説明

アクリル系粘着テープ及びその製造方法

【課題】紫外線照射により光硬化したアクリル系粘着層を有するアクリル系粘着テープに対し、架橋剤非存在下でも良好な曲面接着性や定荷重剥離特性を付与する。
【解決手段】剥離フィルム基材上にアクリル系粘着層が形成されてなるアクリル系粘着テープの当該アクリル系粘着層は、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が700000〜3000000となるアクリル系ポリマーAと、重量平均分子量が350000〜650000となるアクリル系ポリマーBと、更に重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーとを含有し、且つ2.4〜4.4の分子量分布を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射による光硬化により形成されたアクリル系粘着層を有するアクリル系粘着テープ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、電気製品、建築物等において、構造材同士の接合、あるいは構造材への部品の接合の際に、紫外線照射により硬化されたアクリル系粘着層を有するアクリル系粘着テープが広く使用されている。このようなアクリル系粘着テープの製造に関し、アクリル系モノマー、熱重合又は光重合された好ましい重量平均分子量が100000〜200000のアクリル酸エステル系ポリマー、重量平均分子量20000以下の粘着性付与発現のための高Tg低分子量ポリマー、光重合開始剤及び架橋剤とを含有する無溶媒型樹脂組成物を、支持体に塗布して塗布膜を形成し、その塗布膜を光重合させることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−49130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アクリル系粘着層を有するアクリル系粘着テープに対しては、さまざまな被着体の材質や表面状態の相違に対応できるようにするために、UV硬化による当該アクリル系粘着層の形成の際に、曲面接着性や定荷重剥離特性の低下を招き兼ねない架橋剤非存在下でUV硬化を行うことも想定されるが、そのような場合であっても良好な曲面接着性や定荷重剥離特性を示すことが要請されている。
【0005】
しかし、特許文献1のアクリル系粘着テープの場合、常に架橋剤存在下でUV硬化(紫外線硬化)が行われており、架橋剤非存在下でのUV硬化は全く想定されていない。このため、アクリル系粘着テープに対し、架橋剤非存在下でも良好な曲面接着性や定荷重剥離特性を示すようにするために、どのような条件で光硬化させるべきか、ということを明らかにすることが求められている。
【0006】
本発明の目的は、上述した従来の問題を解決しようとするものであり、紫外線照射により光硬化したアクリル系粘着層を有するアクリル系粘着テープに対し、架橋剤非存在下でも良好な曲面接着性や定荷重剥離特性を示すようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、アクリル系粘着層を、相対的に高分子量のアクリル系ポリマーと低分子量のアクリル系ポリマーとの混合アクリル系ポリマーに更に非常に低分子量の粘着性付与ポリマーを配合したものから構成し、しかも特定の分子量分布に制御することにより、架橋剤非存在下でも良好な曲面接着性と定荷重剥離特性とを示すアクリル系粘着テープとなることを見出した。更に、本発明者らは、そのような混合アクリル系ポリマーを調製するには、まず、光重合開始剤を含有するアクリル系モノマー組成物を光重合させて比較的高分子量のアクリル系ポリマーを含有するポリマーシロップを調製し、それに非常に低分子量の粘着性付与ポリマーを配合して成膜した後、膜中で残存する未反応のアクリル系モノマーを比較的低い分子量のアクリル系ポリマーに光重合させ、分子量分布が比較的広いアクリル系粘着層とすることにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、剥離フィルム基材上にアクリル系粘着層が形成されてなるアクリル系粘着テープであって、該アクリル系粘着層が、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が700000〜3000000となるアクリル系ポリマーAと重量平均分子量が350000〜650000となるアクリル系ポリマーBと、更に重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーとを含有し、且つ分子量分布が2.4〜4.4であることを特徴とするアクリル系粘着テープを提供する。
【0009】
また、本発明は、剥離フィルム基材上にアクリル系粘着層が形成されてなるアクリル系粘着テープの製造方法であって、以下の工程(a)〜(d):
工程(a)
アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから、光重合により、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が700000〜3000000となるアクリル系ポリマーAを生成させ、それによりアクリル系ポリマーAと未反応アクリル系モノマーとを含有するポリマーシロップを調製する工程;
工程(b)
該ポリマーシロップに重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーを混合して粘着剤塗工液を調製する工程;
工程(c)
該粘着剤塗工液を剥離フィルム基材に塗布して粘着剤塗布膜を形成する工程; 及び
工程(d)
該粘着剤塗布膜に紫外線を照射し、粘着剤塗布膜中の未反応アクリル系モノマーから、光重合により、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が350000〜650000となるアクリル系ポリマーBを生成させることにより分子量分布が2.4〜4.4となるアクリル系粘着層を形成する工程;
を有することを特徴とする製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアクリル系粘着テープは、そのアクリル系粘着層を、重量平均分子量が700000〜3000000の高分子量のアクリル系ポリマーと350000〜650000の低分子量のアクリル系ポリマーとの混合アクリル系ポリマーに更に2000〜10000の非常に低分子量の粘着性付与ポリマーを配合したものから構成され、しかも特定の分子量分布に制御されている。このため、架橋剤非存在下でも良好な曲面接着性と定荷重剥離特性とを示すことができる。
【0011】
また、本発明のアクリル系粘着テープの製造方法においては、光重合開始剤を含有するアクリル系モノマー組成物を光重合させて重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーを含有するポリマーシロップを調製し、それに重量平均分子量が2000〜10000の粘着性付与ポリマーを配合して成膜した後、膜の状態で残存する未反応のアクリル系モノマーを重量平均分子量350000〜650000のアクリル系ポリマーに光重合させ、分子量分布が比較的広いアクリル系粘着層とする。このため、得られるアクリル系粘着テープに対し、架橋剤非存在下でも良好な曲面接着性と定荷重剥離特性とを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1〜4及び比較例1、2におけるポリマーシロップ分子量と曲面接着性との関係図である。
【図2】図2は、実施例1〜4及び比較例1、2におけるポリマーシロップ分子量分布と曲面接着性との関係図である。
【図3】図3は、実施例1〜4及び比較例1、2におけるポリマーシロップ分子量と定荷重剥離との関係図である。
