説明

アクセル装置

【課題】 アクセルペダルの踏込解除時にロータの回動位置に拘わらずアクセルペダルがアクセル全閉位置に復帰可能なアクセル装置を提供する。
【解決手段】 付勢手段18は、第1ロータ14および第2ロータ15をアクセル閉方向へ付勢する第1スプリング181および第2スプリング182とは別に、ペダルロータ13をアクセル閉方向へ付勢する第3スプリング183を有する。ペダルロータ13は、アクセル閉方向への回動時、第1ロータ14および第2ロータ15の回動位置に拘わらずそれらロータと干渉することなしに全閉位置まで回動可能である。よって、第1ロータ14および第2ロータ15が回動不能になっても、アクセルペダル11が第3スプリング183の付勢力で全閉位置へ戻る。そのため、第1ロータ14および第2ロータ15の位置に拘わらずアクセルペダル11がアクセル全閉位置に復帰可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるエンジンが吸入する空気の量は、吸入する空気の通路に設けられるスロットルバルブにより調整される。スロットルバルブは、アクセルペダルの踏込量に応じて作動する。アクセルペダルを備えるアクセル装置は、スロットルバルブのバルブ開度を決定するため操作者が操作する入力装置である。アクセルペダルは、車体に固定される支持部材により回動可能に支持され、例えばスプリング等の付勢手段によりアクセル全閉位置に向けて付勢される。
【0003】
アクセル装置には、大きく分けて機械式と電子式とがある。機械式のアクセル装置は、アクセルペダルの踏込操作力すなわち踏力を例えばワイヤー等によりスロットルバルブに伝達する。これに対して電子式のアクセル装置は、アクセルペダルの踏込量をセンサにより検出し、その踏込量に関する情報を電気信号として電子制御装置に伝達する。電子制御装置は、前記踏込量に関する情報や他の情報に基づいてスロットルアクチュエータによりスロットルバルブを駆動する。
【0004】
ところで、アクセルペダルの踏み込みを解除するときの踏力がアクセルペダルを踏み込むときの踏力よりも小さい所謂踏力ヒステリシス特性をもつアクセル装置が知られている。このアクセル装置では、アクセルペダルの踏み込みを所望の位置で維持するときやアクセルペダルの踏み込みを戻すときに踏力が小さくて済む。そのため、アクセルペダルを操作する操作者の労力が減る。
【0005】
例えば特許文献1のアクセル装置では、アクセルペダルと共に回動するロータを設けている。アクセルペダルと支持部材との間には第1摩擦板が設けられている。この第1摩擦板はアクセルペダルに固定されている。また、ロータと支持部材との間には第2摩擦板が設けられている。アクセルペダルおよびロータは、アイドル状態からアクセル開方向へ回動するに従って互いに軸方向へ離間する。アクセルペダルと第1摩擦板との摩擦力、および、ロータと第2摩擦板との摩擦力は、アクセルペダルの回動角に対応するアクセル開度を維持するように作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−158992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたアクセル装置では、支持部材と第1摩擦板との間またはロータと第2摩擦板との間に異物が噛み込む、或いは、環境変化に起因して摩擦部材の摩擦力が増加すること等によって、第1摩擦板または第2摩擦板が支持部材に固着する場合、アクセル開度が0となる全閉位置にアクセルペダルが戻らなくなる。第1摩擦板が支持部材に固着する場合、アクセルペダルは全く動かなくなる。また、第2摩擦板が支持部材に固着する場合、ロータは全く動かなくなる。この場合、アクセルペダルは、ロータの爪とアクセルペダルの爪との周方向のクリアランスだけ回動可能である。しかし、ロータの回動停止位置に拘わらずアクセルペダルが全閉位置へ戻ることが可能となる構成は採用されていない。そのため、アクセルペダルの踏込解除時にアイドル状態に至らない可能性がある。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクセルペダルの踏込解除時にロータの回動位置に拘わらずアクセルペダルがアクセル全閉位置に復帰可能なアクセル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によるアクセル装置は、支持部材、第1シャフト、アクセルペダル、回転角検出手段、ペダルロータ、ロータ、第1はす歯、第2はす歯、第1付勢手段および第2付勢手段を備える。支持部材は、車体に取付可能である。第1シャフトは、支持部材に回動可能に支持される。アクセルペダルは、踏込量に応じて第1シャフトを回動可能に第1シャフトに一体に設けられる。回転角検出手段は、支持部材に対する第1シャフトの相対回転角を検出する。
ペダルロータは、第1シャフトに一体に設けられる。ロータは、アクセルペダルの軸方向両側に設けられる。両ロータは、ペダルロータに対し相対回動可能に設けられる。ペダルロータは、アクセル閉方向へ向かうほど両ロータ側それぞれに突き出す第1はす歯を一体に形成する。
【0010】
両ロータは、アクセル開方向へ向かうほどペダルロータ側に突き出す第2はす歯を一体に形成する。第2はす歯は、ペダルロータがアクセル開方向へ回動するとき第1はす歯と係合しロータを支持部材側に押し付ける。また、第2はす歯は、ペダルロータがアクセル閉方向へ回動するとき第1はす歯と干渉することなしに、アクセル全閉位置にペダルロータが回動可能に形成される。
第1付勢手段は、両ロータをアクセル閉方向へ付勢する。第2付勢手段は、アクセルペダル、第1シャフトまたはペダルロータをアクセル閉方向へ付勢する。
【0011】
このように構成されるアクセル装置では、支持部材側へ押し付けられる両ロータは、支持部材と直接的または間接的に摩擦係合することで抵抗トルクを受ける。この抵抗トルクは、第2はす歯および第1はす歯を経由してペダルロータに伝達される。ペダルロータに伝達される抵抗トルクは、アクセルペダルの踏み込みを解除するときアクセルペダルの回動角に対応するアクセル開度を維持するように作用する。これにより、アクセルペダルの踏み込みを所望の位置で維持するときやアクセルペダルの踏み込みを徐々に戻すとき等に踏力が小さくて済む。そのため、アクセルペダルを操作する操作者の労力が減る。
【0012】
また、環境変化などによりロータと支持部材との摩擦力が増加しロータに作用する抵抗トルクが増加する、或いは、ロータと支持部材と間に異物が噛み込む等によって、両ロータが固着し、第1付勢手段の付勢力がアクセルペダルに作用しなくなる場合であっても、第2付勢手段の付勢力はアクセルペダルに作用する。そのとき、ペダルロータは、両ロータの回動停止位置に拘わらず第2はす歯等に干渉することなしにアクセル全閉位置に回動することができる。これにより、アクセルペダルの踏込解除時にロータの回動位置に拘わらずアクセルペダルがアクセル全閉位置に復帰可能である。
【0013】
請求項2に記載の発明では、第1付勢手段は、両ロータの一方を付勢する第1スプリングと、両ロータの他方を付勢する第2スプリングとから構成される。この構成では、第1スプリング、第2スプリング、及び、第2付勢手段のうち二つが損傷した場合、残りの一つでアクセルペダルをアクセル全閉位置に戻すことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、ロータは、径外方向へ延び第1付勢手段に付勢されるばね係止部を形成する。アクセルペダルは、ロータのばね係止部に対しアクセル閉方向に位置するばね受け部を形成する。
この構成では、例えば第2付勢手段が機能しなくなり、且つ、ロータのばね係止部が折損した場合、第1付勢手段の付勢力は、折損したロータのばね係止部を経由してアクセルペダルに作用する。そのため、第2付勢手段が機能しなくなり、且つ、ロータのばね係止部が折損した場合、アクセルペダルをアクセル全閉位置に戻すことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、ペダルロータは、ボス、レバーおよびストッパを形成する。ボスは、第1シャフトの外壁に嵌合する。レバーは、ボスから径外方向へ延びる。ストッパは、レバーに一体に形成され、支持部材に当接することで第1シャフトのアクセル閉方向への回動を規制する。支持部材は、ストッパを収容するハウジング部を有する。
この構成では、ストッパが支持部材のハウジング部内に設けられるので、ストッパと支持部材の内壁との間に異物が噛み込むことを抑制することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明では、第1シャフトの一端は、支持部材のハウジング部外へ延びる。アクセルペダルは、支持部材のハウジング部外で第1シャフトの一端に連結される。
この構成では、第1シャフトとハウジング部の貫通孔との間に形成される隙間は、第1シャフトが回動するときに変化しない。よって、この隙間を可及的に小さくなるよう設定することができる。そのため、アクセルペダルの回動位置に拘わらず、ストッパ等を収容する支持部材のハウジング部内にハウジング部外の異物が入ることを抑制することができる。ストッパと支持部材の内壁との間に異物が噛み込むことを一層抑制することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、ストッパは、支持部材のハウジング部内上方に位置する。また、ストッパは、支持部材のハウジング部が形成する略鉛直な内壁に対向する。
この構成では、ハウジング部内の例えば摩耗粉などはハウジング部内の下方に集まるので、ハウジング部内上方に位置するストッパとハウジング部の内壁との間に前記摩耗粉等が噛み込むことを抑制することができる。また、摩耗粉等がハウジング部内の上方に舞い上がっても、ストッパが当接するハウジング部の内壁に積もることなくハウジング部内の下方に落下する。したがって、ストッパと支持部材の内壁との間に摩耗粉等が噛み込むことを抑制することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、ペダルロータのレバーは、第1シャフトに対しアクセルペダルとは反対側に延びる。第2付勢手段は、レバーのうちストッパと第1シャフトとの中間部を付勢する。
