説明

ろ過装置及び洗浄設備

【課題】フィルタにランダムに異物が送られうる用途においても有効に機能しうる浄化機能を備えたろ過装置、及びそれが組み込まれた洗浄設備を提供する。
【解決手段】洗浄装置200で使用された洗浄液は、ろ過装置100に供給される。ろ過装置200は、ろ過領域12及び浄化領域14を通る周回移動経路に沿って周回移動する環状フィルタ10と、洗浄装置200から排出される洗浄液を、ろ過領域12において、環状フィルタ10に対して供給する供給部20と、ろ過領域12において環状フィルタ10によってろ過された洗浄液を回収する回収部30と、浄化領域14であって環状フィルタ10の周回移動経路の内側に配置され、環状フィルタ10の外側に向けて液体を噴射して環状フィルタ10を浄化する浄化部40とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体をろ過するろ過装置及びそれが組み込まれた洗浄設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール瓶を洗浄する洗浄装置(洗瓶機)は、市場から回収されてくる瓶或いは新規に投入される瓶を洗浄するために使用される。市場から回収されてくる瓶には、紙片、シール、箸、爪楊枝等の様々な異物が混入し或いは付着している可能性がある。洗瓶機では、瓶の洗浄のために使用された洗浄液のうち比較的に清浄な洗浄液(例えば、最終洗浄工程で使用された洗浄液)がろ過されて再び瓶の洗浄のために使用されうる。また、洗瓶機で使用された後に工場外に排出される洗浄液もまたろ過が施された後に排出されうる。
【特許文献1】特開2001−232127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなろ過において、前述のような紙片、シール、箸、爪楊枝等の様々な異物の存在が問題になる。ろ過装置が目詰まりしてろ過機能を失うと、洗瓶機を停止させざるを得ない状況が生じる可能性があり、それによるスループットの低下は甚大である。
【0004】
そこで、フィルタ(フィルタメディア)を浄化する機能(自動浄化機能)をろ過装置に設けることが有効である。ここで、紙片、シール、箸、爪楊枝等の異物がランダムにフィルタに送られるような用途には、自動浄化機能を定期的又は間欠的に動作させる構成は不向きかもしれない。すなわち、異物がランダムにフィルタに送られる用途においては、瞬間的に大量の異物がフィルタに送られた場合において、フィルタの自動浄化が遅れてしまい、洗瓶機等の装置の停止をもたらしうる。
【0005】
本発明は、上記のような課題認識を基礎としてなされたものであり、例えば、フィルタにランダムに異物が送られうる用途においても有効に機能しうる浄化機能を備えたろ過装置、及びそれが組み込まれた洗浄設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のろ過装置は、液体をろ過するろ過装置として構成され、ろ過領域及び浄化領域を通る周回移動経路に沿って周回移動する環状フィルタと、前記ろ過領域において前記環状フィルタに対してろ過対象の液体を供給する供給部と、前記ろ過領域において前記環状フィルタによってろ過された液体を回収する回収部と、前記浄化領域であって前記環状フィルタの周回移動経路の内側に配置され、前記環状フィルタの外側に向けて液体を噴射して前記環状フィルタを浄化する浄化部とを備える。
本発明の好適な実施形態によれば、前記浄化部は、前記回収部によって回収された液体を利用して前記環状フィルタを浄化するように構成されうる。
本発明の好適な実施形態によれば、前記ろ過装置は、物品を洗浄する洗浄装置で使用された洗浄液をろ過するように構成されうる。
本発明の洗浄設備は、物品を洗浄する洗浄設備として構成され、洗浄液によって物品を洗浄する洗浄装置と、前記洗浄装置で使用された洗浄液をろ過するろ過装置とを備える。ここで、前記ろ過装置は、ろ過領域及び浄化領域を通る周回移動経路に沿って周回移動する環状フィルタと、前記洗浄装置から排出される洗浄液を、前記ろ過領域において、前記環状フィルタに対して供給する供給部と、前記ろ過領域において前記環状フィルタによってろ過された洗浄液を回収する回収部と、前記浄化領域であって前記環状フィルタの周回移動経路の内側に配置され、前記環状フィルタの外側に向けて液体を噴射して前記環状フィルタを浄化する浄化部とを有する。
本発明の好適な実施形態によれば、前記浄化部は、前記回収部によって回収された洗浄液を利用して前記環状フィルタを浄化するように構成されうる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、フィルタにランダムに異物が送られうる用途においても有効に機能しうる浄化機能を備えたろ過装置、及びそれが組み込まれた洗浄設備を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0009】