【図4】図4は、実施例1〜4及び比較例1、2におけるポリマーシロップ分子量分布と定荷重剥離との関係図である。
【図5】図5は、実施例1〜4及び比較例1、2におけるアクリル系粘着層の重量平均分子量(粘着剤可溶分分子量)と曲面接着性との関係図である。
【図6】図6は、実施例1〜4及び比較例1、2におけるアクリル系粘着層の分子量分布(粘着剤可溶分分子量分布)と曲面接着性との関係図である。
【図7】図7は、実施例1〜4及び比較例1、2におけるアクリル系粘着層の重量平均分子量(粘着剤可溶分分子量)と定荷重剥離との関係図である。
【図8】図8は、実施例1〜4及び比較例1、2におけるアクリル系粘着層の分子量分布(粘着剤可溶分分子量分布)と定荷重剥離との関係図である。
【図9】図9は、ポリマーシロップのポリマーの重量平均分子量が300000程度の場合のアクリル系粘着層のゲルパーミエーションチャートである。
【図10】図10は、ポリマーシロップのポリマーの重量平均分子量が700000程度の場合のアクリル系粘着層のゲルパーミエーションチャートである。
【図11】図11は、実施例5〜8及び比較例3、4におけるポリマーシロップ分子量と定荷重剥離との関係図である。
【図12】図12は、実施例5〜8及び比較例3、4におけるポリマーシロップ分子量分布と定荷重剥離との関係図である。
【図13】図13は、実施例5〜8及び比較例3、4におけるアクリル系粘着層の重量平均分子量(粘着剤可溶分分子量)と定荷重剥離との関係図である。
【図14】図14は、実施例5〜8及び比較例3、4におけるアクリル系粘着層の分子量分布(粘着剤可溶分分子量分布)と定荷重剥離との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のアクリル系粘着テープは、剥離フィルム基材上にアクリル系粘着層が形成されてなる基本構造を有する。他の態様として、アクリル系粘着層が、不織布の両面にアクリル系粘着層が形成された積層型のアクリル系粘着層となっている構造を例示することができる。後者の態様は、貼着・剥離を繰り返すことが可能な転写型の両面粘着テープとして使用することができる。
【0014】
本発明のアクリル系粘着テープを構成するアクリル系粘着層は、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が700000〜3000000、好ましくは750000〜1000000となるアクリル系ポリマーAと、重量平均分子量が350000〜650000、好ましくは450000〜650000となるアクリル系ポリマーBと、更に重量平均分子量2000〜10000、好ましくは3000〜8000の粘着性付与ポリマーとを含有し、且つ架橋剤非存在下の場合に分子量分布が2.4〜4.4、好ましくは2.6〜4.4、より好ましくは2.7〜3.5である。なお、本明細書において、重量平均分子量の数値はゲルパーミエーション法で測定したものである。
【0015】
無溶媒型光重合性モノマー組成物を構成するアクリル系ポリマーAの重量平均分子量は、前述したように700000〜3000000であるが、これはこの範囲を下回るとアクリル系粘着テープの保持力が低下し、超えると定荷重剥離特性が低下する蓋然性が高くなるからである。なお、選択するアクリル系モノマーによっては、そのような蓋然性を考慮する必要がない場合も希にあるが、後述するように、無溶媒型光重合性モノマー組成物に架橋剤を含有させた場合には、本発明を特徴づける分子量分布を実現し易くなるため、そのような蓋然性を考慮した上で、アクリル系ポリマーAの重量平均分子量を700000〜3000000の範囲内に調整する。
【0016】
他方、無溶媒型光重合性モノマー組成物を構成するアクリル系ポリマーBの重量平均分子量は、前述したように350000〜650000であるが、これはこの範囲を下回るとアクリル系粘着テープの曲面接着性が低下し、超えると定荷重剥離特性が低下する蓋然性が高くなるからである。なお、アクリル系ポリマーBの分子量は、それ単独を測定することが困難であるため、アクリル系ポリマーA及び後述する粘着性付与ポリマーの存在下で後述するようなアクリル系モノマーを重合させて得たアクリル系粘着層全体の分子量から、アクリル系ポリマーA及び粘着性付与ポリマーが寄与している部分を差し引いて求めることができる。具体的には、ゲルパーミエーションクロマト法により測定したアクリル系粘着層全体の重量平均分子量がWt、アクリル系ポリマーAの重量平均分子量がWa、粘着性付与ポリマーの重量平均分子量がWcである場合に、アクリル系ポリマーBの重量平均分子量Wbは、WtからWaとWcとを減じることにより求めることができる。また、Wc<<Wt,Waである場合、Wbの算出に際し、Wcを考慮対象から外すことができる。
【0017】
なお、アクリル系粘着層の重量平均分子量を、アクリル系ポリマーAの難溶媒であるがアクリル系ポリマーBを溶解する溶媒を展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定した場合、得られる重量平均分子量はアクリル系ポリマーB及び粘着性付与ポリマーの分子量を反映したものであるが、粘着性付与ポリマーの重量平均分子量がアクリル系ポリマーBよりも著しく小さい場合には、実質的にアクリル系ポリマーBの重量平均分子量と見なすことができる。
【0018】
また、アクリル系粘着層の分子量分布、即ち、主としてアクリル系ポリマーAと粘着性付与ポリマーとアクリル系ポリマーBとからなる硬化樹脂組成物の分子量分布は、架橋剤非存在下の場合に2.4〜4.4であるが、この範囲を下回るとアクリル系粘着テープの定荷重剥離特性が低下し、超えると凝集力が高くなりすぎてタックが低下する蓋然性が高まる。
【0019】
アクリルポリマーA並びにアクリルポリマーBを形成するための無溶媒型光重合性モノマー組成物を構成するアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレート)と(メタ)アクリル酸とが挙げられる。ここで、“(メタ)アクリル酸”は、“アクリル酸”と“メタクリル酸”とを包含する意味である。同様に、“(メタ)アクリレート”とは、“アクリレート”と“メタクリレート”とを包含する意味である。
【0020】
好ましいアクリル系モノマーである(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−又はiso−プロピル(メタ)アクリレート、n−、iso−又はtert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸直鎖又は分岐アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;アリル(メタ)アクリレート等のアルケニル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらにはヒドロキシル基、アルコキシル基等の置換基が結合していてもよい。
【0021】
好ましいアクリル系モノマーとしては、ヒドロキシ基で置換してもよいアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とを併用する。より具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリル酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートを併用することが好ましい。この場合の相互の配合量に関し、2−エチルヘキシルアクリレートの配合割合が多すぎるとアクリル系粘着テープの180度剥離強度は高くなるが、定荷重剥離特性が低下する傾向があるので、2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの合計100質量部中に、2−エチルヘキシルアクリレートの割合が好ましくは25〜35質量部であり、他方、ブチルアクリレートの割合が、好ましくは75〜65質量部である。アクリル酸の配合割合は、少なすぎるとアクリル系粘着テープの保持力が低下し、多すぎると非極性樹脂への接着力が低下する傾向があるので、2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの合計100質量部に対し、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは3〜5質量部であり、そして2−ヒドロキシエチルアクリレートの配合割合は、架橋剤を必要とした場合、少なすぎると架橋密度が下がり、保持力が低下する傾向があるので、好ましくは0.2〜0.5質量部である。