この構成では、アクセルペダルが踏み込まれていない場合およびアクセルペダルが踏み込まれる場合ともに、第1シャフトは、支持部材のハウジング部の嵌合孔の内壁面の同じ側に押し付けられる。言い換えれば、第1シャフトに作用する付勢力の方向は、アクセルペダルの踏み込み前後で変化しない。そのため、アクセルペダルの踏み込み前後においてハウジング部の嵌合孔内で第1シャフトが揺動する所謂軸ずれを防止することができる。したがって、軸ずれに起因して第1シャフトの回動角の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0019】
ここで、従来、ロータの支持部材側への押付力によって、支持部材がロータから離間する方向へ変形するおそれがあった。この支持部材の変形により、アクセルペダルの踏力と回動角との関係すなわち踏力特性が変化するという問題があった。
これに対し、請求項8に記載の発明では、支持部材は、ロータの支持部材側への押付力の受け部に金属製の補強部材が埋め込まれた樹脂成形品である。この構成によれば、軽量化を実現しつつ、ロータの押付力により支持部材が変形することを抑制することができる。したがって、支持部材の変形に起因してアクセルペダルの踏力特性が変化することを抑制することができる。
【0020】
請求項9に記載の発明によるアクセル装置は、支持部材、第1シャフト、第2シャフト、アクセルペダル、回転角検出手段、ペダルロータ、ロータ、第1はす歯、第2はす歯、第1付勢手段および第2付勢手段を備える。
支持部材は、車体に取付可能である。第1シャフトは、支持部材に回動可能に支持される。第2シャフトは、第1シャフトと軸平行に設けられ、支持部材に回動可能に支持される。アクセルペダルは、第1シャフトに一体に設けられ、踏込量に応じて第2シャフトを回動可能に前記第2シャフトに連結される。回転角検出手段は、支持部材に対する第2シャフトの相対回転角を検出する。
ペダルロータは、第2シャフトに一体に設けられる。ロータは、ペダルロータの軸方向両側に設けられる。両ロータは、ペダルロータに対し相対回動可能である。第1はす歯は、アクセル閉方向側ほど両ロータ側に突き出すようにペダルロータに一体に設けられる。
【0021】
両ロータは、アクセル開方向側ほどペダルロータ側に突き出す第2はす歯を一体に形成する。第2はす歯は、ペダルロータがアクセル開方向へ回動するとき第1はす歯と係合し両ロータを支持部材側に押し付ける。また、第2はす歯は、ペダルロータがアクセル閉方向へ回動するとき第1はす歯と干渉することなしに、アクセル全閉位置にペダルロータが回動可能に形成される。
第1付勢手段は、両ロータをアクセル閉方向へ付勢する。第2付勢手段は、アクセルペダル、第1シャフト、第2シャフトまたはペダルロータをアクセル閉方向へ付勢する。
【0022】
このように構成されるアクセル装置では、支持部材側へ押し付けられる両ロータは、支持部材と直接的または間接的に摩擦係合することで抵抗トルクを受ける。この抵抗トルクは、第2はす歯および第1はす歯を経由してペダルロータに伝達される。ペダルロータに伝達される抵抗トルクは、アクセルペダルの踏み込みを解除するときアクセルペダルの回動角に対応するアクセル開度を維持するように作用する。これにより、アクセルペダルの踏み込みを所望の位置で維持するときやアクセルペダルの踏み込みを徐々に戻すとき等に踏力が小さくて済む。そのため、アクセルペダルを操作する操作者の労力が減る。
【0023】
また、環境変化などによりロータと支持部材との摩擦力が増加しロータに作用する抵抗トルクが増加する、或いは、ロータと支持部材と間に異物が噛み込む等によって、両ロータが固着し、第1付勢手段の付勢力がアクセルペダルに作用しなくなる場合であっても、第2付勢手段の付勢力はアクセルペダルに作用する。このとき、ペダルロータは、両ロータの回動位置に拘わらず第2はす歯等に干渉することなしにアクセル全閉位置に回動することができる。これにより、アクセルペダルの踏込解除時にロータの回動位置に拘わらずアクセルペダルがアクセル全閉位置に復帰可能である。
【0024】
請求項10に記載の発明では、第1付勢手段は、両ロータの一方を付勢する第1スプリングと、両ロータの他方を付勢する第2スプリングとから構成される。この構成では、第1スプリング、第2スプリング、及び、第2付勢手段のうち二つが損傷した場合、残りの一つでアクセルペダルをアクセル全閉位置に戻すことができる。
【0025】
請求項11に記載の発明では、第2シャフトに一体に設けられ、支持部材に当接することで第2シャフトのアクセル閉方向への回動を規制するストッパを備える。このストッパは、支持部材のハウジング部に収容される。そのため、ストッパと支持部材の内壁との間に異物が噛み込むことを抑制することができる。
【0026】
請求項12に記載の発明では、第2シャフトの一端は、支持部材のハウジング部外へ延び出すように設けられる。アクセルペダルは、支持部材のハウジング外でリンク機構を介して第2シャフトの一端にトルク伝達可能に連結される。
この構成では、第2シャフトとハウジング部の貫通孔との間に形成される隙間は、第2シャフトが回動するときに変化しない。よって、この隙間を可及的に小さくなるよう設定することができる。そのため、アクセルペダルの回動位置に拘わらず、ストッパ等を収容する支持部材のハウジング部内にハウジング部外の異物が入ることを抑制することができる。ストッパと支持部材の内壁との間に異物が噛み込むことを一層抑制することができる。
【0027】
請求項13に記載の発明では、ストッパは、支持部材のハウジング部内上方に位置し、第2シャフトのアクセル閉方向への回動を規制するとき、支持部材のハウジング部が形成する略鉛直な内壁に当接する。
この構成では、ハウジング部内の例えば摩耗粉などはハウジング部内の下方に集まるので、ハウジング部内上方に位置するストッパとハウジング部の内壁との間に前記摩耗粉等が噛み込むことを抑制することができる。また、摩耗粉等がハウジング部内上方に舞い上がっても、ストッパが当接するハウジング部の内壁に積もることなくハウジング部内の下方に落下する。したがって、ストッパと支持部材の内壁との間に摩耗粉等が噛み込むことを抑制することができる。
【0028】
本明細書において、「アクセル全閉位置」とは、操作者によりアクセルペダルが踏み込まれていないとアクセル装置または電子制御装置が判断するアクセルペダルの回動位置である。「アクセル全閉位置」は、アクセルペダルがストッパに当接する回動位置に設定される場合や、アクセルペダルがストッパに当接する位置からアクセル開方向へ所定角度回動した回動位置に設定される場合がある。すなわち、「アクセル全閉位置」は、制御上の全閉位置である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態によるアクセル装置の全体図である。
【図2】図1のアクセル装置の上部を示す断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】図1のアクセル装置の分解斜視図である。
【図6】図1のアクセル装置におけるアクセルペダルの踏力と回動角との関係を示す図である。
【図7】図1のアクセル装置のアクセルペダルの模式図であって、(a)アクセルペダルが踏み込まれていないときの図、(b)アクセルペダルが踏み込まれているときの図である。
【図8】従来のアクセル装置におけるアクセルペダルの踏力と回動角との関係が経年変化することを示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例によるアクセル装置の上部の断面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】図9のXI−XI線断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるアクセル装置の上部の断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】図12のXIV−XIV線断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態の変形例によるアクセル装置の上部の断面図である。
【図16】図15のXVI−XVI線断面図である。
【図17】図15のXVII−XVII線断面図である。
【図18】本発明の第3実施形態によるアクセル装置の上部の断面図である。
【図19】図18のXIX−XIX線断面図である。
【図20】図18のXX−XX線断面図である。
【図21】本発明の第3実施形態の変形例によるアクセル装置の上部の断面図である。
【図22】図21のXXII−XXII線断面図である。
【図23】図21のXXIII−XXIII線断面図である。
【図24】本発明の第4実施形態によるアクセル装置の上部の断面図である。
【図25】図24のアクセル装置をXXV矢印方向から見た図である。
【図26】図24のXXVI−XXVI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるアクセル装置を図1〜図5に示す。アクセル装置1は、図示しない車両用エンジンの吸入空気量を調整する図示しないスロットルバルブのバルブ開度を決定するため車両の操作者が操作する入力装置である。このアクセル装置1は、電子式を採用する。電子式のアクセル装置1は、アクセルペダル11の踏込量に関する情報を電気信号として図示しない電子制御装置に伝達する。電子制御装置は、前記踏込量に関する情報や他の情報に基づき図示しないスロットルアクチュエータによりスロットルバルブを駆動する。
【0031】
アクセル装置1は、支持部材10、シャフト111、アクセルペダル11、回転位置センサ12、ペダルロータ13、第1踏力ヒステリシス機構16、第2踏力ヒステリシス機構17および付勢手段18等を備える。図1〜図4のアクセル装置1は、図示しない車体に取り付ける位置関係で示す。以下では、図1〜図4の上を「上」、図1〜図4の下を「下」として説明する。
【0032】
支持部材10は、中空箱状のハウジング部101と取付部102とから構成される。
ハウジング部101は、車両前後方向で対向する前方部104および後方部105と、前方部104と後方部105とを接続する第1軸支持部106、第2軸支持部107および底部108と、上部開口を塞ぐカバー110とからなる。
取付部102は、前方部104から上下へ延びる。取付部102は、車室を区画形成する壁などに取り付け可能である。取付部102は、アクセル全開位置まで回動したアクセルペダル11が当接可能な全開ストッパ部103を形成する。
アクセル全開位置は、操作者によるアクセルペダル11の踏込度合い即ちアクセル開度が100[%]となるように設定される位置である。
【0033】
