説明

アクティブサスペンションシステムにおける負荷および除荷の安定化

一態様において、アクティブサスペンションシステムは比較的応答の遅い(空気アクチュエータのような)付勢力除去器と、比較的応答の早い(電磁アクチュエータのような)アクチュエータと、を含み、一体となって(トラックのシートまたは乗り物のキャビンのような)プラントをプラットフォームに対して懸架している。システムは負荷−除荷検出器(物理的または仮想の検出器であってもよい)も含み、プラントの負荷または除荷を検出してもよい。そのような負荷または除荷が検出された場合、システムは付勢力除去器を素早く(例えばできる限り素早く)応答させる一方で、応答の早いアクチュエータを制御して、付勢力除去器が応答可能となるのに先立って、(例えば応答の速いアクチュエータが全ての入手可能なエネルギを消費し続けるように)アクチュエータの動作のための入手可能なエネルギを維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はアクティブサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
「Active Suspending」と題された、2004年10月29日出願の米国特許出願シリアルNo.10/978,105号明細書に記載されたように、アクティブサスペンションシステムは、自動車、トラック、ボート、船および航空機のような乗り物に展開されており、(シート、プラットフォームおよび/またはキャビン等の)プラントを乗り物の水平軸に対してほぼ同一の垂直位置に維持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改良されたアクティブサスペンションシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、アクティブサスペンションシステムは比較的応答の遅い(空気アクチュエータのような)付勢力除去器と、比較的応答の早い(電磁アクチュエータのような)アクチュエータと、を含み、一体となってプラントをプラットフォームに対して懸架している。システムは負荷−除荷検出器(物理的または仮想の検出器であってもよい)を含み、プラントの負荷または除荷を検出してもよい。そのような負荷または除荷が検出された場合、システムは付勢力除去器を素早く(例えばできる限り素早く)応答させる一方で、応答の早いアクチュエータを制御して、付勢力除去器が応答可能となるのに先立って、(例えば応答の速いアクチュエータが全ての入手可能なエネルギを消費し続けるように)アクチュエータの動作のための入手可能なエネルギを維持するように構成されてもよい。
【0005】
別の態様において、アクティブサスペンションシステムは、動作可能にエネルギ源に接続された付勢力除去器とアクチュエータとを含んでいる。システムは、付勢力除去器とアクチュエータとによって乗り物に対して接続され且つ懸架されたプラントも含み、アクチュエータと付勢力除去器とは連帯して略垂直軸に沿ってプラントを乗り物に対して懸架している。システムはプラントの負荷または除加を検出する負荷−除荷検出器と、動作可能に負荷−除荷検出器と付勢力除去器とアクチュエータとに連結された制御システムと、も含んでいる。制御システムは、負荷−除荷検出器によって検出されたプラントの負荷または除荷に応答して、(i)負荷または除荷の結果として前記プラントに作用する反作用力に付勢力除去器を応答させ、且つ(ii)アクチュエータを制御して、付勢力除去器が前記力に反作用するように応答する間、エネルギ源から入手可能なエネルギを持続するように構成されている。
【0006】
実施形態は以下の1つ以上の特徴を含んでいてもよい。アクチュエータは電磁アクチュエータとすることが可能であり、付勢力除去器は、シリンダ内の圧縮空気の量を追加または減少するための1つ以上のバルブを制御することによって制御された可変容量空気シリンダであってよい。負荷−除荷検出器は、負荷/除荷事象を直接検出する(圧力スイッチのような)物理的検出器であってもよく、または負荷/除荷事象を間接的に検出する仮想検出器であってもよい。プラントは(トラックのシートのような)シート、キャビンまたは乗り物の他の要素であってもよい。
【0007】
コントローラは、プラントの負荷または除荷が検出されたときから、時間とともにアクチュエータに供給されるエネルギの放出割合を減少するように構成されてもよい。コントローラはエネルギの放出割合を減少し、コントローラは、負荷または除荷の結果として付勢力除去器がプラントに作用する反作用力に応答する前に貯蔵器内の入手可能なエネルギが完全に放出されるように構成されてもよい。
