溶液注入算定の代表的フローチャートを示している。
【図8】化学供給ユニット(CDU)についての溶液補充算定の代表的フローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、本発明の代表的実施形態は、溶液マニホールド110を含む溶液サンプリング&制御装置100を含む。溶液マニホールド110には、絞り弁130をそれぞれ含む複数のプロセス溶液管120がつながれる。そして、プロセス溶液管120は、めっき溶液を有するめっき浴、反応化学物質源、及び脱イオン(DI)水(本発明を不明瞭にすることを避けるため、不図示である)のいずれかにそれぞれつなぐことができる。反応化学物質源及び脱イオン(DI)水は、以下において、まとめてプロセス化学物質と称される。
【0014】
本発明の代表的実施形態において、反応化学物質源には、ジメチルアミンボラン(DMAB)、クエン酸、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)溶液、並びにコバルトイオン、タングステンイオン(すなわちタングステン酸塩溶液)、及びリン含有イオン(次亜リン酸塩)を含む溶液が含まれる。当業者ならばわかるように、各種のイオンを含む様々なめっき溶液が、単独で又は組み合わせて使用可能である。続く議論は、特定の溶液又は特定の溶液の組み合わせに限定されることを意図しない。当業者ならばわかるように、溶液サンプリング&制御装置100には、プロセス化学物質及びめっき浴の循環を可能にするために、ポンプ手段(不図示)などのその他の構成要素が組み込まれてよい。プロセス溶液管120は、図1において矢印で示されるように、プロセス化学物質を溶液マニホールド110に運び入れるため又は溶液マニホールド110から運び出すためのいずれかに使用されてよい。溶液マニホールド110は、後述のように、めっき浴にプロセス化学物質を導入するため、及び解析のためにめっき浴からめっき溶液のサンプルを抜き取るための手段として機能する。本発明のこの代表的実施形態では、めっき浴体積は、およそ8リットルであり、めっき浴のサンプルは、およそ20ミリリットルである。
【0015】
めっき溶液のサンプルを溶液マニホールド110からフローセル150に運ぶために、第1のサンプル管140Aが使用される。フローセル150には、可視光分光計(VIS)160がつながれ、溶液中の1つ又は2つ以上の金属イオンの濃度に対して反応性である。可視光分光計(VIS)150は、当業者にとって周知の技術を使用して、光の吸収によって動作する。本発明の代表的実施形態では、可視光分光計(VIS)160は、特定の波長範囲内における吸光度を測定するための光源として発光ダイオード(LED)を利用する市販の器具である。発光ダイオード(LED)の発光波長は、概ね490ナノメートルから540ナノメートルまでの範囲の波長を持つ可視スペクトルの緑色領域内である。様々に異なるイオンに対して反応性であるために、可視範囲外の波長を含むその他の波長で動作する分光計を利用する本発明のその他の実施形態も可能である。また、本発明では、特定のイオンに関連してそれぞれの分光計が使用されるように、2つ以上の分光計を使用することも可能である。
【0016】
光源としての発光ダイオード(LED)の利点は、従来の(例えば白熱)光源と比べて光出力が大きいこと、そしてレーザ光源と比べて寿命が長く、信頼性が高く、コストが低いことである。発光ダイオードの重要な特質は、めっき溶液を貫通するのに十分な光強度にある。当業者ならばわかるように、異なる金属イオンを有する溶液は、光学的特性(とりわけ吸光度対波長)が異なり、可視光分光計(VIS)160用に異なる波長(すなわち異なる色)の光源を選択することは、1つ又は2つ以上の対象金属イオンを識別することに対してプラスに働く可能性がある。可視光分光計(VIS)160によってなされた測定の出力は、通例、吸光度を単位として表現される。吸光度(Abs)は、溶液サンプルを通り抜ける分光計光源の割合(透過率、%T)に関係しており、式:
Abs=2−log10(%T)=log10(100/%T)
によって与えられる。通常、高い値の吸光度(すなわち低い透過率)は、溶液中の高濃度のイオンに関係している。
【0017】
フローセル150には、ラマン分光計170もつながれる。本発明の代表的実施形態では、ラマン分光計170は、785ナノメートルで発光する光源を有する。この波長では、ラマン分光計は、めっき溶液サンプル中のジメチルアミンボランに対して反応性であり、ジメチルアミンボランの濃度に対応する出力を生じる。当業者ならばわかるように、ラマン分光計は、スペクトルの赤外領域で動作するものであり、赤外光と化学物質との相互作用は、分子振動を伴うのが通常である。各種の有機分子は、異なる振動状態を有するので、有機分子の種類は、波長対反応特性に基づいて区別することが可能である。したがって、ラマン分光計は、様々な有機化学物質に対して反応性であり、動作用に選択された波長は、たとえ1つのサンプル中に複数の有機化学物質が存在する場合でも、有機化学物質どうしを識別するために使用することができる。
【0018】
フローセル150構成は、当業者に知られるあらゆる技術にしたがうことが可能である。しかしながら、本発明の代表的実施形態における構成は、セルを満たすために必要とされる溶液の体積を最小に抑えるように選択される。小さい体積は、化学廃棄物の生成を最小限に抑えるのに、そしてサンプリングプロセスによって失われる可能性がある化学物質のコストを抑えるのに有利である。更なる利点は、めっき浴の代表サンプルを得るためにセルに送り込む必要がある溶液の量の減少によって、サンプリング時間を短縮させられる可能性があることである。
【0019】
第2のサンプル管140Bは、フローセル150をpHプローブ180につなぐ。第1のサンプル管140Aによってフローセル150に運ばれた、溶液マニホールド110からのめっき溶液のサンプルは、更に、サンプルのヒドロニウムイオン濃度(pH)に対応する信号を提供するpHプローブ180に、第2のサンプル管140Bによって運ばれる。pHプローブ180には、第3のサンプル管140Cがつながれ、めっき溶液のサンプルをpHプローブから運び出す。サンプルは、廃棄物として破棄されるか、又はめっき浴に戻されるかしてよい。当業者ならばわかるように、フローセル150及びpHプローブ180に引き渡されるめっき浴のサンプルは、間欠的に又は連続的に送られてよい。やはり当業者ならばわかるように、フローセル150及びpHプローブ180としては、その他の構成も可能である。例えば、pHプローブ180は、サンプルがフローセル150に引き渡される前に、最初にめっき溶液のサンプルを測定するように構成されてよい。また、可視光分光計(VIS)160及びラマン分光計170にサンプルを提示するために、別々のフローセルを用いることが可能である。
【0020】
pHプローブ180は、当業者に知られる様々な商業的供給源から選ぶことができる。めっき溶液のpHに対応する信号を提供することに加えて、本発明の代表的実施形態におけるpHプローブ180は、めっき溶液のサンプルの温度に対応する温度信号を提供する。温度信号は、サンプル温度の変化の結果として生じるpH測定におけるばらつきを、当業者に知られる方法によって補正するために用いられてよい。可視光分光計(VIS)160、ラマン分光計170、及びpHプローブ180からの信号は、以下において詳述される方法にしたがってプロセス化学物質の補充値を算定するために使用される。
【0021】
次に、本発明にしたがった無電解めっきシステム200の代表的実施形態である図2に着目する。無電解めっきシステム200は、めっき溶液を有する化学供給ユニット210を含む。化学供給ユニット210は、絞り弁130を有する少なくとも1本のプロセス溶液管120によって溶液マニホールド110につながれる。更なる実施形態では、化学供給ユニット210は、図中の矢印によって示されるように、化学供給ユニット210からめっき溶液サンプルを取り除くための源として第1のプロセス溶液管120を機能させるともに、めっき溶液サンプルの一部分を戻すように及び化学供給ユニット210にプロセス化学物質を入れるように第2のプロセス溶液管120を機能させるために、2本のプロセス溶液管120によって溶液マニホールド110につながれる。図のように、プロセス化学物質は、複数のプロセス溶液管120を通じて溶液マニホールド110に入れられる。図のように、めっき溶液の一部分を放出させるために、更なるプロセス溶液管120が用いられてよい。溶液マニホールド110、プロセス溶液管120、及びそれらに関連した絞り弁130は、まとめて、化学制御システム220を構成する。
【0022】
図2に示された、第1のサンプル管140A、第2のサンプル管140B、第3のサンプル管140C、フローセル150、可視光分光計(VIS)160、ラマン分光計170、及びpHプローブ180は、図1を参照にして上述されたものと類似の構成及び機能を有する。VIS信号線230上の、めっき溶液サンプル中の金属イオン濃度に対応する可視光分光計(VIS)160からの出力信号は、可視光分光計160をコントローラ260につなぐ。ラマン信号線240上の、めっき溶液サンプル中のジメチルアミンボラン(DMAB)濃度に対応するラマン分光計170からの出力信号は、ラマン分光計170をコントローラ260につなぐ。pH出力信号線250上の、めっき溶液サンプルのpHに対応するpHプローブ180からの出力信号は、pHプローブ180をコントローラ260につなぐ。化学制御信号バス270は、コントローラ260を化学制御システム220につなぐ。
【0023】
後述される方法によって、コントローラ260は、所望のめっき溶液組成を維持するために、可視光分光計(VIS)出力信号、ラマン分光計出力信号、及びpHプローブ出力信号を利用して、プロセス化学物質の追加及びめっき溶液の放出を計算する。コントローラ260は、化学制御信号バス270によって複数の制御信号を化学制御システム220に送信し、複数の絞り弁130を開閉させることによって、所望のプロセス化学物質の追加及びめっき浴の放出を実施する。当業者ならばわかるように、化学制御システム220、コントローラ260、及び化学制御信号バス270を構成するためには、様々な周知の方法が利用可能である。
【0024】
例えば、化学制御システム220は、空気圧式絞り弁、電磁弁、又は流体の流量を変えるためのその他の手段を用いることができる。化学制御システム220は、体積流量、又は質量流量、又は総流体体積などの流体パラメータを測定するための手段を組み入れてもよい。コントローラ260は、パソコン(PC)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(EPGA)、又はその他のプログラマブル電子機器を含んでよい。化学制御信号バス270は、一連のディスクリート制御線であるか、又はイーサネット(登録商標)、CAN、RS−232、及びそれらのワイヤレスヴァージョンなどの、複数の周知のシリアル及びパラレルデータ転送プロトコルのいずれかを使用して動作するかしてよい。また、コントローラ260は、データを記録するため又はデータをモニタ若しくはプリンタ(不図示)などの出力機器に提供するための手段を含んでよい。
【0025】
めっき溶液制御のための方法:
次に、めっき溶液を構成する化学成分の濃度を所望の制限内に設定及び維持するための代表的方法が説明される。以下に続く議論では、大別して2つのタイプの計算、すなわち補充計算及び注入計算が導入される。
【0026】
補充計算は、目標値の集合を満足するめっき浴を化学供給ユニット(CDU)の中に作るために、1つ又は2つ以上の化学溶液を追加することを指す。注入計算は、めっき浴が目標値からずれたときにめっき浴の組成を調整するために、1つ又は2つ以上の化学溶液を追加することを指す。概念的に言うと、補充が、めっき浴を作る又は増やすために利用されるのに対し、注入は、めっきプロセス中に失われた化学種の消費を補う。補充計算及び注入計算の目標は、最少の算定回数で正確なめっき浴組成を提供することによって、めっきプロセスを制御不能にする恐れがある試行錯誤の繰り返しを回避することにある。
【0027】
以下の議論を更に容易にするために、幾つかのパラメータが導入される。これらは、以下の表1にまとめられる。
【0028】
【表1】

