アシル化グルカゴン類似体
本発明は、体重減少の促進又は体重増加の防止のための、そして糖尿病及び関連代謝性障害の治療における物質及び方法を供する。特に、本発明は、このような方法に効果のある新規アシル化グルカゴン類似体ペプチドを供する。本願のペプチドは、ヒトグルカゴンと比較してGLP-1受容体に選択性の増加を有することによってその効果を媒介することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシル化グルカゴン類似体、及び、例えば肥満症及び糖尿病の治療におけるその医学的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症及び糖尿病は世界的に増加している健康問題であり、様々な疾患、特に心血管疾患(CVD)、閉塞型睡眠時無呼吸、脳卒中、末梢動脈疾患、微小血管合併症及び変形性関節症と関係がある。
【0003】
世界中には2億4600万人が糖尿病を患い、2025年までに3億8000万人が糖尿病を患うであろうと推定されている。また、多くの人は、高/異常LDL及びトリグリセリド及び低HDLを含むさらなる心血管危険因子を有する。
【0004】
心血管疾患は、糖尿病を患う人の死亡率の約50%の割合を占め、肥満症及び糖尿病に関するその罹患率及び死亡率から、効果的な治療選択肢が医学上強く必要とされる。
【0005】
プレプログルカゴンは158個のアミノ酸前駆体ポリペプチドであり、組織中で種々の加工を受け、グルカゴン(Glu)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、及びオキシントモジュリン(OXM)を含む多数の構造関連プログルカゴン由来のペプチドを形成する。これらの分子は、グルコース恒常性、インスリン分泌、胃内容排出及び腸管成長、及び食物摂取量の調整を含む多種多様の生理機能に関係する。
【0006】
グルカゴンは、プレプログルカゴンのアミノ酸の53-81に相当する29個のアミノ酸ペプチドであり、配列His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thrを有する。オキシントモジュリン(OXM)は、オクタペプチドカルボキシ末端伸張を有するグルカゴンの完全な29個のアミノ酸配列を含む37個のアミノ酸ペプチドである(配列Lys-Arg-Asn-Arg-Asn-Asn-IIe-Alaを有し「介在ペプチド1」又はIP-1と呼ばれるプレプログルカゴンのアミノ酸の82-89であり; 従って、ヒトオキシントモジュリンの全配列は、His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thr-Lys-Arg-Asn-Arg-Asn-Asn-IIe-Alaである)。GLP-1の主要な生物活性のある断片は、プレプログルカゴンのアミノ酸の98-127に相当する、30個のアミノ酸の、C-末端アミド化ペプチドとして生成される。
【0007】
グルカゴンは、肝細胞上のグルカゴン受容体に結合することによって、グリコーゲンの形態で貯蔵されるグルコースを肝臓に放出させるグリコーゲン分解を介して、血液中のグルコースレベルの維持に役立つ。これらの貯蔵が枯渇すると、グルカゴンは肝臓を刺激して糖新生によってさらなるグルコースを合成させる。このグルコースは、血流中に放出され、低血糖の発生を防止する。さらに、グルカゴンは、脂肪分解の増加及び体重の減少を行うことが証明されている。
【0008】
GLP-1は、グルコース刺激性インスリン分泌を改善することによって血糖値の上昇を軽減し、主に食物摂取の減少を通して体重減少を促進する。
【0009】
オキシントモジュリンは、食物摂取に応答し、且つ食事カロリー量に比例して血液中に放出される。オキシントモジュリンの作用機序はあまりよく理解されていない。特に、ホルモン効果がもっぱらグルカゴン受容体及びGLP-1受容体を介して、又は1又は2以上の未同定の受容体を介して媒介されるかは分かっていない。
【0010】
他のペプチドは、グルカゴン及びGLP-1受容体の双方を結合し且つ活性化し(Hjort et al, Journal of Biological Chemistry, 269, 30121-30124,1994)、体重増加を抑制し食物摂取を減少することが示されている(WO 2006/134340; WO 2007/100535; WO 2008/101017, WO 2008/152403, WO 2009/155257 及び WO 2009/155258)。
ペプチドの安定化は、一部の薬物に対してより良好な薬物動態特性を供することが示されている。特に、1又は2以上のポリエチレングリコール(PEG)又はアシル基の添加は、例えばGLP-1及び血漿安定性が短期である他のペプチド等の半減期を延長することが示されている。
【0011】
WO 00/55184A1 及び WO 00/55119には、ペプチド領域、特にGLP-1のアシル化のための方法が開示される。Madsen等(J. Med. Chem. 2007, 50, 6126-6132)は、20位におけるGLP-1アシル化(リラグルチド)を開示し、その安定性に関してデータを提供する。
【0012】
ペグ化及びC末端のアシル化によるOXMの安定化はまた、WO2007/100535、WO08/071972及び Endocrinology 2009, 150(4), 1712-1721 by Druce, M R et alにおいて、選択類似体の薬物動態特性を改善することもまた示されている。
【0013】
近頃、グルカゴン類似体のペグ化が試験化合物の薬物動態特性に顕著な効果を有し(WO2008/101017)、試験化合物の効力を妨げることが示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式I
His-X2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-X27-X28-Ala-X30; (l)
(式中、X2は、Aib又はSerから選択され;
X12は、Lys、Arg及びLeuから選択され;
X16は、Arg及びXから選択され;
X17は、Arg及びXから選択され;
X20は、Arg、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びXから選択され;
X27は、Leu及びXから選択され;
X28は、Arg及びXから選択され;
X30は、Xであるか又は存在せず;
少なくともX16、X17、X20、X24、X27、X28、及びX30の1つがXであり;
各残基Xは、Glu、Lys、Ser、Cys、Dbu、Dpr及び/又はOrnから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1はXの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する化合物を供する。
【0015】
X30は、存在しても存在しなくてもよい。X30が存在する場合、それはLysであることが望ましい。
【0016】
特定の実施形態において、任意の残基X、特に親油性置換基に結合する任意の残基Xは、Lys、Glu又はCysから独立して選択される。
【0017】
特定の実施形態において、
X16は、Glu、Lys及びSerから選択され;
X17は、Lys及びCysから選択され;
X20は、His、Lys、Arg及びCysから選択され;
X24は、Lys、Glu及びAlaから選択され;
X27は、Leu及びLysから選択され; 及び/又は
X28は、Ser、Arg及びLysから選択される。
【0018】
式Iのペプチド中に存在し得る残基の特定の組合せは、以下:
X2はAibであり、X17はLysである;
X2はAibであり、X17はCysである;
X2はAibであり、X20はCysである;
X2はAibであり、X28はLysである;
X12はArgであり、X17はLysである;
X12はLeuであり、X17はLysである;
X12はLysであり、X20はLysである;
X12はLysであり、X17はLysである;
X16はLysであり、X17はLysである;
X16はSerであり、X17はLysである;
X17はLysであり、X20はLysである;
X17はLysであり、X21はAspである;
X17はLysであり、X24はGluである;
X17はLysであり、X27はLeuである;
X17はLysであり、X27はLysである;
X17はLysであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X28はArgである;
X20はLysであり、X27はLeuである;
X21はAspであり、X27はLeuである;
X2はAibであり、X12はLysであり、X16はSerである;
X12はLysであり、X17はLysであり、X16はSerである;
X12はArgであり、X17はLysであり、X16はGluである;
X16はGluであり、X17はLysであり、X20はLysである;
X16はSerであり、X21はAspであり、X24はGluである;
X17はLysであり、X24はGluであり、X28はArgである;
X17はLysであり、X24はGluであり、X28はLysである;
X17はLysであり、X27はLeuであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X27はLeuであり、X28はArgである;
X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである;
X20はLysであり、X27はLeuであり、X28はSerである;
X20はLysであり、X27はLeuであり、X28はArgである;
X16はSerであり、X20はHisであり、X24はGluであり、X27はLeuである;
X17はLysであり、X20はHisであり、X24はGluであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである; 又は
X17はCysであり、X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである、
ものを含む。
【0019】
式Iのペプチドは、親油性置換基の付加によって誘導体化されるタイプのたった1つのアミノ酸を含むことが望ましい。例えば、ペプチドは、その残基に結合される親油性置換基のためのたった1つのLys残基、たった1つのCys残基又はたった1つのGlu残基を有することができる。
【0020】
本発明の化合物は、式Iのペプチド配列内の1又は2以上の分子内架橋をを保持し得る。このような架橋はそれぞれ、典型的には直鎖状のアミノ酸配列における3つのアミノ酸(すなわち、アミノ酸A及びアミノ酸A+4との間)によって分離される、式Iの2つのアミノ酸残基の側鎖間に形成される。
【0021】
より詳細には、架橋は、残基対16及び20、17及び21、20及び24、又は24及び28の側鎖との間に形成されて良い。2つの側鎖は、イオン性相互作用を介して、又は共有結合によって互いに結合することができる。従って、これらの残基対は、イオン性相互作用によって塩架橋を形成するために互いに逆に帯電した側鎖を含むことができる。例えば、残基の1つは、Glu又はAspとすることができ、他方はLys又はArgとすることができる。LysとGlu及びLysとAspの対形成は、反応してラクタム環を形成することもできる。
【0022】
16及び20位における残基の適した対の例は:
X16はGluであり、X20はLysである;
X16はGluであり、X20はArgである;
X16はLysであり、X20はGluである;及び
X16はArgであり、X20はGluである、ものを含む。
【0023】
17及び21位における残基の適した対の例は:
X17はArgであり、X21はGluである;
X17はLysであり、X21はGluである;
X17はArgであり、X21はAspである; 及び
X17はLysであり、X21はAspである、ものを含む。
【0024】
20及び24位における残基の適した対の例は:
X20はGluであり、X24はLysである;
X20はGluであり、X24はArgである;
X20はLysであり、X24はGluである; 及び
X20はArgであり、X24はGluである、ものを含む。
【0025】
24及び28位における残基の適した対の例は:
X24はGluであり、X28はLysである;
X24はGluであり、X28はArgである;
X24はLysであり、X28はGluである; 及び
X24はArgであり、X28はGluである、ものを含む。
【0026】
例えば、ラクタム環を形成するためのLys及びGluの対形成は、特に24位及び28位との間が望ましい。
【0027】
分子内架橋に関係する残基が親油性置換基で誘導体化され得ることもないことは明らかであろう。従って、残基Xが分子内架橋に寄与する場合、少なくとも他の残基Xの1つは親油性置換基に結合する。
【0028】
いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、このような分子内架橋がGLP-1受容体において、場合によりグルカゴン受容体においてもまた、分子のアルファヘリックス構造を安定化し、それにより効力及び/又は選択性を増加すると考えられる。
【0029】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIa)
(式中、X12は、Lys、Arg及びLeuから選択され;
X16は、Ser及びXから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である);又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0030】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIb)
(式中、X12は、Lys、Arg及びLeuから選択され;
X16は、Ser及びXから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である);又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は、親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0031】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;(IIIa)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0032】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;(IIIb)
(式中、X12は、Lys又はArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)、
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0033】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IVa)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0034】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;(IVb)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0035】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式V
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Lys-Ala-Ala-His-Asp-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-X28; (V)
(式中、X28は、Serであるか又は存在せず;
X17は、Xであるとともに、
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0036】
本発明の特定の実施形態において、式Iのペプチドは、配列:
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDKKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLKRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLKA;
HSQGTFTSDYSRYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSLYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRAK;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSAK
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLKSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVKWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAACDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDKSAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSAK;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLKA
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVAWLLSA
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVAWLLKA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDKKAAHDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSRYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVKWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSLYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAACDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDK()KAAE()DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVE()WLLK()A
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAK()DFVE()WLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAHE()FVEWLLKA; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKOAAKEOFVEWLLRA
を有することができる。
【0037】
特定の実施形態において、これらのペプチドは、次の通り「*」で標識される位置に親油性置換基を有することができる:
HSQGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLD-K*-KAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K*-RA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K*-A;
HSQGTFTSDYSRYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSLYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA-K*;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA-K*;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K*-SA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K*-WLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-C*-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLD-K*-SAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA-K*;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K*-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLKA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVAWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVAWLL-K*-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-K*-KAAHDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSRYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K*-WLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSLYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-C*-DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-S*-KAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDK()K*AAE()DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK*AAHDFVE()WLLK()A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK*AAK()DFVE()WLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAHE()FVEWLLK*A; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAK*E()FVEWLLRA。
【0038】
「()」と標識される残基は、分子内結合、例えばラクタム環に関与する。
【0039】
残基Xの1又は2以上の側鎖は、親油性置換基に結合される。例えば、残基Xの1つの側鎖は、親油性置換基に結合される。あるいは、残基Xの2つ又は2つ以上の側鎖は、親油性置換基に結合される。
【0040】
例えば、少なくともX16、X17、X20及びX28の1つは、親油性置換基に結合されることができる。そのような場合、X30は存在しなくてよい。X30が存在する場合、典型的には親油性置換基に結合される。
【0041】
従って、本願の化合物は、16、17、20、24、27、28又は30位、好ましくは16、17又は20位、特に17位にたった1つの親油性置換基を有することができる。
【0042】
あるいは、本願の化合物は、正確には2つの親油性置換基をそれぞれ、16、17、20、24、27、28又は30位の1つに有することができる。好ましくは、1つ又は両方の親油性置換基は、16、17又は20位の1つに存在する。
【0043】
従って、本願の化合物は、16及び17、16及び20、16及び24、16及び27、16及び28又は16及び30; 17及び20、17及び24、17及び27、17及び28又は17及び30; 20及び24、20及び27、20及び28又は20及び30; 24及び27、24及び28又は24及び30; 27及び28又は27及び30; 又は28及び30位に親油性置換基を有することができる。
【0044】
さらなる実施形態において、化合物は、16、17、20、24、27、28又は30位から選択されるさらなる位置に1又は2以上のさらなる親油性置換基を有することができる(合計で3以上と仮定する場合)。しかしながら、最大2つの位置がこのように誘導体化されることが望ましい。
【0045】
Z1は、10-24個のC原子、例えば、10-22個のC原子、例えば、10-20個のC原子を有する炭化水素鎖を含むことができる。それは、少なくとも11個のC原子、及び/又は18個のC原子又はそれ以下を有することができる。例えば、炭化水素鎖は12、13、14、15、16、17又は18個の炭素原子を含むことができる。従って、Z1は、ドデカノイル、2-ブチルオクタノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル又はエイコサノイル部分とすることができる。
【0046】
独立して存在する場合、Z2は1又は2以上のアミノ酸残基である又はこれらを含むことができる。例えば、Z2は、γ-Glu、Glu、β-Ala又はε-Lys残基、又は4-アミノブタノイル、8-アミノオクタノイル又は8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル部分とすることができる。
Z1及びZ2の特定の組合せは、ドデカノイル-γ-Glu、ヘキサデカノイル-γ-Glu、ヘキサデカノイル-Glu、ヘキサデカノイル-[3-アミノプロパノイル]、ヘキサデカノイル-[8-アミノオクタノイル]、ヘキサデカノイル-ε-Lys、2-ブチルオクタノイル-γ-Glu、オクタデカノイル-γ-Glu及びヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル]である。
【0047】
特定の実施形態において、Zは式:
HSQGTFTSDYSKYLD-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-KAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-RA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVE()WLLK()A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLKA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-DFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ドデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[3-アミノプロパノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[8-アミノオクタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-ε-Lys)-AAHDFVEWLLSA:
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K([2-ブチルオクタノイル]-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAH DFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-E)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K([2-ブチルオクタノイル]-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-E)-AAHDFVEWLLSA
を有する。
「()」と標識される残基は、分子内結合、例えばラクタム環に関与する。
【0048】
さらなる実施形態において、Zは式:
H-Aib-QGTFTSDYS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-YLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-KAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-DFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-WLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソLys)-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAKDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDE-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHEFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAEDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLEA、を有する。
【0049】
さらなる態様において、Zは、式:
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLS;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLL;
を有する。
【0050】
さらなる態様において、Zは、式:
H-Aib-EGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLSA;
を有する。
【0051】
本発明は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式I
His-X2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-X27-X28-Ala-X30;
(式中、X2は、Aib又はSerであり;
X12は、Lys、Arg又はLeuから選択され;
X16は、Arg又はXであり;
X17は、Arg又はXであり;
X20は、Arg、His又はXであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はXであり;
X27は、Leu又はXであり;
X28は、Arg又はXであり;
X30は、Xであるか又は存在せず;
各残基Xは、Glu、Lys、Ser、Cys、Dbu、Dpr及びOrnから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する化合物を供する。
【0052】
X30は、存在する又は存在しないものとすることができる。それらの実施形態において、X30が存在する場合、Lysが望ましい。
【0053】
特定の実施形態において、任意の残基X、特に親油性置換基に結合する任意の残基Xは、Lys、Glu又はCysから独立して選択される。
【0054】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys、Arg又はLeuから選択され;
X16は、Ser又はXであり;
X17は、Xであり;
X20は、His又はXであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり;
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、又はCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0055】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり; そして、
Zは、式IIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys、Arg又はLeuから選択され;
X16は、Ser又はXであり;
X17は、Xであり;
X20は、His又はXであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり;
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、又はCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、そしてZ1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0056】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys又はArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His又はXであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり;
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、又はCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0057】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys又はArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His又はXであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり;
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、又はCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEΞWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0058】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys又はArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり;
