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アサリの遺伝子変異検出方法
説明

アサリの遺伝子変異検出方法

【課題】アサリの遺伝子変異検出方法および当該方法を用いたアサリの種または産地の判別方法の提供。
【解決手段】アサリのミトコンドリア遺伝子および/核遺伝子のマイクロサテライト領域を比較することで、アサリの遺伝子変異が検出できることを見出し、アサリの遺伝子変異検出方法の提供を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アサリのミトコンドリア遺伝子および/または核遺伝子のマイクロサテライト領域の比較による遺伝子変異検出方法、および当該方法を用いたアサリの種または産地の判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アサリは日本における代表的な二枚貝であり、広く食されている。しかし、2006年の国内生産量が37,370トンであるのに対して、海外からの輸入量が42,095トンであり、市場で販売されているアサリの半数以上が輸入品であるのが現状となっている。このアサリの主な輸入先は中国(36,087トン)、韓国(5,237トン)、北朝鮮(771トン)であり、この3国で輸入量のほぼ100%を占めている。
近年、国民の食の安心・安全に対する意識の高まりから、改正JAS法による原材料並びに産地表示が義務付けられている。しかし、市場で販売されているアサリの産地表示はそのほとんどが国内産地とされており、適正な表示がされていない可能性が考えられる。
【0003】
そこで、適正なアサリの流通が行われるよう、ミトコンドリア遺伝子および/または核遺伝子のマイクロサテライト領域を比較したところ、本発明者らは、アサリのみに存在するミトコンドリア遺伝子のNo−code2(以下、NC−2とする)領域やアサリのみに特徴的な変異があるチトクロームC オキシダーゼ サブユニットII(Cytocrome C oxidase subunitII(以下、COIIとする))等の検出や、アサリの核遺伝子の違いから、これらの遺伝子変異を検出することで、種や産地の判別ができることを見出した。
遺伝子の違いを比較することによって、魚介類の種を判別する方法としては、rRNAの介在配列を用いて行う日本産サバ属の種判別方法や、ミトコンドリアのシトクロムb遺伝子の塩基配列を用いたフグ種同定方法等が開発されている(例えば、特許文献1,2参照)。しかし、アサリを対象とした種並びに産地間の遺伝子変異の検出方法は十分に開発されておらず、その提供が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−254853号公報
【特許文献2】特開2002−345498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アサリの遺伝子変異検出方法の提供を課題とする。さらに詳しくは、アサリのミトコンドリア遺伝子および/または核遺伝子のマイクロサテライト領域の比較による遺伝子変異検出方法、および当該方法を用いたアサリの種または産地の判別方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、アサリのミトコンドリア遺伝子および/または核遺伝子のマイクロサテライト領域が、アサリの種や産地によって異なることを見出し、その部分を比較することで、アサリの遺伝子変異が検出できることを見出した。
そこで、アサリのミトコンドリア遺伝子および/または核遺伝子のマイクロサテライト領域を、PCR法、PCR−RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)法、ハプロタイプ解析あるいはマイクロサテライト解析をいずれかまたは組合せて行うことによるアサリの遺伝子変異検出方法を開発し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は次の(1)〜(8)のアサリの遺伝子変異検出方法等に関する。
(1)ミトコンドリア遺伝子および/または核遺伝子のマイクロサテライト領域を比較することによるアサリの遺伝子変異検出方法。
(2)PCR法、PCR−RFLP法、リアルタイムPCR法、マイクロサテライト解析あるいはハプロタイプ解析をいずれかまたは組合せて行う上記(1)に記載のアサリの遺伝子変異検出方法。
(3)次の1〜26から選ばれる1以上のミトコンドリア遺伝子領域を比較する上記(1)または(2)に記載のアサリの遺伝子変異検出方法、