【0029】
表Iにおいて、略記CDUは、化学供給ユニットを指し、略記CMSは、めっき浴の目標組成を有する化学的構成溶液を指す。代表的な実施形態では、化学的構成溶液は、金属イオン源である。更に、添え字「注入」及び「補充」は、特定の溶液の体積及び使用が注入又は補充のいずれの状況におけるものであるかを明確にするために用いられる。(この代表的実施形態では、各化学物質の注入溶液体積及び補充溶液体積は、1つの源から発しており、したがって、同じ濃度を有する。このため、例えば、ジメチルアミンボラン溶液の濃度CDMAB,replは、注入計算及び補充計算の両方に利用可能である。)
【0030】
コバルトタングステンリン化物(CoWP)の無電解析出のためのめっき浴は、5つの化学溶液、すなわち金属イオン源としての無電解CoWPB溶液、pH調整剤としてのテトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)、錯化剤及びpH調整剤としてのクエン酸、還元剤としてのジメチルアミンボラン(DMAB)、並びに脱イオン(DI)水を含む。(続く以下の議論では、化学溶液は、上に定められた略記によって言及される。)これらの各化学溶液がめっき浴のpHに及ぼす影響は、注入及び補充に必要とされる化学物質の相対体積の計算に重要である。
【0031】
図3は、当業者に知られる化学滴定の方法によって決定された、DI水、TMAH、クエン酸、及びDMABが無電解CoWPB液(コバルトイオン、タングステンイオン、リンイオン、及びホウ素イオンを含む)の溶液のpHに及ぼす効果をグラフ表示したものである。包括的な滴定グラフである図4を参照すると、ΔpHによって表されるpHの変化は、傾きKを有する一次関数によって、溶液の体積比の変化に関係付けることができる。図4の例にしたがうと、TMAH、クエン酸、DMAB、及びDIの各化学溶液が溶液浴のpHに及ぼす影響は、以下の式によって表すことができる。
【0032】
【数1】

