説明

アスカーC硬度が1〜70のポリウレタン

(a)イソシアネートと(b)イソシアネートに対して反応性の化合物とを反応させることにより、アスカーC硬度が1〜70のポリウレタンを製造する方法であって、(b)イソシアネートに対して反応性の化合物として、1500g/mol〜6000g/molの範囲の分子量を有し、及びエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを使用してアルコキシル化された、2〜6個の炭素原子を有するモノアルコールを主成分とする(b1)モノオールが使用されることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッカー硬度が1〜70、好ましくは5〜25であり、及び好ましくは通常の可塑剤を含まないポリウレタン、好ましくは、ポリウレタンエラストマー、特に好ましくは、コンパクトポリウレタンエラストマーを、(a)イソシアネートと、(b)イソシアネートに対して反応性の化合物とを反応させることにより製造する方法に関する。更に、本発明は、このようにして得られ、アッカー硬度が1〜70、好ましくは5〜25であるポリウレタンに関し、及び本発明に従うこれらポリウレタンを含む製造物、特に靴、自転車サドル用の成形物、又は成形外科技術工学用の成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン複合添加(polyaddition)製造物、例えば、ポリイソシアヌレート及び/又はポリウレア構造を含んで良いポリウレタンは、一般的に公知である。
【0003】
液体可塑剤を含むポリウレタンは、アッカー硬度が70未満の柔軟な成形物、例えば、靴の中底用の成形物、又は感触がソフトなコンピューターキーボードとしての成形物の製造において公知である。可塑剤は、通常、所望の硬度を設定するためと、通常は粘性が高いポリエステルポリオール用の希釈液としての両方の目的で必要とされる。しかしながら、その移動(migration)特性のために、可塑剤の使用は望ましくない。更に、公知の溶液は、成形物の表面上が粘着性になるという不利な点を有しており、特に加硫のために比較的長い反応時間を必要とする反応系(reaction system)の場合にこの傾向がある。
【0004】
特許文献1(DE−A10138132)には、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する脂肪酸化合物、及び所望により短鎖アルコキシル化脂肪酸を使用して製造されるポリウレタンゲルの製造が開示されている。
【0005】
【特許文献1】DE−A10138132
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、アスカーC硬度が、1〜70、好ましくは5〜25であり、及び好ましくは通常の可塑剤を含まず、及び粘着性が僅かなものに限られ、及び実質的ににおいがせず、柔軟性(softness)が可塑剤を使用せずに達成可能であり、快活な触感を有し、及び洗浄可能であり、そして粘着テープ(「圧力敏感性粘着」)として、基体から容易に除去できるポリウレタン、好ましくはポリウレタンゲルを製造する方法を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、分子量が、1500g/mol〜6000g/mol、好ましくは1900g/mol〜4000g/molであり、及びエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドとプロピレンオキシドを使用してアルコキシル化された、2〜6個、好ましくは3〜5個の炭素原子を有するモノアルコールを主成分とする(b1)モノオールを、(b)イソシアネートに対して反応性の化合物として使用することで達成可能であった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に従い使用されるポリオール(b1)は、一般的に公知の単官能性出発材料を、アルコキシル化(該アルコキシル化は、一般的に公知である)することによって製造され、例えば、塩基−触媒作用下で、低級アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを添加することにより製造される。可能な出発材料は、例えば、モノアルコール、好ましくは、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、特に好ましくは1−ブタノールである。
【0009】
モノオール(b1)中、エチレンオキシドのプロピレンオキシドに対する質量割合は、好ましくは、20:80〜80:20、特に好ましくは40:60〜60:40で、異なるアルキレンオキシドがブロック及び/又はランダムに配置可能である。
【0010】
特に好ましくは、(b1)がエチレンオキシドとプロピレンオキシドを使用して、好ましくはランダム状態でアルコキシル化された1−ブタノールを主成分とするものである。
【0011】
本発明のポリウレタンゲルは、好ましくは、マウスパッド、自転車サドル、靴の中底、種々のハンドル又はグリップ等の可塑剤を有していない構成部分に使用される。
【0012】