1.チトクロームC オキシダーゼ サブユニットI(Cytocrome C oxidase subunit I)、
2.チトクロームC オキシダーゼ サブユニットII(cytochrome C oxidase subunit II)、
3.チトクロームC オキシダーゼ サブユニットIII(cytochrome C oxidase subunit III)、
4.チトクローム b(cytochrome b)、
5.12SリボゾームRNA(12S ribosomal RNA)、
6.16SリボゾームRNA(16S ribosomal RNA)、
7.No−code1(NC−1)、
8.No−code2(NC−2)、
9.ATP シンターゼ F0 サブユニット 6(ATP synthase F0 subunit 6)、
10.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 1(NADH dehydrogenase subunit 1)、
11.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 2(NADH dehydrogenase subunit 2)、
12.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 3(NADH dehydrogenase subunit 3)、
13.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 4(NADH dehydrogenase subunit 4)、
14.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 4L(NADH dehydrogenase subunit 4L)、
15.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 5(NADH dehydrogenase subunit 5)、
16.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 6(NADH dehydrogenase subunit 6)、
17.tRNA−Gly、
18.tRNA−His、
19.tRNA−Ile、
20.tRNA−Lys、
21.tRNA−Met(1)、
22.tRNA−Met(2)、
23.tRNA−Phe、
24.tRNA−Pro、
25.tRNA−Tyrまたは、
26.tRNA−Val。
(4)配列表配列番号109〜131に示される1以上の核遺伝子のマイクロサテライト領域を比較する上記(1)または(2)に記載のアサリの遺伝子変異検出方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の遺伝子変異検出方法を用いるアサリ種の判別方法。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の遺伝子変異検出方法を用いるアサリの産地判別方法。
(7)ミトコンドリア遺伝子を比較した後、さらに核遺伝子のマイクロサテライト領域を比較する上記(6)に記載のアサリの産地判別方法。
(8)アサリの遺伝子変異検出に用いる配列表配列番号132〜179のいずれかに示されるプライマー。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアサリの遺伝子変異検出方法を用いることにより、アサリやアサリを原料としている食品等を対象として、アサリの種や産地を判別することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】産地が異なるアサリにおけるミトコンドリア遺伝子の遺伝子変異を示した図である。
【図2】アサリの各産地の系統関係を示した図である(実施例1)。
【図3】アサリ種の判別結果を示した図である(実施例2)。
【図4】ミトコンドリア遺伝子によるアサリ産地の判別結果を示した図である(実施例3)。
【図5】核遺伝子のマイクロサテライト領域におけるフラグメント解析を示した図である(実施例4)。
【図6】各産地由来アサリの各バンドの出願頻度を示した図である(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の「アサリの遺伝子変異検出方法」は、アサリのミトコンドリア遺伝子および/またはミトコンドリア遺伝子のマイクロサテライト領域を比較して、その塩基配列の違いを調べることで、アサリの遺伝子変異を検出する方法である。
【0011】