【0033】
【数2】

【0034】
【数3】

【0035】
【数4】

【0036】
式(1)〜(4)において、ΔpHCMS、ΔpHDI、ΔpHDMAB、及びΔpHpH,adjの値は、それぞれ、CMS溶液、DI、DMAB溶液、及びpH調整剤溶液を追加した結果として生じる溶液pHの変化を表している。これらの溶液の追加体積は、それぞれ、VCMS、VDI、VDMAB、及びVpH,adjであり、注入及び補充のいずれの状況にも利用可能である。KDI、KDMAB、及びKpH,adjの値は、滴定反応グラフの傾きであり、例えば、KDI、KpH,adj、及びKDMABは、それぞれ図3A、図3B、及び図3Dをもとに突き止めることができる。同様の滴定グラフは、めっきプロセスによく用いられるその他の化学物質(例えばCMS)についても、当業者に知られる方法によって導き出すことができる。
【0037】
以下の式は、めっき液特性についての目標値をめっき浴化学物質の体積、濃度、pH、及び吸光度に関係付ける。
【0038】
【数5】

【0039】
【数6】

【0040】
【数7】

【0041】
【数8】

【0042】
ここで、C’DMAB,CDUは、化学供給ユニット(CDU)内の溶液中のDMABの目標濃度を表しており、A’CDUは、CDU内の溶液の目標吸光度を表しており、pH’CDUは、CDU内の溶液の目標pHを表している。V’CDUの値は、全ての追加がなされた後の、CDU内の所望溶液体積を表している。CDUの体積は有限であるので、全ての計算は、溶液の体積がCDU容量を超えないように実施する必要がある。もし、計算されたCDUへの追加によってCDUの容量を超えた場合は、追加の完了後に所望の体積V’CDUが実現されるように、CDU内の既存の溶液の一部分を排出させてよい。
【0043】
注入体積及び補充体積を計算するための方法は、CDU内のめっき浴溶液の状態に応じて変わる。とりわけ、ここでは、それぞれ異なる算定方法を有する3つのケースが説明される。
ケースi:CDU内の溶液のVIS吸光度が高い。VDI,dose、VDMAB,dose、及びVpH,adj,doseを計算する。
ケースii:CDU内の溶液のVIS吸光度が低い:VCMS、VDMAB,dose、及びVpH,adj,doseを計算する。
ケースiii:CDU内のDMAB濃度が高い:VCMS、VDI,dose、VpH,adj,doseを計算する。
【0044】
実際、注入及び補充の算定は、3つの全てのケースについて実施され、ひとたび計算が完了すると、3組の結果の比較をもとに、注入及び補充に使用される実際の値が選択される。結果の比較は、全ての注入体積として負でない値を生じるのが1つの算定方法のみであることを示す。残り2つの算定方法は、注入追加として1つ又は2つ以上の負の結果を生じる。3組の結果から選択するにあたり、負の体積を生じるものは却下され、全て正の注入体積を得られる結果が制御のために選ばれる。したがって、任意の所定のプロセス条件に適した計算が、容易に特定される。上記の各ケースでは、注入体積及び補充体積の計算のために2段階の手続きが用いられる。
1. 注入体積を算定する(すなわち、CDU内の溶液をDMAB濃度、吸光度、及びpHの目標値に調整するために必要とされる化学物質体積を決定する)。
2. 注入溶液体積がCDU内の通常値と追加値との差より小さい場合に、補充溶液を使用して差を補うために、すなわち次式(9)を満たすように、補充体積を算定する。
【0045】
【数9】

【0046】
ここで、V注入は、追加される注入溶液の体積であり、該注入溶液は、VCMS,dose、VDI,dose、VDMAB,dose、及びVpH,adj,doseを含み、V補充は、追加される補充溶液の体積であり、該補充溶液は、VDMAB,repl、VCMS,repl、VDI,repl、及びVpH,adj,replを含み、VCDU,normは、CDU内の目標溶液体積であり、VCDU,addは、CDU内の最小溶液体積である。
【0047】
ケースi:CDU内のVIS吸光度が高いときの注入:
図5を参照すると、化学供給ユニット(CDU)内の溶液の吸光度が高いときの注入算定のフローチャートは、注入算定の高VIS注入開始ブロック502から始まる。このケースでは、高い吸光度は、概ね1に等しい又は1より大きい(ADMAB,ORIG≧〜1)。第1のDMAB注入体積ブロック504は、式(10)
にしたがって、注入体積VDMAB,doseを計算する。
【0048】
【数10】

【0049】
注入体積VDMAB,doseは、次に、次式(11)にしたがってpH調整剤注入体積VpH,注入を計算する第1のpH調整剤注入体積ブロック506に引き渡される。
【0050】
【数11】

【0051】
式(11)では、方程式を簡略化するために、(表Iにまとめられた変数を使用して)以下の代入がなされた。
【0052】
【数12】

【0053】
【数13】

【0054】
【数14】

【0055】
【数15】

【0056】
式(11)は、平方根の計算を含むので、2つの数理解が可能である。負の数理解をもたらす結果は、却下される。もし両方の数理解が正である場合は、より大きい値が選ばれる。計算は、VDMAB,dose及びVpH,注入の計算値を使用して次式(16)にしたがってDI注入体積VDI,doseを計算するDI注入体積ブロック508に進む。
【0057】
【数16】