【0008】
別の態様において、付勢力除去器とアクチュエータとによって乗り物に対して接続され且つ懸架されたプラントを含アクティブサスペンションシステムの制御方法は、プラントの負荷または除荷が発生したことを示す、負荷−除荷検出器からの信号を受信するステップと、応答して、負荷または除荷の結果としてプラントに作用する反作用力に対して付勢力除去器を応答させ、付勢力除去器が反作用力に応答している間、アクチュエータを制御して、エネルギ源から入手可能なエネルギを維持するステップと、を含んでいる。
【0009】
実施形態は以下の1つ以上の特徴を含んでいてもよい。アクチュエータを制御してエネルギを維持することは、プラントの負荷または除荷が検出されたときから、時間とともにエネルギの放出割合を減少させるステップを含んでいる。その方法はプラントの位置を推測するステップと、プラントの推測された位置とプラントの実際の位置とを比較して、予測エラーを決定するステップと、プラントの負荷または除荷が少なくとも予測エラーの大きさに基づいて発生しているかどうかを決定するステップと、を含んでいてもよい。
【0010】
他の特徴および利点は明細書の記載および特許請求の範囲により明らかにされるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】アクティブサスペンションシステムのブロック線図である。
【図2】アクティブサスペンションシステムのための制御システムのブロック線図である。
【図3A】負荷または除荷の結果としての位置の変化、負荷された力および時間とともに消費されるエネルギを示した図である。
【図3B】負荷または除荷の結果としての位置の変化、負荷された力および時間とともに消費されるエネルギを示した図である。
【図4】アクティブサスペンションシステムのための制御システムのブロック線図である。
【図5】仮想負荷−除荷検出器のブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示されたように、アクティブサスペンションシステム10は電磁アクチュエータ12と付勢力除去器14とを含み、それらはプラットフォーム(図示略)上において協働してプラント16を懸架している。システム10は、コントローラ20も含み、そのコントローラは各種のセンサ(加速度計22および24、位置センサ26ならびに負荷−除荷検出器28を含む)からの情報を受信し、アクチュエータ12および付勢力除去器14の動作を制御して、プラント16をプラットフォームに対して大まかに均一な位置に維持している。一の実施において、システム10はトラックのキャビンに使用されており、そのキャビンでは、運転者のシートがプラントを構成し且つキャビンの床がプラットフォームを構成している。
【0013】
電磁アクチュエータ12は、電源30からコントローラを介して電力を受け取っている。コントローラ20はプラント加速度計22、プラットフォーム加速度計24および位置センサからの情報を使用し、アクチュエータに伝達されるアンプ25の出力電流を調節する制御信号40を発生している。
【0014】
電磁アクチュエータは、プラットフォームの垂直位置における突然の小さな変化に対して、非常に素早く応答することが可能である。例えば、システム10がトラックのシートを懸架するために使用されている場合、アクチュエータは、トラックが鋭い瘤を乗り越えたときに素早く応答して、シートを床上のおよそ均一な位置に維持する。しかしながら、この素早い応答のために、アクチュエータは短い持続時間を越えて高レベルの力を引き出すだろう。システム(例えばトラックのオルタネータまたはバッテリ)の電源30が適切な電力を供給することが不可能な場合、システム10にはエネルギ貯蔵器32が設けられてもよい。それは一そろいの蓄電器のようなものであり、そのような電力を供給するためのものである。
【0015】
付勢力除去器14は空気アクチュエータであり、付勢力除去器に圧縮空気を供給する1つ以上の流体ブリード弁21と、付勢力除去器から空気を放出する1つ以上の流体リリース弁23と、に接続されている。コントローラ20は流体ブリード弁21と流体リリース弁23とを制御して、付勢力除去器によって負荷される上向きの力を増加および減少させている。付勢力除去器は空圧装置であるので、付勢力除去器は電磁アクチュエータと同様の早さの応答を示さない。したがって、その内容が参照することによってここに組み込まれた、2004年10月29日出願の「Active Suspending」と題された米国特許出願No.10/978,105号明細書に記載されたように、付勢力除去器はプラント(例えばトラックのシートに着座する運転者の体重およびシート自身の重量など)の定荷重およびプラットフォームの低周波かく乱(それらはトラックが長い波型の瘤を乗り越えるときに発生する)に対抗するために使用されており、一方で、電磁アクチュエータは(トラックが鋭い瘤を乗り越えるときの)高周波かく乱に応答している。