本発明の「遺伝子変異検出方法」に用いるミトコンドリア遺伝子は、アサリとアサリ以外の魚介類や、アサリの産地の違いによって、塩基配列の違いが明確な領域を含むものであればいずれのミトコンドリア遺伝子も用いることができ、塩基配列の違いが1塩基置換等の最小限のものであっても比較の対象とすることができる。
例えば、このような領域として、1.COI、2.COII、3.COIII、4.チトクローム b(cytochrome b)、5.12SリボゾームRNA(12S ribosomal RNA)、6.16SリボゾームRNA(16S ribosomal RNA)、7.NC−1、8.NC−2、9.ATP シンターゼ F0 サブユニット 6(ATP synthase F0 subunit 6)、10.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 1(NADH dehydrogenase subunit 1)、11.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 2(NADH dehydrogenase subunit 2)、12.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 3(NADH dehydrogenase subunit 3)、13.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 4(NADH dehydrogenase subunit 4)、14.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 4L(NADH dehydrogenase subunit 4L)、15.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 5(NADH dehydrogenase subunit 5)、16.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 6(NADH dehydrogenase subunit 6)、17.Transfer−RNA(以下、tRNAとする)−Gly、18.tRNA−His、19.tRNA−Ile、20.tRNA−Lys、21.tRNA−Met(1)、22.tRNA−Met(2)、23.tRNA−Phe、24.tRNA−Pro、25.tRNA−Tyrまたは26.tRNA−Val等の領域が挙げられる。このうち、特にアサリのみに存在が知られているNC−2領域やアサリのみに特徴的な変異があるCOIIを含む遺伝子を比較することが好ましい。
産地が異なるアサリにおける、これらのミトコンドリア遺伝子についての遺伝子変異の一例を図1に示した。図1において、赤文字は北海道産、青文字は韓国南部産、オレンジ文字は中国産(1型)、緑文字は中国産(2型)のアサリのそれぞれのミトコンドリア遺伝子を示し、塩基Aを黄色、Tを緑色、Gを水色およびCを灰色でマーカーした。また、赤文字の北海道産を基準として、配列に番号を付けた。これらのミトコンドリア遺伝子の塩基配列は配列表配列番号1〜108に示した。
【0012】
また、本発明の「遺伝子変異検出方法」に用いる核遺伝子のマイクロサテライト領域は、産地の異なるアサリごとに、塩基繰り返し数が異なる明確な領域を含むものであればいずれも用いることができる。このような領域としては、配列表配列番号109〜131に示される1以上の核遺伝子のマイクロサテライト領域等が挙げられる。
【0013】
本発明の「アサリの遺伝子変異検出方法」は、ミトコンドリア遺伝子を対象としたPCR法、PCR−RFLP法、ハプロタイプ解析あるいはマイクロサテライト解析、ダイレクトシークエンス、AS−PCR法、リアルタイムPCR法等の従来知られている遺伝子解析手法を用いて行うことができる。これらの手法は単独でも行うことができるが、組合せることで、より高度なアサリの遺伝子変異の検出を行うこともできる。
【0014】
本発明の「アサリの遺伝子変異検出方法」は、「アサリ種の判別方法」または「アサリの産地判別方法」に用いることができる。
本発明の「アサリ種の判別方法」とは、アサリとアサリ以外の魚介類とのミトコンドリア遺伝子の比較により、アサリ種を特定することをいう。
また、本発明の「アサリの産地判別方法」とは、ミトコンドリア遺伝子の比較および/または核遺伝子のマイクロサテライト領域の比較によりアサリの産地を特定することをいう。