【0058】
ケースiのための注入算定は、次に、ケースiの注入体積(VDMAB,dose、VpH,注入、及びVDI,dose)のいずれかが負であるかどうかをチェックする第1の体積チェックブロック510に進む。もし、いずれかの体積が負である場合は、算定は、その計算を無効として却下する第1の計算却下ブロック512に進む。もし、全ての注入体積が正である場合は、算定は、総注入体積(VDMAB,dose+VpH,注入+VDI,dose)の追加によって総CDU溶液体積が値VMAX を超えるかどうかをチェックする第1の最大注入体積チェックブロック514に進む。もし、VMAX を超える場合は、実行は、CDUを部分的に排液させる第1のCDU排液ブロック516に進む。CDUから排出されるべき溶液の量を選択するための1つの方法は、総注入体積がVMAX を超える量に等しい量の溶液を除去することである。CDUからの溶液の除去は、注入計算のための開始条件を変化させる。したがって、実行は、高VIS注入開始ブロック502にリセットされる。
【0059】
もし、注入体積チェックブロック514においてVMAX を超えない場合は、計算は、総注入体積(VDMAB,dose+VpH,注入+VDI,dose)がVMIN 未満であるかどうかをチェックする第1の最小注入体積チェックブロック518に進む。ここで、VMIN は、開始CDU溶液体積VDMAB,ORIGに追加されたときに、追加が必要となる前のCDU内の溶液の最小許容体積であるVCDU,addを超える体積である。もし、総注入体積がVMIN より大きい場合は、算定は、第1の算定完了ブロック520に進む。注入体積VDMAB,dose、VpH,注入、及びVDI,doseは、CDUへの溶液の追加の制御に使用できる状態になる。もし、総注入体積がVMIN 未満である場合は、CDUによって、更なる溶液が必要とされる。実行は、以下で更に説明される方法によって補充算定を実施する第1の補充算定ブロック522に進む。
【0060】
CDU内のVIS吸光度が低いときの注入:
図6を参照すると、化学供給ユニット(CDU)内の溶液の吸光度が低いときの注入算定のフローチャートは、注入算定の低VIS注入開始ブロック602から始まる。このケースでは、低い吸光度は、概ね値1未満である(ADMAB,ORIG<〜1)。第2のCMS注入体積ブロック604は、次式(17)にしたがって、注入体積VDMAB,doseを計算する。
【0061】
【数17】

【0062】
式(17)を求めるにあたり、第2のDMAB注入体積ブロック604は、簡略化のための仮定して以下の式(18)(19)を活用する。
【0063】
【数18】

【0064】
【数19】

【0065】
式(18)は、式(17)において、pH調整剤溶液の体積を無視することを可能にする。したがって、式(17)は、以下のように簡略化される。
【0066】
【数20】

【0067】
計算は、次式(21)にしたがって、注入体積VCMS,doseを計算する第1のCMS注入体積ブロック606に進む。
【0068】
【数21】

【0069】
第1のCMS注入体積ブロック606では、式(18)及び(19)の仮定が利用され、ブロック606によって実施される算定は、次式(22)のように簡略化される。
【0070】
【数22】

【0071】
ケースiiのための注入算定は、次に、関係式(23)に基づいてpH調整剤注入体積VpH,adj,doseを計算するために、それぞれ式(20)及び(22)から計算されたVDMAB,dose及びVCMS,doseの値を使用する、第2のpH調整剤注入体積ブロック608に進む。
【0072】
【数23】

【0073】
式(23)の分母部分のpH調整剤の体積は、無視することができ、方程式は、次式(24)のように簡略化される。
【0074】
【数24】

【0075】
適切に整理された後、式(24)は、VpH,adj,doseについて解くことができる。ひとたびpH調整剤の注入体積が決定されると、算定の正確さを高めるために、DMAB及びCMSの注入体積が再度求められる。VpH,adj,doseの値は、式(17)にしたがってDMAB注入体積VDMAB,doseの再計算及び更新を行う第1の再計算DMAB注入体積ブロック610に引き渡される。この場合、pH調整剤注入体積は、無視されず、計算に用いられる。計算は、式(23)にしたがってCMS注入体積VCMS,doseの再計算及び更新を行う第1の再計算CMS注入体積ブロック612に進む。やはり、pH調整剤注入体積VpH,adj,doseは、無視されず、計算に用いられる。
【0076】
ケースiiのための注入計算は、次に、ケースiiの注入体積(VDMAB,dose、VpH,注入、及びVDI,dose)のいずれかが負であるかどうかをチェックする第2の体積チェックブロック614に進む。もし、いずれかの体積が負である場合は、算定は、その計算を無効として却下する第2の計算却下ブロック616に進む。もし、全ての注入体積が正である場合は、算定は、総注入体積(VDMAB,dose+VpH,repl+VDI,dose)の追加によって総CDU溶液体積が値VMAX を超えるかどうかをチェックする第2の最大注入体積チェックブロック618に進む。もし、VMAX を超える場合は、実行は、CDUを部分的に排液させる第2のCDU排液ブロック620に進む。CDUから排出されるべき溶液の量を選択するための1つの方法は、総注入体積がVMAX を超える量に等しい量の溶液を除去することである。CDUからの溶液の除去は、注入計算のための開始条件を変化させる。したがって、実行は、低VIS注入開始ブロック602にリセットされる。
【0077】
もし、第2の最大注入体積チェックブロック618においてVMAX を超えない場合は、計算は、総注入体積(VDMAB,dose+VpH,注入+VDI,dose)がVMIN 未満であるかどうかをチェックする第2の最小注入体積チェックブロック622に進む。もし、総注入体積がVMIN より大きい場合は、算定は、第2の算定完了ブロック624に進む。注入体積VDMAB,dose、VpH,注入、及びVDI,doseは、CDUへの溶液の追加の制御に使用できる状態になる。もし、総注入体積がVMIN 未満である場合は、CDUによって、更なる溶液が必要とされる。実行は、以下で更に説明される方法によって補充算定を実施する第2の補充算定ブロック626に進む。
【0078】
CDU内のDMAB濃度が高いときの注入:
図7を参照すると、化学供給ユニット(CDU)内の溶液のDMAB濃度が高いときの注入算定のフローチャートは、注入算定の高DMAB注入開始ブロック702から始まる。このケースでは、高いDMAB濃度は、概ね45ミリモルより大きい(CDMAB,orig>〜0.45mM)。VDMAB,dose=0とする仮定から開始して、第2のCMS注入体積ブロック704は、次式(25)にしたがって注入体積VCMS,doseを計算する。
【0079】
【数25】