第1軸支持部106および第2軸支持部107は、互いに平行に配置される。第1軸支持部106は、後述の第1ロータ14の押付力の受け部として機能する。また、第2軸支持部107は、後述の第2ロータ15の押付力の受け部として機能する。支持部材10は、前方部104、後方部105、第1軸支持部106および第2軸支持部107に金属製の補強部材109が埋め込まれた樹脂成形品である。支持部材10は、例えばインサート成形により製作される。補強部材109は、上下に開口する筒状部材である。
【0034】
「第1シャフト」としてのシャフト111は、中空円筒部112および中実円筒部113からなる。中空円筒部112は、両端部が第1軸支持部106および第2軸支持部107により回動可能に支持される。中空円筒部112の一端部は、第1軸支持部106の第1貫通孔191に嵌合する。中空円筒部112の他端部は、第2軸支持部107の第2貫通孔192に嵌合する。中空円筒部112の他端部は、一端部と比べて大径に形成される。
【0035】
中空円筒部112は、中実円筒部113に嵌合される。中実円筒部113の一端部118は、第1軸支持部106の第1貫通孔191を挿通し、ハウジング部101の外部へ延びる。第1軸支持部106には、第1貫通孔191と中実円筒部113の一端部118との隙間を塞ぐ環状の蓋部材190が設けられる。
【0036】
アクセルペダル11は、ペダルロッド114、ペダルパッド117およびペダルロータ13から構成される。
ペダルロッド114は、支持部材10のハウジング部101外でシャフト111の中実円筒部113の一端部118に接続される固定端部115を有する。ペダルロッド114は、シャフト111の軸心まわりに揺動可能な自由端部116を有する。自由端部116には、ペダルパッド117が固定される。操作者は、ペダルパッド117を踏み込んでアクセルペダル11を操作する。
【0037】
ペダルロータ13は、第1軸支持部106と第2軸支持部107との間に配置され、ハウジング部101に収容される。ペダルロータ13は、ペダルボス部131、ペダルレバー部132、全閉ストッパ部133、ペダルばね係止部134、第1ばね受け部135および第2ばね受け部136から構成される。
「ボス」としてのペダルボス部131は、環状に形成され、シャフト111の中空円筒部112に嵌合し、シャフト111と一体に回動する。
「レバー」としてのペダルレバー部132は、ハウジング部101の内部空間の上方に向けてペダルボス部131から径外方向へ突き出す。第1実施形態では、ペダルレバー部132は、シャフト111に対しペダルロッド114とは反対側に設けられる。
【0038】
「ストッパ」としての全閉ストッパ部133は、ペダルレバー部132の先端に形成される。全閉ストッパ部133は、ハウジング部101の内部空間の上方に配置され、支持部材10の前方部104が形成する鉛直な内壁104aに対向する。アクセルペダル11は、ペダルロータ13の全閉ストッパ部133が内壁104aに当接することでアクセル閉方向の回動が規制される。ペダルレバー部132は、全閉ストッパ部133と内壁104aとの当接前後に直立状態となり、内壁104aに並行に配置される。
第1実施形態では、全閉ストッパ部133が内壁104aに当接するときのアクセルペダル11の回動位置が制御上のアクセル全閉位置に設定される。制御上のアクセル全閉位置は、操作者によるアクセルペダル11の踏込度合い即ちアクセル開度が0[%]となるように設定される位置である。以下、制御上のアクセル全閉位置を「アクセル全閉位置」として記載する。
【0039】
ここで、「アクセル開方向」とは、ペダルロータ13の全閉ストッパ部133がハウジング部101の内壁104aから離間する回動方向である。すなわち、アクセルペダル11が踏み込まれるときアクセルペダル11が回動する方向である。アクセルペダル11がアクセル開方向へ回動するとき、アクセル全閉位置を基点とするアクセルペダル11のアクセル開方向への回動角は大きくなり、この回動角に対応するアクセル開度も大きくなる。
【0040】
また、「アクセル閉方向」とは、ペダルロータ13の全閉ストッパ部133がハウジング部101の内壁104aに接近する回動方向である。すなわち、アクセルペダル11の踏み込みが解除されるときアクセルペダル11が回動する方向である。アクセルペダル11がアクセル閉方向へ回動するときアクセルペダル11の回動角は小さくなり、アクセル開度も小さくなる。
【0041】
ペダルばね係止部134は、ペダルロータ13のペダルレバー部132のうちペダルボス部131と全閉ストッパ部133との中間部に形成される。
第1ばね受け部135は、後述の第1ロータ14の第1ばね係止部143に対しアクセル閉方向に位置し、ペダルレバー部132に一体に形成される。
第2ばね受け部136は、後述の第2ロータ15の第2ばね係止部153に対しアクセル閉方向に位置し、ペダルレバー部132に一体に形成される。
【0042】
「回転角検出手段」としての回転位置センサ12は、ヨーク121、磁石122、磁石123およびホール素子124等から構成される。
ヨーク121は、磁性体からなり、筒状に形成される。ヨーク121は、シャフト111の中空円筒部112の他端部の内壁に固定される。磁石122、123は、ヨーク121の内側でシャフト111の軸心を挟んで対向するように且つ互いに対向する内側の磁極が異なるように配置され、ヨーク121の内壁に固定される。ホール素子124は、磁石122と磁石123との間に配置され、ハウジング部101に固定される図示しない基板に取り付けられる。
【0043】
電流が流れているホール素子124に磁界を加えると、このホール素子124に電圧が生じる。この現象は、ホール効果と呼ばれる。ホール素子124を貫く磁束密度は、シャフト111と共に磁石122、123がシャフト111の軸心まわりに回動することで変化する。前記電圧の大きさは、ホール素子124を貫く磁束密度にほぼ比例する。回転位置センサ12は、前述のホール素子124に生じる電圧を検出することにより、ホール素子124と磁石122および123との相対回転角、すなわち支持部材10に対するシャフト111の相対回動角を検出する。回転位置センサ12は、検出した電圧を表す電気信号を電子制御装置へ出力する。
【0044】
第1踏力ヒステリシス機構16は、第1ロータ14、第1はす歯161、第2はす歯163および第1摩擦部材165から構成される。
第1ロータ14は、ペダルロータ13とハウジング部101の第1軸支持部106との間に配置され、シャフト111に対し相対回動可能かつ第1軸支持部106に対し接近および離間可能に設けられる。第1ロータ14は、第1ボス部141、第1レバー部142および第1ばね係止部143からなる。第1ボス部141は、環状に形成され、シャフト111と同心に配置される。第1レバー部142は、ハウジング部101の内部空間の上方へ向けて第1ボス部141から径外方向へ延びる。第1ばね係止部143は、第1レバー部142の先端に形成される。
【0045】
第1はす歯161は、アクセル閉方向へ向かうほどペダルロータ13から第1ロータ14側に突き出すようにペダルロータ13に一体に形成される。第1はす歯161は周方向で等間隔に複数形成される。第1実施形態では例えば6個形成される。この第1はす歯161は、アクセル閉方向へ向かうほど第1ロータ14に接近する第1係合斜面162を有する。
【0046】
第2はす歯163は、アクセル開方向へ向かうほど第1ロータ14からペダルロータ13側に突き出すように第1ロータ14に一体に形成される。第2はす歯163は周方向で等間隔に複数形成される。第1実施形態では例えば6個形成される。第2はす歯163は、アクセル開方向へ向かうほどペダルロータ13に接近する第1被係合斜面164を有する。第1被係合斜面164は、ペダルロータ13がアクセル開方向へ回動するとき第1はす歯161の第1係合斜面162と係合可能である。
【0047】
第2はす歯163は、アクセルペダル11がアクセル閉方向へ回動するとき、第1ロータ14の回動位置に拘わらず第1はす歯161と干渉することなしにアクセルペダル11がアクセル全閉位置に回動可能に形成される。具体的には、周方向において隣り合う一対の第2はす歯163がなす角度は、アクセルペダル11のアクセル全閉位置からアクセル全開位置までの回動角度よりも大きく設定される。つまり、第1はす歯161と第2はす歯163との間に形成される周方向のクリアランスは、ペダルロータ13のアクセル全閉位置からアクセル全開位置までの回動を許容する。
【0048】
ペダルロータ13がアクセル開方向へ回動するとき、第1はす歯161および第2はす歯163は、第1係合斜面162と第1被係合斜面164とが当接しつつ噛み合う。第1被係合斜面164は、ペダルロータ13の回動角が増すほど第1ロータ14がペダルロータ13から離間するように第1係合斜面162に対し滑る。これにより、第2はす歯163は、ペダルロータ13の回動角が増すほど大きい力で第1ロータ14を第1軸支持部106側に押し付ける。
【0049】
第1摩擦部材165は、環状に形成され、第1ロータ14の第1軸支持部106との対向面に形成される第1嵌合穴144に嵌合される。第1摩擦部材165は、第1軸支持部106に摩擦係合する。第1摩擦部材165と第1軸支持部106との摩擦力は、第1ロータ14およびそれに連動するアクセルペダル11の回転抵抗となる。第1摩擦部材165は、第2はす歯163から第1ロータ14に作用する第1軸支持部106側への押付力が大きいほど増大する摩擦抵抗トルクを第1ロータ14に与える。
【0050】
第2踏力ヒステリシス機構17は、第2ロータ15、第1はす歯171、第2はす歯173および第2摩擦部材175から構成される。
第2ロータ15は、ペダルロータ13とハウジング部101の第2軸支持部107との間に配置され、シャフト111に対し相対回動可能かつ第2軸支持部107に対し接近および離間可能に設けられる。第2ロータ15は、第2ボス部151、第2レバー部152および第2ばね係止部153からなる。第2ボス部151は、環状に形成され、シャフト111と同心に配置される。第2レバー部152は、ハウジング部101の内部空間の上方へ向けて第2ボス部151から径外方向へ延びる。第2ばね係止部153は、第2レバー部152の先端に形成される。
【0051】
第1はす歯171は、アクセル閉方向へ向かうほどペダルロータ13から第2ロータ15側に突き出すようにペダルロータ13に一体に形成される。第1はす歯171は周方向において等間隔に複数形成される。第1実施形態では例えば6個形成される。この第1はす歯171は、アクセル閉方向へ向かうほど第2ロータ15に接近する第2係合斜面172を有する。