【0016】
アクチュエータ(比較的速い)と付勢力除去器(比較的遅い)との異なった応答時間のために、アクチュエータは直ちに作動して、付勢力除去器が応答することができるまで負荷または除荷事象に対抗するだろう。例えば、トラックのシートの実施において、運転者がシートに着座したときに、アクチュエータは運転者の体重をオフセットする上向きの力に直ちに応答するだろう。アクチュエータはこの上向きの力を、付勢力除去器が応答して引き継ぐまで負荷し続けるだろう。それと同様に、運転者がシートから立ち上がったとき(除荷事象)、アクチュエータは下向きの力を負荷して、下向きの力が付勢力除去器によって負荷されるまで対抗するだろう。アクチュエータは、付勢力除去器が応答してアクチュエータと交代することができるまで下向きの力を負荷し続けるだろう。しかしながら、アクチュエータは、アクチュエータが上向きまたは下向きの力を負荷して負荷または除荷事象の影響に対抗するときに、多量の電流を引き出し、電流をエネルギ貯蔵器32(例えば図1に示されたエネルギ貯蔵器32)に素早く引き込む。アクチュエータのエネルギ貯蔵器が、付勢力除去器が応答/引き継ぐことが可能となる前に空である場合、アクチュエータは力を失い、シートは(負荷事象の場合)突然落下し、または(除荷事象の場合)突然上昇するだろう。これは潜在的に危険な(または少なくとも不愉快な)事象を生み出す。
【0017】
この問題を緩和するために、システム10には負荷−除荷検出器28が設けられており、それは負荷または除荷事象が発生したことをコントローラ20に示唆する。負荷−除荷検出器は、負荷検出器、荷重センサもしくは圧力センサのような物理的な検出器として実施され、またはソフトウェア内で仮想の検出器として実施されもよい。負荷または除荷事象の検出時において、コントローラ20は、付勢力除去器14に直ちに素早く応答させる。さらに、図1に示された実施を含んだいずれかの実施において、コントローラ20は、負荷または除荷事象の際のアクチュエータの(アクチュエータの通常の応答時間と比較した場合の)ゆっくりとした応答も構成してもよい。したがって、負荷−除荷検出器28はシステムに関する「トリップワイヤ(trip-wire)」として機能し、(例えば加速度計22もしくは24、または位置センサ26からの)他のセンサ信号および/またはコントローラ20がアクチュエータおよび/または付勢力除去器から受信するかもしれないフィードバック制御信号(図示略)を待つことなく、コントローラに直ちに応答させる。
【0018】
プラント16の負荷事象が負荷−除荷検出器28によって検出された場合、コントローラ20は直ちに全ての流体ブリード弁を全開にして、流体(例えば圧縮空気)を付勢力除去器に素早く満たす。それは、付勢力除去器が加えられた荷重によって負荷された下向きの力に対抗する上向きの力を発生するポイントに到達するまで行われる。さらに、コントローラ20はエネルギ貯蔵器内に貯蔵されたエネルギレベルEを監視し、エネルギ旅臓器32が漸進的に消耗するとき、漸進的にエネルギの放出量を(例えばアクチュエータに供給される電流の量を減少することによって)減少させる。それと同様に、除荷事象が負荷−除荷検出器28によって検出された場合、コントローラは全ての流体リリース弁を全開にして、流体を付勢力除去器から放出させる。これによって上向きの力が供給される一方で、荷重が発生する。コントローラ20は、エネルギ貯蔵器32が漸進的に消耗するとき、漸進的にエネルギの放出割合を減少させる。
【0019】
いずれかの実施において、コントローラは直接的にエネルギ源内に貯蔵されたエネルギを計測しなくてもよい。むしろ、コントローラは電源および/または貯蔵器の特性のモデルを使用して、入手可能な電気エネルギのレベルと放出割合とを予測してもよい。いずれかの実施において、付勢力除去器は十分に早い応答時間を有してもよく、エネルギを保存するために、コントローラがアクチュエータの応答時間を遅くする必要がないということを記しておく。
【0020】
流体ブリード弁と流体リリース弁とは、それらが負荷または除荷事象の検出の際に早く応答することが可能なように好適に設計されているが、動作の際に遭遇した低周波かく乱に適切に応答するように制御されることは不可能である。例えば、いずれかの実施において、いくつかのブリード弁および/またはリリース弁は並列に接続され、負荷または除荷の事象の際に(例えば直ちに全てのバルブが全開されることによって)早急に応答することを可能にしているが、流体の精密な注入または放出が可能である。代替的に、単一ブリード弁および/またはリリース弁が採用され、素早く応答して大容量の流体を通すことが可能であるが、精密に制御されることも可能である。