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
Xは、Glu、Lys、又はCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0059】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys又はArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
Xは、Glu、Lys、又はCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0060】
さらなる態様において、本発明は、担体と混合した、本願明細書中で定義される化合物、又はその塩又は誘導体を含む組成物を供する。好適な実施形態において、本願の組成物は医薬的に許容される組成物であり、担体は医薬的に許容される担体である。当該塩は、医薬的に許容される化合物の酸付加塩、例えば、酢酸塩又は塩化物塩とすることができる。
【0061】
本願明細書に記載の化合物は、体重増加を防止又は体重減少を促進することにおける使用が見出される。「防止する」とは、治療をしない場合と比較して体重増加を抑制又は減少することを意味し、体重増加の完全な停止を必ずしも意味しない。ペプチドは、食物摂取の減少及び/又はエネルギー消費の増加を生じ、その結果、体重において効果が認められ得る。それらの体重における効果とは独立して、本発明の化合物は、循環グルコースレベル、耐糖能、及び/又は循環コレステロールレベルに有益な効果を有することができ、循環LDLレベルを低下しHDL/LDL比を増加し得る。従って、本発明の化合物は、例えば肥満症、病的肥満症、肥満症関連炎症、肥満症関連胆嚢疾患、肥満症誘発睡眠時無呼吸の治療及び/又は予防等の、過剰体重によって生じる又は特徴付けられる任意の疾病の直接又は間接療法に使用することができる。それらは、糖尿病前症、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、2型糖尿病、1型糖尿病、高血圧症又はアテローム生成脂質異常症(又はこれらの代謝危険因子の2以上の組合せ)、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、冠動脈心疾患、末梢動脈疾患、脳卒中及び細小血管障害の治療にも使用することができる。前記疾病におけるそれらの効果は、体重におけるそれらの効果と関係があるか又は当該効果の結果であるか、又はそれらと独立したものである。
【0062】
従って本発明は、上記の疾病の治療におけるそれを必要としている個人における本発明の化合物の使用を供する。
【0063】
本発明はまた、医学的治療方法における使用、特に上記の疾病の治療方法における使用のための本発明の化合物を供する。
【0064】
本発明はまた、上記の疾病の治療用医薬の調製における本発明の化合物の使用を供する。
【0065】
本発明の化合物は、糖尿病、肥満症、脂質異常症又は高血圧症の治療用薬剤との組合せ療法の一部として投与することができる。
【0066】
そのような場合、2つの活性薬剤は、同一の医薬製剤の一部として又は別々の製剤として、併用投与又は別々に投与することができる。
【0067】
従って、本発明の化合物(又はその塩)は、メトホルミン、スルホニル尿素、グリニド、DPP-IV阻害剤、グリタゾン、又はインスリンを含むがこれらに限定されない抗糖尿病薬と組合せて使用することができる。好適な実施形態において、本願の化合物又はその塩は、適切な血糖コントロールを達成するために、インスリン、DPP-IV阻害剤、スルホニル尿素又はメトホルミン、特にスルホニル尿素又はメトホルミンと組合せて使用される。より好適な実施形態において、化合物又はその塩は、適切な血糖コントロールを達成するために、メトホルミン、スルホニル尿素、インスリン又はインスリン類似体と組合せて使用される。インスリン類似体の例には、ランタス(登録商標)、ノボラピッド(登録商標)、ヒューマログ(登録商標)、ノボミックス(登録商標)、アクトラファン(Actraphane)HM、レベミル(登録商標)及びアピドラ(登録商標)を含むがこれらに限定されない。
【0068】
化合物又はその塩は、グルカゴン様ペプチド受容体1アゴニスト、ペプチドYY又はその類似体、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、メラノコルチン受容体4アゴニスト、又はメラニン凝集ホルモン受容体1アンタゴニストを含むがこれらに限定されない抗肥満薬と組合せてさらに使用することができる。
【0069】
化合物又はその塩は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、β遮断薬、又はカルシウムチャネル遮断薬を含むがこれらに限定されない抗高血圧剤と組合せてさらに使用することができる。
【0070】
化合物又はその塩は、スタチン、フィブラート系薬剤、ナイアシン又はコレステロール吸収阻害剤を含むがこれらに限定されない抗脂質異常症剤と組合せて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、100 nmol/kgの投与量でのマウスへの皮下(s.c.)投与後の化合物13の薬物動態特性を示す。
【図2】図2は、長期高脂肪給餌のC57BL/6Jマウスにおける、経口耐糖能への、化合物11の21日間の皮下投与(10 nmol/kg)の効果を示す。データはmean±SEMで示される。
【図3】図3は、糖尿病モデル(db/db)マウスを溶媒又は化合物7(12.7 nmol/kg)で4週間処置し、処置マウスから採取した全血試料(20 μl)において測定したHbA1cを示す(コバス(登録商標)アプリケーションノート: A1C-2)。ΔHbA1c(%)は各マウスに関して、4週間後のHbA1c(%)から処置の開始時におけるHbA1c(%)を減算することによって算出した。溶媒で4週間処置したdb/dbマウスのΔHbA1c(%)= 100%。*(P = 0.03, スチューデントt検定)。
【図4】図4は、長期高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける、化合物11の21日間の皮下投与の体重への効果を示す。データはmean+SEMとして示される。
【図5】図5は、食事性肥満(DIO)マウスを溶媒又は化合物7(12.7 nmol/kg)で4週間処置し、採取した血液試料から血漿を調製し、各血漿試料中で測定した総コレステロール値を示す(コバス(登録商標); アプリケーションノート CHOL2)。***(P < 0.0001 , スチューデントt検定)。データはmean+SEMとして示される。
【図6】図6は、食事性肥満(DIO)マウスを溶媒又は化合物7(12.7 nmol/kg)で処置し、血漿を採取した血液試料から調製し、各血漿試料中で測定したLDL及びHDLコレステロールを示す(コバス(登録商標); アプリケーションノート HDLC3 及び LDL_C)。***(P < 0.0001 , スチューデントt検定)。データはmean+SEMとして示される。
【図7】図7は、高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける、GluGLP-1アゴニストの皮下投与の体重増加への効果を示す。データは、mean±SEMである。黒線: 溶媒(PBS)、灰色線: 低用量(0.5 nmol/kg)、破線: 高用量 (5 nmol/kg)。
【図8】図8は、化合物7の急性皮下投与の、高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける、投薬後2、4、6、8、10及び12時の経口耐糖能への効果を示す。データはmean+SEMとして表される。
【図9】図9は、若齢の非肥満のC57BL/6Jマウスにおける、化合物7及びエキセンディン-4の皮下投与の食物摂取量/体重への効果を示す。データはmean+SEMである。*=p<0.05:溶媒投与の若齢の非肥満個体に対して。データはmean+SEMとして表わされる。
【図10】図10は、老齢の肥満C57BL/6J マウスにおける、化合物7及びエキセンディン-4の皮下投与の累積食物摂取量/体重への効果を示す。データは、mean+SEMである。*=p<0.05:溶媒投与の老齢の肥満個体に対して。データはmean+SEMとして表す。
【図11】図11は、老齢の肥満C57BL/6J マウスにおける、溶媒、エキセンディン-4(10 nmol/kg)及び化合物11(10 nmol/kg)の皮下投与の、血漿脂質濃度への効果を示す。データはmean+SEMである。
【図12】図12は、マウスを化合物1及び化合物11(2つの用量: 0.5 及び5 nmol/kg)又は溶媒で2週間毎日2回皮下に処置した結果を示す。屠殺の日に、肝臓を摘出し、重量を測定した。化合物1は、高用量で「肝臓重量/体重比」を有意に増加させた。化合物11は、2つの用量(0.5 及び 5 nmol/kg)ともに「肝臓重量/体重比」に影響しなかった。化合物1は、非アシル化二重GluGLP-1アゴニストであり、化合物11は、長時間作用性アシル化二重GluGLP-1アゴニストである(図12)。
【図13】図13は、糖尿病モデル(db/db)マウスを溶媒又は化合物11(12.7 nmol/kg)で4週間処置し、処置マウスから採取した全血試料中(20 μl)で測定したHbA1cを示す(コバス(登録商標)アプリケーションノート: A1C-2)。各マウスに関して、4週間後のHbA1c(%)から処置開始時におけるHbA1c(%)を減算することによってΔHbA1c(%)を算出した。溶媒で4週間処置したdb/dbマウスのΔHbA1c(%)= 100%。*(P = 0.03, スチューデントt検定)。
【0072】
実施形態の詳細な説明
本明細書を通して、天然に存在するアミノ酸に関して通常の1文字及び3文字コード、及びAib(α-アミノイソ酪酸)、Orn(オルニチン)、Dbu(2,4 ジアミノ酪酸)及びDpr(2,3-ジアミノプロパン酸)を含む他のアミノ酸に関して一般に受け入れられている3文字コードを使用する。
【0073】
用語「天然のグルカゴン」とは、配列H-His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thr-OHを有する天然のヒトグルカゴンを意味する。
【0074】
本発明の化合物のペプチド配列は、少なくとも18、20、24、27、28及び29位で天然のグルカゴンとは異なる。さらに、12、16及び17位の1又は2以上において天然のグルカゴンとは異なる。
【0075】
天然のグルカゴンは、18位にArgを有する。本発明の化合物は、グルカゴン及びGLP-1受容体双方において、特にGLP-1受容体において効力を増加すると考えられている18位に低分子疎水性残基Alaを有する。
【0076】
天然のグルカゴンの27、28及び29位の残基は、グルカゴン受容体に重要な選択性を供するように見える。天然のグルカゴン配列に関してこれらの位置、特に29位のAlaにおける置換は、潜在的にグルカゴン受容体における効力の著しい減少なしに、GLP-1受容体における効力及び/又はGLP-1受容体に関する選択性を増加し得る。本発明の化合物に含まれ得るさらなる例は、27位のLeu及び28位のArgを含む。さらに、共に分子内架橋を形成し得る24位にGluが存在する場合には、28位のArgが特に好ましく、これがGLP-1受容体における効力への効果を増加し得るからである。
【0077】
天然に存在するMet残基の27位における(例えば、Leu、Lys又はGluでの)置換はまた、酸化の可能性を低下し、それにより化合物の化学安定性を増加する。
【0078】
天然に存在するAsn残基の28位における(例えば、Arg又はSerによる)置換はまた、酸性溶液中のアミド分解の可能性を低下し、それにより化合物の化学安定性を増加する。
【0079】
GLP-1受容体における効力及び/又は選択性は、グルカゴン受容体における効力の顕著な損失が潜在的になく、ペプチドのC末端部分でアルファヘリックス構造を安定化する可能性のある残基の導入によって増加することもまたできる。分子のこのヘリックス部分に関して、両親媒性特性を有することが望ましいが、必須とは考えられていない。例えば12位におけるLeu及び/又は24位におけるAla等の残基の導入は、この一助となり得る。さらに又はあるいは荷電残基を、16、20、24、及び28位の1又は2以上の位置において導入することができる。従って、24及び28位の残基、20、24、及び28位における残基、又は16、20、24、及び28位における残基は全て荷電され得る。例えば、20位の残基は、His又はArg、特にHisとすることができる。24位の残基は、Glu、Lys又はArg、特にGluとすることができる。28位の残基は、Argとすることができる。上記の通り、当該分子のこの部分、例えば24位と28位との間における分子内架橋の導入はまた、ヘリックス特性に寄与し得る。
【0080】
20及び24位の天然に存在するGln残基の1つ又は両方の置換はまた、酸性溶液中のアミド分解の可能性を減少し、これにより化合物の化学安定性を増加する。
【0081】
天然のグルカゴン配列に対する12位での(すなわち、Arg又はLeuの)置換は、双方の受容体における効力及び/又はGLP-1受容体における選択性を増加し得る。
【0082】
ペプチドのC末端トランケーションは、双方の受容体の効力及び/又はGLP-1受容体の選択性を低下しない。特に、29位のトランケーション又は28及び29位双方でのトランケーションは、2つの受容体のいずれに対する受容体効力も低下しない。
【0083】
Xと表示される残基(すなわち、存在する場合は、16、17、20、24、27及び28位、及び/又は30位)の1又は2以上の側鎖は、親油性置換基に結合される。当然のことながら、親油性置換基の特定の側鎖への結合は、非結合側鎖がその位置に供し得る利点にある程度影響し得る(例えば、減少する)。本発明者等は、本発明の化合物が、天然のグルカゴン配列に対するアシル化の利点及び特定の置換の利点との間のバランスを供し得ることを発見した。
【0084】
本発明の組成物はさらに、例えば共有結合性、疎水性及び静電気性相互作用を介して、薬物担体、薬物送達系及び高度な薬物送達系中に組み合わされ、又はこれらと結合され、化合物の安定性をさらに増強し、生物学的利用率を増加し、溶解性を増加し、副作用を減少し、当業者に周知の時間治療を達成し、そして患者コンプライアンスを増加する又はこれらの任意の組合せを達成することができる。担体、薬物送達系及び高度な薬物送達系の例は、例えばセルロース及び誘導体等のポリマー、例えばデキストラン及び誘導体等の多糖、デンプン及び誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸コポリマー及びそのブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、例えばアルブミン等の担体タンパク質、例えば熱ゲル化系(thermogelling system)等のゲル、例えば当業者に周知のブロックコポリマー系、ミセル、リポソーム、微粒子、ナノ微粒子、液晶及びその分散、脂質-水系の相挙動の当業者に周知のL2相及びその分散、ポリマーミセル、多重エマルション、自己乳化、自己微小乳化の、シクロデキストリン及びその誘導体、及びデンドリマーを含むがこれらに限定されない。
【0085】
他のグループは、PEGでの誘導体化によってGluGLP-1二重アゴニスト化合物の半減期を延長することを試みた(WO2008/101017)。しかしながら、このような誘導体化は、ペプチドの主鎖の中心コア中よりも分子のC末端に適用される場合に最も効果的なようであり、対応する無修飾ペプチドと比較してこれらの化合物の効力はさらに低下される。
【0086】
一方、本発明の化合物はグルカゴン及びGLP-1受容体双方において高い効力を保持し、同時に対応する無修飾ペプチドと比較して有意に遅延性の薬物動態特性を有する。
【0087】
天然のグルカゴンは、16位にSerを有する。Ala、GIy又はThrでの置換は、グルカゴン受容体におけるアデニル酸シクラーゼ活性化を有意に低下することが示されている(Unson et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 1994, 91, 454-458)。従って、16位における親油性置換基での誘導体化によって、本明細書に記載の化合物によって驚くほどに示されるような、グルカゴン受容体に効力を保持している化合物を得ることは期待できないであろう。WO2008/101017において、負に荷電した残基は、効力の損失を最小化するために16位であることが望ましいことが分かった。
【0088】
17及び18位の塩基性アミノ酸の存在は、一般的に完全なグルカゴン受容体の活性化に必須であると考えられている(Unson et al. J. Biol. Chem. 1998, 273, 10308-10312)。本発明者等は、18位がアラニンである場合、17位における疎水性アミノ酸での置換は、極めて強力な化合物をさらに得ることができることを発見した。17位のアミノ酸が親油性置換基で誘導体化されている化合物でさえ、グルカゴン及びGLP-1受容体双方においてほぼ完全な効力を保持し、顕著な遅延性薬物動態特性を示す。これは、17位のリジンが誘導体化される場合でさえ、塩基性アミン側鎖を中性アミド基に変換している。
【0089】
20位における置換は、グルカゴンと比較してGLP-1受容体の活性を増強するために、長さ4-6個の原子の側鎖を有する塩基性アミノ酸であるべきということが他の研究から示されているにもかかわらず(WO2008/101017)、本発明者等は、20位にアシル化を有する化合物が一層高い活性の二重アゴニストであることもまた発見した。本明細書に記載される化合物は、20位がリジンで置換され且つアシル化されている場合、GLP-1及びグルカゴン受容体の活性の双方を保持する。
【0090】
ペプチド合成
本発明の化合物のペプチド成分は、標準的な合成方法、組換え発現系、又は任意の他の適した方法によって生成することができる。従って、ペプチドは、例えば、:
ペプチドの断片を得るための、
(a)段階的な固相又は液相方法によって又は最終ペプチド生成物の断片の集合及び単離及び精製によってペプチドを合成する工程;
(b)宿主細胞中でペプチドをコードする核酸コンストラクトを発現させ、宿主細胞培養物から発現産物を回収する工程; 又は
(c)ペプチドをコードする核酸コンストラクトの無細胞のインビトロ(in vitro)における発現を生じ、発現産物を回収する工程;
又は(a)、(b)、及び(c)の方法の任意の組合せ、及びその後に、ペプチドを得るために断片を結合し、ペプチドを回収する工程、を含む方法を含む多数の方法によって合成することができる。
【0091】
固相又は液相ペプチド合成によって、本発明の類似体を合成することが好ましい。これに関連して、参考文献として、WO 98/11125、及び多くの中で、Fields, GB et al., 2002, 「Principles and practice of solid-phase peptide synthesis」が挙げられる。Synthetic Peptides (2nd Edition)及びその中の実施例中。
【0092】
親油性置換基
本発明の化合物中のアミノ酸側鎖の1又は2以上は、親油性置換基Z1に結合される。いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、親油性置換基は、血流でアルブミンに結合し、従って、本発明の化合物の半減期を増強することができる酵素分解から化合物を遮蔽すると考えられる。それはまた、例えば、グルカゴン受容体及び/又はGLP-1受容体に関して化合物の効力を調整し得る。
【0093】
特定の実施形態において、たった1つのアミノ酸側鎖だけが、親油性置換基に結合される。他の実施形態において、2つのアミノ酸側鎖は互いに親油性置換基に結合される。さらなる実施形態において、3つ又はそれ以上アミノ酸側鎖がそれぞれ親油性置換基に結合される。化合物が2つ又はそれ以上の親油性置換基を含む場合、それらは同一又は異なるものとすることができる。
【0094】
親油性置換基Z1は、アミノ酸側鎖において原子に共有結合で結合される、あるいはスペーサーZ2によってアミノ酸側鎖に結合され得る。
【0095】
用語「結合される」とは、1つの同定可能な化学部分の他の部分への物理的な結合、及びこのような部分間の構造的関係を記載するために本明細書中で使用される。特定の合成方法を意味すると受け取るべきではない。
【0096】
スペーサーZ2が存在する場合、これは化合物と親油性部分との間のスペーシングを供するために使用される。
【0097】
親油性置換基は、エステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドを介してアミノ酸側鎖又はスペーサーに結合され得る。従って、好ましくは親油性置換基がエステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドの部分を形成するアシル基、スルホニル基、N原子、O原子又はS原子を含むと理解することができるであろう。好ましくは、親油性置換基におけるアシル基はアミノ酸の側鎖又はスペーサーを有するアミド又はエステルの一部を形成する。
【0098】
親油性置換基は、10-24個のC原子、例えば、10-22個のC原子、例えば、10-20個のC原子を有する炭化水素鎖を含むことができる。好ましくは、少なくとも11個のC原子、さらに好ましくは18個又はそれ以下のC原子を有する。例えば、炭化水素鎖は12、13、14、15、16、17又は18個の炭素原子を含むことができる。炭化水素鎖は、直鎖状又は分岐状とすることができ、飽和又は不飽和とすることができる。上記の考察から、炭化水素鎖は好ましくは、アミノ酸側鎖又はスペーサーへ結合する一部を形成する部分、例えばアシル基、スルホニル基、N原子、O原子又はS原子での置換と理解することができるであろう。最も好ましくは、炭化水素鎖は、アシルでの置換であり、従って、炭化水素鎖は、アルカノイル基、例えばドデカノイル、2-ブチルオクタノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル又はエイコサノイル基の一部とすることができる。
【0099】
上述の通り、親油性置換基Z1は、スペーサーZ2によってアミノ酸側鎖に結合され得る。存在する場合、スペーサーは親油性置換基及びアミノ酸側鎖に結合される。スペーサーは、エステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドによって独立して親油性置換基及びアミノ酸側鎖に結合することができる。従ってそれは、アシル、スルホニル、N原子、O原子又はS原子から独立して選択される2つの部分を含むことができる。スペーサーは、直鎖状のC1-10炭化水素鎖又はより好ましくは直鎖状のC1-5炭化水素鎖から成る。さらに、スペーサーは、C1-6アルキル、C1-6アルキルアミン、C1-6アルキルヒドロキシ及びC1-6アルキルカルボキシから選択される1又は2以上の置換基で置換されることができる。
【0100】
スペーサーは、例えば、天然に存在する又は天然でない任意のアミノ酸の残基とすることができる。例えば、スペーサーは、Gly、Pro、Ala、Val、Leu、IIe、Met、Cys、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、Gln、Asn、α-Glu、γ-Glu、ε-Lys、Asp、Ser、Thr、Gaba、Aib、β-Ala(すなわち3-アミノプロパノイル)、4-アミノブタノイル、5-アミノペンタノイル、6-アミノヘキサノイル、7-アミノヘプタノイル、8-アミノオクタノイル、9-アミノノナノイル、10-アミノデカノイル又は8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイルの残基とすることができる。特定の実施形態において、スペーサーは、Glu、γ-Glu、ε-Lys、β-Ala(すなわち3-アミノプロパノイル)、4-アミノブタノイル、8-アミノオクタノイル又は8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイルの残基である。本発明において、γ-Glu及びイソGluは互換的に使用する。
【0101】
親油性置換基が結合されるアミノ酸側鎖は、Glu、Lys、Ser、Cys、Dbu、Dpr又はOrn残基の側鎖である。例えば、それは、Lys、Glu又はCys残基の側鎖である。2つ又はそれ以上の側鎖が親油性置換基を有する場合、それらはこれらの残基から独立して選択することができる。従って、アミノ酸側鎖は、スペーサー又は親油性置換基とエステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドを形成するための、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、アミド又はアミン基を含む。
【0102】
親油性部分Z1及びスペーサーZ2含む親油性置換基の例は、以下の式:
【化1】
に示される。
【0103】
式中、式Iのペプチド由来のLys残基の側鎖は、アミド結合を介してγ-Gluスペーサー(Z2)に共有結合で結合される。ヘキサデカノイル基(Z1)は、アミド結合を介してγ-Gluスペーサーに共有結合で結合される。Lys残基に結合される親油性部分及びスペーサーのこの組合せは、例えば、特定の化合物の式中で示す場合、略語K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)で言及する。γ-Gluは、イソGlu、及びパルミトイル基としてのヘキサデカノイル基と呼ぶこともまたできる。従って、表記(ヘキサデカノイル-γ-Glu)は、例えばPCT/GB2008/004121において使用されるように、表記(イソGlu(Palm))又は(イソGlu(パルミトイル))と同等であることは明らかであろう。
【0104】
当業者であれば、本発明の化合物の調製に適した技術を十分把握しているであろう。適した化学技術の例としては、WO98/08871、WO00/55184、WO00/55119、Madsen et al (J. Med. Chem. 2007, 50, 6126-32)、及びKnudsen et al. 2000 (J. Med Chem. 43, 1664-1669)を参照されたい。
【0105】
ペグ化及び/又はアシル化は、GluGLP-1アゴニスト濃度の突発的な増加を生じる、短期の半減期(JY2)を有する。従って、グルカゴン受容体は、治療期間中1日に1度(又は2度)グルカゴンアゴニズムへの突発的な曝露を受けやすい。
【0106】
いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、グルカゴンアゴニズムへのGluRの反復の突発的な曝露は、肝臓と脂肪組織との間の脂質及び遊離脂肪酸の輸送に混乱をもたらし、その結果脂質が肝臓中で蓄積することとなるようである。
Gluのグルカゴンアゴニズムへの一定の曝露は、肝臓における脂肪の蓄積を遮断する。
従って、グルカゴン又は短期作用の二重GluGLP-1アゴニストでの反復治療は、脂肪及びグリコーゲン蓄積に起因して、肝臓肥大を引き起こすことが分かっている(Chan et al., 1984. Exp. Mol. Path. 40, 320-327)。
【0107】
長時間作用性アシル化二重GluGLP-1アゴニストでの反復治療は、標準体重対象において肝臓サイズの変化(肥大又は萎縮)を引き起こさないが、肝臓脂質含有量を標準化する(Day et al., 2009; Nat.Chem.Biol. 5, 749-57)。
【0108】
効果
関連化合物のGLP-1又はグルカゴン(Glu)受容体への結合は、アゴニスト活性の指標として使用することができるが、一般的に化合物の関連受容体への結合によって生じる細胞内情報伝達を測定する生物検定を使用することが好適である。例えば、グルカゴンアゴニストによるグルカゴン受容体の活性化は、細胞サイクリックAMP(cAMP)形成を刺激するであろう。同様に、GLP-1アゴニストによるGLP-1受容体の活性化は、細胞cAMP形成を刺激するであろう。従って、これらの2つの受容体の1つを発現している適した細胞におけるcAMPの産生は、関連受容体活性をモニターするために使用することができる。従って、一方の受容体を発現しているが他方は発現していない細胞型の適した対の使用は、両方の受容体型へのアゴニスト活性を測定するために使用することができる。
【0109】
当業者は、適したアッセイ型を把握するであろう。以下に例を提供する。GLP-1受容体及び/又はグルカゴン受容体は、実施例に記載する受容体の配列を有することができる。例えば、アッセイは、初期受入番号Gl: 4503947 (NP_000151.1)を有するヒトグルカゴン受容体(グルカゴン-R)及び/又は初期受入番号 Gl:166795283 (NP_002053.3)を有するヒトグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)を利用することができる。(前駆体タンパク質の配列に言及する場合、もちろんアッセイがシグナル配列を欠如している成熟タンパク質を利用することができることは理解されるべきである)。
【0110】
EC50値は、特定の受容体におけるアゴニスト効力の数値尺度として使用することができる。EC50値は、特定のアッセイにおいて化合物の最大活性の半分を達成するのに必要とされる化合物の濃度の尺度である。従って、例えば、特定のアッセイにおける天然グルカゴンのEC50[GLP-1R]以下のEC50[GLP-1R]を有する化合物はGLP-1Rにおいてグルカゴン以上の効力を有するとみなすことができる。
【0111】
本明細書に記載される化合物は、典型的にはGlu-GLP-1二重アゴニストであり、すなわちそれらは、グルカゴン受容体及びGLP-1R双方においてcAMP形成を刺激することができる。各受容体の刺激は、別個のアッセイにおいて測定しその後互いに比較することができる。
【0112】
特定の化合物に関して、グルカゴン受容体のEC50値(EC50[グルカゴン-R])をGLP-1受容体のEC50値(EC50[GLP-1R])と比較することによって、その化合物の相対グルカゴン選択性(%)が分かる:
相対グルカゴン-R選択性[化合物] = (1/ EC50 [グルカゴン-R])x100% / (1/ EC50 [グルカゴン-R] + 1/ EC50 [GLP-1R])
【0113】
相対GLP-1R選択性も同様に分かる:
相対GLP-1R選択性[化合物] = (1/ EC50 [GLP-1R])x100% / (1/ EC50 [グルカゴン-R] + 1/ EC50 [GLP-1R])
【0114】
化合物の相対選択性によって、GLP-1又はグルカゴン受容体への効果を他の受容体への効果と直接比較することができる。例えば、化合物の相対GLP-1選択性が高ければ高いほど、その化合物は、グルカゴン受容体と比較してGLP-1受容体へより有効である。
【0115】
下記のアッセイを使用して、我々はヒトグルカゴンに関するその相対GLP-1選択性が約5%であることが分かった。
【0116】
本発明の化合物は、ヒトグルカゴンより高い相対GLP-1R選択性を有する。従って、グルカゴン-Rアゴニスト活性の特定のレベルに関して、化合物は、グルカゴンよりGLP-1Rアゴニスト活性のより高いレベル(すなわち、GLP-1受容体においてより偉大な効力)を示すであろう。適切な相対GLP-1R選択性が達成される限り、グルカゴン及びGLP-1受容体における特定の化合物の絶対効力は、天然のヒトグルカゴンより高い、低い或いはそれとほぼ同等となり得る、と理解することができるであろう。
【0117】
それにもかかわらず、本発明の化合物は、ヒトグルカゴンより低いEC50[GLP-1R]を有することができる。化合物は、ヒトグルカゴンの10倍未満、5倍未満、又は2倍未満であるEC50[グルカゴン-R]を維持しながら、グルカゴンより低いEC50[GLP-1R]を有することができる。
【0118】
グルカゴン-R及びGLP-1Rの両方のための任意の化合物のEC50は、1 nM未満であることが望ましい。
【0119】
本発明の化合物は、ヒトグルカゴンの2倍未満であるEC50[グルカゴン-R]を有することができる。化合物は、ヒトグルカゴンの2倍未満であるEC50 [グルカゴン-R]を有し、ヒトグルカゴンの2分の1未満、ヒトグルカゴンの5分の1未満、又は10分の1未満であるEC50[GLP-1R]を有することができる。
【0120】
化合物の相対GLP-1選択性は、5%以上95%未満とすることができる。例えば、化合物は、5-20%、10-30%、20-50%、30-70%、又は50-80%、又は30-50%、40-60%、50-70%又は75-95%の相対選択性を有することができる。
【0121】
治療上の使用
本発明の化合物は、肥満症及び真性糖尿病(糖尿病)を含む代謝疾患に関して魅力的な治療上の選択肢を供し得る。
【0122】
糖尿病は、インスリン分泌、インスリン作用、又は双方の欠如に起因する高血糖を特徴とする代謝性疾患のグループを含む。糖尿病の急性兆候は、過剰な尿生成、結果として生じる代償性口渇及び水分摂取増加、霧視、原因不明の体重減少、嗜眠、及びエネルギー代謝における変化を含む。糖尿病の慢性高血糖は、長期の損傷、機能障害、及び様々な器官、特に眼、腎臓、神経、心臓及び血管の不全と関係がある。糖尿病は、病原性特性に基づいて、1型糖尿病、2型糖尿病及び妊娠性糖尿病に分類される。
【0123】
1型糖尿病は、インスリン分泌膵臓β-細胞の自己免疫破壊によって生じる全糖尿病症例の5-10%を占める。
【0124】
2型糖尿病は、糖尿病症例の90-95%を占め、一連の複合的な代謝性障害の結果である。2型糖尿病は、診断閾値以下の血漿グルコースレベルを維持するのに不十分となる内因性のインスリン生成の結果である。
【0125】
妊娠性糖尿病は、妊娠中に確認されるグルコース不耐性の任意の程度を意味する。
【0126】
糖尿病前症は、空腹時血中ブドウ糖不良及び耐糖能障害を含み、血糖値が上昇したが糖尿病の臨床診断に設定されるレベル以下である場合に生じる状態を意味する。
【0127】
2型糖尿病及び糖尿病前症の人の比率が高いことは、腹部肥満症(腹部内臓周囲の過剰な脂肪組織)、アテローム生成脂質異常症(動脈壁でプラークの発達を助長する、高トリグリセリド、低HDLコレステロール及び/又は高LDLコレステロールを含む血液脂質異常)、血圧上昇(高血圧)症、血栓形成促進性状態(例えば、血液中の高いフィブリノゲン又はプラスミノーゲン活性化因子インヒビター1)、及び炎症誘発状態(例えば、血液中のC反応性タンパク質の増加)を含むさらなる代謝性危険因子の高有病率に起因する罹患率及び死亡率のリスクが高まっている状態である。