これは、整理しなおすと、次式(26)となる。
【0080】
【数26】

【0081】
計算は、式(27)から始まって、仮定の式(28)を使用して注入体積VDI,doseを計算する第1のDI注入体積ブロック706に進む。
【0082】
【数27】

【0083】
【数28】

【0084】
式(28)の仮定によって式(27)を整理しなおし、ブロック704によって計算されたVCMD,doseの値を当てはめることによって、体積VDI,doseは、次式(29)のように計算される。
【0085】
【数29】

【0086】
ケースiiiのための注入算定は、次に、関係式(30)に基づいてpH調整剤注入体積VpH,adj,doseを計算するために、それぞれ式(26)及び(29)から計算されたVCMS,dose及びVDI,doseの値を使用する、第2のpH調整剤注入体積ブロック708に進む。
【0087】
【数30】

【0088】
式(30)の分母部分のpH調整剤の体積は、無視することができ、方程式は、次式(31)のように簡略化される。
【0089】
【数31】

【0090】
適切に整理された後、式(31)は、VpH,adj,doseについて解くことができる。ひとたびpH調整剤の注入体積が決定されると、算定の正確さを高めるために、DMAB及びCMSの注入体積が再度求められる。VpH,adj,doseの値は、式(26)にしたがってCMS注入体積VCMS,doseの再計算及び更新を行う第2の再計算CMS注入体積ブロック710に引き渡される。この場合、pH調整剤注入体積は、無視されず、計算に用いられる。計算は、式(29)にしたがってDI注入体積VDI,doseの再計算及び更新を行う第1の再計算DI注入体積ブロック712に進む。やはり、pH調整剤注入体積は、無視されず、計算に用いられる。
【0091】
ケースiiiのための注入計算は、次に、ケースiiiの注入体積(VDMAB,dose、VpH,注入、及びVDI,dose)のいずれかが負であるかどうかをチェックする第3の体積チェックブロック714に進む。もし、いずれかの体積が負である場合は、算定は、その計算を無効として却下する第3の計算却下ブロック716に進む。もし、全ての注入体積が正である場合は、算定は、総注入体積(VDMAB,dose+VpH,dose+VDI,dose)の追加によって総CDU溶液体積が値VMAX を超えるかどうかをチェックする第2の最大注入体積チェックブロック718に進む。もし、VMAX を超える場合は、実行は、CDUを部分的に排液させる第3のCDU排液ブロック720に進む。CDUから排出されるべき溶液の量を選択するための1つの方法は、総注入体積がVMAX を超える量に等しい量の溶液を除去することである。CDUからの溶液の除去は、注入計算のための開始条件を変化させる。したがって、実行は、高DMAB注入開始ブロック702にリセットされる。
【0092】
もし、第3の最大注入体積チェックブロック718においてVMAX を超えない場合は、計算は、総注入体積(VDMAB,dose+VpH,dose+VDI,dose)がVMIN 未満であるかどうかをチェックする第3の最小注入体積チェックブロック722に進む。もし、総注入体積がVMIN より大きい場合は、算定は、第3の算定完了ブロック724に進む。注入体積VDMAB,dose、VpH,注入、及びVDI,doseは、CDUへの溶液の追加の制御に使用できる状態になる。もし、総注入体積がVMIN 未満である場合は、CDUによって、更なる溶液が必要とされる。実行は、以下で更に説明される方法によって補充算定を実施する第3の補充算定ブロック726に進む。
【0093】
補充算定:
本発明のこの代表的実施形態において、もし(上述の)ケースi、ii、又はiiiのためのいずれかの注入算定が、対応する補充計算を必要とする場合は、図8を参照にして説明される以下の方法によって、補充体積が決定される。
【0094】
図8において、計算は、補充計算開始ブロック802から始まる。これは、次式(32)にしたがってCMS補充体積VCMS,replを計算するCMS補充体積ブロック804に引き続き進むための、算定の入口点である。ここで、Vaddは、上述された注入算定における計算から決定された補充溶液の総体積である。
【0095】
【数32】

【0096】
式(32)は、次の関係式(33)および(34)を更に満足する必要があるCMS補充溶液の体積を推定する。
【0097】
【数33】

【0098】
【数34】

【0099】
補充溶液の計算は、CMSの吸光度及びpHが比較的一定であるものと見込まれるか、又はその他のめっき溶液成分の追加とともに変化するものと見込まれるかに応じて、補充計算の更なる経路を選択する、吸光度&pHケース選択ブロック806に進む。
【0100】
CMSの吸光度及びpHが比較的一定であるケース:
もし、CMSの吸光度及びpHが比較的一定である場合は、補充算定は、パラメータが一定の場合のDMAB補充体積ブロック808A、パラメータが一定の場合のDI補充体積ブロック810A、及びパラメータが一定の場合のpH調整剤補充体積ブロック812Aに進む。これらのブロックは、次式(36a)〜(36c)が成り立つときに、以下の関係式(35)を満足する補充体積を、DMAB、DI、及びpH調整剤の補充溶液について計算する。
【0101】
【数35】

【0102】
【数36】

【0103】
実際の実装形態では、ブロック804、808A、810A、及び812Aは、当業者に知られる方法によって、異なる順序で実行されるか又は同時に解かれるか、してよい。例えば、表計算の実行のための市販のソフトウェアは、複数の数学的要件及び数学的制約を同時に満足する解を求めるために用いることができる反復ソルバを組み入れていることが多い。
【0104】
総補充体積Vreplを満足する補充体積VCMS,repl、VpH,adj,repl、VCMS,repl、及びVDMAB,replがひとたび計算されると、実行は、補充算定完了ブロック814に進み、これらの補充体積は、CDUへの溶液の追加に使用できる状態になる。
【0105】
CMSの吸光度及びpHが変化するケース:
もし、CMSの吸光度及びpHが変化する場合は、補充算定は、滴定の傾きを用いるDMAB補充体積ブロック808B、滴定の傾きを用いるDI補充体積ブロック810B、及び滴定の傾きを用いるpH調整剤補充体積ブロック812Bに進む。これらのブロックは、関係式(37)を満足する補充体積を、DMAB、DI、及びpH調整剤の補充溶液について計算する。
【0106】
【数37】

