説明

アクリル系粘着剤組成物および粘着フィルム

【課題】パネル基材の表面に貼着されるノンキャリアタイプの粘着フィルムに使用された場合でも、高温高湿下における透明性、視認性の低下が少なく、糊残りしにくいアクリル系粘着剤組成物と、これを用いた粘着フィルムの提供。
【解決手段】特定のアクリル共重合体(A)と、架橋剤(B)とを含有するアクリル系粘着剤組成物であって、前記アクリル共重合体(A)100質量部に対して、前記架橋剤(A)として金属キレート系架橋剤0.05〜1.6質量部と、エポキシ基を有する架橋剤0.05〜0.2質量部とを配合したアクリル系粘着剤組成物。また、このアクリル系粘着剤組成物からなる粘着層11の両面に、表面12a、13aが剥離処理された剥離フィルム12、13が設けられたノンキャリアタイプの粘着フィルム10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイの表面に反射防止フィルムを貼着する際などに好適に使用される粘着フィルムと、該粘着フィルムの粘着層を形成するために好適に使用されるアクリル系粘着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置として、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネルなどのフラットパネルディスプレイが広く普及している。これらフラットパネルディスプレイの表面には、反射防止フィルム、保護フィルムなどの光学用の表面フィルムが貼着される場合が多い。また、タッチパネルなどの表面にも、これらの表面フィルムが貼着される場合が多い。
このようにフラットパネルディスプレイ、タッチパネルなどの対象物(パネル基材)の表面に表面フィルムを貼着する場合には、従来、図3(a)に示すように、表面フィルム21の片面にあらかじめ粘着層22が形成された表面フィルム一体型の粘着フィルム20が多用されてきた。粘着層22において表面フィルム21と接しない面側には、通常、剥離フィルム23が設けられている。
【0003】
ところが、図3(b)に示すように、このような表面フィルム一体型の粘着フィルム20をパネル基材30に貼着し、これを高温高湿下においた場合、パネル基材30から発生するアウトガスなどに起因して、粘着層22と表面フィルム21との界面付近に気泡(膨れ)が生じるなどして白化が起き、パネル基材30であるフラットパネルディスプレイやタッチパネルの視認性が低下してしまう場合があった。また、フラットパネルディスプレイやタッチパネルなどの用途に使用されるパネル基材30には、透明性に優れるポリカーボネートが使用される場合が多いが、特にポリカーボネートはアウトガスが発生しやすく、そのため視認性低下の問題が顕著であった。
【0004】
このような事情を背景として、例えば特許文献1には、表面フィルム一体型のディスプレイ用粘着シートが開示され、これによれば、透明性、視認性の低下を抑制できるとされている。
このディスプレイ用粘着シートは、表面フィルム(透明樹脂フィルム)に、特定の粘着剤組成物を塗布した後、これを架橋反応させることによって、粘着層を形成したものである。特定の粘着剤組成物として、特許文献1の実施例には、アクリル系の粘着性ポリマーと低分子量ポリマーとエポキシ化合物系架橋剤とを含有する組成物が開示されている。
【0005】
一方、このような表面フィルム一体型の粘着フィルム20の他に、図1に示すように、表面フィルムを具備しない粘着フィルム10も開発されている。
この粘着フィルム10は、例えばノンキャリアフィルムなどと呼ばれ、粘着層11の両面に、表面(粘着層11と接触する側の表面、すなわち剥離面)12a、13aが剥離処理された剥離フィルム12、13が設けられた、いわゆる両面セパレータ付フィルムである。ここで剥離フィルム12、13は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などの基材フィルムの表面12a、13aに、シリコーン樹脂などの剥離成分が塗布されることで剥離処理されたものである。
【0006】
図1のようなノンキャリアタイプの粘着フィルム10を使用して、反射防止フィルム、保護フィルムなどの表面フィルム21をパネル基材30の表面に貼着する場合には、通常、粘着層11の片面側の剥離フィルム12を剥がし、露出した粘着層11上に、図2(a)に示すように、まず、表面フィルム21を貼着する。その後、もう一方の剥離フィルム13を剥がし、露出した粘着層11上に、図2(b)に示すように、パネル基材30の表面を密着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−327160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明者の検討によれば、特許文献1に記載された粘着剤組成物を用いて、表面フィルム一体型の粘着フィルム20を製造し、これをパネル基材30の表面に貼着した場合には、高温高湿下における粘着フィルム20の透明性、視認性の低下を抑制する効果が一応認められた。しかしながら、この粘着剤組成物を用いて、図1のようなノンキャリアタイプの粘着フィルム10を製造し、図2のようにして表面フィルム21をパネル基材30の表面に貼着した場合には、高温高湿下において気泡が生成して白化が起き、透明性、視認性の低下が顕著であった。