この「アサリの産地判別方法」においては、「アサリの遺伝子変異検出方法」において行ういずれの方法も用いることができるが、例えば、ミトコンドリア遺伝子を対象とした解析によって産地を判別した後、さらに、核遺伝子のマイクロサテライト領域の解析を組合せることで、産地判別の精度をさらに挙げることができる。
例えば、中国産、韓国産および国内産アサリの判別をする場合に、ミトコンドリア遺伝子を対象とした解析によって、中国産のアサリと韓国産のうち朝鮮半島西岸産と、韓国産のうち朝鮮半島南岸産と東岸産または国内産のアサリとの判別を行い、さらに、核遺伝子のマイクロサテライト解析によって、韓国産のアサリのうち朝鮮半島東岸産、南岸産のアサリと、国内の各地産のアサリとの判別を行うことができる。
【0015】
本発明の「アサリの遺伝子変異検出方法」は、対象となる遺伝子が検出できるものであれば、例えば活アサリ、生鮮アサリ、加熱アサリ、アサリを原料に含む加工品等のいずれのものも試料として用いることができる。
また、アサリを試料として遺伝子を抽出する場合、遺伝子が抽出できる部位であればいずれの部位からも抽出でき、例えば、閉殻筋(貝柱)、斧足、外套膜等から抽出できる。
【0016】
本発明の「アサリの遺伝子変異検出方法」には、ミトコンドリア遺伝子の塩基配列の違いを調べるために、プライマーを用いることができる。このようなプライマーは、対象とする遺伝子の塩基配列の違いを調べることができるものであればいずれのものも用いることができ、たとえば配列表配列番号132〜179に示されるプライマー等が挙げられる。
【0017】
PCR−RFLPによって本発明の「アサリの遺伝子変異検出方法」を行う場合には、いずれの制限酵素も用いることができるが、例えば、EcoRV、MboII等を用いることが好ましい。
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
<アサリの遺伝子変異検出方法>
1)試料の調製
アサリの殻を開けて採取した25mg程度の閉殻筋(貝柱)を試料として、DNA抽出キット(Qiagen社、DNeasy Tissue Kit)と、TE bufferを最終溶出用に用いてDNAを抽出した。活アサリ、生鮮アサリの殻を開けるのが困難な場合は、アサリを凍結後解凍したものを用いて、閉殻筋(貝柱)を採取した。
採取した閉殻筋(貝柱)を1.5mL容チューブに入れ、180μLのBuffer ATLおよび、20μLのProteinase Kを添加後、15秒間撹拌した後、インキュベーターで55℃に保温し、試料が完全に溶解するまで2時間以上放置した。この際、30分毎に攪拌を行った。
これに100mg/mLのRNase Aを4.0μL添加し、15秒間撹拌後、室温で2分間静置した。その後200μLのBuffer ALを添加し、15秒間撹拌後、インキュベーターを用いて70℃で10分間加熱した。200μLの100%エタノールを添加し、15秒間撹拌した後、溶液全量をDNeasy mini columnに負荷し、カラムを6,000×g(室温)で1分間遠心した。溶出液は廃棄し、カラムを新しい2mLチューブに移した。
これにBuffer AW1を500μL加え、6,000×g(室温)で1分間遠心した。溶出液は廃棄し、カラムを新しい2mLチューブに移した。さらにBuffer AW2を500μL加え、12,000×g(室温)で3分間遠心した。溶出液は廃棄し、カラムを新しい2mLチューブに移した。
これにあらかじめ70℃に加熱したTE Bufferを200μL加え、室温で1分間静置後、6,000×g(室温)で1分間遠心し、DNAを溶出した。この溶出液をそのままDNA試料としてPCRに用いた。すぐに使用しない場合は−20℃に保存した。
【0019】
2)プライマーセットの作成
A.ミトコンドリア遺伝子の比較用プライマー
アサリ(北海道産、九州産、中国産、大韓民国南岸産)を試料として、上記1)と同様に、DNAを得た。それぞれの試料に含まれるミトコンドリア遺伝子の全長解析を行い、各塩基置換を比較・検討して、変異する部分を見出した。中国産のアサリはミトコンドリア遺伝子の解析により2つの型が存在することが確認されたので、それぞれについて全長解析を行った。これらの結果から推定された各産地の系統関係を図2に示した。それぞれの産地の塩基配列を比較・検討した結果、中国産2型に特異的な塩基配列が複数存在することが明らかとなった。
これによって得られたミトコンドリア遺伝子の塩基配列の情報に基き、アサリに種特異的なCO2領域を選択し、その領域内で中国産2型に特有な遺伝子変異がコードされている領域を元に、プライマーを設計した(表1)。これらをシグマジェノティクス社に発注してプライマーの合成を行った。
【0020】
【表1】