【0022】
本発明で使用する無溶媒型光重合性モノマー組成物には、生成するポリマーの重量平均分子量を調整するために、公知の連鎖移動剤を配合することができる。このような連鎖移動剤としてチオール、特にアルキルチオール、具体的にはn−ドデシルメルカプタンを挙げることができる。連鎖移動剤の無溶媒型光重合性モノマー組成物への配合量は、光重合開始剤1質量部に対し、好ましくは1〜0.16質量部である。
【0023】
無溶媒型光重合性モノマー組成物を構成する光重合開始剤としては、一般的なラジカル型光重合開始剤やカチオン型光重合開始剤を使用することができ、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン[DC(ダロキュア)2959、チバガイギー社]、α−ヒドロキシ−α,α′−ジメチルアセトフェノン[DC1173、チバガイギー社]、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン[IRG(イルガキュア)651、チバガイギー社]、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン[IRG−184、チバガイギー社]などのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系光重合開始剤;その他のハロゲン化ケトン、アシルフォスフィノキシド(例えば、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド[IRG819、チバガイギー社])、アシルフォスファナートなどの光重合開始剤を挙げることができる。
【0024】
光重合開始剤の無溶媒型光重合性モノマー組成物における配合量は、少なすぎると重合反応が進まなくなり、多すぎると重合反応によって得られるポリマーの重量平均分子量が低くなる傾向があるので、アクリル系モノマー100質量部に対し、好ましくは0.005〜0.1質量部である。
【0025】
また、本発明において、アクリル系粘着層を構成する粘着性付与ポリマーの重量平均分子量を2000〜10000としたのは、この範囲を下回るとアクリル系粘着テープの保持力が低下する傾向があり、超えると粘着性付与ポリマーのアクリル系ポリマーA及びBに対する相溶性が低下し、安定した接着力が得られなくなる傾向があるからである。
【0026】
このような粘着性付与ポリマーとしては、公知の粘着性付与ポリマーを使用することができ、中でも、併用されるアクリル系ポリマーA及びBに対する相溶性の観点からアクリル系粘着性付与ポリマーを好ましく使用することができる。アクリル系粘着性付与ポリマーとしては、シクロアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と光重合開始剤とチオールとを光重合させたものが好ましく挙げられる。具体的には、シクロヘキシルメタクリレートとメタクリル酸とn−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)と光重合開始剤とを光重合させたものである。この場合の相互の配合量に関し、一般に、シクロヘキシル(メタ)アクリレート(好ましくはシクロヘキシルメタクリレート)の配合割合が少なすぎるとアクリル系粘着テープの非極性樹脂への接着力が低下し、多すぎると粘着性付与ポリマーのアクリル系ポリマーA、Bに対する相溶性が低下する傾向があるが、本発明においては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートの好ましい配合量を95〜97質量部としたときに、(メタ)アクリル酸(好ましくはメタクリル酸)の配合割合は、少なすぎると粘着性付与ポリマーのアクリル系ポリマーA、Bに対する相溶性が低下し、多すぎると(メタ)アクリル酸が選択的に反応してゲル化する傾向があるので、好ましくは3〜5質量部である。n−ドデシルメルカプタンの配合割合は、少なすぎると粘着性付与ポリマーの重量平均分子量が過度に高くなり、多すぎると過度に低くなる傾向があるので、好ましくは3〜6質量部である。工程(a)において説明したような光重合開始剤の配合割合は、少なすぎると重合反応が進まなくなり、多すぎると粘着性付与ポリマーの重量平均分子量が低くなる傾向があるので、モノマーの合計100質量部に対し、好ましくは0.25〜0.5質量部である。
【0027】
このような粘着性付与ポリマーの配合量は、少なすぎると表面エネルギーの低い樹脂に接着し難くなり、多すぎると保持力が低下する傾向があるので、モノマーの合計100質量部に対し、好ましくは10〜30質量部である。
【0028】
本発明のアクリル系粘着テープを構成する無溶媒型光重合性モノマー組成物は、アクリル系粘着テープの保持力改善のために、紫外線の照射による光重合時に架橋反応を生じさせることに寄与する架橋剤を含有してもよい。
【0029】
ただし、アクリル系ポリマーAの重量平均分子量が1000000を超える場合、架橋剤の使用は、アクリル系粘着層の凝集力を高くし、逆に定荷重剥離特性を低下させてしまうため、アクリル系ポリマーAの重量平均分子量が700000〜1000000の範囲で架橋剤を併用することが望ましい。
【0030】
架橋剤としては、エポキシ基を有する化合物(多官能エポキシ化合物)、イソシアネート基を有する化合物(多官能イソシアネート化合物)を挙げることができる。具体的には、エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA型のエポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N′−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等のエポキシ化合物;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のイソシアネート化合物;及びこれらのイソシアネート化合物とトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体等を挙げることができる。
【0031】
架橋剤を使用する場合、無溶媒型光重合性モノマー組成物における配合量は、少なすぎるとアクリル系モノマーの重合反応が進まなくなり、多すぎると重合反応によって得られるポリマーの重量平均分子量が低くなる傾向があるので、アクリル系モノマー100質量部に対し、好ましくは0.005〜0.1質量部である。
【0032】
本発明のアクリル系粘着テープを構成する剥離フィルム基材としては、従来のアクリル系粘着テープに使用されているような剥離フィルム基材を使用することができる。例えば、シリコーン剥離処理を両面に施したポリエチレンテレフタレートフィルムや上質紙等を好ましく使用することができる。
【0033】
また、本発明のアクリル系粘着テープのアクリル系粘着層が、不織布を介在している積層型のアクリル系粘着層である場合、当該不織布としては、厚さ30〜60μmのポリエステルやポリプロピレン等からなるメルトブロー不織布、カード不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布などを使用することができる。