すなわち、特許文献1に記載された粘着剤組成物は、表面フィルム一体型の粘着フィルム20の粘着層22に使用された場合には、透明性、視認性の低下に対して効果が得られたとしても、ノンキャリアタイプの粘着フィルム10の粘着層11に使用された場合には、そのような効果が得られるものではなかった。
【0009】
また、フラットパネルディスプレイ、タッチパネルなどのパネル基材に貼着される粘着フィルムの粘着層には、パネル基材に一旦貼着した後に、糊残りすることなく、剥離しやすいものであることも求められている。ところが、従来、ノンキャリアタイプの粘着フィルムにおいて、高温高湿下における透明性、視認性の低下が抑えられ、かつ、糊残りしにくい粘着フィルムは見出されていなかった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、パネル基材の表面に貼着されるノンキャリアタイプの粘着フィルムに使用された場合でも、高温高湿下における透明性、視認性の低下が抑制され、糊残りしにくいアクリル系粘着剤組成物と、これを用いた粘着フィルムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者が鋭意検討したところ、ノンキャリアタイプの粘着フィルムの粘着層と、この粘着層に貼着される表面フィルムとの密着性は、表面フィルム一体型の粘着フィルムにおける粘着層と表面フィルムとの密着性よりも低いことに想到した。そして、ノンキャリアタイプの粘着フィルムを使用した場合には、このように粘着層と表面フィルムとの密着性が低いために、これを用いて表面フィルムをパネル基材の表面に貼着した場合には、高温高湿下において透明性、視認性の低下が顕著となりやすいことを見出した。
【0012】
ノンキャリアタイプの粘着フィルムの粘着層と、この粘着層に貼着される表面フィルムとの密着性が、表面フィルム一体型の粘着フィルムにおける粘着層と表面フィルムとの密着性よりも低い理由は、次のように考えられる。
すなわち、ノンキャリアタイプの粘着フィルムを使用して、表面フィルムをパネル基材の表面に貼着する場合には、まず、この粘着フィルムの片側の剥離フィルムを剥がし、粘着層を露出させるが、この際、剥離フィルムを剥離することにより、露出した粘着層の表面は波打った凹凸状となりやすい。粘着層の表面が凹凸状となると、粘着層の表面とその上に設けられる表面フィルムとの接触面積が小さくなるため、これらの密着性が低下しやすい。
さらに、ノンキャリアタイプの粘着層には剥離フィルムが設けられるため、剥離フィルムの表面に塗布されたシリコーン樹脂などの剥離成分が粘着層に移行しやすい。その結果、粘着層の粘着性が低下して、より一層、粘着層の表面とその上に設けられる表面フィルムとの密着性が低下しやすくなる。特に、表面フィルムの材質として多用されているPETは、パネル基材の材質として多用されているポリカーボネートに比べて、アクリル系の粘着剤とは密着性が不十分となりやすい傾向にある。
これに対して、表面フィルム一体型の粘着フィルムの場合、粘着層に表面フィルムを直接貼着することが多いため、粘着層と表面フィルムとの密着性は非常に良好となる。
【0013】
そして、このようにノンキャリアタイプの粘着フィルムの粘着層と、この粘着層に貼着される表面フィルムとの密着性が低いと、高温高湿下において透明性、視認性の低下が顕著となりやすい理由は、次のように考えられる。
すなわち、ポリカーボネートなどのパネル基材からアウトガスが発生した場合、このアウトガスは、パネル基材の表面に密着性よく貼着された粘着層を透過して、粘着層と表面フィルムとの界面に到達し、そこで多数の微細な気泡を形成すると考えられる。この際、粘着層と表面フィルムとの密着性が低い場合には、多数の微細な気泡同士が容易に合体しやすく、その結果、大きな気泡が形成されるものと考えられる。
これに対して、表面フィルム一体型の粘着フィルムの場合、粘着層と表面フィルムとの密着性が高いため、アウトガスが粘着層と表面フィルムとの界面に到達し、そこで多数の微細な気泡を形成したとしても、気泡同士は容易には合体しにくい。そのため、大きな気泡は形成されにくいと考えられる。
大きな気泡が存在する場合には、微細な気泡が多数存在する場合にくらべて、透明性、視認性の低下が顕著となりやすい。
【0014】
そこで、本願発明者は、ノンキャリアタイプの粘着フィルムの粘着層を形成した場合でも、表面フィルムと良好に密着でき、糊残りもしにくい粘着剤組成物について検討した。