図1は、本発明の好適な実施形態の洗浄設備の構成を模式的に示す図である。本発明の好適な実施形態の洗浄設備1000は、ビール瓶等の容器(物品の一例)1を洗浄するように構成され、洗浄液によって容器1を洗浄する洗浄装置200と、洗浄装置200で使用された洗浄液の全部又は一部を再使用又は排気のためにろ過するろ過装置100とを備えている。典型的には、洗浄装置200で使用される洗浄液の全体のうち比較的に清浄な洗浄液(例えば、最終洗浄段階及びその直前で使用された洗浄液)のみがろ過装置100でろ過されて再使用され、又は、系外に排出されうる。他の洗浄液は、他のろ過装置(例えば、物理ろ過装置、生物ろ過装置)を経て処理され、必要に応じて再使用されうる。
【0010】
第1洗浄ユニット210及び第2洗浄ユニット220において洗浄のために使用された洗浄液は、回収パン230によって回収され、ろ過装置100に供給される。第1洗浄ユニット210は、第2洗浄ユニット220の前段に配置された洗浄ユニットであり、ろ過装置100から提供される洗浄液を使用して容器1を洗浄する。第2洗浄ユニット220は、例えば、洗浄工程の最終段に配置されて容器1を最終洗浄(仕上げ洗浄)する。第2洗浄ユニット220には、典型的には、新鮮な洗浄液(例えば、水道水又はそれを処理した水)が提供されうる。第1、第2洗浄ユニット210、220は、例えば、洗浄ノズルを有し、洗浄ノズルから洗浄液を容器1に向けて噴射することによって容器1を洗浄する。
【0011】
ろ過装置100は、それ単体でも有用な装置であり、ろ過領域12及び浄化領域14を通る周回移動経路(図1では、環状フィルタ10が記載されている経路)に沿って周回移動する環状フィルタ10を備えている。環状フィルタ10は、例えば、下部プーリ16及び上部プーリ18に掛け渡されて、プーリ16及び18の少なくとも一方によって駆動されて周回移動する。
【0012】
洗浄装置200において回収パン230によって回収された洗浄液は、例えば、送液管240を通してろ過装置100の供給部20に供給される。供給部20は、洗浄装置200から排出された洗浄液をろ過領域12において環状フィルタ10に供給するように構成されている。供給部20は、典型的には、環状フィルタ12の上部面に洗浄液を提供するような槽構造として構成されうる。図1に示す例では、環状フィルタの一部分も槽構造の一部として機能する。洗浄液中の異物3は、ろ過領域12において、環状フィルタ12の上部側を移動している部分によって補足される。環状フィルタ12は、上部側を移動している部分及び下部側を移動している部分のうち上部側を移動している部分が上昇(図1では、左上に上昇)する方向(図1では、反時計回り)に、プーリ16及び/又は18によって駆動される。
ろ過領域12の下方には、ろ過領域12において環状フィルタ12によってろ過された洗浄液を回収する回収部30が配置されている。回収部30は、典型的には、槽構造として構成されうる。
【0013】
浄化領域14には、浄化部(噴射ノズル)40が環状フィルタ10の周回移動経路の内側(上側を移動している部分と下側を移動している部分との間)に配置され、環状フィルタ10の外側(好ましくは、下方)に向けて浄化用液体を噴射して環状フィルタ10を浄化する。浄化用液体によって環状フィルタ10から除去された異物3は、異物回収部50によって回収され、排出部60に排出される。
【0014】
回収部30によって回収されたろ過済みの洗浄液は、ポンプ80によって洗浄装置200又は他の装置に送られて再使用される。回収部30によって回収されたろ過済みの洗浄液は、更に、浄化部40にも提供されることが好ましい。浄化部40は、環状フィルタ10から異物を除去する機能を果たせば十分であるため、一般的には新鮮な水等を使用する必要はなく、ろ過装置100でろ過された洗浄液を使っても十分にその機能を果たすことができる。浄化部40は、ろ過装置100の運転中は、常時駆動されることが好ましいために、そのために要する浄化用液体の量が比較的に多いと言える。したがって、水道水等の新鮮な水を使用することは、ランニングコストの観点で好ましくない。
回収部30には、液レベルセンサ70が配置されていて、これによって回収部30内のろ過済み洗浄液の量が監視される。洗浄液の量が不足している場合には、ポート32を通して洗浄液(例えば、水道水等の新鮮な水)が回収部30に供給される。
【0015】