【0034】
以上説明した本発明のアクリル系粘着テープは、以下の工程(a)〜(d)を有する製造方法により製造することができる。以下、工程毎に説明する。
【0035】
<工程(a)>
この工程は、ポリマーシロップを調製する工程であり、具体的には、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから、光重合により、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が700000〜1000000となるアクリル系ポリマーAを生成させ、それによりアクリル系ポリマーAと未反応アクリル系モノマーとを含有するポリマーシロップを調製する。
【0036】
この工程で調製する目的物であるポリマーシロップは、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が700000〜3000000、好ましくは750000〜1000000のアクリル系ポリマーAと未反応アクリル系モノマーとを含有するものである。特に、架橋剤存在下の場合のアクリル系ポリマーAの好ましい重量平均分子量は750000〜1000000である。
【0037】
ポリマーシロップの粘度(25℃)(B型粘度計、ローターNo.2、25℃)は、低すぎると工程(d)で粘着剤塗布膜の厚みを維持することが困難となり、高すぎると空気を巻き込みやすくなり酸素の影響で反応阻害が起こる傾向があるので、好ましくは200〜5000cps、より好ましくは800〜2000cpsである。
【0038】
ポリマーシロップにおけるアクリル系ポリマーAと未反応アクリル系モノマーとの存在割合は、工程(d)における適した塗工粘度のために、ポリマーシロップを調製するための無溶媒型光重合性モノマー組成物の重合率という観点に置き換えることができ、その重合率が好ましくは5〜25%、より好ましくは10〜15%となるような存在割合である。これは重合率が低すぎると保持力と曲面接着性とが低下する傾向があり、高すぎると工程(d)で生成するアクリル系ポリマーBが減少することによって定荷重剥離特性が低下する傾向があるからである。ここで、重合率の算出は次のように行う。即ち、ポリマーシロップを0.5g秤量し、それを660Paに減圧した容器に投入し、120℃で2時間放置して揮発分を揮発させ、再度精秤して重量減少量を求めた。この重量減少量を残存モノマー、オリゴマーとして次式により重合率を求めた。
【0039】
【数1】

【0040】
本工程(a)においては、撹拌しながら無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射し、光重合反応を行うが、その好ましい紫外線照射条件は以下のとおりである。
【0041】
1) 光重合反応時の酸素による連鎖移動停止反応を防止するために、窒素やアルゴンガス気流中などの不活性ガス雰囲気下で光重合反応を行う。
2) 光重合反応時の温度は、反応速度を適度な範囲にすると共に、副反応の発生を抑制するために、好ましくは25〜130℃、より好ましく40〜120℃である。
3) 紫外線の波長は、この種の光重合時に使用されている光源(捕虫用ランプ、高圧水銀灯、ブラックライト等)からの250〜400nmの光を使用する。
4) 紫外線の出力は、反応速度を適度な範囲にすると共に、副反応の発生を抑制するために、好ましくは15〜100mW/cmである。
5) 紫外線照射操作は、ポリマーシロップを適度な固形分、粘度、分子量に調製するために断続的に行うことが好ましい。その際、紫外線照射時間が短すぎると必要なエネルギーが足りず反応が進行せず、長すぎると加速度的に反応が進むので、好ましくは10〜60秒であり、所定の間隔(20〜40秒のアイドリング時間)を置いて好ましくは5〜20回程度行う。ここで、紫外線照射を連続的ではなく、断続的に行う理由は、重合反応温度の過度の上昇を防ぐためである。また、好ましいアイドリング時間を20〜40秒としたのは、短すぎると重合反応温度の過度の上昇を防止できず、長すぎると所定の重合反応温度を維持できなくなる傾向があるからである。更に、照射回数を好ましくは5〜20回程度としたのは、少なすぎても多すぎても適度な固形分、粘度、分子量のポリマーシロップが得られないためである。
【0042】
<工程(b)>
この工程は、工程(a)で取得したポリマーシロップから粘着剤塗工液を調製する工程であり、具体的には、該ポリマーシロップに重量平均分子量2000〜10000、好ましくは3000〜8000の粘着性付与ポリマーを混合して粘着剤塗工液を調製する。
【0043】
粘着剤塗工液の粘度(25℃)(B型粘度形、ローターNo.2、25℃)は、低すぎると工程(d)で粘着剤塗布膜の厚みを維持することが困難となり、高すぎると空気を巻き込みやすくなり酸素の影響で反応阻害が起こる傾向があるので、好ましくは200〜5000cps、より好ましくは800〜2000cpsである。
【0044】
本工程(b)で使用する粘着性付与ポリマーを調製する際の光重合反応の好ましい紫外線照射条件は、工程(a)における光重合反応の場合と同一でも相違していてもよいが、代表的には以下のとおりである。
【0045】
1) 光重合反応時の酸素による連鎖移動停止反応を防止するために、窒素やアルゴンガス気流中などの不活性ガス雰囲気下で光重合反応を行う。
2) 光重合反応時の温度は、反応速度を適度な範囲にすると共に、副反応の発生を抑制するために、好ましくは25〜130℃、より好ましく40〜120℃である。
3) 紫外線の波長は、この種の光重合時に使用されている光源(捕虫用ランプ、高圧水銀灯、ブラックライト等)からの250〜400nmの光を使用する。
4) 紫外線の出力は、反応速度を適度な範囲にすると共に、副反応の発生を抑制するために、好ましくは15〜100mW/cmである。
5) なお、紫外線照射操作を、必要に応じ、低出力で比較的長時間の照射と、高出力で比較的短時間の照射に分けて行うことができる。
【0046】
<工程(c)>
この工程は、粘着剤塗布膜を形成する工程であり、具体的には工程(b)で取得した粘着剤塗工液を剥離フィルム基材に塗布して粘着剤塗布膜を形成する。
【0047】
粘着剤塗工液の剥離フィルム基材への塗布は、ドクタブレードコータ、コンマコータ等の公知の装置を用いて行うことができる。
【0048】
粘着剤塗布膜の厚みとしては、厚すぎると紫外線が深部まで到達せず硬化不良となる傾向があるので、好ましくは1.5mm未満、より好ましくは1.2mm未満である。なお、厚みの下限は、アクリル系粘着テープの使用目的に応じて適宜決定することができるが通常、0.015〜0.02mmである。
【0049】
なお、アクリル系粘着層として積層型のものを適用する場合、形成した粘着剤塗布膜に不織布を重ね、更にその上に粘着剤塗布膜を形成すればよい。
【0050】
<工程(d)>
この工程は、工程(c)で形成した粘着剤塗布膜からアクリル系粘着層を形成する工程であり、具体的には、粘着剤塗布膜に紫外線を照射し、粘着剤塗布膜中の未反応アクリルモノマーから、光重合により、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が350000〜650000となるアクリル系ポリマーBを生成させることにより分子量分布が2.4〜4.4、好ましくは2.6〜4.4、より好ましくは2.7〜3.5となるアクリル系粘着層を形成する。これにより、剥離フィルム基材上にアクリル系粘着層が形成されてなるアクリル系粘着テープが得られる。粘着剤塗布膜が、不織布が介在している積層型の粘着剤塗布膜である場合には、積層型のアクリル系粘着層が形成される。
【0051】
本工程で調製されるアクリル系ポリマーBの重量平均分子量が、前述したように350000〜650000となるのは、重合の進行と共に反応系の粘度が高くなり、分子の移動が非常に制限され、未反応アクリル系モノマーが重合してもアクリル系ポリマーAのような大きな重量平均分子量にならないためと考えられる。