上述した適用とは別に、本発明のポリウレタンは、弾力性コンピューターキーボード又は類似した種類の消費物品、及びまた、集中治療医療品、例えば特別なベッド、又は非常に柔軟な成形が必要とされる乗物工学の分野に適切である。靴及び整形外科分野のための低硬度を有する成形物が特に好ましい。従って、特に好適な支持特性を有する、非常に柔軟な(柔らかい)ゲル状の靴の中底が、柔軟性PURキャスト樹脂組成物(樹脂系)を使用して製造される。整形外科において、本発明の柔軟性PURキャスト樹脂組成物の新規な特性が、特に有利である。そして、硬化(加硫:cure)した新規の組成物又は仕上られた成形物は、圧力負荷下に気体が溶解する特性を有している。従って、本発明のポリウレタンを使用して、非常に柔軟〜ゲル状(ゼラチン状)のゲル状の靴の中底を製造することができ、ここで、ポリウレタンを製造するための出発成分が、(e)気体、例えば空気又は窒素を装填(導入)可能なものである。この空気の装填は、通常の機械、例えば高圧機械を使用した一般的に公知の方法で行うことができる。ミクロ気泡(microbubble)が設けられたソールが靴中に使用された場合、所定時間の使用の後、圧力付加と圧力分布の像(跡)が得られる。この理由は、圧力が付加された範囲で、ミクロ気泡中の気体が溶解(消滅)し、ソールがこの範囲で半透明〜透明になるからである。従って、ポリウレタンの中に直径が5〜500mmの気体泡、好ましくは空気泡を有している本発明のポリウレタン、特に靴成分、特に靴ソールも本発明に従い好ましい。本発明に従い、ポリウレタンがコンパクト構造を有しているか、又は気体の導入により上述した直径を有する気体泡を有することが好ましく、コンパクトポリウレタンが特に好ましい。
【0013】
本発明のポリウレタンを含むこれらの製造物、特に自転車サドル、靴の成形物、及び整形外科分野の成形物が、同様に、本発明によって提供される。
【0014】
本発明のポリウレタンを含む、粘着性要素、特に粘着テープ(「圧力敏感性粘着」)が特に好ましい。
【0015】
本発明のポリウレタンの製造は、公知の方法、特に、成形樹脂組成物用の方法、例えば、出発成分を攪拌し、そして適当な成形型内で反応混合物を硬化(加硫)させることにより行うことができる。成形部分を形成するため処理は、最も単純な場合では、成分を手動混合することにより行うことができる。しかしながら、低圧ポリウレタン加工機、又は高圧ポリウレタン加工機を使用して行うことが可能な機械処理が好ましい。後者の処理条件では、本発明に従う出発成分は、90℃以下の成分温度、及び200バール以下の圧力で問題なく処理(加工)することができる。
【0016】
通常は、(a)イソシアネート及び(b)イソシアネートに対して反応性の化合物、所望により(c)触媒、(d)発泡剤、(e)気体及び/又は(f)助剤を主成分としたポリウレタンの製造が一般的に公知であり、そして広く記載されている。
【0017】
出発成分について以下に説明する。
【0018】
(a)イソシアネート、好ましくは有機ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートとして、脂肪族、脂環式、アラリファティック(araliphatic)及び好ましくは芳香族多官能性イソシアネートを使用することができ、これらはそれ自体は公知である。特定の例は、アルキレン基に4〜12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、例えばドデカン1,12−ジイソシアネート、2−エチルテトラメチレン1,4−ジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチレン1,4−ジイソシアネート、及び好ましくは、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート;シクロヘキサン1,3−及び1,4−ジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、及びこれらの異性体の混合物、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、ヘキサヒドロトリレン2,4−及び2,6−ジイソシアネート及び対応する異性体混合物、ジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,2’−及び2,4’−ジイソシアネート及び対応する異性体混合物、及び好ましくは、トルエン2,4−及び2,6−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート及びポリイソシアネート及び対応する異性体混合物、ジフェニルメタン4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネート及び対応する異性体混合物、ジフェニルメタン4,4’−及び2,4’−ジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物、ジフェニルメタン4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネート及びポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)の混合物、及び粗製MDIとトリレンジイソシアネートの混合物である。有機ジイソシアネート及びポリイソシアネートを個々に使用可能であり、又これらの混合物の状態で使用可能である。