【0128】
一方で、肥満症は、糖尿病前症、2型糖尿病、及び例えば、あるタイプの癌、閉塞型睡眠時無呼吸症及び胆嚢疾患を進行するリスクを高める。
【0129】
脂質異常症は、循環器疾患のリスクの増加と関係がある。血漿HDL濃度と動脈硬化性疾患のリスクとの間に逆相関が存在するので、高比重リポタンパク質(HDL)は、臨床上重要である。動脈硬化性プラークに貯蔵されるコレステロールの大部分はLDLに由来し、従って低密度リポタンパク質(LDL)の濃度の上昇はアテローム性動脈硬化と密接に関係がある。HDL/LDL比は、アテローム性動脈硬化症、特に冠状動脈アテローム性動脈硬化症の臨床上のリスク指標である。
【0130】
いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の化合物は、GluGLP-1二重アゴニストとして機能すると考えられている。二重アゴニストは、例えば、脂肪代謝へのグルカゴンの効果を、例えば、血糖値及び食物摂取へのGLP-1の効果と結合することができる。従って、それらは、過剰な脂肪組織の除去を促進し、持続可能な体重減少を誘発し、そして血糖制御を改善するよう作用し得る。二重GluGLP-1アゴニストは、心血管危険因子、例えば高コレステロール及びLDL-コレステロールを減少するよう作用もし得る。
【0131】
従って、本発明の化合物は、(例えば、食欲、摂食、食物摂取、カロリー摂食量、及び/又はエネルギー消費の制御によって)体重増加を防止し、体重減少を促進し、過剰体重を減少し、又は病的肥満症、及び関連疾患及び肥満症関連炎症、肥満症関連胆嚢疾患及び肥満症誘発睡眠時無呼吸を含むがこれらに限定されない健康状態を含む肥満症を治療するために医薬として使用することができる。本発明の化合物は、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、糖尿病前症、空腹時血糖増加、2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症(又はこれらの代謝性危険因子の組合せ)、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、冠動脈心疾患、末梢動脈疾患及び脳卒中の治療のためにもまた使用することができる。これらは、肥満症と関係し得る全ての疾病である。しかしながら、本発明の化合物のこれらの疾病への効果は、体重への効果を介して全体的に又は部分的に媒介される、又はそれとは独立して生じ得る。
【0132】
医薬組成物
本発明の化合物、又はその塩は、貯蔵又は投与のための調製された医薬組成物として製剤することができ、これは典型的には医薬的に許容される担体中に治療有効量の本発明の化合物、又はその塩を含む。
【0133】
本発明の化合物の治療有効量は、投与経路、処置されている哺乳類のタイプ、及び検討中の特定の哺乳類の身体的特徴によって決まるであろう。この量を決定するこれらの因子及びそれらの関係は、医薬分野における当業者に周知である。この量及び投与方法は、最適な効果を達成するために適合させることができ、そして医薬分野における当業者に周知の体重、食事、併用処方ような因子及び他の因子によって決定することができる。ヒトの使用に最も適切な投与量サイズ及び投与計画は、本発明によって得られる結果によって導くことができ、そして適切にデザインされた臨床試験において確認することができる。
【0134】
有効投与量及び治療プロトコールは、従来の手段によって決定することができ、実験動物において低用量で開始し、続いて効果をモニターしながら投与量を増加させ、そしてさらに投与計画を体系的に変化させる。特定の対象に対する最適な投与量を決定する場合に、臨床医は多数の因子を考慮することができる。このような考慮は、当業者に周知である。
【0135】
用語「医薬的に許容される担体」とは、任意の標準的な医薬担体を含む。治療上の使用のための医薬的に許容される担体は、医薬分野で周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.(A. R. Gennaro edit. 1985)に記載される。例えば、弱酸性又は生理的pHの無菌生理食塩水及びリン酸緩衝生理食塩水を使用することができる。pH緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、炭酸ジアンモニウム、好ましい緩衝液であるジエタノールアミン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、又は酢酸塩又はこれらの混合物である。さらに、当該用語は、ヒトを含む動物における使用のための米国薬局方において列記される任意の薬剤を含む。
【0136】
用語「医薬的に許容される塩」とは、本願の化合物の塩を意味する。塩とは、例えば酸付加塩及び塩基性塩等の医薬として許容される塩を含む。酸付加塩の例は、塩酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩を含む。塩基性塩の例は、陽イオンが、例えばナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属、例えばカルシウム等のアルカリ土類金属、及びアンモニウムイオン+N(R3)3(R4)(式中、R3及びR4 は独立して、任意には置換C1-6-アルキル、任意には置換C2-6-アルケニル、任意には置換アリール、又は任意には置換ヘテロアリールを指定する)から選択される塩を含む。医薬として許容される塩の他の例は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」,17th edition. Ed. Alfonso R. Gennaro (Ed.), Mark Publishing Company, Easton, PA, U.S.A., 1985 及び最新版、及びEncyclopaedia of Pharmaceutical Technologyに記載される。
【0137】
「治療」とは、有益な又は望ましい臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的において、有益な又は望ましい臨床結果とは、検出可能か否かによらず、(部分的又は全体的な)症状の軽減、疾患の範囲の減少、疾患の安定化(すなわち、悪化していない)状態、疾患進行の遅延又は緩徐化、病状の回復又は寛解、及び緩解を含むがこれらに限定されない。「治療」とは、治療を受けない場合の期待生存と比較した生存の延長もまた意味し得る。「治療」とは、疾患の病状の発生又は変質の防止を意図して行われる治療介入である。従って、「治療」とは、治療及び予防手段の双方を意味する。治療を必要とする対象には、既に障害に罹患している対象及び障害が予防され得る対象が含まれる。治療は、無治療の場合と比較した場合の、病態又は症状の拡張(例えば、体重増加、高血糖)を抑制又は減少することを意味し、必ずしも関連疾病の完全な停止を意味しない。
【0138】
医薬組成物は、単位剤形とすることができる。このような形態において、組成物は活性成分の適切な量を含む単位用量に分けられる。単位剤形はパッケージ製剤とすることも可能である。ここでパッケージは、例えば製剤の離散量を含むパッケージ錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の粉末剤としてもよい。単位剤形は、そのまま単一のカプセル剤、カシェ(cachet)、又は錠剤としてもよく、又はこれらのパッケージ形態のいずれかの適切な数としてもよい。それは、単一用量の注射可能形態、例えばペンの形態で供することができる。組成物は、任意の適した投与経路及び投与手段のために製剤することができる。医薬的に許容される担体又は希釈剤は、経口、直腸、経鼻又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、及び経皮を含む)投与に適した製剤に使用されるものを含む。製剤は、単位剤形の便利な形を取ることができ、医薬の分野の周知の任意の方法によって調製することができる。
【0139】
皮下又は経皮の投与方法は、本明細書に記載される化合物に特に適し得る。
【0140】
組合せ療法
本発明の化合物は、糖尿病、肥満症、脂質異常症又は高血圧症の治療のための薬剤との組合せ療法の一部として投与することができる。
【0141】
その場合、2つの活性薬剤を同一の医薬製剤の一部又は別々の製剤として、併用投与又は別々に投与することができる。
【0142】
従って、本発明の化合物(又はその塩)は、メトホルミン、スルホニル尿素、グリニド、DPP-IV阻害剤、グリタゾン、又はインスリンを含むがこれらに限定されない抗糖尿病薬と組合せて使用することができる。好適な実施形態において、化合物又はその塩は、適切な血糖コントロールを達成するために、インスリン、DPP-IV阻害剤、スルホニル尿素又はメトホルミン、特にスルホニル尿素又はメトホルミンと組合せて使用される。より好適な実施形態において、化合物又はその塩は、適切な血糖コントロールを達成するために、インスリン又はインスリン類似体と組合せて使用される。インスリン類似体の例は、ランタス(登録商標)、ノボラピッド(登録商標)、ヒューマログ(登録商標)、ノボミックス(登録商標)、アクトラファン(Actraphane)HM、レベミル(登録商標)及びアピドラ(登録商標)を含むがこれらに限定されない。
【0143】
化合物又はその塩は、グルカゴン様ペプチド受容体1アゴニスト、ペプチドYY又はその類似体、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、メラノコルチン受容体4アゴニスト、又はメラニン凝集ホルモン受容体1アンタゴニストを含むがこれらに限定されない抗肥満薬と組合せてさらに使用することができる。
【0144】
化合物又はその塩は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、β遮断薬、又はカルシウムチャネル遮断薬を含むがこれらに限定されない抗高血圧剤と組合せて使用することができる。
【0145】
化合物又はその塩は、スタチン、フィブラート系薬剤、ナイアシン及び/又はコレステロール吸収阻害剤を含むがこれらに限定されない抗脂質異常症剤と組合せて使用することができる。
【0146】
方法
アシル化グルカゴン類似体の一般的な合成
固相ペプチド合成を、standard Fmoc chemistryを使用して、CEM Liberty Peptide Synthesizer上で行った。使用の前に、TentaGel S Ram 樹脂(1 g; 0.25 mmol/g)をNMP(10 ml)中で膨潤させ、DCM及びNMPを使用してチューブ及び反応槽との間を移動させた。
【0147】
カップリング:
NMP/DMF/DCM(1:1:1 ; 0.2 M; 5 ml) 中のFmoc-アミノ酸をCEM Discover microwave 装置の樹脂に、HATU/NMP (0.5 M; 2 ml)及びDIPEA/NMP(2.0 M; 1 ml)と共に添加した。
【0148】
混合物を通して窒素を泡立てせながら、カップリング混合物を75°Cまで5分間加熱した。続いて樹脂をNMPで洗浄した(4 x 10 ml)。
【0149】
脱保護:
最初の脱保護のためにピペリジン/NMP (20%; 10 ml)を樹脂に添加し、混合物を電子レンジで加熱した(30秒; 40℃)。反応槽を排出し、ピペリジン/NMP(20%; 10 ml)の2回目の量を添加し、再度加熱した(75°C; 3 分)。続いて樹脂をNMP(6 x 10 ml)で洗浄した。
【0150】
側鎖アシル化:
Fmoc-Lys(ivDde)-OH又は直交性側鎖保護基を有する他のアミノ酸をアシル化の位置に導入した。続いて、最終カップリングにおいて、Boc2Oを使用して又はBoc保護アミノ酸を使用することによって、ペプチド主鎖のN末端をBoc保護した。ペプチドがまだ樹脂に結合された状態で、フレッシュに調製したNMP中のヒドラジン水和物(2-4%)を2 x 15分間使用して直交性側鎖保護基を選択的に切断した。上記のペプチドカップリング方法を使用して、無保護のリジン側鎖をまずFmoc-Glu-OtBu又は他のスペーサーアミノ酸と結合させ、ピペリジンで脱保護しそして親油性部分でアシル化した。
【0151】
採用した略語は次の通りである:
ivDde: 1-(4,4-ジメチル2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)3-メチル-ブチル
Dde: 1-(4,4-ジメチル2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)-エチル
DCM: ジクロロメタン
DMF: N,N-ジメチルホルムアミド
DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン
EtOH: エタノール
Et2O: ジエチルエーテル
HATU: N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾール[4,5-b]ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロリン酸N-オキシド
MeCN: アセトニトリル
NMP: N-メチルピロリドン
TFA: トリフルオロ酢酸
TIS: トリイソプロピルシラン
【0152】
切断:
樹脂をEtOH(3 x 10 ml)及びEt2O(3 x 10 ml)で洗浄し、一定の重量まで室温で(r.t.)乾燥した。TFA/TIS/水(95/2.5/2.5; 40 ml, 2 h; r.t.)での処置によって、未精製のペプチドを樹脂から切断した。TFAの大半を減圧で除去し、未精製のペプチドを沈殿させ、ジエチルエーテルで3回洗浄し、室温で一定の重量まで乾燥した。
【0153】
未精製のペプチドのHPLC精製:
C-18カラム(5 cm; 10 μm)及びフラクションコレクターを備えたPerSeptive Biosystem VISION Workstationを使用して、未精製のペプチドを調製用逆相HPLCによって90%以上まで精製し、緩衝液A(0.1% TFA, aq.)及び緩衝液B(0.1% TFA, 90% MeCN, aq.)との勾配で35 ml/分で実行した。分析用HPLC及びMSによって画分を分析し、関連画分をプールし(pooled)そして凍結乾燥した。最終生成物をHPLC及びMSによって特徴を明らかにした。
【0154】
ヒトグルカゴン及びGLP-1受容体を発現している株化細胞の産生
ヒトグルカゴン受容体(グルカゴン-R)(初期受入番号P47871)又はヒトグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)(初期受入番号P43220)をコードしているcDNAを、cDNAクローンBC104854(MGC:132514/IMAGE:8143857) 又はBC112126 (MGC:138331/IMAGE:8327594)からそれぞれクローン化した。サブクローニングのための末端制限酵素部位をコードしているプライマーを使用して、グルカゴン-R又はGLP-1RをコードしているDNAをPCRによって増幅した。5'末端プライマーは、効率的な翻訳を保証するための近接コザック共通配列をさらにコードした。グルカゴン-R及びGLP-1RをコードしているDNAの忠実度を、DNA配列決定によって確認した。グルカゴン-R又はGLP-1RをコードしているPCR産物を、ネオマイシン(G418)抵抗性マーカーを含む哺乳類の発現ベクター中にサブクローン化した。
【0155】
グルカゴン-R又はGLP-1Rをコードしている哺乳類の発現ベクターを、標準的なリン酸カルシウム形質導入方法によってHEK293細胞中に形質導入した。形質導入の48時間後に、制限希釈クローニングのために細胞を播種し、培地中で1mg/ml G418で選択した。3週間後に、グルカゴン-R及びGLP-1R発現細胞の12個の生存コロニーを採取し増殖させ、下記の通りグルカゴン-R及びGLP-1R効果アッセイ中で試験した。1つのグルカゴン-R発現クローン及び1つのGLP-1R発現クローンを、化合物プロファイリングのために選択した。
【0156】
グルカゴン受容体及びGLP-1受容体効果アッセイ
ヒトグルカゴンR、又はヒトGLP-1Rを発現しているHEK293細胞を、0.01 % ポリ-L-リジンでコーティングした96-ウェルのマイクロタイタープレート中に40,000細胞 per ウェルで播種し、100 μl 成長培地において培養しながら1日間成長させた。分析の日に、成長培地を除去し細胞を200 μlタイロード緩衝液で1度洗浄した。試験ペプチド、100 μM IBMX、及び6mM グルコースの増加濃度を含む100 μl タイロード緩衝液中で、細胞を37℃で15分間インキュベートした。反応を25 μlの0.5 M HClの付加によって停止し、氷上で60分間インキュベートした。Perkin-Elmer から購入したフラッシュプレート(登録商標)cAMPキットを使用して、cAMP含有量を評価した。基準化合物(グルカゴン及び GLP-1)と比較したEC50及び相対効力を、コンピューターを利用したカーブフィッティングによって評価した。
【0157】
皮下投与後のマウス血漿中のペプチドGlu-GLP1アゴニストの定量化のための生物分析スクリーニング法
マウスに、100 nmol/kgを皮下(s.c)投与した。マウスを屠殺し、次の時点; 0.5、2、4、6、16及び24時に血液を採取した。タンパク質沈殿法、続いて固相抽出法(SPE)及び液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS)を使用して血漿試料を分析した。
【0158】
高脂肪給餌のC57BL/6J 正常マウスにおける経口糖負荷試験(OGTT)、血液脂質及び体重及びdb/dbマウスにおけるHbA1c
餌及び水の自由摂取に、オスマウス(長期高脂肪給餌C57BL /6J、短期高脂肪給餌 C57BL /6J 及び db/db)を順化させた。マウスを光、温度、及び湿度制御の部屋の中で、5-6匹の群で飼育した(12時間明期: 12時間暗期、2000/0800 時に光をOn/Off ; 24°C; 50%相対湿度)。
【0159】
動物をハンドリング及び注射に順化させるために、3日間100 μlの溶媒を動物に皮下注射(1日に1度)した。血液試料を眼又は尾の先端から採取した。治療前に動物を無作為抽出した。
【0160】
マウスにGluGLP-1アゴニスト又は溶媒(注入量 = 2.5 ml/kg)を皮下に1日に2度処置した。試験期間、体重を毎日記録し、ペプチドの体重補正投与量を投与するために使用した。ペプチド溶液を投薬直前にフレッシュに調製した。
【0161】
動物を短時間の絶食に供した後、経口糖負荷試験(OGTT)を行った。食物摂取を混同しないように、OGTT中、動物を続けて絶食させた。ペプチド投薬後、最初の血液試料を採取した。その後、リン酸緩衝液(pH = 7.4)に溶解した経口投与量のグルコース(1 g/kg)を与え(5 ml/kg)、動物をホームケージに戻した(t = 0)。全血グルコース(BG)を、t=15 分、t=30 分、t=60 分、t=90 分及び t=120 分に測定した。
【0162】
製造者の説明書に従って、一滴の血液を使用して固定化グルコースオキシダーゼ法によってBG濃度を分析した(< 5 μl; Elite Autoanalyser, Bayer, Denmark)。
【0163】
HbA1c測定
ヘモグロビンA1C(HbA1c)のレベルを測定することによって、化合物の対象のグルコースレベルへの長期の効果を評価することが可能である。HbA1cは、細胞中のそのレベルが細胞の生存期間中に細胞が曝露されているグルコースの平均レベルを反映するヘモグロビンの糖化形態である。マウスにおいて、HbA1cへの変換は約47日の赤血球の寿命によって制限されるので、HbA1cはその前の4週間中の平均血糖値の関連バイオマーカーである(Abbrecht & Littell, 1972; J. Appl. Physiol. 32, 443-445)。HbA1c測定は、比濁阻害免疫検定法(TINIA)に基づいており、その中で試料中のHbA1cは抗HbA1cと反応し、可溶性抗原抗体複合体を形成する。ポリハプテンの添加は、過剰の抗HbA1c抗体と反応し、不溶性抗体ポリハプテン複合体を形成し、これは比濁法的に測定することができる。溶血試料中の遊離ヘモグロビンは、特徴的な吸収スペクトルを有する誘導体に変換され、プレインキュベーション段階中に二重染色で(bichromatically)測定される。最終結果は、総ヘモグロビンのパーセントHbA1cとして表される(コバス(登録商標)アプリケーションノート A1C-2)。
【0164】
コレステロールレベル測定
アッセイは酵素比色法である。マグネシウムイオンの存在においてデキストラン硫酸は、LDL、VLDLA及びカイロミクロンとの水溶性錯体を選択的に形成し、これはPEG修飾酵素に耐性がある。HDLコレステロールを、アミノ基へPEGと結合したコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼによって酵素的に測定する。コレステロールエステルは定量的に分解されて遊離コレステロール及び脂肪酸となる。HDLコレステロールは、酵素的に酸化され、コレスト-4-エン-3-オン及びH2O2となり、形成されたH2O2を比色測定で測定する(コバス(登録商標); アプリケーションノート HDLC3)。
【0165】
LDLの直接測定は、非イオン界面活性剤によるLDLの選択的ミセル可溶化及び糖化合物及びリポタンパク質(VLDL及びカイロミクロン)の相互作用を利用する。糖化合物の界面活性剤との組合せは、血漿中のLDLの選択的測定が可能である。試験原理はコレステロール及びHDLと同一であるが、糖及び界面活性剤のみに起因し、LDLコレステロールエステルは分解され遊離コレステロール及び脂肪酸となる。続いて、遊離コレステロールは酸化され、形成されたH2O2が比色測定で測定される(アプリケーションノート LDL C, コバス(登録商標))。
【0166】
高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける体重増加
6週齢のC57BL/6Jオスマウスを、高脂肪食餌(HFD)(D12492, Research Diet Inc., New Brunswick, USA)及び水が自由摂取の新たな環境で4週間順化させた。動物に100 μlの溶媒を3日間皮下注射し、ペプチド治療の開始の前に動物をハンドリング及び注射に順化させた。マウスに1日に2度、エキセンディン-4、化合物3、化合物6、化合物7、化合物8、化合物11及び化合物12又は溶媒を皮下に処置した。試験の間中、体重を毎日記録し、ペプチドの体重補正投与量を投与するために使用した。全ての動物を頚椎脱臼によって同日に屠殺した。
【0167】
高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける投薬後2、4、6、8、10及び12時の経口耐糖能
C57BL /6Jオスマウス、6 週齢を、高脂肪食餌 (D12492, Research Diet Inc., New Brunswick, USA)及び水の自由摂取の新たな環境に順化させた。動物をハンドリング及び注射に順化させるために、3日間溶媒を皮下注射した。血液試料を尾の先端から採取し血糖を測定した。製造者のマニュアル(< 5 μl; Contour Autoanalyser, Bayer, Denmark)に従って一滴の血液を使用して、血糖(mM)濃度を固定化グルコースオキシダーゼ法によって分析した。高脂肪食餌で飼育の4週間後、動物の体重を測定し、ペプチドの体重補正の用量を投与するために体重を使用した。動物を4時間の絶食に供した後、経口糖負荷試験(OGTT)を行った。単一ペプチド又は溶媒の投薬後の2、4、6、8、10及び12時に、最初の血液試料を採取した(t=-0分)。その後直ちに、グルコースの経口投与量(1g/kg)を与え、動物をホームケージに戻した(t = 0)。t=15 分、t=30 分、t=60 分 及び t=90分にBGレベルを測定した。血液サンプリング後、直ちにCO2麻酔しその後頚椎脱臼によって全ての動物を屠殺した。
【0168】
若齢の非肥満C57BL/6J マウスと老齢の肥満C57BL/6J マウスにおける食物摂取
一方のC57BL/6J マウスは11日間高脂肪食餌で飼育し、他方のC57BL/6Jマウスは52週間高脂肪食餌で飼育した。
試験の3日前、マウスを個々のケージに移動し、体重を測定した。試験の4日前、毎日皮下に注射することによってマウスをハンドリング及び処置に順化させた。実験の前日に、20:00時に食餌を除去した。実験の当日に、マウスの体重を測定し、t=0 h (8:00) 及び t=12 h (20:00)にエキセンディン-4、化合物7又は溶媒を皮下注射で処置した。処置後直ちに(t=0)、事前に重量測定した食餌をマウスに導入し、t=1、2、4、8、12及び24時間後に、残存している食餌の重量を測定することによって累積食物摂取量を測定した。t=24に食餌及び動物の重量を測定した後、マウスを頚椎脱臼によって屠殺した。
【0169】
肝細胞cAMP形成
実験手順
Lonza Walkersvill, Inc.によって提供される初期ヒト肝細胞をTB緩衝液中で丁寧に洗浄し、100 μM IBMX 及び0.1% カゼインを追加したTB緩衝液中に溶解させたペプチドと37°Cで15分間インキュベートした。細胞への添加の前に、ペプチド希釈物を事前に37°Cまで過熱した。25 μlの氷冷の0.5 M HClの添加によって反応を停止し、60分間氷上で細胞をインキュベートした。ウェルからの25 μlの酸抽出物の、光る抗cAMP抗体でコーティングした96-ウェルマイクロタイター「フラッシュプレート」中の75 μlナトリウム酢酸緩衝液、pH 6.2への添加によって、ウェル中のcAMP含有量を測定した。100 μlの10 μCi [125I] cAMP溶液の各ウェルへの添加に続いて、プレートを4°Cで一晩インキュベートし、空にし、そしてTopCount NXT 上でプログラム「[125I]cAMP フラッシュプレート10分」を使用して、フラッシュプレートに結合した[125I]cAMPの量を計算した。
【0170】
0.1-1000 nM範囲の濃度でペプチドを試験した。
【0171】
データ分析及び統計
cAMP標準曲線への外挿によって、細胞によって生成されたcAMPの量を算出した。
【0172】
cAMPデータを以下の式に当てはめ、Sigma Plotを使用してEC50 値を評価した:
【化2】
本発明はさらに、以下の実施例によって説明する。
【0173】
肝臓重量/C57BL/6J マウスの体重
【0174】
マウスにCpd. 1 及び Cpd. 11(2つの用量で: 0.5 及び 5 nmol/kg)又は溶媒を1日に2度2週間皮下に処置した。試験期間中、体重を毎日記録し、ペプチドの体重補正投与量を投与するために使用した。屠殺当日に肝臓を摘出し、そして重量を測定した。
【実施例】
【0175】
実施例1 : 化合物の合成及びペプチド特性
合成例:
CEM Liberty Peptide Synthesizer上で化合物9を、上述のTentaGel S Ram 樹脂 (1,17 g; 0.23 mmol/g) 及び Fmoc-chemistyを使用して合成した。Fmoc-Lys(ivDde)-OHは17位で使用され、偽プロリンFmoc-Phe-Thr(.Psi. Me, Me pro)-OH及びFmoc-Asp(OtBu)-Ser(.Psi., Me, Me pro)-OHをペプチド主鎖において使用した。樹脂上のペプチド骨格の完了後、DCM中のBoc2O(226 mg)及びDIEA(54 μl)を使用したBoc保護に続いてN末端のFmoc基を手動で切断した。続いて、フレッシュに調製したヒドラジン水和物/NMPで(4%; 2 x 15 分)ivDde基を切断した。CEM Liberty Peptide SYnthesizerに戻し、残存している2つの結合単位、Fmoc-Glu-OtBu及びヘキサデカン酸を、無保護のリジン側鎖に添加した。
【0176】
ペプチドを上記の樹脂から切断し、そして精製をGemini-NXカラム(5 cm, 10 μm, C18)上で、緩衝液A(0.1% TFA, aq.)及び緩衝液B(0.1% TFA, 90% MeCN, aq.)の混合物の35 ml/分流量で行った。生成物を25%-65%の緩衝液Bで47分間直線勾配で溶出し、フラクションコレクターによって画分(9 ml)を採取した。関連画分を分析用HPLC及びMSによって分析し、純度95%以上の画分をプールし白色粉末となるまで凍結乾燥した。得られた72mgは、分析用HPLCによって測定して97%純度を有し、質量はMSで測定して3697.05 Daであった(Calc. 3696.97 Da)。
【0177】
実施例2: GLP-1及びグルカゴン受容体への効果
グルカゴンR及びhGLP-1Rを発現している細胞をリストに収載する増加濃度のアシル化化合物へ曝露し、上記方法において記載されるように、形成されたcAMPを測定することによって、GluGLP-1アゴニストの効果を評価した。
【0178】
結果を表1に示す。
表1. GLP-1及びグルカゴン受容体におけるアシル化化合物のEC50値
【0179】
【表1】
【0180】
()で標識される残基は、分子内ラクタム環を形成する。
【0181】
表1a 本発明のさらなるアシル化化合物のEC50値
【0182】
【表2】
【表3】
【0183】
化合物28に関して、H-H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-E)-AAHDFVEWLLSA-NH2は、H-H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-αGlu)-AAHDFVEWLLSA-NH2とも記載することができる。
【0184】
実施例3: 薬物動態スクリーニング
様々なアシル化化合物に関して薬物動態特性を測定した。算出したT1/2値を(非アシル化)化合物1と比較して表2に示す。
【0185】
【表4】
【0186】
全てのアシル化化合物は、化合物1と比較して改善されたT1/2を有した。
化合物13の試料薬物動態特性を図1に示す。
【0187】
実施例4: DIOマウスにおける経口糖負荷試験
長期高脂肪給餌のC57BL/6J マウスにおける、化合物11(10 nmol/kg)の21日の皮下投与の経口耐糖能への効果。高脂肪給餌マウスを絶食させ、最初の血液試料を採取し絶食血糖値(t=0)を測定した。続いて、グルコースの経口投与量(1 g/kg in 5 ml/kg)を与え、t=30 分、t=60 分、t=90 分及び t=120 分で血糖値を測定した。化合物11は、耐糖能を有意に改善した(two way ANOVA)。データはmean±SEMで示す。
【0188】
実施例5: 28日後のdb/db マウスにおけるHbA1c
糖尿病モデル(db/db)マウスを溶媒又は化合物7で4週間処置し、処置マウスから採取した全血試料(20 μl)中のHbA1cを測定した(コバス(登録商標)アプリケーションノート: A1C-2)。結果は、図3に示す。ΔHbA1c(%)を各マウスに関して、4週のHbA1c(%)から処置開始時のHbA1c(%)を減算することによって算出した。化合物7での治療は、溶媒と比較してΔHbA1c(%)を有意に低下した(P = 0.03; スチューデントt検定)。
【0189】
実施例6: 減少した体重
化合物11 の21日間の皮下投与の体重への効果を長期高脂肪給餌のC57BL/6Jマウスにおいて測定した。高脂肪食餌(HFD)中のC57BL/6Jオスマウスを、化合物11(10 nmol/kg)又は溶媒で処置した(1日2回; 皮下)。体重を毎日記録し、試験期間中にペプチドの体重補正投与量を投与するために使用した。図4にデータをmean±SEMで示す。化合物11は、体重を有意に減少した(p<0.05)。
【0190】
実施例7:総コレステロール及びHDL/LDL比
食事性肥満(DIO)マウスを、溶媒又は化合物7で4週間処置し、採取した血液試料から血漿を調製した。総コレステロール、LDL及びHDLを各血漿試料において測定し(コバス(登録商標)アプリケーションノート: CHOL2, HDLC3及びLDL-C)、結果を図5及び6に示す。化合物7での処置は、総コレステロール濃度を有意に低下し(P < 0.0001 , スチューデントt検定)(図5)、HDL/LDL比を有意に増加した(P < 0.0001 , スチューデントt検定)(図6)。
【0191】
実施例8: 高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける体重増加
エキセンディン-4、化合物8、化合物3、化合物7、化合物11、化合物12及び化合物6の10日間の皮下投与の、短期高脂肪給餌のC57BL/6Jマウスへの効果。高脂肪食餌 (HFD)で飼育中のC57BL/6Jオスマウスを、(1日2回; 皮下)(0.5 及び 5 nmol/kg)又は溶媒で処置した。体重を毎日記録し、試験期間中にペプチドの体重補正投与量を投与するために使用した。データを図7にmean±SEMで示す。
【0192】
対照ペプチド(エキセンディン-4)及び化合物8は、両方の用量(0.5 及び 5 nmol/kg)で体重増加を有意に減少した。化合物3、化合物7、化合物11及び化合物12は、体重増加を高用量(5 nmol/kg)で有意に減少したが、低用量(0.5 nmol/kg)では減少しなかった(図7)。化合物6は、低用量(0.5 nmol/kg)でのみ体重増加を有意に減少した。
【0193】
実施例9: 高脂肪給餌のC57BL/6Jにおける投薬後2、4、6、8、10及び12時の経口耐糖能
動物を4時間の絶食に供した後、経口糖負荷試験(OGTT)を行った。化合物7又は溶媒投薬の2、4、6、8、10及び12時間後に、最初の血液試料を採取した(t=0分)。その後直ちに、グルコース(1 g/kg)の経口投与量を行った。BGレベルを、t=15 分、t=30 分、t=60 分 及び t=90 分で測定した。血液サンプリング後直ちに、全動物をCO2麻酔し、頚椎脱臼して屠殺した。
【0194】
試験は、化合物7(10 nmol/kg)の皮下投与が、高脂肪給餌のC57BL/6J マウスにおいて投薬後2、4、6、8、10及び12 時において、耐糖能を有意に改善することを示す(経口糖負荷試験中、AUCの低下として測定される)。
【0195】
実施例10: 若齢の非肥満C57BL/6Jマウス及び老齢の肥満C57BL/6Jマウスにおける食物摂取
一方のC57BL/6Jマウスを高脂肪食餌で11日間飼育し、他方のC57BL/6Jマウスを高脂肪食餌で52週間飼育した。