その結果、架橋剤として金属キレート系架橋剤と、エポキシ基を有する架橋剤とを併用し、これを特定のアクリル共重合体(A)に対して特定量配合したアクリル系粘着剤組成物によれば、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸エステルと、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーおよびヒドロキシル基含有モノマーとを含むモノマー混合物(a)を共重合した重量平均分子量が50万〜200万のアクリル共重合体(A)と、架橋剤(B)とを含有するアクリル系粘着剤組成物であって、前記アクリル共重合体(A)100質量部に対して、前記架橋剤(B)として金属キレート系架橋剤0.05〜1.6質量部と、エポキシ基を有する架橋剤0.05〜0.2質量部とが配合されたことを特徴とする。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、メタクリル酸シクロヘキシルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含むモノマー混合物(c)を共重合した共重合体(C)が、前記アクリル共重合体(A)100質量部に対して1〜40質量部配合されることが好ましい。
前記共重合体(C)は、前記メタクリル酸シクロヘキシルを40〜80質量%含む前記モノマー混合物(c)を共重合した重量平均分子量が2000〜30000の共重合体であることが好ましい。
本発明の粘着フィルムは、前記アクリル系粘着剤組成物からなる粘着層の両面に、表面が剥離処理された剥離フィルムが設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パネル基材の表面に貼着されるノンキャリアタイプの粘着フィルムに使用された場合でも、高温高湿下における透明性、視認性の低下が抑制され、糊残りしにくいアクリル系粘着剤組成物と、これを用いた粘着フィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の粘着フィルムを示す縦断面図である。
【図2】図1の粘着フィルムを使用して、表面フィルムをパネル基材の表面に貼着する様子を説明する断面図であり、図1の粘着フィルムに表面フィルムを貼着した状態(a)、さらにパネル基材を貼着した状態(b)である。
【図3】(a)表面フィルム一体型の粘着フィルムを示す断面図と、(b)(a)の粘着フィルムをパネル基材の表面に貼着した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
[アクリル系粘着剤組成物]
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、アクリル共重合体(A)と、架橋剤(B)とを含有する。
アクリル共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸エステルと、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーおよびヒドロキシル基含有モノマーとを含むモノマー混合物(a)を共重合したものであって、重量平均分子量が50万〜200万である。
なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸を意味する。
【0019】
ここで(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられ、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられ、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なヒドロキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)・メチルアクリレートなどが挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0020】
なかでも好ましいモノマー混合物(a)としては、十分に架橋反応が進行し、高い粘着力が得られやすいことから、(メタ)アクリル酸エステルとして(メタ)アクリル酸n−ブチルを含み、カルボキシル基含有モノマーとしてアクリル酸を含み、ヒドロキシル基含有モノマーとして(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルを含む混合物が挙げられる。
【0021】
モノマー混合物(a)における(メタ)アクリル酸エステルと、カルボキシル基含有モノマーと、ヒドロキシル基含有モノマーとの質量比率は、粘着力などの点から、(メタ)アクリル酸エステル85〜99質量%、カルボキシル基含有モノマー0.1〜10質量%、ヒドロキシル基含有モノマー0.1〜5質量%が好ましい。
【0022】
モノマー混合物(a)を共重合して得られるアクリル共重合体(A)は、重量平均分子量が50万〜200万である。ここで重量平均分子量が50万未満では、アクリル共重合体は凝集力が小さいものとなる。そのため、これを含むアクリル系粘着剤組成物からノンキャリアタイプの粘着フィルムを製造し、パネル基材などの基材上に反射防止フィルムなどの表面フィルムを貼着した場合、粘着層内部の凝集破壊により気泡が成長してしまい、高温高湿下における透明性、視認性の低下が大きくなる。また、一旦基材上に貼着された表面フィルムを剥離した際に、基材表面に粘着層が残存する、いわゆる「糊残り」が起こりやすいものとなる。一方、200万を超えると、アクリル共重合体の製造自体が困難となる。より好ましい重量平均分子量は、80万〜150万である。