【0052】
この工程において、“分子量分布が2.4〜4.4となるアクリル系粘着層”とは、アクリル系粘着層を構成する硬化樹脂組成物、即ち、主としてアクリル系ポリマーAと粘着性付与ポリマーとアクリル系ポリマーBとからなる硬化樹脂組成物の分子量分布が2.4〜4.4ということを意味する。
【0053】
また、分子量分布を2.4〜4.4としたのは、この範囲を下回るとアクリル系粘着テープの定荷重剥離特性が低下し、超えると凝集力が高くなりすぎてタックが低下する蓋然性が高まるからである。
【0054】
本工程(d)における光重合反応の好ましい紫外線照射条件は、工程(a)や工程(b)の場合と異なり、重合度を80%以上にするために断続的ではなく連続的に紫外線照射を行う。代表的には以下のとおりである。
1) 光重合反応時の酸素による連鎖移動停止反応を防止するために、窒素やアルゴンガス気流中などの不活性ガス雰囲気下で光重合反応を行う。または、片面剥離処理したPET等の高分子フィルムからなる透明な剥離シートをかぶせて空気中の酸素を遮断したのち光重合反応を行う。
2) 光重合反応時の温度は、反応速度を適度な範囲にすると共に、副反応の発生を抑制するために、好ましくは40〜90℃である。
3) 紫外線の波長は、この種の光重合時に使用されている光源(捕虫用ランプ、高圧水銀灯、ブラックライト等)からの250〜400nmの光を使用する。
4) 紫外線の出力は、反応速度を適度な範囲にすると共に、副反応の発生を抑制するために、好ましくは15〜100mW/cmである。
5) 紫外線照射時間は、短すぎると必要なエネルギーが足りず意図した反応が進行せず、長すぎると加速度的に反応が進むので、好ましくは10〜60秒である。
【0055】
以上、本発明の製造方法について、架橋剤を併用しない例を説明したが、本発明においては、以上説明したような工程(c)で使用する粘着剤塗工液に、保持力改善のために架橋剤を配合してもよい。架橋剤の配合は、工程(b)で行ってもよく、工程(c)で行ってもよい。
【0056】
ただし、アクリル系ポリマーAの重量平均分子量が1000000を超える場合、架橋剤を併用することによって凝集力が高くなり、逆に定荷重剥離特性が低下してしまうため、アクリル系ポリマーAの重量平均分子量が700000〜1000000の範囲で架橋剤を使用することが望ましい。
【0057】
架橋剤としては、エポキシ基を有する化合物(多官能エポキシ化合物)、イソシアネート基を有する化合物(多官能イソシアネート化合物)を挙げることができる。具体的には、エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールAのエポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N′−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等のエポキシ化合物;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のイソシアネート化合物;及びこれらのイソシアネート化合物とトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体等を挙げることができる。
【0058】
架橋剤を用いた場合、粘着剤塗工液中におけるその配合割合は、少なすぎるとアクリル系粘着テープの保持力が低下し、多すぎるとタック性が低下する傾向があるので、ポリマーシロップと粘着性付与ポリマーの合計100質量部に対し、好ましくは0.5〜3質量部、より好ましくは1.0〜2.0質量部である。
【0059】
なお、架橋剤存在下で形成されたアクリル系粘着層の分子量分布は、架橋剤非存在下で形成されたアクリル系粘着層の分子量分布(2.4〜4.4)とほぼ一致する場合があるが、架橋剤による架橋反応が生じているために一致しない場合もある。例えば、分子量分布が2.2〜2.8、好ましくは2.4〜2.7と狭くなる場合がある。
【0060】
また、粘着剤塗工液には、本発明の効果を損なわない範囲で、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、タルク、酸化チタンなどの無機物、ガラスバルーン、シラスバルーン、セラミックバルーンなどの無機中空体、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズなどの有機物、塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーンなどの有機中空体等の充填剤;発泡剤;染料;顔料;重合禁止剤;安定剤等の一般的な粘着剤に配合されるような添加剤を配合してもよい。
【実施例】
【0061】
以下、発明を実施例により具体的に説明する。
【0062】
参考例1〜6(ポリマーシロップの調製)
表1の配合の混合物を、窒素ガス導入管と撹拌装置と温度計とを備えた2L反応容器に仕込み、窒素ガスを流通(窒素流量300ml、窒素置換時間60分)させ、混合物を撹拌(150rpm)しながら、混合物を表1の重合開始温度まで加熱し、紫外線(365nm)を出力40mW/cmで10秒間照射し、40秒間(アイドリング時間)放置し、この照射・放置のサイクルを表1に記載の回数を行った。それにより、表1に示す粘度、重合率、重量平均分子量、分子量分布のポリマーシロップ(ポリマーシロップAに相当)を得た。
【0063】
なお、粘度は、25℃で、ローターNo.2を備えたB型粘度計(東京計器(株)製)を用いて測定した。
【0064】
重合率は、ポリマーシロップを0.5g秤量し、それを660Paに減圧した容器に投入し、120℃で2時間放置して揮発分を揮発させ、再度精秤して重量減少量を求めた。この重量減少量を残存モノマー、オリゴマーとして次式により重合率を求めた。
【0065】
【数2】

【0066】
重量平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマト法(Shodex GPC SYSTEM−21、昭和電工(株))により求めた。
【0067】
【表1】

【0068】
参考例7(粘着性付与ポリマーの調製)
シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)5820g、メタクリル酸180g、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(DC1173、チバガイギー社)20g及びn−ドデシルメルカプタン240gを、窒素ガス導入管と撹拌装置と温度計とを備えた2L反応容器に仕込み、窒素ガスを流通(窒素流量6L、窒素置換時間30分)させながら、反応混合物を撹拌(200rpm)して60.0℃に加温し、紫外線(365nm)を出力40mW/cmで30分間照射し、反応混合物の上昇した温度が70.0℃になるまで約10分間放置し、この照射、放置のサイクルを3回繰り返すことにより粘着性付与ポリマー溶液を得た。得られた粘着性付与ポリマー溶液500gをステンレス製の容器に移し、アイグラフィックス製、コンベア式UV照射機ECS−151Uを用いて紫外線(365nm)を出力90mW/cmで3min照射した。それにより重量平均分子量7153の粘着性付与ポリマーを得た。
【0069】
実施例1〜4及び比較例1、2(架橋剤非存在下でのアクリル系粘着テープの製造)
参考例1〜6(R1〜R6)のいずれのポリマーシロップ100g、参考例7の粘着性付与ポリマー20g、t−ブチルアクリレート6.67g、フェノキシエチルアクリレート6.67g、更に、光重合開始剤(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)0.53gとを均一に混合することにより紫外線硬化型の粘着剤塗工液を調製した。
