説明

アイロン装置

【課題】コードリールによるコードの巻き取り時にコードのプラグの尖刃で家具や床に傷をつけたりすることが無いアイロン装置を提供する。
【解決手段】コード2を巻き取るコードリール装置(図示せず)と、コード2の先端のプラグ8に設けた保護カバー11とを備え、保護カバー11は、プラグ8の尖刃7を覆うと共に、弾力性の有る形状に又は/および弾力性の有る材料で形成したもので、コード2の巻き取り時に、尖刃7が他の物体や人に直接に当たることがないので、傷をつけたり怪我をしたりすることが無く、またプラグ8をコンセント12に差し込む場合には、保護カバー11の弾力性によりプラグ8は従来通り完全に差し込むことができ、又プラグ8をコンセント12に差し込んだ時、保護カバー11の先端がコンセント12の表面に密接し、コンセント12との結合部に液体等が浸入することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等のしわ伸ばしを行うアイロン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のアイロンについて、図3、図4を用いて説明する。
【0003】
図3は、従来のアイロン装置の後部断面図を示すもので、アイロン本体1の後部にコード2を巻き取るコードリール装置3を設けている。前記コードリール装置3はアイロンがけに必要な約2m程度の長さのコード2をコンパクトにかつ、スムーズに巻き取るために、コード2が複数列に巻けるように幅広く形成してあり、前後一対のリールケース4a、4bによってコード2を巻き取るリール5を回動自在に軸支するとともに、ぜんまい6によってリール5をコード2が巻き取る方向に付勢している。
【0004】
コード2の先端部には、尖刃7を有するプラグ8が接続されており、コードリール装置3からコード2を引き出すコード引き出し口9を、図ではコードリール装置3の上部に設けておりこのコード引き出し口9で、プラグ8が止まりコードリール装置3内部に入らないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図4は、アイロン本体1がコードレス構造をしたものであり、コードリール装置3はスタンド10側に取り付けられており、コードリール装置3自体は前記のアイロン本体1後部に取り付けたものと同様の構造をしたものである。スタンド10からコード2を引き出す引き出し口9は図には示していないがスタンド10側面に設けており、前記と同様にコード2先端のプラグ8が、コード引き出し口9で止まる構造になっていた(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭59−144497号公報
【特許文献2】特開2002−45600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のアイロン装置では、コード2を完全に引き出した状態からコード2を巻き込む場合、前記ぜんまい6の付勢力によりコード2の引き込み速度が早くなることが有り得る。この場合プラグ8の速度も早くなりプラグ8に取り付けた尖刃7がコードリール装置3内部に引き込まれるまでの間に家具や床などの物に当たって傷つけたり、アイロンを掛けている本人に当たって怪我をすることもあった。
【0007】
これを避けるためには、前記コードリール装置3内部に設けたぜんまい6の付勢力を弱めれば良いが前述したようにコードリール装置3内部はコード2が複数列巻けるようにしておりコード2が巻き取り方向に平行に入らず斜め方向に巻き取られた場合、コード2間の接触抵抗が大きくなって完全に巻き取れなくなる状況が生ずる。
【0008】
またコード2を完全に引き出さずに半分位の長さから巻き取った場合には、ぜんまい6の付勢力を下げると、巻き取る力が弱くなるため完全にコード2をコードリール装置3内部に引き込めない場合が発生する。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、コードの巻き取りが安全で、かつ確実にできると共に、使い勝手の良いアイロン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明のアイロンは、アイロン本体と、前記アイロン本体に電源を供給するコードを巻き取るコードリール装置と、前記コードの先端のプラグに設けた保護カバーとを備え、前記保護カバーは、前記プラグの尖刃を覆うと共に、弾力性の有る形状に又は/および弾力性の有る材料で形成したもので、コードの巻き取り時に家具や床などの他の物体や人とプラグが接触しても直接尖刃に当たることがなくなり傷をつけたり怪我をしたりすることが無く、またプラグをコンセントに差し込む場合には、保護カバーの弾力性により保護カバーに邪魔されることなくプラグは従来通り完全にコンセントに差し込むことができる。さらに保護カバーをコンセントに差し込んだ時、保護カバーの弾力性により保護カバーがコンセント表面に密接した状態を保ち尖刃を完全に覆うことによりプラグとコンセントの結合部に水などの液体が浸入するのを防ぐ役目も持たせたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアイロン装置は、コードリール装置でコードが巻き取られる際に、コードの先端に設けたプラグの尖刃で、家具、床などに傷を付けるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、アイロン本体と、前記アイロン本体に電源を供給するコードを巻き取るコードリール装置と、前記コードの先端のプラグに設けた保護カバーとを備え、前記保護カバーは、前記プラグの尖刃を覆うと共に、弾力性の有る形状に又は/および弾力性の有る材料で形成したもので、コードの巻き取り時に家具や床などの他の物体や人とプラグが接触しても直接尖刃に当たることがなくなり傷をつけたり怪我をしたりすることが無く、またプラグをコンセントに差し込む場合には、保護カバーの弾力性により保護カバーに邪魔されることなくプラグは従来通り完全にコンセントに差し込むことができる。さらに保護カバーをコンセントに差し込んだ時、保護カバーの弾力性により保護カバーがコンセント表面に密接した状態を保ち尖刃を完全に覆うことによりプラグとコンセントの結合部に水などの液体が浸入するのを防ぐ役目も持たせたものである。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明の保護カバーの一端を、プラグの指接触部と尖刃との間に固定したもので、プラグをコンセントに差し込む場合、従来と同様の使い勝手を得ることができ、かつ保護カバーの機能を損なわないようにすることができる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の保護カバーをジャバラ状に形成したもので、保護カバーをコンセントに差し込んだ場合保護カバーの反力を小さくして保護カバーが容易に十分に変形するようになり、従ってプラグをコンセントに確実に差し込むことができる。