【0023】
アクリル共重合体(A)は、例えば過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤を用いて、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合などの従来公知の重合方法により製造できる。
【0024】
本発明のアクリル系粘着剤組成物では、架橋剤(B)として、金属キレート系架橋剤と、エポキシ基を有する架橋剤とを併用する。
金属キレート系架橋剤と、エポキシ基を有する架橋剤とを併用することによって、アクリル系粘着剤組成物を用いてノンキャリアタイプの粘着フィルムを製造し、基材上に表面フィルムを貼着した場合に、粘着層と表面フィルムとの密着性を十分に高めることができる。その結果、高温高湿下において、これらの界面での気泡同士の合体を抑え、透明性、視認性の低下を抑制することができる。また、糊残りも起りにくくすることができる。
【0025】
架橋剤(B)のうち、金属キレート系架橋剤は、粘着層の表面での架橋反応をより進行させる作用を奏する。その結果、この表面に剥離フィルムが設けられても、剥離フィルムからの例えばシリコーン樹脂を含む剥離成分の粘着層への移行を防止することができる。剥離成分が粘着層に移行すると、粘着層の粘着力は低下してしまうため、このような移行を防止することにより、粘着層と表面フィルムとの密着性を十分に高め、これらの界面における気泡同士の合体を抑え、透明性、視認性の低下を抑制することができる。
一方、エポキシ基を有する架橋剤は、粘着層の内部など粘着層の全体の架橋反応を進行させ、アクリル共重合体(A)からなる粘着層全体としての粘着力を高めるように作用する。
特に、表面フィルムがPET製である場合、表面フィルムとアクリル系粘着剤組成物からなる粘着層との密着性は不十分となりやすいが、このように金属キレート系架橋剤とエポキシ基を有する架橋剤とを併用することにより、表面フィルムがPET製である場合でも、十分な密着性を確保することができる。
また、これらの使用量を制御することにより、糊残りも抑制できる。
【0026】
金属キレート系架橋剤としては、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものが挙げられる。多価金属原子としては、Al、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Tiなどが挙げられる。これらのなかでも、Al、Zr、Tiが好ましい。特にAlが着色が無く、透明性が良い点で好ましい。
また、共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子などが挙げられ、有機化合物としては、アルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物などが挙げられる。
具体的には、特に安定で取り扱いが容易なアルミニウムトリスアセチルアセトネートなどが好適に使用される。また、金属キレート系架橋剤としては、2種以上の化合物を併用してもよい。
【0027】
エポキシ基を含有する架橋剤としては、アクリル共重合体(A)を十分に架橋できることから、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが好適に使用される。その他には、例えば、N,N,N,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ビスフェノールA−エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリジジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミンなども使用でき、2種以上を併用してもよい。
【0028】
架橋剤(B)の配合量は、アクリル共重合体(A)100質量部(固形分)に対して、金属キレート系架橋剤は0.05〜1.6質量部、エポキシ基を含有する架橋剤は0.05〜0.2質量部である。より好ましくは、金属キレート系架橋剤は0.05〜0.8質量部、エポキシ基を含有する架橋剤は0.05〜0.15質量部である。
【0029】
金属キレート系架橋剤の配合量が上記範囲未満であると、剥離フィルムからの剥離成分の粘着層への移行を防止することが困難となる。また、エポキシ基を有する架橋剤の配合量が上記範囲未満であると、粘着層全体としての粘着力が不十分となる。その結果、いずれの場合でも、粘着層と表面フィルムとの界面における気泡同士の合体を抑制するほどには、これらを密着させることができなくなる。一方、金属キレート系架橋剤の配合量が上記範囲を超えると、粘着層表面の架橋反応が進行しすぎ、また、エポキシ基を含有する架橋剤の配合量が上記範囲を超えると、粘着層全体としての架橋反応が進行しすぎ、その結果、いずれの場合でも、粘着層は糊残りがしやすいものとなる。