実験の当日に、マウスの体重を測定し、t=0 h (8:00)及びt=12 h (20:00)においてエキセンディン-4、化合物7又は溶媒の皮下注射で処置した。処置(t=0)後直ちに、事前に重量測定した食餌をマウスに導入し、t=1 、2、4、8、12及び24時間後に残存している食餌の重量を測定することによって、累積食物摂取量を測定した。
若齢の非肥満マウスにおいて、0-4、0-8、0-12及び0-24時間中、化合物7は食物摂取を統計上有意に減少した(p<0.05)。0-2、0-4、0-8、0-12及び0-24時間中、エキセンディン-4は、食物摂取量を統計上有意に減少した(p<0.05)。
老齢の肥満マウスにおいて、0-2、0-4、0-8、0-12及び0-24時間中、化合物7は、食物摂取量を統計上有意に減少した(p<0.05)。エキセンディン-4は全時間中、食物摂取量を統計上有意に減少した(p<0.05)。
【0196】
実施例11: 30週間高脂肪食餌を給餌したマウスにおける、GluGLP-1アゴニスト化合物11の皮下投与の3週間の脂質への効果
30週間高脂肪食餌で飼育したマウスの、その後の3週間の1日に2度溶媒(PBS)、10 nmol/kg エキセンディン-4 又は10 nmol/kg 化合物11での処置(皮下)の脂質への効果(図11)。LDL、HDL及びトリグリセリドへの効果を測定した(CHO:総コレステロール; HDL: 高密度コレステロール; LDL: 低密度コレステロール; TRIG: トリグリセリド; HDLとLDLとの間のHDL/LDL比)。
【0197】
化合物11は、コレステロール、HDL、LDL(P < 0.001)及びトリグリセリド(P < 0.05)を有意に低下したが、一方HDL/LDL比は有意に増加した(p < 0.001)(図11)。HDL/LDL比は、心疾患に関するリスク指標と考えられる。当該比率が高ければ高いほど、心臓発作又は他の心血管問題の危険性は低い。
【0198】
実施例12:化合物11の肝細胞cAMP形成への効果
全試験ペプチドは、純粋なGLP-1アゴニストエキセンディン-4及びリラグルチドを除いて、GluR刺激cAMP形成に関して完全アゴニストとして機能する。表から、効力の順番が: 化合物1 > グルカゴン> 化合物11 > オキシントモジュリン >>>エキセンディン-4 及び リラグルチド、であることを確認することができる(表9)。
【0199】
最終的に、hGluR HEK293細胞において確認されたものと対照的に、高濃度におけるEMAX cAMP応答の下方制御は確認されなかった。
【0200】
表9. ヒト初代培養におけるグルカゴンアゴニストのcAMP形成への効果
【0201】
【表5】
【0202】
実施例13: 2週間処置したC57の健常対照マウスの肝臓重量
例えば化合物11等の長時間作用性アシル化二重GluGLP-1アゴニストでの反復処置は、非アシル化二重GluGLP-1アゴニスト化合物1と比較して肝臓サイズ(肥大又は萎縮)の変化を引き起こさない(図12)。
【0203】
実施例14: 28日後のdb/dbマウスにおけるHbA1c
糖尿病モデル(db/db)マウスを溶媒又は化合物11で4週間処置し、処置したマウスから採取した全血試料(20 μl)中で、HbA1cを測定した(コバス(登録商標)アプリケーションノート: A1C-2)。結果を図13に示す。4週のHbA1c(%)から処置開始時のHbA1c(%)を減算することによって、各マウスに関してΔHbA1c(%)を算出した。化合物11での治療は溶媒と比較して、ΔHbA1c(%)を有意に低下した(P = 0.03; スチューデントt検定)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシル化グルカゴン類似体、及び、例えば肥満症及び糖尿病の治療におけるその医学的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症及び糖尿病は世界的に増加している健康問題であり、様々な疾患、特に心血管疾患(CVD)、閉塞型睡眠時無呼吸、脳卒中、末梢動脈疾患、微小血管合併症及び変形性関節症と関係がある。
【0003】
世界中には2億4600万人が糖尿病を患い、2025年までに3億8000万人が糖尿病を患うであろうと推定されている。また、多くの人は、高/異常LDL及びトリグリセリド及び低HDLを含むさらなる心血管危険因子を有する。
【0004】
心血管疾患は、糖尿病を患う人の死亡率の約50%の割合を占め、肥満症及び糖尿病に関するその罹患率及び死亡率から、効果的な治療選択肢が医学上強く必要とされる。
【0005】
プレプログルカゴンは158個のアミノ酸前駆体ポリペプチドであり、組織中で種々の加工を受け、グルカゴン(Glu)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、及びオキシントモジュリン(OXM)を含む多数の構造関連プログルカゴン由来のペプチドを形成する。これらの分子は、グルコース恒常性、インスリン分泌、胃内容排出及び腸管成長、及び食物摂取量の調整を含む多種多様の生理機能に関係する。
【0006】
グルカゴンは、プレプログルカゴンのアミノ酸の53-81に相当する29個のアミノ酸ペプチドであり、配列His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thrを有する。オキシントモジュリン(OXM)は、オクタペプチドカルボキシ末端伸張を有するグルカゴンの完全な29個のアミノ酸配列を含む37個のアミノ酸ペプチドである(配列Lys-Arg-Asn-Arg-Asn-Asn-IIe-Alaを有し「介在ペプチド1」又はIP-1と呼ばれるプレプログルカゴンのアミノ酸の82-89であり; 従って、ヒトオキシントモジュリンの全配列は、His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thr-Lys-Arg-Asn-Arg-Asn-Asn-IIe-Alaである)。GLP-1の主要な生物活性のある断片は、プレプログルカゴンのアミノ酸の98-127に相当する、30個のアミノ酸の、C-末端アミド化ペプチドとして生成される。
【0007】
グルカゴンは、肝細胞上のグルカゴン受容体に結合することによって、グリコーゲンの形態で貯蔵されるグルコースを肝臓に放出させるグリコーゲン分解を介して、血液中のグルコースレベルの維持に役立つ。これらの貯蔵が枯渇すると、グルカゴンは肝臓を刺激して糖新生によってさらなるグルコースを合成させる。このグルコースは、血流中に放出され、低血糖の発生を防止する。さらに、グルカゴンは、脂肪分解の増加及び体重の減少を行うことが証明されている。
【0008】
GLP-1は、グルコース刺激性インスリン分泌を改善することによって血糖値の上昇を軽減し、主に食物摂取の減少を通して体重減少を促進する。
【0009】
オキシントモジュリンは、食物摂取に応答し、且つ食事カロリー量に比例して血液中に放出される。オキシントモジュリンの作用機序はあまりよく理解されていない。特に、ホルモン効果がもっぱらグルカゴン受容体及びGLP-1受容体を介して、又は1又は2以上の未同定の受容体を介して媒介されるかは分かっていない。
【0010】
他のペプチドは、グルカゴン及びGLP-1受容体の双方を結合し且つ活性化し(Hjort et al, Journal of Biological Chemistry, 269, 30121-30124,1994)、体重増加を抑制し食物摂取を減少することが示されている(WO 2006/134340; WO 2007/100535; WO 2008/101017, WO 2008/152403, WO 2009/155257 及び WO 2009/155258)。
ペプチドの安定化は、一部の薬物に対してより良好な薬物動態特性を供することが示されている。特に、1又は2以上のポリエチレングリコール(PEG)又はアシル基の添加は、例えばGLP-1及び血漿安定性が短期である他のペプチド等の半減期を延長することが示されている。
【0011】
WO 00/55184A1 及び WO 00/55119には、ペプチド領域、特にGLP-1のアシル化のための方法が開示される。Madsen等(J. Med. Chem. 2007, 50, 6126-6132)は、20位におけるGLP-1アシル化(リラグルチド)を開示し、その安定性に関してデータを提供する。
【0012】
ペグ化及びC末端のアシル化によるOXMの安定化はまた、WO2007/100535、WO08/071972及び Endocrinology 2009, 150(4), 1712-1721 by Druce, M R et alにおいて、選択類似体の薬物動態特性を改善することもまた示されている。
【0013】
近頃、グルカゴン類似体のペグ化が試験化合物の薬物動態特性に顕著な効果を有し(WO2008/101017)、試験化合物の効力を妨げることが示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式I
His-X2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-X27-X28-Ala-X30; (l)
(式中、X2は、Aib又はSerから選択され;
X12は、Lys、Arg及びLeuから選択され;
X16は、Arg及びXから選択され;
X17は、Arg及びXから選択され;
X20は、Arg、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びXから選択され;
X27は、Leu及びXから選択され;
X28は、Arg及びXから選択され;
X30は、Xであるか又は存在せず;
少なくともX16、X17、X20、X24、X27、X28、及びX30の1つがXであり;
各残基Xは、Glu、Lys、Ser、Cys、Dbu、Dpr及び/又はOrnから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1はXの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する化合物を供する。
【0015】
X30は、存在しても存在しなくてもよい。X30が存在する場合、それはLysであることが望ましい。
【0016】
特定の実施形態において、任意の残基X、特に親油性置換基に結合する任意の残基Xは、Lys、Glu又はCysから独立して選択される。
【0017】
特定の実施形態において、
X16は、Glu、Lys及びSerから選択され;
X17は、Lys及びCysから選択され;
X20は、His、Lys、Arg及びCysから選択され;
X24は、Lys、Glu及びAlaから選択され;
X27は、Leu及びLysから選択され; 及び/又は
X28は、Ser、Arg及びLysから選択される。
【0018】
式Iのペプチド中に存在し得る残基の特定の組合せは、以下:
X2はAibであり、X17はLysである;
X2はAibであり、X17はCysである;
X2はAibであり、X20はCysである;
X2はAibであり、X28はLysである;
X12はArgであり、X17はLysである;
X12はLeuであり、X17はLysである;
X12はLysであり、X20はLysである;
X12はLysであり、X17はLysである;
X16はLysであり、X17はLysである;
X16はSerであり、X17はLysである;
X17はLysであり、X20はLysである;
X17はLysであり、X21はAspである;
X17はLysであり、X24はGluである;
X17はLysであり、X27はLeuである;
X17はLysであり、X27はLysである;
X17はLysであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X28はArgである;
X20はLysであり、X27はLeuである;
X21はAspであり、X27はLeuである;
X2はAibであり、X12はLysであり、X16はSerである;
X12はLysであり、X17はLysであり、X16はSerである;
X12はArgであり、X17はLysであり、X16はGluである;
X16はGluであり、X17はLysであり、X20はLysである;
X16はSerであり、X21はAspであり、X24はGluである;
X17はLysであり、X24はGluであり、X28はArgである;
X17はLysであり、X24はGluであり、X28はLysである;
X17はLysであり、X27はLeuであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X27はLeuであり、X28はArgである;
X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである;
X20はLysであり、X27はLeuであり、X28はSerである;
X20はLysであり、X27はLeuであり、X28はArgである;
X16はSerであり、X20はHisであり、X24はGluであり、X27はLeuである;
X17はLysであり、X20はHisであり、X24はGluであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである; 又は
X17はCysであり、X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである、
ものを含む。
【0019】
式Iのペプチドは、親油性置換基の付加によって誘導体化されるタイプのたった1つのアミノ酸を含むことが望ましい。例えば、ペプチドは、その残基に結合される親油性置換基のためのたった1つのLys残基、たった1つのCys残基又はたった1つのGlu残基を有することができる。
【0020】
本発明の化合物は、式Iのペプチド配列内の1又は2以上の分子内架橋をを保持し得る。このような架橋はそれぞれ、典型的には直鎖状のアミノ酸配列における3つのアミノ酸(すなわち、アミノ酸A及びアミノ酸A+4との間)によって分離される、式Iの2つのアミノ酸残基の側鎖間に形成される。
【0021】
より詳細には、架橋は、残基対16及び20、17及び21、20及び24、又は24及び28の側鎖との間に形成されて良い。2つの側鎖は、イオン性相互作用を介して、又は共有結合によって互いに結合することができる。従って、これらの残基対は、イオン性相互作用によって塩架橋を形成するために互いに逆に帯電した側鎖を含むことができる。例えば、残基の1つは、Glu又はAspとすることができ、他方はLys又はArgとすることができる。LysとGlu及びLysとAspの対形成は、反応してラクタム環を形成することもできる。
【0022】
16及び20位における残基の適した対の例は:
X16はGluであり、X20はLysである;
X16はGluであり、X20はArgである;
X16はLysであり、X20はGluである;及び
X16はArgであり、X20はGluである、ものを含む。
【0023】
17及び21位における残基の適した対の例は:
X17はArgであり、X21はGluである;
X17はLysであり、X21はGluである;
X17はArgであり、X21はAspである; 及び
X17はLysであり、X21はAspである、ものを含む。
【0024】
20及び24位における残基の適した対の例は:
X20はGluであり、X24はLysである;
X20はGluであり、X24はArgである;
X20はLysであり、X24はGluである; 及び
X20はArgであり、X24はGluである、ものを含む。
【0025】
24及び28位における残基の適した対の例は:
X24はGluであり、X28はLysである;
X24はGluであり、X28はArgである;
X24はLysであり、X28はGluである; 及び
X24はArgであり、X28はGluである、ものを含む。
【0026】
例えば、ラクタム環を形成するためのLys及びGluの対形成は、特に24位及び28位との間が望ましい。
【0027】
分子内架橋に関係する残基が親油性置換基で誘導体化され得ることもないことは明らかであろう。従って、残基Xが分子内架橋に寄与する場合、少なくとも他の残基Xの1つは親油性置換基に結合する。
【0028】
いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、このような分子内架橋がGLP-1受容体において、場合によりグルカゴン受容体においてもまた、分子のアルファヘリックス構造を安定化し、それにより効力及び/又は選択性を増加すると考えられる。
【0029】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIa)
(式中、X12は、Lys、Arg及びLeuから選択され;
X16は、Ser及びXから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である);又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0030】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIb)
(式中、X12は、Lys、Arg及びLeuから選択され;
X16は、Ser及びXから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である);又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は、親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0031】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;(IIIa)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0032】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;(IIIb)
(式中、X12は、Lys又はArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)、
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0033】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IVa)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0034】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;(IVb)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0035】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式V
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Lys-Ala-Ala-His-Asp-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-X28; (V)
(式中、X28は、Serであるか又は存在せず;
X17は、Xであるとともに、
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0036】
本発明の特定の実施形態において、式Iのペプチドは、配列:
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDKKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLKRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLKA;
HSQGTFTSDYSRYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSLYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRAK;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSAK
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLKSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVKWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAACDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDKSAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSAK;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLKA
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVAWLLSA
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVAWLLKA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDKKAAHDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSRYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVKWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSLYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAACDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDK()KAAE()DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVE()WLLK()A
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAK()DFVE()WLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAHE()FVEWLLKA; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKOAAKEOFVEWLLRA
を有することができる。
【0037】
特定の実施形態において、これらのペプチドは、次の通り「*」で標識される位置に親油性置換基を有することができる:
HSQGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLD-K*-KAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K*-RA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K*-A;
HSQGTFTSDYSRYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSLYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA-K*;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA-K*;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K*-SA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K*-WLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-C*-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLD-K*-SAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA-K*;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K*-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLKA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVAWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVAWLL-K*-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-K*-KAAHDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSRYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K*-WLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSLYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-C*-DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-S*-KAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDK()K*AAE()DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK*AAHDFVE()WLLK()A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK*AAK()DFVE()WLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAHE()FVEWLLK*A; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAK*E()FVEWLLRA。
【0038】
「()」と標識される残基は、分子内結合、例えばラクタム環に関与する。
【0039】
残基Xの1又は2以上の側鎖は、親油性置換基に結合される。例えば、残基Xの1つの側鎖は、親油性置換基に結合される。あるいは、残基Xの2つ又は2つ以上の側鎖は、親油性置換基に結合される。
【0040】
例えば、少なくともX16、X17、X20及びX28の1つは、親油性置換基に結合されることができる。そのような場合、X30は存在しなくてよい。X30が存在する場合、典型的には親油性置換基に結合される。
【0041】
従って、本願の化合物は、16、17、20、24、27、28又は30位、好ましくは16、17又は20位、特に17位にたった1つの親油性置換基を有することができる。
【0042】
あるいは、本願の化合物は、正確には2つの親油性置換基をそれぞれ、16、17、20、24、27、28又は30位の1つに有することができる。好ましくは、1つ又は両方の親油性置換基は、16、17又は20位の1つに存在する。
【0043】
従って、本願の化合物は、16及び17、16及び20、16及び24、16及び27、16及び28又は16及び30; 17及び20、17及び24、17及び27、17及び28又は17及び30; 20及び24、20及び27、20及び28又は20及び30; 24及び27、24及び28又は24及び30; 27及び28又は27及び30; 又は28及び30位に親油性置換基を有することができる。
【0044】
さらなる実施形態において、化合物は、16、17、20、24、27、28又は30位から選択されるさらなる位置に1又は2以上のさらなる親油性置換基を有することができる(合計で3以上と仮定する場合)。しかしながら、最大2つの位置がこのように誘導体化されることが望ましい。
【0045】
Z1は、10-24個のC原子、例えば、10-22個のC原子、例えば、10-20個のC原子を有する炭化水素鎖を含むことができる。それは、少なくとも11個のC原子、及び/又は18個のC原子又はそれ以下を有することができる。例えば、炭化水素鎖は12、13、14、15、16、17又は18個の炭素原子を含むことができる。従って、Z1は、ドデカノイル、2-ブチルオクタノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル又はエイコサノイル部分とすることができる。
【0046】
独立して存在する場合、Z2は1又は2以上のアミノ酸残基である又はこれらを含むことができる。例えば、Z2は、γ-Glu、Glu、β-Ala又はε-Lys残基、又は4-アミノブタノイル、8-アミノオクタノイル又は8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル部分とすることができる。
Z1及びZ2の特定の組合せは、ドデカノイル-γ-Glu、ヘキサデカノイル-γ-Glu、ヘキサデカノイル-Glu、ヘキサデカノイル-[3-アミノプロパノイル]、ヘキサデカノイル-[8-アミノオクタノイル]、ヘキサデカノイル-ε-Lys、2-ブチルオクタノイル-γ-Glu、オクタデカノイル-γ-Glu及びヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル]である。
【0047】
特定の実施形態において、Zは式:
HSQGTFTSDYSKYLD-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-KAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-RA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVE()WLLK()A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLKA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-DFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ドデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[3-アミノプロパノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[8-アミノオクタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-ε-Lys)-AAHDFVEWLLSA:
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K([2-ブチルオクタノイル]-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAH DFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-E)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K([2-ブチルオクタノイル]-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-E)-AAHDFVEWLLSA
を有する。
「()」と標識される残基は、分子内結合、例えばラクタム環に関与する。
【0048】
さらなる実施形態において、Zは式:
H-Aib-QGTFTSDYS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-YLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-KAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-DFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-WLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソLys)-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAKDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDE-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHEFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAEDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLEA、を有する。
【0049】
さらなる態様において、Zは、式:
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLS;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLL;
を有する。
【0050】
さらなる態様において、Zは、式:
H-Aib-EGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLSA;
を有する。
【0051】
本発明は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式I
His-X2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-X27-X28-Ala-X30;
(式中、X2は、Aib又はSerであり;
X12は、Lys、Arg又はLeuから選択され;
X16は、Arg又はXであり;
X17は、Arg又はXであり;
X20は、Arg、His又はXであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はXであり;
X27は、Leu又はXであり;
X28は、Arg又はXであり;
X30は、Xであるか又は存在せず;
各残基Xは、Glu、Lys、Ser、Cys、Dbu、Dpr及びOrnから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する化合物を供する。
【0052】
X30は、存在する又は存在しないものとすることができる。それらの実施形態において、X30が存在する場合、Lysが望ましい。