以上のように、環状フィルタ10を備えることにより、フィルタ(フィルタメディア)として機能する部分として、浄化部40によって浄化された部分を、常にろ過領域12に提供することができる。したがって、常に高い処理能力で洗浄液をろ過することができる。また、洗浄装置100からランダム(例えば、突発的)に大量の異物3が送り込まれた場合においても、それによって長時間にわたってろ過機能を失うといった問題は起こらない。特に、市場から回収されてくる容器には、紙片、シール、箸、爪楊枝等、更には、予想もできないような様々な異物が混入し或いは付着している可能性がある。このような異物が集中的に洗浄装置200から送り込まれると、定期的にしかフィルタの浄化を実施できないようなろ過装置では、フィルタのろ過機能が大幅に低下して、極端な場合には、ろ過装置から洗浄液がオーバーフローしたり、洗浄装置200を停止せざるを得ない状況を招いたりしうる。
また、浄化部40を環状フィルタ10の周回移動経路の内側に配置し、環状フィルタ10の外側に向けて浄化用液体を噴射させることにより、環状フィルタ10に付着している異物を効果的に環状フィルタ10から離脱させることができる。これは、異物3の多くは、環状フィルタ10の外側の面に付着するからである。また、浄化部40を下方に向けて浄化用液体を噴射するように構成することにより、環状フィルタ10から除去された異物を回収するための異物回収部50を単純化することができ、例えば、図1に例示的に示すように、浄化部40の下方に単純に異物回収パンを配置するだけでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好適な実施形態の洗浄設備の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 容器(物品)
3 異物
10 環状フィルタ
12 ろ過領域
14 浄化領域
16、18 プーリ
20 供給部
30 回収部
32 ポート
40 浄化部
50 異物回収部
60 排出部
70 液レベルセンサ
80 ポンプ
100 ろ過装置
200 洗浄装置
210 第1洗浄ユニット
220 第2洗浄ユニット
230 回収パン
240 送液管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体をろ過するろ過装置であって、
ろ過領域及び浄化領域を通る周回移動経路に沿って周回移動する環状フィルタと、
前記ろ過領域において前記環状フィルタに対してろ過対象の液体を供給する供給部と、
前記ろ過領域において前記環状フィルタによってろ過された液体を回収する回収部と、
前記浄化領域であって前記環状フィルタの周回移動経路の内側に配置され、前記環状フィルタの外側に向けて液体を噴射して前記環状フィルタを浄化する浄化部と、
を備えることを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
前記浄化部は、前記回収部によって回収された液体を利用して前記環状フィルタを浄化するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
物品を洗浄する洗浄装置で使用された洗浄液をろ過するように構成されていることを請求項1又は請求項2に記載のろ過装置。
【請求項4】
物品を洗浄する洗浄設備であって、
洗浄液によって物品を洗浄する洗浄装置と、
前記洗浄装置で使用された洗浄液をろ過するろ過装置とを備え、
前記ろ過装置は、
ろ過領域及び浄化領域を通る周回移動経路に沿って周回移動する環状フィルタと、
前記洗浄装置から排出される洗浄液を、前記ろ過領域において、前記環状フィルタに対して供給する供給部と、
前記ろ過領域において前記環状フィルタによってろ過された洗浄液を回収する回収部と、
前記浄化領域であって前記環状フィルタの周回移動経路の内側に配置され、前記環状フィルタの外側に向けて液体を噴射して前記環状フィルタを浄化する浄化部とを有する、
ことを特徴とする洗浄設備。
【請求項5】
前記浄化部は、前記回収部によって回収された洗浄液を利用して前記環状フィルタを浄化するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の洗浄設備。

【図1】
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【公開番号】特開2006−341159(P2006−341159A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167247(P2005−167247)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】