【0030】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、さらに、共重合体(C)を含むことが好ましい。
共重合体(C)は、粘着付与剤(タッキファイヤ)として作用するものであって、メタクリル酸シクロヘキシルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含むモノマー混合物(c)を共重合したものである。これを配合することによって、得られるアクリル系粘着剤組成物は、表面フィルムとの密着性がより優れる粘着層を形成できるものとなる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシメチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルなどが挙げられ、2種以上を併用してもよい。
また、モノマー混合物(c)には、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸などのその他のモノマーが10質量%以下の範囲で含まれてもよい。
【0031】
特に、好ましい共重合体(C)としては、メタクリル酸シクロヘキシルを40〜80質量%含むモノマー混合物(c)を共重合したものであって、かつ、質量平均分子量が2000〜30000である共重合体が挙げられる。
このような共重合体(C)は、アクリル系共重合体(A)への相溶性が良好であり、そのため、粘着層の透明性を確保することができる。ここで、モノマー混合物(c)中におけるメタクリル酸シクロヘキシルの量が40〜80質量%の範囲外では、アクリル系共重合体(A)への相溶性が低下して粘着層の透明性に影響を与え、パネル基材への使用には適さなくなる場合がある。また、重量平均分子量が2000未満では、製造自体が難しく、また、粘着層の凝集力を低下させてしまう。一方、30000を超えると、アクリル系共重合体(A)への相溶性が低下し、粘着層の透明性に影響を与える傾向にある。
【0032】
共重合体(C)は、アクリル共重合体(A)100質量部(固形分)に対して1〜40質量部(固形分)配合されることが好ましい。ここで共重合体(C)の配合量が上記範囲未満であると、配合の効果が得られにくく、上記範囲を超えると、アクリル系共重合体(A)への相溶性が低下し、粘着層の透明性に影響を与える場合がある。
【0033】
共重合体(C)は、例えば過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤を用いて、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合などの従来公知の重合方法により製造できる。
【0034】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上記アクリル共重合体(A)と、架橋剤(B)と、任意成分である共重合体(C)と、さらに必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、濡れ性調製剤等など添加剤を混合することにより製造できる。また、アクリル系粘着剤組成物は、通常、アクリル共重合体(A)や共重合体(C)の製造工程に由来した溶媒を含有するが、さらに適当な溶媒が加えられ、粘着層を形成するのに適した粘度となるように希釈されたものであってもよい。
【0035】
[粘着フィルム]
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、各種用途に使用でき、例えば、図3(a)に示すような表面フィルム一体型の粘着フィルム20の粘着層22にも使用できるが、特に、図1に示すように、粘着層11の両面に、表面が剥離処理された剥離フィルム12、13が設けられたノンキャリアタイプの粘着フィルム10に好適に使用される。ノンキャリアタイプの粘着フィルム10は、表面フィルムをあらかじめ具備したものではないため、需要に応じて、貼着させる表面フィルムの種類をその都度選択できる。よって、在庫管理などの点で非常にメリットがある。一方、ノンキャリアタイプの粘着フィルムは、上述したように、表面フィルム一体型のものにくらべて、高温高湿下において粘着層と表面フィルムとの界面で大きな気泡が形成されやすく、透明性、視認性の低下が顕著となりやすい傾向にある。その点、本発明のアクリル系粘着剤組成物によれば、ノンキャリアタイプの粘着フィルム10の粘着層11を形成した場合でも、高温高湿下における透明性、視認性の低下を抑制でき、糊残りも起りにくい。
【0036】
ノンキャリアタイプの粘着フィルム10を製造する場合には、まず、表面12aが剥離処理された剥離フィルム12を用意し、この表面12aに、アクリル系粘着剤組成物を塗布する。その後、塗布されたアクリル系粘着剤組成物を80〜130℃で加熱して、溶媒を除去、乾燥するとともに、架橋反応を進行させ、粘着層11を形成する。ここで粘着層11の厚みには特に制限はないが、25〜150μmの範囲が好ましい。