変性多官能性イソシアネート、すなわち有機イソシアネート及び/又はポリイソシアネートの化学反応によって得られる製造物もしばしば使用される。記載して良い例は、エステル、尿素、ビウレット、アロファン酸(allophanate)、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレットジオン(uretdione)及び/又はウレタン基を含むジイソシアネート、及び/又はポリイソシアネートである。特定の例は、ウレタン基を含み、及びNCO含有量が、合計質量に対して、33.6〜15質量%、好ましくは、31〜21質量%の有機、好ましくは芳香族ポリイソシアネートであり、例えば、低分子量のジオールトリオール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール、又はポリオキシアルキレングリコール(分子量が6000以下、特に分子量が1500以下)で変性されたジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、変性されたジフェニルメタン4,4’−及び2,4’−ジイソシアネート混合物、又は変性された粗製MDI又はトルエン2,4−又は2,6−イソシアネートであり、ここで、ジアルキレングリコール又はポリオキシアルキレングリコールの例としては、個々に、又は混合物として使用可能であり、例えばいわゆる、ジエチレン−、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−、ポリオキシプロピレン−、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレングリコール、−トリオール及び/又は−テトロールとして使用可能である。また、NCO基を含み、そして合計質量に対してNCO含有量が、25〜3.5質量%、好ましくは21〜14質量%であり、及び以下に記載されたポリエステル−及び/又は好ましくはポリエーテルポリオール、及びジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、以下ものの混合物、ジフェニルメタン2,4’−及び4,4’−ジイソシアネート、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート又は粗製MDIから製造されたプレポリマーも適切である。更に、カルボジイミド基及び/又はイソシアヌレート環含有の液体状ポリイソシアネートであって、合計質量に対してNCO含有量が33.6〜15質量%、好ましくは31〜21質量%であるポリイソシアネート、例えば、ジフェニルメタン4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジイソシアネート及び/又はトルエン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネートを主成分とするものが有用とわかった。変性ポリイソシアネートは、適切であれば、互いに混合可能であり、またジフェニルメタン2,4’−、4,4’−ジイソシアネート、粗製MDI、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート等の未変性有機ポリイソシアネートと混合可能である。特に有用であり、従って使用することが好ましい有機ポリイソシアネートは、トリレンジイソシアネートと粗製MDIの混合物、又はウレタン基を含む変性有機ポリイソシアネートの混合物、特に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物、又は粗製MDI及び特にジフェニルメタンジイソシアネート異性体を30〜80質量%、好ましくは30〜55質量%含む粗製MDIを主成分とするものである。(a)イソシアネートとして、NCO含有量が15%未満のウレタン変性イソシアネートを使用することが好ましく、イソシアネートと分子量が少なくとも1000g/mol、好ましくは2000〜6000g/molのポリエーテルジオールとの反応製造物であるウレタン変性イソシアネートを使用することが特に好ましく、イソシアネートと以下の混合物との反応製造物であるウレタン変性イソシアネートを使用することが特に好ましい。ここで上記混合物は、プロピレングリコール、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシドを主成分とし、及び分子量が2000g/molを超える2官能性ポリエーテルポリオール、及び分子量が1000g/molを超えるポリプロピレングリコールの混合物である。
【0019】
