説明

アイスクリーム製造装置

【課題】アイスクリームを手軽に短時間で製造することができ、構造が簡単で小型化・軽量化が容易であり、塩や水や氷がアイスクリームの原料に入るおそれの少ないアイスクリーム製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のアイスクリーム製造装置は、アイスクリームの原料を入れた内容器4と、内容器4の外側に所定の間隔を開けて同軸で設置され塩と水と氷とを収容する外容器5とを備えている。内容器4は回転軸7に固定されており、モータ11によって回転可能とされている。外容器5の上端には氷投入蓋12が嵌められている。氷投入蓋12は、外容器5上端に沿ってリング状に載置されたリング部材12aと、内容器4の開口を塞ぐ蓋部材12bとが接続部材12cによって一体とされた構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック状の氷を利用してアイスクリームを製造することのできるアイスクリーム製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍機を用いることなく、ブロック状の氷を利用して簡単にアイスクリームを製造することのできる、アイスクリーム製造装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
このアイスクリーム製造装置は、図5に示すように、アイスクリームの原料を収容する内容器100と、内容器100の外側に設置され塩、氷及び水からなる冷媒を収容する隙間を形成する外容器101と、内容器100および外容器101を覆う蓋104とを備えている。蓋104には、内容器100内を撹拌するための羽根102と、羽根102を回転するためのハンドル103が取付けられている。
【0004】
このアイスクリーム製造装置でアイスクリームを製造するには、まず羽根102とハンドル103のついた蓋104を取り外し、内容器100にアイスクリームの原料を入れる。そして、外容器101に塩と水と氷とを入れた後、再び羽根102とハンドル103のついた蓋104を取り付ける。そして、ハンドル103を手動で撹拌することにより、アイスクリームの原料が撹拌されつつ、外容器101内の塩と水と氷とによって冷却され、アイスクリームが製造される。
【0005】
このアイスクリーム製造装置は、冷凍機を用いていないため小型であり、アイスクリームの原料と、塩と水と氷のみで、手軽にアイスクリームを製造することができる。また、手動ハンドルの替わりにモータ等を用いて自動的に撹拌することもでき、これによりさらに労力を軽減することもできる。
【0006】
一方、アイスクリームの原料を密閉した容器に入れ、この容器に冷媒を噴霧するとともに、容器を回転させてアイスクリームを製造する装置も提案されている(特許文献2)。このアイスクリーム製造装置によれば、容器の回転によって冷媒と容器の内容物とが両方ともが容器と相対運動する。このため、容器内を迅速に冷却することができ、ひいてはアイスクリームを迅速に製造することができる。
【0007】
このアイスクリーム製造装置は、冷凍機を用いていないため小型・軽量であり、アイスクリームの原料と、塩と水と氷のみで、手軽にアイスクリームを製造することができる。また、手動ハンドルの替わりにモータ等を用いて自動的に撹拌することもでき、これによりさらに労力を軽減することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭63−177184号公報
【特許文献2】特表2004−536271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1のアイスクリーム製造装置では、内容器に収容されているアイスクリームの原料を冷却するのに時間がかかり、製造に時間がかかるという問題があった。また、内容器と外容器とで形成される隙間に塩と水と氷とを入れるときに、誤って内容器内に入れるおそれがあるという問題もあった。
【0010】
一方、上記特許文献2のアイスクリーム製造装置によれば、アイスクリームの原料を収容する容器自体を回転させるため、容器の回転によって冷媒と容器の内容物とが両方とも撹拌されるため、容器内を迅速に冷却することができ、アイスクリームを迅速に製造することができる。
【0011】
しかし、容器に冷媒を噴霧するための冷媒供給装置を組み込む必要があり、装置が複雑化するという問題があった。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、アイスクリームを手軽に短時間で製造することができ、構造が簡単で小型化が容易であり、塩や水や氷等の冷媒がアイスクリームの原料に入るおそれの少ないアイスクリーム製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のアイスクリーム製造装置は、