【0053】
特定の実施形態において、任意の残基X、特に親油性置換基に結合する任意の残基Xは、Lys、Glu又はCysから独立して選択される。
【0054】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys、Arg又はLeuから選択され;
X16は、Ser又はXであり;
X17は、Xであり;
X20は、His又はXであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり;
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、又はCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0055】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり; そして、
Zは、式IIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys、Arg又はLeuから選択され;
X16は、Ser又はXであり;
X17は、Xであり;
X20は、His又はXであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり;
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、又はCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、そしてZ1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0056】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys又はArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His又はXであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり;
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、又はCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0057】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys又はArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His又はXであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり;
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、又はCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEΞWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0058】
本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys又はArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり;
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
Xは、Glu、Lys、又はCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有することができる。
【0059】
あるいは、本願の化合物は、式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala;
(式中、X12は、Lys又はArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp又はGluであり;
X24は、Ala又はGluであり
X28は、Ser、Lys又はArgであるとともに;
Xは、Glu、Lys、又はCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有することができる。
【0060】
さらなる態様において、本発明は、担体と混合した、本願明細書中で定義される化合物、又はその塩又は誘導体を含む組成物を供する。好適な実施形態において、本願の組成物は医薬的に許容される組成物であり、担体は医薬的に許容される担体である。当該塩は、医薬的に許容される化合物の酸付加塩、例えば、酢酸塩又は塩化物塩とすることができる。
【0061】
本願明細書に記載の化合物は、体重増加を防止又は体重減少を促進することにおける使用が見出される。「防止する」とは、治療をしない場合と比較して体重増加を抑制又は減少することを意味し、体重増加の完全な停止を必ずしも意味しない。ペプチドは、食物摂取の減少及び/又はエネルギー消費の増加を生じ、その結果、体重において効果が認められ得る。それらの体重における効果とは独立して、本発明の化合物は、循環グルコースレベル、耐糖能、及び/又は循環コレステロールレベルに有益な効果を有することができ、循環LDLレベルを低下しHDL/LDL比を増加し得る。従って、本発明の化合物は、例えば肥満症、病的肥満症、肥満症関連炎症、肥満症関連胆嚢疾患、肥満症誘発睡眠時無呼吸の治療及び/又は予防等の、過剰体重によって生じる又は特徴付けられる任意の疾病の直接又は間接療法に使用することができる。それらは、糖尿病前症、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、2型糖尿病、1型糖尿病、高血圧症又はアテローム生成脂質異常症(又はこれらの代謝危険因子の2以上の組合せ)、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、冠動脈心疾患、末梢動脈疾患、脳卒中及び細小血管障害の治療にも使用することができる。前記疾病におけるそれらの効果は、体重におけるそれらの効果と関係があるか又は当該効果の結果であるか、又はそれらと独立したものである。
【0062】
従って本発明は、上記の疾病の治療におけるそれを必要としている個人における本発明の化合物の使用を供する。
【0063】
本発明はまた、医学的治療方法における使用、特に上記の疾病の治療方法における使用のための本発明の化合物を供する。
【0064】
本発明はまた、上記の疾病の治療用医薬の調製における本発明の化合物の使用を供する。
【0065】
本発明の化合物は、糖尿病、肥満症、脂質異常症又は高血圧症の治療用薬剤との組合せ療法の一部として投与することができる。
【0066】
そのような場合、2つの活性薬剤は、同一の医薬製剤の一部として又は別々の製剤として、併用投与又は別々に投与することができる。
【0067】
従って、本発明の化合物(又はその塩)は、メトホルミン、スルホニル尿素、グリニド、DPP-IV阻害剤、グリタゾン、又はインスリンを含むがこれらに限定されない抗糖尿病薬と組合せて使用することができる。好適な実施形態において、本願の化合物又はその塩は、適切な血糖コントロールを達成するために、インスリン、DPP-IV阻害剤、スルホニル尿素又はメトホルミン、特にスルホニル尿素又はメトホルミンと組合せて使用される。より好適な実施形態において、化合物又はその塩は、適切な血糖コントロールを達成するために、メトホルミン、スルホニル尿素、インスリン又はインスリン類似体と組合せて使用される。インスリン類似体の例には、ランタス(登録商標)、ノボラピッド(登録商標)、ヒューマログ(登録商標)、ノボミックス(登録商標)、アクトラファン(Actraphane)HM、レベミル(登録商標)及びアピドラ(登録商標)を含むがこれらに限定されない。
【0068】
化合物又はその塩は、グルカゴン様ペプチド受容体1アゴニスト、ペプチドYY又はその類似体、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、メラノコルチン受容体4アゴニスト、又はメラニン凝集ホルモン受容体1アンタゴニストを含むがこれらに限定されない抗肥満薬と組合せてさらに使用することができる。
【0069】
化合物又はその塩は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、β遮断薬、又はカルシウムチャネル遮断薬を含むがこれらに限定されない抗高血圧剤と組合せてさらに使用することができる。
【0070】
化合物又はその塩は、スタチン、フィブラート系薬剤、ナイアシン又はコレステロール吸収阻害剤を含むがこれらに限定されない抗脂質異常症剤と組合せて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、100 nmol/kgの投与量でのマウスへの皮下(s.c.)投与後の化合物13の薬物動態特性を示す。
【図2】図2は、長期高脂肪給餌のC57BL/6Jマウスにおける、経口耐糖能への、化合物11の21日間の皮下投与(10 nmol/kg)の効果を示す。データはmean±SEMで示される。
【図3】図3は、糖尿病モデル(db/db)マウスを溶媒又は化合物7(12.7 nmol/kg)で4週間処置し、処置マウスから採取した全血試料(20 μl)において測定したHbA1cを示す(コバス(登録商標)アプリケーションノート: A1C-2)。ΔHbA1c(%)は各マウスに関して、4週間後のHbA1c(%)から処置の開始時におけるHbA1c(%)を減算することによって算出した。溶媒で4週間処置したdb/dbマウスのΔHbA1c(%)= 100%。*(P = 0.03, スチューデントt検定)。
【図4】図4は、長期高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける、化合物11の21日間の皮下投与の体重への効果を示す。データはmean+SEMとして示される。
【図5】図5は、食事性肥満(DIO)マウスを溶媒又は化合物7(12.7 nmol/kg)で4週間処置し、採取した血液試料から血漿を調製し、各血漿試料中で測定した総コレステロール値を示す(コバス(登録商標); アプリケーションノート CHOL2)。***(P < 0.0001 , スチューデントt検定)。データはmean+SEMとして示される。
【図6】図6は、食事性肥満(DIO)マウスを溶媒又は化合物7(12.7 nmol/kg)で処置し、血漿を採取した血液試料から調製し、各血漿試料中で測定したLDL及びHDLコレステロールを示す(コバス(登録商標); アプリケーションノート HDLC3 及び LDL_C)。***(P < 0.0001 , スチューデントt検定)。データはmean+SEMとして示される。
【図7】図7は、高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける、GluGLP-1アゴニストの皮下投与の体重増加への効果を示す。データは、mean±SEMである。黒線: 溶媒(PBS)、灰色線: 低用量(0.5 nmol/kg)、破線: 高用量 (5 nmol/kg)。
【図8】図8は、化合物7の急性皮下投与の、高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける、投薬後2、4、6、8、10及び12時の経口耐糖能への効果を示す。データはmean+SEMとして表される。
【図9】図9は、若齢の非肥満のC57BL/6Jマウスにおける、化合物7及びエキセンディン-4の皮下投与の食物摂取量/体重への効果を示す。データはmean+SEMである。*=p<0.05:溶媒投与の若齢の非肥満個体に対して。データはmean+SEMとして表わされる。
【図10】図10は、老齢の肥満C57BL/6J マウスにおける、化合物7及びエキセンディン-4の皮下投与の累積食物摂取量/体重への効果を示す。データは、mean+SEMである。*=p<0.05:溶媒投与の老齢の肥満個体に対して。データはmean+SEMとして表す。
【図11】図11は、老齢の肥満C57BL/6J マウスにおける、溶媒、エキセンディン-4(10 nmol/kg)及び化合物11(10 nmol/kg)の皮下投与の、血漿脂質濃度への効果を示す。データはmean+SEMである。
【図12】図12は、マウスを化合物1及び化合物11(2つの用量: 0.5 及び5 nmol/kg)又は溶媒で2週間毎日2回皮下に処置した結果を示す。屠殺の日に、肝臓を摘出し、重量を測定した。化合物1は、高用量で「肝臓重量/体重比」を有意に増加させた。化合物11は、2つの用量(0.5 及び 5 nmol/kg)ともに「肝臓重量/体重比」に影響しなかった。化合物1は、非アシル化二重GluGLP-1アゴニストであり、化合物11は、長時間作用性アシル化二重GluGLP-1アゴニストである(図12)。
【図13】図13は、糖尿病モデル(db/db)マウスを溶媒又は化合物11(12.7 nmol/kg)で4週間処置し、処置マウスから採取した全血試料中(20 μl)で測定したHbA1cを示す(コバス(登録商標)アプリケーションノート: A1C-2)。各マウスに関して、4週間後のHbA1c(%)から処置開始時におけるHbA1c(%)を減算することによってΔHbA1c(%)を算出した。溶媒で4週間処置したdb/dbマウスのΔHbA1c(%)= 100%。*(P = 0.03, スチューデントt検定)。
【0072】
実施形態の詳細な説明
本明細書を通して、天然に存在するアミノ酸に関して通常の1文字及び3文字コード、及びAib(α-アミノイソ酪酸)、Orn(オルニチン)、Dbu(2,4 ジアミノ酪酸)及びDpr(2,3-ジアミノプロパン酸)を含む他のアミノ酸に関して一般に受け入れられている3文字コードを使用する。
【0073】
用語「天然のグルカゴン」とは、配列H-His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thr-OHを有する天然のヒトグルカゴンを意味する。
【0074】
本発明の化合物のペプチド配列は、少なくとも18、20、24、27、28及び29位で天然のグルカゴンとは異なる。さらに、12、16及び17位の1又は2以上において天然のグルカゴンとは異なる。
【0075】
天然のグルカゴンは、18位にArgを有する。本発明の化合物は、グルカゴン及びGLP-1受容体双方において、特にGLP-1受容体において効力を増加すると考えられている18位に低分子疎水性残基Alaを有する。
【0076】
天然のグルカゴンの27、28及び29位の残基は、グルカゴン受容体に重要な選択性を供するように見える。天然のグルカゴン配列に関してこれらの位置、特に29位のAlaにおける置換は、潜在的にグルカゴン受容体における効力の著しい減少なしに、GLP-1受容体における効力及び/又はGLP-1受容体に関する選択性を増加し得る。本発明の化合物に含まれ得るさらなる例は、27位のLeu及び28位のArgを含む。さらに、共に分子内架橋を形成し得る24位にGluが存在する場合には、28位のArgが特に好ましく、これがGLP-1受容体における効力への効果を増加し得るからである。
【0077】
天然に存在するMet残基の27位における(例えば、Leu、Lys又はGluでの)置換はまた、酸化の可能性を低下し、それにより化合物の化学安定性を増加する。
【0078】
天然に存在するAsn残基の28位における(例えば、Arg又はSerによる)置換はまた、酸性溶液中のアミド分解の可能性を低下し、それにより化合物の化学安定性を増加する。
【0079】
GLP-1受容体における効力及び/又は選択性は、グルカゴン受容体における効力の顕著な損失が潜在的になく、ペプチドのC末端部分でアルファヘリックス構造を安定化する可能性のある残基の導入によって増加することもまたできる。分子のこのヘリックス部分に関して、両親媒性特性を有することが望ましいが、必須とは考えられていない。例えば12位におけるLeu及び/又は24位におけるAla等の残基の導入は、この一助となり得る。さらに又はあるいは荷電残基を、16、20、24、及び28位の1又は2以上の位置において導入することができる。従って、24及び28位の残基、20、24、及び28位における残基、又は16、20、24、及び28位における残基は全て荷電され得る。例えば、20位の残基は、His又はArg、特にHisとすることができる。24位の残基は、Glu、Lys又はArg、特にGluとすることができる。28位の残基は、Argとすることができる。上記の通り、当該分子のこの部分、例えば24位と28位との間における分子内架橋の導入はまた、ヘリックス特性に寄与し得る。
【0080】
20及び24位の天然に存在するGln残基の1つ又は両方の置換はまた、酸性溶液中のアミド分解の可能性を減少し、これにより化合物の化学安定性を増加する。
【0081】
天然のグルカゴン配列に対する12位での(すなわち、Arg又はLeuの)置換は、双方の受容体における効力及び/又はGLP-1受容体における選択性を増加し得る。
【0082】
ペプチドのC末端トランケーションは、双方の受容体の効力及び/又はGLP-1受容体の選択性を低下しない。特に、29位のトランケーション又は28及び29位双方でのトランケーションは、2つの受容体のいずれに対する受容体効力も低下しない。
【0083】
Xと表示される残基(すなわち、存在する場合は、16、17、20、24、27及び28位、及び/又は30位)の1又は2以上の側鎖は、親油性置換基に結合される。当然のことながら、親油性置換基の特定の側鎖への結合は、非結合側鎖がその位置に供し得る利点にある程度影響し得る(例えば、減少する)。本発明者等は、本発明の化合物が、天然のグルカゴン配列に対するアシル化の利点及び特定の置換の利点との間のバランスを供し得ることを発見した。
【0084】
本発明の組成物はさらに、例えば共有結合性、疎水性及び静電気性相互作用を介して、薬物担体、薬物送達系及び高度な薬物送達系中に組み合わされ、又はこれらと結合され、化合物の安定性をさらに増強し、生物学的利用率を増加し、溶解性を増加し、副作用を減少し、当業者に周知の時間治療を達成し、そして患者コンプライアンスを増加する又はこれらの任意の組合せを達成することができる。担体、薬物送達系及び高度な薬物送達系の例は、例えばセルロース及び誘導体等のポリマー、例えばデキストラン及び誘導体等の多糖、デンプン及び誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸コポリマー及びそのブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、例えばアルブミン等の担体タンパク質、例えば熱ゲル化系(thermogelling system)等のゲル、例えば当業者に周知のブロックコポリマー系、ミセル、リポソーム、微粒子、ナノ微粒子、液晶及びその分散、脂質-水系の相挙動の当業者に周知のL2相及びその分散、ポリマーミセル、多重エマルション、自己乳化、自己微小乳化の、シクロデキストリン及びその誘導体、及びデンドリマーを含むがこれらに限定されない。
【0085】
他のグループは、PEGでの誘導体化によってGluGLP-1二重アゴニスト化合物の半減期を延長することを試みた(WO2008/101017)。しかしながら、このような誘導体化は、ペプチドの主鎖の中心コア中よりも分子のC末端に適用される場合に最も効果的なようであり、対応する無修飾ペプチドと比較してこれらの化合物の効力はさらに低下される。
【0086】
一方、本発明の化合物はグルカゴン及びGLP-1受容体双方において高い効力を保持し、同時に対応する無修飾ペプチドと比較して有意に遅延性の薬物動態特性を有する。
【0087】
天然のグルカゴンは、16位にSerを有する。Ala、GIy又はThrでの置換は、グルカゴン受容体におけるアデニル酸シクラーゼ活性化を有意に低下することが示されている(Unson et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 1994, 91, 454-458)。従って、16位における親油性置換基での誘導体化によって、本明細書に記載の化合物によって驚くほどに示されるような、グルカゴン受容体に効力を保持している化合物を得ることは期待できないであろう。WO2008/101017において、負に荷電した残基は、効力の損失を最小化するために16位であることが望ましいことが分かった。
【0088】
17及び18位の塩基性アミノ酸の存在は、一般的に完全なグルカゴン受容体の活性化に必須であると考えられている(Unson et al. J. Biol. Chem. 1998, 273, 10308-10312)。本発明者等は、18位がアラニンである場合、17位における疎水性アミノ酸での置換は、極めて強力な化合物をさらに得ることができることを発見した。17位のアミノ酸が親油性置換基で誘導体化されている化合物でさえ、グルカゴン及びGLP-1受容体双方においてほぼ完全な効力を保持し、顕著な遅延性薬物動態特性を示す。これは、17位のリジンが誘導体化される場合でさえ、塩基性アミン側鎖を中性アミド基に変換している。
【0089】
20位における置換は、グルカゴンと比較してGLP-1受容体の活性を増強するために、長さ4-6個の原子の側鎖を有する塩基性アミノ酸であるべきということが他の研究から示されているにもかかわらず(WO2008/101017)、本発明者等は、20位にアシル化を有する化合物が一層高い活性の二重アゴニストであることもまた発見した。本明細書に記載される化合物は、20位がリジンで置換され且つアシル化されている場合、GLP-1及びグルカゴン受容体の活性の双方を保持する。
【0090】
ペプチド合成
本発明の化合物のペプチド成分は、標準的な合成方法、組換え発現系、又は任意の他の適した方法によって生成することができる。従って、ペプチドは、例えば、:
ペプチドの断片を得るための、
(a)段階的な固相又は液相方法によって又は最終ペプチド生成物の断片の集合及び単離及び精製によってペプチドを合成する工程;
(b)宿主細胞中でペプチドをコードする核酸コンストラクトを発現させ、宿主細胞培養物から発現産物を回収する工程; 又は
(c)ペプチドをコードする核酸コンストラクトの無細胞のインビトロ(in vitro)における発現を生じ、発現産物を回収する工程;
又は(a)、(b)、及び(c)の方法の任意の組合せ、及びその後に、ペプチドを得るために断片を結合し、ペプチドを回収する工程、を含む方法を含む多数の方法によって合成することができる。
【0091】
固相又は液相ペプチド合成によって、本発明の類似体を合成することが好ましい。これに関連して、参考文献として、WO 98/11125、及び多くの中で、Fields, GB et al., 2002, 「Principles and practice of solid-phase peptide synthesis」が挙げられる。Synthetic Peptides (2nd Edition)及びその中の実施例中。
【0092】
親油性置換基
本発明の化合物中のアミノ酸側鎖の1又は2以上は、親油性置換基Z1に結合される。いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、親油性置換基は、血流でアルブミンに結合し、従って、本発明の化合物の半減期を増強することができる酵素分解から化合物を遮蔽すると考えられる。それはまた、例えば、グルカゴン受容体及び/又はGLP-1受容体に関して化合物の効力を調整し得る。
【0093】
特定の実施形態において、たった1つのアミノ酸側鎖だけが、親油性置換基に結合される。他の実施形態において、2つのアミノ酸側鎖は互いに親油性置換基に結合される。さらなる実施形態において、3つ又はそれ以上アミノ酸側鎖がそれぞれ親油性置換基に結合される。化合物が2つ又はそれ以上の親油性置換基を含む場合、それらは同一又は異なるものとすることができる。
【0094】
親油性置換基Z1は、アミノ酸側鎖において原子に共有結合で結合される、あるいはスペーサーZ2によってアミノ酸側鎖に結合され得る。
【0095】
用語「結合される」とは、1つの同定可能な化学部分の他の部分への物理的な結合、及びこのような部分間の構造的関係を記載するために本明細書中で使用される。特定の合成方法を意味すると受け取るべきではない。
【0096】
スペーサーZ2が存在する場合、これは化合物と親油性部分との間のスペーシングを供するために使用される。
【0097】
親油性置換基は、エステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドを介してアミノ酸側鎖又はスペーサーに結合され得る。従って、好ましくは親油性置換基がエステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドの部分を形成するアシル基、スルホニル基、N原子、O原子又はS原子を含むと理解することができるであろう。好ましくは、親油性置換基におけるアシル基はアミノ酸の側鎖又はスペーサーを有するアミド又はエステルの一部を形成する。
【0098】
親油性置換基は、10-24個のC原子、例えば、10-22個のC原子、例えば、10-20個のC原子を有する炭化水素鎖を含むことができる。好ましくは、少なくとも11個のC原子、さらに好ましくは18個又はそれ以下のC原子を有する。例えば、炭化水素鎖は12、13、14、15、16、17又は18個の炭素原子を含むことができる。炭化水素鎖は、直鎖状又は分岐状とすることができ、飽和又は不飽和とすることができる。上記の考察から、炭化水素鎖は好ましくは、アミノ酸側鎖又はスペーサーへ結合する一部を形成する部分、例えばアシル基、スルホニル基、N原子、O原子又はS原子での置換と理解することができるであろう。最も好ましくは、炭化水素鎖は、アシルでの置換であり、従って、炭化水素鎖は、アルカノイル基、例えばドデカノイル、2-ブチルオクタノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル又はエイコサノイル基の一部とすることができる。
【0099】
上述の通り、親油性置換基Z1は、スペーサーZ2によってアミノ酸側鎖に結合され得る。存在する場合、スペーサーは親油性置換基及びアミノ酸側鎖に結合される。スペーサーは、エステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドによって独立して親油性置換基及びアミノ酸側鎖に結合することができる。従ってそれは、アシル、スルホニル、N原子、O原子又はS原子から独立して選択される2つの部分を含むことができる。スペーサーは、直鎖状のC1-10炭化水素鎖又はより好ましくは直鎖状のC1-5炭化水素鎖から成る。さらに、スペーサーは、C1-6アルキル、C1-6アルキルアミン、C1-6アルキルヒドロキシ及びC1-6アルキルカルボキシから選択される1又は2以上の置換基で置換されることができる。
【0100】
スペーサーは、例えば、天然に存在する又は天然でない任意のアミノ酸の残基とすることができる。例えば、スペーサーは、Gly、Pro、Ala、Val、Leu、IIe、Met、Cys、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、Gln、Asn、α-Glu、γ-Glu、ε-Lys、Asp、Ser、Thr、Gaba、Aib、β-Ala(すなわち3-アミノプロパノイル)、4-アミノブタノイル、5-アミノペンタノイル、6-アミノヘキサノイル、7-アミノヘプタノイル、8-アミノオクタノイル、9-アミノノナノイル、10-アミノデカノイル又は8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイルの残基とすることができる。特定の実施形態において、スペーサーは、Glu、γ-Glu、ε-Lys、β-Ala(すなわち3-アミノプロパノイル)、4-アミノブタノイル、8-アミノオクタノイル又は8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイルの残基である。本発明において、γ-Glu及びイソGluは互換的に使用する。
【0101】
親油性置換基が結合されるアミノ酸側鎖は、Glu、Lys、Ser、Cys、Dbu、Dpr又はOrn残基の側鎖である。例えば、それは、Lys、Glu又はCys残基の側鎖である。2つ又はそれ以上の側鎖が親油性置換基を有する場合、それらはこれらの残基から独立して選択することができる。従って、アミノ酸側鎖は、スペーサー又は親油性置換基とエステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドを形成するための、カルボキシ、ヒドロキシル、チオール、アミド又はアミン基を含む。
【0102】
親油性部分Z1及びスペーサーZ2含む親油性置換基の例は、以下の式:
【化1】
に示される。
【0103】
式中、式Iのペプチド由来のLys残基の側鎖は、アミド結合を介してγ-Gluスペーサー(Z2)に共有結合で結合される。ヘキサデカノイル基(Z1)は、アミド結合を介してγ-Gluスペーサーに共有結合で結合される。Lys残基に結合される親油性部分及びスペーサーのこの組合せは、例えば、特定の化合物の式中で示す場合、略語K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)で言及する。γ-Gluは、イソGlu、及びパルミトイル基としてのヘキサデカノイル基と呼ぶこともまたできる。従って、表記(ヘキサデカノイル-γ-Glu)は、例えばPCT/GB2008/004121において使用されるように、表記(イソGlu(Palm))又は(イソGlu(パルミトイル))と同等であることは明らかであろう。
【0104】
当業者であれば、本発明の化合物の調製に適した技術を十分把握しているであろう。適した化学技術の例としては、WO98/08871、WO00/55184、WO00/55119、Madsen et al (J. Med. Chem. 2007, 50, 6126-32)、及びKnudsen et al. 2000 (J. Med Chem. 43, 1664-1669)を参照されたい。
【0105】
ペグ化及び/又はアシル化は、GluGLP-1アゴニスト濃度の突発的な増加を生じる、短期の半減期(JY2)を有する。従って、グルカゴン受容体は、治療期間中1日に1度(又は2度)グルカゴンアゴニズムへの突発的な曝露を受けやすい。
【0106】
いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、グルカゴンアゴニズムへのGluRの反復の突発的な曝露は、肝臓と脂肪組織との間の脂質及び遊離脂肪酸の輸送に混乱をもたらし、その結果脂質が肝臓中で蓄積することとなるようである。
Gluのグルカゴンアゴニズムへの一定の曝露は、肝臓における脂肪の蓄積を遮断する。
従って、グルカゴン又は短期作用の二重GluGLP-1アゴニストでの反復治療は、脂肪及びグリコーゲン蓄積に起因して、肝臓肥大を引き起こすことが分かっている(Chan et al., 1984. Exp. Mol. Path. 40, 320-327)。
【0107】
長時間作用性アシル化二重GluGLP-1アゴニストでの反復治療は、標準体重対象において肝臓サイズの変化(肥大又は萎縮)を引き起こさないが、肝臓脂質含有量を標準化する(Day et al., 2009; Nat.Chem.Biol. 5, 749-57)。
【0108】
効果
関連化合物のGLP-1又はグルカゴン(Glu)受容体への結合は、アゴニスト活性の指標として使用することができるが、一般的に化合物の関連受容体への結合によって生じる細胞内情報伝達を測定する生物検定を使用することが好適である。例えば、グルカゴンアゴニストによるグルカゴン受容体の活性化は、細胞サイクリックAMP(cAMP)形成を刺激するであろう。同様に、GLP-1アゴニストによるGLP-1受容体の活性化は、細胞cAMP形成を刺激するであろう。従って、これらの2つの受容体の1つを発現している適した細胞におけるcAMPの産生は、関連受容体活性をモニターするために使用することができる。従って、一方の受容体を発現しているが他方は発現していない細胞型の適した対の使用は、両方の受容体型へのアゴニスト活性を測定するために使用することができる。
【0109】
当業者は、適したアッセイ型を把握するであろう。以下に例を提供する。GLP-1受容体及び/又はグルカゴン受容体は、実施例に記載する受容体の配列を有することができる。例えば、アッセイは、初期受入番号Gl: 4503947 (NP_000151.1)を有するヒトグルカゴン受容体(グルカゴン-R)及び/又は初期受入番号 Gl:166795283 (NP_002053.3)を有するヒトグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)を利用することができる。(前駆体タンパク質の配列に言及する場合、もちろんアッセイがシグナル配列を欠如している成熟タンパク質を利用することができることは理解されるべきである)。
【0110】
EC50値は、特定の受容体におけるアゴニスト効力の数値尺度として使用することができる。EC50値は、特定のアッセイにおいて化合物の最大活性の半分を達成するのに必要とされる化合物の濃度の尺度である。従って、例えば、特定のアッセイにおける天然グルカゴンのEC50[GLP-1R]以下のEC50[GLP-1R]を有する化合物はGLP-1Rにおいてグルカゴン以上の効力を有するとみなすことができる。
【0111】
本明細書に記載される化合物は、典型的にはGlu-GLP-1二重アゴニストであり、すなわちそれらは、グルカゴン受容体及びGLP-1R双方においてcAMP形成を刺激することができる。各受容体の刺激は、別個のアッセイにおいて測定しその後互いに比較することができる。
【0112】
特定の化合物に関して、グルカゴン受容体のEC50値(EC50[グルカゴン-R])をGLP-1受容体のEC50値(EC50[GLP-1R])と比較することによって、その化合物の相対グルカゴン選択性(%)が分かる:
相対グルカゴン-R選択性[化合物] = (1/ EC50 [グルカゴン-R])x100% / (1/ EC50 [グルカゴン-R] + 1/ EC50 [GLP-1R])
【0113】
相対GLP-1R選択性も同様に分かる:
相対GLP-1R選択性[化合物] = (1/ EC50 [GLP-1R])x100% / (1/ EC50 [グルカゴン-R] + 1/ EC50 [GLP-1R])
【0114】
化合物の相対選択性によって、GLP-1又はグルカゴン受容体への効果を他の受容体への効果と直接比較することができる。例えば、化合物の相対GLP-1選択性が高ければ高いほど、その化合物は、グルカゴン受容体と比較してGLP-1受容体へより有効である。
【0115】
下記のアッセイを使用して、我々はヒトグルカゴンに関するその相対GLP-1選択性が約5%であることが分かった。