【0052】
第2はす歯173は、アクセル開方向へ向かうほど第2ロータ15からペダルロータ13側に突き出すように第2ロータ15に一体に形成される。第2はす歯173は周方向において等間隔に複数形成される。第1実施形態では例えば6個形成される。第2はす歯173は、アクセル開方向へ向かうほどペダルロータ13に接近する第2被係合斜面174を有する。第2被係合斜面174は、ペダルロータ13がアクセル開方向へ回動するとき第1はす歯171の第2係合斜面172と係合可能である。
【0053】
第2はす歯173は、アクセルペダル11がアクセル閉方向へ回動するとき、第2ロータ15の回動位置に拘わらず第1はす歯171と干渉することなしにアクセルペダル11がアクセル全閉位置に回動可能に形成される。具体的には、周方向において隣り合う一対の第2はす歯173がなす角度は、アクセルペダル11のアクセル全閉位置からアクセル全開位置までの回動角度よりも大きく設定される。つまり、第1はす歯171と第2はす歯173との間に形成される周方向のクリアランスは、ペダルロータ13のアクセル全閉位置からアクセル全開位置までの回動を許容する。
【0054】
ペダルロータ13がアクセル開方向へ回動するとき、第1はす歯171および第2はす歯173は、第2係合斜面172と第2被係合斜面174とが当接しつつ噛み合う。第2被係合斜面174は、ペダルロータ13の回動角が増すほど第2ロータ15がペダルロータ13から離間するように第2係合斜面172に対し滑る。これにより、第2はす歯173は、ペダルロータ13の回動角が増すほど大きい力で第2ロータ15を第2軸支持部107側に押し付ける。
【0055】
第2摩擦部材175は、環状に形成され、第2ロータ15の第2軸支持部107との対向面に形成される第2嵌合穴154に嵌合される。第2摩擦部材175は、第2軸支持部107に摩擦係合する。第2摩擦部材175と第2軸支持部107との摩擦力は、第2ロータ15およびそれに連動するアクセルペダル11の回転抵抗となる。第2摩擦部材175は、第2はす歯173から第2ロータ15に作用する第2軸支持部107側への押付力が大きいほど増大する摩擦抵抗トルクを第2ロータ15に与える。
【0056】
付勢手段18は、「第1付勢手段」としての第1スプリング181および第2スプリング182と、「第2付勢手段」としての第3スプリング183とから構成される。
第1スプリング181は、第1ロータ14の第1ばね係止部143に係合する第1ばねホルダ185に一端が係止され、ハウジング部101の後方部105に他端が係止され、第1ロータ14をアクセル閉方向へ付勢するコイルばねである。第1スプリング181から第1ロータ14に作用する付勢力は、第1ロータ14の回動角が大きいほど増大する。また、第1スプリング181の付勢力は、第1ロータ14等を経由してペダルロータ13に作用する。
【0057】
第2スプリング182は、第2ロータ15の第2ばね係止部153に係合する第2ばねホルダ186に一端が係止され、ハウジング部101の後方部105に他端が係止され、第2ロータ15をアクセル閉方向へ付勢するコイルばねである。第2スプリング182から第2ロータ15に作用する付勢力は、第2ロータ15の回動角が大きいほど増大する。また、第2スプリング182の付勢力は、第2ロータ15等を経由してペダルロータ13に作用する。
【0058】
第3スプリング183は、ペダルロータ13のペダルばね係止部134に一端が係止され、ハウジング部101の後方部105に他端が係止され、ペダルロータ13をアクセル閉方向へ付勢するコイルばねである。第3スプリング183からペダルロータ13に作用する付勢力は、ペダルロータ13の回動角が大きいほど増大する。この付勢力は、ペダルロータ13の回動位置に拘わらずペダルロータ13およびそれに連動する第1シャフト111およびアクセルペダル11をアクセル全閉位置に復帰可能に設定される。
【0059】
次に、アクセル装置1の作動について説明する。
アクセルペダル11のペダルパッド117が踏み込まれると、アクセルペダル11は、ペダルパッド117に加わる踏力に応じてシャフト111の軸心まわりにアクセル開方向へ回動する。このとき、シャフト111が回動するには、第1スプリング181、第2スプリング182および第3スプリング183の付勢力によるトルクと、第1摩擦部材165および第2摩擦部材175の摩擦力による摩擦抵抗トルクとの和よりも大きいトルクを生み出す踏力が必要となる。
【0060】
第1摩擦部材165および第2摩擦部材175の摩擦力による摩擦抵抗トルクは、アクセルペダル11が踏み込まれるときにはアクセルペダル11のアクセル開方向への回動を抑制するように作用する。その結果、図6に実線L1で示すようにアクセルペダル11の踏込時の踏力F4[N]と回動角θ[°]との関係は、後述の踏み込みを解除するときの一点鎖線L3と比べて、同じ回動角θの場合に踏力F4が大きくなる。
【0061】
続いて、アクセルペダル11の踏み込みを維持するには、第1スプリング181、第2スプリング182および第3スプリング183の付勢力によるトルクと、第1摩擦部材165および第2摩擦部材175の摩擦力による摩擦抵抗トルクとの差よりも大きいトルクを生み出す踏力を加えればよい。すなわち、操作者は、アクセルペダル11を所望の位置まで踏み込んだ後、アクセルペダル11の踏み込みを維持しようとする場合、踏力をいくらか緩めてもよい。
【0062】
例えば、図6に二点鎖線L2で示すように、回動角θ1まで踏み込んだアクセルペダル11の踏み込みを維持しようとする場合、踏力F4(1)から踏力F4(2)まで緩めてもよい。これにより、アクセルペダル11の踏み込みを維持することが容易となる。第1摩擦部材165および第2摩擦部材175の摩擦力による摩擦抵抗トルクは、アクセルペダル11の踏み込みを維持するときにはアクセルペダル11のアクセル閉方向への回動を抑制するように作用する。
【0063】
続いて、アクセルペダル11の踏み込みをアクセル全閉位置側に戻すには、第1スプリング181、第2スプリング182および第3スプリング183の付勢力によるトルクと、第1摩擦部材165および第2摩擦部材175の摩擦力による摩擦抵抗トルクとの差よりも小さいトルクを生み出す踏力を加えることになる。ここで、アクセルペダル11を素早くアクセル全閉位置に戻す場合はアクセルペダル11の踏み込みを止めればよく、操作者に負担はかからない。これに対し、アクセルペダル11の踏み込みを徐々に戻す場合は所定の踏力を加え続けることが必要となる。第1実施形態では、踏み込みを徐々に戻すときに必要な踏力が比較的小さい値となる。
【0064】
例えば、図6に一点鎖線L3で示すように、回動角θ1まで踏み込んだアクセルペダル11の踏み込みを徐々に戻そうとする場合、踏力F4(2)から0までの間で調整すればよい。踏力F4(2)は、踏力F4(1)と比べて小さい。そのため、アクセルペダル11の踏み込みを戻すときに操作者にかかる負担が少ない。第1摩擦部材165および第2摩擦部材175の摩擦力による摩擦抵抗トルクは、アクセルペダル11の踏み込みを戻すときにはアクセルペダル11のアクセル閉方向への回動を抑制するように作用する。その結果、アクセルペダル11の踏み戻し時における踏力F4と回動角θとの関係は、図6に一点鎖線L3で示すように、踏込時の実線L1と比べて、同じ回動角θの場合に踏力F4が小さくなる。
【0065】
ここで、例えば第1摩擦部材165と第1軸支持部106との間または第2摩擦部材175と第2軸支持部107との間に異物が噛み込む、或いは、環境変化などにより第1摩擦部材165および第2摩擦部材175の摩擦力が増加する等によって、第1ロータ14および第2ロータ15が回動不能となる場合を考える。このような場合には、第1スプリング181および第2スプリング182の付勢力はペダルロータ13に作用しなくなる。しかし、第3スプリング183の付勢力はペダルロータ13に作用する。アクセルペダル11は、第3スプリング183の付勢力でアクセル全閉位置まで戻ることが可能である。アクセルペダル11は、第1ロータ14および第2ロータ15がアクセル全開位置で回動不能となっても、第1ロータ14および第2ロータ15と干渉せずに第3スプリング183の付勢力だけでアクセル全閉位置まで戻ることが可能である。このときのアクセルペダル11の踏力F4と回動角θとの関係は、図6に破線L4で示すようになる。
【0066】
次に、例えば第3スプリング183が折損するとともに第1ロータ14の第1レバー部142が折損し、第1スプリング181の付勢力が第1ロータ14に作用しなくなる場合を考える。このような場合であっても、ペダルロータ13には、第1スプリング181の付勢力が、折損した第1ばね係止部143と係合する第1ばね受け部135を経由して作用する。
次に、例えば第3スプリング183が折損するとともに第2ロータ15の第2レバー部152が折損し、第2スプリング182の付勢力が第2ロータ15に作用しなくなる場合を考える。このような場合であっても、ペダルロータ13には、第2スプリング182の付勢力が、折損した第2ばね係止部153と係合する第2ばね受け部136を経由して作用する。
【0067】
次に、アクセルペダル11の踏み込み前後にシャフト111に作用する付勢力の方向を考える。
図7(a)に示すようにアクセルペダル11が踏み込まれていないとき、シャフト111は、アクセルペダル11に作用する第1スプリング181の付勢力F1、第2スプリング182の付勢力F2、および、第3スプリング183の付勢力F3によって、図中に矢印Aで示すようにハウジング部101の第1貫通孔191および第2貫通孔192の後方部104側に押し付けられる。
【0068】
一方で、図7(b)に示すようにアクセルペダル11が踏み込まれるとき、シャフト111は、アクセルペダル11に作用する付勢力F1’、付勢力F2’、付勢力F3’および踏力F4によって、図中に矢印Bで示すようにハウジング部101の第1貫通孔191および第2貫通孔192の後方部104側に押し付けられる。つまり、シャフト111に作用する付勢力の方向は、アクセルペダル11の踏み込み前後で変化しない。
【0069】
以上説明したように、第1実施形態のアクセル装置1では、第1ロータ14および第2ロータ15に与えられる摩擦抵抗トルクは、アクセルペダル11の踏み込みが解除されるときアクセルペダル11の回動角に対応するアクセル開度を維持するように作用する。これにより、アクセルペダル11の踏み込みを所望の位置で維持するときやアクセルペダル11の踏み込みを徐々に戻すとき等に踏力が小さくて済む。そのため、操作者の労力が減る。