【0015】
第4の発明は、特に、第1又は第2の発明の保護カバーを、プラグの尖刃方向に対して平行に中央部が膨らんだU字型断面形状にしたもので、保護カバーをコンセントに差し込んだ場合、保護カバーの反力を小さくして保護カバーが容易に十分に変形するので、プラグをコンセントに確実に差し込むことができる。
【0016】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の保護カバーを、透明又は半透明材料で形成したもので、保護カバーが尖刃を覆っていても尖刃の位置を、外部から目視で容易に確認できプラグが差し込み易くなるものである。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1(A)は、本発明の第1の実施の形態におけるアイロン装置のプラグ部分の平面図、(B)は、同プラグ部分の部分断面図、(C)は、同プラグをコンセントに差した時の部分断面図である。なお、従来例と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0019】
図1において、尖刃7を有するプラグ8は、コード2と接続されており、コード2は図には書かれていないが、アイロン本体1またはスタンド10に内蔵したコードリール装置3と接続されている。11は、一端がプラグ8の指接触部13と尖刃7との間に固定され、他端に開口部11aを設けた保護カバーで、尖刃7を覆うように設けられ、弾力性を有する材料でできている。この場合保護カバー11の材質として難燃性、弾力性を有するシリコンゴムなどのゴム材料が適している。保護カバー11の形状は、プラグ8をコンセント12に差し込んだ場合、保護カバー11の変形部15が十分たわむように中央部が膨らんだ略U字型断面形状をしている。
【0020】
図1(B)は、プラグ8を壁などに設けたコンセント12に差す前の状態を示しており、プラグ8の尖刃7は、保護カバー11で覆われているので、コード12がコードリール装置3により、巻き込まれる際に、プラグ8が物に当たっても保護カバー11により傷をつけたりする事が無い。
【0021】
そして、プラグ8をコンセント12に差す時は、図1(C)に示すように、保護カバー11の先端がコンセント12の表面に当たると、変形部15が撓んで、プラグ8の尖刃7が保護カバー11の開口部11aから出て、コンセント12に、通常通り差す事ができる。
【0022】
なお、保護カバー11の変形部15の先端部は必ずしもプラグ8の尖刃7の先端よりも突出する必要は必ずしもなく、コード2をコードリール装置3に引き込む時に物や人に当たった場合、必ず保護カバー11が、尖刃7よりも先に当たるように保護カバー11の形状を設定しておけば良い。
【0023】
また、図1では、プラグ8の形状は、日本国内における標準のA2プラグタイプを示しているが、各国で使用されているプラグについても同様の保護カバー11を設けるようにすると良い。
【0024】
図2は、保護カバー11の他の例を示すもので、変形部15の形状をジャバラ状にしたもので、保護カバー11自体の弾力性とジャバラ構造のフレキシブル性によりプラグ8をコンセント12に差し込む時に、プラグ8がコンセント12に完全に差し込まれるようにするとともに、この時の反力を利用して保護カバー11の先端部がコンセント12の表面に密接するようにしている。これによりプラグ8とコンセント12の結合部に水などが浸入するのを防ぐことができる。
【0025】
また、保護カバー11を、透明又は半透明材料で形成すれば、プラグ8をコンセント12に差し込む場合、保護カバー11で尖刃7が覆われていても、尖刃7の位置を目視で容易に確認できプラグ8をコンセント12に差し込み易くなるものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明にかかるコードリールを有するアイロン装置は、コードリールでコードを巻き取る際に、コードの尖刃で、家具や、床等に傷をつける事が無く、安全性にも優れたもので、アイロン装置に限らずコードリールを有する各種電化機器にも広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(A)本発明の実施の形態1におけるアイロン装置のプラグ部分の平面図(B)同プラグ部分の部分断面図(C)同プラグをコンセントに差した時の部分断面図
【図2】(A)同アイロン装置のプラグ部分の外観図(B)プラグ部分の横断面図(C)プラグをコンセントへ取り付け時の横断面図
【図3】従来のアイロン装置の後部断面図
【図4】従来の他の例を示すコードレスアイロン装置の横断面図
【符号の説明】
【0028】
1 アイロン本体
2 コード
3 コードリール装置
7 尖刃
8 プラグ
10 スタンド
11 保護カバー
12 コンセント
13 指接触部
15 変形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイロン本体と、前記アイロン本体に電源を供給するコードを巻き取るコードリール装置と、前記コードの先端のプラグに設けた保護カバーとを備え、前記保護カバーは、前記プラグの尖刃を覆うと共に、弾力性の有る形状に又は/および弾力性の有る材料で形成したアイロン装置。
【請求項2】
保護カバーの一端を、プラグの指接触部と尖刃との間に固定した請求項1に記載のアイロン装置。
【請求項3】
保護カバーをジャバラ状に形成した請求項1又は2に記載のアイロン装置。
【請求項4】
保護カバーを、プラグの尖刃方向に対して平行に中央部が膨らんだU字型断面形状にした請求項1又は2に記載のアイロン装置。
【請求項5】
保護カバーを、透明又は半透明材料で形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載のアイロン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−75481(P2006−75481A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265113(P2004−265113)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】