【0021】
図2に示されたように、電磁アクチュエータ40と付勢力除去器50とを制御するための制御システム40が図示されている。制御システム40は、アクチュエータ50の動作を制御する補正器42と、付勢力除去器54の動作を制御する制御ロジック44と、を含んでいる。補正器42と制御ロジック44とは、各々が、通常動作モード55A,55Bおよび負荷/除荷動作モード56A,56Bの動作の2つのモードを備えている。負荷/除荷検出器46は補正器42と制御ロジック44とを2つの動作モードの間で切り替える。先に示されたように、負荷/除荷検出器46は、物理的なセンサとして、または(例えば図4および5に示された仮想負荷/除荷検出器等の)仮想の検出器として実施されてもよい。
【0022】
通常動作において、補正器42と制御ロジック44とは協働してプラント16を懸架し、第1の所定のシステムの能力基準が達成されることが可能である。一の実施において、補正器42と制御ロジック44とは協働してプラント16を懸架し、所定の均一な位置を維持する一方で、プラント16が受ける加速度を最小化する。所定の等価位置はアクチュエータ50のストロークの中点に対応していてもよい。通常動作におけるアクチュエータと付勢力除荷器との制御は、2004年10月29日出願の「Active Suspending」と題された米国特許出願No.10/978,105号明細書により詳細に記載されている。
【0023】
負荷/除荷検出器が負荷事象または除荷事象を検出した場合、負荷/除荷検出器は補正器42と制御ロジック44とを直ちに負荷/除荷モード56A,56Bに切り替える。このモードにおいて、補正器は電気的エネルギがエネルギ貯蔵器内において入手可能であるということを示す信号(51)を受け取り、およびアクチュエータに供給される電流のレベルがいずれ減少し、エネルギ貯蔵器内のエネルギを保護して、アクチュエータが力を発揮することが可能な時間を延ばす。同時に、制御ロジック42は、付勢力除去器54が負荷/除荷事象に早急に応答して、アクチュエータを解放する。付勢力除去器が一旦応答して負荷/除荷事象に対して反対に作用すると(例えばプラントが均一な位置近傍に復元して特定の閾値よりも低い速度を有する場合)、システムは動作の通常モードに切り替わる。
【0024】
一の実施において、システムが負荷/除荷モードにおいて作動するとき、補正器42および/または制御ロジック44はプラント16を懸架し、第2の所定のシステム能力基準が満たされることが可能である。一実施例において、PIDコントローラは負荷/除荷モードにおいて実行される。
【0025】
負荷事象および除荷事象の際における図1および2に示されたようなシステムの能力は、それぞれ図3Aおよび3Bに示されている。図3Aのグラフに示されたように、負荷事象が時間Taにおいて発生したとき、プラント16はわずかに(下向きの方向に)位置を変化するが、プラントの垂直移動(Pn)の下限に接近しない。中段のグラフに示されたように、コントローラは時間Taにおいて流体ブリード弁を開放し、付勢力除去器の上向きのバネ力を急速に増加させて、時間Tbにおいて負荷事象に完全に応答している。この例において、付勢力除去器の応答は線形である。付勢力除去器の遷移が時間Tbにおいて負荷事象の下向きの力に反作用するので、シートの位置は垂直移動の上限と下限との間(それぞれPuiとPnに対応)の均一な位置にわずかに上昇する。また、3段目のグラフに示されたように、コントローラは時間Taにおいて上向きの力を伴って素早く応答するが、その後アクチュエータが付勢力除去器の応答時間を越えることによって負荷された上向きの力を素早く減少させて、アクチュエータは時間Tbにおいて“待機”状態に戻る。コントローラは、エネルギ貯蔵器(例えば図1の要素32)内において入手可能なエネルギの機能としてアクチュエータによって負荷される上向きの力を減少させる。この例において、コントローラは入手可能なエネルギを監視し且つアクチュエータを制御しており、エネルギはアクチュエータによって消費され、その速度は、エネルギ貯蔵器が、付勢力除去器が応答するときとほぼ同時に消耗する(これは図3Aの下段のグラフに示されている)。したがって、電源が消耗するので、アクチュエータの力は緩やかに減少し、一方でシート位置は均一な位置に向かって緩和される。負荷事象および除荷事象の間のアクチュエータの力はもはやバネ力と質量との間の差異ではなく、幾分小さく、キャップ内のエネルギ(電圧)に依存している。