【0070】
また、アクセル装置1では、付勢手段18は、第1ロータ14および第2ロータ15をアクセル閉方向へ付勢する第1スプリング181および第2スプリング182とは別に、ペダルロータ13をアクセル閉方向へ付勢する第3スプリング183を有する。ペダルロータ13は、アクセル閉方向へ回動するとき、第1ロータ14および第2ロータ15の回動位置に拘わらず第1ロータ14および第2ロータ15と干渉することなしにアクセル全閉位置まで回動可能に構成される。
【0071】
これにより、環境変化などにより第1摩擦部材165および第2摩擦部材175の摩擦力が増加し第1ロータ14および第2ロータ15に作用する摩擦抵抗トルクが増加する、或いは、第1摩擦部材165と第1軸支持部106との間や第2摩擦部材175と第2軸支持部107との間に異物が噛み込む等によって、第1ロータ14および第2ロータ15が固着し、第1スプリング181および第2スプリング182の付勢力がペダルロータ13に作用しなくなる場合であっても、第3スプリング183の付勢力はペダルロータ13に作用する。このとき、アクセルペダル11は、第1ロータ14および第2ロータ15の回転位置に拘わらず第2はす歯163、173等と干渉することなしにアクセル全閉位置に回動することができる。これにより、アクセルペダル11の踏込解除時に第1ロータ14および第2ロータ15の回転位置に拘わらずアクセルペダル11がアクセル全閉位置に復帰可能である。
【0072】
また、第1実施形態では、第1スプリング181、第2スプリング182および第3スプリング183のうち二つが折損した場合、残りの一つでアクセルペダル11をアクセル全閉位置に戻すことができる。
また、第1実施形態では、第3スプリング183は、アクセルペダル11をアクセル全閉位置に戻す付勢力を発生するので、第1スプリング181および第2スプリング182の付勢力がペダルロータ13に全く作用しない場合にアクセルペダル11をアクセル全閉位置に確実に戻すことができる。
【0073】
また、第1実施形態では、第3スプリング183が折損するとともに第1ロータ14の第1レバー部142が折損し、第1スプリング181の付勢力が第1ロータ14に作用しなくなる場合、第1スプリング181の付勢力は、折損した第1ばね係止部143と係合する第1ばね受け部135を経由してペダルロータ13に作用する。
また、第3スプリング183が折損するとともに第2ロータ15の第2レバー部152が折損し、第2スプリング182の付勢力が第2ロータ15に作用しなくなる場合、第2スプリング182の付勢力は、折損した第2ばね係止部153と係合する第2ばね受け部136を経由してペダルロータ13に作用する。
そのため、第3スプリング183および第1レバー部142が折損した場合にペダルロータ13をアクセル全閉位置に戻すことができ、また、第3スプリング183および第2レバー部152が折損した場合にペダルロータ13をアクセル全閉位置に戻すことができる。
【0074】
また、第1実施形態では、支持部材10は、ペダルロータ13を収容するハウジング部101を有する。ペダルロータ13は、ハウジング部101の内壁104aに当接してアクセルペダル11のアクセル閉方向の回動を規制する全閉ストッパ部133を有する。
この構成では、全閉ストッパ部133がハウジング部101内部に設けられるので、全閉ストッパ部133とハウジング部101の内壁104aとの間に異物が噛み込むことを抑制することができる。
【0075】
また、第1実施形態では、支持部材10の第1軸支持部106は、シャフト111の一端部118が挿通する第1貫通孔191を有する。アクセルペダル11のペダルロッド114は、ペダルロータ13に対しシャフト111の軸方向へオフセットされ、支持部材10外でシャフト111の一端部118に接続される。
この構成では、シャフト111と第1貫通孔191との間に形成される隙間は、シャフト111が回動するときに変化しない。よって、前記隙間を可及的に小さく設定可能である。そのため、アクセルペダル11の回動位置に拘わらず、ペダルロータ13等を収容するハウジング部101の内部へ異物が入ることを抑制することができる。したがって、ペダルロータ13の全閉ストッパ部133とハウジング部101の内壁104aとの間に異物が噛み込むことを一層抑制することができる。
【0076】
また、第1実施形態では、第1軸支持部106の第1貫通孔191とシャフト111との隙間が蓋部材190により塞がれる。これにより、ペダルロータ13等を収容するハウジング部101の内部へ異物が入ることを一層抑制することができる。
また、第1実施形態では、ペダルロータ13の全閉ストッパ部133は、ペダルロータ13等を収容するハウジング部101の内部空間の上方に配置される。第1摩擦部材165や第2摩擦部材175の摩耗粉等はハウジング部101内の下方に集まるので、ハウジング部101の内部空間の上方に位置するペダルロータ13の全閉ストッパ部133とハウジング部101の内壁104aとの間に摩耗粉等が噛み込むことを抑制することができる。
【0077】
さらに、第1実施形態では、ペダルロータ13の全閉ストッパ部133は、支持部材10のハウジング部101が形成する鉛直な内壁104aに当接する。そのため、万が一、摩耗粉等がハウジング部101の内部空間の上方に舞い上がっても、全閉ストッパ部133が当接する内壁104aに付着することなくハウジング部101内の下方へ落下する。したがって、ペダルロータ13の全閉ストッパ部133とハウジング部101の内壁104aとの間に摩耗粉等が噛み込むことを一層抑制することができる。
【0078】
また、第1実施形態では、ペダルロータ13のペダルレバー部132は、ペダルボス部131に対しペダルロッド114とは反対側に設けられる。また、ペダルロータ13の全閉ストッパ部133はペダルレバー部132の先端に形成され、ペダルロータ13のペダルばね係止部134はペダルボス部131と全閉ストッパ部133との間に位置する。
この構成では、アクセルペダル11が踏み込まれていない場合およびアクセルペダル11が踏み込まれる場合ともに、シャフト111は、ハウジング部101の第1貫通孔191および第2貫通孔192の内壁面の同じ側に押し付けられる。言い換えれば、シャフト111に作用する付勢力の方向は、アクセルペダル11の踏み込み前後で変化しない。そのため、アクセルペダル11の踏み込み前後においてハウジング部101の第1貫通孔191内および第2貫通孔192内でシャフト111が揺動する所謂軸ずれを防止することができる。したがって、前記軸ずれに起因してシャフト111の回動角の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0079】
ここで、従来、踏力ヒステリシス機構の一対の摩擦部材からの押付力によって、支持部材が摩擦部材から離間するよう外側に変形するという問題があった。この支持部材の変形により、アクセルペダルの踏力F4と回動角θとの関係は、図8に矢印Cおよび矢印Dで示すように変化するという問題があった。
これに対し、第1実施形態では、支持部材10のハウジング部101は、第1軸支持部106および第2軸支持部107に金属製の補強部材109が埋め込まれた樹脂成形品である。これにより、軽量化を実現しつつ、第1摩擦部材165および第2摩擦部材175の押付力によりハウジング部101が変形することを抑制することができる。したがって、ハウジング部101の変形に起因してアクセルペダル11の踏力特性が変化することを抑制することができる。
【0080】
以下の実施形態の説明では、その説明で用いる各図の上を「上」、各図の下を「下」として説明する。
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例のアクセル装置を図9〜図11に示す。この変形例では、ペダルロータのペダルばね係止部および第3スプリングの構成が第1実施形態と異なる。アクセル装置20の第3スプリング23は、板ばねから構成される。ペダルロータ21のペダルばね係止部22は、板ばねからなる第3スプリング23の一端を係止可能な平面を有する。第3スプリング23の作用は、第1実施形態の第3スプリング183と同じである。また、第1実施形態の変形例では、上述した構成以外の構成は第1実施形態と同様である。このような構成のアクセル装置20においても、第1実施形態のアクセル装置1と同様の効果が得られる。
【0081】
(第2実施形態)
第2実施形態のアクセル装置を図12〜図14に示す。第2実施形態では、ハウジング部およびペダルロータの形状が第1実施形態と異なる。
図12〜図14に示すように、第2実施形態では、支持部材31のハウジング部32は、上部の上下方向の長さが第1実施形態のハウジング部101よりも長く形成される。
【0082】
ペダルロータ33のペダルレバー部34は、長手方向の長さが第1実施形態のペダルレバー部132よりも長く形成される。全閉ストッパ部36は、ペダルレバー部34の先端に形成される。ペダルロータ33のペダルばね係止部35は、ペダルレバー部34のうち第1ロータ14の第1ばね係止部143および第2ロータ15の第2ばね係止部153よりも上方に形成される。
このような構成のアクセル装置30においても、第1実施形態のアクセル装置1と同様の効果が得られる。
【0083】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の変形例のアクセル装置を図15〜図17に示す。この変形例では、ペダルロータのペダルばね係止部および第3スプリングの構成が第2実施形態と異なる。アクセル装置40の第3スプリング43は、板ばねから構成される。ペダルロータ41のペダルばね係止部42は、板ばねからなる第3スプリング43の一端を係止可能な平面を有する。第3スプリング43の作用は、第2実施形態の第3スプリング183と同じである。また、第2実施形態の変形例では、上述した構成以外の構成は第2実施形態と同様である。このような構成のアクセル装置40においても、第2実施形態のアクセル装置30と同様の効果が得られる。
【0084】
(第3実施形態)
第3実施形態のアクセル装置を図18〜図20に示す。第3実施形態では、ハウジング部およびペダルロータの形状が第1実施形態と異なる。
図18〜図20に示すように、第3実施形態では、支持部材51のハウジング部52は、下部の上下方向の長さが第1実施形態のハウジング部101よりも長く形成される。
【0085】