【0070】
捕虫用蛍光ランプ(主波長352nm、0.44mW/cm)を60mm間隔で並べ、被照射体に対して200mmの高さから約2.00mW/cmの紫外線照射を行うことができる紫外線照射炉を備えた塗布装置(UVコータ)を用いて、得られた紫外線硬化型の粘着剤塗工液を、上質紙の両面をシリコーン剥離処理した剥離紙に、厚さ50μmになるように粘着剤塗工液を塗布し、その上に厚さ50μmのポリプロピレン不織布基材を重ね、更に、その不織布基板上に粘着剤塗工液を塗布した。その上に片面をシリコーンで剥離処理した厚さ50μmの透明ポリエステルフィルムを重ね、粘着剤塗工液膜/不織布/粘着剤塗工液膜からなる積層型の粘着剤塗布膜の厚さが0.15mmになるように調整した積層テープを得た。その積層テープをUVコータ内の紫外線照射炉の中で、積層テープの透明ポリエステルフィルム側から紫外線照射を60秒間行った。続いて、高圧水銀ランプ(主波長365nm、出力80mW/cm)を使用して、照射強度35.5mW/cmで紫外線照射を30秒間行い、紫外線硬化型の粘着剤塗工液を十分に硬化させることにより転写型のアクリル系両面粘着テープを得た。
【0071】
実施例5〜8及び比較例3、4(架橋剤存在下でのアクリル系粘着テープの製造)
参考例1〜6(R1〜R6)のいずれのポリマーシロップ100g、参考例7の粘着性付与ポリマー20g、t−ブチルアクリレート6.67g、フェノキシエチルアクリレート6.67g、更に、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドの4:1混合物(重量比))0.53g、ポリイソシアネート系架橋剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株))1.78gとを均一に混合することにより紫外線硬化型の粘着剤塗工液を調製した。
【0072】
得られた紫外線硬化型の粘着剤塗工液を使用し、実施例1の場合と同様に転写型のアクリル系両面粘着テープを得た。
【0073】
<アクリル系両面粘着テープの評価>
得られた実施例1〜8及び比較例1〜4のアクリル系両面粘着テープについて、アクリル系粘着層の重量平均分子量、分子量分布、更に粘着テープの180度剥離強度、保持力、曲面接着性、及び定荷重剥離を以下のように試験評価した。得られた結果を表2及び表3に示す。
【0074】
なお、アクリル系粘着層の重量平均分子量(粘着剤可溶分分子量)、分子量分布は、展開溶媒としてテトラヒドロフランを使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(Shodex GPC SYSTEM−21、昭和電工(株)製)を使用して測定した。この粘着剤可溶分分子量が、実質的にアクリルポリマーBの重量平均分子量に相当する。ここで、粘着剤可溶分とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置での分析の際に展開溶媒テトラヒドロフランで溶出されうる成分という意味である。
【0075】
<180度剥離強度>
280番の耐水研磨紙で研磨した厚さ2mmのステンレス(SUS304)プレート(SUSプレート)と厚さ2mmのポリスチレン(PS)プレートとを被着体として用意し、それらに幅20mmの粘着テープを仮貼りして剥離フィルムを引き剥がし、露出した粘着層に対し幅20mmの剥離処理していない25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(幅20mm、長さ150mm)を2kg荷重の圧着ロール間を一往復させることで接着した。このポリエチレンテレフタレートフィルムを180度方向に、引っ張り速度300mm/分の速度で引いたときの剥離強度(N/20mm)を、引張試験機(テンシロンRTA−250、(株)オリエンテック)で測定した。剥離強度の数値は大きいほど好ましい。
【0076】
<保持力>
JIS Z0237の保持力の測定方法に準じて行った。この場合、被着材としては280番の耐水研磨紙で研磨した厚さ2mmのステンレス板と25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムとを使用し、接着面積は25mm×25mmとした。そして、アクリル系両面粘着テープでこれらを接着後、ステンレス板に1kgfの荷重を垂直にかけ、180℃で1時間放置し、放置後の接着部のズレの大きさを測定した。また、1時間経過するまでにステンレス板が落下してしまった場合には、その落下までの時間を計測した。
【0077】
<曲面接着性>
20mm幅、150mm長さのアクリル系両面粘着テープを、アルミニウムプレート(0.5mm厚、20mm幅、150mm)に仮貼りして剥離フィルムを引き剥がし、2mm厚のポリスチレン(PS)プレート又は、2mm厚のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)プレート(各25mm幅、200mm長)の両端それぞれに25mm残して中央部に2kg圧着ロールを一往復することでアルミニウムプレートを接着した。これを室温で24時間養生した後、アルミニウムプレートを表にして、両端部間隔が190mmとなるように湾曲させ、その状態を維持したまま60℃の恒温層中で24時間放置し、PSプレート又はABSプレートから浮き上がったアルミニウムプレートの端部の剥離距離を測定した。移動距離は短いほど好ましい。
【0078】
<定荷重剥離>
厚さ2mmのPSプレート又はアクリルプレートを被着体として用意し、それらに幅20mmの粘着テープ(長さ70mm)を仮貼りして剥離フィルムを引き剥がし、露出した粘着層に対し幅20mmの剥離処理していない25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(幅20mm、長さ150mm)を2kg荷重の圧着ロール間を一往復させることで接着し、室温に1時間放置した。このポリエチレンテレフタレートフィルムの端部に100gの重りを取り付け、PSプレートに対して90度方向に荷重をかけ、粘着テープの剥離距離を測定した。移動距離は短いほど好ましい。
【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
<評価結果>
図1にポリマーシロップ分子量と曲面接着性との関係図、図2にポリマーシロップ分子量分布と曲面接着性との関係図、図3にポリマーシロップ分子量と定荷重剥離との関係図、図4にポリマーシロップ分子量分布と定荷重剥離との関係図、図5にアクリル系粘着層の重量平均分子量(粘着剤可溶分分子量)と曲面接着性との関係図、図6にアクリル系粘着層の分子量分布(粘着剤可溶分分子量分布)と曲面接着性との関係図、図7にアクリル系粘着層の重量平均分子量(粘着剤可溶分分子量)と定荷重剥離との関係図、図8にアクリル系粘着層の分子量分布(粘着剤可溶分分子量分布)と定荷重剥離との関係図を示す。また、図9に、ポリマーシロップのポリマーの重量平均分子量が300000程度の場合のアクリル系粘着層のゲルパーミエーションチャートを示し、図10に、ポリマーシロップのポリマーの重量平均分子量が700000程度の場合のアクリル系粘着層のゲルパーミエーションチャートを示す。図11に、分子量と定荷重剥離との関係図を示す。図12に、ポリマーシロップ分子量分布と定荷重剥離との関係図を示す。図13に、アクリル系粘着層の重量平均分子量(粘着剤可溶分分子量)と定荷重剥離との関係図を示す。図14に、アクリル系粘着層の分子量分布(粘着剤可溶分分子量分布)と定荷重剥離との関係図を示す。
【0082】
(架橋剤非存在下で形成されたアクリル系粘着層を有する両面粘着テープの評価)
実施例1〜4及びアクリル系ポリマーAの分子量が低い比較例1、2の結果並びに図1〜8により、曲面接着性及び定荷重剥離の結果は、ポリマーシロップ及びアクリル系粘着層の重量平均分子量が高いほど値が良くなっていることが分かる。また、分子量分布が広い方が良好な結果が得られる傾向があることがわかった。