イソシアネート(a)として、イソシアネート基を帯び、及びイソシアネート、好ましくはジイソシアネートと、モノオール(b1i)との反応に基づくプレポリマーを使用することが特に好ましく、ここでモノオール(b1i)は、分子量が1500g/mol〜6000g/mol、好ましくは1900g/mol〜5000g/mol、特に好ましくは3000g/mol〜4500g/molで、及び2〜6個の炭素原子を有する(エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを使用してアルコキシル化された)モノアルコールを主成分とするものである。イソシアネート基を帯びたプレポリマーは、極めて好ましくは、イソシアネート、好ましくはジイソシアネートと、分子量が1500g/mol〜6000g/mol、好ましくは1900g/mol〜5000g/mol、特に好ましくは3000g/mol〜4500g/molで、及び2〜6個の炭素原子を有する(エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを使用してアルコキシル化された)モノアルコールを主成分としたモノール(b1i)、及びまた、モノール(b1i)に加え、少なくとも1種の化合物(bi)、好ましくは、イソシアネートに対して反応性であり、そしてイソシアネートに対して少なくとも2価、好ましくは2〜4価、特に好ましくは2又は3、特に2の官能性を有し、そして分子量が、1500〜8000g/molの範囲であるポリエーテルアルコールとの反応に基づくものである。(bi)中(b1i)の質量割合は、(b1i)を含んだ(bi)の合計質量に対し、10質量%〜80質量%である。上述した化合物(b1)は、(b1i)として使用可能である。化合物(bi)として、本願明細書に記載された化合物(b)を使用することが可能である。(b1i)と(b1)の間、及び(b)と(bi)の間のラベリング(labeling)の区別は、ポリオール成分(b)又はイソシアネート成分(a)に対する、成分(b1)と(b)の好ましい量が、単に別個に記載されるという目的で行なわれる。
【0020】
本発明に従って使用されるモノオール(b1)に加え、少なくとも2個の反応性水素原子を有する別のイソシアネート反応性化合物(b)を使用することも可能であり、これは、官能価が2〜8、好ましくは2〜6であり、及び分子量が500〜9000g/molである化合物が有利である。有用であることがわかったこの種類の化合物は、例えば、ポリエーテルポリアミン、及び/又は好ましくはポリオールであり、該ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ヒドロキシ含有ポリエステルアミド、ヒドロキシル含有ポリアセテート、及びヒドロキシル含有脂肪族ポリカルボネート、及び上述したポリオールの内少なくとも2種のポリオールの混合物から成る群から選ばれるものである。ポリエスルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。ポリエーテルオールは、通常、低級アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを官能価が2〜8、特に2〜6の出発物質に加えることにより製造される。適切なポリエステルポリオールが、
例えば、2〜12個の炭素原子を有する有機ジカルボン酸、好ましくは4〜6個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、及びポリヒドリックアルコール、好ましくは、2〜12個(好ましくは2〜6個)の炭素原子を有するジオールから製造され得る。可能なジカルボン酸は、例えば、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼル酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸である。ジカルボン酸は、個々に、又は互いに混合して使用可能である。遊離ジカルボン酸の代わりに、対応するジカルボン酸誘導体、例えば、1〜4個の炭素原子を有するアルコールのジカルボン酸モノ−及びジエステルエステル、又はジカルボキシル無水物を使用することも可能である。琥珀酸、グルタル酸、及びアジピン酸のジカルボン酸混合物(例えば20〜35:35〜50:20〜32の割合)、及び特にアジピン酸を使用することが好ましい。ジヒドリック及びポリヒドリックアルコール、特に、アルキレンジオール、及びジアルキレングリコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、グリセロール及びトリメチロールプロパンである。エタンジオール、ジエチレングリコーコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、又は上述したジオールの少なくとも2種の混合物、特に、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールの混合物を使用することが好ましい。ラクトン例えば、ε−カプロラクトン、又はヒドロキシカルボン酸、例えばω−ヒドロキシカプロ酸から誘導されるポリエステルポリオールを使用することも可能である。ポリエステルポリオールは、好ましくは、官能価が2〜4、特に2〜3であり、そして分子量が500〜3000g/mol、好ましくは1200〜3000g/molであり、及び特に1800〜2500g/molである。本願明細書に記載された分子量は、単位が[g/mol]の、数平均分子量である。(b1)に加え、少なくとも1種のイソシアネート−反応性化合物(b)、好ましくは、イソシアネートに対する官能価が少なくとも2、好ましくは2〜4、特に好ましくは2又は3、特に2であり、そして分子量が、1500〜8000g/molの範囲、好ましくは1900g/mol〜4000g/molの範囲のポリエーテルアルコールを使用することが好ましい。この場合の、(b)中(b1)の質量割合は、(b1)を含む(b)の合計量に対して、好ましくは10質量%〜80質量%である。
【0021】