上方に開口を有しアイスクリームの原料を収容する内容器と、該内容器の外側に所定の間隔を開けて同軸で設置され、上方に開口を有し、冷媒を収容する外容器と、を備えたアイスクリーム製造装置において、
前記内容器を回転可能とする回転軸と、該回転軸を回転させるための回転機構とを備え、
前記内容器には該内容器の底部から上方に向かって連続して立ち上がる内容器管状部が該内容器と同軸で形成されており、前記外容器には該外容器の底部から上方に向かって連続して立ち上がり、該内容器管状部に隙間を開けつつ挿入される外容器管状部が形成されており、前記回転軸は該外容器管状部に隙間を開けつつ挿入されており、該内容器は該回転軸に回転可能に取付けられていることを特徴とする
【0014】
本発明のアイスクリーム製造装置でアイスクリームを製造しようとする場合には、内容器にアイスクリーム原料を入れ、外容器に塩と水と氷とからなる冷媒を入れる。そして、回転機構を駆動することにより、回転軸を介して内容器を回転させる。これにより、外容器内の冷媒と内容器との間で熱交換を迅速に行うことができ、内容器内を急速に冷却することができる。このため、アイスクリームを迅速に製造することができる。
【0015】
また、冷媒を供給するための冷凍機等特別な装置は必要なく、外容器に塩と水と氷とを入れておくだけでよいため、アイスクリームを手軽に製造でき、構造も簡単で、小型化及び軽量化が可能である。も可能である。
【0016】
また、内容器には該内容器の底部から上方に向かって連続して立ち上がる内容器管状部が該内容器と同軸で形成されている。すなわち、内容器管状部の高さまで内容器につなぎ目がないため、内容器に収容されているアイスクリームの原料が外に漏れ出すおそれがない。また、外容器についても、外容器の底部から上方に向かって連続して立ち上がり、該内容器管状部に隙間を開けつつ挿入される外容器管状部が形成されている。すなわち、外容器についても、内容器と同様、外容器管状部の高さまで外容器につなぎ目がないため、外容器に収容されている塩や水や氷が外に漏れ出すおそれがない。
【0017】
本発明の第2の局面では、前記回転軸には前記外容器内を撹拌するための撹拌羽根が取り付けられていることとした。こうであれば、回転軸が回転機構によって回転することによって撹拌羽根が回転し、外容器の底に溜まった塩を撹拌することができる。このため、塩の溶解を促進することができ、内容器内をさらに迅速に冷却することができ、アイスクリームをさらに迅速に製造することができる。また、使用後の外容器の洗浄も容易となる。
【0018】
本発明の第3の局面では、前記外容器上端に沿ってリング状に載置されたリング部材と、前記内容器の前記開口を塞ぐ蓋部材と、該蓋部材と該リング部材とを接続して一体とする接続部材とからなり、該リング部材と該蓋部材との間は隙間が設けられた氷投入蓋が備えられていることとした。このような氷投入蓋を備えることにより次のような効果が得られる。すなわち、氷投入蓋には内容器の開口を塞ぐ蓋部材が設けられているため、蓋部とリング部材との間の隙間から冷媒となる塩と水と氷を外容器内に収容するとき、誤って内容器内に冷媒を投入してしまうことがない。このため、アイスクリーム原料に冷媒が混入して無駄を生じることがなく、確実にアイスクリームを製造することができる。
【0019】
本発明の第4の局面では、本発明の第3の局面におけるリング部材は、蓋部より高い位置とされていることとした。こうであれば、蓋部に向かって冷媒を投入するとき、リング部材の外側に冷媒がこぼれ難くなる。
【0020】
また、本発明の第5の局面では、蓋部材は径外方向に向かって高さが低くなる傾斜面が形成されていることとした。こうであれば、蓋部に向かって冷媒を投入することにより、冷媒が傾斜面に沿って滑り落ち、確実に外容器内に冷媒を収容することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化したアイスクリーム製造装置について図面を参照しつつ詳述する。
(実施例1)
実施例1のアイスクリーム製造装置は、喫茶店やレストラン等に設置されるアイスクリーム製造装置であり、図1に示すように、円筒形状の冷却部1と、冷却部1から横方向に突出する動力部2とを備えている。冷却部1は、図2に示すように、外郭をなす冷却部ハウジング3の内部に、アイスクリームの原料を収容する円筒容器形状の内容器4と、内容器4の外側に所定の間隔を開けて同軸で設置される円筒容器形状の外容器5とが設置されている。内容器4には、底部4aの中心から上方に向かって立ち上がる、円管状の内容器管状部4bが底部4aから連続して形成されている。また、内容器管状部4bには円管状のフィン管状部6bが挿入されており、フィン管状部6bの下端にはフィン6aが径外方向に延在して取付けられている。