【0116】
本発明の化合物は、ヒトグルカゴンより高い相対GLP-1R選択性を有する。従って、グルカゴン-Rアゴニスト活性の特定のレベルに関して、化合物は、グルカゴンよりGLP-1Rアゴニスト活性のより高いレベル(すなわち、GLP-1受容体においてより偉大な効力)を示すであろう。適切な相対GLP-1R選択性が達成される限り、グルカゴン及びGLP-1受容体における特定の化合物の絶対効力は、天然のヒトグルカゴンより高い、低い或いはそれとほぼ同等となり得る、と理解することができるであろう。
【0117】
それにもかかわらず、本発明の化合物は、ヒトグルカゴンより低いEC50[GLP-1R]を有することができる。化合物は、ヒトグルカゴンの10倍未満、5倍未満、又は2倍未満であるEC50[グルカゴン-R]を維持しながら、グルカゴンより低いEC50[GLP-1R]を有することができる。
【0118】
グルカゴン-R及びGLP-1Rの両方のための任意の化合物のEC50は、1 nM未満であることが望ましい。
【0119】
本発明の化合物は、ヒトグルカゴンの2倍未満であるEC50[グルカゴン-R]を有することができる。化合物は、ヒトグルカゴンの2倍未満であるEC50 [グルカゴン-R]を有し、ヒトグルカゴンの2分の1未満、ヒトグルカゴンの5分の1未満、又は10分の1未満であるEC50[GLP-1R]を有することができる。
【0120】
化合物の相対GLP-1選択性は、5%以上95%未満とすることができる。例えば、化合物は、5-20%、10-30%、20-50%、30-70%、又は50-80%、又は30-50%、40-60%、50-70%又は75-95%の相対選択性を有することができる。
【0121】
治療上の使用
本発明の化合物は、肥満症及び真性糖尿病(糖尿病)を含む代謝疾患に関して魅力的な治療上の選択肢を供し得る。
【0122】
糖尿病は、インスリン分泌、インスリン作用、又は双方の欠如に起因する高血糖を特徴とする代謝性疾患のグループを含む。糖尿病の急性兆候は、過剰な尿生成、結果として生じる代償性口渇及び水分摂取増加、霧視、原因不明の体重減少、嗜眠、及びエネルギー代謝における変化を含む。糖尿病の慢性高血糖は、長期の損傷、機能障害、及び様々な器官、特に眼、腎臓、神経、心臓及び血管の不全と関係がある。糖尿病は、病原性特性に基づいて、1型糖尿病、2型糖尿病及び妊娠性糖尿病に分類される。
【0123】
1型糖尿病は、インスリン分泌膵臓β-細胞の自己免疫破壊によって生じる全糖尿病症例の5-10%を占める。
【0124】
2型糖尿病は、糖尿病症例の90-95%を占め、一連の複合的な代謝性障害の結果である。2型糖尿病は、診断閾値以下の血漿グルコースレベルを維持するのに不十分となる内因性のインスリン生成の結果である。
【0125】
妊娠性糖尿病は、妊娠中に確認されるグルコース不耐性の任意の程度を意味する。
【0126】
糖尿病前症は、空腹時血中ブドウ糖不良及び耐糖能障害を含み、血糖値が上昇したが糖尿病の臨床診断に設定されるレベル以下である場合に生じる状態を意味する。
【0127】
2型糖尿病及び糖尿病前症の人の比率が高いことは、腹部肥満症(腹部内臓周囲の過剰な脂肪組織)、アテローム生成脂質異常症(動脈壁でプラークの発達を助長する、高トリグリセリド、低HDLコレステロール及び/又は高LDLコレステロールを含む血液脂質異常)、血圧上昇(高血圧)症、血栓形成促進性状態(例えば、血液中の高いフィブリノゲン又はプラスミノーゲン活性化因子インヒビター1)、及び炎症誘発状態(例えば、血液中のC反応性タンパク質の増加)を含むさらなる代謝性危険因子の高有病率に起因する罹患率及び死亡率のリスクが高まっている状態である。
【0128】
一方で、肥満症は、糖尿病前症、2型糖尿病、及び例えば、あるタイプの癌、閉塞型睡眠時無呼吸症及び胆嚢疾患を進行するリスクを高める。
【0129】
脂質異常症は、循環器疾患のリスクの増加と関係がある。血漿HDL濃度と動脈硬化性疾患のリスクとの間に逆相関が存在するので、高比重リポタンパク質(HDL)は、臨床上重要である。動脈硬化性プラークに貯蔵されるコレステロールの大部分はLDLに由来し、従って低密度リポタンパク質(LDL)の濃度の上昇はアテローム性動脈硬化と密接に関係がある。HDL/LDL比は、アテローム性動脈硬化症、特に冠状動脈アテローム性動脈硬化症の臨床上のリスク指標である。
【0130】
いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の化合物は、GluGLP-1二重アゴニストとして機能すると考えられている。二重アゴニストは、例えば、脂肪代謝へのグルカゴンの効果を、例えば、血糖値及び食物摂取へのGLP-1の効果と結合することができる。従って、それらは、過剰な脂肪組織の除去を促進し、持続可能な体重減少を誘発し、そして血糖制御を改善するよう作用し得る。二重GluGLP-1アゴニストは、心血管危険因子、例えば高コレステロール及びLDL-コレステロールを減少するよう作用もし得る。
【0131】
従って、本発明の化合物は、(例えば、食欲、摂食、食物摂取、カロリー摂食量、及び/又はエネルギー消費の制御によって)体重増加を防止し、体重減少を促進し、過剰体重を減少し、又は病的肥満症、及び関連疾患及び肥満症関連炎症、肥満症関連胆嚢疾患及び肥満症誘発睡眠時無呼吸を含むがこれらに限定されない健康状態を含む肥満症を治療するために医薬として使用することができる。本発明の化合物は、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、糖尿病前症、空腹時血糖増加、2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症(又はこれらの代謝性危険因子の組合せ)、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、冠動脈心疾患、末梢動脈疾患及び脳卒中の治療のためにもまた使用することができる。これらは、肥満症と関係し得る全ての疾病である。しかしながら、本発明の化合物のこれらの疾病への効果は、体重への効果を介して全体的に又は部分的に媒介される、又はそれとは独立して生じ得る。
【0132】
医薬組成物
本発明の化合物、又はその塩は、貯蔵又は投与のための調製された医薬組成物として製剤することができ、これは典型的には医薬的に許容される担体中に治療有効量の本発明の化合物、又はその塩を含む。
【0133】
本発明の化合物の治療有効量は、投与経路、処置されている哺乳類のタイプ、及び検討中の特定の哺乳類の身体的特徴によって決まるであろう。この量を決定するこれらの因子及びそれらの関係は、医薬分野における当業者に周知である。この量及び投与方法は、最適な効果を達成するために適合させることができ、そして医薬分野における当業者に周知の体重、食事、併用処方ような因子及び他の因子によって決定することができる。ヒトの使用に最も適切な投与量サイズ及び投与計画は、本発明によって得られる結果によって導くことができ、そして適切にデザインされた臨床試験において確認することができる。
【0134】
有効投与量及び治療プロトコールは、従来の手段によって決定することができ、実験動物において低用量で開始し、続いて効果をモニターしながら投与量を増加させ、そしてさらに投与計画を体系的に変化させる。特定の対象に対する最適な投与量を決定する場合に、臨床医は多数の因子を考慮することができる。このような考慮は、当業者に周知である。
【0135】
用語「医薬的に許容される担体」とは、任意の標準的な医薬担体を含む。治療上の使用のための医薬的に許容される担体は、医薬分野で周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.(A. R. Gennaro edit. 1985)に記載される。例えば、弱酸性又は生理的pHの無菌生理食塩水及びリン酸緩衝生理食塩水を使用することができる。pH緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、炭酸ジアンモニウム、好ましい緩衝液であるジエタノールアミン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、又は酢酸塩又はこれらの混合物である。さらに、当該用語は、ヒトを含む動物における使用のための米国薬局方において列記される任意の薬剤を含む。
【0136】
用語「医薬的に許容される塩」とは、本願の化合物の塩を意味する。塩とは、例えば酸付加塩及び塩基性塩等の医薬として許容される塩を含む。酸付加塩の例は、塩酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩を含む。塩基性塩の例は、陽イオンが、例えばナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属、例えばカルシウム等のアルカリ土類金属、及びアンモニウムイオン+N(R3)3(R4)(式中、R3及びR4 は独立して、任意には置換C1-6-アルキル、任意には置換C2-6-アルケニル、任意には置換アリール、又は任意には置換ヘテロアリールを指定する)から選択される塩を含む。医薬として許容される塩の他の例は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」,17th edition. Ed. Alfonso R. Gennaro (Ed.), Mark Publishing Company, Easton, PA, U.S.A., 1985 及び最新版、及びEncyclopaedia of Pharmaceutical Technologyに記載される。
【0137】
「治療」とは、有益な又は望ましい臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的において、有益な又は望ましい臨床結果とは、検出可能か否かによらず、(部分的又は全体的な)症状の軽減、疾患の範囲の減少、疾患の安定化(すなわち、悪化していない)状態、疾患進行の遅延又は緩徐化、病状の回復又は寛解、及び緩解を含むがこれらに限定されない。「治療」とは、治療を受けない場合の期待生存と比較した生存の延長もまた意味し得る。「治療」とは、疾患の病状の発生又は変質の防止を意図して行われる治療介入である。従って、「治療」とは、治療及び予防手段の双方を意味する。治療を必要とする対象には、既に障害に罹患している対象及び障害が予防され得る対象が含まれる。治療は、無治療の場合と比較した場合の、病態又は症状の拡張(例えば、体重増加、高血糖)を抑制又は減少することを意味し、必ずしも関連疾病の完全な停止を意味しない。
【0138】
医薬組成物は、単位剤形とすることができる。このような形態において、組成物は活性成分の適切な量を含む単位用量に分けられる。単位剤形はパッケージ製剤とすることも可能である。ここでパッケージは、例えば製剤の離散量を含むパッケージ錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の粉末剤としてもよい。単位剤形は、そのまま単一のカプセル剤、カシェ(cachet)、又は錠剤としてもよく、又はこれらのパッケージ形態のいずれかの適切な数としてもよい。それは、単一用量の注射可能形態、例えばペンの形態で供することができる。組成物は、任意の適した投与経路及び投与手段のために製剤することができる。医薬的に許容される担体又は希釈剤は、経口、直腸、経鼻又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、及び経皮を含む)投与に適した製剤に使用されるものを含む。製剤は、単位剤形の便利な形を取ることができ、医薬の分野の周知の任意の方法によって調製することができる。
【0139】
皮下又は経皮の投与方法は、本明細書に記載される化合物に特に適し得る。
【0140】
組合せ療法
本発明の化合物は、糖尿病、肥満症、脂質異常症又は高血圧症の治療のための薬剤との組合せ療法の一部として投与することができる。
【0141】
その場合、2つの活性薬剤を同一の医薬製剤の一部又は別々の製剤として、併用投与又は別々に投与することができる。
【0142】
従って、本発明の化合物(又はその塩)は、メトホルミン、スルホニル尿素、グリニド、DPP-IV阻害剤、グリタゾン、又はインスリンを含むがこれらに限定されない抗糖尿病薬と組合せて使用することができる。好適な実施形態において、化合物又はその塩は、適切な血糖コントロールを達成するために、インスリン、DPP-IV阻害剤、スルホニル尿素又はメトホルミン、特にスルホニル尿素又はメトホルミンと組合せて使用される。より好適な実施形態において、化合物又はその塩は、適切な血糖コントロールを達成するために、インスリン又はインスリン類似体と組合せて使用される。インスリン類似体の例は、ランタス(登録商標)、ノボラピッド(登録商標)、ヒューマログ(登録商標)、ノボミックス(登録商標)、アクトラファン(Actraphane)HM、レベミル(登録商標)及びアピドラ(登録商標)を含むがこれらに限定されない。
【0143】
化合物又はその塩は、グルカゴン様ペプチド受容体1アゴニスト、ペプチドYY又はその類似体、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、メラノコルチン受容体4アゴニスト、又はメラニン凝集ホルモン受容体1アンタゴニストを含むがこれらに限定されない抗肥満薬と組合せてさらに使用することができる。
【0144】
化合物又はその塩は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、β遮断薬、又はカルシウムチャネル遮断薬を含むがこれらに限定されない抗高血圧剤と組合せて使用することができる。
【0145】
化合物又はその塩は、スタチン、フィブラート系薬剤、ナイアシン及び/又はコレステロール吸収阻害剤を含むがこれらに限定されない抗脂質異常症剤と組合せて使用することができる。
【0146】
方法
アシル化グルカゴン類似体の一般的な合成
固相ペプチド合成を、standard Fmoc chemistryを使用して、CEM Liberty Peptide Synthesizer上で行った。使用の前に、TentaGel S Ram 樹脂(1 g; 0.25 mmol/g)をNMP(10 ml)中で膨潤させ、DCM及びNMPを使用してチューブ及び反応槽との間を移動させた。
【0147】
カップリング:
NMP/DMF/DCM(1:1:1 ; 0.2 M; 5 ml) 中のFmoc-アミノ酸をCEM Discover microwave 装置の樹脂に、HATU/NMP (0.5 M; 2 ml)及びDIPEA/NMP(2.0 M; 1 ml)と共に添加した。
【0148】
混合物を通して窒素を泡立てせながら、カップリング混合物を75°Cまで5分間加熱した。続いて樹脂をNMPで洗浄した(4 x 10 ml)。
【0149】
脱保護:
最初の脱保護のためにピペリジン/NMP (20%; 10 ml)を樹脂に添加し、混合物を電子レンジで加熱した(30秒; 40℃)。反応槽を排出し、ピペリジン/NMP(20%; 10 ml)の2回目の量を添加し、再度加熱した(75°C; 3 分)。続いて樹脂をNMP(6 x 10 ml)で洗浄した。
【0150】
側鎖アシル化:
Fmoc-Lys(ivDde)-OH又は直交性側鎖保護基を有する他のアミノ酸をアシル化の位置に導入した。続いて、最終カップリングにおいて、Boc2Oを使用して又はBoc保護アミノ酸を使用することによって、ペプチド主鎖のN末端をBoc保護した。ペプチドがまだ樹脂に結合された状態で、フレッシュに調製したNMP中のヒドラジン水和物(2-4%)を2 x 15分間使用して直交性側鎖保護基を選択的に切断した。上記のペプチドカップリング方法を使用して、無保護のリジン側鎖をまずFmoc-Glu-OtBu又は他のスペーサーアミノ酸と結合させ、ピペリジンで脱保護しそして親油性部分でアシル化した。
【0151】
採用した略語は次の通りである:
ivDde: 1-(4,4-ジメチル2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)3-メチル-ブチル
Dde: 1-(4,4-ジメチル2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)-エチル
DCM: ジクロロメタン
DMF: N,N-ジメチルホルムアミド
DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン
EtOH: エタノール
Et2O: ジエチルエーテル
HATU: N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾール[4,5-b]ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロリン酸N-オキシド
MeCN: アセトニトリル
NMP: N-メチルピロリドン
TFA: トリフルオロ酢酸
TIS: トリイソプロピルシラン
【0152】
切断:
樹脂をEtOH(3 x 10 ml)及びEt2O(3 x 10 ml)で洗浄し、一定の重量まで室温で(r.t.)乾燥した。TFA/TIS/水(95/2.5/2.5; 40 ml, 2 h; r.t.)での処置によって、未精製のペプチドを樹脂から切断した。TFAの大半を減圧で除去し、未精製のペプチドを沈殿させ、ジエチルエーテルで3回洗浄し、室温で一定の重量まで乾燥した。
【0153】
未精製のペプチドのHPLC精製:
C-18カラム(5 cm; 10 μm)及びフラクションコレクターを備えたPerSeptive Biosystem VISION Workstationを使用して、未精製のペプチドを調製用逆相HPLCによって90%以上まで精製し、緩衝液A(0.1% TFA, aq.)及び緩衝液B(0.1% TFA, 90% MeCN, aq.)との勾配で35 ml/分で実行した。分析用HPLC及びMSによって画分を分析し、関連画分をプールし(pooled)そして凍結乾燥した。最終生成物をHPLC及びMSによって特徴を明らかにした。
【0154】
ヒトグルカゴン及びGLP-1受容体を発現している株化細胞の産生
ヒトグルカゴン受容体(グルカゴン-R)(初期受入番号P47871)又はヒトグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)(初期受入番号P43220)をコードしているcDNAを、cDNAクローンBC104854(MGC:132514/IMAGE:8143857) 又はBC112126 (MGC:138331/IMAGE:8327594)からそれぞれクローン化した。サブクローニングのための末端制限酵素部位をコードしているプライマーを使用して、グルカゴン-R又はGLP-1RをコードしているDNAをPCRによって増幅した。5'末端プライマーは、効率的な翻訳を保証するための近接コザック共通配列をさらにコードした。グルカゴン-R及びGLP-1RをコードしているDNAの忠実度を、DNA配列決定によって確認した。グルカゴン-R又はGLP-1RをコードしているPCR産物を、ネオマイシン(G418)抵抗性マーカーを含む哺乳類の発現ベクター中にサブクローン化した。
【0155】
グルカゴン-R又はGLP-1Rをコードしている哺乳類の発現ベクターを、標準的なリン酸カルシウム形質導入方法によってHEK293細胞中に形質導入した。形質導入の48時間後に、制限希釈クローニングのために細胞を播種し、培地中で1mg/ml G418で選択した。3週間後に、グルカゴン-R及びGLP-1R発現細胞の12個の生存コロニーを採取し増殖させ、下記の通りグルカゴン-R及びGLP-1R効果アッセイ中で試験した。1つのグルカゴン-R発現クローン及び1つのGLP-1R発現クローンを、化合物プロファイリングのために選択した。
【0156】
グルカゴン受容体及びGLP-1受容体効果アッセイ
ヒトグルカゴンR、又はヒトGLP-1Rを発現しているHEK293細胞を、0.01 % ポリ-L-リジンでコーティングした96-ウェルのマイクロタイタープレート中に40,000細胞 per ウェルで播種し、100 μl 成長培地において培養しながら1日間成長させた。分析の日に、成長培地を除去し細胞を200 μlタイロード緩衝液で1度洗浄した。試験ペプチド、100 μM IBMX、及び6mM グルコースの増加濃度を含む100 μl タイロード緩衝液中で、細胞を37℃で15分間インキュベートした。反応を25 μlの0.5 M HClの付加によって停止し、氷上で60分間インキュベートした。Perkin-Elmer から購入したフラッシュプレート(登録商標)cAMPキットを使用して、cAMP含有量を評価した。基準化合物(グルカゴン及び GLP-1)と比較したEC50及び相対効力を、コンピューターを利用したカーブフィッティングによって評価した。
【0157】
皮下投与後のマウス血漿中のペプチドGlu-GLP1アゴニストの定量化のための生物分析スクリーニング法
マウスに、100 nmol/kgを皮下(s.c)投与した。マウスを屠殺し、次の時点; 0.5、2、4、6、16及び24時に血液を採取した。タンパク質沈殿法、続いて固相抽出法(SPE)及び液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS)を使用して血漿試料を分析した。
【0158】
高脂肪給餌のC57BL/6J 正常マウスにおける経口糖負荷試験(OGTT)、血液脂質及び体重及びdb/dbマウスにおけるHbA1c
餌及び水の自由摂取に、オスマウス(長期高脂肪給餌C57BL /6J、短期高脂肪給餌 C57BL /6J 及び db/db)を順化させた。マウスを光、温度、及び湿度制御の部屋の中で、5-6匹の群で飼育した(12時間明期: 12時間暗期、2000/0800 時に光をOn/Off ; 24°C; 50%相対湿度)。
【0159】
動物をハンドリング及び注射に順化させるために、3日間100 μlの溶媒を動物に皮下注射(1日に1度)した。血液試料を眼又は尾の先端から採取した。治療前に動物を無作為抽出した。
【0160】
マウスにGluGLP-1アゴニスト又は溶媒(注入量 = 2.5 ml/kg)を皮下に1日に2度処置した。試験期間、体重を毎日記録し、ペプチドの体重補正投与量を投与するために使用した。ペプチド溶液を投薬直前にフレッシュに調製した。
【0161】
動物を短時間の絶食に供した後、経口糖負荷試験(OGTT)を行った。食物摂取を混同しないように、OGTT中、動物を続けて絶食させた。ペプチド投薬後、最初の血液試料を採取した。その後、リン酸緩衝液(pH = 7.4)に溶解した経口投与量のグルコース(1 g/kg)を与え(5 ml/kg)、動物をホームケージに戻した(t = 0)。全血グルコース(BG)を、t=15 分、t=30 分、t=60 分、t=90 分及び t=120 分に測定した。
【0162】
製造者の説明書に従って、一滴の血液を使用して固定化グルコースオキシダーゼ法によってBG濃度を分析した(< 5 μl; Elite Autoanalyser, Bayer, Denmark)。
【0163】
HbA1c測定
ヘモグロビンA1C(HbA1c)のレベルを測定することによって、化合物の対象のグルコースレベルへの長期の効果を評価することが可能である。HbA1cは、細胞中のそのレベルが細胞の生存期間中に細胞が曝露されているグルコースの平均レベルを反映するヘモグロビンの糖化形態である。マウスにおいて、HbA1cへの変換は約47日の赤血球の寿命によって制限されるので、HbA1cはその前の4週間中の平均血糖値の関連バイオマーカーである(Abbrecht & Littell, 1972; J. Appl. Physiol. 32, 443-445)。HbA1c測定は、比濁阻害免疫検定法(TINIA)に基づいており、その中で試料中のHbA1cは抗HbA1cと反応し、可溶性抗原抗体複合体を形成する。ポリハプテンの添加は、過剰の抗HbA1c抗体と反応し、不溶性抗体ポリハプテン複合体を形成し、これは比濁法的に測定することができる。溶血試料中の遊離ヘモグロビンは、特徴的な吸収スペクトルを有する誘導体に変換され、プレインキュベーション段階中に二重染色で(bichromatically)測定される。最終結果は、総ヘモグロビンのパーセントHbA1cとして表される(コバス(登録商標)アプリケーションノート A1C-2)。
【0164】
コレステロールレベル測定
アッセイは酵素比色法である。マグネシウムイオンの存在においてデキストラン硫酸は、LDL、VLDLA及びカイロミクロンとの水溶性錯体を選択的に形成し、これはPEG修飾酵素に耐性がある。HDLコレステロールを、アミノ基へPEGと結合したコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼによって酵素的に測定する。コレステロールエステルは定量的に分解されて遊離コレステロール及び脂肪酸となる。HDLコレステロールは、酵素的に酸化され、コレスト-4-エン-3-オン及びH2O2となり、形成されたH2O2を比色測定で測定する(コバス(登録商標); アプリケーションノート HDLC3)。
【0165】
LDLの直接測定は、非イオン界面活性剤によるLDLの選択的ミセル可溶化及び糖化合物及びリポタンパク質(VLDL及びカイロミクロン)の相互作用を利用する。糖化合物の界面活性剤との組合せは、血漿中のLDLの選択的測定が可能である。試験原理はコレステロール及びHDLと同一であるが、糖及び界面活性剤のみに起因し、LDLコレステロールエステルは分解され遊離コレステロール及び脂肪酸となる。続いて、遊離コレステロールは酸化され、形成されたH2O2が比色測定で測定される(アプリケーションノート LDL C, コバス(登録商標))。
【0166】
高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける体重増加
6週齢のC57BL/6Jオスマウスを、高脂肪食餌(HFD)(D12492, Research Diet Inc., New Brunswick, USA)及び水が自由摂取の新たな環境で4週間順化させた。動物に100 μlの溶媒を3日間皮下注射し、ペプチド治療の開始の前に動物をハンドリング及び注射に順化させた。マウスに1日に2度、エキセンディン-4、化合物3、化合物6、化合物7、化合物8、化合物11及び化合物12又は溶媒を皮下に処置した。試験の間中、体重を毎日記録し、ペプチドの体重補正投与量を投与するために使用した。全ての動物を頚椎脱臼によって同日に屠殺した。
【0167】
高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける投薬後2、4、6、8、10及び12時の経口耐糖能
C57BL /6Jオスマウス、6 週齢を、高脂肪食餌 (D12492, Research Diet Inc., New Brunswick, USA)及び水の自由摂取の新たな環境に順化させた。動物をハンドリング及び注射に順化させるために、3日間溶媒を皮下注射した。血液試料を尾の先端から採取し血糖を測定した。製造者のマニュアル(< 5 μl; Contour Autoanalyser, Bayer, Denmark)に従って一滴の血液を使用して、血糖(mM)濃度を固定化グルコースオキシダーゼ法によって分析した。高脂肪食餌で飼育の4週間後、動物の体重を測定し、ペプチドの体重補正の用量を投与するために体重を使用した。動物を4時間の絶食に供した後、経口糖負荷試験(OGTT)を行った。単一ペプチド又は溶媒の投薬後の2、4、6、8、10及び12時に、最初の血液試料を採取した(t=-0分)。その後直ちに、グルコースの経口投与量(1g/kg)を与え、動物をホームケージに戻した(t = 0)。t=15 分、t=30 分、t=60 分 及び t=90分にBGレベルを測定した。血液サンプリング後、直ちにCO2麻酔しその後頚椎脱臼によって全ての動物を屠殺した。
【0168】
若齢の非肥満C57BL/6J マウスと老齢の肥満C57BL/6J マウスにおける食物摂取
一方のC57BL/6J マウスは11日間高脂肪食餌で飼育し、他方のC57BL/6Jマウスは52週間高脂肪食餌で飼育した。
試験の3日前、マウスを個々のケージに移動し、体重を測定した。試験の4日前、毎日皮下に注射することによってマウスをハンドリング及び処置に順化させた。実験の前日に、20:00時に食餌を除去した。実験の当日に、マウスの体重を測定し、t=0 h (8:00) 及び t=12 h (20:00)にエキセンディン-4、化合物7又は溶媒を皮下注射で処置した。処置後直ちに(t=0)、事前に重量測定した食餌をマウスに導入し、t=1、2、4、8、12及び24時間後に、残存している食餌の重量を測定することによって累積食物摂取量を測定した。t=24に食餌及び動物の重量を測定した後、マウスを頚椎脱臼によって屠殺した。
【0169】
肝細胞cAMP形成
実験手順
Lonza Walkersvill, Inc.によって提供される初期ヒト肝細胞をTB緩衝液中で丁寧に洗浄し、100 μM IBMX 及び0.1% カゼインを追加したTB緩衝液中に溶解させたペプチドと37°Cで15分間インキュベートした。細胞への添加の前に、ペプチド希釈物を事前に37°Cまで過熱した。25 μlの氷冷の0.5 M HClの添加によって反応を停止し、60分間氷上で細胞をインキュベートした。ウェルからの25 μlの酸抽出物の、光る抗cAMP抗体でコーティングした96-ウェルマイクロタイター「フラッシュプレート」中の75 μlナトリウム酢酸緩衝液、pH 6.2への添加によって、ウェル中のcAMP含有量を測定した。100 μlの10 μCi [125I] cAMP溶液の各ウェルへの添加に続いて、プレートを4°Cで一晩インキュベートし、空にし、そしてTopCount NXT 上でプログラム「[125I]cAMP フラッシュプレート10分」を使用して、フラッシュプレートに結合した[125I]cAMPの量を計算した。
【0170】
0.1-1000 nM範囲の濃度でペプチドを試験した。
【0171】
データ分析及び統計
cAMP標準曲線への外挿によって、細胞によって生成されたcAMPの量を算出した。
【0172】
cAMPデータを以下の式に当てはめ、Sigma Plotを使用してEC50 値を評価した:
【化2】
本発明はさらに、以下の実施例によって説明する。
【0173】
肝臓重量/C57BL/6J マウスの体重
【0174】
マウスにCpd. 1 及び Cpd. 11(2つの用量で: 0.5 及び 5 nmol/kg)又は溶媒を1日に2度2週間皮下に処置した。試験期間中、体重を毎日記録し、ペプチドの体重補正投与量を投与するために使用した。屠殺当日に肝臓を摘出し、そして重量を測定した。
【実施例】
【0175】
実施例1 : 化合物の合成及びペプチド特性
合成例:
CEM Liberty Peptide Synthesizer上で化合物9を、上述のTentaGel S Ram 樹脂 (1,17 g; 0.23 mmol/g) 及び Fmoc-chemistyを使用して合成した。Fmoc-Lys(ivDde)-OHは17位で使用され、偽プロリンFmoc-Phe-Thr(.Psi. Me, Me pro)-OH及びFmoc-Asp(OtBu)-Ser(.Psi., Me, Me pro)-OHをペプチド主鎖において使用した。樹脂上のペプチド骨格の完了後、DCM中のBoc2O(226 mg)及びDIEA(54 μl)を使用したBoc保護に続いてN末端のFmoc基を手動で切断した。続いて、フレッシュに調製したヒドラジン水和物/NMPで(4%; 2 x 15 分)ivDde基を切断した。CEM Liberty Peptide SYnthesizerに戻し、残存している2つの結合単位、Fmoc-Glu-OtBu及びヘキサデカン酸を、無保護のリジン側鎖に添加した。
【0176】
ペプチドを上記の樹脂から切断し、そして精製をGemini-NXカラム(5 cm, 10 μm, C18)上で、緩衝液A(0.1% TFA, aq.)及び緩衝液B(0.1% TFA, 90% MeCN, aq.)の混合物の35 ml/分流量で行った。生成物を25%-65%の緩衝液Bで47分間直線勾配で溶出し、フラクションコレクターによって画分(9 ml)を採取した。関連画分を分析用HPLC及びMSによって分析し、純度95%以上の画分をプールし白色粉末となるまで凍結乾燥した。得られた72mgは、分析用HPLCによって測定して97%純度を有し、質量はMSで測定して3697.05 Daであった(Calc. 3696.97 Da)。
【0177】
実施例2: GLP-1及びグルカゴン受容体への効果
グルカゴンR及びhGLP-1Rを発現している細胞をリストに収載する増加濃度のアシル化化合物へ曝露し、上記方法において記載されるように、形成されたcAMPを測定することによって、GluGLP-1アゴニストの効果を評価した。
【0178】
結果を表1に示す。
表1. GLP-1及びグルカゴン受容体におけるアシル化化合物のEC50値
【0179】
【表1】
【0180】
()で標識される残基は、分子内ラクタム環を形成する。
【0181】
表1a 本発明のさらなるアシル化化合物のEC50値
【0182】
【表2】
【表3】
【0183】
化合物28に関して、H-H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-E)-AAHDFVEWLLSA-NH2は、H-H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-αGlu)-AAHDFVEWLLSA-NH2とも記載することができる。
【0184】
実施例3: 薬物動態スクリーニング
様々なアシル化化合物に関して薬物動態特性を測定した。算出したT1/2値を(非アシル化)化合物1と比較して表2に示す。
【0185】
【表4】
【0186】
全てのアシル化化合物は、化合物1と比較して改善されたT1/2を有した。
化合物13の試料薬物動態特性を図1に示す。
【0187】
実施例4: DIOマウスにおける経口糖負荷試験
長期高脂肪給餌のC57BL/6J マウスにおける、化合物11(10 nmol/kg)の21日の皮下投与の経口耐糖能への効果。高脂肪給餌マウスを絶食させ、最初の血液試料を採取し絶食血糖値(t=0)を測定した。続いて、グルコースの経口投与量(1 g/kg in 5 ml/kg)を与え、t=30 分、t=60 分、t=90 分及び t=120 分で血糖値を測定した。化合物11は、耐糖能を有意に改善した(two way ANOVA)。データはmean±SEMで示す。
【0188】
実施例5: 28日後のdb/db マウスにおけるHbA1c
糖尿病モデル(db/db)マウスを溶媒又は化合物7で4週間処置し、処置マウスから採取した全血試料(20 μl)中のHbA1cを測定した(コバス(登録商標)アプリケーションノート: A1C-2)。結果は、図3に示す。ΔHbA1c(%)を各マウスに関して、4週のHbA1c(%)から処置開始時のHbA1c(%)を減算することによって算出した。化合物7での治療は、溶媒と比較してΔHbA1c(%)を有意に低下した(P = 0.03; スチューデントt検定)。