【0021】
B.核遺伝子のマイクロサテライト領域用プライマー
アサリ(北海道産、九州産、中国産、大韓民国南岸産)を試料として、上記1)と同様に、DNAを得た。それぞれの試料に含まれる核遺伝子のマイクロサテライト領域の特定を行い、その領域を含むプライマーを設計し、多型が認められるマーカーを見出した。
これによって得られたマイクロサテライト領域を検査するためのプライマーを設計した(表2)。これらをシグマジェノティクス社に発注して、プライマーの合成を行った。各プライマーセットの認識配列は表3に示した。
【0022】
【表2】

【0023】
【表3−1】

【表3−2】

【0024】
3)ミトコンドリア遺伝子の比較(PCR法)によるアサリの遺伝子変異検出方法
上記2)によって作成したプライマーとPCR試薬(タカラバイオ社)およびサーマルサイクラーを用いてPCRを行った。PCR反応液の組成を表4に示し、反応条件を表5、6に示した。
増幅されたPCR産物の確認を、アガロースゲル(3%(w/v))電気泳動によって行い、アサリの遺伝子変異を検出した。
【0025】
【表4】

【0026】
【表5】

【0027】
【表6】

【0028】
4)ミトコンドリア遺伝子の比較(PCR−RFLP法)によるアサリの遺伝子変異検出方法
上記3)で得たPCR産物を制限酵素EcoRV(New England Biolabs社)でそれぞれ処理した。表7の組成で調製した制限酵素反応液を37℃で1.5時間以上静置して酵素反応を行った。その後、ただちにアガロースゲル(3%(w/v))電気泳動を行い、アサリの遺伝子変異を検出した。
【0029】
【表7】

【0030】
5)核遺伝子のマイクロサテライト領域の比較(マイクロサテライト解析)による遺伝子変異検出方法
上記3)で得たPCR産物について電気泳動装置またはDNAシ−クエンサ−によってフラグメント解析を行い、バンドサイズを決定した。そのデ−タをもとにFisher’s exact test,ペアワイズFST・RST,AMOVA検定をGENEPOP*,Arlequin**を用いて実施し,各海域の集団間の遺伝的分化について有意差判定することで、産地判定を行った。
*,Raymond M, Rousset F: GENEPOP version 3.: population genetics software for exact tests and ecumenicism. J Heredity 86: 248−249, 1995.
**,Excoffier L, Laval G, Schneider S: Arlequin version 3.0: an integrated software package for population genetics data analysis. Evol Bioinfor Online 1: 47−50, 2005.
【実施例2】
【0031】
<アサリ種の判別方法>
実施例1に記載の遺伝子変異検出方法のうちミトコンドリア遺伝子の比較によってアサリ種の判別を行った。
試料としてアサリ、アサリと同属のヒメアサリ、加工食品材料として輸入量の多いイヨスダレガイ、アケガイおよびタイワンハマグリを用い、実施例1、1)の方法でそれぞれの試料を調製した。プライマーセットASNC21(表1)を用い、PCR条件(A)でPCRを行った。得られたPCR産物をアガロースゲル(3%(w/v))電気泳動し、アサリ種の判別を行った。
その結果、図3に示すように、アサリ試料ではPCRによる増幅が確認されたが、ヒメアサリ、イヨスダレガイ、アケガイおよびタイワンハマグリではいずれもバンドが観察されなかった。従って、この方法によって、アサリ種の判別ができることが確認された。
【実施例3】
【0032】
<ミトコンドリア遺伝子によるアサリ産地の判別方法>
実施例1に記載の遺伝子変異検出方法のうちミトコンドリア遺伝子の比較によってアサリ産地の判別を行った。
試料として中国産、朝鮮半島西岸産アサリおよび国内産アサリを用い、実施例1、1)の方法でそれぞれの試料を調製した。プライマーセットASNC21(表1)を用い、PCR条件(B)でPCRを行った。
得られたPCR産物を用い、実施例1、4)の方法で制限酵素EcoRV(New England Biolabs社)処理した後、アガロ−スゲル(3%(w/v))電気泳動を行い、アサリ産地の判別を行った。
その結果、図4に示すように、中国産アサリ試料および国内産アサリ試料では、異なった位置にバンドが示されたことから、このバンドの位置によって、これらの産地の判別ができることが確認された。
【実施例4】
【0033】
<核遺伝子のマイクロサテライト領域によるアサリ産地の判別方法>
実施例1に記載の遺伝子変異検出方法のうち核遺伝子のマイクロサテライト領域を用いた方法によってアサリ産地の判別を行った。
試料として、朝鮮半島東岸産アサリ、朝鮮半島南岸産アサリおよび国内産アサリを用い、実施例1、1)の方法でそれぞれの試料を調製した。プライマーセットRP−A16(表2)を用い、PCR条件(B)でPCRを行った。
得られたPCR産物を用い、実施例1、5)の方法でフラグメント解析を行った。図5に示された164、166、168、170,172の各サイズのバンドについて、それぞれの出現頻度を各産地由来アサリにおけるバンドの出願頻度(図6)と比較することで、産地の判別を行った。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の方法によって、アサリの遺伝子変異を検出することで、アサリやアサリを原料としている食品等を対象として、アサリの種や産地を判別することができる。本発明の方法は、アサリを使用した食品の原材料判別並びにアサリの産地の検査等に用いることができ、アサリの適正な流通のために有用である。
【図1−1a】