ついで、形成された粘着層11の上に、表面13aが剥離処理された別の剥離フィルム13を表面13aが粘着層11に接するように配置し、貼り合わせることにより、ノンキャリアタイプの粘着フィルム10を製造することができる。
【0037】
ここで剥離フィルム12、13としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類、剥離処理したPETなどが使用される。特にPETからなる基材フィルムの表面12a、13aに、シリコーン樹脂などを含む剥離成分が塗布されたものが好適に使用される。剥離フィルム12、13の厚みは、通常20〜125μm程度である。
【0038】
こうして製造された図1のようなノンキャリアタイプの粘着フィルム10を用いて、反射防止フィルム、保護フィルムなどの表面フィルム21をフラットパネルディスプレイ、タッチパネルなどのパネル基材30の表面に貼着する場合には、粘着層11の片面側の剥離フィルム12を剥がし、露出した粘着層11上に、図2(a)に示すように、まず、表面フィルム21を貼着する。その後、もう一方の剥離フィルム13を剥がし、露出した粘着層11上に、図2(b)に示すように、パネル基材30の表面を密着させればよい。
【0039】
このように本発明のアクリル系粘着剤組成物からなる粘着層11により、表面フィルム21が貼着されたパネル基材30においては、粘着層11と表面フィルム21との密着性が非常に優れる。そのため、このパネル基材30を高温高湿下におき、パネル基材からアウトガスが発生するなどし、これらの界面に多数の微細な気泡が形成された場合でも、多数の微細な気泡同士の合体が起こりにくい。そのため、透明性、視認性の低下を抑制することができる。また、このような粘着層11は、密着性が十分でありながら、糊残りも起りにくい。そのため、例えば、表面フィルムの貼替えなども良好に行うことができる。
【0040】
なお、本発明のアクリル系粘着剤組成物は、反射防止フィルム、保護フィルムといった表面フィルムの貼着に適しているが、例えば、偏光子フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、プリズムシート、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルムなどの光学用フィルムなどを貼着する際に使用されてもよく、制限はない。また、これらの材質としてもPETが使用される場合が多いが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどでもよく、制限はない。
基材としては、透明性などの点から、ポリカーボネートが使用される場合が多いが、例えば、トリアセチルセルロールなどのセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などでもよく、制限はない。
【実施例】
【0041】
以下、本発明について、具体例を挙げて説明する。
[アクリル共重合体(A)]
表1に示す各モノマー混合物(a)を以下のように共重合して、アクリル共重合体(A1)〜(A3)を製造した。
【0042】
(1)アクリル共重合体(A1)の製造
n−ブチルアクリレート(BA:アクリル酸ブチル)98質量部、アクリル酸1質量部、2−ヒドロキシルエチルアクリレート(2HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル)1質量部、酢酸エチル100質量部、過酸化ベンゾイル0.1質量部を反応容器に入れた。ついで、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気中、攪拌下で、反応容器内の反応溶液を75℃まで昇温し、12時間反応させた。
反応後、反応容器内の液を酢酸エチルで希釈し、固形分25質量%に調整し、粘度5000mPa・s、重量平均分子量100万のアクリル共重合体(A1)の溶液を得た。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定を行い、ポリスチレン換算での数値とした。
【0043】
(2)アクリル共重合体(A2)の製造
n−ブチルアクリレート98質量部、アクリル酸1質量部、2−ヒドロキシルエチルアクリレート(2HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル)1質量部、トルエン100質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部を反応容器に入れた。ついで、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気中、攪拌下で、反応容器内の反応溶液を75℃まで昇温し、12時間反応させた。