【0189】
実施例6: 減少した体重
化合物11 の21日間の皮下投与の体重への効果を長期高脂肪給餌のC57BL/6Jマウスにおいて測定した。高脂肪食餌(HFD)中のC57BL/6Jオスマウスを、化合物11(10 nmol/kg)又は溶媒で処置した(1日2回; 皮下)。体重を毎日記録し、試験期間中にペプチドの体重補正投与量を投与するために使用した。図4にデータをmean±SEMで示す。化合物11は、体重を有意に減少した(p<0.05)。
【0190】
実施例7:総コレステロール及びHDL/LDL比
食事性肥満(DIO)マウスを、溶媒又は化合物7で4週間処置し、採取した血液試料から血漿を調製した。総コレステロール、LDL及びHDLを各血漿試料において測定し(コバス(登録商標)アプリケーションノート: CHOL2, HDLC3及びLDL-C)、結果を図5及び6に示す。化合物7での処置は、総コレステロール濃度を有意に低下し(P < 0.0001 , スチューデントt検定)(図5)、HDL/LDL比を有意に増加した(P < 0.0001 , スチューデントt検定)(図6)。
【0191】
実施例8: 高脂肪給餌C57BL/6Jマウスにおける体重増加
エキセンディン-4、化合物8、化合物3、化合物7、化合物11、化合物12及び化合物6の10日間の皮下投与の、短期高脂肪給餌のC57BL/6Jマウスへの効果。高脂肪食餌 (HFD)で飼育中のC57BL/6Jオスマウスを、(1日2回; 皮下)(0.5 及び 5 nmol/kg)又は溶媒で処置した。体重を毎日記録し、試験期間中にペプチドの体重補正投与量を投与するために使用した。データを図7にmean±SEMで示す。
【0192】
対照ペプチド(エキセンディン-4)及び化合物8は、両方の用量(0.5 及び 5 nmol/kg)で体重増加を有意に減少した。化合物3、化合物7、化合物11及び化合物12は、体重増加を高用量(5 nmol/kg)で有意に減少したが、低用量(0.5 nmol/kg)では減少しなかった(図7)。化合物6は、低用量(0.5 nmol/kg)でのみ体重増加を有意に減少した。
【0193】
実施例9: 高脂肪給餌のC57BL/6Jにおける投薬後2、4、6、8、10及び12時の経口耐糖能
動物を4時間の絶食に供した後、経口糖負荷試験(OGTT)を行った。化合物7又は溶媒投薬の2、4、6、8、10及び12時間後に、最初の血液試料を採取した(t=0分)。その後直ちに、グルコース(1 g/kg)の経口投与量を行った。BGレベルを、t=15 分、t=30 分、t=60 分 及び t=90 分で測定した。血液サンプリング後直ちに、全動物をCO2麻酔し、頚椎脱臼して屠殺した。
【0194】
試験は、化合物7(10 nmol/kg)の皮下投与が、高脂肪給餌のC57BL/6J マウスにおいて投薬後2、4、6、8、10及び12 時において、耐糖能を有意に改善することを示す(経口糖負荷試験中、AUCの低下として測定される)。
【0195】
実施例10: 若齢の非肥満C57BL/6Jマウス及び老齢の肥満C57BL/6Jマウスにおける食物摂取
一方のC57BL/6Jマウスを高脂肪食餌で11日間飼育し、他方のC57BL/6Jマウスを高脂肪食餌で52週間飼育した。
実験の当日に、マウスの体重を測定し、t=0 h (8:00)及びt=12 h (20:00)においてエキセンディン-4、化合物7又は溶媒の皮下注射で処置した。処置(t=0)後直ちに、事前に重量測定した食餌をマウスに導入し、t=1 、2、4、8、12及び24時間後に残存している食餌の重量を測定することによって、累積食物摂取量を測定した。
若齢の非肥満マウスにおいて、0-4、0-8、0-12及び0-24時間中、化合物7は食物摂取を統計上有意に減少した(p<0.05)。0-2、0-4、0-8、0-12及び0-24時間中、エキセンディン-4は、食物摂取量を統計上有意に減少した(p<0.05)。
老齢の肥満マウスにおいて、0-2、0-4、0-8、0-12及び0-24時間中、化合物7は、食物摂取量を統計上有意に減少した(p<0.05)。エキセンディン-4は全時間中、食物摂取量を統計上有意に減少した(p<0.05)。
【0196】
実施例11: 30週間高脂肪食餌を給餌したマウスにおける、GluGLP-1アゴニスト化合物11の皮下投与の3週間の脂質への効果
30週間高脂肪食餌で飼育したマウスの、その後の3週間の1日に2度溶媒(PBS)、10 nmol/kg エキセンディン-4 又は10 nmol/kg 化合物11での処置(皮下)の脂質への効果(図11)。LDL、HDL及びトリグリセリドへの効果を測定した(CHO:総コレステロール; HDL: 高密度コレステロール; LDL: 低密度コレステロール; TRIG: トリグリセリド; HDLとLDLとの間のHDL/LDL比)。
【0197】
化合物11は、コレステロール、HDL、LDL(P < 0.001)及びトリグリセリド(P < 0.05)を有意に低下したが、一方HDL/LDL比は有意に増加した(p < 0.001)(図11)。HDL/LDL比は、心疾患に関するリスク指標と考えられる。当該比率が高ければ高いほど、心臓発作又は他の心血管問題の危険性は低い。
【0198】
実施例12:化合物11の肝細胞cAMP形成への効果
全試験ペプチドは、純粋なGLP-1アゴニストエキセンディン-4及びリラグルチドを除いて、GluR刺激cAMP形成に関して完全アゴニストとして機能する。表から、効力の順番が: 化合物1 > グルカゴン> 化合物11 > オキシントモジュリン >>>エキセンディン-4 及び リラグルチド、であることを確認することができる(表9)。
【0199】
最終的に、hGluR HEK293細胞において確認されたものと対照的に、高濃度におけるEMAX cAMP応答の下方制御は確認されなかった。
【0200】
表9. ヒト初代培養におけるグルカゴンアゴニストのcAMP形成への効果
【0201】
【表5】
【0202】
実施例13: 2週間処置したC57の健常対照マウスの肝臓重量
例えば化合物11等の長時間作用性アシル化二重GluGLP-1アゴニストでの反復処置は、非アシル化二重GluGLP-1アゴニスト化合物1と比較して肝臓サイズ(肥大又は萎縮)の変化を引き起こさない(図12)。
【0203】
実施例14: 28日後のdb/dbマウスにおけるHbA1c
糖尿病モデル(db/db)マウスを溶媒又は化合物11で4週間処置し、処置したマウスから採取した全血試料(20 μl)中で、HbA1cを測定した(コバス(登録商標)アプリケーションノート: A1C-2)。結果を図13に示す。4週のHbA1c(%)から処置開始時のHbA1c(%)を減算することによって、各マウスに関してΔHbA1c(%)を算出した。化合物11での治療は溶媒と比較して、ΔHbA1c(%)を有意に低下した(P = 0.03; スチューデントt検定)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式I
His-X2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-X27-X28-Ala-X30; (l)
(式中、X2は、Aib及びSerから選択され;
X12は、Lys、Arg又はLeuから選択され;
X16は、Arg及びXから選択され;
X17は、Arg及びXから選択され;
X20は、Arg、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びXから選択され;
X27は、Leu及びXから選択され;
X28は、Arg及びXから選択され;
X30は、Xであるか又は存在せず;
少なくともX16、X17、X20、X24、X27、X28、及びX30の1つが、Xであり;
各残基Xは、Glu、Lys、Ser、Cys、Dbu、Dpr及び/又はOrnから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1はXの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する化合物。
【請求項2】
残基Xの1又は2以上が、Lys、Glu及びCysから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X16は、Glu、Lys及びSerから選択され;
X17は、Lys及びCysから選択され;
X20は、His、Lys、Arg及びCysから選択され;
X24は、Lys、Glu及びAlaから選択され;
X27は、Leu及びLysから選択され; 及び/又は
X28は、Ser、Arg及びLysから選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
式Iのペプチドは、残基の以下の:
X2はAibであり、X17はLysである;
X2はAibであり、X17はCysである;
X2はAibであり、X20はCysである;
X2はAibであり、X28はLysである;
X12はArgであり、X17はLysである;
X12はLeuであり、X17はLysである;
X12はLysであり、X20はLysである;
X12はLysであり、X17はLysである;
X16はLysであり、X17はLysである;
X16はSerであり、X17はLysである;
X17はLysであり、X20はLysである;
X17はLysであり、X21はAspである;
X17はLysであり、X24はGluである;
X17はLysであり、X27はLeuである;
X17はLysであり、X27はLysである;
X17はLysであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X28はArgである;
X20はLysであり、X27はLeuである;
X21はAspであり、X27はLeuである;
X2はAibであり、X12はLysであり、X16はSerである;
X12はLysであり、X17はLysであり、X16はSerである;
X12はArgであり、X17はLysであり、X16はGluである;
X16はGluであり、X17はLysであり、X20はLysである;
X16はSerであり、X21はAspであり、X24はGluである;
X17はLysであり、X24はGluであり、X28はArgである;
X17はLysであり、X24はGluであり、X28はLysである;
X17はLysであり、X27はLeuであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X27はLeuであり、X28はArgである;
X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである;
X20はLysであり、X27はLeuであり、X28はSerである;
X20はLysであり、X27はLeuであり、X28はArgである;
X16はSerであり、X20はHisであり、X24はGluであり、X27はLeuである;
X17はLysであり、X20はHisであり、X24はGluであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである; 又は
X17はCysであり、X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである、組合せを1又は2以上含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
式Iのペプチドが、親油性置換基に結合される型のアミノ酸を1つのみ含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
ペプチドが、Lys残基を1つのみ、Cys残基を1つのみ又はGlu残基を1つのみ含むとともに、親油性置換基が当該残基に結合する、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式Iのペプチド配列が1又は2以上の分子内架橋を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
分子内架橋が、式Iの直鎖状のアミノ酸配列中の3つのアミノ酸によって分離される、2つのアミノ酸残基の側鎖の間に形成される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
分子内架橋が、残基対16及び20、17及び21、20及び24、又は24及び28の側鎖の間に形成される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
分子内架橋が塩架橋又はラクタム環である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
分子内架橋が:
X16はGluであり、X20はLysである;
X16はGluであり、X20はArgである;
X16はLysであり、X20はGluである; 又は
X16はArgであり、X20はGluである;
X17はArgであり、X21はGluである;
X17はLysであり、X21はGluである;
X17はArgであり、X21はAspである; 又は
X17はLysであり、X21はAspである;
X20はGluであり、X24はLysである;
X20はGluであり、X24はArgである;
X20はLysであり、X24はGluである; 又は
X20はArgであり、X24はGluである;
X24はGluであり、X28はLysである;
X24はGluであり、X28はArgである;
X24はLysであり、X28はGluである; 又は
X24はArgであり、X28はGluである、1つの残基対を含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
X16、X17、X20及びX28の少なくとも1つが親油性置換基に結合される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
X30が存在しない、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
X30が存在し、親油性置換基に結合される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
化合物が、親油性置換基を1つのみ、16、17、20、24、27、28又は30位、好ましくは16、17又は20位、特に17位に有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
化合物が、親油性置換基を2つのみ、各々16、17、20、24、27、28又は30位の1つに有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
化合物が、16及び17、16及び20、16及び24、16及び27、16及び28又は16及び30; 17及び20、17及び24、17及び27、17及び28又は17及び30; 20及び24、20及び27、20及び28又は20及び30; 24及び27、24及び28又は24及び30; 27及び28又は27及び30; 又は28及び30位に親油性置換基を有する、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIa)
(式中、X12は、Lys、Arg及びLeuから選択され;
X16は、Ser及びXから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIb)
(式中、X12は、Lys、Arg及びLeuから選択され;
X16は、Ser及びXから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合する)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIIa)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、及びZ1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有する、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIIb)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合する)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IVa)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有する、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IVb)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である);又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
式Iのペプチドが、配列:
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDKKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLKRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLKA;
HSQGTFTSDYSRYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSLYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRAK;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSAK
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLKSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVKWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAACDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDKSAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSAK;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLKA
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVAWLLSA
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVAWLLKA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDKKAAHDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSRYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVKWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSLYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAACDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDK()KAAE()DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVE()WLLK()A
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAK()DFVE()WLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAHE()FVEWLLKA; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAKE()FVEWLLRA
を有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
配列:
HSQGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLD-K*-KAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K*-RA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K*-A;
HSQGTFTSDYSRYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSLYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA-K*;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA-K*;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K*-SA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K*-WLLRA;
HSQGTπSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-C*-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLD-K*-SAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA-K*;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K*-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLKA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVAWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVAWLL-K*-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-K*-KAAHDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSRYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K*-WLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSLYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-C*-DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-S*-KAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDK()K*AAE()DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK*AAHDFVE()WLLK()A
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK*AAK()DFVE()WLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAHE()FVEWLLK*A; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAK*E()FVEWLLRA
(式中、「*」は親油性置換基の位置を示す)
を有する式Iのペプチドを含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
Z1が、10-24個のC原子、10-22個のC原子、又は10-20個のC原子を有する炭化水素鎖を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
Z1が、ドデカノイル、2-ブチルオクタノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル又はエイコサノイル部分である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
Z2が、1又は2以上のアミノ酸残基であるか、又は1又は2以上のアミノ酸残基を含む、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
Z2がγ-Glu、Glu、β-Ala又はε-Lys残基、又は3-アミノプロパノイル、4-アミノブタノイル、8-アミノオクタノイル又は8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル部分である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
親油性置換基が、ドデカノイル-γ-Glu、ヘキサデカノイル-γ-Glu、ヘキサデカノイル-Glu、ヘキサデカノイル-[3-アミノプロパノイル]、ヘキサデカノイル-[8-アミノオクタノイル]、ヘキサデカノイル-ε-Lys、2-ブチルオクタノイル-γ-Glu、オクタデカノイル-γ-Glu及びヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル]から成る群から選択される、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
Zが、式:
HSQGTFTSDYSKYLD-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-KAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-RA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLKA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVE()WLLK()A;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-DFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ドデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[3-アミノプロパノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[8-アミノオクタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-ε-Lys)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K([2-ブチルオクタノイル]-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-E)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K([2-ブチルオクタノイル]-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-E)-AAHDFVEWLLSAを有すると共に、「()」で標識される残基が分子内結合に関与する、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
Zが、式:
H-Aib-QGTFTSDYS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-YLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-KAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-DFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-WLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソLys)-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAKDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDE-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHEFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAEDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLEAを有する、請求項30に記載の化合物。
【請求項33】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式V
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-Asp-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-X28; (V)
(式中、X17は、Xであり、
X28は、Serであるか又は存在せず;
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有する化合物。
【請求項34】
Zが、式:
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLS;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLL;
を有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式VI
His-Aib-Glu-Giy-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-Asp-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Ser-Ala; (VI)
(式中、X17はXであるとともに;
XはGlu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有する化合物。
【請求項36】
Zが、式:
H-Aib-EGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLSA;
を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
担体と混合した、請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物、又はその塩又は誘導体を含む、組成物。
【請求項38】
組成物が、医薬的に許容される組成物であり、担体が医薬的に許容される担体である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
医学的治療方法における使用のための、請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
体重増加の防止又は体重減少の促進における使用のための、請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
循環グルコースレベル、耐糖能及び/又は循環コレステロールレベルの改善、循環LDLレベルの低下及び/又はHDL/LDL比の増加の方法における使用のための、請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
例えば、肥満症、病的肥満症、肥満症関連炎症、肥満症関連胆嚢疾患、肥満症誘発睡眠時無呼吸、メタボリックシンドローム、糖尿病前症、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、2型糖尿病、1型糖尿病、高血圧症、アテローム生成脂質異常症、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、冠動脈心疾患、末梢動脈疾患、脳卒中又は細小血管障害の治療及び/又は予防等の、過剰体重によって生じる又は特徴付けられる疾病の治療方法における使用のための、請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
体重増加の防止又は体重減少の促進のための、それを必要とする個体における請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項44】
循環グルコースレベル、耐糖能及び/又は循環コレステロールレベルの改善、循環LDLレベルの低下、及び/又はHDL/LDL比の増加の方法のための、それを必要とする個体における請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項45】
例えば、肥満症、病的肥満症、肥満症関連炎症、肥満症関連胆嚢疾患、肥満症誘発睡眠時無呼吸、糖尿病前症、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、2型糖尿病、1型糖尿病、高血圧症、アテローム生成脂質異常症、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、冠動脈心疾患、末梢動脈疾患、脳卒中又は細小血管障害の治療及び/又は予防等の過剰体重によって生じる又は特徴付けられる疾病の治療方法のための、それを必要とする個体における請求項1〜37のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項46】
化合物が、糖尿病、肥満症、脂質異常症、又は高血圧症の治療用薬剤との組合せ療法の一部として投与される、請求項39〜45のいずれか1項に記載の化合物、使用又は方法。
【請求項47】
糖尿病の治療薬剤が、メトホルミン、スルホニル尿素、グリニド、DPP-IV阻害剤、グリタゾン、インスリン又はインスリン類似体である、請求項46に記載の化合物、使用又は方法。
【請求項48】