【図1−1b】

【図1−1c】

【図1−1d】

【図1−1e】

【図1−2a】

【図1−2b】

【図1−2c】

【図1−2d】

【図1−2e】

【図1−2f】

【図1−2g】

【図1−3a】

【図1−3b】

【図1−4a】

【図1−4b】

【図1−4c】

【図1−5a】

【図1−5b】

【図1−5c】

【図1−5d】

【図1−6a】

【図1−6b】

【図1−6c】

【図1−6d】

【図1−7a】

【図1−7b】

【図1−7c】

【図1−7d】

【図1−7e】

【図1−8a】

【図1−8b】

【図1−8c】

【図1−8d】

【図1−8e】

【図1−9a】

【図1−9b】

【図1−9c】

【図1−9d】

【図1−9e】

【図1−9f】

【図1−9g】

【図1−10a】

【図1−10b】

【図1−10c】

【図1−11a】

【図1−11b】

【図1−11c】

【図1−12a】

【図1−12b】

【図1−12c】

【図1−13a】

【図1−13b】

【図1−14a】

【図1−14b】

【図1−14c】

【図1−14d】

【図1−15a】

【図1−15b】

【図1−16a】

【図1−16b】

【図1−16c】

【図1−16d】

【図1−16e】

【図1−17a】

【図1−17b】

【図1−18】

【図1−19】

【図1−20】

【図1−21】

【図1−22】

【図1−23】

【図1−24】

【図1−25】

【図1−26】

【図1−27】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミトコンドリア遺伝子および/または核遺伝子のマイクロサテライト領域を比較することによるアサリの遺伝子変異検出方法。
【請求項2】
PCR法、PCR−RFLP法、マイクロサテライト解析あるいはハプロタイプ解析をいずれかまたは組合せて行う請求項1に記載のアサリの遺伝子変異検出方法。
【請求項3】
次の1〜26から選ばれる1以上のミトコンドリア遺伝子領域を比較する請求項1または2に記載のアサリの遺伝子変異検出方法、
1.チトクロームC オキシダーゼ サブユニットI(Cytocrome C oxidase subunit I)、
2.チトクロームC オキシダーゼ サブユニットII(cytochrome C oxidase subunit II)、
3.チトクロームC オキシダーゼ サブユニットIII(cytochrome C oxidase subunit III)、
4.チトクローム b(cytochrome b)、
5.12SリボゾームRNA(12S ribosomal RNA)、
6.16SリボゾームRNA(16S ribosomal RNA)、
7.No−code1(NC−1)、
8.No−code2(NC−2)、
9.ATP シンターゼ F0 サブユニット 6(ATP synthase F0 subunit 6)、
10.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 1(NADH dehydrogenase subunit 1)、
11.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 2(NADH dehydrogenase subunit 2)、
12.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 3(NADH dehydrogenase subunit 3)、
13.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 4(NADH dehydrogenase subunit 4)、
14.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 4L(NADH dehydrogenase subunit 4L)、
15.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 5(NADH dehydrogenase subunit 5)、
16.NADH デヒドロゲナーゼ サブユニット 6(NADH dehydrogenase subunit 6)、
17.tRNA−Gly、
18.tRNA−His、
19.tRNA−Ile、
20.tRNA−Lys、
21.tRNA−Met(1)、
22.tRNA−Met(2)、
23.tRNA−Phe、
24.tRNA−Pro、
25.tRNA−Tyrまたは、
26.tRNA−Val。
【請求項4】
配列表配列番号109〜131に示される1以上の核遺伝子のマイクロサテライト領域を比較する請求項1または2に記載のアサリの遺伝子変異検出方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子変異検出方法を用いるアサリ種の判別方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子変異検出方法を用いるアサリの産地判別方法。
【請求項7】
ミトコンドリア遺伝子を比較した後、さらに核遺伝子のマイクロサテライト領域を比較する請求項6に記載のアサリの産地判別方法。
【請求項8】
アサリの遺伝子変異検出に用いる配列表配列番号132〜179のいずれかに示されるプライマー。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−233452(P2010−233452A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81687(P2009−81687)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(501168814)独立行政法人水産総合研究センター (103)
【Fターム(参考)】