反応後、反応容器内の液を酢酸エチルで希釈し、固形分25質量%に調整し、粘度1000mPa・s、重量平均分子量40万のアクリル共重合体(A2)の溶液を得た。
【0044】
(3)アクリル共重合体(A3)の製造
n−ブチルアクリレート100質量部、酢酸エチル100質量部、過酸化ベンゾイル0.1質量部を反応容器に入れた。ついで、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気中、攪拌下で、反応容器内の反応溶液を75℃まで昇温し、12時間反応させた。
反応後、反応容器内の液を酢酸エチルで希釈し、固形分25質量%に調整し、粘度4000mPa・s、重量平均分子量100万のアクリル共重合体(A3)の溶液を得た。
【0045】
[共重合体(C)]
表2に示す各モノマー混合物(c)を以下のように共重合して、共重合体(C1)〜(C6)を製造した。
(4)共重合体(C1)の製造
メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)80質量部、メタクリル酸メチル(MMA)20質量部、トルエン100質量部、アゾビスイソブチロニトリル10質量部を反応容器に入れた。ついで、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気中、攪拌下で、反応容器内の反応溶液を100℃まで昇温し、5時間反応させた。
反応後、反応容器内の液をトルエンで希釈し、固形分30質量%に調整し、粘度200mPa・s、重量平均分子量4000のアクリル共重合体(C1)の溶液を得た。
【0046】
(5)共重合体(C2)の製造
メタクリル酸シクロヘキシルを40質量部、メタクリル酸メチル60質量部とした以外は、上記共重合体(C1)の製造と同様にして、固形分30質量%、粘度300mPa・s、重量平均分子量4000のアクリル共重合体(C2)の溶液を得た。
【0047】
(6)共重合体(C3)の製造
メタクリル酸シクロヘキシルを20質量部、メタクリル酸メチル80質量部とした以外は、上記共重合体(C1)の製造と同様にして、固形分30質量%、粘度400mPa・s、重量平均分子量4000のアクリル共重合体(C3)の溶液を得た。
【0048】
(7)共重合体(C4)の製造
メタクリル酸シクロヘキシル80質量部、メタクリル酸メチル20質量部、トルエン100質量部、アゾビスイソブチロニトリル1質量部を反応容器に入れた。ついで、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気中、攪拌下で、反応容器内の反応溶液を90℃まで昇温し、5時間反応させた。
反応後、反応容器内の液をトルエンで希釈し、固形分30質量%に調整し、粘度800mPa・s、重量平均分子量3万のアクリル共重合体(C4)の溶液を得た。
【0049】
(8)共重合体(C5)の製造
メタクリル酸メチルを17質量部に減らした代わりに、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)を3質量部使用した。それ以外は、上記共重合体(C1)の製造と同様にして、固形分30質量%、粘度200mPa・s、重量平均分子量4000のアクリル共重合体(C5)の溶液を得た。
【0050】
(9)共重合体(C6)の製造
メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの代わりに、メタクリル酸(MAA)を3質量部使用した。それ以外は、上記共重合体(C5)の製造と同様にして、固形分30質量%、粘度300mPa・s、重量平均分子量4000のアクリル共重合体(C6)の溶液を得た。
【0051】
[実施例1]
表3に示す配合により、アクリル系粘着剤組成物を製造した。表中の数値は、固形分の質量部である。
なお、架橋剤(B)には、金属キレート系架橋剤として、川研ファインケミカル社製のアルミニウムトリスアセチルアセトネート(表中、アルミキレートA(W)と表記。)を使用し、エポキシ基を有する架橋剤として、三菱瓦斯化学社製の1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(表中、TETRAD−Cと表記。)を使用した。
ついで、シリコーン樹脂を含む剥離成分により剥離処理された軽剥離タイプの剥離PETフィルム(厚さ38μm)の剥離面に、製造されたアクリル系粘着剤組成物を乾燥後の厚み(形成された粘着層としての厚み)が50μmとなるように塗布し、100℃で溶媒を除去して乾燥するとともに架橋反応させ、粘着層を形成した。
ついで、この粘着層上に、シリコーン樹脂を含む剥離成分により剥離処理された重剥離タイプの剥離PETフィルム(厚み38μm)を剥離面側が粘着層に接するように貼り合わせ、23℃、50%RHで7日間放置し、粘着層の両面に、表面(剥離面)が剥離処理された剥離フィルムが設けられたノンキャリアタイプの粘着フィルムを得た。なお、軽剥離、重剥離とは、剥離しやすさの程度であり、軽剥離は、重剥離よりも剥離しやすいことを意味する。
【0052】