【0026】
それと同様に、図3Bの上段のグラフに示されたように、時間Taにおいて除荷事象が発生した場合、プラントは(上向きの方向における)わずかな位置変化を受ける。これまでのように、この位置変化はプラントの垂直移動(Pui)の上限に接近しない。中段のグラフに示されたように、コントローラは時間Taにおいて流体リリース弁を開放し、付勢力除去器の上向きのバネ力を早急に減少して、時間Tbにおいて除荷事象に完全に応答している。付勢力除去器の遷移が時間Tbにおいて除荷事象に反作用するので、シートの位置は、垂直移動の上限と下限との間(それぞれPuiとPnとに相当)の均一な位置にわずかに下降する。下段のグラフに示されたように、コントローラはアクチュエータを制御して時間Taにおいて下向きの力を伴って素早く応答するが、その後アクチュエータが付勢力除去器の感応時間を越えることによって負荷された下向きの力を素早く減少させて、アクチュエータは時間Tbにおいて“待機”状態に戻る。これまでのように、コントローラは入手可能なエネルギの量の機能として、アクチュエータによって負荷された下向きの力を徐々に減少させる。上述の通り、負荷−除荷検出器は、プラント表面の圧力スイッチのような物理的な検出器として、またはソフトウェアの“仮想の”検出器として実行されてもよい。図4は仮想の負荷−除荷検出器の例を示している。
【0027】
図4に示されたように、仮想の負荷−除荷検出器60はアクチュエータ(信号73)および付勢力除去器(信号71)を制御するために使用される信号を受信し、1つまたは双方の信号は現在位置(信号77)およびプラントの加速度(信号79)およびいずれかの実施においてはプラットフォームの加速度(信号81)を示している。一の実施において、仮想の負荷−除荷検出器は信号71、73ならびに現在位置77およびプラント68の加速度信号79の1つまたは双方の信号を監視し、現在の垂直位置および/またはプラントの現在の任意の垂直移動が、制御信号71、73の現在の状態に応じて、プラントのモデルによって想定された垂直位置および/または垂直移動と矛盾しているかどうかを決定する。言い換えると、仮想の負荷−除荷検出器60は、例えば、プラント68が想定されていない法則において垂直位置にあるかまたは垂直移動しており、アクチュエータ66と付勢力除去器70とが作動される結果が発生することを監視している。アクチュエータ66と付勢力除去器70との現在の動作の観点から想定されるものと矛盾したプラント68の垂直位置および垂直移動は、アクチュエータ66および/または付勢力除去器70が制御信号71、73を介してプラント68に負荷している力に加えて、外力がプラント68に作用していることを示す傾向がある。
【0028】
この矛盾は負荷事象または除荷事象に起因してもしていなくてもよく、仮想の負荷−除荷検出器60は、他の理由のために引き起こされた外力からの負荷事象または除荷事象から引き起こされたそのような矛盾に起因した外力の間で区別するように試みる。例えば、いずれかの実施形態において、垂直負荷−除荷検出器60は、外力がシートの移動と反対の向きまたは同一の向きを有するかどうかを決定している。(例えば、シートの移動と逆向き且つ所定の閾値よりも大きい強度を備えた)抵抗するような力が存在している位置において、除荷事象または負荷事象ではなく、機械的不調を暗示している摩擦力の発生が仮想の負荷−除荷検出器によって検出されているかもしれないと仮定される。シートの移動と同一の向きの(所定の閾値よりも大きい強度の)外力が存在する位置において、仮想の負荷−除荷検出器60は負荷事象または除荷事象が発生することを推測してもよい。
【0029】
仮想の負荷−除荷検出器60が除荷事象が存在すると決定した場合、コントローラは直ちに応答して、付勢力除去器を除荷事象に反作用させる。いずれかの実施においては、アクチュエータによって引き出される電力をアクティブに管理し、アクチュエータが長時間にわたって力を供給することを可能とするように、電源を急速に消費しないようにする。
【0030】
通常動作状態の下、アクチュエータに作用する力のかく乱(例えば摩擦)は小さい範囲内で変化する。しかしながら、負荷/除荷の事象において、荷重の変化は大きな力のかく乱として現れ、その方向はシステムの移動方向に関係している。この特徴は、我々が事象のサインとして位置信号とともに力のかく乱を使用して、非常に素早く負荷/除荷の発生を検出することを可能にしている。
【0031】