ペダルロータ54のペダルばね係止部55は、ペダルボス部131に対しペダルレバー部132とは反対側に突出する。第3スプリング56は、ペダルばね係止部55とハウジング52の前方部57との間に介在し、ペダルロータ54をアクセル閉方向へ付勢する。第3スプリング56からペダルロータ54に作用する付勢力は、ペダルロータ54のアクセル全閉位置からの回動角が大きいほど増大する。また、この付勢力は、アクセルペダル11の回動位置に拘わらずアクセルペダル11及びペダルロータ54をアクセル全閉位置に復帰可能に設定される。
【0086】
さらに、第3スプリング56の付勢力は、第1スプリング181の付勢力および第2スプリング182の付勢力の和よりも小さくなるよう設定される。これにより、アクセルペダル11の踏み込み前後でシャフト111に作用する付勢力の方向が変化せず、アクセルペダル11の踏み込み前後の軸ずれを防止することができる。
このような構成のアクセル装置50においても、第1実施形態のアクセル装置1と同様の効果が得られる。
【0087】
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態の変形例のアクセル装置を図21〜図23に示す。この変形例では、ペダルロータのペダルばね係止部および第3スプリングの構成が第3実施形態と異なる。アクセル装置60の第3スプリング63は、板ばねから構成される。ペダルロータ61のペダルばね係止部62は、板ばねからなる第3スプリング63の一端を係止可能な平面を有する。第3スプリング63の作用は、第3実施形態の第3スプリング56と同じである。また、第3実施形態の変形例では、上述した構成以外の構成は第3実施形態と同様である。このような構成のアクセル装置60においても、第3実施形態のアクセル装置50と同様の効果が得られる。
【0088】
(第4実施形態)
第4実施形態のアクセル装置を図24〜図26に示す。第4実施形態のアクセル装置70は、支持部材71、第1シャフト79、第2シャフト80、アクセルペダル81、回転位置センサ83、ペダルロータ85、第1踏力ヒステリシス機構87、第2踏力ヒステリシス機構92および付勢手段97を備える。
【0089】
支持部材71は、ベース72、第1ケース73、第2ケース74およびカバー75から構成される。
ベース72は、車室を区画形成する内壁等に取り付け可能な板状の取付部721と、取付部721に一体に形成される板状のマウント部722と、取付部721に一体に形成され、第1シャフト79を回動可能に支持する一対の軸支持部723、724とからなる。
第1ケース73は、マウント部722の板厚方向に延びる筒部731と、筒部731に一体に形成されマウント部722に固定される複数の固定部732と、筒部731に一体に形成されるコネクタ部733とからなる。
【0090】
第2ケース74は、第1ケース73に対しマウント部722とは反対側で第1ケース73の筒部731と同軸上に配置され、筒部731に固定される筒部741と、筒部741の第1ケース73側の端部を塞ぐ底部742とを有するカップ状に形成される。第2ケース74は、第1ケース73に例えばビス止めで固定される。第2ケース74の底部742は、第2シャフト80が挿通する通孔743を有する。
カバー75は、第2ケース74の筒部741のうち底部742とは反対側の端部を塞ぐ円板状に形成される。カバー75は、軸受782が嵌合する通孔751を有する。また、図24および図26に示すように、カバー75は、第1摩擦部材91に相対回転不能に係合する環状の係合部752と、全閉ストッパ86が当接可能な全閉当接部753と、第2スプリング99の端部が係止する係止部754とを形成する。
【0091】
ベース72の取付部721と第1ケース73の筒部731と第2ケース74の底部742とは、回転位置センサ83を収容する第1収容室76を区画形成する。第2ケース74およびカバー75は、第1踏力ヒステリシス機構87および第2踏力ヒステリシス機構92などを収容する第2収容室77を区画形成する。
互いに組み付けられた第2ケース74およびカバー75は、全閉ストッパ86を収容するハウジングとして機能し、特許請求の範囲の「ハウジング部」に相当する。
【0092】
第1シャフト79は、支持部材71の一対の軸支持部723に回動可能に支持される。
第2シャフト80は、第1シャフト79に軸平行に設けられ、軸受782と第2ケース74の底部742とに回動可能に支持される。第2シャフト80の一端は、カバー75に対し第2ケース74とは反対側に即ち第2収容室77外に延び出す。
アクセルペダル81は、第1シャフト79に一体に設けられるペダルロッド811と、ペダルロッド811の下端部に固定される図示しないペダルパッドとから構成される。操作者は、ペダルパッドを踏み込んでペダルロッド811を操作する。アクセルペダル81は、リンク機構82を介して第2シャフト80の一端にトルク伝達可能に連結され、踏込量に応じて第2シャフト80を回動可能である。
【0093】
リンク機構82は、レバー821、ローラ822および保持部材823から構成される。レバー821は、第2収容室77外で第2シャフト80の一端に接続される。ローラ822は、ペダルロッド811の上端部に対しアクセル開方向側に位置し、レバー821の先端からペダルロッド811側に突き出すように設けられる。保持部材823は、ペダルロッド811の上端部に例えば溶接等により固定され、ペダルロッド811との間でローラ822を保持する。
リンク機構82は、アクセルペダル81のアクセル開方向へのトルクおよびアクセル閉方向へのトルクを第2シャフト80に伝達する。また、リンク機構82は、第2シャフト80のアクセル閉方向へのトルクをアクセルペダル81に伝達する。
【0094】
「アクセル開方向」とは、図25に矢印Xで示すように、アクセルペダル81が踏み込まれるときアクセルペダル81や第2シャフト80等が回動する方向である。
「アクセル閉方向」とは、図25に矢印Yで示すように、アクセルペダル81の踏み込みが解除されるときアクセルペダル81や第2シャフト80等が回動する方向である。
【0095】
「回転角検出手段」としての回転位置センサ83は、ヨーク831、磁石832、磁石833およびホール素子834等から構成される。
ヨーク831は、磁性体からなり、第2シャフト80と同心の筒状に形成され、第2シャフト80に一体に設けられる。磁石832、833は、ヨーク831の内側で第2シャフト80の軸心を挟んで対向するように且つ互いに対向する内側の磁極が異なるように配置され、ヨーク831の内壁に固定される。ホール素子834は、磁石832と磁石833との間に配置され、第1ケース73に固定される基板835に取り付けられる。
【0096】
基板835に対しホール素子834とは反対側には、金属製のカバー84が設けられる。このカバー84は、外乱による回転位置センサ83の検出精度の低下を抑制する機能をもつ。
回転位置センサ83の動作原理は第1実施形態の回転位置センサ12と同じである。回転位置センサ83は、ホール効果を利用することで支持部材71に対する第2シャフト80の相対回動角を検出し、検出した相対回動角を表す電気信号を電子制御装置に出力する。
【0097】
ペダルロータ85は、環状に形成され、第2ケース74の底部742とカバー75との間で第2シャフト80に嵌合し、第2シャフト80に一体に設けられる。
「ストッパ」としての全閉ストッパ86は、第2シャフト80に固定される環状部861と、環状部861から第2収容室77内上方に向けて突き出す突起部862とからなり、第2収容室77に収容される。突起部862は、カバー75の全閉当接部753に当接することで第2シャフト80のアクセル閉方向への回動を規制する。突起部862は、全閉当接部753が有する鉛直な壁に当接する。全閉ストッパ86の突起部862がカバー75の全閉当接部753に当接するときの第2シャフト80の回動位置が制御上のアクセル全閉位置に設定される。
【0098】
アクセルペダル81がアクセル開方向へ回動するとき、アクセル全閉位置を基点とするアクセルペダル81のアクセル開方向への回動角は大きくなり、この回動角に対応するアクセル開度も大きくなる。
また、アクセルペダル81がアクセル閉方向へ回動するとき、アクセル全閉位置を基点とするアクセルペダル81のアクセル開方向への回動角は小さくなり、アクセル開度も小さくなる。
【0099】
第1踏力ヒステリシス機構87は、第1ロータ88、第1はす歯89、第2はす歯90および第1摩擦部材91から構成される。
第1ロータ88は、ペダルロータ85とカバー75との間で第2シャフト80の外側に配置される筒部881と、筒部881のうちペダルロータ85側の端部を塞ぐ底部882とを有するカップ状に形成される。第1ロータ88は、第2シャフト80およびペダルロータ85に対し相対回動可能、且つ、第1摩擦部材91に対し接近および離間可能に設けられる。
【0100】
第1はす歯89は、ペダルロータ85のうち第1ロータ88との対向壁に、アクセル閉方向側ほど第1ロータ88側に突き出すようにペダルロータ85に一体に形成される。第1はす歯89は周方向で等間隔に複数形成される。第4実施形態では例えば6個形成される。第1はす歯89は、アクセル閉方向へ向かうほど第1ロータ88に接近する第1係合斜面891を有する。
【0101】
第2はす歯90は、第1ロータ88のうちペダルロータ85との対向壁に、アクセル開方向側ほどペダルロータ85側に突き出すように第1ロータ88に一体に形成される。第2はす歯90は周方向で等間隔に複数形成される。第4実施形態では例えば6個形成される。第2はす歯90は、アクセル開方向へ向かうほどペダルロータ85に接近する第1被係合斜面901を有する。第1被係合斜面901は、ペダルロータ85がアクセル開方向へ回動するとき第1はす歯89の第1係合斜面891と係合する。
【0102】
第2はす歯90は、ペダルロータ85がアクセル閉方向へ回動するとき、第1ロータ88の回動位置に拘わらず第1はす歯89と干渉することなしにペダルロータ85がアクセル全閉位置に回動可能に形成される。具体的には、周方向において隣り合う一対の第2はす歯90がなす角度は、ペダルロータ85のアクセル全閉位置からアクセル全開位置までの回動角度よりも大きく設定される。つまり、第1はす歯89と第2はす歯90との間に形成される周方向のクリアランスは、ペダルロータ85のアクセル全閉位置からアクセル全開位置までの回動を許容する。
【0103】