得られた粘着フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
(1)耐気泡性
粘着フィルムを50mm×50mmに裁断した後、軽剥離タイプの剥離PETを剥がし、光学用のPET製表面フィルムを貼着した。その後、これを23℃、50%RHで24時間放置した。その後、重剥離タイプの剥離PETを剥がし、厚さ1mmのポリカーボネート基材に貼り合わせて、24時間静置した。
このようにして、粘着層を介して基材表面に光学用のPET製表面フィルムが貼着された積層体を得た。
この積層体を80℃、95%RHで48時間放置した後、23℃、50%RHで24時間放置して、積層体の表面における気泡生成の様子をルーペで観察した。
耐気泡性について、以下の4段階で評価した。
◎:直径0.5mm以上の気泡が観察されない。
○:直径0.5mm以上の気泡がわずかに観察される。
△:直径0.5mm以上の気泡が部分的に観察される。
×:直径0.5mm以上の気泡が表面のほぼ全面に観察される。
【0053】
(2)糊残りの評価方法
粘着フィルムを25mm×100mmに裁断し、その後は耐気泡性の評価と同一の条件で積層体を作製した。そして、23℃、50%RHの雰囲気下、粘着フィルムを剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件で剥離し、基材側への糊残りを目視にて確認した。
○:糊残り無し
△:僅かに糊残り有り
×:全面に糊残り有り
【0054】
(3)粘着層の透明性
粘着フィルムを50mm×50mmに裁断した後、軽剥離タイプの剥離PETを剥がし、光学用のPET製表面フィルムを貼着した。その後、これを23℃、50%RHで24時間放置した。その後、重剥離PETを剥がし、厚さ2mmのガラス板に貼り合わせて24時間静置し、透明性評価用の積層体を得た。
次に、光学用のPET製表面フィルム、ガラス板および透明性評価用の積層体について、ヘイズメーター(村上色彩研究所製、HM−65W)でヘイズ値(曇り度)を測定し、下記の式で粘着層のヘイズ値を算出した。
粘着層のヘイズ値=(透明性評価用の積層体のヘイズ値)−(光学用のPET製表面フィルムのヘイズ値+ガラス板のヘイズ値)
得られた粘着層のヘイズ値を以下の3段階で評価した。
○:ヘイズ値 0.1〜0.5
△:ヘイズ値 0.6〜0.9
×:ヘイズ値 1以上
【0055】
[実施例2〜13、比較例1〜10]
表3および4に示す配合により、アクリル系粘着剤組成物を製造した。
そして、実施例1と同様にして粘着フィルムおよび積層体を製造し、同様に評価した。
結果を表3および4に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【符号の説明】
【0060】
10 (ノンキャリアタイプの)粘着フィルム
11 粘着層
12、13 剥離フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステルと、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーおよびヒドロキシル基含有モノマーとを含むモノマー混合物(a)を共重合した重量平均分子量が50万〜200万のアクリル共重合体(A)と、
架橋剤(B)とを含有するアクリル系粘着剤組成物であって、
前記アクリル共重合体(A)100質量部に対して、前記架橋剤(B)として金属キレート系架橋剤0.05〜1.6質量部と、エポキシ基を有する架橋剤0.05〜0.2質量部とが配合されたことを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
【請求項2】
メタクリル酸シクロヘキシルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含むモノマー混合物(c)を共重合した共重合体(C)が、前記アクリル共重合体(A)100質量部に対して1〜40質量部配合されたことを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項3】
前記共重合体(C)は、前記メタクリル酸シクロヘキシルを40〜80質量%含む前記モノマー混合物(c)を共重合した重量平均分子量が2000〜30000の共重合体であることを特徴とする請求項2に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載されたアクリル系粘着剤組成物からなる粘着層の両面に、表面が剥離処理された剥離フィルムが設けられたことを特徴とする粘着フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−32350(P2011−32350A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179158(P2009−179158)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000224123)藤倉化成株式会社 (124)
【Fターム(参考)】