【0022】
また、外容器5には、底部5aの中心から上方に向かって立ち上がって連続して形成された外容器管状部5bが、フィン管状部6bに隙間を開けて挿通されている。さらに、外容器管状部5bには回転軸7が隙間を開けて挿通されており、回転軸7の上端には雄ネジ7aが形成されている。雄ネジ7aは内容器管状部4bの上端及びフィン管状部6bの上端を挿通しており、雌ネジ7bによって内容器管状部4b及びフィン管状部6bが回転軸7に固定されている。これにより、回転軸7の回転とともに内容器4及びフィン6aが回転するようにされている。
【0023】
回転軸7の下端はベアリング軸受8によって軸支されており、回転軸歯車9が取付けられている。回転軸歯車9は中間歯車10を介してモータ11によって回転可能とされている。
【0024】
また、図1に示すように、外容器3には氷投入蓋12が着脱可能に嵌められている。氷投入蓋12は、外容器3上端に沿ってリング状に載置されたリング部材12aと、内容器4の開口を塞ぐ蓋部材12bと、リング部材12aと蓋部材12bとを接続して一体とする接続部材12cとからなる。リング部材12aは蓋部材12bより高い位置とされており、蓋部材12bは径外方向に向かって高さが低くなるテーパ形状とされている。
【0025】
図3に示すように、蓋部材12bの裏側には管状凸部12dが設けられており、管状凸部12dには、内容器4内に異なる高さで突出する邪魔板15a、15bが嵌合されている。
【0026】
また、図2に示すように、動力部2の外郭をなす動力部ハウジング13の上面には、モータ11の駆動時間を制御するためのタイマー14が設けられている。
【0027】
次に、以上のように構成された実施例のアイスクリーム製造装置を用いてアイスクリームを製造する方法について説明する。
【0028】
まず、卵、グラニュー糖、生クリーム、牛乳、バニラエッセンス等をよく撹拌してアイスクリーム原料とする。そして、図1に示す氷投入蓋12を取り外して図4に示す状態とし、内容器4に所定の量のアイスクリーム原料を投入し、再び、氷投入蓋12のリング部材12bを外容器3の上端周縁に嵌合させる。
なお、氷投入蓋12を取り外して図4に示す状態としてから、さらに、回転軸7の上端に螺合された雌ネジ7bを手で回して外し、内容器4を取り外してアイスクリーム原料を投入してもよい。こうした場合には、アイスクリーム原料を投入後、再び内容器4の内容器管状部4bをフィン管状部6bに挿入し、雌ネジ7bを雄ネジ7aに螺合させることにより、内容器4を回転軸7に固定する。
【0029】
そして、氷投入蓋12の上から、塩、水、ブロック氷の順に投入する。このとき、内容器4の開口は氷投入蓋12の蓋部材12bによって塞がれているため、氷Iや塩水が内容器4内に誤って投入されることを防止することができる。
【0030】
以上のようにして、内容器4にアイスクリーム原料を入れ、外容器5内に塩と水と氷を入れた後、タイマー14を所定時間となるようにセットする。これによりモータ11が駆動し、中間歯車10及び回転軸歯車9を介して回転軸7が回転し、内容器4及びフィン6aが回転軸7と共に回転する。これにより、外容器5の底部5aの塩がフィン6aによって撹拌されながら溶解する。またこれにより、内容器4内のアイスクリーム原料も回転し、図3に示す邪魔板15a、15bにアイスクリーム原料がぶつかって空気を巻き込みながら撹拌されつつ、内容器4の外側から塩と水と氷からなる冷媒によって冷却され、アイスクリームとなる。
【0031】
以上のように、実施例1のアイスクリーム製造装置では、内容器4にアイスクリーム原料を入れ、外容器5に塩と水と氷とを入れ、モータ11を駆動するだけで、簡単にアイスクリームを製造することができる。
【0032】
また、アイスクリーム原料が入った内容器4自体が回転するため、内容器4と塩と水と氷からなる冷媒との間で熱伝導が極めて速くなり、内容器4内のアイスクリーム原料を急速に冷却することができる。このため、アイスクリームを迅速に製造することができる。
【0033】
また、冷媒を供給するための冷凍機等特別な装置が必要でないため、構造が簡単であり、小型化及び軽量化も容易である。
【0034】
さらには、回転軸7の上端が内容器4の上方に突出していないため、内容器4の開口からアイスクリームの原料を入れる場合に、回転軸7やそれを回転させるための回転機構(モータ11、中間歯車10及び回転軸歯車9)が邪魔になることがない。
【0035】