ペダルロータ85がアクセル開方向へ回動するとき、第1はす歯89および第2はす歯90は、第1係合斜面891と第1被係合斜面901とが当接しつつ噛み合う。第1被係合斜面901は、ペダルロータ85の回動角が増すほど第1ロータ88がペダルロータ85から離間するように第1係合斜面891に対し滑る。これにより、第2はす歯90は、ペダルロータ85の回動角が増すほど大きい力で第1ロータ88をカバー75側に押し付ける。
【0104】
第1摩擦部材91は、第1ロータ88の筒部881とカバー75との間で環状に形成され、例えばカバー75に対し相対回転不能に設けられる。第1摩擦部材91は、第2はす歯90により第1ロータ88がカバー75側に押し付けられるとき第1ロータ88とカバー75とに挟圧され、第1ロータ88と摩擦係合する。このときの第1摩擦部材91と第1ロータ88との摩擦力は、第1ロータ88の回転抵抗となる。この回転抵抗は、第1ロータ88に係合するペダルロータ85、および、ペダルロータ85に連動する第2シャフト80やアクセルペダル81に伝達される。第1摩擦部材91は、第2はす歯90から第1ロータ88に作用するカバー75側への押付力が大きいほど増大する摩擦抵抗トルクを第1ロータ88に与える。
【0105】
第2踏力ヒステリシス機構92は、第2ロータ93、第1はす歯94、第2はす歯95および第2摩擦部材96から構成される。
第2ロータ93は、ペダルロータ85および第1ロータ88の外側に配置される筒部931と、ペダルロータ85と第2ケース74の底部742との間に配置され、筒部931のうち底部742側の端部を塞ぐ底部932とを有するカップ状に形成される。第2ロータ93は、第2シャフト80およびペダルロータ85に対し相対回動可能、且つ、第2摩擦部材96に対し接近および離間可能に設けられる。
【0106】
第1はす歯94は、ペダルロータ85のうち第2ロータ93との対向壁に、アクセル閉方向側ほど第2ロータ93側に突き出すようにペダルロータ85に一体に形成される。第1はす歯94は周方向で等間隔に複数形成される。第4実施形態では例えば6個形成される。第1はす歯94は、アクセル閉方向へ向かうほど第2ロータ93に接近する第1係合斜面941を有する。
【0107】
第2はす歯95は、第2ロータ93のうちペダルロータ85との対向壁に、アクセル開方向側ほどペダルロータ85側に突き出すように第2ロータ93に一体に形成される。第2はす歯95は周方向で等間隔に複数形成される。第4実施形態では例えば6個形成される。第2はす歯95は、アクセル開方向へ向かうほどペダルロータ85に接近する第1被係合斜面951を有する。第1被係合斜面951は、ペダルロータ85がアクセル開方向へ回動するとき第1はす歯94の第1係合斜面941と係合可能である。
【0108】
第2はす歯95は、ペダルロータ85がアクセル閉方向へ回動するとき、第2ロータ93の回動位置に拘わらず第1はす歯94と干渉することなしにペダルロータ85がアクセル全閉位置に回動可能に形成される。具体的には、周方向において隣り合う一対の第2はす歯95がなす角度は、ペダルロータ85のアクセル全閉位置からアクセル全開位置までの回動角度よりも大きく設定される。つまり、第1はす歯94と第2はす歯95との間に形成される周方向のクリアランスは、ペダルロータ85のアクセル全閉位置からアクセル全開位置までの回動を許容する。
【0109】
ペダルロータ85がアクセル開方向へ回動するとき、第1はす歯94および第2はす歯95は、第1係合斜面941と第1被係合斜面951とが当接しつつ噛み合う。第1被係合斜面951は、ペダルロータ85の回動角が増すほど第2ロータ93がペダルロータ85から離間するように第1係合斜面941に対し滑る。これにより、第2はす歯95は、ペダルロータ85の回動角が増すほど大きい力で第2ロータ93を第2ケース74の底部932側に押し付ける。
【0110】
第2摩擦部材96は、第2ロータ93の筒部931と第2ケース74の底部932との間で環状に形成され、例えば第2ケース74に対し相対回転不能に設けられる。第2摩擦部材96は、第2はす歯95により第2ロータ93が第2ケース74の底部932側に押し付けられるとき第2ロータ93と第2ケース74とに挟圧され、第2ロータ93と摩擦係合する。このときの第2摩擦部材96と第2ロータ93との摩擦力は、第2ロータ93の回転抵抗となる。この回転抵抗は、第2ロータ93に係合するペダルロータ85、およびペダルロータ85に連動する第2シャフト80やアクセルペダル81に伝達される。第2摩擦部材96は、第2はす歯95から第2ロータ93に作用する第2ケース74側への押付力が大きいほど増大する摩擦抵抗トルクを第2ロータ93に与える。
【0111】
付勢手段97は、「第1付勢手段」としての第1スプリング98および第2スプリング99と、「第2付勢手段」としての第3スプリング100とから構成される。
第1スプリング98は、第2シャフト80の外側、及び、第1ロータ88の筒部881の内側に配置されるねじりばねである。第1スプリング98の一端は第1ロータ88の底部882に係止され、第1スプリング98の他端は第1摩擦部材91に係止される。第1スプリング98は、第1ロータ88をアクセル閉方向へ付勢する。第1スプリング98から第1ロータ88に作用する付勢力は、第1ロータ88の回動角が大きいほど増大する。また、第1スプリング98から第1ロータ88に作用する付勢力は、第1はす歯89および第2はす歯90を経由してペダルロータ85に作用する。
【0112】
第2スプリング99は、第1ロータ88およびペダルロータ85の外側、及び、第2ロータ93の筒部931の内側に配置されるねじりばねである。第2スプリング99の一端は第2ロータ93の底部932に係止され、第2スプリング99の他端はカバー75に係止される。第2スプリング99は、第2ロータ93をアクセル閉方向へ付勢する。第2スプリング99から第2ロータ93に作用する付勢力は、第2ロータ93の回動角が大きいほど増大する。また、第2スプリング99から第2ロータ93に作用する付勢力は、第1はす歯94および第2はす歯95を経由してペダルロータ85に作用する。
【0113】
第3スプリング100は、アクセルペダル81のペダルロッド811と支持部材71の軸支持部723との間で第1シャフト79の外側に配置されるねじりばねである。第3スプリング100の一端はペダルロッド811に係止され、第3スプリング100の他端は軸支持部723に係止される。第3スプリング100は、アクセルペダル81をアクセル閉方向へ付勢する。第3スプリング100からアクセルペダル81に作用する付勢力は、アクセルペダル81の回動角が大きいほど増大する。第3スプリング100の付勢力は、アクセルペダル81の回動位置に拘わらずアクセルペダル81およびそれに連動する第2シャフト80等の部材をアクセル全閉位置に復帰可能に設定される。
【0114】
次に、アクセル装置70の作動について説明する。
アクセルペダル81が踏み込まれると、第2シャフト80は、アクセルペダル81に加わる踏力に応じてアクセル開方向へ回動する。アクセルペダル81の踏み込みを維持するには、第1スプリング98、第2スプリング99および第3スプリング100の付勢力によるトルクと、第1摩擦部材91および第2摩擦部材96の摩擦力による摩擦抵抗トルクとの差よりも大きいトルクを生み出す踏力を加えればよい。第1摩擦部材91および第2摩擦部材96の摩擦力による摩擦抵抗トルクは、アクセルペダル81の踏み込みを維持するときにはペダルロータ85および第2シャフト80のアクセル閉方向への回動を抑制するように作用する。アクセル装置70は、第1実施形態のアクセル装置1と同様に図6に示すような踏力特性をもつ。
【0115】
ここで、例えば第1ロータ88と第1摩擦部材91との間または第2ロータ93と第2摩擦部材96との間に異物が噛み込む、或いは、環境変化などにより第1摩擦部材91および第2摩擦部材96の摩擦力が増加する等によって、第1ロータ88および第2ロータ93が回動不能となる場合を考える。このような場合には、第1スプリング98および第2スプリング99の付勢力はペダルロータ85に作用しない。しかし、第3スプリング100の付勢力はペダルロータ85に作用する。
【0116】
以上説明したように、第4実施形態のアクセル装置70では、第1ロータ88および第2ロータ93に与えられる摩擦抵抗トルクは、アクセルペダル81の踏み込みが解除されるときペダルロータ85の回動角に対応するアクセル開度を維持するように作用する。これにより、アクセルペダル81の踏み込みを所望の位置で維持するときやアクセルペダル81の踏み込みを徐々に戻すとき等に踏力が小さくて済む。そのため、操作者の労力が減る。
【0117】
また、アクセル装置70では、付勢手段97は、第1ロータ88および第2ロータ93をアクセル閉方向へ付勢する第1スプリング98および第2スプリング99とは別に、アクセルペダル81をアクセル閉方向へ付勢する第3スプリング100を有する。ペダルロータ85は、アクセル閉方向へ回動するとき、第1ロータ88および第2ロータ93の回動位置に拘わらず第1ロータ88および第2ロータ93と干渉することなしにアクセル全閉位置まで回動可能に構成される。具体的には、周方向において隣り合う一対の第2はす歯90がなす角度は、ペダルロータ85のアクセル全閉位置からアクセル全開位置までの回動角度よりも大きく設定される。また、周方向において隣り合う一対の第2はす歯95がなす角度は、ペダルロータ85のアクセル全閉位置からアクセル全開位置までの回動角度よりも大きく設定される。
【0118】
これにより、環境変化などにより第1摩擦部材91および第2摩擦部材96の摩擦力が増加し第1ロータ88および第2ロータ93に作用する摩擦抵抗トルクが増加する、或いは、第1摩擦部材91と第1ロータ88との間や第2摩擦部材96と第2ロータ93との間に異物が噛み込む等によって、第1ロータ88および第2ロータ93が固着し、第1スプリング98および第2スプリング99の付勢力がペダルロータ85に作用しなくなる場合であっても、アクセルペダル81は、第3スプリング100の付勢力を受けてアクセル全閉位置に復帰可能である。つまり、アクセルペダル81は、踏込解除時に第1ロータ88および第2ロータ93の回転停止位置に拘わらずアクセル全閉位置に復帰可能である。
【0119】
また、第4実施形態では、第1スプリング98、第2スプリング99および第3スプリング100のうち二つが折損した場合、残りの一つでアクセルペダル81および第2シャフト80をアクセル全閉位置に戻すことができる。
また、第4実施形態では、第3スプリング100は、アクセルペダル81およびそれに連動する第2シャフト80等の部材をアクセル全閉位置に戻す付勢力を発生するので、第1スプリング98および第2スプリング99の付勢力がペダルロータ85に全く作用しない場合にアクセルペダル81をアクセル全閉位置に確実に戻すことができる。