【0083】
なお、保持力に関し、実施例3及び4の場合、生じたズレが僅かであり、良好な保持力を示していた。実施例1及び2の場合、ステンレス板は比較例1及び2の場合と同様に落下してしまったが、落下までの時間は比較例1及び2の場合に比べ30分以上も長く、保持すべき対象が軽量なものであれば、問題のないレベルであった。
【0084】
また、図9及び図10を対比させると、主ピークの溶出時間は殆ど差がないが、ポリマーシロップの重量平均分子量が700000を超えると、可溶分の分子量にショルダーが現れるため分子量分布が広くなり、重量平均分子量も高い値を示すことがわかった。このことは、UVコータのUV硬化炉内で重合されるポリマーの分子量が一定(300000程度)であることを示すものである。この結果、ポリマーシロップの分子量が相対的に低い場合、ポリマーシロップとUVコータで重合されたポリマーの分子量が近似してくるため、最終的に得られる粘着剤の重量平均分子量や分子量分布は小さくなり、曲面接着性、定荷重剥離特性が低下することがわかった。
【0085】
他方、ポリマーシロップの分子量が本発明の場合のように相対的に高い場合、ポリマーシロップの分子量のグラフとUVコータで重合したポリマーの分子量のグラフが加重された形となって重量平均分子量や分子量分布が大きくなり、曲面接着性も定荷重剥離特性も良好なものとなる。従って、UVコータでは重合できない高分子領域をポリマーシロップという形で補うことで、優れた特性が発現することが分かった。
【0086】
(架橋剤存在下で形成されたアクリル系粘着層を有する両面粘着テープの評価)
実施例5〜8及びアクリル系ポリマーAの分子量が低い比較例3、4の結果並び図11〜図14により、架橋剤存在下におけるPS定荷重剥離特性は、架橋剤非存在下における場合と同様にポリマーシロップの重量平均分子量や分子量分布が大きくなるにつれて得られる数値が良い方向へシフトする傾向を示したが、アクリル定荷重剥離特性は逆の傾向を示した。更に、粘着剤可溶分については、PS定荷重剥離の数値が、重量平均分子量や分子量分布が大きくなるにつれて緩やかに増加(悪化)傾向にあり、アクリル定荷重剥離特性は、重量平均分子量や分子量分布が小さくなるにつれて緩やかに減少傾向を示した。このことから定荷重剥離特性は、ポリマーの1次及び2次元構造と、架橋剤が関与する3次元構造とのバランスが非常に重要であることがわかった。曲面接着性については、条件に関わらず浮きが発生しなかったため、ポリマーシロップの重量平均分子量が300000以上あれば性能に問題ないことがわかった。
【0087】
なお、180度剥離試験及び保持力の評価結果からも、ポリマーシロップの重量平均分子量が700000を超えれば、あるいは分子量分布が大きくなるにつれ、得られる数値が良い方向へシフトする傾向を示した。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のアクリル系粘着テープは、そのアクリル系粘着層を、重量平均分子量が700000〜3000000の高分子量のアクリル系ポリマーと350000〜650000の低分子量のアクリル系ポリマーとの混合アクリル系ポリマーに更に2000〜10000の非常に低分子量の粘着性付与ポリマーを配合したものから構成され、しかも特定の分子量分布に制御されている。このため、架橋剤非存在下でも良好な曲面接着性と定荷重剥離特性とを示すことができる。従って、本発明のアクリル系粘着テープは、自動車、電気製品、建築物等の構造材の接合用に有用である。また、本発明のアクリル系粘着テープの製造方法によれば、光重合開始剤を含有するアクリル系モノマー組成物を光重合させて重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーを含有するポリマーシロップを調製し、それに重量平均分子量が2000〜10000の粘着性付与ポリマーを配合して成膜した後、その膜中に残存する未反応のアクリル系モノマーを光重合させて重量平均分子量350000〜650000のアクリル系ポリマーとし、結果的に分子量分布が比較的広いアクリル系粘着層とする。このため、得られるアクリル系粘着テープに対し、架橋剤非存在下でも良好な曲面接着性と定荷重剥離特性とを付与することができる。従って、本発明のアクリル系粘着テープは、自動車、電気製品、建築物等の構造材の接合用のアクリル系粘着テープの製造に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離フィルム基材上にアクリル系粘着層が形成されてなるアクリル系粘着テープであって、該アクリル系粘着層が、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が700000〜3000000となるアクリル系ポリマーAと重量平均分子量が350000〜650000となるアクリル系ポリマーBと更に重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーとを含有し、且つ分子量分布が2.4〜4.4であることを特徴とするアクリル系粘着テープ。
【請求項2】
アクリル系ポリマーAの重量平均分子量が、750000〜1000000である請求項1記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項3】
アクリル系ポリマーBの重量平均分子量が、450000〜650000である請求項1又は2記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項4】
粘着性付与ポリマーの重量平均分子量が、3000〜8000である請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項5】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、ヒドロキシ基で置換してもよい(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項6】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリル酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートを含有する請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項7】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート25〜35質量部、ブチルアクリレート75〜65質量部、2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートとの合計100質量部に対しアクリル酸3〜5質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート0.2〜0.5質量部を含有する請求項項1〜4のいずれかに記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項8】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマー100質量部に対し、光重合開始剤を0.005〜0.1質量部含有する請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項9】
粘着性付与ポリマーが、アクリル系粘着性付与ポリマーである請求項1〜8のいずれかに記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項10】