(b)として、分子量が499g/mol、好ましくは60〜300g/molの更なるジオール及び/又はトリオールを使用することも可能である。この種類の適切な化合物は、例えば、2〜14個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、及び/又はアラリファティックジオール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、o−、m−、p−ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及び好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及びビス(2−ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、1,2,4−、1,3,5−トリヒドロシクロヘキサン、グリセロール及びトリメチロールプロパン等のトリオール、及び、出発分子として、エチレン−、及び/又は1,2−プロピレンオキシド及び上述したジオール及び/又はトリオールを主成分とする低分子量のヒドロキシル−含有ポリアルキレンオキシドである。
【0022】
ポリウレタンを製造するための触媒(c)として、特に、反応性水素原子(特にヒドロキシル基)を含む化合物と有機(任意に変性された)ポリイソシアネートとの反応を非常に加速する化合物を使用することが可能である。可能な触媒は、有機金属化合物、好ましくは、有機カルボン酸の錫(II)塩等の有機錫化合物、例えば、錫(II)アセテート、錫(II)オクトエイト、錫(II)エチルヘキサノエイト、及び錫(II)ラウレート、及び有機カルボン酸のジアルキル錫(IV)塩、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーレエイト、及びジオクチル錫ジアセテートである。有機金属化合物は、それのみで、又は好ましくは強塩基性アミンと組合せて使用される。記載して良いアミンは、例えば、2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン等のアミジン、第3アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−アザビシクロ[3.3.0]オクタン、及び好ましくは、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、及びN−エチルジエタノールアミン及びジエチルエタノールアミンである。更なる適切な触媒は、トリス(ジアルキルアミノアルキル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、特にトリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、ナトリウムヒドロキシド等のアルカリ金属ヒドロキシド及びナトリウムメトキシド及びカリウムイソプロポキシド等のアルカリ金属アルコキシド、及び10〜20個の炭素原子を有し、及び所望により側部にOH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩である。ポリオール成分の質量に対して、0.001〜5質量%、特に0.05〜2質量%の触媒又は触媒の組合せを使用することが好ましい。
【0023】
使用するポリウレタン組成物用の発泡剤(blowing agent)(d)として、ポリウレタンフォームの製造用にとって通常の発泡剤、例えば、ハロゲン化アルカンを使用することが可能である。低沸点脂肪族炭化水素、好ましくはシクロペンタン、n−ペンタン、及び/又はイソペンタン、特にn−ペンタンが物理的発泡剤として有利に使用される。発泡剤として、脂肪族炭化水素を水と一緒に使用することが有利である。使用する脂肪族炭化水素の量は、ポリオール成分に対して、例えば、2〜25質量%、好ましくは、10〜13質量%である。水の割合は、ポリウレタンの所望の特性に依存する。発泡剤を使用しないことが好ましい。
【0024】
適切であれば、助剤(f)も、ポリウレタン組成物中に導入される。記載して良い例は、表面活性剤、気泡(セル)調節剤、充填剤、染料、顔料、難燃剤、加水分解抑制剤、静真菌性、及び静菌性物質である。
【0025】
以下に実施例を用いて本発明を説明する。
【0026】
ポリオール成分 [質量%]
ポリオール1: 1.00
ポリオール2: 40.65
モノオール1: 58.00
Coscat(登録商標)83) 0.35

イソシアネート成分 [質量%]
ポリオール3: 23.0
モノオール2: 38.46
4,4’−MDI、2,4’−MDI(1:1) 38.36
混合割合:成分 A/B=100/20〜30
【0027】
ポリオール1:官能価が4で、分子量が300g/molのポリエーテルポリオール、エチレンジアミンを使用して開始され、そしてPOでプロポキシ化される。
ポリオール2:記載上の官能価が3で、分子量が5000g/molのポリエーテルポリオール、グリセロールを使用して開始され、そしてPOでプロポキシ化され、そして13.3%のEOでエンドキャップされる。
ポリオール3:官能価が3で、分子量が3000g/molのポリエーテルポリオール、グリセロールを使用して開始され、そしてPO/EO(95.4:4.6)でプロポキシ化及びエトキシル化され、そして5.8%のEOでエンドキャップされる。