【0120】
また、第4実施形態では、全閉ストッパ86は、支持部材71の第2収容室77に収容される。そのため、全閉ストッパ86とカバー75の全閉当接部753との間に異物が噛み込むことを抑制することができる。
また、第4実施形態では、アクセルペダル81は、ペダルロータ85に対し第2シャフト80の軸方向へオフセットされ、第2収容室77外で第2シャフト80の一端にリンク機構82を介して接続される。この構成では、カバー75や第2ケース74に開口部が形成されない。そのため、アクセルペダル81の回動位置に拘わらず、ペダルロータ85等を収容する第2収容室77内に異物が入ることを抑制することができる。したがって、全閉ストッパ86とカバー75の全閉当接部753との間に異物が噛み込むことを一層抑制することができる。
【0121】
また、第4実施形態では、全閉ストッパ86は、第2収容室77内上方に配置される。第1摩擦部材91や第2摩擦部材96の摩耗粉などは第2収容室77内の下方に集まるので、第2収容室77内上方に位置する全閉ストッパ86とカバー75の全閉当接部753との間に摩耗粉等が噛み込むことを抑制することができる。
さらに、第4実施形態では、全閉ストッパ86は、カバー75の全閉当接部753が有する鉛直な壁に当接する。そのため、万が一、摩耗粉等が第2収容室77内上方に舞い上がっても全閉当接部753に付着することなく第2収容室77内の下方に落下する。したがって、全閉ストッパ86とカバー75の全閉当接部753との間に摩耗粉等が噛み込むことを一層抑制することができる。
【0122】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、全閉ストッパが支持部材に当接する回動位置からアクセルペダルがアクセル開方向へ所定角度回動する回動位置までの間を、ペダル踏込を検出しない不感帯としてもよい。そして、全閉ストッパが支持部材に当接する回動位置からアクセルペダルがアクセル開方向へ所定角度回動する回動位置を、制御上のアクセル全閉位置に設定してもよい。
【0123】
また、本発明の他の実施形態では、第1ロータと支持部材との間、および、第2ロータと支持部材との間に摩擦部材が設けられなくてもよい。これにより、第1ロータと支持部材とが直接摩擦係合してもよく、また、第2ロータと支持部材とが直接摩擦係合してもよい。
【0124】
また、本発明の他の実施形態では、第1付勢手段および第2付勢手段は、コイルばね、板ばね及びねじりばね以外の付勢部材から構成されてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、第2付勢手段は、複数の付勢部材で構成されてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、第2付勢手段は、第1シャフト、第2シャフト、または、アクセルペダルと第2シャフトとを連結するリンク機構の構成部材をアクセル閉方向へ付勢してもよい。
【0125】
また、本発明の他の実施形態では、回転位置センサは、必ずしも磁石およびホール素子を用いる必要はない。シャフトの回動位置を検出可能であれば、他の公知の回転位置センサを用いてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、第4実施形態のリンク機構82に代えて、他の公知のリンク機構を用いてもよい。
【0126】
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0127】
1、20、30、40、50、60、70・・・アクセル装置
10、31、51、71・・・支持部材
11、81・・・アクセルペダル
12、83・・・回転位置センサ(回転角検出手段)
13、21、33、41、54、61、85・・・ペダルロータ
14、88・・・第1ロータ
15、93・・・第2ロータ
23、43、56、63、100、183・・・第3スプリング(第2付勢手段)
79、111・・・第1シャフト
80・・・第2シャフト
89、94、161、171・・・第1はす歯
90、95、163、173・・・第2はす歯
98、181・・・第1スプリング(第1付勢手段)
99、182・・・第2スプリング(第1付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取付可能な支持部材と、
前記支持部材に回動可能に支持される第1シャフトと、
前記第1シャフトに一体に設けられ、踏込量に応じて前記第1シャフトを回動可能なアクセルペダルと、
前記支持部材に対する前記第1シャフトの相対回転角を検出する回転角検出手段と、
前記第1シャフトに一体に設けられるペダルロータと、
前記ペダルロータの軸方向両側に設けられ、前記ペダルロータに対し相対回動可能なロータと、
アクセル閉方向側ほど前記両ロータ側に突き出すように前記ペダルロータに一体に設けられる第1はす歯と、
アクセル開方向側ほど前記ペダルロータ側に突き出すように前記両ロータに一体に設けられ、前記ペダルロータがアクセル開方向へ回動するとき前記第1はす歯と係合し前記両ロータを前記支持部材側に押し付け、前記ペダルロータがアクセル閉方向へ回動するとき前記第1はす歯と干渉することなしに、アクセル全閉位置に前記ペダルロータが回動可能に形成される第2はす歯と、
前記両ロータをアクセル閉方向へ付勢する第1付勢手段と、
前記アクセルペダル、前記第1シャフトまたは前記ペダルロータをアクセル閉方向へ付勢する第2付勢手段と、
を備えることを特徴とするアクセル装置。
【請求項2】
前記第1付勢手段は、前記両ロータの一方を付勢する第1スプリングと、前記両ロータの他方を付勢する第2スプリングとから構成されることを特徴とする請求項1に記載のアクセル装置。
【請求項3】
前記ロータは、径外方向へ延び前記第1付勢手段に付勢されるばね係止部を形成し、
前記ペダルロータは、前記ロータの前記ばね係止部に対しアクセル閉方向に位置するばね受け部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のアクセル装置。
【請求項4】
前記ペダルロータは、前記第1シャフトの外壁に嵌合するボスと、前記ボスから径外方向へ延びるレバーと、前記レバーに一体に形成され、前記支持部材に当接することで前記第1シャフトのアクセル閉方向への回動を規制するストッパと、を形成し、
前記支持部材は、前記ストッパを収容するハウジング部を有することを特徴とする請求項1、2または3に記載のアクセル装置。
【請求項5】
前記第1シャフトの一端は、前記支持部材の前記ハウジング部外へ延び、
前記アクセルペダルは、前記支持部材の前記ハウジング部外で前記第1シャフトの前記一端に連結されることを特徴とする請求項4に記載のアクセル装置。
【請求項6】
前記ストッパは、前記支持部材の前記ハウジング部内上方に位置し、前記支持部材の前記ハウジング部が形成する略鉛直な内壁に対向することを特徴とする請求項4または5に記載のアクセル装置。
【請求項7】
前記レバーは、前記第1シャフトに対し前記アクセルペダルとは反対側に延び、
前記第2付勢手段は、前記レバーのうち前記ストッパと前記第1シャフトとの中間部を付勢することを特徴とする請求項4、5または6に記載のアクセル装置。
【請求項8】
前記支持部材は、前記ロータの前記支持部材側への押付力の受け部に金属製の補強部材が埋め込まれた樹脂成形品であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項9】
車体に取付可能な支持部材と、
前記支持部材に回動可能に支持される第1シャフトと、
前記第1シャフトと軸平行に設けられ、前記支持部材に回動可能に支持される第2シャフトと、
前記第1シャフトに一体に設けられ、踏込量に応じて前記第2シャフトを回動可能に前記第2シャフトに連結されるアクセルペダルと、
前記支持部材に対する前記第2シャフトの相対回転角を検出する回転角検出手段と、
前記第2シャフトに一体に設けられるペダルロータと、
前記ペダルロータの軸方向両側に設けられ、前記ペダルロータに対し相対回動可能なロータと、
アクセル閉方向側ほど前記両ロータ側に突き出すように前記ペダルロータに一体に設けられる第1はす歯と、
アクセル開方向側ほど前記ペダルロータ側に突き出すように前記両ロータに一体に設けられ、前記ペダルロータがアクセル開方向へ回動するとき前記第1はす歯と係合し前記両ロータを前記支持部材側に押し付け、前記ペダルロータがアクセル閉方向へ回動するとき前記第1はす歯と干渉することなしに、アクセル全閉位置に前記ペダルロータが回動可能に形成される第2はす歯と、
前記両ロータをアクセル閉方向へ付勢する第1付勢手段と、
前記アクセルペダル、前記第1シャフト、前記第2シャフトまたは前記ペダルロータをアクセル閉方向へ付勢する第2付勢手段と、
を備えることを特徴とするアクセル装置。
【請求項10】
前記第1付勢手段は、前記両ロータの一方を付勢する第1スプリングと、前記両ロータの他方を付勢する第2スプリングとから構成されることを特徴とする請求項9に記載のアクセル装置。
【請求項11】
前記第2シャフトに一体に設けられ、前記支持部材に当接することで前記第2シャフトのアクセル閉方向への回動を規制するストッパをさらに備え、
前記支持部材は、前記ストッパを収容するハウジング部を有することを特徴とする請求項9または10に記載のアクセル装置。
【請求項12】
前記第2シャフトの一端は、前記支持部材の前記ハウジング部外へ延び、
前記アクセルペダルは、前記支持部材の前記ハウジング外でリンク機構を介して前記第2シャフトの前記一端にトルク伝達可能に連結されることを特徴とする請求項11に記載のアクセル装置。
【請求項13】
前記ストッパは、前記支持部材の前記ハウジング部内上方に位置し、前記第2シャフトのアクセル閉方向への回動を規制するとき、前記支持部材の前記ハウジング部が形成する略鉛直な内壁に当接することを特徴とする請求項11または12に記載のアクセル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−6575(P2013−6575A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163089(P2011−163089)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】