図5に示されたように、仮想の負荷/除荷検出器80の別の実施例は、プラントモデル82と適合判断アルゴリズム86とを含んでいる。プラントモデル82は、想定されたサスペンション位置を計算するための入力として、操作された力と床の加速度とを利用している。本願との関連で、サスペンション位置はプラントと床との間の相対位置として定義されている。想定されたサスペンション位置は、その後測定されたサスペンション位置と比較され、予測エラーを発生する。予測エラーは適合判断アルゴリズム86に提供され、プラントとモータの加速度とに沿って、予測エラーの原因となった操作された力のかく乱を推測する。測定されたサスペンション位置と速度とを伴った操作された力のかく乱の推測は検出ロジック92を通り、そこで信号のサインおよび境界がかく乱の隔離基準の設定に対してチェックされる。一の実施において、検出ロジック92は、操作された力の推測が測定されたプラント速度と同一の方向の所定の閾値よりも大きい強度を有しているかどうかを検出する。検出ロジック92は負荷または除荷事象が発生したことを示すだろう。
【0032】
本発明の多数の実施形態が記載された。それでもなお、多様な改良が本発明の思想および範囲から逸脱することなく行われてもよいことが理解されるだろう。例えば、前術の実施例は初期的に可変空気バネと並列した電磁アクチュエータを使用しており、システムは任意の2つのタイプのアクチュエータを使用して実施されてもよい。それらのアクチュエータは異なった応答時間を有し、高周波事象に素早く応答する“ファスト”アクチュエータと、DCまたは低周波事象に応答する”スロー“アクチュエータ(または付勢力除去器)と、である。それと同様に、図は単一ブロック(例えばコントローラ)としてのある要素を図示しており、実際のシステムは別個の補正器内にこれらの要素を実行してもよい。例えば、図1に示されたシステムコントローラは、(アクチュエータを制御する第1のものおよび付勢力除去器を制御する第2のものの)別個のプロセッサを使用した2つのコントローラとして実行されてもよい。最後に、これまでに提供された実施例はトラックのシートであるプラントを主として対象としている。しかしながら、乗用車、カーゴトラックの床、軍事車両の武器のプラットフォーム、または海上容器内の部屋全体のような他のプラントが本開示の範囲内において可能である。したがって、他の実施形態は以下の特許請求の範囲内である。
【符号の説明】
【0033】
10 ・・・アクティブサスペンションシステム
12、50 ・・・電磁アクチュエータ
14、54 ・・・付勢力除去器
16 ・・・プラント
20 ・・・コントローラ
21 ・・・流体ブリード弁
22 ・・・プラント加速度計
23 ・・・流体リリース弁
24 ・・・プラットフォーム加速度計
25 ・・・アンプ
26 ・・・位置センサ
28 ・・・負荷−除荷検出器
30 ・・・電源
32 ・・・エネルギ貯蔵器
40 ・・・制御システム
42 ・・・補正器
44 ・・・制御ロジック
60、80 ・・・仮想の負荷−除荷検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付勢力除去器と、
動作可能にエネルギ源に連結されるように形成されたアクチュエータと、
前記付勢力除去器と前記アクチュエータとによって乗り物に接続され且つ懸架されたプラントと、
該プラントの負荷または除加を検出する負荷−除荷検出器と、
動作可能に該負荷−除荷検出器と前記付勢力除去器と前記アクチュエータとに連結された制御システムと、を具備し、
前記アクチュエータと前記付勢力除去器とは連帯して略垂直軸に沿って前記プラントを懸架したアクティブサスペンションシステムであって、
前記制御システムは、前記負荷−除荷検出器によって検出された前記プラントの負荷または除荷に応答して、負荷または除荷の結果として前記プラントに作用する反作用力に前記付勢力除去器を応答させ、且つ
前記アクチュエータを制御して、前記付勢力除去器が前記力に反作用するように応答する間、前記エネルギ源から入手可能なエネルギを持続していることを特徴とするアクティブサスペンションシステム。
【請求項2】
前記制御システムは、前記プラントの負荷または除荷が検出されたときから、時間とともに前記アクチュエータに供給されるエネルギの放出割合を減少することを特徴とする請求項1に記載のアクティブサスペンションシステム。
【請求項3】
前記制御システムはエネルギの放出割合を減少し、前記エネルギ源内の入手可能なエネルギが、前記負荷または除荷の結果として前記付勢力除去器が前記プラントに作用する反作用力に応答する前に完全に放出されることを防止していることを特徴とする請求項1または2に記載のアクティブサスペンションシステム。
【請求項4】
前記付勢力除去器は可変容量流体シリンダを具備していることを特徴とする請求項1に記載のアクティブサスペンションシステム。