【0107】
滴定の傾きを用いるDMAB補充体積ブロック808Bは、次式(38)からDMAB補充体積を計算する。
【0108】
【数38】

【0109】
次いで、補充体積VDI,repl及びVpH,adj,replを計算するために、ブロック810B及び812Bによって、以下の関係式(39)(40)が使用される。
【0110】
【数39】

【0111】
【数40】

【0112】
式(39)では、化学的構成溶液(CMS)の、変化するpH及び吸光度が、滴定の傾きを示す式(41)によって取り込まれる。
【0113】
【数41】

【0114】
これらの滴定傾きは、図3及び図4を参照にして上述されている。実際の実装形態では、ブロック804、808B、810B、及び812Bは、当業者に知られる方法によって、異なる順序で実行されるか又は同時に解かれるかしてよい。
【0115】
総補充体積Vreplを満足する補充体積VCMS,repl、VpH,adj,repl、VCMS,repl、及びVDMAB,replがひとたび計算されると、実行は、補充算定完了ブロック814に進み、これらの補充体積は、CDUへの溶液の追加に使用できる状態になる。
【0116】
以上では、本発明は、その具体的実施形態に基づいて説明されてきた。しかしながら、当業者ならば明らかなように、添付の特許請求の範囲に定められた、より広い本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく各種の修正及び変更を加えることが可能である。例えば、本発明の装置及び方法は、主に、コバルトタングステンリン化物の無電解析出に関連して説明されてきたが、当業者ならばわかるように、本発明は、その他の材料の無電解析出、電気めっき溶液の解析及び制御、並びに溶液中に同時に存在する有機成分及び金属成分の両方の濃度を決定することを望まれるその他の化学プロセスにも適用されてよい。例えば、本発明の具体的実施形態は、リン化ニッケル(NiP)の無電解めっきに有利に適用することができる。この具体的実施形態では、DMABの代わりに還元剤として次亜リン酸塩が用いられ、溶液中のニッケルイオンの濃度は、可視光分光計(VIS)又は吸収計においてニッケルイオンに対して反応性である波長を使用して、吸収によって測定される。明細書及び図面は、したがって、限定的ではなく例示的な意味だとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属化合物の無電解めっきに使用されるシステムであって、
めっき溶液の成分を測定するように構成されたサンプリングシステムであって、前記めっき溶液は、還元剤、pH調整剤、及び溶液中の少なくとも1つの金属を含み、前記サンプリングシステムは、更に、前記還元剤の濃度を測定するために、前記めっき溶液の一部分をラマン分光計へ分岐させるように構成され、前記サンプリングシステムは、また、溶液中の少なくとも1つの金属の濃度を測定するために、前記めっき溶液の一部分を可視光分光計(VIS)へ分岐させ、前記サンプリングシステムは、更に、前記めっき溶液のpHレベルを測定するために、前記めっき溶液の一部分をpHプローブへ分岐させる、サンプリングシステムと、
前記ラマン分光計、前記可視光分光計、及び前記pHプローブによってなされた測定に基づいて、前記還元剤、前記pH調整剤、及び溶液中の少なくとも1つの金属のいずれかを補充するように構成された制御システムと、
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記還元剤は、ジメチルアミンボラン(DMAB)であり、前記pH調整剤は、クエン酸及びテトラメチル水酸化アンモニウムのいずれかであり、前記溶液中の金属は、コバルト及びタングステンのいずれかである、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記ラマン分光計は、785ナノメートルの波長の光源を用い、前記可視光分光計(VIS)は、概ね490ナノメートルから540ナノメートルまでの波長を有する緑色光源を用いる、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記pHプローブは、pH測定におけるばらつきを温度の関数として決定すること及び補正することを可能にするために、温度センサを組み入れている、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記制御システムは、前記還元剤、前記pH調整剤、及び溶液中の少なくとも1つの金属のいずれかを、もし前記めっき溶液中のそれらの対応する濃度が設定値未満である場合に、追加することによって、並びにそれらの対応する濃度のいずれかが設定値を上回る場合に、脱イオン(DI)水を追加することによって、動作する、システム。
【請求項6】
めっき溶液の組成を制御するためのシステムであって、
前記めっき溶液の吸光度を測定するように構成された可視光分光計であって、前記めっき溶液の吸光度は、前記めっき溶液中の少なくとも1つの金属の濃度の指標である、可視光分光計と、
前記めっき溶液中の還元剤の濃度を測定するように構成されたラマン分光計と、
前記めっき溶液のpHレベルを測定するように構成されたpHプローブと、
前記可視光分光計、前記ラマン分光計、及び前記pHプローブによる測定を用いて前記めっき溶液に対する化学的構成溶液、前記還元剤、pH調整溶液、及び脱イオン(DI)水の注入追加を決定するように構成されたコントローラであって、前記注入追加は、めっきプロセスによって減少しためっき溶液成分に取って代わる働きをし、前記コントローラは、更に、前記めっき溶液に対する前記化学的構成溶液、前記還元剤、前記pH調整溶液、及び脱イオン(DI)水の補充追加を決定するように構成され、前記補充追加は、前記めっき溶液の目標体積を維持する働きをする、コントローラと、
を備えるシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、
前記pHプローブは、温度センサを組み入れている、システム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムであって、
前記化学的構成溶液は、無電解CoWPB溶液であり、前記還元剤は、ジメチルアミンボラン(DMAB)であり、前記pH調整溶液は、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)及びクエン酸のいずれかである、システム。
【請求項9】
めっき溶液に注入化学物質及び補充化学物質を追加するために、コントローラを動作させる方法であって、
前記めっき溶液中の少なくとも1つの金属の濃度を決定するために、可視光分光計によって前記めっき溶液の可視吸光度を測定することと、
前記めっき溶液中の還元剤の濃度を決定するために、ラマン分光計によって前記めっき溶液を測定することと、
pHプローブによって前記めっき溶液のpHレベルを測定することと、