Coscat(登録商標)83:42%のネオデカン酸中、ビスムストリスネオデカノエイト(58%)、Caschemから入手。
モノオール1:分子量が2000g/molで、1−ブタノールを主成分とし、及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドが1:1でランダムに分散しているポリエーテルオール、
モノオール2:分子量が3850g/molで、1−ブタノールを主成分とし、及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドが1:1でランダムに分散しているポリエーテルオール、
【0028】
製造物は、冒頭に述べた有利な点(僅かな粘着性、実質的に無臭、可塑剤を使用せずに柔軟、快適な感触、洗浄可能、粘着テープ(「圧力敏感性粘着」)として使用された場合には、基体から容易に除去可能)を有し、アスカーC硬度が約5〜10で、高い伸長性(250%)を有し、可逆的に変形可能であり、そして、多くの異なる種類の基体(例えば、木材、ガラス、金属、大半のプラスチック)に張り付き、張り付いた基体から損傷なく再度、引きはがすことができる。引張強度は、0.06N/mm2で、引裂伝播強度(tear propagation resistance)は、0.13N/mm2である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)イソシアネートと(b)イソシアネートに対して反応性の化合物とを反応させることにより、アスカーC硬度が1〜70のポリウレタンを製造する方法であって、
(b)イソシアネートに対して反応性の化合物として、1500g/mol〜6000g/molの範囲の分子量を有し、及びエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを使用してアルコキシル化された、2〜6個の炭素原子を有するモノアルコールを主成分とする(b1)モノオールが使用されることを特徴とする方法。
【請求項2】
エチレンオキシドのプロピレンオキシドに対する質量割合が20:80〜80:20であり、異なるアルキレンオキシドがブロック状及び/又はランダムに配置可能であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(b1)がエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを使用してアルコキシル化された1−ブタノールを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
イソシアネートに対して反応性であり、及びイソシアネートに対する官能価が少なくとも2であり、及び分子量が1500〜8000g/molの範囲である、少なくとも1種の化合物(b)が、(b1)に加えて使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(b)中の(b1)の質量割合が、(b1)を含めた(b)の合計質量に対して10質量%〜80質量%であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
イソシアネート基を有し、及びイソシアネート、好ましくはジイソシアネートと、分子量が1500g/mol〜6000g/molであり、且つエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを使用してアルコキシル化された、2〜6個の炭素原子を有するモノアルコールを主成分とするモノオール(b1i)との反応により得られるプレポリマーが、イソシアネート(a)として使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イソシアネート基を有するプレポリマーが、イソシアネート、好ましくはジイソシアネートと、分子量が1500g/mol〜6000g/molであり、且つエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを使用してアルコキシル化された、2〜6個の炭素原子を有するモノアルコールに基づくモノオール(b1i)、及び(b1i)に加え、イソシアネートに対して反応性であり、及びイソシアネートに対する官能価が少なくとも2であり、及び分子量が1500〜8000g/molの範囲である少なくとも1種の化合物(bi)との反応により得られることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(bi)中の(b1i)の割合が、(b1i)を含んだ(bi)の合計量に対して10質量%〜80質量%であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の方法により得られるポリウレタン。

【公表番号】特表2008−519872(P2008−519872A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540545(P2007−540545)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011817
【国際公開番号】WO2006/050857
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】