肥満症の治療薬剤が、グルカゴン様ペプチド受容体1アゴニスト、ペプチドYY又はその類似体、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、メラノコルチン受容体4アゴニスト、又はメラニン凝集ホルモン受容体1アンタゴニストである、請求項46に記載の化合物、使用又は方法。
【請求項49】
高血圧症の治療薬剤が、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、β遮断薬、又はカルシウムチャネル遮断薬である、請求項46に記載の化合物、使用又は方法。
【請求項50】
脂質異常症の治療薬剤が、スタチン、フィブラート系薬剤、ナイアシン及び/又はコレステロール吸収阻害剤である、請求項46に記載の化合物、使用又は方法。
【請求項1】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式I
His-X2-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-X27-X28-Ala-X30; (l)
(式中、X2は、Aib及びSerから選択され;
X12は、Lys、Arg又はLeuから選択され;
X16は、Arg及びXから選択され;
X17は、Arg及びXから選択され;
X20は、Arg、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びXから選択され;
X27は、Leu及びXから選択され;
X28は、Arg及びXから選択され;
X30は、Xであるか又は存在せず;
少なくともX16、X17、X20、X24、X27、X28、及びX30の1つが、Xであり;
各残基Xは、Glu、Lys、Ser、Cys、Dbu、Dpr及び/又はOrnから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1はXの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する化合物。
【請求項2】
残基Xの1又は2以上が、Lys、Glu及びCysから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X16は、Glu、Lys及びSerから選択され;
X17は、Lys及びCysから選択され;
X20は、His、Lys、Arg及びCysから選択され;
X24は、Lys、Glu及びAlaから選択され;
X27は、Leu及びLysから選択され; 及び/又は
X28は、Ser、Arg及びLysから選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
式Iのペプチドは、残基の以下の:
X2はAibであり、X17はLysである;
X2はAibであり、X17はCysである;
X2はAibであり、X20はCysである;
X2はAibであり、X28はLysである;
X12はArgであり、X17はLysである;
X12はLeuであり、X17はLysである;
X12はLysであり、X20はLysである;
X12はLysであり、X17はLysである;
X16はLysであり、X17はLysである;
X16はSerであり、X17はLysである;
X17はLysであり、X20はLysである;
X17はLysであり、X21はAspである;
X17はLysであり、X24はGluである;
X17はLysであり、X27はLeuである;
X17はLysであり、X27はLysである;
X17はLysであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X28はArgである;
X20はLysであり、X27はLeuである;
X21はAspであり、X27はLeuである;
X2はAibであり、X12はLysであり、X16はSerである;
X12はLysであり、X17はLysであり、X16はSerである;
X12はArgであり、X17はLysであり、X16はGluである;
X16はGluであり、X17はLysであり、X20はLysである;
X16はSerであり、X21はAspであり、X24はGluである;
X17はLysであり、X24はGluであり、X28はArgである;
X17はLysであり、X24はGluであり、X28はLysである;
X17はLysであり、X27はLeuであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X27はLeuであり、X28はArgである;
X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである;
X20はLysであり、X27はLeuであり、X28はSerである;
X20はLysであり、X27はLeuであり、X28はArgである;
X16はSerであり、X20はHisであり、X24はGluであり、X27はLeuである;
X17はLysであり、X20はHisであり、X24はGluであり、X28はSerである;
X17はLysであり、X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである; 又は
X17はCysであり、X20はLysであり、X24はGluであり、X27はLeuである、組合せを1又は2以上含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
式Iのペプチドが、親油性置換基に結合される型のアミノ酸を1つのみ含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
ペプチドが、Lys残基を1つのみ、Cys残基を1つのみ又はGlu残基を1つのみ含むとともに、親油性置換基が当該残基に結合する、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式Iのペプチド配列が1又は2以上の分子内架橋を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
分子内架橋が、式Iの直鎖状のアミノ酸配列中の3つのアミノ酸によって分離される、2つのアミノ酸残基の側鎖の間に形成される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
分子内架橋が、残基対16及び20、17及び21、20及び24、又は24及び28の側鎖の間に形成される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
分子内架橋が塩架橋又はラクタム環である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
分子内架橋が:
X16はGluであり、X20はLysである;
X16はGluであり、X20はArgである;
X16はLysであり、X20はGluである; 又は
X16はArgであり、X20はGluである;
X17はArgであり、X21はGluである;
X17はLysであり、X21はGluである;
X17はArgであり、X21はAspである; 又は
X17はLysであり、X21はAspである;
X20はGluであり、X24はLysである;
X20はGluであり、X24はArgである;
X20はLysであり、X24はGluである; 又は
X20はArgであり、X24はGluである;
X24はGluであり、X28はLysである;
X24はGluであり、X28はArgである;
X24はLysであり、X28はGluである; 又は
X24はArgであり、X28はGluである、1つの残基対を含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
X16、X17、X20及びX28の少なくとも1つが親油性置換基に結合される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
X30が存在しない、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
X30が存在し、親油性置換基に結合される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
化合物が、親油性置換基を1つのみ、16、17、20、24、27、28又は30位、好ましくは16、17又は20位、特に17位に有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
化合物が、親油性置換基を2つのみ、各々16、17、20、24、27、28又は30位の1つに有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
化合物が、16及び17、16及び20、16及び24、16及び27、16及び28又は16及び30; 17及び20、17及び24、17及び27、17及び28又は17及び30; 20及び24、20及び27、20及び28又は20及び30; 24及び27、24及び28又は24及び30; 27及び28又は27及び30; 又は28及び30位に親油性置換基を有する、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIa)
(式中、X12は、Lys、Arg及びLeuから選択され;
X16は、Ser及びXから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-X16-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIb)
(式中、X12は、Lys、Arg及びLeuから選択され;
X16は、Ser及びXから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合する)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIIa)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、及びZ1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有する、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IIIb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-X20-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IIIb)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X20は、His及びXから選択され;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
各残基Xは、Glu、Lys、及びCysから独立して選択され;
少なくとも1つの残基Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合する)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVa
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IVa)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され;
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有する、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式IVb
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-X12-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-X21-Phe-Val-X24-Trp-Leu-Leu-X28-Ala; (IVb)
(式中、X12は、Lys及びArgから選択され;
X17は、Xであり;
X21は、Asp及びGluから選択され;
X24は、Ala及びGluから選択され
X28は、Ser、Lys及びArgから選択されるとともに;
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である);又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するが、但し、ZがHSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRAでないペプチドである)
を有する、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
式Iのペプチドが、配列:
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDKKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLKRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLKA;
HSQGTFTSDYSRYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSLYLDSKAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRAK;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSAK
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLKSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVKWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAACDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDKSAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSAK;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLKA
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAKDFVAWLLSA
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVAWLLKA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDKKAAHDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSRYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVKWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSLYLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSCAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAACDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDK()KAAE()DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVE()WLLK()A
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAK()DFVE()WLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAHE()FVEWLLKA; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAKE()FVEWLLRA
を有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
配列:
HSQGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLD-K*-KAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K*-RA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K*-A;
HSQGTFTSDYSRYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSLYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLRA-K*;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA-K*;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K*-SA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K*-WLLRA;
HSQGTπSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-C*-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLD-K*-SAAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLLSA-K*;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K*-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K*-AAHDFVEWLLKA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K*-DFVAWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVAWLL-K*-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-K*-KAAHDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSRYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K*-WLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSLYLDS-K*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-C*-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-C*-DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-S*-KAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDK()K*AAE()DFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK*AAHDFVE()WLLK()A
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK*AAK()DFVE()WLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAHE()FVEWLLK*A; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSK()AAK*E()FVEWLLRA
(式中、「*」は親油性置換基の位置を示す)
を有する式Iのペプチドを含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
Z1が、10-24個のC原子、10-22個のC原子、又は10-20個のC原子を有する炭化水素鎖を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
Z1が、ドデカノイル、2-ブチルオクタノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル又はエイコサノイル部分である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
Z2が、1又は2以上のアミノ酸残基であるか、又は1又は2以上のアミノ酸残基を含む、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
Z2がγ-Glu、Glu、β-Ala又はε-Lys残基、又は3-アミノプロパノイル、4-アミノブタノイル、8-アミノオクタノイル又は8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル部分である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
親油性置換基が、ドデカノイル-γ-Glu、ヘキサデカノイル-γ-Glu、ヘキサデカノイル-Glu、ヘキサデカノイル-[3-アミノプロパノイル]、ヘキサデカノイル-[8-アミノオクタノイル]、ヘキサデカノイル-ε-Lys、2-ブチルオクタノイル-γ-Glu、オクタデカノイル-γ-Glu及びヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル]から成る群から選択される、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
Zが、式:
HSQGTFTSDYSKYLD-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-KAAHDFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-RA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-DFVEWLLRA;
HSQGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFVEWLL-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-A;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLKA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVE()WLLK()A;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-γ-Glu)-DFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ドデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[3-アミノプロパノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[8-アミノオクタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-ε-Lys)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K([2-ブチルオクタノイル]-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
HSQGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-E)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K([2-ブチルオクタノイル]-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-[4-アミノブタノイル])-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(オクタデカノイル-γ-Glu)-AAHDFVEWLLSA; 又は
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-E)-AAHDFVEWLLSAを有すると共に、「()」で標識される残基が分子内結合に関与する、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
Zが、式:
H-Aib-QGTFTSDYS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-YLDSKAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLD-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-KAAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAA-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-DFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDSKAAHDFV-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-WLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソLys)-AARDFVAWLLRA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAKDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDE-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHEFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAEDFVEWLLSA;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLEAを有する、請求項30に記載の化合物。
【請求項33】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式V
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-Asp-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-X28; (V)
(式中、X17は、Xであり、
X28は、Serであるか又は存在せず;
Xは、Glu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖は、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される);
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有する化合物。
【請求項34】
Zが、式:
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLS;
H-Aib-QGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLL;
を有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
式:
R1-Z-R2
(式中、R1は、H、C1-4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
R2は、OH又はNH2であり;
Zは、式VI
His-Aib-Glu-Giy-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-X17-Ala-Ala-His-Asp-Phe-Val-Glu-Trp-Leu-Leu-Ser-Ala; (VI)
(式中、X17はXであるとともに;
XはGlu、Lys、及びCysから成る群から選択され;
Xの側鎖が、式:
(i)Z1
(式中、Z1は、Xの側鎖に直接結合される親油性部分である); 又は
(ii)Z1Z2
(式中、Z1は親油性部分であり、Z2はスペーサーであり、Z1はZ2を介してXの側鎖に結合される)
を有する親油性置換基に結合される)
を有するペプチドである)
を有する化合物。
【請求項36】
Zが、式:
H-Aib-EGTFTSDYSKYLDS-K(ヘキサデカノイル-イソGlu)-AAHDFVEWLLSA;
を有する、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
担体と混合した、請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物、又はその塩又は誘導体を含む、組成物。
【請求項38】
組成物が、医薬的に許容される組成物であり、担体が医薬的に許容される担体である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
医学的治療方法における使用のための、請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
体重増加の防止又は体重減少の促進における使用のための、請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
循環グルコースレベル、耐糖能及び/又は循環コレステロールレベルの改善、循環LDLレベルの低下及び/又はHDL/LDL比の増加の方法における使用のための、請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
例えば、肥満症、病的肥満症、肥満症関連炎症、肥満症関連胆嚢疾患、肥満症誘発睡眠時無呼吸、メタボリックシンドローム、糖尿病前症、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、2型糖尿病、1型糖尿病、高血圧症、アテローム生成脂質異常症、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、冠動脈心疾患、末梢動脈疾患、脳卒中又は細小血管障害の治療及び/又は予防等の、過剰体重によって生じる又は特徴付けられる疾病の治療方法における使用のための、請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
体重増加の防止又は体重減少の促進のための、それを必要とする個体における請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項44】
循環グルコースレベル、耐糖能及び/又は循環コレステロールレベルの改善、循環LDLレベルの低下、及び/又はHDL/LDL比の増加の方法のための、それを必要とする個体における請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項45】
例えば、肥満症、病的肥満症、肥満症関連炎症、肥満症関連胆嚢疾患、肥満症誘発睡眠時無呼吸、糖尿病前症、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、2型糖尿病、1型糖尿病、高血圧症、アテローム生成脂質異常症、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、冠動脈心疾患、末梢動脈疾患、脳卒中又は細小血管障害の治療及び/又は予防等の過剰体重によって生じる又は特徴付けられる疾病の治療方法のための、それを必要とする個体における請求項1〜37のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項46】
化合物が、糖尿病、肥満症、脂質異常症、又は高血圧症の治療用薬剤との組合せ療法の一部として投与される、請求項39〜45のいずれか1項に記載の化合物、使用又は方法。
【請求項47】
糖尿病の治療薬剤が、メトホルミン、スルホニル尿素、グリニド、DPP-IV阻害剤、グリタゾン、インスリン又はインスリン類似体である、請求項46に記載の化合物、使用又は方法。
【請求項48】
肥満症の治療薬剤が、グルカゴン様ペプチド受容体1アゴニスト、ペプチドYY又はその類似体、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、メラノコルチン受容体4アゴニスト、又はメラニン凝集ホルモン受容体1アンタゴニストである、請求項46に記載の化合物、使用又は方法。
【請求項49】
高血圧症の治療薬剤が、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、β遮断薬、又はカルシウムチャネル遮断薬である、請求項46に記載の化合物、使用又は方法。
【請求項50】
脂質異常症の治療薬剤が、スタチン、フィブラート系薬剤、ナイアシン及び/又はコレステロール吸収阻害剤である、請求項46に記載の化合物、使用又は方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−532898(P2012−532898A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519884(P2012−519884)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/DK2010/000099
【国際公開番号】WO2011/006497
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(502453045)ジーランド ファーマ アクティーゼルスカブ (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/DK2010/000099
【国際公開番号】WO2011/006497
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(502453045)ジーランド ファーマ アクティーゼルスカブ (13)
【Fターム(参考)】
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