前記可視吸光度、前記還元剤濃度、及び前記pHレベルを前記コントローラに提供することと、
前記めっき溶液への前記還元剤の注入追加の体積を計算することと、
前記めっき溶液へのpH調整剤溶液の注入追加の体積を計算することと、
前記めっき溶液への脱イオン(DI)水の注入追加の体積を計算することと、
総注入体積が最小注入体積未満であるときに、前記めっき溶液への補充溶液追加の体積を計算することと、
を備える方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、更に、
前記還元剤の前記注入追加の体積と、前記pH調整剤の前記注入追加の体積と、前記脱イオン水の前記注入追加の体積との和を含む総注入体積が最大注入体積を超えるときに、排出されるべき前記めっき溶液の一部分を計算することを備える方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、
前記めっき溶液への前記還元剤の注入追加の体積を計算するステップは、前記めっき溶液中の前記還元剤の目標濃度と、前記還元剤の注入溶液中の前記還元剤の濃度と、前記めっき溶液の可視吸光度と、化学的構成溶液の可視吸光度とに基づき、
前記めっき溶液への前記pH調整剤溶液の注入追加の体積を計算するステップは、前記めっき溶液の目標pH値と、前記還元剤の前記注入追加の体積とに基づき、
前記めっき溶液への脱イオン(DI)水の注入追加の体積を計算するステップは、前記還元剤の前記注入追加の体積と、前記pH調整剤の前記注入追加の体積とに基づく、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、更に、
前記ラマン分光計に使用するために、785ナノメートルの波長の光源を選択することと、
前記可視光分光計(VIS)に使用するために、概ね490ナノメートルから540ナノメートルまでの波長を有する緑色光源を選択することと、
pH測定におけるばらつきを温度の関数として決定すること及び補正することを可能にするために、前記pHプローブに温度センサを組み入れることと、
を備える方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、更に、
前記還元剤を、ジメチルアミンボラン(DMAB)の溶液であるように選択することと、
前記pH調整剤を、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)及びクエン酸のいずれかの溶液であるように選択することと、
前記化学的構成溶液は、無電解CoWPB溶液の溶液であることと、
を備える方法。
【請求項14】
めっき溶液に注入化学物質及び補充化学物質を追加するために、コントローラを動作させる方法であって、
前記めっき溶液中の少なくとも1つの金属の濃度を決定するために、可視光分光計によって前記めっき溶液の可視吸光度を測定することと、
前記めっき溶液中の還元剤の濃度を決定するために、ラマン分光計によって前記めっき溶液を測定することと、
pHプローブによって前記めっき溶液のpHレベルを測定することと、
前記可視吸光度、前記還元剤濃度、及び前記pHを前記コントローラに提供することと、
を備える方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、更に、
前記めっき溶液への前記還元剤の注入追加の推定体積を計算することと、
前記めっき溶液への化学的構成溶液の注入追加の推定体積を計算することと、
pH調整剤溶液の注入追加の体積を計算することと、
前記めっき溶液への前記還元剤の前記注入追加の修正体積を計算することと、
前記めっき溶液への前記化学的構成溶液の前記注入追加の修正体積を計算することと、
総注入体積が最小注入体積未満であるときに、前記めっき溶液への補充溶液追加の体積を計算することと、
を備える方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記めっき溶液への前記還元剤の注入追加の推定体積を計算するステップは、前記めっき溶液中の前記還元剤の目標濃度と、前記還元剤の注入溶液中の前記還元剤の濃度と、前記めっき溶液中の化学的構成溶液の体積とに基づき、
前記めっき溶液への前記化学的構成溶液の注入追加の推定体積を計算するステップは、前記還元剤の前記注入追加の推定体積と、前記めっき溶液の測定可視吸光度と、前記めっき溶液の可視吸光度の目標値と、前記化学的構成溶液の可視吸光度とに基づき、
pH調整剤溶液の注入追加の体積を計算するステップは、前記めっき溶液の測定pH値と、前記めっき溶液の目標pH値と、前記還元剤の前記注入追加の推定体積と、前記化学的構成溶液の前記注入追加の推定体積と、滴定定数の集合とに基づく、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
前記めっき溶液への前記還元剤の前記注入追加の修正体積を計算するステップは、前記めっき溶液中の前記還元剤の目標濃度と、前記還元剤の注入溶液中の前記還元剤の濃度と、前記めっき溶液中の化学的構成溶液の体積と、前記pH調整剤溶液の前記注入追加の体積とに基づき、
前記めっき溶液への前記化学的構成溶液の前記注入追加の修正体積を計算するステップは、前記還元剤の前記注入追加の修正体積と、前記めっき溶液の測定可視吸光度と、前記めっき溶液の可視吸光度の目標値と、前記化学的構成溶液の可視吸光度と、前記pH調整剤溶液の前記注入追加の体積とに基づく、方法
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、更に、
還元剤の注入追加の体積と、pH調整剤の注入追加の体積と、化学的構成溶液の注入追加の体積との和を含む総注入体積が最大注入体積を超えるときに、排出されるべき前記めっき溶液の一部分を計算することを備える方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、更に、
前記ラマン分光計に使用するために、785ナノメートルの波長の光源を選択することと、
前記可視光分光計(VIS)に使用するために、概ね490ナノメートルから540ナノメートルまでの波長を有する緑色光源を選択することと、
pH測定におけるばらつきを温度の関数として決定すること及び補正することを可能にするために、前記pHプローブに温度センサを組み入れることと、
を備える方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、
前記還元剤は、ジメチルアミンボラン(DMAB)の溶液であり、
前記pH調整剤は、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)の溶液及びクエン酸の溶液のいずれかであり、
前記化学的構成溶液は、無電解CoWPB溶液の溶液である、方法。
【請求項21】
請求項14に記載の方法であって、更に、
前記めっき溶液への化学的構成溶液の注入追加の推定体積を計算することと、