また、内容器4には底部4aの中心から上方に向かって立ち上がる、円管状の内容器管状部4bが底部4aから連続して形成されており、内容器管状部4bの高さまで内容器4につなぎ目がなく連成されているため、内容器4に収容されているアイスクリームの原料が外に漏れ出すおそれがない。さらには、外容器5についても、外容器5の底部5a中心から上方に向かって立ち上がり、外容器管状部5bが内容器管状部4bを挿入するよう、継ぎ目なく連成されているため、外容器5に収容されている塩と水と氷からなる冷媒が外に漏れ出すおそれがない。
【0036】
また、回転軸7には外容器底部5aを撹拌するためのフィン6aが取り付けられているため、回転軸7が回転機構(モータ11、中間歯車10及び回転軸歯車9)によって回転することによって、フィン6aが回転し、外容器底部5aに沈殿した塩を撹拌することができる。このため、塩の溶解を促進することができる。
【0037】
また、氷投入蓋12を取り外した後、回転軸7の上端に螺合された雌ネジ7bを手で回して取り外すことにより、内容器4、フィン6a、外容器5を簡単に取り外す事ができ、清掃も容易である。
【0038】
さらには、氷投入蓋12のリング部材12aと蓋部材12bとの間に隙間が設けられており、リング部材12aは、蓋部12bより高い位置とされているため、その隙間から塩や水や氷を容易に投入することができ、外部に氷や塩をこぼすのを防ぐことができる。しかも、蓋部材12bは径外方向に向かって高さが低くなる傾斜面が形成されているため、塩や氷や水が傾斜面に沿って滑り落ち、確実に外容器5内に塩や水や氷を収容することができる。
【0039】
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のアイスクリーム製造装置は、冷凍機を用いることなく、塩と水と氷を用いて、簡単かつ迅速にアイスクリームを製造することのできるため、飲食店等において好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
4…内容器
5…外容器
7…回転軸
9、10、11…回転機構(9…回転軸歯車、10…中間歯車、11…モータ11)
4b…内容器管状部
5b…外容器管状部
12…氷投入蓋
12a…リング部材
12b…蓋部材
12c…接続部材
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1のアイスクリーム製造装置の斜視図である。
【図2】実施例1のアイスクリーム製造装置の長手方向の断面図である。
【図3】実施例1のアイスクリーム製造装置の幅方向の断面図である。
【図4】実施例1のアイスクリーム製造装置において、の長手方向の断面図である。
【図5】従来のアイスクリーム製造装置の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口を有しアイスクリームの原料を収容する内容器と、該内容器の外側に所定の間隔を開けて同軸で設置され、上方に開口を有し、冷媒を収容する外容器と、を備えたアイスクリーム製造装置において、
前記内容器を回転可能とする回転軸と、該回転軸を回転させるための回転機構とを備え、
前記内容器には該内容器の底部から上方に向かって連続して立ち上がる内容器管状部が該内容器と同軸で形成されており、前記外容器には該外容器の底部から上方に向かって連続して立ち上がり、該内容器管状部に隙間を開けつつ挿入される外容器管状部が形成されており、前記回転軸は該外容器管状部に隙間を開けつつ挿入されており、該内容器は該回転軸に回転可能に取付けられていることを特徴とするアイスクリーム製造装置。
【請求項2】
前記回転軸には前記外容器内に沈殿した塩の溶解を促進するための撹拌羽根が取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のアイスクリーム製造装置。
【請求項3】
前記外容器上端に沿ってリング状に載置されたリング部材と、前記内容器の前記開口を塞ぐ蓋部材と、該リング部材と該蓋部材とを接続して一体とする接続部材とからなり、該リング部材と該蓋部材との間には隙間が設けられた氷投入蓋が備えられていることを特徴とする請求項1又は2記載のアイスクリーム製造装置。
【請求項4】
前記リング部材は前記蓋部より高い位置とされていることを特徴とする請求項3記載のアイスクリーム製造装置。
【請求項5】
前記蓋部材は径外方向に向かって高さが低くなる傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項4記載のアイスクリーム製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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