【請求項5】
前記付勢力除去器は可変容量エアシリンダを具備していることを特徴とする請求項1に記載のアクティブサスペンションシステム。
【請求項6】
前記負荷−除荷検出器は前記プラントの表面に配置された圧力スイッチを具備していることを特徴とする請求項1に記載のアクティブサスペンションシステム。
【請求項7】
前記負荷−除荷検出器は仮想検出器を具備していることを特徴とする請求項1に記載のアクティブサスペンションシステム。
【請求項8】
前記プラントは乗り物のシートを具備していることを特徴とする請求項1に記載のアクティブサスペンションシステム。
【請求項9】
付勢力除去器とアクチュエータとによって乗り物に対して接続され且つ懸架されたプラントを含んだアクティブサスペンションシステムの制御方法であって、該制御方法は、
前記プラントの負荷または除荷が発生したことを示す、負荷−除荷検出器からの信号を受信するステップと、
前記負荷−除荷検出器によって検出された前記プラントの負荷または除荷に応答して、前記負荷または除荷の結果としてプラントに作用する反作用力に対して前記付勢力除去器を応答させ、前記付勢力除去器が反作用力に応答している間、前記アクチュエータを制御して、エネルギ源から入手可能なエネルギを持続するステップと、
を含んでいることを特徴とする制御方法。
【請求項10】
前記アクチュエータを制御してエネルギを維持する方法であって、
前記プラントの負荷または除荷が検出されたときから、時間とともに前記エネルギの放出割合を減少させるステップを含んでいることを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記アクチュエータを制御してエネルギを維持する方法であって、
エネルギの放出割合を減少させて、前記付勢力除去器が負荷または除荷の結果として前記プラントに作用する反作用力に応答する前に、前記エネルギ源内の入手可能なエネルギが完全に放出されることを防止するステップを含んでいることを特徴とする請求項9または10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記プラントの位置を推測するステップと、
前記プラントの推測された位置と前記プラントの実際の位置とを比較して、予測エラーを決定するステップと、
前記プラントの負荷または除荷が少なくとも前記予測エラーの大きさに基づいて発生しているかどうかを決定するステップと、
をさらに含んでいることを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
【請求項13】
付勢力除去器と、
動作可能に電気エネルギ源に連結された電磁アクチュエータと、
前記付勢力除去器と前記アクチュエータとによって乗り物に対して接続され且つ懸架されたシートと、
該シートの負荷または除加を検出する負荷−除荷検出器と、
該負荷−除荷検出器と前記付勢力除去器と前記アクチュエータとに動作可能に連結された制御システムと、を具備し、
前記アクチュエータと前記付勢力除去器とは連帯して略垂直軸に関して前記プラントの移動に寄与した乗り物用シートシステムであって、
前記制御システムは、前記負荷−除荷検出器によって検出された前記シートの負荷または除荷に応答して、付勢力除去器を負荷または除荷の結果として前記シートに作用する反作用力に応答させ、且つ
前記アクチュエータを制御して、前記付勢力除去器が前記力に反作用するように応答する間、前記エネルギ源から入手可能なエネルギを持続していることを特徴とする乗り物用シートシステム。
【請求項14】
前記付勢力除去器は可変容量流体シリンダを具備していることを特徴とする請求項13に記載の乗り物用シートシステム。
【請求項15】
前記負荷−除荷検出器は物理的検出器を具備していることを特徴とする請求項13に記載の乗り物用シートシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−516333(P2011−516333A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503000(P2011−503000)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/033654
【国際公開番号】WO2009/123792
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(591009509)ボーズ・コーポレーション (121)
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
【Fターム(参考)】