前記めっき溶液への脱イオン(DI)水の注入追加の推定体積を計算することと、
前記めっき溶液へのpH調整剤溶液の注入追加の体積を計算することと、
前記化学的構成溶液の前記注入追加の修正体積を計算することと、
前記めっき溶液への脱イオン(DI)水の前記注入追加の修正体積を計算することと、
総注入体積が最小注入体積未満であるときに、前記めっき溶液への補充溶液追加の体積を計算することと、
を備える方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記めっき溶液への化学的構成溶液の前記注入追加の推定体積を計算するステップは、前記めっき溶液中の前記還元剤の目標濃度と、前記めっき溶液中の前記還元剤の測定濃度と、前記めっき溶液の測定可視吸光度と、前記めっき溶液の可視吸光度の目標値と、前記化学的構成溶液の可視吸光度とに基づき、
前記めっき溶液への脱イオン(DI)水の注入追加の推定体積を計算するステップは、前記化学的構成溶液の前記注入追加の推定体積と、前記めっき溶液中の前記還元剤の目標濃度と、前記めっき溶液中の前記還元剤の測定濃度とに基づき、
前記めっき溶液へのpH調整剤溶液の注入追加の体積を計算するステップは、前記めっき溶液の測定pH値と、前記めっき溶液の目標pH値と、前記脱イオン(DI)水の前記注入追加の推定体積と、前記化学的構成溶液の前記注入追加の推定体積と、滴定定数の集合とに基づく、方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、
前記化学的構成溶液の前記注入追加の修正体積を計算するステップは、前記めっき溶液中の前記還元剤の目標濃度と、前記めっき溶液中の前記還元剤の測定濃度と、前記めっき溶液の測定可視吸光度と、前記めっき溶液の可視吸光度の目標値と、前記化学的構成溶液の可視吸光度と、前記pH調整剤溶液の前記注入追加の体積とに基づき、
前記めっき溶液への脱イオン(DI)水の前記注入追加の修正体積を計算するステップは、前記化学的構成溶液の前記注入追加の修正体積と、前記めっき溶液中の前記還元剤の目標濃度と、前記めっき溶液中の前記還元剤の測定濃度と、前記pH調整剤溶液の前記注入追加の体積とに基づき、
前記めっき溶液への脱イオン(DI)水の前記注入追加の修正体積を計算するステップは、前記化学的構成溶液の前記注入追加の修正体積と、前記めっき溶液中の前記還元剤の目標濃度と、前記めっき溶液中の前記還元剤の測定濃度と、前記pH調整剤溶液の前記注入追加の体積とに基づく、方法。
【請求項24】
無電解めっき溶液の組成を制御するためのシステムであって、
前記無電解めっき溶液のサンプル部分を、前記サンプル部分中の還元剤の濃度を測定するためにラマン分光計へ、前記サンプル部分の吸光度を測定するために可視分光計へ、前記サンプル部分のpH値を測定するためにpHプローブへ、分岐させるためのサンプリング手段と、
注入溶液体積を計算するための第1のコントローラ手段であって、前記注入溶液は、前記還元剤の部分と、脱イオン(DI)水の部分と、pH調整溶液の部分と、化学的構成溶液の部分とを含み、前記注入溶液体積は、前記無電解めっき溶液の目標組成を維持する働きをする、第1のコントローラ手段と、
補充溶液体積を計算するための第2のコントローラ手段であって、前記補充溶液は、前記還元剤の部分と、脱イオン(DI)水の部分と、pH調整溶液の部分と、化学的構成溶液の部分とを含み、前記補充溶液体積は、前記無電解めっき溶液の目標体積を維持する働きをする、第2のコントローラ手段と、
前記注入溶液体積及び前記補充溶液体積のいずれかを前記無電解めっき溶液に追加するための供給手段と、
を備えるシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムであって、
前記第1のコントローラ手段は、前記サンプル部分の吸光度と、前記サンプル部分中の前記還元剤の濃度とに基づいて前記注入溶液体積を計算するための方法を選択する、システム。
【請求項26】
請求項24に記載のシステムであって、
前記第2のコントローラ手段は、前記化学的構成溶液が脱イオン(DI)水、前記pH調整溶液、及び前記還元剤のいずれかの追加を受けるときの前記化学的構成溶液におけるpH変化及び吸光度変化に基づいて前記補充溶液体積を計算するための方法を選択する、システム。
【請求項27】
請求項24に記載のシステムであって、
前記還元剤は、ジメチルアミンボラン(DMAB)であり、前記pH調整溶液は、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)及びクエン酸のいずれかである、システム。
【請求項28】
めっき溶液を測定するために使用されるシステムであって、
溶液マニホールドを有する溶液サンプリング装置であって、前記溶液マニホールドは、
絞り弁を含み、少なくとも1本を前記めっき溶液につながれるように構成された、複数のプロセス溶液管と、
前記溶液マニホールドに及びフローセルにつながれ、前記めっき溶液のサンプルを前記溶液マニホールドから前記フローセルへ運ぶように構成された、第1のサンプル管と、
を含む、溶液サンプリング装置と、
前記フローセルにつながれた可視光分光計であって、光源を有し、前記めっき溶液の吸光度を測定するように構成された、可視光分光計と、
前記フローセルにつながれたラマン分光計であって、光源を有し、前記めっき溶液の成分の濃度を測定するように構成された、ラマン分光計と、
フローセルに及びpHプローブにつながれた第2のサンプル管であって、前記めっき溶液の前記サンプルを前記フローセルから前記pHプローブへ運ぶように構成され、前記pHプローブは、前記めっき溶液のpH値を測定するように構成される、第2のサンプル管と、
を備えるシステム。
【請求項29】
注入溶液組成を計算するための方法であって、
少なくとも1つの溶液成分と、可視吸光度とを決定するために、無電解めっき溶液をサンプリングすることと、
前記少なくとも1つの溶液成分が閾値濃度を超える場合に、前記注入溶液組成を計算する第1の方法を選択することと、
前記可視吸光度が閾値吸光度を超える場合に、前記注入溶液組成を計算する第2の方法を選択することと、
前記可視吸光度が前記閾値吸光度に等しい又は前記閾値吸光度未満のいずれかである場合に、前記注入溶液組成を計算する第3の方法を選択することと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−506769(P2011−506769A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537972(P2010−537972)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/013660
【国際公開番号】WO2009/075885
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】