アクリル系粘着性付与ポリマーが、シクロアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とチオールと光重合開始剤とを光重合させたものである請求項9記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項11】
アクリル系粘着性付与ポリマーが、シクロヘキシルメタクリレートとメタクリル酸とn−ドデシルメルカプタンと光重合開始剤とを光重合させたものである請求項9記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項12】
アクリル系粘着性付与ポリマーが、シクロヘキシルメタクリレート95〜97質量部とメタクリル酸3〜5質量部とn−ドデシルメルカプタン3〜6質量部と、光重合開始剤0.25〜0.5質量部とを光重合させたものである請求項9記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項13】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が更に架橋剤を含有し、紫外線の照射による光重合時に架橋剤に由来する架橋反応が生じている請求項1〜12のいずれかに記載のアクリル系粘着テープ。
【請求項14】
剥離フィルム基材上にアクリル系粘着層が形成されてなるアクリル系粘着テープの製造方法であって、以下の工程(a)〜(d):
工程(a)
アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから、光重合により、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が700000〜3000000となるアクリル系ポリマーAを生成させ、それによりアクリル系ポリマーAと未反応アクリル系モノマーとを含有するポリマーシロップを調製する工程;
工程(b)
該ポリマーシロップに重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーを混合して粘着剤塗工液を調製する工程;
工程(c)
該粘着剤塗工液を剥離フィルム基材に塗布して粘着剤塗布膜を形成する工程; 及び
工程(d)
該粘着剤塗布膜に紫外線を照射し、粘着剤塗布膜中の未反応アクリルモノマーから、光重合により、架橋剤非存在下の場合に重量平均分子量が350000〜650000となるアクリル系ポリマーBを生成させることにより分子量分布が2.4〜4.4となるアクリル系粘着層を形成する工程;
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項15】
工程(a)におけるポリマーシロップの25℃における粘度が、200〜5000cpsである請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
工程(a)におけるアクリル系ポリマーAの重量平均分子量が、750000〜1000000である請求項14又は15記載の製造方法。
【請求項17】
工程(a)における無溶媒型光重合性モノマー組成物の重合率が、5〜25%である請求項12〜14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項18】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、ヒドロキシ基で置換してもよい(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸を含有する請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項19】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリル酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートを含有する請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項20】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート25〜35質量部、ブチルアクリレート75〜65質量部、2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの合計100質量部に対しアクリル酸3〜5質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート0.2〜0.5質量部を含有する請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項21】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマー100質量部に対し、光重合開始剤を0.005〜0.1質量部含有する請求項14〜20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項22】
工程(a)における紫外線照射条件が、不活性ガス雰囲気下、25〜130℃の重合開始温度で、波長250〜400nmの光を15〜100mW/cmの出力で10〜60秒間照射することを、20〜40秒のアイドリングを挟んで、5〜20回行うことである請求項14〜21のいずれかに記載の製造方法。
【請求項23】
工程(b)で使用する粘着性付与ポリマーが、アクリル系粘着性付与ポリマーである請求項14〜22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
アクリル系粘着性付与ポリマーが、シクロアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とチオールと光重合開始剤とを光重合させたものである請求項23記載の製造方法。
【請求項25】
アクリル系粘着性付与ポリマーが、シクロヘキシルメタクリレートとメタクリル酸とn−ドデシルメルカプタンと光重合開始剤とを光重合させたものである請求項23記載の製造方法。
【請求項26】
アクリル系粘着性付与ポリマーが、シクロヘキシルメタクリレート95〜97質量部とメタクリル酸3〜5質量部とn−ドデシルメルカプタン3〜6質量部と、光重合開始剤0.25〜0.5質量部とを光重合させたものである請求項23記載の製造方法。
【請求項27】
工程(b)で使用する粘着性付与ポリマーの重量平均分子量が3000〜8000である請求項14〜26のいずれかに記載の製造方法。
【請求項28】
工程(b)で使用する粘着性付与ポリマーを調整する際の光重合光重合が、不活性ガス雰囲気下、25〜130℃の温度で、波長250〜400nmの光を15〜100mW/cmの出力で10〜60秒間照射することを、20〜40秒間のアイドリングを挟んで、5〜20回行うことである請求項14〜27のいずれかに記載の製造方法。
【請求項29】
工程(d)におけるアクリル系ポリマーBの重量平均分子量が450000〜650000である請求項14〜28のいずれか記載の製造方法。
【請求項30】
工程(d)における紫外線照射条件が、不活性ガス雰囲気下、40〜90℃の温度で、波長250〜400nmの光を15〜100mW/cmの出力で10〜60秒間照射することである請求項14〜29のいずれかに記載の製造方法。
【請求項31】
工程(c)における粘着剤塗工液に、更に架橋剤が配合されている請求項14〜30のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−102317(P2012−102317A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210044(P2011−210044)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】